(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粉末材料は少なくとも2種の異なる粉末の混合物であり、一方の少なくとも1種の粉末は成分Aであり、他方の少なくとも1種の粉末は成分Bであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
前記ポリマーは、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリスチレン、アクリラート、メタクリラート及び/又はスチレンからなる共重合体、ポリアクリルニトリル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、非晶質又は部分結晶質のポリ−α−オレフィン、EPDM、EPM、水素化された又は水素化されていないポリブタジエン、ABS、SBR、ポリシロキサン及び/又はこれらのポリマーのブロックコポリマー、櫛型コポリマー及び/又は星型コポリマーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ディールス・アルダー反応のために適した官能基を有する2種又はそれ以上の成分から構成されているポリマーからなる粉末、又は相互にディールス・アルダー反応を行いかつ逆ディールス・アルダー反応をすることができる上記反応成分のそれぞれ少なくとも1種の粉末からなる粉末混合物(ドライブレンド)の、ラピッド・プロトタイピング法における使用に関する。
【0002】
更に、本発明は、これらのポリマー粉末を使用しながら積層式に作業し、粉末層の選択的領域を溶融させる成形方法により製造された成形品に関する。この場合、予め一層ごとに溶融された領域を冷却及び固化させた後に、この成形品は粉末床から取り出すことができる。
【0003】
先行技術
プロトタイプの迅速な準備は、最近しばしば課せられる課題である。特に適しているのは、粉末状の原材料を基礎として作業し、この際、積層式に、選択的な溶融及び固化によって所望の構造体を製造するラピッド・プロトタイピング法である。その場合、オーバーハング部及びアンダーカット部での支持構造を省くことができる、それというのも、この溶融される領域を取り囲む粉末床が、十分な支持作用を提供するからである。同様に、支持を取り除くための後加工は不要となる。前記方法は、小規模生産品の製造にも適する。この積層式に作業される方法の選択性は、この場合、例えばサセプタ、吸収剤、阻害剤の塗工によって又は遮蔽によって又はフォーカスされたエネルギー導入によって、例えばレーザー光線によって、又はガラス繊維によって行うことができる。このエネルギー導入は、電磁線によって達成される。
【0004】
ラピッド・プロトタイピングためにとりわけ良好に適した方法は、選択的レーザー焼結(selektive Laser-Sinter; SLS)である。この方法では、プラスチック粉末がチャンバ内で選択的に短時間、レーザー光線で露光され、これにより、レーザー光線に当たる粉末粒子が溶融する。それらの溶融した粒子同士は互いに混じり合い、そして迅速に凝固して再びひとかたまりの固体となる。常に新しく塗工された層を繰り返し露光することにより、この方法を用いて、立体物体を簡単かつ迅速に製造することができる。
【0005】
粉末状のポリマーから成形品を製造するためのレーザー焼結(ラピッド・プロトタイピング)の方法は、特許文献US6136948及びWO96/06881に詳しく説明されている。多くの熱可塑性ポリマー及びコポリマー、例えばポリアセタート、ポリプロピレン、ポリエチレン、イオノマー及びポリアミドがこの用途のために特許の保護が請求されている。
【0006】
その他の良好に適した方法は、例えばWO01/38061に記載されたSIV法、又はEP1015214に記載された方法である。この両方の方法は、粉末の溶融のために平面的な赤外線加熱で作業する。溶融の選択性は、第一の方法の場合には抑制剤の適用により、第二の方法の場合にはマスクを通じて達成される。更なる方法は、DE10311438に記載されている。前記方法では、溶融のために必要なエネルギーを、マイクロ波発生器により導入し、この選択性をサセプタの塗工により達成する。他の適切な方法は、例えばDE102004012682.8に記載されているような、粉末中に含まれている吸収剤を用いるか又はインクジェット法で塗布される吸収剤を用いて作業する方法である。
【0007】
上述のラピッド・プロトタイピング法又はラピッド・マニュファクチャリング法(RP法又はRM法)のために、粉末状の基材、特に熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアミド、又はこれらの混合物を使用することができる。
【0008】
DE19747309は、高められた溶融温度及び高められた融解エンタルピーを有するポリアミド12粉末の使用を記載していて、このポリアミド12粉末は、ラウリンラクタムの開環及び引き続く重縮合により製造されたポリアミドの再沈殿により得られる。これはポリアミド12である。
【0009】
DE102004010160A1には、成形法でのコポリマーを有するポリマー粉末の使用が記載されている。これは、極めて異なるモノマー構成単位からなる熱可塑性の統計コポリマーであり、この場合、ラウリンラクタムを基礎とする系が要点である。コポリエステルについては、例えば、特別な組成は述べることはないが、モノマーが挙げられる。これらのコポリマーは、1〜10g/10minのMFR値を有する。
【0010】
熱可塑性ポリマーの加工の際に、いわゆるカール(Curl)を避けるために、造形室又は造形チャンバ中の温度をできる限り均質に、このポリマーの材料の融点を僅かに下回る水準に保持しなければならないことが欠点である。非晶質のポリマーの場合には、ガラス転移温度を僅かに下回る温度を指しており、部分結晶性のポリマーの場合には、クリスタリット融点を僅かに下回る温度を指している。カール(Curl)は、既に溶融された領域の歪みを意味し、この歪みは少なくとも部分的に造形平面から飛び出すことを生じさせる。これにより、次の粉末層を例えばブレード又はローラで塗工する際に、この飛び出す領域は位置ずれするか又はもぎ取られてしまう危険が生じる。これは、このプロセスにとって、造形室温度を全体で比較的高い水準に保たなければならず、かつこのような方法によって製造された成形品の冷却及び結晶化によって生じる体積変化はかなりに及ぶという結果になる。特に、この冷却プロセスによって、この「ラピッド」法にとっては相当な期間が必要とされる。
【0011】
特に部分結晶性の熱可塑性プラスチックの欠点は、多くの場合に、冷却の間の体積の変化である。確かに、極めて手間がかかりかつ正確な温度管理によって個々の層の体積変化を十分に調節する可能性が生じるが、随意に構成された立体の成形品の結晶化に起因する体積変化は均一ではない。例えば、結晶構造の発達は成形品の冷却速度に依存し、この結晶構造は異なる厚さの箇所又は曲がり角が多い箇所では、成形品の他の箇所とは異なる。
【0012】
特に非晶質の熱可塑性ポリマーの欠点は、この融点又はガラス転移温度を明らかに上回る場合に融合が可能となるほどに粘度が高いことである。従って、頻繁に、非晶質の熱可塑性プラスチックを用いて上述の方法により製造された成形品は比較的多孔質であり、これは焼結ネックを形成しているだけであり、かつ個々の粉末粒子はこの成形品中でなおも認識できる。しかしながら、粘度低下のためにエネルギー導入を高める場合には、型崩れの問題が更に加わる;例えば溶融されるべき領域からその周辺領域への伝熱により、この成形品の輪郭が不鮮明になる。
【0013】
熱硬化性ポリマー粉末又はエラストマーのポリマー粉末は、熱可塑性ポリマー粉末とは反対に加工できない。溶融の間に架橋する系もまた知られていない。このような粉末材料は、特に、この架橋が個々の粒子内では十分であるが、粒子間ではあまり行われないであろうという欠点を有する。このことは、しかしながら、この成形品の安定性を低下させるだけではなく、ラピッド・プロトタイピングにより製造された成形品が、粒状の表面になる傾向を増大させかねない。更に、このような成形品の架橋した材料はリサイクル可能とはならない。
【0014】
この上位概念「クリックケミストリー(Click Chemie)」のもとで、数年来、特にアカデミックの領域でブロックコポリマーを構築する方法が研究されている。この場合、結合可能な末端基を有する2種の異なるホモポリマーを相互に組合せ、例えばディールス・アルダー反応、ディールス・アルダー類縁反応又は他の付加環化により相互に結合させる。この反応の目的は、熱的に安定で、線状及び場合により高分子量のポリマー鎖を構築することである。Inglis et al.著(Macromolecules 2010, 43, p.33-36)には、例えば、この目的のために、ATRPによって製造されたポリマーから得られるシクロペンタジエニル末端基を有するポリマーを記載している。このシクロペンタジエン基は、末端基として電子不足のジチオエステルを有するポリマーとヘテロ・ディールス・アルダー反応で極めて迅速に反応することができる(Inglis et al.著 Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, p. 2411-2414)。
【0015】
ジヒドロチオピラン基を単官能性ポリマーとヘテロ・ディールス・アルダー反応によって結合させるための単官能性RAFTポリマーの使用は、Sinnwell et al.著(Chem. Comm. 2008, 2052-2054)に見られる。この方法を用いて、ABジブロックコポリマーが実現される。RAFT重合により存在するジチオエステル基及びジエニル末端基を有するABブロックコポリマーを合成するためのこのヘテロ・ディールス・アルダー結合の迅速なバリエーションは、Inglis et al.著(Angew.Chem.Int.Ed. 2009, 48, p.2411-14)及びInglis et al.著(Macromol. Rapd Commun. 2009, 30, p.1792-98)に記載されている。マルチアーム星形ポリマーの同様の製造が、Sinnwell et al.著(J.Pol.Sci.: Part A: Pol.Chem. 2009, 47, p.2207-13)に記載されている。
【0016】
US 6,933,361には、簡単に修復可能な透明な成形品を製造するための系が記載されている。この系は2種の多官能性モノマーからなり、これらのモノマーはディールス・アルダー反応によって重合して高密度の網目構造になる。この場合、一方の官能基はマレイン酸イミドであり、他方の官能基はフランである。このような高密度の網目構造の熱的な接続は、その修復のために利用される。この架橋は100℃より高い温度で行われる。部分的な逆反応は更に高い温度で行われる。
【0017】
課題
本発明の課題は、先行技術を考慮して、極めて良好な、特に平滑な表面像を有する成形品を生じさせる、ラピッド・プロトタイピング法のための、特にレーザー焼結法のための粉末材料を提供することであった。
【0018】
更に、ラピッド・プロトタイピングによって製造された成形品は十分な安定性を有するべきである。
【0019】
更に、この成形品は、粉末材料の再生のもとでリサイクル可能であるべきである。特に、この材料の再利用性は、例えば成形品の粉砕に求められた。
【0020】
更に、レーザー焼結法による成形品の製造のための粉末材料の使用は、溶融された状態で低い粘度を有するべきである。
【0021】
明確には挙げられてない更なる課題は、本発明の明細書、実施例及び特許請求の範囲から明らかにすることができる。
【0022】
解決策
上記課題は、ラピッド・プロトタイピング法、特に選択的レーザー焼結法(SLS)のための、ディールス・アルダー反応又はヘテロ・ディールス・アルダー反応することができ、かつこれらの反応を実施した後に逆ディールス・アルダー反応又は逆ヘテロ・ディールス・アルダー反応することができる新規種類の粉末材料を提供することにより解決された。
【0023】
本発明による方法により、成形品の内で架橋された構造からなる成形品が製造される。この場合、架橋は当初の粉末の粒界を越えても行われる。
【0024】
本発明は、特に、可逆的に互いに結合したオリゴマー又はモノマーからなるポリマー粉末に関し、その際、生じたポリマーの結合又は架橋は(ヘテロ)ディールス・アルダー反応によって生じる。この温度が電磁エネルギーの導入により逆(ヘテロ)ディールス・アルダー反応のために必要な限界を超える場合、この当初に架橋された粉末は再び個々の成分に分解され、流動性になり、かつ冷却時に新たな架橋箇所を形成する。それにより、かつての粉末の粒界を越えて良好な架橋も達成され、所望な成形品が形成される。
【0025】
詳細には、前記課題は新規種類のレーザー焼結法により解決される。この方法の場合に、架橋された粉末材料が使用される。この粉末材料は、少なくとも2つのジエノフィル二重結合(dienophilen Doppelbindungen)を有する成分Aと、(ヘテロ)ディールス・アルダー反応することができる少なくとも2つのジエン官能基を有する化合物Bを有する。この場合、これらの両方の成分A又はBの少なくとも一方は、2よりも多いそれぞれの官能基を有する。この粉末材料は、第1の方法工程においてディールス・アルダー反応又はヘテロ・ディールス・アルダー反応によって、好ましくは室温である温度1で架橋される。第2の方法工程において、この架橋されたポリマー粉末は粉末床の形で提供され、引き続き第3の方法工程においてこの粉末材料の架橋は、温度1よりも高い温度2で選択的に、少なくとも50%が再び解除される。特に、この粉末材料は温度の導入後に流動性になり、好ましくは液状になり、特に好ましい。
【0026】
第4の方法工程において、この粉末材料は温度2の導入後に再び冷却される。この場合、好ましくは室温に冷却される。その際、流動性であった粉末材料は固化して成形品になる。第5の方法工程において、この成形品は離型されかつ清浄化される。この清浄化は、圧縮空気、水又は溶剤を用いて行うことができる。
【0027】
これとは別の、本発明の好ましい実施態様の場合には、成形品を粉砕によって再び粉末材料に加工することができる。この場合に新たに得られた粉末材料は、次いで上記の方法で再び使用可能である。
【0028】
方法工程3での温度2は、多様な方法様式で、選択的に、この存在する粉末材料内へ導入することができる。この場合、この温度上昇は粉末材料の狭く限定された領域に適用できることが重要である。一実施態様の場合には、この温度上昇は電磁線によって行われる。特に好ましい実施態様の場合には、温度上昇のためのエネルギーはレーザー光線の形で導入される。
【0029】
この方法の他の態様の場合には、この粉末床をこの方法の間に、特に粉末床として提供した後でかつ方法工程3の前に、温度1と温度3との間にある温度3に温度調節される。このように、一方で方法工程3において迅速かつ選択的な流動性が保証される。他方で、より平滑でかつ視覚的に改善された表面構造を有する成形品が得られる。好ましくは、この温度3は、この粉末材料が流動性となる温度を5〜20℃下回る。
【0030】
温度3は、更に、温度2の冷却後でも意味がある。ジエン−ジエノフィルペアに依存して、この粉末床は方法工程3の後にも加熱しなければならず、それによりこのディールス・アルダー反応をこの溶融後に再び許容可能な時間で行うことができかつこの架橋箇所は再び結合される。例えば、フラン/ビスマレイミド反応ペアについては、この粉末床は約100℃に保持するのが好ましい。ピリジルジチオエステル/シクロペンタジエン反応ペアについては、高められた温度は必要ない。
【0031】
温度2は、流動性が得られる温度を、好ましくは少なくとも5℃越えている、好ましくは少なくとも10℃越えている、特に好ましくは少なくとも25℃越えている。一般に、温度2は、使用された粉末材料の成分の分解温度を少なくとも5℃下回っている。温度1は、逆反応が重要な程度で行われずに、ディールス・アルダー反応が成分A及びBの間で行われる温度である。温度1は、0〜80℃の間にあることができ、好ましくは温度1は室温である。
【0032】
この粉末材料の液化の際又は流動性の達成の際に、逆(ヘテロ)ディールス・アルダー温度が重要であるだけでなく、ポリマーを使用する場合に、このポリマーの軟化温度、つまり使用されるポリマーの溶融温度又はガラス転移温度も重要である。温度2は、必然的に、使用されたポリマーの成分の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最良では全ての使用されたポリマーの成分の軟化温度を上回る。
【0033】
本発明による粉末材料は、好ましくは全体の成分の一緒の溶融(その際、(ヘテロ)ディールス・アルダー反応が行われる)、引き続き冷却及び粉砕、噴霧乾燥又は噴霧により製造される。噴霧の場合に、その際、まだ温かい反応混合物が使用され、この噴霧の間に冷却される。
【0034】
本発明により使用された粉末材料は、基本的に2つの成分から構成されていて、これらの成分はそれぞれ1つ又はそれ以上の二官能性又は多官能性のオリゴマー又はモノマーであることができる。この第1の成分Aは、ディールス・アルダー反応のために適したジエン構造を有し、この第2の成分Bは、対応するジエノフィル構造を有する。
【0035】
成分Aと成分Bとは、粉末材料中でその官能基の比率が最大で40%、好ましくは最大で20%、特に好ましくは最大で10%異なる。さらに特に好ましくは、これら両方の成分は1:1の比率で存在する。
【0036】
特に好ましくは、成分A又はBの少なくとも一方がポリマーである。好ましくは、成分A及びBはそれぞれがポリマーである。別の実施態様の場合には、個々のポリマーが両方の機能を有する。この場合、つまりA及びBは同じポリマーの化合物である。これとは別の他の好ましい実施態様の場合には、この両方の異なる機能のジエン及びジエノフィルは、互いに別々の2つの成分A及びBに分配される。
【0037】
両方の成分A及びBがそれぞれ1つのポリマーである場合には、これらのポリマーは同じポリマーであるか又は異なるポリマーであることができる。同じポリマーである場合には、これらのポリマーは官能基のジエン又はジエノフィルによってのみ区別できるが、ポリマーの残りの構成によっては区別できない。この場合、分子量、多分散性及び粒径は、相互に全く異なっていてもよい。しかしながら、これらの差異は僅かに保つのが好ましい。
【0038】
それぞれジエン及び/又はジエノフィルとして官能化されている使用可能なポリマーは、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリスチレン、アクリラート、メタクリラート及び/又はスチレンからなる共重合体、ポリアクリルニトリル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、非晶質又は部分結晶質のポリ−α−オレフィン、EPDM、EPM、水素化された又は水素化されていないポリブタジエン、ABS、SBR、ポリシロキサン及び/又はこれらのポリマーのブロックコポリマー、櫛型コポリマー及び/又は星型コポリマーであることができる。
【0039】
好ましくは、本発明による方法は、成分A及びBが全体の粉末材料の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも70質量%であることにより特徴付けられる。
【0040】
本発明による方法の極めて特別な実施態様の場合には、この粉末材料は、少なくとも50質量%の無機成分、特に金属粉末を含有する。この実施態様の場合に、成分A及びBは、この金属粉末を閉じたマトリックス中に埋め込むか又は金属粉末を接着するために利用される。こうして、特に安定でかつ金属質の印象を与える成形品が得られる。このような態様は、特に、プロトタイプ製造の際に重要である。
【0041】
本発明の特に好ましい実施態様の場合には、この粉末材料は、少なくとも2つの異なる粉末の混合物として存在する。この場合、少なくとも1つの粉末は成分Aであり、少なくとも1つの他の粉末は成分Bである。このような系は「ドライブレンド」といわれる。このようなドライブレンドは、両方の成分の混合により得ることができる。
【0042】
好ましくは、このようなドライブレンドは、約1:1の成分A対成分Bの官能基比率を有する。この関連でほぼ、少数で存在する成分は、官能基のその物質量において、多数で存在する成分の最大で20%、好ましくは最大で10%、特に好ましくは最大で5%相違することを意味する。
【0043】
ドライブレンド中の個々の成分の軟化温度は、互いに好ましくは30℃より大きく、好ましくは20℃より大きく、特に好ましくは10℃以下より大きく離れていない。こうして、均一でかつ同時の溶融が保証される。
【0044】
成分Aは、少なくとも2つのジエノフィル基を有する化合物、好ましくはポリマーである。一般に化合物Aは次の式を有する:
【化1】
【0045】
Zは電子求引性基であり、R
kは多価有機基又はポリマーであり、nは2〜20の数である。Xは酸素、硫黄、NH基又はCH
2基であり、好ましくは硫黄又はCH
2基である。CH
2基の場合には「通常の」ディールス・アルダー反応が実施される。これらの基及びそれに所属するジエンの選択において、このディールス・アルダー反応が80℃未満の温度で活性化可能であり、より高い反応の場合に逆ディールス・アルダー反応によって再び戻ることが可能であり、このより高い温度は粉末材料中に含まれる成分の分解温度よりもできる限り下にあることだけが重要である。
【0046】
Zが硫黄原子である場合には、相応してヘテロ・ディールス・アルダー反応及び逆ヘテロ・ディールス・アルダー反応が実施される。このためには、ディールス・アルダー成分について上記した条件と同じ条件が当てはまる。
【0047】
このジエノフィルが炭素−硫黄二重結合を有する化合物である場合では、成分Aは次の構造を有する:
【化2】
【0048】
この場合、Zは電子求引性基であり、R
mは多価有機基又はポリマーであり、nは2〜20の数である。このジエノフィルは、この場合、ジチオエステルであるか又はトリチオカーボネートであるのが特に好ましい。
【0049】
好ましい実施態様の場合には、基Zは2−ピリジル基、ホスホリル基又はスルホニル基である。更に、シアノメチル基又はトリフルオロメチル基、並びにC=S二重結合の電子密度が著しく低減され従って迅速なディールス・アルダー反応を行うことができる他の全ての基Zが挙げられる。
【0050】
(逆)へテロ・ディールス・アルダー反応のこの実施態様についてのジエノフィル基の正確な記載は、ドイツ国特許出願第102010002987.9(もしくは国際特許出願PCT/EP2011/050043)にある。この文献において実施例によってこの反応の実施可能性も示されている。
【0051】
成分Bはジエンである。このジエンは次の一般式を有する:
【化3】
【0052】
この場合、SZは電子供与性基であり、この場合、単に水素又は単純なアルキル基であることもできる。R
lは多価有機基又はポリマーであり、nは2〜20の数である。これらの二重結合の炭素原子は、更に他の基を有していてもよい。
【0053】
ジエンとして特に良好に適している公知の基は、例えばフルフリル基、ソルビンアルコールの付加物又はシクロペンタジエニル基である。
【0054】
この粉末材料が粉末混合物の形でジエン官能基を有する粒子と、ジエノフィル官能基を有する粒子との混合物を有する場合には、例えばジエン官能基を有する粒子は、10〜250μm、好ましくは40〜100μm、特に好ましくは45〜80μmの平均粒径を有するのが好ましい。ジエノフィル官能基を有する粒子は、好ましくは、このジエン官能基を有する粒子又は粉末の平均粒径d
50を20%よりも大きく、好ましくは15%よりも大きく、特に好ましくは5%よりも大きく上回らないか又は下回らない粒径を有する。
【0055】
この比率は逆に設定することもできる:ジエノフィル官能基を有する粒子は、例えば好ましくは10〜250μm、好ましくは40〜100μm、特に好ましくは45〜80μmの平均粒径を有する。次に、ジエン官能基を有する粒子は、好ましくは、このジエノフィル官能基を有する粒子又は粉末の平均粒径d
50を20%よりも大きく、好ましくは15%よりも大きく、特に好ましくは5%よりも大きく上回らないか又は下回らない粒径を有する。この粒径は、特にレーザー焼結装置中で許容される構造高さ又は層厚によって制限される。
【0056】
粉末材料が、まずジエン官能基を有する低分子量の又はオリゴマー/ポリマーの構造単位とジエノフィル官能基を有する低分子量の又はオリゴマー/ポリマーの構造単位とから製造された個々の種類の粒子を有する場合には、篩別又は選別を行い、その結果この粒子の平均粒径d
50は、好ましくは10〜250μm、好ましくは40〜100μm、特に好ましくは45〜80μmである。この1種類の粒子は、ディールス・アルダー反応が行なわれた後に、粉砕、噴霧乾燥、又は高めた温度でこのディールス・アルダー反応から直接得られた生成物を冷却しながら噴霧することにより得ることができる。
【0057】
本発明による粉末材料は、流動化助剤又は他の助剤及び/又は充填剤及び/又は顔料を有することができる。このような助剤は、例えば熱分解二酸化ケイ素又は沈降ケイ酸であることができる。熱分解二酸化ケイ素(熱分解ケイ酸)は、例えばAerosil(登録商標)の製品名でEvonik Degussa AGから多様な規格で提供されている。好ましくは、本発明による粉末材料は、このような助剤を存在するポリマーの合計を基準として、つまりジエン官能基を有する成分とジエノフィル官能基を有する成分との合計を基準として、3質量%未満、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.05〜1質量%有する。この充填剤は、例えばガラス粒子、アルミニウム粒子、金属粒子またはセラミック粒子、例えば中実又は中空のガラス球、鋼球又は金属粗粒又は有色顔料、例えば遷移金属酸化物であることができる。
【0058】
この充填剤粒子は、この場合、好ましくはポリマーの粒子、つまりジエン官能基を有する成分とジエノフィル官能基を有する成分とを合わせた粒子より小さいか又はほぼ同じ大きさの平均粒径を有する。好ましくは、充填剤の平均粒径d
50は、ポリマー粒子、つまりジエン官能基を有する成分とジエノフィル官能基を有する成分との粒子の平均粒径d
50を、20%より大きく、好ましくは15%より大きく、更に特に好ましくは5%より大きく上回らないのが好ましい。同様のことが、個々の成分からなるドライブレンドを使用する場合の粒径比率についても当てはまる。この粒径は、特に、レーザー焼結装置中で許容される構造高さ又は層厚によって制限される。
【0059】
好ましくは、本発明による粉末材料、もしくは焼結粉末は、存在するポリマーの合計を基準として、70質量%未満、好ましくは0.001〜60質量%、特に好ましくは0.05〜50質量%、さらに特に好ましくは0.5〜25質量%の充填剤を有し、これらのポリマーの体積割合は、何れの場合にも50体積%を越える。
【0060】
助剤及び/又は充填剤の記載された最高限界値を越える場合、使用された充填剤又は助剤に応じて、このような焼結粉末を用いて製造された成形品の機械特性の明らかな悪化が生じる。更に、越えることにより焼結粉末を通過するレーザー光の自己吸収が損なわれることがあり、その結果、このような粉末は選択的レーザー焼結のためにもはや使用できない。
【0061】
同時に、この方法により得られる、架橋された材料からなる成形品は、本発明の構成要素である。この成形品は、ポリマー粉末からレーザー焼結法によって作成され、かつこの粉末材料は、溶融の間に、少なくとも2つのジエノフィルの二重結合を有する成分と少なくとも2つのジエン官能基を有する成分とを有し、この2つの成分A又はBの少なくとも一方は、それぞれ挙げられた官能基を2つより多く有することを特徴とする。
【0062】
この成形品は、更なるプロセス工程において、後加工、例えば着色又は印刷することができる。この成形品は、例えば、プロトタイプ、(アーキテクチャー)モデル、ツール、景品、鋳型を製造する素材として、例えば自動車製造のための少量生産品において、又は展示品として使用される。
【0063】
実施例
前駆物質1
磁気撹拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた1Lの三頸フラスコ中に装入された、メチルメタクリラート49質量部、n−ブチルアクリラート86質量部及びフルフリルメタクリラート15質量部からなるモノマー混合物53当量に、1,4−ビス(ブロモイソブチリルオキシ)ブタン1当量、酸化銅(I)0.35当量及びペンタメチルジエチレントリアミン0.75当量を添加する。アセトンを、この混合物に、50体積%の溶液500mLが生じる程度で添加する。存在する酸素は、窒素を40分間導通させることにより除去する。その後、この混合物を窒素下で油浴中で60℃に加熱する。3時間の重合の後に、室温に冷却し、空気酸素を導通させることによりこの重合を停止する。銅触媒を、WO2012/007213に記載された方法によって、亜鉛棒に電気化学的に析出させることにより除去する。このフルフリル基を有するポリマーが溶剤の蒸発によって得られる。この分子量を、THF中でPMMA標準に対して校正するGPCによって決定した:M
n=11000g・mol
-1、PDI=1.5。
【0064】
実施例1:
前駆物質1 60質量部に、m−キシリレン−ビスマレインイミド(フルフリル基に対して1.0当量)、テトラヒドロフラン6質量部及びZnCl
2 1質量部を添加し、50℃で2時間撹拌する。その後に、この試料をアルミニウムシャーレに注ぎ込み、真空庫中で50℃で(一晩中)乾燥する。引き続き、得られた固体を所望の粒径に粉砕し、場合により篩別する。
【0065】
この粉末は、記載の通りにレーザー3D印刷機で使用することができる。