(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016901
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】コーミング機械のニッパユニットにおけるガイドエレメント
(51)【国際特許分類】
D01G 19/16 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
D01G19/16
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-513872(P2014-513872)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-518960(P2014-518960A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】CH2012000118
(87)【国際公開番号】WO2012167389
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】00954/11
(32)【優先日】2011年6月6日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボマー
(72)【発明者】
【氏名】ダビド ペレス
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−250857(JP,A)
【文献】
特開2005−068634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーミング機械のニッパユニット(1)であって、
下側のニッパプレート(12)であって、前記ニッパユニット(1)において可動に支持された上側のニッパプレート(14)と共に、当該下側のニッパプレート(12)のニッパリップ(30)の領域においてクランプ箇所(KO,KU)を形成することができる下側のニッパプレート(12)と、
前記ニッパユニット(1)の内部において前記下側のニッパプレート(12)の上に回動可能に取り付けられた供給ローラ(27)と、が設けられており、
前記ニッパユニット(1)に、機械フレーム(MS)に支持された少なくとも1つの裂断ローラ(24a,24b,22)が、裂断クランプライン(K,K1)を形成するために後置されており、
さらに、前記供給ローラ(27)と前記ニッパリップ(30)との間において前記下側のニッパプレート(12)に取外し可能に取り付けられかつ繊維材料(W)の搬送方向(F)に対して横方向に方向付けられたウェブ(32)が設けられており、
前記下側のニッパプレート(12)の下に、繊維タフト(FB)をコーミングするための、回転可能に支持されたコームシリンダ(4,4a)が配置されている、ニッパユニット(1)において、
前記ウェブ(32)は、少なくとも部分的に強磁性材料から成る前記下側のニッパプレート(12)の支持面(AF)に向かい合って位置する載設面(SU)の領域に、磁性部材(50)を有し、
前記ウェブ(32)の両端部の領域に、該ウェブ(32)を前記下側のニッパプレート(12)における前記支持面(AF)の平面において形状結合式に固定する第1の隆起部(54)または第2の隆起部(60)が設けられており、前記第1の隆起部(54)または第2の隆起部(60)がピンとして形成されていて、該ピンが対応する凹部(52,52′;65)内に単に進入することにより形状結合式の結合部が形成されることを特徴とする、コーミング機械のニッパユニット(1)。
【請求項2】
前記磁性部材は、前記ウェブ(32)の長手方向で見て、互いに間隔(m)をおいて配置されていて前記ウェブ(32)に固定された複数の磁石(50)から成っている、請求項1記載のニッパユニット(1)。
【請求項3】
前記磁石(50)は、前記ウェブ(32)の凹部(49)に取り付けられている、請求項2記載のニッパユニット(1)。
【請求項4】
前記ウェブ(32)は、その両端部の領域に前記第1の隆起部(54)を有し、該隆起部(54)は、前記下側のニッパプレート(12)の前記支持面(AF)に向かって延びていて、該下側のニッパプレート(12)の凹部(52,52′)内に進入し、該凹部(52,52′)と共に形状結合式の結合部を形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)。
【請求項5】
前記下側のニッパプレート(12)の前記支持面(AF)は、前記第2の隆起部(60)を有し、該隆起部(60)は、前記ウェブ(32)の両端部の領域に設けられた凹部(65)内に進入し、該凹部(65)と共に形状結合式の結合部を形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)。
【請求項6】
前記ウェブ(32)はその両端部の領域に、該ウェブ(32)のガイド面(35)から上方に向かって突出した、前記繊維材料(W)を案内するためのサイドガイド(SF1,SF2)を備えている、請求項1から5までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)。
【請求項7】
前記各サイドガイド(SF1,SF2)は各第3の隆起部(55)に結合されていて、前記ウェブ(32)はこの領域に開口(53)を有し、該開口(53)を貫いて、前記各第1の隆起部(54)及び/又は前記各サイドガイド(SF1,SF2)の少なくとも1つの部分領域が進入している、請求項4を引用する請求項6記載のニッパユニット(1)。
【請求項8】
前記供給ローラ(27)はその取り付けられた位置において、前記下側のニッパプレート(12)と前記ウェブ(32)との形状結合式の結合部からの該ウェブ(32)の取外しを阻止している、請求項1から7までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)。
【請求項9】
前記サイドガイド(SF1,SF2)は、前記供給ローラ(27)に向かい合って位置する側に、各1つの円弧状の面(56)を備えていて、該面(56)は、取付け位置において、前記供給ローラ(27)の周面(US)に対して0.1〜2.5mmの間隔を有する、請求項8記載のニッパユニット(1)。
【請求項10】
前記ウェブ(32)は台形形状の横断面を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のニッパユニット(1)において使用されるウェブ(32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーミング機械のニッパユニットであって、下側のニッパプレートであって、前記ニッパユニットにおいて可動に支持された上側のニッパプレートと共に、当該下側のニッパプレートのニッパリップの領域においてクランプ箇所を形成することができる下側のニッパプレートと、前記ニッパユニットの内部において前記下側のニッパプレートの上に回動可能に取り付けられた供給ローラと、が設けられており、前記ニッパユニットに、機械フレームに支持された少なくとも1つの裂断ローラが、裂断クランプラインを形成するために後置されており、さらに、前記供給ローラと前記ニッパリップとの間において前記下側のニッパプレートに取外し可能に取り付けられかつ繊維材料の搬送方向に対して横方向に方向付けられたウェブが設けられており、前記下側のニッパプレートの下に、繊維タフトをコーミングするための、回転可能に支持されたコームシリンダが配置されている、ニッパユニットに関する。
【0002】
実地においては、コーミング機械においてコーミングすべき成分(単に「ノイル」と呼ぶ)を必要に応じて調節することが必要である。ノイルの割合は、5〜30%の範囲において変化し、通常、コーミングされた繊維材料の次いで行われる紡績によって決まる所望の糸品質に関連している。さらにノイルの割合は、提供された繊維材料(供給材料)にも関連している。
【0003】
つまりコーミング除去率もしくはコーマ落ち率の高いコーミングでは、コーミングされた繊維材料内に長繊維が留まっており、これに対して短繊維は、ほぼ完全に、ノイルの屑内に達している。そしてこの長繊維によって、極めて細い糸を製造することができる。それというのは、必要な糸強度を損なうことなしに、糸の横断面において著しく僅かな数の繊維しか必要ないからである。高いノイル割合は、もちろん製造量に影響し、この製造量は、最終的に紡績工場の収入に直に影響を及ぼす。従って、紡績マイスタにとっては、糸の必要な品質と、コーミング除去された割合による製造量における損失との間で、バランスを見いだすことが必要である。従って、コーマ落ち率の選択には極めて大きな意味がある。
【0004】
ゆえにコーミング過程時には、繊維の選択が正確に実施され得るように、注意が払われねばならない。
【0005】
コーミング機械もしくはコーミング機械のコーミング装置を、相応なコーミングレベルに調節できるようにするために、種々様々な方法が公知である。
【0006】
1つの方法は、下側のニッパプレートのニッパリップと裂断ローラにクランプポイントとの間における間隔を示す、設定間隔(Ecartement)の調節である。大きな設定間隔は、高いコーマ落ち率を生じ、これに対して小さな設定間隔では低いコーマ落ち率が得られる。この設定間隔を調節するために、ニッパ軸における連結部が回転させられ、これによってニッパの振動運動の位置もしくは旋回動作が、相応の値だけ変化させられ、これにより調節に応じて設定間隔は大きく又は小さくなる。さらに、コーマ落ち率に供給ローラの供給形式の選択によって影響を及ぼすことも可能である。供給量がニッパの前進(前進供給)時に供給ローラから供給される場合、コーマ落ち率は、コーミングがニッパの後退(後退供給)時に行われるよりも低くなる。後退供給の場合には、コーミング除去時にコームシリンダの前にほぼすべての供給量が位置しているので、コーミング除去される割合も、前進供給時に比べて大きくなる。
【0007】
また混合供給を行うことも公知であり、この場合供給量の一部が前進時に供給され、残りの部分が後退時に供給される。さらに混合形態も可能であり、この場合コーミング除去は、供給形式及び設定間隔の選択によって調節される。
【0008】
上に述べた公知の処理方法では、部分的に良好な結果を得ることができるが、しかしながらそれでも常に短繊維が、コーミングされたフリース内に達してしまい、このような短繊維は、所望の品質を不都合に損なうことになる。このような状況は特に、コーマ落ち率を高めるために、大きな設定間隔によって作業を行う必要がある場合に発生する。作業ローラのクランプポイントとニッパとの間の間隔が大きくなるや否や、裂断間隔も、つまり裂断過程中に延伸過程に関与する繊維材料の長さも大きくなる。この長さが大きければ大きいほど、当該領域に位置する浮遊する(短い)繊維が多くなる。このような浮遊する繊維は、コントロールされない。これによって、これらの繊維が裂断過程(これは、延伸過程と同じことを意味する)時に連行されるのか、又は引き留められて、次のコーミング除去時にコームシリンダによってコーミング除去されるのかが、決定されていない。
【0009】
従って、公開されたEP−1449944A1において提案された装置では、コーミング除去に影響を与えるために、ウェブが、下側のニッパプレートの上において供給ローラの供給開口とニッパリップのクランク箇所との間に取り付けられている。この装置によって、設定間隔を変化させることなしに、コーミング除去に影響を与えることができる。コーミング除去作用もしくはコーマ落ち率を変化させるために、ウェブは、別の幾何学形状を有する別のウェブと交換することができる。つまりウェブは取外し可能に取り付けられている。この刊行物に基づいて公知の構成では、ウェブはサイドガイドの領域に貫通孔を備えていて、これらの貫通孔を貫いてねじが突出しており、これらのねじによって、ウェブは、下側のニッパプレートにねじ固定される。しかしながらウェブの中央領域には、ニッパプレートとの固定装置が設けられていない。汎用のニッパプレートは、300mmまでの幅を有することがあるので、ウェブが中央領域においてニッパプレート上に完全に接触載置されず、そこに繊維材料が集積してしまうというおそれがある。そこで、このような問題を排除するために、ウェブは当該中央領域において追加的にニッパプレートと接着されている。しかしながらこれによって、取外しの可能性が制限されて悪化することになる。ウェブの取外し及び組付けのために、ニッパユニット(単にニッパと呼ぶ)の前側領域に存在する空間は、極めて制限されているので、ねじ結合装置を取り付けるための接近可能性もまた、極めて制限されている。すなわち、1つの機械においてウェブを交換するために要する時間は、公知の解決策によって場合によっては著しく長くなり、ひいては生産性の損失を招く。
【0010】
ゆえに本発明の課題は、公知の構成における欠点を排除して、特別な補助手段なしに迅速に取外し及び組付けができ、しかも下側のニッパプレートにおける全長にわたる最適な接触が保証される、ウェブを提供することである。
【0011】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べたニッパユニットにおいて、ウェブは、少なくとも部分的に強磁性材料から成る下側のニッパプレートの支持面に向かい合って位置する載設面の領域に、磁性部材を有し、ウェブの両端部の領域に、該ウェブを下側のニッパプレートにおける支持面の平面において形状結合式に固定する手段が設けられているようにした。
【0012】
このように構成されていると、一方では、
ウェブを、取付け時に形状結合式のエレメントを介して正確かつ迅速に位置決めすることができ、かつ他方では、ウェブをこの位置において磁性部材によって、強磁性の下側のニッパプレートにしっかりと保持することができる。この場合磁性部材は、ウェブの全長にわたって(つまりウェブの中央領域においても)取り付けられている複数の部材から成っていてよい。これによって、下側のニッパプレートにおけるウェブの接触は該ウェブの全長にわたって保証される。下側のニッパプレートは少なくとも、ウェブが組み付けられる領域において、強磁性材料から成っている。
【0013】
本発明の態様ではさらに、磁性部材は、ウェブの長手方向で見て、互いに間隔をおいて配置されていてウェブに固定された複数の磁石から成っている。これによって、例えば往復動するニッパにおいて生じる大きな動的な作用が加えられた場合にも、ウェブを下側のニッパプレートに確実に保持するのに必要な磁石の数を決定することができる。これによってまた、ニッパプレートにおけるウェブの完全な接触を、中央領域においても保証し、ひいては繊維材料の付着を回避することができる。
【0014】
磁石は、好ましくはウェブの凹部に取り付けられている。
【0015】
さらに別の態様では、ウェブは、その両端部の領域に隆起部を有し、該隆起部は、下側のニッパプレートの支持面に向かって延びていて、該下側のニッパプレートの凹部内に進入し、該凹部と共に形状結合式の結合部を形成する。これによってウェブは、その組付け時に隆起部を介して簡単にニッパプレートの凹部内に導かれ、そしてこの位置で形状結合部によって確実に、ニッパプレートに対する取付け位置において固定される。下側のニッパプレートに対して垂直な方向において、ウェブは磁石を介してニッパプレートに保持される。
【0016】
同じ効果を得るために、別の態様では、下側のニッパプレートの支持面は、隆起部を有し、該隆起部は、ウェブの両端部の領域に設けられた凹部内に進入し、該凹部と共に形状結合式の結合部を形成する。この態様は、形状結合式の結合部の逆の固定形式を示すものであって、上に述べたのと同じ効果を有する。
【0017】
ウェブを介して案内される繊維材料を側部において案内するために、本発明の別の態様では、ウェブはその両端部の領域に、該ウェブのガイド面から上方に向かって突出した、繊維材料を案内するためのサイドガイドを備えている。
【0018】
サイドガイド及び隆起部(これはピンとして形成されていてよい)を、ウェブに簡単に固定するために、別の態様では、各サイドガイドは各隆起部に結合されていて、ウェブはこの領域に開口を有し、該開口を貫いて、各隆起部の少なくとも1つの部分領域及び/又は各サイドガイドの少なくとも1つの部分が進入している。「各」隆起部もしくはサイドガイドという概念は、ウェブの各端部に取り付けられたそれぞれ1つの隆起部もしくはサイドガイドに関係する。運転中にウェブがその取付け位置から脱落することを確実に回避するために、本発明の別の態様では、供給ローラはその取り付けられた位置において、下側のニッパプレートとウェブとの形状結合式の結合部の解離が阻止されるように、取り付けられ、もしくは寸法設定されている。これによって、ウェブが運転中に大きな動的な負荷を受けた場合にも、その取付け位置に留まることが保証される。
【0019】
このようなロック作用は、少なくとも1つの側において供給ローラに向かい合って位置するサイドガイドの相応な構成によって得ることができる。
【0020】
この場合の態様では、サイドガイドは、供給ローラに向かい合って位置する側に、各1つの円弧状の面を備えていて、該面は、取付け位置において、供給ローラの周面に対して0.1〜2.5mmの間隔を有する。
【0021】
ウェブは好ましくは、ガイド面の領域に台形形状の横断面を有する。
【0022】
次に図面を参照しながら本発明の別の利点及び実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】公知のコーミング機械のニッパユニットの領域を概略的に示す側面図である。
【
図2】公知の別のコーミング機械のニッパユニットの領域を概略的に示す側面図である。
【
図3】閉鎖位置における、
図1及び
図2に示したニッパユニットに、ウェブを本発明のように取り付けた形態を示す部分図である。
【
図5a】
図5に示したウェブの取付け形態の別の実施形態を示す図である。
【
図5b】
図5のYの方向からウェブを見た図である。
【0024】
図1には、公知のニッパユニット1(以下、単に「ニッパ」と呼ぶ)が示されており、このニッパ1は、クランクアーム2,3を介して旋回運動可能に支持されている。この場合2つのクランクアーム2はそれぞれ、コームシリンダ4の側部において該コームシリンダ4のコームシリンダ軸5に旋回可能に支持されている。コームシリンダ4は、その周囲の一部にコーミングセグメント7を有する。旋回アーム2の他方の端部は、ニッパフレーム8に回動可能に取り付けられている。後方の旋回アーム3(この旋回アームも2つ設けられていてよい)は、ニッパ軸に回動不能に支持されている。旋回アーム3の、反対側に位置する自由端部は、軸9を介して、ニッパフレーム8に回動可能に接続されている。通常、コーミング機械には複数のコーミングヘッドが、互いに並んで位置するように配置されており、この場合各コーミングヘッドは1つのニッパエレメント1を有する。しかしながら図示の例では、ただ1つのニッパユニットにおけるウェブの本発明による固定形態を、図示及び記載する。
【0025】
ニッパ1は主として、ニッパフレーム8に堅固に結合された下側のニッパプレート12と、上側のニッパプレート14(部分的にニッパカッタとも呼ぶ)とから成っており、この上側のニッパプレート14は、2つの旋回アーム15,15′に固定されている。両旋回アーム15,15′は、旋回軸16を介して旋回可能にニッパフレーム8に取り付けられている。旋回アーム15,15′は、各1つのばねストラット18に結合されており、両ばねストラット18は、さらに軸20を介して、駆動される偏心体21に支持されている。処理すべき繊維材料Wの材料流れ方向Fで見て、ニッパ1の下流には裂断ローラ対24が設けられている。この裂断ローラ対24はこの場合、裂断クランプラインKを形成するために、下側の裂断ローラ24aと、この裂断ローラ24aと共働する裂断押圧ローラ24bとから成っている。略示されているトップコーム11は、図示されていない手段によってニッパフレーム8に固定されており、繊維材料Wの端部Eが、後続の裂断ローラ対24のクランプポイントKの方向に、既に存在する繊維フリースVの端部E1の運動によって搬送される場合に、トップコーム11内に繊維材料W(例えばラップ又はスライバ)の繊維タフトFBが引き込まれる。この過程は、
図1に点線で示されている。
【0026】
ニッパ1の内部には、供給ローラ27が回転可能に支持されており、この供給ローラ27は、図示されていない駆動装置に接続されていて、供給されたラップWを部分的に搬送するために、断続的な回転運動を実施する。供給ローラ27は軸28を有し、この軸28を介して供給ローラ27は、両端部において、図示されていない軸受で、ニッパフレーム8の軸受受容部に回転可能に支持される。供給ローラ27の駆動は、上側のニッパプレート14の運動によって制御される公知のラチェット駆動装置を用いて行うことができる。しかしながらまた、供給ローラ27の駆動を、上側のニッパプレート14の運動とは無関係に独立して行うことも可能であり、この場合供給ローラ27の駆動は、例えば、GB−PS933946に示されているように、カム板を用いて行うこともできる。さらにまた、例えばDE−PS231797に記載されているように、この構成において使用されるカム板を、直接コームシリンダ軸に取り付けることも可能である。供給ローラ27の駆動は、ニッパ1の前進又は後退において行うことも、又は前進及び後退において部分的に行うこともできる。供給ローラ27の下流側で、下側のニッパプレート12の供給凹部26とニッパリップ30との間の搬送路において、繊維材料Wは支持面AFを介して案内され、この支持面AFには、後で
図3〜
図5に示すように、ウェブ32を本発明のように取り付けることができる。そのために支持面AFの領域には、複数の孔52(52′)が設けられており、これらの孔52は、繊維材料Wの搬送路の外側に位置していて、ウェブ32を収容するために設けられている。
図5の実施形態から分かるように、これらの孔は袋穴52として形成されていても又は貫通孔52′として形成されていてもよい。貫通孔52′には、ウェブ32が取り付けられていない場合に、孔の領域に汚れが集積し得ないという利点がある。
【0027】
コーミングは、閉鎖されたニッパ1において、このニッパ1が後方位置(図示せず)に位置している場合に行われる。この場合繊維材料(繊維タフトFBとも呼ぶ)の、ニッパから突出している端部は、コームシリンダ4のコーミングセグメント7の領域に達し、コーミングされる。
【0028】
コーミング過程後に、ニッパ1は、最前位の位置に旋回させられ、この際に同時に開放される。この場合、繊維タフトFBのコーミングされた端部は、予め部分的に戻し搬送された繊維フリースVの端部の上に載せられ、次いで繊維フリースの搬送運動によって、裂断ローラ24のクランプポイントKに引き渡される。上記運動経過中に、繊維タフトFBはトップコーム11のニードルの領域に達する。裂断ローラ24の回転運動によって、クランプポイントKに達する繊維タフトFBの繊維は、繊維タフトFBから引き出されて、フリースVの端部に継ぎ合わせられる。繊維フリースは次いで公知の装置を介して、スライバにまとめられ、さらに搬送される。可能な限り僅かなコントロールされない浮遊の繊維しか裂断過程中に関与し得ないようにするために、裂断距離(裂断ローラのクランプポイントKと供給凹部26におけるクランプ箇所との間の間隔)を可能な限り小さく保つことが必要である。その結果、クランプポイントKと最前位におけるニッパリップ30との間の間隔Ec(設定間隔)も、可能な限り小さく保たれることが望ましい。このことは、既にEP−1449944A1に開示されているように、ガイドエレメント(ウェブ32)の使用によって達成することができる。
【0029】
図2には、コーミング機械のコーミングヘッドのニッパユニット1(ニッパ)の別の公知の構成が示されており、この場合
図1の例とは異なり、ニッパフレーム8aは下側のニッパプレート12と共に、機械フレームMSに位置固定に取り付けられている。上側のニッパプレート14は、2つの旋回アーム15,15′に固定されており、両旋回アーム15,15′は、軸16を中心にして旋回可能にニッパフレーム8に取り付けられている。上側のニッパプレート14の旋回運動は、アーム45によって制御され、このアーム45は旋回軸46を介して各旋回アーム15;15′に枢着される。それぞれのアーム45は反対の側に、回転可能に支持されたローラ47を有し、このローラ47は、カム板KSの外周部UFに載っている。カム板KSは、コームシリンダ4aのコームシリンダ軸5に回動不能に取り付けられている。コームシリンダ4の各端部に1つずつ設けられているローラ47は、旋回アーム15,15′に対して作用する押圧エレメントを介して、カム板KSの各外周部UFにおける接触状態を保たれる。各旋回アーム15,15′のための押圧エレメントとして、図示の例では、円筒形をしたベローズ40が設けられており、このベローズ40は、図示のように、圧力源Pに接続されている。各旋回アーム15,15′に旋回可能に取り付けられたベローズ40は、反対側の端部で機械フレームMSに、又は図示されていない旋回フレームに固定されていてよい。このような装置は、例えば、公開されたWO2010/012113A1に開示されている。この刊行物には、
図2の例にも示すように、コームシリンダ4aが開示されており、この場合、コームシリンダの周囲に取り付けられたコーミングセグメント7に加えて、裂断セグメント37が固定されており、この裂断セグメント37は、移動可能な裂断ローラ22と共に、クランプラインK1を形成することができる。裂断ローラ22はこの場合、二重矢印によって略示されているように、コームシリンダ軸5の方向で移動可能に取り付けられている軸23を介して回転可能に支持されている。
【0030】
裂断ローラ22と下側のニッパプレート12のニッパリップ30との間には、トップコーム11が取り付けられている。
【0031】
図2に示した位置において、ニッパ1は開放されており、この場合上側のニッパプレート14のニッパリップ31は、下側のニッパプレート12のニッパリップ30から持ち上げられていて、ニッパから突出していて既にコーミングされた繊維タフトFBの端部Eは、裂断セグメント37と裂断ローラ22との間のクランプラインK1において保持される。裂断ローラ22は、図示されていない押圧手段を介して、裂断セグメント37の周面に向かって押圧され、摩擦によって裂断セグメント37の運動により回転させられる。この裂断過程中、供給ローラ27を介したさらなる繊維材料W(ラップウェブ又はスライバ)の供給は中断されているので、クランプ箇所K1を介して、供給された繊維材料Wの端部からいわゆる繊維パケット(Faserpaket)が引き出される。すなわち、供給ローラ27と該供給ローラ27に対応配設された供給凹部26との領域におけるクランプ箇所によって保持されないすべての繊維は、クランプ箇所K1を介して引き出される。この裂断過程時に、繊維材料はトップコーム11の針布によって引っ張られる。供給ローラ27と下側のニッパプレート12のニッパリップ30との間の経路において、繊維材料Wは(
図1に示した例におけるように)支持面AFを介して案内され、この支持面AFには、繊維材料の搬送路の外側に位置する両端部に、ウェブ32を収容するために働く孔(凹部)52,52′が設けられており、これについては、後で
図3〜
図5を参照しながらさらに詳しく記載する。
【0032】
繊維材料の端部から引き出された繊維パケットは、回転可能に支持された後続のスクリーンドラム42に向かって移送され、このスクリーンドラム42には、管路Lを介して内室において、負圧源Uから負圧が供給される。スクリーンドラム42の領域において空気循環を行うために、スクリーンドラム42の内部にはカバーエレメント43が設けられている。生ぜしめられた負圧の作用下における継ぎ合わせ過程時に、引き出された繊維パケットの端部は、スクリーンドラム42に位置する繊維フリースVの端部の上に載せられ、この繊維フリースVの端部と重ねられる。このようにして形成されたフリースは、スクリーンドラム42の回転運動(矢印参照)によって、引込みローラAWの領域に達する。この引込みローラAWの領域から、繊維フリースVはスクリーンドラム42より解離され、フリースホッパVTに供給され、このフリースホッパVTにおいてフリースVはスライバにまとめられる。このスライバは、後続のカレンダロール対KWを介して搬送テーブルT上に搬出され、この搬送テーブルTにおいてスライバは、隣接したコーミングユニット(図示せず)の他のスライバと共に、後続のドラフト装置に供給される。
【0033】
図3には、閉鎖位置におけるニッパ1(
図1又は
図2参照)の、下側のニッパプレート12のニッパリップ30の前側領域が、拡大して示されている。供給ローラ27の下にニッパプレート12は、供給ローラ27と共働する供給凹部26を有し、これによって、貯蔵部(ラップ巻成体、ケンス)から供給された繊維材料Wを、前方のニッパリップ30に向かって搬送することができる。
【0034】
繊維材料Wのこの搬送は、供給ローラ27の駆動装置(図示せず)による断続的な駆動によって行われる。
【0035】
供給凹部26に直に接続して、台形横断面を有するウェブ32が下側のニッパプレート12に取り付けられており、このニッパプレート12は、材料流れ方向Fに対して横方向に、繊維材料Wの幅Bにわたって延在している。高さHを有するウェブ32は、ガイド面35を有し、このガイド面35を介して、供給ローラ27によって供給凹部26から搬出された繊維材料Wが案内され、次いでニッパリップ30のクランプ領域に達する。繊維材料Wを側部において案内するために、ガイド面35の上にはウェブ32の両端部にサイドガイドSF1,SF2が取り付けられている(特に、
図3の視線方向Xで見た図である
図5参照)。例えば
図3に示すようなニッパ1の閉鎖位置において、下側のニッパプレート12のニッパリップ30は、上側のニッパプレート14(ニッパカッタとも呼ぶ)のニッパリップ31と共に、繊維材料Wのための2つのクランプ箇所KU,KOを形成する。しかしながらまた、ただ1つのクランプ箇所を設けることも可能である。下側のクランプ箇所KUから突出している繊維タフトFBは、コーミングセグメント7の針布Gの作用領域に達し、コーミングされる。すなわち、クランプ箇所KUによってクランプされないすべての構成部分、特に短繊維は、コーミングセグメント7によって繊維タフトFBからコーミング除去されて、下方に向かって吸込み通路(図示せず)に供給される。この場合、繊維タフトFBがニッパ1の下側のニップ箇所KUから突出している長さを示す寸法aは、コーミング除去されるパーセント、つまりコーマ落ち率のための基準である。すなわちこの寸法aが大きくなればなるほど、より多くの繊維がもはやクランプ箇所KUによってクランプされず、これによりコーミングセグメント7によってコーミングされる。コーミングの程度は、寸法aが小さいほど小さくなる。寸法a、ひいてはコーミングされる程度は、間隔Ecが等しい場合には、ウェブ32の高さHの選択によって決定することができる。間隔Ecは、下側のニッパプレート12のニッパリップ30と後続の裂断クランプラインK;K1との間の間隔寸法である。
図1に示すような往復動するニッパが使用される場合には、間隔Ecはニッパの旋回運動の変化によって影響を受けることがある。
図2の構成例では、ニッパリップ30と裂断クランプラインK1との間における間隔Ecは、ほぼ一定であり、裂断ローラの移動によってしか変化し得ない。ウェブ32の簡単な交換によって、コーミング除去の程度を変化させることができる。
【0036】
ウェブ32のガイド面35の上には、互いに間隔をおいて2つのガイドSF1,SF2が取り付けられており、両ガイドSF1,SF2は、互いに向かい合って位置する円弧状に成形されたガイド面FFで、繊維材料Wをその幅Bで側部において案内する。側部のガイドSF1,SF2の取付け形態は、
図4及び
図5に示されている。ウェブ32はその両端部の領域に、各1つの孔53を備えており、この孔53にピン54が固定されている。固定は圧入又は接着によって行うことができる。ピン54(例えば円形横断面を有する)は、その小径のアタッチメント55で、ウェブ32のガイド面35を越えて突出している。このアタッチメント55は、各ガイドSF1,SF2に、圧入又は接着によって堅固に結合されている。もちろん、別の固定形式も可能である。取り付けられた状態において下側のニッパプレート12の支持面AFに接触している、ウェブ32の下面SUを起点として、ピン54は寸法bだけ下面SUから突出している。ピン54の、下面SUから突出しているこの部分によって、ウェブ32の取付け時に、下側のニッパプレート12に設けられた凹部52との嵌合部のような形状結合式の結合部が形成される。ピン54及び凹部52の横断面形状は、固定された形状結合部を保証するために、互いに相応して形成されかつ寸法設定されている。図示の例では、ピン54は円形横断面を有している。この場合凹部は袋穴52として形成されていても又は貫通孔52′として形成されていてもよい。しかしながら凹部52及びピン54の寸法は、この領域における手による取外し及び取付けが可能であるように決定することもできる。場合によってはピン54は、面取り部54′(
図5)を備えていてもよく、このようになっていると、凹部52(52′)へのピンの挿入を容易にすることができる。ウェブ32がその下面SUで完全に下側のニッパプレート12の支持面AFに接触している場合には、袋穴52の使用時には、袋穴52に進入するピン54の端部は、袋穴52の端部に対してさらに僅かな間隔を有する必要がある。これは、
図5の実施形態に略示されている。これによってニッパプレート12におけるウェブ32の完全な接触が保証される。
【0037】
ガイドSF1,SF2の間には、間隔mをおいて磁石50が、ウェブ32の下面SUの領域において凹部49に設けられている。このことは特に、
図5bからも見て取ることができ、この場合磁石50は例えば円板の形に形成されている。この場合磁石50の下面は正確にウェブ32の下面SUの平面に位置しているか、又は0.05〜0.5mmの間の小さな寸法で内方に向かってずらされている。
【0038】
凹部49内に圧入又は接着されたこれらの磁石50を介して、磁力によってウェブ32はその下面SUで、下側のニッパプレート12の支持面AFに確実かつ正確に接触保持される。また、ウェブを射出成形品から製造するような解決策も可能であり、この場合製造時に磁石は直接一緒に注型されて組み込まれる。
【0039】
図3及び
図4からさらに分かるように、ガイドSF1,SF2は、相応に円弧状に成形された側面56を有し、これらの側面56は、ウェブ32及び供給ローラ27の取り付けられた状態において、供給ローラ27の周面USに対して0.1〜2.5mmの小さな間隔dを有する。
【0040】
このような寸法関係で構成もしくは対応配設することで、ウェブ32が意図せずにその取り付けられた位置から解離し得ること、及びコーミング機械の他のエレメントの領域(例えばコームシリンダ4のコーミングセグメント7の領域)に達することが阻止される。もしウェブ32が解離したり、コーミングセグメント7の領域に達したりすると、場合によっては、コーミング機械における大きな損傷が惹起され、長い停止時間を余儀なくされる。しかしながらこのようなことは、上に述べた構成によって回避される。
図4から分かるように、ウェブ32は最大で、破線で示されたポジションに移動することができる。この位置において側面56は、供給ローラ27の周面USに当接し、これによってウェブ32のさらなる運動はロックもしくは阻止される。ピン54はこの位置においてなお寸法cだけ、下側のニッパプレート12の凹部52内に進入しており、これによって支持面AFの平面に沿ったウェブ32の水平方向移動も阻止される。従って、供給ローラ27が予め取り外されて除去された場合に初めて、ウェブ32の取外しを行うことができる。
【0041】
図5aには別の実施形態が示されており、この実施形態では、下側のニッパプレート12にウェブ32を固定するために、ウェブ32はその両端部(1つの端部だけを図示)の領域に、各1つの貫通孔65を備えている。下側のニッパプレート12には凹部63(孔)に各1つのピン60が固定されており、このピン60は、ウェブ32の組付けの前に各貫通孔65に向かい合って位置している。組付けを簡単にするために、ピン60は面取り部61を備えている。
図5及び
図5bの実施形態におけると同様に、複数の磁石50が互いに間隔mをおいて取り付けられている。各サイドガイド(1つだけを図示)は、貫通孔65に対してずらされて、ねじ70を介してウェブ32のガイド面35に固定される。ねじ70はこの場合、ウェブ32の段付けされた孔69を貫いて突出し、各ガイドSF1,SF2のねじ山付孔67にねじ込まれている。この実施形態では、組付け過程中における良好な視界が、ピン60と貫通孔65との間の形状結合式の結合部の領域において得られ、有利である。すなわち、上方に向かって開放した貫通孔65によって、この貫通孔65とピン60とが組付け過程中に同軸的に向かい合っているのか否かを、良好に認識することができる。またサイドガイドSF1,SF2は、
図4及び
図5の実施形態におけるように同じ形状を有している。本発明によって提案されたウェブ32の構成によって、必要な場合に、コーミング機械の各コーミングヘッドにおけるウェブ32を、簡単かつ迅速に、特殊な工具なしに交換することができる。また提案された組付け形態によって、ウェブ32がその全長において、高いニップ数(Kammspielzahl)による高い動的な負荷時にも、確実かつ完全に下側のニッパプレート12の支持面AFにおいて支持されることが、保証される。