(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016940
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-546780(P2014-546780)
(86)(22)【出願日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】JP2012079619
(87)【国際公開番号】WO2014076790
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】西山 識
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−167898(JP,A)
【文献】
特開2012−134258(JP,A)
【文献】
特開平11−004099(JP,A)
【文献】
特開2004−225732(JP,A)
【文献】
特開平11−097897(JP,A)
【文献】
特開平06−209192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるR軸の回りを回転可能に設けられた回転ヘッドと、
前記回転ヘッドにその円周方向に所定間隔で下降可能に保持された複数のノズルホルダと、
前記複数のノズルホルダにそれぞれ下向きに保持され、部品を吸着する複数の吸着ノズルと、
前記回転ヘッドを前記R軸の回りを回転させることで前記複数のノズルホルダを前記複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させるR軸駆動機構と、
前記複数のノズルホルダをそれぞれ各ノズルホルダの軸心線の回りを回転させることで各ノズルホルダに保持された各吸着ノズルに吸着した各部品の向きを修正するQ軸駆動機構と
を備えた部品吸着装置をヘッド移動機構によって移動させるように構成した部品実装機において、
前記R軸駆動機構と前記Q軸駆動機構を組み付けた駆動ユニットが前記ヘッド移動機構に取り付けられ、
前記駆動ユニットに対して、前記複数のノズルホルダが保持された前記回転ヘッドが着脱可能に連結され、
前記回転ヘッドには、前記Q軸駆動機構の回転力を前記各ノズルホルダに伝達するノズル回転ギア機構が設けられ、
前記ノズル回転ギア機構と前記Q軸駆動機構とを連結する部分の一方側の連結部材に位置決め突起部が設けられ、他方側の連結部材に前記位置決め突起部を挟み付ける挟み機構が設けられ、前記位置決め突起部が前記挟み機構で挟み付けられることで、前記Q軸駆動機構の連結部材に対して前記ノズル回転ギア機構の連結部材が回転方向のガタを無くして連結されることを特徴とする部品実装機。
【請求項2】
前記挟み機構は、位置が固定された基準ローラと、前記基準ローラとの間隔を変化させる可動ローラと、前記可動ローラを前記基準ローラの方向に付勢する付勢手段とから構成され、前記基準ローラと前記可動ローラとの間に前記位置決め突起部が挟み付けられることを特徴とする請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
交換用の回転ヘッドを載置する回転ヘッド載置台と、前記ヘッド移動機構によって移動するカメラとを備え、
部品実装機の動作を制御する制御装置は、前記回転ヘッド載置台に載置された前記回転ヘッドの前記位置決め突起部又は前記挟み機構を前記カメラで撮像して前記位置決め突起部又は前記挟み機構の位置を認識し、その認識結果に基づいて前記位置決め突起部と前記挟み機構とを位置合わせして前記駆動ユニットを前記回転ヘッドと連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記ノズル回転ギア機構は、前記回転ヘッドに回転可能に保持された円筒ギアと、前記各ノズルホルダにそれぞれ取り付けられた小ギアとを噛み合わせ、前記駆動ユニットの前記Q軸駆動機構によって前記円筒ギアを回転させて前記各ノズルホルダの前記小ギアを回転させることで前記各ノズルホルダを回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品実装機。
【請求項5】
前記駆動ユニットには、前記回転ヘッドの回転により所定位置まで回転された前記ノズルホルダを下降させるZ軸駆動機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ヘッド(ロータリヘッド)にその円周方向に所定間隔で複数のノズルホルダを下降可能に設けた部品実装機に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
回転ヘッド型の部品実装機は、例えば特許文献1(特開2004−39818号公報)に記載されているように、回転ヘッドにその円周方向に複数のノズルホルダを所定間隔で下降可能に設けると共に、各ノズルホルダにそれぞれ吸着ノズルを下向きに保持させ、更に、R軸駆動機構により回転ヘッドをR軸(鉛直軸)の回りを回転させることで、複数のノズルホルダをそれらに保持した複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させると共に、その旋回軌道の所定位置で、Z軸駆動機構により1つのノズルホルダを下降させることで部品の吸着・実装を行い、Q軸駆動機構により各ノズルホルダをその軸心線の回りを回転させることで、各ノズルホルダに保持した各吸着ノズルに吸着した各部品の向き(角度)を修正するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−39818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルホルダに保持させる吸着ノズルは、吸着する部品の種類(サイズ、形状等)に応じた適切な径寸法・パッド形状の吸着ノズルを使用する必要がある。このため、ノズルホルダに保持させる吸着ノズルを、吸着する部品の種類に応じて交換できるように構成したものがあるが、回転ヘッドを交換できないため、その回転ヘッドに組み付けられたノズルホルダに取付可能な吸着ノズルの種類(サイズ、形状等)が制限されてしまい、吸着可能な部品の種類が制限されてしまう。
【0005】
この課題を解決するために、本発明者は、部品実装機のヘッド移動機構に回転ヘッドを交換可能に取り付ける構成を研究しているが、回転ヘッドとR軸駆動機構やQ軸駆動機構等の駆動ユニットを含む部品吸着装置全体を部品実装機のヘッド移動機構から取り外して自動交換するように構成すると、交換する装置部分が大型化・高コスト化してしまう。
【0006】
そこで、本発明者は、回転ヘッドを駆動ユニットから分離して着脱できるように構成して、交換する全ての回転ヘッドに対して駆動ユニットを共通して使用できるようにする構成を研究しているが、この場合、回転ヘッドを駆動ユニットに連結する際に、回転ヘッドの回転方向の位置精度を確保するために、回転ヘッドのノズル回転ギア機構を駆動ユニットのQ軸駆動機構にガタ(遊び)が無いように連結する必要があり、これを実現する連結構造を新たに開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上下方向に延びるR軸の回りを回転可能に設けられた回転ヘッドと、前記回転ヘッドにその円周方向に所定間隔で下降可能に保持された複数のノズルホルダと、前記複数のノズルホルダにそれぞれ下向きに保持され、部品を吸着する複数の吸着ノズルと、前記回転ヘッドを前記R軸の回りを回転させることで前記複数のノズルホルダを前記複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させるR軸駆動機構と、前記複数のノズルホルダをそれぞれ各ノズルホルダの軸心線の回りを回転させることで各ノズルホルダに保持された各吸着ノズルに吸着した各部品の向きを修正するQ軸駆動機構とを備えた部品吸着装置をヘッド移動機構によって移動させるように構成した部品実装機において、前記R軸駆動機構と前記Q軸駆動機構を組み付けた駆動ユニットが前記ヘッド移動機構に取り付けられ、前記駆動ユニットに対して、前記複数のノズルホルダが保持された前記回転ヘッドが着脱可能に連結され、前記回転ヘッドには、前記Q軸駆動機構の回転力を前記各ノズルホルダに伝達するノズル回転ギア機構が設けられ、前記ノズル回転ギア機構と前記Q軸駆動機構とを連結する部分の一方側の連結部材に位置決め突起部が設けられ、他方側の連結部材に前記位置決め突起部を挟み付ける挟み機構が設けられ、前記位置決め突起部が前記挟み機構で挟み付けられることで、前記Q軸駆動機構の連結部材に対して前記ノズル回転ギア機構の連結部材が回転方向のガタを無くして連結されることを特徴とするものである。
【0008】
この構成では、ノズル回転ギア機構とQ軸駆動機構とを連結する部分の一方側の連結部材に設けた位置決め突起部を、他方側の連結部材に設けた挟み機構で挟み付けるようにしたので、回転ヘッドのノズル回転ギア機構を駆動ユニットのQ軸駆動機構にガタ無く連結することができる。更に、部品吸着装置の駆動ユニットから回転ヘッドを分離して着脱できるため、交換する全ての回転ヘッドに対して駆動ユニットを共通して使用できる。これにより、交換する回転ヘッドに駆動ユニットを組み付ける必要がなくなり、交換する回転ヘッドの小型化・低コスト化や交換作業スペースの省スペース化を実現できる。
【0009】
この場合、挟み機構を、位置が固定された基準ローラと、この基準ローラとの間隔を変化させる可動ローラと、この可動ローラを前記基準ローラの方向に付勢する付勢手段とから構成し、前記基準ローラと前記可動ローラとの間に前記位置決め突起部を挟み付けるようにすると良い。このようにすれば、基準ローラと可動ローラとの間に位置決め突起部を挿入する際に、両ローラの回転により位置決め突起部を挿入しやすくなると共に、基準ローラを基準にして位置決め突起部を位置決めして挟み付けることができ、回転ヘッドの回転方向の位置精度を向上できる。
【0010】
また、本発明は、交換用の回転ヘッドを載置する回転ヘッド載置台と、前記ヘッド移動機構によって移動するカメラとを備え、部品実装機の動作を制御する制御装置は、前記回転ヘッド載置台に載置された回転ヘッドの位置決め突起部又は挟み機構を前記カメラで撮像して前記位置決め突起部又は前記挟み機構の位置を認識し、その認識結果に基づいて前記位置決め突起部と前記挟み機構とを位置合わせして前記駆動ユニットを前記回転ヘッドと連結するようにすると良い。このようにすれば、部品実装機の回転ヘッド載置台に載置された回転ヘッドのQ軸駆動機構のギア位相(ギアの回転位相)がどの様な位相であっても、部品吸着装置の駆動ユニットのQ軸駆動機構のギア位相を回転ヘッド載置台上の回転ヘッドのギア位相に自動的に合わせて位置決め突起部を挟み機構で挟み付けて連結することができる。
【0011】
この場合、ノズル回転ギア機構は、回転ヘッドに回転可能に保持された円筒ギアと、各ノズルホルダにそれぞれ取り付けられた小ギアとを噛み合わせ、駆動ユニットのQ軸駆動機構によって前記円筒ギアを回転させて前記各ノズルホルダの前記小ギアを回転させることで前記各ノズルホルダを回転させるように構成とすれば良い。これにより、駆動ユニットのQ軸駆動機構の回転力を各ノズルホルダに伝達するノズル回転ギア機構を、1つの円筒ギアと各ノズルホルダの小ギアとで構成できる。
【0012】
また、駆動ユニットには、回転ヘッドの回転により所定位置まで回転されたノズルホルダを下降させるZ軸駆動機構を設けた構成としても良い。このようにすれば、交換する全ての回転ヘッドに対してZ軸駆動機構も共通して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施例の部品吸着装置の駆動ユニットから回転ヘッドを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は部品吸着装置の駆動ユニットに回転ヘッドを連結した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は挟み機構の基準ローラと可動ローラとの間に位置決め突起部を挟み付けた状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は回転ヘッドの基準マークをカメラで撮像して認識する動作を説明する正面図である。
【
図6】
図6は回転ヘッドの基準マークをカメラで撮像して認識する動作を説明する上面図である。
【
図7】
図7は部品実装機の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、部品実装機の部品吸着装置10の構成を説明する。
【0015】
部品吸着装置10の回転ヘッド11には、その円周方向に所定間隔で複数のノズルホルダ12が下降可能に保持され、各ノズルホルダ12の下部には、それぞれ部品を吸着する吸着ノズル13が下向きに保持されている。各ノズルホルダ12は、それぞれスプリング36によって上方に付勢されている。尚、
図1、
図2には、ノズルホルダ12が1本のみ図示され、他のノズルホルダ12の図示が省略されている。
【0016】
回転ヘッド11は、駆動ユニット41の下方に延びるR軸14に交換可能(着脱可能)に連結され、該R軸14の上端には、R軸駆動機構15のR軸ギア16が同心状に固定されている。このR軸ギア16には、R軸モータ17の回転軸18に固定されたギア19が噛み合い、R軸モータ17のギア19の回転によりR軸ギア16が回転して、回転ヘッド11がR軸14を中心にして回転することで、複数のノズルホルダ12が複数の吸着ノズル13と一体的に該回転ヘッド11の円周方向に旋回するようになっている。
【0017】
R軸14には、Q軸駆動機構20のQ軸ギア21が回転可能に挿通され、該Q軸ギア21には、Q軸モータ24の回転軸25に固定されたギア26が噛み合い、Q軸モータ24のギア26の回転によりQ軸ギア21がR軸14の回りを回転するようになっている。Q軸ギア21の下面に、リング状のフランジ部42(連結部材)が下方に突出するように設けられ、該フランジ部42の外周面の所定位置に、後述する円筒ギア48の位置決め突起部53を挟み付ける挟み機構43が設けられている。
【0018】
この挟み機構43は、位置が固定された基準ローラ44と、この基準ローラ44との左右方向(Q軸ギア21の回転方向)の間隔を変化させる可動ローラ45と、この可動ローラ45を基準ローラ44の方向に付勢する付勢手段であるばね40(
図3参照)とから構成され、基準ローラ44と可動ローラ45との間に円筒ギア48の位置決め突起部53が挟み付けられるようになっている。本実施例では、位置決め突起部53が複数個(例えば2個)設けられているため、位置決め突起部53の数と同数の挟み機構43が各位置決め突起部53と対応する位置に設けられている。尚、本発明は、位置決め突起部53と挟み機構43は、それぞれ1個ずつ設けた構成としても良い。
【0019】
R軸14は、回転ヘッド11を着脱可能に保持するヘッド保持部として機能し、該R軸14の下端部に、回転ヘッド11を着脱可能に係合保持するための複数(例えば4個)の係合部材46が上下方向に移動可能に設けられ、各係合部材46の近傍には、それぞれ係合部材46を上下方向に駆動するエアシリンダ(図示せず)が設けられている。各係合部材46は、それぞれL字状又はJ字状に形成されて、R軸14の円周方向に等間隔に配列され、各係合部材46の爪部の向きがR軸14の正回転方向(又は逆回転方向)と同じ方向となるように揃えられている。
【0020】
一方、回転ヘッド11には、Q軸ギア21の回転力を各ノズルホルダ12に伝達するノズル回転ギア機構47が設けられている。ノズル回転ギア機構47は、回転ヘッド11の上部側に同心状に回転可能に保持された円筒ギア48と、各ノズルホルダ12にそれぞれ取り付けられた小ギア49とを噛み合わせ、駆動ユニット41のQ軸ギア21によって円筒ギア48を回転さて各ノズルホルダ12の小ギア49を回転させることで、各ノズルホルダ12がそれぞれ各ノズルホルダ12の軸心線の回りを回転して、各ノズルホルダ12に保持された各吸着ノズル13に吸着した各部品の向き(角度)を修正するようになっている。
【0021】
円筒ギア48は、R軸14を挿入できるように形成されている。
図4に示すように、回転ヘッド11の上面部のうちの円筒ギア48の内側の位置には、R軸14の各係合部材46を挿通するための複数の長孔50が円周方向に等間隔に形成され、各長孔50の一方向側に、係合部材46の爪部が係合する被係合ピン51(被係合部材)が回転ヘッド11の径方向に貫通固定されている。各長孔50内のうちの被係合ピン51の側方には、係合部材46が上下方向にすり抜ける隙間が確保されている。
【0022】
駆動ユニット41に回転ヘッド11を連結する際に、R軸14を円筒ギア48内に挿入してR軸14の各係合部材46を回転ヘッド11の各長孔50に挿通し、R軸ギア16の回転によりR軸14を回転させて各係合部材46を各長孔50内の被係合ピン51に係合させた状態で各係合部材46を引き上げて保持する。
【0023】
円筒ギア48(連結部材)の上端部には、複数(例えば2個)の位置決め突起部53が所定間隔で上方に突出するように形成されている。複数の位置決め突起部53のうちの1つの位置決め突起部53の上面には、該円筒ギア48の基準位置を表示する基準マーク54(基準位置表示部)が形成されている。
【0024】
駆動ユニット41に回転ヘッド11を連結する際に、
図2に示すように、各位置決め突起部53が各挟み機構43の基準ローラ44と可動ローラ45との間に挿入されて挟み付けられることで、Q軸ギア21に対して円筒ギア48が回転方向のガタを無くして連結される。これにより、Q軸ギア21と円筒ギア48とが一体に回転する状態となると共に、基準マーク54(位置決め突起部53)の位置を基準にして部品吸着装置10の駆動ユニット41のギア位相(Q軸ギア21の回転位相)が回転ヘッド11のギア位相(円筒ギア48の回転位相)に合致された状態となる。
【0025】
駆動ユニット41には、R軸駆動機構15とQ軸駆動機構20の他にZ軸駆動機構28が組み付けられ、該Z軸駆動機構28により、ノズルホルダ12の旋回軌道の所定の停止位置で、ノズルホルダ12を下降させるように構成されている。Z軸駆動機構28は、アクチュエータとしてZ軸モータ29を用い、このZ軸モータ29により送りねじ30を回転させてZ軸スライド31を上下方向に移動させることで、ノズルホルダ12の上端に設けられた係合片32に該Z軸スライド31を係合させて該ノズルホルダ12を上下動させるようになっている。
【0026】
尚、Z軸モータ29としてリニアモータを用いてZ軸スライド31を上下方向に移動させるようにしても良い。或は、リニアモータに代えて、リニアソレノイド、エアーシリンダ等を用いても良い。Z軸駆動機構28は、1個のみ設けるようにしても良いし、回転ヘッド11の円周方向に所定角度間隔で複数個設けるようにしても良い。
【0027】
以上のように構成した部品吸着装置10の駆動ユニット41は、部品実装機のヘッド移動機構55(
図7参照)に支持されてXYZ方向に移動するようになっている。部品実装機の制御装置56(制御手段)は、生産プログラムに従って、ヘッド移動機構55、駆動ユニット41のR軸モータ17、Q軸モータ24及びZ軸モータ29を制御して、複数のフィーダ57から供給される部品を吸着ノズル13に吸着して回路基板に実装する動作を制御する。
【0028】
部品実装機には、回路基板の基準マークを撮像するカメラ58が搭載され、ヘッド移動機構55によってカメラ58が部品吸着装置10と一体的に移動するようになっている。更に、部品実装機には、駆動ユニット41から取り外した回転ヘッド11を載置する回転ヘッド載置台60(
図5参照)が設けられている。回転ヘッド載置台60上には、複数の交換用の回転ヘッド11を載置できるようになっている。カメラ58は、回路基板の基準マークの他に、回転ヘッド載置台60上の回転ヘッド11の基準マーク54を撮像するカメラとしても使用される。
【0029】
次に、回転ヘッド載置台60に載置されている回転ヘッド11を部品吸着装置10の駆動ユニット41に連結する方法を説明する。
【0030】
まず、
図5に示すように、回転ヘッド載置台60に載置されている回転ヘッド11の上方へカメラ58を移動させて、カメラ58で円筒ギア48の上端部を撮像して、それを画像処理して基準マーク54の有無を判定し、基準マーク54が無いと判定されれば、カメラ58の位置(撮像エリア)を円筒ギア48の円周方向に少しずらして撮像し、それを画像処理して基準マーク54の有無を判定するという処理を繰り返して基準マーク54を探し出す(
図6参照)。これにより、基準マーク54(基準位置の位置決め突起部53)の位置を検出して、円筒ギア48の回転位相を検出する。
【0031】
この後、ヘッド移動機構55により駆動ユニット41のR軸14を回転ヘッド11の上方へ移動させると共に、Q軸モータ24により該駆動ユニット41のQ軸ギア21の回転位相を回転ヘッド11の円筒ギア48の回転位相に合わせる。この後、ヘッド移動機構55により駆動ユニット41を下降させてR軸14を円筒ギア48内に挿入し、Q軸ギア21の各挟み機構43の基準ローラ44と可動ローラ45との間に円筒ギア48の各位置決め突起部53を差し込んで挟み付ける。この際、R軸14の各係合部材46を回転ヘッド11の各長孔50に挿通し、R軸モータ17によりR軸ギア16を回転させてR軸14を回転させて各係合部材46を各長孔50内の被係合ピン51に係合させた後、エアシリンダ(図示せず)により各係合部材46を引き上げて係合状態を保持する。これにより、駆動ユニット41に回転ヘッド11を連結する動作が完了する。
【0032】
以上説明した本実施例によれば、部品吸着装置10の駆動ユニット41に回転ヘッド11を着脱可能に連結する構造において、回転ヘッド11のノズル回転ギア機構47側の位置決め突起部53を駆動ユニット41のQ軸駆動機構20側の挟み機構43で挟み付けるようにしたので、回転ヘッド11のノズル回転ギア機構47を駆動ユニット41のQ軸駆動機構43にガタ無く連結することができる。
【0033】
更に、挟み機構43を、位置が固定された基準ローラ44と、この基準ローラ44との間隔を変化させる可動ローラ45と、この可動ローラ45を前記基準ローラ44の方向に付勢するばね40とから構成し、基準ローラ44と可動ローラ45との間に位置決め突起部53を挟み付けるようにしたので、基準ローラ44と可動ローラ45との間に位置決め突起部53を挿入する際に、両ローラ44,45の回転により位置決め突起部53を挿入しやすくなると共に、基準ローラ44を基準にして位置決め突起部53を位置決めして挟み付けることができ、回転ヘッド11の回転方向の位置精度を向上できる。
【0034】
また、部品吸着装置10の駆動ユニット41から回転ヘッド11を分離して着脱できるため、交換する全ての回転ヘッド11に対して駆動ユニット41を共通して使用できる。これにより、交換する回転ヘッド11に駆動ユニット41を組み付ける必要がなくなり、交換する回転ヘッド11の小型化・低コスト化や交換作業スペースの省スペース化を実現できる。しかも、回転ヘッド11のノズル回転ギア機構47の円筒ギア48に、基準位置を表示する基準マーク54(位置決め突起部53)を設けているため、基準マーク54(位置決め突起部53)の位置によって回転ヘッド11のギア位相(ノズル回転ギア機構47のギア位相)を検出できる。これにより、回転ヘッド11を部品吸着装置10の駆動ユニット41に連結する際に、基準マーク54(基準位置の位置決め突起部53)の位置を基準にして部品吸着装置10の駆動ユニット41のギア位相(Q軸ギア21の回転位相)を回転ヘッド11のギア位相(円筒ギア48の回転位相)に正確に合わせることができる。
【0035】
しかも、本実施例では、回転ヘッド載置台60に載置された回転ヘッド11の基準マーク54をその上方からカメラ58で撮像して該基準マーク54の位置を認識し、その認識結果に基づいて駆動ユニット41のギア位相を回転ヘッド11のギア位相に合わせて該駆動ユニット41を該回転ヘッド11と連結するようにしたので、部品実装機の回転ヘッド載置台60に載置された回転ヘッド11のギア位相がどの様なギア位相であっても、部品吸着装置10の駆動ユニット41のギア位相を回転ヘッド載置台60上の回転ヘッド11のギア位相に自動的に合わせて連結することができる。これにより、回転ヘッド載置台60に回転ヘッド11を載置する際に、回転ヘッド11のギア位相を特定の位相に合わせる必要がなくなり、回転ヘッド載置台60の構造を簡略化して、回転ヘッド載置台60の部品点数削減やコスト削減を実現できる。
【0036】
尚、上記実施例では、回転ヘッド11のノズル回転ギア機構47側に位置決め突起部53を設け、駆動ユニット41のQ軸駆動機構20側に挟み機構43を設けたが、これとは反対に、駆動ユニット41のQ軸駆動機構20側に位置決め突起部を設け、回転ヘッド11のノズル回転ギア機構47側に挟み機構43を設けた構成としても良い。
【0037】
また、挟み機構43は、ローラ44,45を用いた構成に限定されず、例えば、ばね部材で位置決め突起部53を挟み付ける構成としても良い。
【0038】
その他、本発明は上記実施例に限定されず、例えば、駆動ユニット41に回転ヘッド11を係合保持する構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0039】
10…部品吸着装置、11…回転ヘッド、12…ノズルホルダ、13…吸着ノズル、14…R軸、15…R軸駆動機構、16…R軸ギア、17…R軸モータ、20…Q軸駆動機構、21…Q軸ギア、24…Q軸モータ、28…Z軸駆動機構、29…Z軸モータ、30…送りねじ、31…Z軸スライド、32…係合片、40…ばね(付勢手段)、41…駆動ユニット、42…フランジ部(連結部材)、43…挟み機構、44…基準ローラ、45…可動ローラ、46…係合部材、47…ノズル回転ギア機構、48…円筒ギア(連結部材)、49…小ギア、50…長孔、51…被係合ピン、53…位置決め突起部、54…基準マーク、55…ヘッド移動機構、56…制御装置、58…カメラ、60…回転ヘッド載置台