特許第6016931号(P6016931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016931基板処理装置、基板処理方法、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016931
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20161013BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20161013BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20161013BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20161013BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20161013BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   H01L21/68 A
   H01L21/205
   H01L21/302 101G
   C23C16/44 F
   H01L21/22 511S
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-538326(P2014-538326)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(86)【国際出願番号】JP2013073742
(87)【国際公開番号】WO2014050464
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-214231(P2012-214231)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】谷内 正導
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044633(JP,A)
【文献】 特開2004−273603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/67−683
C23C 16/44
H01L 21/205
H01L 21/22
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、を備え、
前記搬送室は、
当該搬送室の筐体を形成する複数の壁体と、
前記複数の壁体同士が接合する接合部と、
当該搬送室と隔離された隔離空間を形成、前記接合部を局所的に覆うようにハット状に形成された隔離空間形成部材と、
前記複数の壁体と前記接合部と前記隔離空間形成部材とで形成された前記隔離空間内の雰囲気を前記搬送室外に排気する排気部と、を備え基板処理装置。
【請求項2】
前記隔離空間形成部材は、前記壁体に接合される鍔部を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記隔離空間内に不活性ガスを供給する請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記筐体を補強し、中空構造を有する補強柱をさらに備え、
前記排気部は、前記中空構造内を前記搬送室外に排気する請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記補強柱と前記隔離空間形成部材とを連通する請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記補強柱の側面に少なくとも1つの開口が形成される請求項4または5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記排気部は、前記搬送室内を排気する搬送室排気部へ接続される請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記隔離空間内の圧力は大気圧よりも低く、前記搬送室内の圧力は大気圧以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板を処理する処理室と、前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、を備え、前記搬送室は、当該搬送室の筐体を形成する複数の壁体と、前記複数の壁体が接合する接合部と、当該搬送室と隔離された隔離空間を形成、前記接合部を局所的に覆うようにハット状に形成された隔離空間形成部材と、前記複数の壁体と前記接合部と前記隔離空間形成部材とで形成された前記隔離空間内の雰囲気を前記搬送室外に排気する排気部と、を有する基板処理装置を用いる基板処理方法であって、
前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、
前記隔離空間内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、を備える基板処理方法。
【請求項10】
基板を処理する処理室と、前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、を備え、前記搬送室は、当該搬送室の筐体を形成する複数の壁体と、前記複数の壁体が接合する接合部と、当該搬送室と隔離された隔離空間を形成、前記接合部を局所的に覆うようにハット状に形成された隔離空間形成部材と、前記複数の壁体と前記接合部と前記隔離空間形成部材とで形成された前記隔離空間内の雰囲気を前記搬送室外に排気する排気部と、を有する基板処理装置を用いる基板処理方法であって、
前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、
前記隔離空間内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、を備える半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、ウエハという)等の基板に、例えば熱処理等の処理を施す技術に関し、特に、基板表面に自然酸化膜が発生することを抑制できる基板処理装置、基板処理方法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICの製造工程では、ウエハに絶縁膜や金属膜や半導体膜等を形成する、あるいは不純物を拡散する等の熱処理を行うために、例えば、複数枚のウエハをボートに搭載して、複数枚のウエハに対して同時にバッチ処理を行う縦型熱処理装置が使用されている。 この縦型熱処理装置には、ボートに搭載した複数枚のウエハを処理する処理室と、該処理の前においてボートにウエハを搭載する移載室とを備えている。該移載室には不活性ガスとして例えば窒素ガスを充満させることにより、移載室内の酸素濃度を低下させてウエハを酸素から遮断し、自然酸化膜がウエハに形成されることを抑制するようにしたものがある(特許文献1参照)。 しかしながら、従来の縦型熱処理装置においては、移載室内の酸素濃度を所望の濃度まで低下させるために相当の時間を要しており、これが装置のスループットを向上させるうえで課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、筐体内の酸素濃度を所望の濃度まで低下させる時間を短縮することが可能な基板処理装置、基板処理方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、 を備える基板処理装置であって、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、を備え、 前記隔離空間を排気する排気部を備える基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、を備え、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、 を備える基板処理装置を用いる基板処理方法であって、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える基板処理方法が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、を備え、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、 を備える基板処理装置を用いる半導体装置の製造方法であって、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筐体内の酸素濃度を所望の濃度まで低下させる時間を短縮することが可能な基板処理装置、基板処理方法及び半導体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の垂直断面図である。
図3】本発明の第1実施例で好適に用いられる隔離空間形成部材を説明する図である。
図4】本発明の第2実施例で好適に用いられる基板処理装置の部分上面図である。
図5】本発明の第2実施例で好適に用いられる基板処理装置の部分垂直断面図である。
図6】本発明の第2実施例で好適に用いられる筺体を説明する図である。
図7】本発明の第2実施例で好適に用いられる取付け柱を説明する図である。
図8】本発明の第2実施例で好適に用いられる取付け柱と筺体補強柱を説明する図である。
図9】本発明の第2実施例の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における基板処理装置を説明する。本実施形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。なお、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD(Chemical Vapor Deposition)処理などを行うバッチ式縦型半導体製造装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。図1は、本発明が適用される処理装置の透視図であり、斜視図として示されている。また、図2図1に示す処理装置の側面透視図である。
【0011】
図2に示されているように、本実施形態の処理装置100は、シリコン等からなるウエハ(基板)200を収納するウエハキャリアとしてポッド110を使用し、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口112が、筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ113によって開閉される。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、ロードポート114が設置されており、ロードポート114は、ポッド110を載置する。ポッド110は、ロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出される。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転棚105が設置されており、回転棚105は、支柱116を中心に回転し、棚板117に複数個のポッド110を保管する。 図2に示すように、筐体111内におけるロードポート114と回転棚105との間には、ポッド搬送装置118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ118aと、水平搬送機構としてのポッド搬送機構118bとで構成されており、ロードポート114、回転棚105、ポッドオープナ121との間で、ポッド110を搬送する。
【0013】
図2に示すように、筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口120が1対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には1対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。 ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構123、123とを備えている。ポッドオープナ121は、載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉する。載置台122は、基板を移載する際に基板収容器が載置される移載棚である。
【0014】
図2に示すように、サブ筐体119は、ポッド搬送装置118や回転棚105の設置空間の雰囲気と隔絶された移載室124を構成している。移載室124内の前側領域には、ポッド110に格納されている基板を基板保持具としてのボート217に移載するウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、基板移載手段としての基板移載機を構成する。ウエハ移載機構125は、ウエハ200をツイーザ125cに載置して水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125a、およびウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ボート217に対して、ウエハ200を装填および脱装する。
【0015】
図1に示されているように、移載室124内には、清浄化した不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう、供給フアンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は、移載室124に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を構成する。また、移載室124には、移載室124内の雰囲気を移載室124外へ排出する移載室排気部(不図示)が設けられている。移載室排気部は、移載室124外へ排出する雰囲気の一部をクリーンユニット134へ戻して循環させ、残りを基板処理装置100外へ排出するように構成されている。 図2に示すように、ボート217の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202は、内部に基板処理室(不図示)を備え、該基板処理室の周囲には、基板処理室内を加熱するヒータ(不図示)を備える。処理炉202の下端部は、炉口キャップ147により開閉される。
【0016】
図1に示されているように、移載室124内には、ボート217を昇降させるためのボートエレベータ115が設置されている。ボートエレベータ115は、基板保持具搬送手段としての基板保持具(ボート)搬送機を構成する。ボートエレベータ115に連結されたアーム128には、シールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を密閉可能なように構成されている。 ボート217は、複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0017】
また、本実施形態にかかる基板処理装置100は、制御手段としてのコントローラ(不図示)を有している。コントローラは、CPUとメモリを備えており、HDDなどの記憶装置、操作部、入出力部が接続されている。コントローラは、基板処理装置100における処理炉202へのガス流量制御や、処理炉202内の圧力制御や、処理炉202のヒータの温度制御や、ボートエレベータ115やウエハ移載機構125等の駆動制御など、基板処理装置100全体を制御するように構成されている。
【0018】
次に、本実施形態の基板処理装置100の動作について説明する。この動作は、コントローラにより制御される。 図1図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ポッド搬入搬出口112からポッド110が搬入される。 搬入されたポッド110は、回転棚105の指定された棚板117へ、ポッド搬送装置118によって、自動的に搬送されて収納される。
【0019】
ポッド110は回転棚105で一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは、ロードポート114から直接、ポッドオープナ121に搬送されて、載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120は、キャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124には不活性ガスであるクリーンエア133が流通され、大気圧程度の圧力に保たれている。
【0020】
図2に示すように、載置台122に載置されたポッド110は、そのキャップが、キャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。また、ウエハ200は、ポッド110からウエハ移載装置125aによってピックアップされ、ボート217へ移載されて装填される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aは、ポッド110に戻り、次のウエハ110をボート217に装填する。
【0021】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載装置125aによるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には、回転棚105ないしロードポート114から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0022】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部が炉口キャップ147によって開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されて、シールキャップ219に支持されたボート217が、処理炉202内の基板処理室へ搬入されて行く。
【0023】
ボートローディング後は、基板処理室内でウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ボートエレベータ115によりボート217が基板処理室から搬出(アンローディング)され、その後は、概上述の逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0024】
(第1実施例) 本実施形態の第1実施例について、図3を用いて説明する。図3は、第1実施例に係る隔離空間形成部材を説明する図である。 サブ筐体119は、上述したように、移載室124を構成する。移載室124は、本実施形態では基板処理室(以下、単に処理室ともいう。)に隣接している。移載室124は、ボート217とポッド110との間でウエハ200を移載する移載室であり、ウエハ200を搭載したボート217を処理室へ搬入し、また処理室から搬出するために用いる搬送室でもある。移載室124は、ウエハ200への自然酸化膜の形成を防止するための密閉空間となっており、不活性ガス、例えば窒素(N)ガスが充満されている。したがって、サブ筐体119は、大気圧もしくは大気圧より50Pa程度の陽圧に保たれるような気密構造に構築されている。
【0025】
しかしながら、移載室124内の酸素濃度を、例えば3ppm以下の目標濃度にすることや、短時間で目標濃度に到達することは容易ではない。本発明の発明者等は、研究の結果、サブ筐体119を構成する壁体と壁体との接合部において、サブ筐体119外の大気中の酸素が移載室124内へ拡散してくることが、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減するうえで障害の1つとなることを究明した。この拡散現象は、移載室124内の圧力が移載室124外の圧力よりも高い陽圧の場合も発生する。
【0026】
図1図2に示すように、サブ筐体119の左右側面の壁体と、後面(ポッドオープナ121と反対側)の壁体と、底面の壁体は、筐体111の一部で構成される。サブ筐体119は、その左右側壁と後壁と底壁に、サブ筐体119の前面である正面壁119aと天井壁が接合されて構成されている。サブ筐体119を構成するため、複数の板同士が溶接やシール材を介して接合されるが、完全な溶接やシールは困難であり、その接合部の密閉度を高くすることは容易ではない。
【0027】
そこで本実施形態では、図3に示すように、例えば、サブ筐体119の壁体119bと壁体119cとを接合した場合に、その接合部119dを、例えば断面がハット(帽子)状のハットリブ31で覆い、ハットリブ31の鍔部31aと壁体119b及び壁体119cとを例えば溶接により接合する。鍔部31aと壁体119b及び壁体119cとの接合は、溶接以外の方法、例えばシールを介して接合する方法を用いることもできるし、溶接とシールを併用することもできる。そして、ハットリブ31と壁体119bと壁体119cによって形成された隔離空間内の雰囲気をダクト(通風管)32を介して、送風機(ファン)や真空ポンプ等で構成される吸引部33で吸引し、基板処理装置100外へ排出する。
【0028】
吸引部33は、基板処理装置100内、又は基板処理装置100外に設けられる。ダクト32は、吸引部33が基板処理装置100内に設けられる場合は、基板処理装置100内に設けられ、吸引部33が基板処理装置100外に設けられる場合は、基板処理装置100内から基板処理装置100外へ亘って設けられる。ダクト32は、基板処理装置100の排気部を構成する。なお、吸引部33を基板処理装置100の排気部に含める場合もある。
【0029】
また、ダクト32は、移載室124の前述した移載室排気部へ接続する構成としても良い。図には記載されていないが、例えば移載室排気部は、移載室排気ダクト、移載室排気ダクトに設けられた移載室排気ダクト開閉弁、移載室排気ダクト開閉弁より後段に設けられた真空ポンプ等からなる移載室吸引部によって構成されている。 ダクト32は、吸引部33の後段にて移載室排気部へ接続しても良いし、吸引部33を設けずに移載室排気部へ接続してもよい。また、ダクト32に、ダクト32を開閉することで隔離空間内の排気を制御する図示しないダクト開閉弁を設置しても良い。例えば吸引部33を設けずに、ダクト32を移載室排気部へ接続する場合、移載室排気ダクト開閉弁と移載室吸引部の間にダクト32を接続する。例えば移載室排気開閉弁を設けない場合、移載室吸引部の前段にダクト32を接続する構成としても良い。このような構成にすることで、新たに吸引部33を設置する必要がなく、構造が複雑になったりコストアップしたりすることを抑制できる。
【0030】
図3では、壁体119bの一端と壁体119cの一端を、それぞれ、移載室124内へ向けて折り返し、それらの折り返し部を接合して接合部119dとしている。接合部119dは、溶接による接合やシール材を介した接合であってもよい。図3において、矢印は、雰囲気の流れを示す。また、図3では、解り易いように、ハットリブ31とダクト32を離して描いているが、実際は、ハットリブ31とダクト32は接続されている。 なお、ハットリブ31は、接合部119dを移載室124の空間から隔離する隔離空間形成部材であり、断面が半円状の半円筒状であってもよく、隔離空間形成部材として機能する限り他の形状であってもよい。
【0031】
なお、移載室124内の酸素濃度を低減するうえで、ハットリブ31により形成した隔離空間(接合部119dの存在する空間)内を上述のように吸引して排気することが好ましいが、上述のように吸引するのではなく、不活性ガス、例えばNガスを流すことにより排気するよう構成することも可能である。この場合は、ハットリブ31の一端はダクトを介して基板処理装置100外に接続されるが、ハットリブ31の他端は、ダクトを介して例えば前述した不活性ガス供給部(クリーンユニット134)、すなわちNガス供給源やNガスを送風する送風機に接続される。 また、ハットリブ31により形成した隔離空間内を吸引して排気するとともに、不活性ガスを流すように構成することも可能である。 また、ハットリブ31により形成した柱に、後述する第2実施例の吸引穴41hを設けるように構成することも可能である。
【0032】
以上説明した第1実施例によれば、少なくとも次の(A1)〜(A2)の効果を得ることができる。 (A1)サブ筐体の接合部を隔離空間形成部材(ハットリブ)により、移載室内空間から隔離して、該隔離した空間の雰囲気を基板処理装置外に排気するので、酸素がサブ筐体の接合部から移載室内空間へ拡散することを抑制できる。すなわち、サブ筐体の接合部より筐体内へ拡散する大気中の雰囲気を、隔離した空間内に留めて、さらに隔離した空間内から移載室空間へ拡散しないように排気を行う。これにより、筐体外から筐体内への酸素の拡散が抑制され、移載室内酸素の目標濃度に到達する時間を短縮することが出来る。 (A2)上記隔離した空間の雰囲気を吸引して基板処理装置外に排気する構成の場合は、更に効果的に、酸素がサブ筐体の接合部から移載室内空間へ拡散することを抑制できる。すなわち、隔離した空間内を吸引することで、隔離した空間内が大気圧よりも減圧の状態となる。移載室内は大気圧もしくは大気圧よりも50Pa程度陽圧の圧力に保たれており、隔離した空間は移載室内よりも圧力が低い状態となる。そのため、隔離した空間内から移載室内への拡散が抑制される。
【0033】
(第2実施例) 本実施形態の第2実施例の構成について、図4ないし図8を用いて説明する。図4は、第2実施例に係る基板処理装置の部分上面図であり、図5は、第2実施例に係る基板処理装置の部分垂直断面図である。図6は、第2実施例に係る筺体を説明する図である。図7は、第2実施例に係る取付け柱を説明する図である。図8は、第2実施例に係る取付け柱と筺体補強柱を説明する図である。
【0034】
本発明の発明者等は、研究の結果、サブ筐体119内に生じる雰囲気の淀みが移載室124内の酸素濃度を短時間で目標濃度に到達させるうえで障害となると考えた。そこで、淀み箇所に不活性ガスを供給したり、淀み箇所の排気を行ったりしてサブ筐体119内に生じる雰囲気の淀みの解消を試みたが、酸素濃度の目標濃度到達時間低減への大きな改善は見られなかった。発明者等は淀みが発生する原因をさらに追究した結果、サブ筐体119を補強するための補強柱や筐体内装置を取り付ける取付け柱等のサブ筐体119を構成する柱内に形成された空間に残留する雰囲気が拡散することが大きな原因であると突き止めた。装置組み立てやメンテナンス等により移載室を大気開放した時に、サブ筐体119を構成する複数の柱の内部に大気が入り込んでしまい、不活性ガスによりサブ筐体119内をパージしても柱内部の雰囲気を十分にパージできない。そのため、サブ筐体119を構成する柱の近傍、特に柱と壁体の継ぎ目付近において、サブ筐体119内の雰囲気が淀み易く、この淀みが、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減するうえで障害の1つとなることを究明した。
【0035】
前述したように、移載室124内には、ボートエレベータ115やウエハ移載機構125が設置されており、雰囲気の淀み個所が多数存在している。また、ボートエレベータ取付け柱41aや移載エレベータ取付け柱41bなどの柱の形状は、強度的には、板を折り曲げた構造やI型構造でもよいが、このような構造の場合は、これらの柱の近傍に雰囲気が淀み易くなる。これらの淀み個所から、少しずつ酸素が出てくるため、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減することが困難になっている。 また、ボートエレベータ取付け柱41aや移載エレベータ取付け柱41bなどの柱の形状を中空構造の柱、例えばハットリブ構造とすると、柱を取り付けている壁体と当該柱との継ぎ目の隙間から、柱内の空間に残留する雰囲気が少しずつ移載室124内に拡散するため、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減することが困難になっている。
【0036】
図4図5に示すように、ボートエレベータ115は、ボートエレベータ取付け柱41aに取り付けられ、さらに、ボートエレベータ取付け柱41aは、サブ筐体119の壁面に取り付けられている。また、ウエハ移載装置エレベータ125bは、移載エレベータ取付け柱41bに取り付けられ、さらに、移載エレベータ取付け柱41bは、サブ筐体119の壁体に取り付けられている。また、図5に示すように、ボートエレベータ取付け柱41aは、筺体111を補強する筺体補強柱51に取り付けられている。 また、図6に示すように、例えばサブ筐体119の壁体119bは、筺体111を支える筺体支柱52に取り付けられる。筺体支柱52には、筺体補強柱51やボートエレベータ取付け柱41aや移載エレベータ取付け柱41bが取り付けられる。
【0037】
本実施例においては、移載室124内の雰囲気の淀み個所や残留している雰囲気の量を低減するものである。 本実施例では、筺体支柱52や、筺体補強柱51や、ボートエレベータ取付け柱41aや、移載エレベータ取付け柱41bなどのサブ筺体119を構成する柱を、図7に示すように、中空構造の柱、例えばハットリブ構造とする。図7は、ボートエレベータ取付け柱41aや移載エレベータ取付け柱41bなどの取付け柱41をハットリブ構造とした例である。
【0038】
サブ筐体119を補強するための補強柱や筐体内装置を取り付ける取付け柱等のサブ筐体119を構成する柱の形状を中空構造の柱とした場合は、柱を取り付けている壁体と柱の継ぎ目付近に淀みが生じ易いことに加え、柱内に形成された空間に残留する雰囲気が拡散することが、柱周辺に淀みが生じる原因であり、各柱をハットリブ構造とした場合、ハットリブ構造により隔離された空間内雰囲気がサブ筐体119に拡散することが淀みの原因となる。そのため、図7に示すように、該ハットリブ構造の柱の側壁に吸引穴41hを設ける。そして、吸引穴41hから、移載室124内の雰囲気を、中空構造の柱の中空部41sに吸引して(図7の矢印71参照)、例えば図3に示すダクト32、吸引部33を用いて基板処理装置100外へ排出する(図7の矢印72参照)。吸引穴41hは、1つ又は複数設けられ、雰囲気の淀み個所を解消するようにしている。吸引穴41hの形状は、丸穴や長穴やスリットなど、吸引穴41hの配置場所に応じて適宜適切な形状を選択することが好ましい。
【0039】
これにより、各柱の近傍に淀んだ雰囲気を排出することで、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減することができる。中空部41sを吸引することで、中空部41sが大気圧よりも減圧の状態となる。移載室内は、大気圧もしくは大気圧よりも50Pa程度陽圧の圧力に保たれており、中空部41sは移載室内よりも圧力が低い状態となる。そのため、移載室から吸引穴41hを経由して中空部41sへ移載室内の不活性ガスが流れるエアの流れが発生し、中空部41s内から移載室内への雰囲気の拡散が抑制される。
【0040】
また、中空部41sを移載室内よりも圧力が低い状態として、側壁に吸引穴41hを設けずに隔離された空間を排気する構造としても良い。ハットリブ構造により隔離された空間内の雰囲気が移載室空間へ拡散しないように排気を行うことより、ハットリブ構造内からサブ筐体119内へ酸素が拡散することが抑制される。また、サブ筐体119の壁体とハットリブ構造の柱との継ぎ目を介して、ハットリブ構造周辺の雰囲気が、ハットリブ構造内へ吸引される。これにより、移載室内酸素の目標濃度に到達する時間を短縮することができる。排気は、隔離された空間内の雰囲気を吸引して基板処理装置外に排気する構成とするが、同時に隔離された空間内に不活性ガスを供給するようにしてもよい。この場合は、更に効果的に、酸素がハットリブ内の隔離された空間からサブ筐体119へ拡散することを抑制できる。
【0041】
また、本実施例においては、図8に示すように、サブ筺体119を構成する複数の柱、例えば、筺体補強柱51とボートエレベータ取付け柱41a等の取付け柱41とを中空構造とするとともに、連結して接合し、各柱の内部を連通穴51hにより連通するよう構成するのが好ましい。接合の方法は、溶接やシールを介する方法を用いることができる。そして、筺体補強柱51内の雰囲気82を、連通穴51hを介して、取付け柱41内へ排出し(図8の矢印82参照)、更に、取付け柱41内の雰囲気81を、基板処理装置100外へ排出する(図8の矢印81参照)。この場合、筺体補強柱51には、図7に示す吸引穴41hが適宜設けられ、雰囲気の淀み個所を解消するようにしている。また、雰囲気81が流れる方向の取付け柱41の端には、図3に示すようなダクト32や吸引部33が接続されている。
【0042】
また、中空部41sを移載室内よりも圧力が低い状態として、側壁に吸引穴41hを設けずに隔離された空間を排気する構造としても良い。ハットリブ構造により隔離された空間内の雰囲気が移載室空間へ拡散しないように排気を行うことより、ハットリブ構造内からサブ筐体119内への酸素の拡散が抑制され、移載室内酸素の目標濃度に到達する時間を短縮することができる。排気は、隔離された空間内の雰囲気を吸引して基板処理装置外に排気する構成とするが、同時に隔離された空間内に不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0043】
好ましくは、図6に示すようなサブ筺体119を構成する複数の柱すべてを連結し、1カ所に設けた吸引部33により、柱内の雰囲気を、基板処理装置100外へ排出するのが、吸引部のコストを低減するうえでよい。しかし、サブ筺体119を構成する複数の柱すべてを1つに連結するのではなく、数本ずつを連結し該連結した複数の柱ごとに吸引部33を設けるように構成してもよい。 また、サブ筺体119を構成する複数の柱がツリー構造を形成するように連結し、該ツリー構造の頂点に吸引部33を設けるように構成するのが好ましい。このように構成すると、複数の柱で閉ループを形成することがないので、柱内の雰囲気が滞ることを抑制できる。
【0044】
また、サブ筺体119を構成する複数の柱すべての柱内の雰囲気を排出するのが好ましいが、サブ筺体119を構成する複数の柱のうち、雰囲気が淀み易い一部の柱の柱内の雰囲気を排出するように構成してもよい。このように構成しても本実施例の効果を奏することは可能である。 また、柱内の排気は常に行うのではなく、一定の間隔で行っても良い。例えば、メンテナンス等により移載室を大気開放した後に柱内の排気を行うように構成しても本実施例の効果を奏することは可能である。
【0045】
図9は、第2実施例に係る効果を説明する図である。縦軸は酸素濃度、横軸は時間である。図9において、91は、第2実施例に係る移載室124内の酸素濃度の時間推移を示す。92は、従来構造に係る移載室124内の酸素濃度の時間推移を示す。94は、92の途中93の時点で、第2実施例に係る柱内の雰囲気吸引を開始した場合の酸素濃度の時間推移を示す。 図9に示すように、第2実施例においては、サブ筺体119を構成する柱内の雰囲気を排気することにより、移載室124内の雰囲気の淀みを解消し、移載室124内の酸素濃度を短時間で低減することができる。 ここで、柱内の雰囲気の排気は、移載室124の移載室排気部へ接続し排気する構成としても良い。
【0046】
以上説明した第2実施例によれば、少なくとも次の(B1)〜(B4)の効果を得ることができる。 (B1)サブ筺体を構成する柱を中空構造とし、柱の中空部を移載室内よりも低圧となるよう構成したので、柱近傍に淀んだ雰囲気を排出することができる。 (B2)サブ筺体を構成する柱を中空構造とし、該中空構造の柱の側壁に吸引穴を設け、移載室内の雰囲気を柱の中空部に吸引して、基板処理装置外へ排出するよう構成したので、柱近傍に淀んだ雰囲気を排出することができる。 (B3)サブ筺体を構成する複数の柱を中空構造とするとともに連結して接合し、各柱の内部を連通させ、各柱の側壁に吸引穴を設け、移載室内の雰囲気を各柱の中空部に吸引して、基板処理装置外へ排出するよう構成したので、移載室内に淀んだ雰囲気の排出を効果的に実現することができる。 (B4)サブ筺体を構成する複数の柱がツリー構造を形成するように構成したので、柱内の雰囲気が滞ることを抑制できる。
【0047】
(第3実施例) 第3実施例は、上述した第1実施例と第2実施例を組み合わせたものである。すなわち、第3実施例においては、第1実施例におけるハットリブ31と、第2実施例における取付け柱41や筺体補強柱51や筺体支柱52とを連結して接合し、ハットリブ31の内部と各柱の内部とを連通させ、該ハットリブ31と各柱の内部の雰囲気を基板処理装置外へ排出するものである。
【0048】
第3実施例によれば、上述した第1実施例と第2実施例の効果に加え、少なくとも次の(C1)の効果を得ることができる。 (C1)ハットリブと各柱の内部の雰囲気を基板処理装置外へ排出する排気系を簡素化できる。
【0049】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。 前記実施形態では、ウエハ移載機やボート搬送機を備えボートとポッドとの間でウエハを移載する移載室(搬送室)に対し本発明を適用したが、本発明の適用対象は移載室に限られるものではなく、酸素濃度を低減させる必要のある基板待機室等にも適用可能である。また、ウエハ移載機やボート搬送機が移載室外に設けられる場合にも適用可能である。 前記実施形態では、サブ筺体119、ハットリブ31、取付け柱41、筺体補強柱51、筺体支柱52は、ステンレス製であるが、他の材質、例えばアルミ製とすることもできる。
【0050】
本発明は、縦型あるいは横型のバッチ処理装置だけでなく、一度に基板を1枚又は数枚程度処理する枚葉装置にも適用できる。 本発明は、半導体製造装置だけでなく、LCD製造装置のようなガラス基板を処理する装置や、他の基板処理装置にも適用できる。基板処理の処理内容は、CVD、PVD、ALD、エピタキシャル成長膜、酸化膜、窒化膜、金属含有膜等を形成する成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、拡散処理、エッチング処理、露光処理、リソグラフィ、塗布処理、モールド処理、現像処理、ダイシング処理、ワイヤボンディング処理、検査処理等であってもよい。
【0051】
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0052】
(付記1) 本発明の一態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室に対し基板を搬送させるために用いる搬送室と、 を備える基板処理装置であって、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、を備え、 前記隔離空間を排気する排気部を備える基板処理装置が提供される。
【0053】
(付記2) 付記1の基板処理装置において、好ましくは、 前記搬送室は、当該搬送室の筺体を補強する中空構造の筺体補強柱を備え、 前記筺体補強柱の中空部を排気するよう構成される。
【0054】
(付記3) 付記2の基板処理装置において、好ましくは、 前記筺体補強柱と前記隔離空間形成部材とが連結されて、前記筺体補強柱の中空部と前記隔離空間とが連通され、 前記排気部が、前記隔離空間と前記筺体補強柱の中空部とを排気するよう構成される。
【0055】
(付記4) 付記1乃至3のいずれか1つに記載の基板処理装置において、好ましくは、 前記搬送室は、 基板を基板保持具に移載する基板移載手段と、 基板を保持した基板保持具を前記処理室に搬入する基板保持具搬送手段と、 前記基板移載手段と前記基板保持具搬送手段とを前記搬送室の筺体に取り付ける中空構造の取付け柱と、を備え、 前記取付け柱の中空部を排気するよう構成される。
【0056】
(付記5) 付記4の基板処理装置において、好ましくは、 前記筐体補強柱と前記隔離空間形成部材と前記取付け柱の中空部が連結されて、前記筐体補強柱の中空部と前記隔離空間と前記取付け柱の中空部が連通され、 前記排気部が、前記隔離空間と前記筐体の補強柱と前記取付け柱の中空部とを排気するよう構成される。
【0057】
(付記6) 付記4の基板処理装置において、好ましくは、 前記筐体補強柱と前記取付け柱の中空部が連結されて、前記筐体補強柱と前記取付け柱の中空部が連通され、前記筐体補強柱と前記取付け柱の中空部を排気する第一の排気部と、前記隔離空間を排気する第二の排気部とを備える。
【0058】
(付記7) 付記4乃至6のいずれか1つに記載の基板処理装置において、好ましくは 前記隔離空間形成部材、前記筐体補強柱および前記取付け柱の側面には少なくとも1つの吸引穴を備える。
【0059】
(付記8) 付記1乃至7のいずれか1つに記載の基板処理装置において、好ましくは 前記移載室は、前記移載室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、前記移載室内を排気する移載室排気部とを有し、前記移載室に不活性ガスを供給し排気するよう構成されている。
【0060】
(付記9) 付記8の基板処理装置において、好ましくは 前記排気部は、前記移載室排気部に連結するよう構成される。
【0061】
(付記10) 本発明の他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室で処理する前の基板を待機させる待機室と、 を備える基板処理装置であって、 前記待機室は、 当該待機室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該待機室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、を備え、 前記隔離空間を排気する排気部を備える基板処理装置が提供される。
【0062】
(付記11) 本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室に対し基板を搬送する搬送室と、 を備える基板処理装置であって、 前記搬送室は、 基板を基板保持具に移載する基板移載手段と、 基板を保持した基板保持具を前記処理室に搬入する基板保持具搬送手段と、 前記基板移載手段と前記基板保持具搬送手段とを前記搬送室の筺体に取り付ける中空構造の取付け柱と、を備え、 前記取付け柱の中空部を排気する排気部を備える基板処理装置が提供される。
【0063】
(付記12) 本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 記処理室に対し基板を搬送させるために用いる搬送室と、を備え、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、 を備える基板処理装置を用いる半導体装置の製造方法であって、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0064】
(付記13) 本発明のさらに他の態様によれば、 処理室に対し基板を搬送させるために用いる搬送室であって、当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、前記複数の壁体が接合する接合部と、当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように前記接合部を覆う隔離空間形成部材とを備える搬送室を準備する工程と、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0065】
(付記14) 本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室と、 前記処理室に対し基板を搬送させるために用いる搬送室と、を備え、 前記搬送室は、 当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、 前記複数の壁体が接合する接合部と、 当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部材と、 を備える基板処理装置を用いる基板処理方法であって、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える基板処理方法が提供される。
【0066】
(付記15) 本発明のさらに他の態様によれば、 処理室に対し基板を搬送させるために用いる搬送室であって、当該搬送室の筺体を形成する複数の壁体と、前記複数の壁体が接合する接合部と、当該搬送室と隔離された隔離空間を形成するように前記接合部を覆う隔離空間形成部材とを備える搬送室を準備する工程と、 前記搬送室から前記処理室へ基板を搬入する工程と、 前記隔離空間を排気する工程と、 前記処理室に搬入された基板を処理する工程と、 を備える基板処理方法が提供される。
【0067】
(付記16) 本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室に前記基板を搬送するための搬送室であり、複数の壁体を接合する接合部と、前記搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部を覆う隔離空間形成部とを有する当該搬送室の前記隔離空間形成部を排気する工程と、 前記基板を前記処理室に搬入する工程と、 前記基板を処理する工程と、 を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0068】
(付記17) 本発明のさらに他の態様によれば、 基板を処理する処理室に前記基板を搬送するための搬送室であり、複数の壁体を接合する接合部と、前記搬送室と隔離された隔離空間を形成するように、前記接合部分を覆う隔離空間形成部とを有する当該搬送室の前記隔離空間形成部を排気する工程と、 前記基板を前記搬送室で基板保持具に移載する工程と、 前記基板を前記処理室に搬入する工程と、 前記基板を処理する工程と、 を有する基板処理方法が提供される。
【0069】
尚、この出願は、2012年9月27日に出願された日本出願特願2012−214231を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示のすべてを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0070】
筐体内の酸素濃度を所望の濃度まで低下させる時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0071】
31…隔離空間形成部材(ハットリブ)、31a…鍔部、32…通風管(ダクト)、33…吸引部、41…取付け柱、41a…ボートエレベータ取付け柱、41b…移載エレベータ取付け柱、41h…吸引穴、41s…隔離空間、51…筺体補強柱、51h…連通穴、52…筺体支柱、100…基板処理装置、105…回転棚、110…ポッド、111…筐体、111a…正面壁、112…ポッド搬入搬出口、113…フロントシャッタ、114…ロードポート、115…ボートエレベータ(基板保持具搬送機)、116…支柱、117…棚板、118…ポッド搬送装置、118a…ポッドエレベータ、118b…ポッド搬送機構、119…サブ筐体、119a…正面壁、119b…壁体、119c…壁体、119d…接合部、120…ウエハ搬入搬出口、121…ポッドオープナ、122…載置台、123…キャップ着脱機構、124…移載室(搬送室)、125…ウエハ移載機構(基板移載機)、125a…ウエハ移載装置、125b…ウエハ移載装置エレベータ、128…アーム、133…クリーンエア、134…クリーンユニット、142…ウエハ搬入搬出開口、147…炉口キャップ、200…ウエハ(基板)、202…処理炉、217…ボート(基板保持具)、219…シールキャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9