(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016914
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】溶融紡糸装置
(51)【国際特許分類】
D01D 7/00 20060101AFI20161013BHJP
D01D 5/16 20060101ALI20161013BHJP
D01D 13/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
D01D7/00 Z
D01D5/16
D01D13/00
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-522022(P2014-522022)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公表番号】特表2014-524991(P2014-524991A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2012063460
(87)【国際公開番号】WO2013013968
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】102011108534.7
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ローラント エスターヴィント
(72)【発明者】
【氏名】エルマー オストヒュース
【審査官】
斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−534825(JP,A)
【文献】
特表2009−524746(JP,A)
【文献】
特表2001−506709(JP,A)
【文献】
米国特許第03844496(US,A)
【文献】
特開2012−214941(JP,A)
【文献】
実開平07−040776(JP,U)
【文献】
特開2010−111964(JP,A)
【文献】
特表2008−531438(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/009498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00 − 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸を押し出すための、一列に配置された複数の紡糸ノズル(2)を有する紡糸装置(1)と、
冷却装置(3)と、
複数のゴデット(17)を有する、前記複数の糸に巻き掛けられる複数のゴデットユニット(16.1,16.2)を少なくとも備えた延伸装置(4)と、
巻取りスピンドル(24.1,24.2)に対して平行な複数の巻取り箇所(23.1−23.4)を有する巻取り装置(22)と、
前記延伸装置(4)と前記巻取り装置(22)との間に配置された少なくとも1つのガイドゴデット(20)とを備え、
前記ゴデットユニット(16.1,16.2)の前記ゴデット(17)と前記巻取り装置(22)の巻取りスピンドル(24.1,24.2)とが、軸方向で同じ方向に向けられている、複数のマルチフィラメント糸を製造する溶融紡糸装置であって、
移行時に前記糸が、糸群(33)の糸走行平面の90°の回転後に、前記ガイドゴデット(20)における一重の部分巻掛けによりガイド可能であるように、前記ガイドゴデット(20)が、前記延伸装置(4)の下方において、前記ゴデットユニット(16.2)の前記ゴデット(17)に対して、軸方向で横向きに配向されていることを特徴とする、複数のマルチフィラメント糸を製造する溶融紡糸装置。
【請求項2】
前記ガイドゴデット(20)は、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の軸方向において前記巻取り箇所(23.1−23.4)の隣であって、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の垂直方向上方に配置されている、請求項1記載の溶融紡糸装置。
【請求項3】
前記ガイドゴデット(20.1)には、同じ方向に向けられた第2のガイドゴデット(20.2)が対応配置されており、該第2のガイドゴデット(20.2)は、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の軸方向において前記巻取り箇所(23.1−23.4)の隣であって、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の垂直方向上方に配置されている、請求項1記載の溶融紡糸装置。
【請求項4】
前記両ガイドゴデット(20.1,20.2)の間に交絡装置(21)が配置されている、請求項3記載の溶融紡糸装置。
【請求項5】
前記巻取り装置(22)は、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の軸方向に対して横方向に相並んで配置された2つの巻取り機(35.1,35.2)により形成されており、該両巻取り機(35.1,35.2)はそれぞれ複数の巻取り箇所(23.1−23.4)を有しており、前記ガイドゴデット(20)は、前記両巻取り機(35.1,35.2)の垂直方向上方であって、前記巻取りスピンドル(24.1,24.2)の軸方向に対して横方向における両巻取り機(35.1,35.2)の間に配置されている、請求項1記載の溶融紡糸装置。
【請求項6】
前記ガイドゴデット(20,20.1)と前記巻取り箇所(23.1−23.4)との間に、複数の変向ローラ(27)が設けられており、該変向ローラ(27)は、複数の巻取り箇所(23.1−23.4)でそれぞれ1つの綾振り装置(28)の直ぐ上流側に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項7】
前記ガイドゴデット(20)と、前記延伸装置(4)の最後のゴデット(17)との間に、ガイド手段(32)が設けられており、該ガイド手段(32)によって、前記糸群(33)の糸走行平面が、90°の範囲の角度だけ変更される、請求項1から6までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項8】
前記紡糸ノズル(2)が、それぞれダブルノズル(8.1,8.2)として形成されており、該ダブルノズル(8.1,8.2)は、それぞれ2本のマルチフィラメント糸を押し出すために形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項9】
前記紡糸ノズル(2)の列が、前記延伸装置(4)の前記ゴデットユニット(16.1,16.2)の軸線に対して横向きに配向されており、少なくとも1つのガイド手段(19)は、前記溶融ノズル(2)と前記延伸装置(4)との間に設けられており、該ガイド手段(19)により、前記糸群(33)の糸走行平面が、90°の範囲の角度だけ変更される、請求項8記載の溶融紡糸装置。
【請求項10】
前記糸を冷却する前記冷却装置(3)は、ガス透過性の筒壁を備えた複数の冷却筒(11.1,11.2)を有し、該筒壁は送風室(10)の内部に保持されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項11】
前記各紡糸ノズル(2)に前記冷却筒(11.1,11.2)のうちの1つが対応配置されており、前記冷却筒(11.1,11.2)は、2つの別個の冷却領域に分割されている、請求項10記載の溶融紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、複数のマルチフィラメント糸を製造する溶融紡糸装置に関する。
【0002】
上述の溶融紡糸装置は、国際公開第2004/074155号から公知である。
【0003】
合成糸を製造するために、上述の複数の溶融紡糸装置は機械室内で組み合わせられて一式の紡糸設備を形成する。この場合、高い空間利用率が望まれている。設置された溶融紡糸装置の個数が多いほど、紡糸設備の生産出力は高くなる。溶融紡糸装置の機械ピッチ(設置間隔)の他に、生産性は溶融紡糸装置ごとに製造可能な糸の本数によって主に決定される。そのかぎりでは、溶融紡糸装置をできるだけコンパクトに、かつできるだけ多い本数の糸を製造するように形成する、という要望が生じる。
【0004】
このような種類の溶融紡糸装置では、紡糸装置、冷却装置、延伸装置および巻取り装置が互いに上下に配置されて、鉛直方向の糸走行経路を形成する。紡糸ノズルを備えた紡糸装置、複数のゴデットユニットを備えた処理装置および複数の巻取り箇所を備えた巻取り装置は、平行にガイドされる複数の糸間の種々異なる間隔をそれぞれ要求するので、糸の広がりまたは集結(つまり糸間隔の増大および縮小)を避けることはできない。しかし、糸群において、溶融紡糸装置内で製造された各マルチフィラメント糸がほぼ同一の特性を有することが達成されるように努められる。したがって、マルチフィラメント糸内で種々異なる糸張力をもたらす糸の変向および広がりはできるだけ回避すべきである。したがって、上記溶融紡糸装置では、処理装置から巻取り装置の巻取り箇所への糸の移送時に、変向装置ならびに鉛直方向に向けられたガイドローラが使用される。これによって、複数回の変向によってできるだけコンパクトな糸ガイドを達成することができる。しかし、このような糸ガイドは、不都合な糸張力も発生させる。特に、固定の変向手段における変向は、高められた糸摩耗の原因となる。
【0005】
国際公開第2004/0151
73号から、別の溶融紡糸装置が公知である。この溶融紡糸装置では、糸を引き出しかつ延伸させる処理装置のゴデットが、巻取り装置の巻取りスピンドルに対して横向きに配向されている。これにより、巻取り装置および処理装置をできるだけコンパクトに形成することができる。しかしこの場合、巻取り装置により規定される機械ピッチ内にゴデットを留めるために、有利には一重に巻き掛けられたゴデットが延伸装置内で使用される。したがって、糸群を複数回の巻掛けによりガイドする長く突出したゴデットの場合、このゴデットと巻取り装置とを組み合わせて1つの構造ユニットを形成することはほとんど不可能である。しかし、大きな糸繊度を有する延伸糸を製造するためには、糸をガイドしかつ延伸力を形成するために、複数回巻き掛けられるゴデットが必須である。
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた溶融紡糸装置を改良して、複数回巻き掛けられるゴデットユニットにおいて延伸された糸が、できるだけ糸を痛めず、広がりなしに巻取り箇所に供給可能であるようにすることである。
【0007】
本発明の別の課題は、冒頭で述べた溶融紡糸装置を改良して、できるだけ多くの本数の延伸糸(FDY)が平行に相並んで製造可能であるようにすることである。
【0008】
この課題を解決した本発明による構成では、ガイドゴデットが、延伸装置の下方で、ゴデットユニットのゴデットに対して、軸方向で横向きに配向されていて、移行時に糸が、糸群の糸走行平面の90°の回転後に、ガイドゴデットにおいて一重の部分巻掛けによりガイド可能である。
【0009】
本発明の好適な実施の形態は、従属請求項の特徴および特徴の組み合わせにより規定される。
【0010】
本発明は、溶融紡糸装置の奥行き(Tiefe)に重大な影響を与える構成部材が同一の方向に向けられているので、主に巻取り装置により設定される機械の奥行きが、延伸装置のゴデットユニットを設置するために使用されることにより優れている。糸群の糸走行平面を回転させることにより、糸群は変向および広がりなしに、延伸装置に設けられたゴデットユニットのゴデットに対して横向きに配向されたガイドゴデットに直接に供給され得る。糸群は、延伸装置により規定される糸走行平面から、90°の範囲の角度だけ、ガイドゴデットにより規定される新たな糸走行平面へと回転させられる。この場合、糸走行平面とは、平行して相並んでガイドされる複数の糸により描かれる平面であると理解され得る。これにより、巻取り箇所へ糸を分配するための糸群の広がりは、最小限にされる。必要となる変向は、ガイドゴデットのような回転する変向手段によってのみ実施され得る。
【0011】
本発明の第1の実施の形態では、巻取り装置の巻取り箇所へ延伸された糸を供給することは、ガイドゴデットにおける糸群の一重の部分巻掛けにより実施される。このためには、ガイドゴデットが、巻取りスピンドルの上方で、巻取り箇所の側方で隣に配置されている。これにより、糸がガイドゴデットから走出したあとに、これらの糸は個別の巻取り箇所に分配され得る。
【0012】
択一的には、ガイドゴデットに、巻取りスピンドルの上方で、同じ方向に向けられた第2のガイドゴデットが対応配置されている。この第2のガイドゴデットが、巻取り箇所の側方で隣に配置されている。これにより、特にこれらのガイドゴデットの駆動によって、巻取り箇所へ糸を巻取るための巻取り張力に影響が与えられる。
【0013】
さらに、両ガイドゴデットの間に形成されたガイド区間を、糸の処理のために利用する可能性が生じる。したがって、本発明の別の態様によれば、交絡装置が両ガイドゴデットの間に配置されている。
【0014】
複数の糸を同時に製造することができるように、本発明の別の実施の形態では、巻取り装置が、相並んで配置された2つの巻取り機により形成され、これらの巻取り機はそれぞれ複数の巻取り箇所を有している。このためには、ガイドゴデットが巻取り機の上方で真ん中に保持されていると有利である。これにより、特に巻取り装置の奥行きを、糸の本数が多い場合でも比較的に小さく保持することができる。改善された糸ガイドのためには、巻取り機が好適には互いに対して鏡像対称的に実施されているので、糸群の分配をガイドゴデットからの走出後に対称平面から外れるように行うことができる。
【0015】
巻取り箇所への糸の分配および供給は、ガイドゴデットと巻取り箇所との間に複数の変向ローラが設けられている本発明の態様により行われる。これらの変向ローラは、巻取り箇所で、それぞれ1つの綾振り装置の直接上流側に配置されている。これにより、糸を少ない糸摩耗で巻取り箇所に供給することができる。
【0016】
1つの糸群として複数の糸をガイドする際の糸安定性に関して、本発明に係る溶融紡糸装置は、以下の構成によりさらに改善され得る。すなわち、ガイドゴデットと、延伸装置の最後のゴデットとの間に、ガイド手段が設けられている。このガイド手段により、糸群の糸走行平面が、90°の範囲の所定の角度だけ変更させられる。これにより、延伸装置の最後のゴデットからの糸群の走出と、ガイドゴデットに対する糸群の糸の供給とは著しく安定化させられる。
【0017】
紡糸ノズルにより与えられる機械ピッチ内で、できるだけ多数の糸を得ることができるように、本発明の別の態様は特に有利に実施されている。この態様では、紡糸ノズルが、それぞれダブルノズルとして形成されており、該ダブルノズルによって紡糸ノズル毎に2本のマルチフィラメント糸が押出可能である。これにより、紡糸ノズルの極めてコンパクトな配置で多数の糸を紡糸装置内で平行に形成することができる。したがって、紡糸ノズルの列を延伸装置のゴデットユニットの軸線に対して横向きに向け、ゴデットユニットの自由端と、巻取り装置の巻取りスピンドルの自由端と一緒に、機械操作側を形成する可能性が生じる。糸走行経路を安定させるために、ガイド手段が紡糸ノズルと延伸装置との間に設けられていて良い。このガイド手段により、90°の範囲の角度だけ糸走行平面が変更させられる。
【0018】
紡糸装置のコンパクトな構成にもかかわらず、押し出された個別のマルチフィラメント糸を均一に冷却するためには、糸を冷却するための冷却装置が、それぞれガス透過性の筒壁を有する複数の冷却筒を有している本発明の一態様が特に有利である。これらの冷却筒は、送風室内に配置されている。したがって、糸群の各糸はほぼ同じ条件で冷却され得る。
【0019】
ダブルノズルとして紡糸ノズルを構成した場合、複数の冷却筒の1つに、各紡糸ノズルが対応配置されている本発明の態様が有利に使用される。この場合、冷却筒は2つの別個の冷却領域に分割されている。したがって、紡糸ノズルおよび冷却筒毎に複数の糸が同時に押し出され、かつ冷却され得る。
【0020】
本発明に係る溶融紡糸装置は、特に延伸糸(FDY)を製造するために適している。
【0021】
本発明を以下に溶融紡糸装置の幾つかの実施の形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る溶融紡糸装置の第1の実施の形態を示す概略的な側面図である。
【
図3】本発明に係る溶融紡糸装置の別の実施の形態を示す概略的な側面図である。
【
図4】本発明に係る溶融紡糸装置のさらに別の実施の形態を示す概略的な正面図である。
【0023】
図1および
図2には、本発明に係る溶融紡糸装置の第1の実施の形態が複数の視点で概略的に示されている。
図1が本実施の形態の側面図を示しているのに対して、
図2は本実施の形態の正面図を示している。2つの図面のうちの一方に特に関連付けが成されていないかぎり、以下の説明は両方の図面に適用される。
【0024】
この実施の形態は、紡糸装置1、冷却装置3、延伸装置4、ならびに巻取り装置22を有している。これらの装置は上下に並んで配置されていて、これにより主に鉛直方向に向けられた糸走行経路を得ることができる。
【0025】
紡糸装置1は、紡糸ビーム9を有している。紡糸ビーム9の下面は複数の紡糸ノズル2を支持している。
【0026】
図2から判るように、紡糸ビーム9には2つの紡糸ノズル2が保持されている。これらの紡糸ノズル2は、それぞれダブルノズル(Doppelduese)8.1,8.2として形成されている。紡糸ビーム9に保持された各ダブルノズル8.1,8.2は、それぞれ別個の2つの溶融物管路を介して1つの多段ポンプ6に連結されている。多段ポンプ6は好適には遊星歯車式ポンプとして形成されている。この場合、各ダブルノズル8.1,8.2には、別個の2つの遊星ギヤセットが対応配置されている。多段ポンプ6は、1つのポンプ駆動部7を介して駆動されている。この場合、ポリマ溶融物の供給は、多段ポンプ6に連結された溶融物供給部5を介して行われる。
【0027】
紡糸装置1の下方には冷却装置3が設けられている。冷却装置3は、送風室10を有している。送風室10は、空調装置(図示せず)に接続されている。送風室10の内部には、複数の冷却筒11.1,11.2が配置されている。冷却筒11.1,11.2は、紡糸ノズル2に対応配置されている。冷却筒11.1,11.2は、それぞれ1つのガス透過性の筒壁を有しているので、送風室10内に導入された冷媒は均一に冷却筒11.1,11.2の内部に流入することができる。
【0028】
特に
図2の図面から明らかであるように、各冷却筒11.1,11.2は、真ん中の領域に1つの分離壁12を有している。この分離壁12により、2つの別個の冷却領域が冷却筒11.1および11.2内に形成されている。したがって、各冷却領域内に、ダブルノズル8.1,8.2のうち一方のダブルノズルにより押し出されたフィラメント束が導入され得る。
【0029】
送風室10および冷却筒11.1,11.2の構成は例示的である。基本的には、送風室10を、孔付き金属薄板を介して互いに接続された上側の室と下側の室とにより形成することも可能である。この場合、送風室の両方の室は、上側の室内ではガス透過性の壁を有し、下側の室内では閉じられた壁を有する1つの冷却筒により貫通されている。空調装置との接続は、送風室の下側の室を介して行われる。
【0030】
しかし択一的には、冷却筒11.1,11.2を、紡糸ノズル2に対して横向きに配向された送風壁により形成することもできるので、横向きに向けられた冷却空気流が形成可能である。
【0031】
図1および
図2から明らかであるように、冷却筒11.1,11.2は、糸を冷却のためにガイドする冷却ボックス13内に開口している。
【0032】
押し出された各マルチフィラメント糸はそれぞれ、多数のフィラメントストランドにより形成されているので、冷却装置3の出口において、糸毎にフィラメントが集結させられる。このためには、複数の集合糸ガイド14および準備処理としての油剤塗布装置15とが設けられている。油剤塗布装置15は、この実施の形態ではたとえばローラ式油剤塗布装置として示されている。しかし、基本的にはピン式油剤塗布装置も使用され得る。
【0033】
1つの糸群として押し出された複数の糸を引き出しかつ延伸するために、延伸装置4は冷却装置3の下流側に配置されている。延伸装置4は、本実施の形態では2つのゴデットユニット16.1,16.2を有している。これらのゴデットユニット16.1,16.2は同一に形成されており、本実施の形態では駆動されるゴデット17と、回転可能に支持された付随ローラ18とから成っている。ゴデット17は、ゴデット駆動装置31により駆動されている。糸は、糸群33として、ゴデットユニット16.1,16.2における複数回の巻き掛けを伴って案内されている。この場合、ゴデットユニット16.1,16.2に設けられたゴデット17の間には、速度差が形成されており、これにより糸群33の糸を延伸することができる。
【0034】
冷却装置3から延伸装置4への移行時に、糸走行平面の90°の第1の回転が必要である。なぜならば、紡糸ノズルにより描かれた糸走行平面が、ゴデットユニット16.1,16.2により形成される糸走行平面に対して90°だけずらされて延びているからである。この場合、糸群33の糸が相並んでガイドされている平面が糸走行平面と呼ばれる。
【0035】
糸群33を移送するために、油剤塗布装置15と、延伸装置4のゴデットユニット16.1の第1のゴデット17との間にはガイド手段19が設けられている。このガイド手段19により、糸群がねじられ、同時に糸は互い対して所定の処理間隔を有するようにガイドされ得る。
【0036】
第1の実施の形態の両方の図面から判るように、延伸装置4の下流側にはガイドゴデット20.1が配置されている。ガイドゴデット20.1は、ゴデットユニット16.2の最後のゴデット17の下流側に配置されていて、これにより、糸群33をゴデットユニット16.2から引き出すことができる。このためには、ガイドゴデット20.1は、ゴデットユニット16.2のゴデット17に対して、軸方向で横向きに配向されている。これによって、糸は移行時に90°の糸走行平面の回転によって、ガイドゴデット20.1における一重の部分巻掛けによりガイド可能である。
【0037】
ガイドゴデット20.1は、ゴデット支持体34に保持されている。ゴデット支持体34は、巻取り装置22の機械フレーム30に支持されている。ガイドゴデット20.1に対応配置されたゴデット駆動部31は、ゴデット支持体34の、ガイドゴデット20.1とは反対に位置する側に保持されている。
【0038】
図1の図面から判るように、ガイドゴデット20.1には第2のガイドゴデット20.2が対応配置されている。この第2のガイドゴデット20.2は、ゴデット支持体34において、巻取り装置22に設けられた複数の巻取り箇所23.1−23.4の側方で隣に配置されている。ガイドゴデット20.1,20.2の間には、交絡装置21が設けられている。この交絡装置21により、糸群33の糸は互いに別個に処理可能である。
【0039】
巻取り装置22は、複数の巻取り箇所23.1−23.4を有している。これらの巻取り箇所23.1−23.4において、糸群33の複数の糸が巻き取られて、それぞれ1つのパッケージ26を形成する。これらの巻取り箇所23.1−23.4は同一に形成されていて、それぞれ1つの変向ローラ27と、1つの綾振りユニット28とを有している。複数のパッケージ26が、この場合、1つの巻取りスピンドル24.1または24.2において同時に巻き取られる。巻取りスピンドル24.1,24.2は、巻取りリボルバ25において突出して保持されていて、交互に運転領域および交換領域に案内される。糸群33の糸を各パッケージ26に敷設するためには、押圧ローラ29が設けられている。この押圧ローラ29は、パッケージ26の周面に当て付けられている。巻取りリボルバ25および押圧ローラ29は、可動に機械フレーム30に保持されている。
【0040】
巻取り装置22の駆動部は、
図1および
図2には図示されていない。なぜならば業界において巻取りリボルバともよばれるこのような形式の巻取り装置は、十分に公知だからである。この場合、ガイドゴデット20.1,20.2のゴデット駆動部31は、好適には共通して給電されかつ制御される制御ユニットを形成している。
【0041】
図1および
図2に示された実施の形態では、機能を説明するために糸群33の糸走行経路が描かれている。この場合、両方のダブルノズル8.1,8.2によってポリマ溶融物から繊細な多数のフィラメントストランドが押し出される。これらのフィラメントストランドは、冷却後に集結および油剤塗布によりまとめられて合計4本のマルチフィフィラメント糸を形成する。基本的には、油剤塗布の他に、フィラメントの予備交絡が行われ、これにより糸の処理のために必要となる糸結合体を形成することができる。
【0042】
次いで、4本の糸から形成された糸群33が、ゴデットユニット16.1の第1のゴデット17により紡糸ノズル2から引き出される。この場合、糸群は、紡糸ノズル2の列により描かれる第1の糸走行平面から、90°ずらされた糸走行平面に移送される。第2の糸走行平面は、紡糸ノズル2の列に対して横向きに配向された、ゴデッドユニット16.1,16.2の第1のゴデット17の軸方向の配向により規定されている。
【0043】
延伸装置4では、糸群33がゴデットユニット16.1,16.2の速度差により延伸される。このために、ゴデットユニット16.1,16.2のゴデット17が加熱されるように構成されていると有利である。
【0044】
この箇所で明らかにしておきたいことは、ゴデットユニット16.1,16.2の構成は例示的であるということである。基本的にはゴデットユニット16.1,16.2は、択一的に、駆動された、加熱されたガイド外周面を有する2つのゴデットにより形成されていてもよい。さらに、選択的に、付随ローラを有する複数のゴデット、複数のゴデット、または個別のゴデットから成っている複数のゴデットユニットを使用することもできる。
【0045】
糸群33の延伸後に、糸群33は、延伸装置4の下流側に配置されたガイドゴデット20.1により引き出される。この場合、糸群33は処理のために規定された糸走行平面から外れるようにガイドされて、90°ねじられたガイド平面に移送される。このガイド平面はガイドゴデット20.1の軸方向の配向により規定される。この場合、ガイドゴデット20.1はゴデットユニット16.1,16.2のゴデット17に対してほぼ横向きに向けられている。ゴデットユニット16.2とガイドゴデット20.1との間の糸走行経路は、有利には収縮処理のために使用され得る。この場合、ガイドゴデット20.1はゴデットガイド16.2とは無関係に駆動される。さらに、ガイドゴデッド20.1は加熱されるように構成されていてよい。
【0046】
別の処理のために、糸群33は、ガイドゴデット20.1,20.2の間に保持された交絡装置21に供給される。この場合、ガイドゴデット20.1,20.2の互いに異なる周速度により、好適には糸群33の糸の交絡のための糸張力が調節され得る。このためには、ガイドゴデット20.2はゴデット駆動部31により駆動される。これによって、さらに糸群33の糸における独立した巻取り張力が形成可能である。
【0047】
最後に糸群33の糸は、個別の巻取り箇所23.1−23.4に分配され、巻き取られてそれぞれ1つのパッケージ26を形成する。回転する変向手段による複数回のソフトな変向による同様の処理に基づき、糸群33の各糸はほぼ同一の特性を有している。これによりパッケージ26はほぼ同一の巻取り張力で形成可能である。
【0048】
同時に押し出され、延伸され、巻き取られる
図1および
図2に示した実施の形態で選択された糸の本数は、例示的である。基本的には通常、紡糸設備の溶融紡糸装置毎に4本より多い糸が製造される。糸の本数は、本発明の説明のために重要ではない。
【0049】
図3には、本発明による溶融紡糸装置の別の態様が概略的な側面図で示されている。本実施の形態は、
図1に示した実施の形態とほぼ同一であるので、この箇所では差異についてのみ説明し、その他は上記の説明が参照される。
【0050】
図3に示した本発明に係る装置の実施の形態は、糸群33のガイドのために、延伸装置4と巻取り装置22との間にガイド手段32およびガイドゴデット20が配置されている。ガイドゴデット20は、ゴデット支持体34において、巻取り箇所23.1−23.4の側方で隣に保持されている。これにより、ガイドゴデット20に部分的に巻き掛けられてガイドされる糸群33の糸は直接に巻取り箇所23.1−23.4に供給可能である。
【0051】
糸群33の糸の、ゴデットユニット16.2からの走出後の糸走行面を90°ねじるために、ガイド手段32が設けられている。これによりゴデットユニット16.2における糸群の走出およびガイドゴデット20への糸群の供給がガイド手段32により安定化され得る。糸群33のねじれは、変向および広がりなしに真っ直ぐな糸走行経路で行われる。
【0052】
図3に示した実施の形態の機能は、
図1および
図2の実施の形態の機能と同一であるので、この箇所では上記の説明が参照され、さらに説明はしない。
【0053】
延伸装置から巻取り装置へ糸群を移送するための
図3に示された変向手段は、好適には
図1に示した実施の形態にも組み込むことができる。同様に、
図3に示した溶融紡糸装置の実施の形態は付加的なガイド手段なしに実施することも可能である。
【0054】
図4には、本発明に係る溶融紡糸装置のさらに別の実施の形態が正面図で概略的に示されている。この実施の形態は、
図3に示した上述の実施の形態とほぼ同一であるので、繰り返しを避けるために、差異についてのみ説明し、その他は上述の説明が参照される。
【0055】
図4に図示された実施の形態では、巻取り装置22が相並んで配置された2つの巻取り機35.1,35.2により形成されている。巻取り機35.1,35.2は、互いに対して鏡像対称的に配置されていて、それぞれ同一の構造を有している。巻取り機35.1,35.2はそれぞれ、複数の巻取り箇所23.1−23.4を有している。
図3に示された巻取り装置22は、したがって、巻取り機35.1,35.2の側面図を示している。その限りでは
図3で成された説明が参照される。
【0056】
巻取り機35.1,35.2は、同期して駆動される。これによって、糸群33の複数の糸を巻き取ってパッケージを形成することができる。糸群33は、巻取り装置22の上流側に配置されたガイドゴデット20を介して供給される。このためには、ガイドゴデット20は、両方の巻取り機35.1,35.2の真ん中で支持フレーム37において、巻取り機35.1,35.2の上方に保持されている。ガイドゴデット20は、ゴデット支持体34において突出して配置されており、電動モータを介して駆動される。
【0057】
ガイドゴデット20からの糸群33の糸の走出後に、糸群は分配されるので、各巻取り機35.1,35.2は同じ本数の複数の糸を巻き取ってパッケージを形成することができる。
【0058】
支持フレーム37には、巻取り機35.1,35.2の上方で延伸装置4が配置されている。延伸装置4は本実施の形態でも同様に2つのゴデットユニット16.1,16.2により形成されている。ゴデットユニット16.1,16.2は、駆動されるそれぞれ2つのゴデット17を有している。ゴデットユニット16.1,16.2のこれらのゴデットは、好適に、ゴデット対として駆動されるので、ゴデットユニット16.1,16.2の間の速度差が糸の延伸のために調節可能である。
【0059】
ゴデットユニット16.1,16.2のゴデット17の軸線は、2つの巻取り機35.1,35.2の巻取りスピンドル24.1,24.2と同一に向けられている。これに対して、ゴデットユニット16.2と巻取り装置22との間に配置されたガイドゴデット20は、横向きに配向されているので、ゴデットユニット16.2からガイドゴデット20への糸の移行時に、糸群の糸走行平面は90°の範囲の角度だけねじられる。この場合、ゴデットユニット16.2とガイドゴデット20との間に、別のガイド手段は設けられていない。
【0060】
ゴデットユニット16.1,16.2は、本実施の形態では、それぞれ1つのゴデットボックス36.1,36.2内に配置されている。したがって、好適には加熱されたゴデット17がゴデットユニット16.1,16.2内で使用されるので、ゴデットボックス36.1,36.2の内部で糸の処理のために断熱された環境が生じる。
【0061】
紡糸装置1および冷却装置3は、
図1および
図2に示した実施の形態と同一に形成されている。この場合、紡糸ノズルの個数は二倍にされている。したがって合計で4つのダブルノズル8.1−8.4が設けられている。これにより紡糸ノズル箇所毎に2本の糸を同時に押し出すことができる。この箇所についてのさらなる説明は、
図2に関する上述の説明が参照される。
【0062】
紡糸ノズル2は、
図4に示した実施の形態では同様に、ゴデット17のゴデット軸線に対して横向きに延びている列状の配置に位置調節されていてよい。その限りでは、糸群33の糸はノズルにより規定された紡糸平面からゴデットユニット16.1,16.2により規定された処理平面に移送される。この場合、ガイド手段19が設けられている。これによって、糸群の糸走行平面は90°の範囲の角度だけねじられる。ガイド手段19は、延伸装置4の直ぐ上流側に配置されている。この場合、複数の糸は一緒に1つの糸群として互いに対して平行にガイドされる。
【0063】
延伸装置4と紡糸装置1との間で、集合糸ガイド14および準備処理装置としての油剤塗布装置15が配置されている。これにより、紡糸ノズル毎に押し出されたフィラメントストランドは纏められて複数の糸を形成する。
【0064】
図4に図示された実施の形態は、1つの紡糸箇所において複数の糸を製造するための特にコンパクトな配置を成す。
図4に示した実施の形態の機能は、上述の実施の形態と同一であるので、ここではさらに説明しない。
【0065】
図1から
図4に示した実施の形態は、延伸装置の構造および配置において例示的である。基本的には、付加的な処理ステップおよび処理装置が紡糸装置と巻取り装置との間に組み込まれている可能性もある。
【符号の説明】
【0066】
1 紡糸装置
2 紡糸ノズル
3 冷却装置
4 延伸装置
5 溶融物供給部
6 多段ポンプ
7 ポンプ駆動部
8.1,8.2 ダブルノズル
9 紡糸ビーム
10 送風室
11.1,11.2 冷却筒
12 分離壁
13 冷却ボックス
14 集合糸ガイド
15 油剤塗布装置
16.1,16.2 ゴデットユニット
17 ゴデット
18 付属ローラ
19 ガイド手段
20,20.1,20.2 ガイドゴデット
21 交絡装置
22 巻取り装置
23.1−23.4 巻取り箇所
24.1,24.2 巻取りスピンドル
25 巻取りリボルバ
26 パッケージ
27 変向ローラ
28 綾振り装置
29 押圧ローラ
30 機械フレーム
31 ゴデット駆動部
32 ガイド手段
33 糸群
34 ゴデット支持体
35.1,35.2 巻取り機
36.1,36.2 ゴデットボックス
37 支持体フレーム