(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
7.62±0.2°2Θ、13.11±0.2°2Θ、13.76±0.2°2Θ、および14.05±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンを有する請求項4記載の式(I)の化合物のトリベンゼンスルホン酸塩。
6.85±0.2°2Θ、7.62±0.2°2Θ、8.01±0.2°2Θ、13.11±0.2°2Θ、13.76±0.2°2Θ、14.05±0.2°2Θ、および14.60±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンを有する請求項4記載の式(I)の化合物のトリベンゼンスルホン酸塩。
7.62±0.2°2Θ、13.11±0.2°2Θ、13.76±0.2°2Θ、14.05±0.2°2Θ、17.10±0.2°2Θ、17.86±0.2°2Θ、および18.10±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンを有する請求項4記載の式(I)の化合物のトリベンゼンスルホン酸塩。
5.42±0.2°2Θ、8.86±0.2°2Θ、14.06±0.2°2Θ、17.52±0.2°2Θ、および18.51±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンを有する請求項8記載の式(I)の化合物の三塩酸塩・二水和物。
5.42±0.2°2Θ、5.91±0.2°2Θ、8.86±0.2°2Θ、10.80±0.2°2Θ、11.79±0.2°2Θ、14.06±0.2°2Θ、14.72±0.2°2Θ、17.02±0.2°2Θ、17.52±0.2°2Θ、および18.51±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンを有する請求項8記載の式(I)の化合物の三塩酸塩・二水和物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
I.定義
本明細書で使用する時、下記の用語は、特に断らない限り、それらに基づく意味を有する。
【0017】
「薬学的組成物」は、ヒトに投与するのに適した、安全性/有効性のプロファイルを有する組成物を意味する。
【0018】
「薬学的に許容され得る賦形剤」は、生理学的に許容され得る材料を意味し、前記材料は、ヒトに投与された場合に、典型的には、アレルギー性または他の不都合な反応、例えば、異常亢進、めまい等を生じない。
【0019】
「薬学的に許容され得る塩」は、ヒトに投与するのに適した、安全性/有効性のプロファイルを有する塩を意味する。
【0020】
「対象」は、哺乳類のメンバーを意味する。哺乳類の例は、これらに限定されるものではないが、ヒト、霊長類、チンパンジー、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、家畜、イヌ、ネコ、ヒツジ、およびウシを含む。
【0021】
「治療的に有効量」は、特定の対象または対象群において処置される障害または症状に関連する兆候の悪化を改善または阻害をするのに十分な化合物量を意味する。適切な剤型、投与量、および投与経路の決定は、薬学および医学の分野における当業者のレベル内であることが、理解されるべきである。
【0022】
「処置」は、処置される障害に関連するか、または、同障害により引き起こされる少なくとも1つの兆候または特徴の、急性的若しくは予防的減弱または緩和を意味する。例えば、処置は、障害の兆候の減弱または障害の完全な根絶を含み得る。
【0023】
II.化合物
本発明は、式(I)
【化3】
【0024】
の化合物またはその塩形態を提供する。前記式(I)の化合物は、化学名2−[[5−クロロ−2[[(6S)−6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−2−イル]アミノ]ピリミジン−4−イル]アミノ]−N−メチル−ベンズアミドを有し、CEP−37440としても知られている。我々は、前記式(I)の化合物が、CEP−28122および他の関連化合物と比較して、驚くべき、予期しない特性を有することを見出してきた。
【0025】
前記式(I)の化合物の塩形態は、好ましくは、薬学的に許容され得る。前記式(I)の化合物の薬学的に許容され得る酸塩形態は、これらに限定されるものではないが、無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸由来の塩およびそれらの混合物、ならびに、有機酸、例えば、脂肪族のモノ−およびジカルボン酸、フェニル置換されたアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、ならびに脂肪族および芳香族のスルホン酸由来の塩を含む。したがって、このような酸塩は、これらに限定されるものではないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、およびそれらの混合物を含む。ある実施形態では、前記酸塩は、ベンゼンスルホン酸塩および塩化物から選択される。ある実施形態では、前記酸塩は、塩化物である。ある実施形態では、前記酸塩は、トリベンゼンスルホン酸塩である。ある実施形態では、前記トリベンゼンスルホン酸塩は、7.62、13.11、13.76、および14.05±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられる。ある実施形態では、前記トリベンゼンスルホン酸塩は、6.85、7.62、8.01、13.11、13.76、14.05、および14.60±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられる。ある実施形態では、前記トリベンゼンスルホン酸塩は、7.62、13.11、13.76、14.05、17.10、17.86、および18.10±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられる。ある実施形態では、前記酸塩は、三塩酸である。ある実施形態では、前記酸塩は、三塩酸塩・二水和物である。ある実施形態では、前記三塩酸塩・二水和物は、5.42、8.86、14.06、17.52、および18.51±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられる。ある実施形態では、前記三塩酸塩・二水和物は、5.42、5.91、8.86、10.80、11.79、14.06、14.72、17.02、17.52、および18.51±0.2°2Θから選択される1若しくはそれ以上のピークを有するXRPDパターンにより特徴付けられる。ある実施形態では、前記酸塩は、三塩酸・一水和物である。
【0026】
前記酸付加塩は、前記式(I)の化合物を、十分な量の所望の酸と接触させて、従来の方法で前記塩を産生することにより調製されてもよい。前記式(I)の化合物の遊離塩基形態は、前記塩形態を塩基と接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することにより再生されてもよい。
【0027】
本発明は、任意の物理的形状、例えば、非晶質または結晶質の固体、任意の多形体、任意の純粋な状態における、前記式(I)の化合物およびそれらの塩形態を含む。結晶質の多形体は、非溶解型および溶解型、例えば、水和型を含む。有機化合物、例えば、前記式(I)の化合物の結晶質および非晶質型を調製する方法は、当業者に周知である。
【0028】
III.薬学的組成物
本発明は、薬学的に許容され得る賦形剤と共に、本発明の化合物(例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩)を有する薬学的組成物をさらに提供する。本発明の化合物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容され得る賦形剤は、固体または液体のいずれかであることができる。賦形剤は、例えば、キャリア、希釈剤、着香料、バインダ、保存料、錠剤の崩壊剤、または封入材料として作用し得る、1若しくはそれ以上の物質であることができる。前記薬学的組成物は、2若しくはそれ以上の本発明の化合物(例えば、2若しくはそれ以上の式(I)の化合物の異なる塩形態)を含んでもよい。好ましくは、前記薬学的組成物は、治療的に有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を含む。一実施形態では、前記組成物は、ALK−またはFAK−媒介性の障害または症状を処置するのに有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を含む。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、ALK−またはFAK−媒介性の障害に関連する兆候または疾患の症状を、量的または質的に測定された場合に、低下させるであろう。前記組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態および薬学的に許容され得る賦形剤に加えて、別の治療化合物、例えば、ガンの処置に有用な化合物も含んでもよい。
【0029】
本発明の化合物は、任意の形態、例えば、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エマルジョン等で、薬学的組成物として配合され得る。固体状の調製物は、粉末、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散顆粒を含む。好ましくは、前記薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤である。一実施形態では、前記薬学的組成物は、錠剤である。別の実施形態では、前記薬学的組成物は、カプセル剤である。
【0030】
粉末において、前記賦形剤は、微粉化された活性成分を含む混合物における微粉化された固形物でもよい。錠剤において、前記活性成分は、適切な割合において、必要な結合特性を有する賦形剤と混合され、所望の形状およびサイズに固められ得る。適切な賦形剤は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等を含む。
【0031】
前記薬学的組成物は、好ましくは、1%から95%(w/w)の活性化合物を含む。より好ましくは、前記薬学的組成物は、5%から70%(w/w)の活性化合物を含む。
【0032】
坐剤を調製するために、低融点ワックス、例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物が溶融され、前記活性成分が、撹拌によりそれに均質に分散され得る。ついで、前記溶融した均質な混合物は、都合のよいサイズの型に注入され、冷却されることにより、凝固され得る。
【0033】
液体状の調製物は、溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含む。例えば、静脈内、筋肉内、皮内、および皮下の経路等よる非経口投与に適した配合物は、水性および非水性の等張性滅菌注射液を含む。前記注射液は、酸化防止剤、バッファ、静菌剤、ならびに、目的のレシピエントの血液と等張性の配合物にする媒質、ならびに、懸濁剤、溶解剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液を含み得る。この発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注入により、経口、局所、末梢血管内、膀胱内、またはくも膜腔内に投与され得る。前記化合物の配合物は、ユニットドーズまたはマルチドーズで密封された容器、例えば、アンプルおよびバイアルに存在し得る。注射の溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌された粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0034】
単独または、他の適切な成分との組み合わせにおける本発明の化合物は、吸入により投与されるエアロゾル配合物(すなわち、それらは噴霧され得る。)に製造され得る。エアロゾル配合物は、圧縮された許容され得る噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等内に入れられ得る。
【0035】
薬学的に許容され得る賦形剤は、一部において、投与される特定の組成物ならびに前記組成物を投与するのに使用される特定の方法により決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の幅広い各種の適切な配合物が存在する(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Gennaro et al.Eds.,Lippincott Williams and Wilkins,2000を参照のこと。)。
【0036】
前記薬学的組成物における活性成分の量は、特定の用途に基づいて、例えば1mgから1,000mg、5mgから500mg、10mgから300mg、または25mgから250mgで変動または調節され得る。
【0037】
対象に対して投与される用量は、好ましくは、経時的に対象における有益な治療的応答を達成するのに十分である。前記有益な用量は、対象の症状、体重、表面積、または副作用の感受性に応じて、対象間で変動し得る。投与は、単独投与または分割投与により達成され得る。
【0038】
IV.処置方法
別の態様では、本発明は、対象におけるALK−またはFAK−媒介性の障害または症状を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を、前記対象に投与する工程を有する方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象におけるALK−またはFAK−媒介性の障害または症状の処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を提供する。別の態様では、本発明は、対象におけるALK−またはFAK−媒介性の障害または症状を処置するための医薬の調製に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を提供する。好ましくは、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態は、薬学的に許容され得る賦形剤を有する薬学的組成物として、前記対象に投与される。好ましくは、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態は、治療的に有効量で前記対象に投与される。一実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ガンである。別の実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)、非小細胞肺ガン(non−small cell lung cancer:NSCLC)、神経芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、前立腺ガン、扁平上皮ガン(squamous cell carcinoma:SCC)、および乳ガンから選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、および頭頸部扁平上皮ガン(head and neck squamous cell carcinomas:HNSCCs)から選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、およびHNSCCsら選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、および神経膠芽細胞腫から選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、および神経芽細胞腫から選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−陽性ALCLおよびEML4−ALK−陽性NSCLCから選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、およびHNSCCsから選択される。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、ALK−媒介性の症状または障害である。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、FAK−媒介性の症状または障害である。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、筋繊維芽細胞腫である。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、TPM3−ALKまたはTPM4−ALK発ガン遺伝子を有する筋繊維芽細胞腫である。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、TPM3−ALK発ガン遺伝子を有する筋繊維芽細胞腫である。ある実施形態では、前記ALK−またはFAK−媒介性の症状または障害は、TPM4−ALK発ガン遺伝子を有する筋繊維芽細胞腫である。
【0039】
前記ALK−またはFAK−媒介性の障害または症状は、前記障害または症状の性質に応じて、本発明の化合物を使用して、予防的、急性的、または慢性的に処置され得る。好ましくは、これらの方法それぞれにおける対象は、ヒトである。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、対象における増殖性障害を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を、前記対象に投与する工程を有する方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象における増殖性障害を処置するのに使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を提供する。別の態様では、本発明は、対象における増殖性障害を処置するための医薬の調製において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態を提供する。好ましくは、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態は、薬学的に許容され得る賦形剤を有する薬学的組成物において、前記対象に投与される。好ましくは、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩形態は、薬学的に許容され得る量で前記対象に投与される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−またはFAK−媒介性である。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ガンである。ある実施形態では、前記増殖性障害は、未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)、非小細胞肺ガン(non−small cell lung cancer:NSCLC)、神経芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、前立腺ガン、扁平上皮ガン(squamous cell carcinoma:SCC)、および乳ガンから選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、および頭頸部扁平上皮ガン(head and neck squamous cell carcinomas:HNSCCs)から選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、およびHNSCCsから選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、神経芽細胞腫、および神経膠芽細胞腫から選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−陽性ALCL、EML4−ALK−陽性NSCLC、および神経芽細胞腫から選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、ALK−陽性ALCLおよびEML4−ALK−陽性NSCLCから選択される。ある実施形態では、前記増殖性障害は、アンドロゲン非依存性前立腺ガン、乳ガン、およびHNSCCsから選択される。
【0041】
前記増殖性障害は、前記障害または症状の性質に応じて、本発明の化合物を使用して、予防的、急性的、または慢性的に処置され得る。好ましくは、これらの方法それぞれにおける対象は、ヒトである。
【0042】
治療用途において、本発明の化合物は、幅広い各種の経口および非経口の剤形で調製および投与され得る。このため、本発明の化合物は、注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、または腹腔内に投与され得る。ある実施形態では、本発明の化合物は、静脈内または皮下に投与される。本明細書に記載の化合物は、吸入により、例えば、鼻腔内にも投与され得る。さらに、本発明の化合物は、経皮的に投与され得る。別の実施形態では、本発明の化合物は、経口的に送達される。前記化合物は、直腸的、舌下的にまたは吹送法によっても送達され得る。
【0043】
具体的な状況についての適切な用量の決定は、当業者の範囲内である。一般的には、処置は、前記化合物の最適な用量未満である、より少ない用量で開始される。その後、前記用量は、その環境下において最適な効果が達成されるまで、少量ずつ増加される。便宜上、1日あたりの総用量は、分割されてもよく、必要に応じて、日内で部分的に投与されてもよい。典型的な用量は、1日あたりに約1mgから約1,000mg、例えば、1日あたりに約5mgから約500mgである。ある実施形態では、前記用量は、1日あたりに約10mgから約300mg、例えば、1日あたりに約25mgから約250mgである。
【0044】
V.化学
CEP−28122
(1S,2S,3R,4R)−3−[5−クロロ−2−((S)−1−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸アミド(CEP−28122)は、国際公開2008/051547号パンフレット(Ahmed et al.)の実施例882に記載のように調製される。
CEP−37440
2−(5−クロロ−2−{(S)−6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ}−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミドの合成は、
図1に基づいて、工程1〜8に概説される手順にしたがって行われ得る。
【0045】
工程1:5−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン:室温でのTHF(250mL)における、5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(25g、0.14mol)およびメチルトリフェニルホスホニウムヨウ化物(1.13当量)のスラリに、カリウム t−ブトキシド(1.6当量)を、触って温かいより高くない温度を維持するような割合で添加した。前記反応を、1時間撹拌し、濃縮した。ついで、前記反応を、3倍量のヘキサンと共沸して、過剰のt−ブタノールを除去した。新たにヘキサンを、前記溶液に添加し、オーバーナイト静置させて、粉砕した。赤褐色の固形物を、ろ過により除去し、ろ液を、水で2回洗浄し、濃縮した。ISCO(330gのSiO
2カートリッジ:段階的にヘキサンおよび、ついで、DCM)におけるクロマトグラフィによる精製により、淡い黄色のオイルとして、表題の化合物を取得する(24g、99%)。1H−NMR(400MHz,CDCl
3)7.29(d,J=8.0Hz,1H),7.15(t,J=8.0Hz,1H),6.76(d,J=8.0Hz,1H),5.49(s,1H),4.98(s,1H),3.85(s,3H),2.77(t,J=6.4Hz,2H),2.53−2.50(m,2H),1.93−1.87(m,2H)。
【0046】
工程2:1−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン:150mLのMeOHにおける5−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(23.8g、0.137mol)を、300mLのMeOHにおける硝酸タリウム(III)三水和物(1.0当量)の新鮮に調製された溶液に、一部添加した。1分間撹拌し、400mLのクロロホルムを添加した。前記溶液をろ過し、有機物を、ジクロロメタンと水間で分割した。前記有機物を乾燥させ(MgSO
4)、濃縮した。クロマトグラフィ(ISCO、330gのシリカカートリッジ;段階的溶出ヘキサン(5分)、ついで、100%ジクロロメタンへの7分の勾配(20分))による精製により、淡い黄色のオイルとして、最も極性の生成物として、表題の化合物を取得する(26g、97%)。1H−NMR(400MHz,CDCl
3)7.16(t,J=7.9Hz,1H),7.84(d,J=8.3Hz,1H),6.79(d,J=7.5Hz,1H),3.84(s,3H),3.73(s,2H),3.05−3.01(m,2H),2.55(t,J=7.0Hz,2H),2.01−1.96(m,2H)。LC/MS(ESI+)m/z=191(M+H)+
【0047】
工程3:1−メトキシ−2−ニトロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン:0℃でのアセトニトリル(50mL)および無水トリフルオロ酢酸(100mL)における硝酸カリウムに、50mLのアセトニトリルにおける1−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(25g、0.131mol)を滴下して添加した。前記反応を、室温に温めながら、2.5時間撹拌した。前記反応を、ロータリーエバポレータにおいて加熱することなく濃縮した。MeOHを添加し、簡単に撹拌した。再濃縮し、ジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液間で分割することにより後処理した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、クロマトグラフィISCO(330gのシリカカートリッジ:勾配溶出−60分にわたる、10から50% EA:HEX)により濃縮および精製をして、2つの異性体を取得した。表題の化合物は、後者の溶出であった(10.7グラム、収率34.6%)。1H−NMR(400MHz,CDCl
3)7.70(d,J=8.3Hz,1H),7.06(d,J=8.3Hz,1H),3.92(s,3H),3.80(s,2H),3.13−3.09(m,2H),2.60(t,J=7.0Hz,2H),2.10−2.03(m,2H)。
【0048】
工程4:2−[4−(1−メトキシ−2−ニトロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール:塩化メチレン(870ml)における1−メトキシ−2−ニトロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(15.09g、64.15mmol)を、2−ピペラジン−1−イル−エタノール(3当量)、続けて、酢酸(10当量)で処理した。前記混合物を、50℃で2時間撹拌し、0℃に冷却し、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(4当量)を添加し、ついで、室温に温め、撹拌した。数時間後、開始材料が未だに存在した。0.4当量の更なるトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを添加し、ついで、6時間後に再度添加した。オーバーナイト撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムの水溶液および氷の溶液に注ぎ、1N 水酸化ナトリウムによりpH10の塩基性にし、2×ジクロロメタンで抽出し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過および濃縮した。この材料を、エタノールに溶解し、HCl/エタノールを添加した。得られた沈殿物を、2時間粉砕し、ついで、ろ過した。前記固形物を、NaOH、続けて、重炭酸ナトリウムを使用して遊離塩基にし、ジクロロメタンに抽出して、表題の化合物を取得した(19g、収率85%)。1H−NMR(400MHz,CDCl
3)7.56(d,J=8.2Hz,1H),7.00(d,J=8.2Hz,1H),3.82(s,3H),3.63−3.06(m,2H),3.29−3.24(m,1H),3.00−2.86(m,3H),2.72−2.67(m,2H),2.60−2.51(m,8H),2.46−2.37(m,2H),2.12−2.07(m,2H),1.87−1.78(m,1H),1.37−1.29(m,1H)。LC/MS(ESI+)m/z=350(M+H)+
【0049】
工程5:2−[4−(2−アミノ−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール。2−[4−(1−メトキシ−2−ニトロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール(19.0g、54.4mmol)を、2つのバッチに分割し、全量のエタノール(232mL)に溶解した。10%のPd/C(1.74g、1.64mmol)を半分に分割した。前記反応を、50psiで3〜4時間水素化した。各反応混合物を、セライトを通してろ過し、Pdを除去した。前記ろ液を組み合わせ、ついで、濃縮した。表題の化合物を、泡状の固形物として単離した(17.25g、収率99%)。1H−NMR(400MHz,CDCl
3)6.76(d,J=7.9Hz,1H),6.53(d,J=7.9Hz,1H),3.72(broad s,3H),3.71(s,3H),3.64(t,J=5.4Hz,2H),3.26−3.20(m,1H),2.84−2.72(m,5H),2.62−2.56(m,8H),2.42−2.35(m,2H),2.40−2.37(m,1H),1.81−1.74(m,1H),1.70(broad s,1H),1.41−1.33(m,1H)。LC/MS(ESI+)m/z=320(M+H)+
【0050】
工程6:2−[4−((S)−2−アミノ−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール:34グラムのラセミ体2−[4−(2−アミノ−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノールを、注入量:0.5mL、20mg/mLのエタノールで220nmの波長をモニタする、15% メタノール(0.2% DEA)/CO
2、流量80mL/分での100bar溶出による、Chiralcel OJ−H(3×15cm)808041カラムを使用するSFC(超臨界液CO
2)クロマトグラフィを使用して分離した。16.9グラムの(R)−エナンチオマおよび17グラムの表題の化合物を、(Chiralcel OJ−H分析用カラムを使用して測定された)化学純度>99%および不斉収率(ee)>99%で単離した。NMRおよび質量は、前記ラセミ材料と同等であった。第1の溶出異性体の絶対配置は、ビス−p−ブロモベンジル誘導体:4−ブロモ−安息香酸 2−{4−[(R)−2−(4−ブロモ−ベンゾイルアミノ)−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル]−ピペラジン−1−イル}−エチルエステルの異常分散を使用する小分子X線により、(R)型として、明確に指定された。したがって、第2の溶出エナンチオマを、(S)型であると決定した。
【0051】
工程7:2−(2,5−ジクロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド:DMF(0.5L)における2−アミノ−N−メチル−ベンズアミド(24.4g、0.16mol)に、2,4,5−トリクロロ−ピリミジン(39g、1.3当量)および炭酸カリウム(1.3当量)を添加した。アルゴン下において75℃で5時間撹拌し、ついで、室温でオーバーナイト撹拌した。1Lの水に注ぎ、沈殿物を、ろ過により単離し、1:1 アセトニトリル:水で洗浄し、続けて、気流中および真空下で乾燥させて、黄色の固形物として、表題の化合物を取得した(38g、収率78%)。11.70(s,1H),8.74(d,J=8.2Hz,1H),8.24(s,1H),7.59(d,J=8.4Hz,1H),7.53(d,J=8.8Hz,1H),7.16(t,J=8.4Hz,1H),6.28(s,1H),3.06(d,J=4.7Hz,3H)
【0052】
工程8:2−(5−クロロ−2−{(S)−6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ}−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド:密封された容器に、2−[4−((S)−2−アミノ−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール(2.69g、8.41mmol)および2−(2,5−ジクロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド(2.00g、6.73mmol)を、1−メトキシ−2−プロパノール(120mL、1200mmol)において組み合わせ、続けて、メタンスルホン酸(2.44mL、37.7mmol)を添加した。ついで、前記反応を、90℃で18時間加熱した。前記反応混合物を、分離ロートに添加し、曇ったpptが形成されるまで、飽和重炭酸塩で希釈した。これを、ジクロロメタン 3×で抽出した。ついで、有機層を、塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過および濃縮をした。残渣を、吸い出して乾燥させ、ついで、ISCOフラッシュカラムにおいてクロマトグラフした。それを、順相カラム上のジクロロメタンに注入し、0〜10%(ジクロロメタン:MeOHにおける10% NH
4OH)の勾配において溶出した。所望の生成物を、9〜10%付近で溶出した。10%勾配を、生成物が完全に溶出するまで保持した。組み合わせた画分を濃縮し、Gilson逆相HPLC勾配溶出0〜40% CH
3CNにおいてクロマトグラフした。順相シリカおよび逆相HPLCを使用して、クロマトグラフィを繰り返し、必要に応じて更なる精製を達成した。全ての材料の中和および濃縮をした後、得られた固形物を、EtOAc中で泡を取り除くことにより取得し、濃縮して複数回乾燥させ、表題の化合物を取得した(1.1g、28%)。11.02(s,1H),8.69(d,J=8.9Hz,1H),8.13(s,1H),8.08(d,J=8.4Hz,1H),7.59−7.50(m,2H),7.41(s,1H),7.13(t,J=7.4Hz,1H),6.91(d,J=8.1Hz,1H),6.21(s,1H),3.74(m,3H),3.66−3.63(m,2H),3.29−3.23(m,1H),3.06(d,J=4.3Hz,3H),2.92−2.72(m,5H),2.66−2.55(m,8H),2.48−2.39(m,2H),2.16−2.10(m,2H),1.87−1.77(m,1H),1.42−1.32(m,1H).LC/MS(ESI+)m/z=580(M+H)+
【0053】
CEP−37440非晶質HCl塩
2−(5−クロロ−2−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ}−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド・塩酸:2−(5−クロロ−2−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ}−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド(4.90g、8.45mmol)およびエタノールにおける2.5M HCl(13.5mL、33.8mmol)を、それらがエタノール(164mL)に溶解されるまで加熱した。前記反応を、エタノールから2回濃縮し、ついで、少量のエタノールにおいて、完全に溶解されるまで温めた。この溶液を、撹拌(<100rpm)しながら、ゆっくり冷却した。固体の沈殿物が、前記溶液が冷却される前にすぐに形成された。この混合物を、室温になるまで撹拌し、ついで、ろ過した。固形物を、エタノール、続けて、エーテルで洗浄し、ついで、高真空下で直接吸い出して乾燥させて、2−(5−クロロ−2−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−2−イルアミノ}−ピリミジン−4−イルアミノ)−N−メチル−ベンズアミド・塩酸(5.3グラム、定量収率)。1H−NMR(MeOD,400MHz)δ 8.55(s,1H),8.17(s,1H),7.80(d,J=7.7Hz,1H),7.55(t,J=6.8Hz,1H),7.46(broad s,1H),7.36(t,J=7.2Hz,1H),7.23(d,J=8.5Hz,1H),4.00−3.95(m,4H),3.83−3.72(m,5H),3.73(s,3H),3.65−3.59(m,2H),3.47−3.38(m,5H),2.95(s,3H),2.72−2.65(m,1H),2.44−2.38(m,1H),2.29−2.28(m,1H),2.19−2.12(m,1H),1.59−1.49(m,1H)。LC/MS(ESI+)m/z=580(M+H)+。
【0054】
CEP−37440塩のスクリーニング
塩のスクリーニング実験を、(a)27種類の酸(酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、D−グルコン酸、DLグルタミン酸、DL−乳酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸(48%水溶液)、塩酸(2.5M、EtOH)、L−アスパラギン酸、L−酒石酸、L−ピログルタミン酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、オルトリン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物、プロピオン酸、コハク酸、および硫酸)を使用するメタノール、(b)9種類の酸(ベンゼンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、臭化水素酸(48%水溶液)、ナフタレン−2−スルホン酸、o−リン酸(85%)、硫酸、p−トルエンスルホン酸、および塩酸(エタノール))を使用するジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン、ならびに、(c)ベンゼンスルホン酸、臭化水素酸(48%水溶液)、o−リン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、および塩酸(エタノール)を使用するクロロホルム、アセトン、酢酸エチル、および1−プロパノールにおいて行った。多くの実験において、塩形態が提供されたが、少しの実験においてのみ、結晶質の塩がもたらされ、2つの塩形態:トリベンゼンスルホン酸塩形態および三塩酸・二水和物形態のみが、結晶質で、安定で、再現可能であった。薬学的観点から、前記三塩酸・二水和物が、前記トリベンゼンスルホン酸塩に対して好ましい。HClは、一般的に安全であると認識されている(generally recognized as safe:GRAS)分類1の酸付加塩であり、一方、ベンゼンスルホン酸は、GRASでない分類2の酸付加塩であるためである(Stahl,H.P.& Wermuth,C.G.,Editors,2002 Handbook of Pharmaceutical salts;Properties,Selection,and Use.Vwerlag HelveticaChimica Acta and Wiley−VCH)。毒性がほとんどないことに加えて、HClは、ベンゼンスルホン酸より低分子量を有し、より高いAPI/酸比およびより低い有効用量を提供する。
【0055】
粉末X線回折パターンを、CuKα放射を使用して、45kVおよび40mAにおいて、X’celerator検出器を備えるPANalytical X Pert Pro回折計において記録した。K
α1放射を、高度に配向した結晶(Ge111)入射ビームモノクロメータにより取得した。10mmビームマスクならびに、固定した(1/4°)発散スリットおよび散乱防止(1/8°)スリットを、前記入射ビーム側に挿入した。固定した5mmの受光スリットおよび0.04ラジアン・ソーラ・ブロックを、回折ビーム側に挿入した。前記X線粉末パターンのスキャンを、おおよそ0.5°/分のスキャン速度をもたらす、0.0080°のステップサイズおよび96.06秒の計測時間により、約2から40°2θまで収集した。サンプルを、測定のために、シリコンのゼロバックグラウンド(zero background:ZBG)プレート上に広げた。前記サンプルを、PANalytical PW3064スピナーを使用して回転させた(15回転/分)。データ収集前のSi参照基準の測定により、2θについての値および、28.44<2θ<28.50の許容範囲の十分範囲内であり、150cpsの最小ピーク高さより有意に高かった強度がもたらされた。
【0056】
CEP−37440トリベンゼンスルホン酸塩
CEP−37440の遊離塩基(500mg、0.862mmol)を、室温で5分撹拌することにより、6mLのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液を、ガラス製の20mLのシンチレーションバイアル(16×60mm)における、ベンゼンスルホン酸(545.6mg、3.45mmol)に、一度に1mL添加した。サンプルを、(室温において)添加中に、撹拌バーを使用して混合した。CEP−37440の溶液を全て添加した時点で、オイルと固形物が見られた。前記サンプルを、HEL Polyblock(商標)ユニットにおいて、5〜7℃で19時間撹拌した。前記固形物を、吸引ろ過で単離した。前記固形物を、ハウス真空下において、50℃で5時間乾燥させて、835mg(80%回収)のわずかに黄色の固形物を取得した。HPLC純度、アッセイおよび化合物の色は、1.5mLの水に616mgを懸濁させ、得られたスラリを室温で30分間撹拌することにより改善された。前記固形物を吸引ろ過により単離し、フィルタパッド上の固形物を、1mLの水で洗浄した。白色の固形物を、ハウス真空下において、50℃で68時間乾燥させて、406mgを収集した(67%回収)。トリベンゼンスルホン酸塩は、約20〜33mg/mLの水溶性を有する。
【0057】
結晶質トリベンゼンスルホン酸塩のX線回折データ特性を、表1および
図2に示す。
【0059】
CEP−37440三塩酸・二水和物
200mgのCEP−37440遊離塩基を含む20mLのシンチレーションバイアルに、n−ブチルアルコール(5mL)を、室温で添加した。5分間撹拌した後、前記遊離塩基は、溶液となった。ついで、HCl(EtOHにおける2.5M、0.435mL、3.15当量)を添加し、白色の固形物(非晶質のHCl塩)の直接沈殿物を得た。得られたスラリを、85℃に20分にわたって加熱した(注記:おおよそ60℃で、溶液に固形物が残っていなかった。)。80℃と85℃間の溶液を撹拌することにより、30分後に自己核形成をもたらされた。前記自己核形成により、白色の固形物の更なる沈殿物がもたらされた。前記反応を合計2時間撹拌した後、得られたスラリを、5℃に1時間にわたって冷却した。0〜5℃のスラリを、更に1時間撹拌し、ついで、ろ過し、最少量の冷えたn−ブチルアルコールで洗浄した。ついで、前記固形物を、55℃でオーバーナイト乾燥させた。RH30〜70%の空気に静置して、208mgのCEP−37440−3HCl−2H
2Oを取得した。
【0060】
結晶質三塩酸塩・二水和物のX線回折パターン特性を、表2および
図3に示す。前記塩は、RH30〜80%で安定であるが、RH30%未満で三塩酸・一水和物型に可逆的に変換され、RH80%を超えると高度に水和された非晶質型に不可逆的に変換される。
【0062】
VI.生物学
Sprague−Dawly系ラットにおけるCEP−28122の、4週間の回復期間を含む13週間の経口毒性および毒物動態学研究
20匹のラット/性別の3つの処置群を、30、75、および150mgの遊離塩基/kg/日の各用量レベルで、CEP−28122を投与した(モノ−メタンスルホン酸、モノ−HClの塩形態として投与した)。20匹の動物/性別の1つの更なる群は、コントロールとしての役割を果たし、媒体である蒸留水を与えられた。前記薬剤または媒体を、経口の強制飼養により全ての群に、10mL/kg/投与の用量で、1日1回91日の連続日数投与した。投与期間後、5匹の動物/性別/群を、4週間の回復期間において維持した。さらに、3匹の動物/性別の1つの群および9匹の動物/性別/群の3つの群は、毒物動態学(TK)の動物としての役割を果たし、前記主要な研究群と同じ方法および同じ用量レベルで、媒体または薬剤を与えられた。
【0063】
罹患、死亡、傷害、ならびに食餌および水の利用性についての観察を、全ての動物について、少なくとも毎日2回行った。臨床的観察を、主要な研究動物において毎週行った。投与の開始前(週−1)および研究中毎週、全ての動物について、体重の測定および記録をした。摂食量を、主要な研究動物について、毎週測定および記録した。
【0064】
眼底検査を、主要な研究動物について、予備試験ならびに終了および回復剖検前に行った。所定の臨床病理学的評価用の血液サンプルを、主要な研究動物から、4週目の終わりならびに終了および回復剖検において収集した。尿分析評価用の尿サンプルを、主要な研究動物から、終了および回復剖検前に収集した。前記薬剤の血漿濃度を決定するための血液サンプルを、所定のTK動物から、1日目、4週目、13週目の所定の時点で収集した。最後の血液収集後に、前記TK動物を安楽死させ、死体を廃棄した。終了および回復期間の最後に、剖検を行った。臓器の重量を記録し、選択された組織を、顕微鏡試験した。
【0065】
カニクイザルにおけるCEP−28122の、6週間の回復期間を含む13週間の経口毒性および毒物動態学研究
CEP−28122溶液を、注射用滅菌水(sterile water for injection:SWFI)に、CEP−28122のモノ−メタンスルホン酸、モノ−HClの塩を溶解することにより、毎週調製して、所望の投与濃度レベルを達成した。
【0066】
40匹の実験的に野生のカニクイザル(20匹のオスおよび20匹のメス)(研究の開始時(1日目)において、前記オスについては2.5から4.4歳齢および前記メスについては2.5から4.0歳齢、ならびに、前記オスについては2.1から3.3kgおよび前記メスについては2.0から3.1kg)を、3つの投与群および媒体コントロール群の1つに割り当てた。5匹の動物/性別を、各投与群に割り当て、0(媒体)、20、40、または80mg/kgの経口投与を、91日まで毎日与えた。最初の2週間の投与中に、80mg/kg/日を与えられた複数の動物における発作の発生により、前記高用量を、60mg/kg/日に低下させた。3匹の動物/性別/群は、投与期間(92日)の最後で終了するためのスケジュールを立てた。2匹の動物/性別/群を、6週間の非投与回復期間に割り当て、134日で終了した。
【0067】
前記動物を、臨床兆候(ケージサイド観察および摂食量[1日2回]、ならびに投与後観察[各投与日における投与の1〜2時間後])、体重(2週目および1週目、毎週、7日目に開始した後毎週、ならびに剖検前)、心電図、眼科試験、および血圧測定(研究前ならびに1週目、4週目、および13週目)、心エコー測定(11週目)、臨床病理的指標、例えば、血清化学、血液学、および凝集(投与開始前1週以内および1週目、4週目、10週目、および13週目の最後付近;回復期間の最後付近における残った動物から;ならびに、トロポニンI(研究前;投与前ならびに1週目、4週目、および13週目における投与後2、4、および24時間、ならびに、回復期の最後付近での一時点)の変化について評価した。尿分析用の尿サンプルのみを、剖検中の膀胱穿刺術により取得した。尿分析および尿化学分析用の尿サンプルを、週−1、1週目、4週目、および13週目に特注のステンレス鋼ケージパンならびに回復期間の最後付近における残った動物からの排水によっても取得した。
【0068】
血液サンプルを、1日目ならびに4週目および13週目中の種々の時点で、毒物動態学分析用に収集した。21匹の動物(3匹/性別/群1、2匹のオス/3匹のメス/群2、3匹のオス/2匹のメス/群3、および2匹のオス/3匹のメス/群4)を、最後の投与後1日で安楽死させた。残りの14匹の動物(群1および2からそれぞれ2匹/性別、1匹のオス/2匹のメス/群3、ならびに2匹のオス/1匹のメス/群4)を、更なる投与を行うことなく研究を継続し、前記最後の投与後のおおよそ6週間で安楽死させた。終了時に、完全な剖検を、全ての動物について行い、組織を収集、保存、処理、および、米国獣医病理学会公認の獣医病理学者により顕微鏡的に試験した。
【0069】
カニクイザルにおけるCEP−28122の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
CEP−28122(モノ−メタンスルホン酸、モノ−HClの塩)を、カニクイザルの群(5匹/性別/群)に、0(媒体コントロール)、3、10、20、または40mg/kg/日の投与レベルで、経口強制飼養により投与した。4週間の処置期間後、3匹の動物/性別/群を終了し、2匹/性別/群を、4週間の処理を行わない回復期間に入れた。
【0070】
下記のパラメータおよび終点:臨床兆候(死亡/瀕死のチェック、ケージサイド観察、および摂食量、ならびに投与後観察)、体重、各種の生理学的試験、肺評価、眼科学、心電図、血圧、および心拍数の測定、臨床病理的パラメータ(血液学、凝集、臨床化学、尿分析、尿化学、およびトロポニンI分析)、毒物動態学パラメータ、剖検全体の所見、臓器重量、ならびに組織病理学的試験を、この研究において評価した。
【0071】
Sprague−Dawley系ラットにおけるCEP−37440の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
オスおよびメスのラット(15匹/性別/群)を、4つの処置群および媒体コントロール群(pH調節された逆浸透水)に割り当てた。前記CEP−37440を、下記表に示すように、三塩酸塩・二水和物として投与した。動物を、経口強制飼養により投与した。
【0073】
毒性評価は、死亡、臨床的観察、体重、体重変化、摂食量、眼科試験、ならびに臨床病理学および解剖病理学に基づいている。血液サンプルを、毒物動態学評価用に収集した。
【0074】
カニクイザルにおけるCEP−37440の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
オスおよびメスのカニクイザル(Macaca fascicularis)を、5匹のサル/性別/群から成る4つの群(3つの処置群および1つの媒体コントロール群)に割り当てた。この研究において評価した用量レベルは、0(pH調節された逆浸透水)、2.5、7.5、および20mg/kg/日とした。投与量を、5mL/kgとした。CEP−37440を、三塩酸・二水和物の塩形態として投与した。投与期の完了後、3匹のサル/性別/群を安楽死させ、2匹のサル/性別/群を、さらに4週間、処置を行わない回復期において継続した。
【0075】
抗腫瘍活性研究−全体的なプロトコル
腫瘍を有するマウスを、種々の処置群(8〜10匹のマウス/群)にランダム化し、媒体(PEG−400)または、示された用量(mg/kgの遊離塩基当量で表される)および示された投与頻度(bidまたはqid)において、100μLの投与量でのPEG−400に配合された試験化合物のいずれかにより、経口的に投与した。各腫瘍の長さ(L)および幅(W)を、ノギスで測定した。マウスの体重を2〜3日毎に測定した。ついで、腫瘍の体積を、0.5236
*L
*W
*(L+W)/2の式により算出した。腫瘍の体積およびマウスの体重の統計学的分析を、Mann−Whitney Rank Sum試験を使用して行った。血漿および腫瘍のサンプルを、最後の投与後2時間で、各用量レベルにおいて取得した。血漿および腫瘍のライゼートにおける化合物レベルを、LCMS/MSにより測定した。
【0076】
マウスにおけるNPM−ALK陽性Sup−M2およびKarpas−299 ALCL腫瘍異種移植片モデルでの抗腫瘍活性
CEP−37440を、NPM−ALK陽性Sup−M2 ALCL腫瘍異種移植片を含むマウスに対して、PEG400のqdまたはbidにおいて,12日間po投与した。重症複合免疫不全マウスにおける第2の、より抵抗性のNPM−ALK−陽性ALCL(Karpas−299)腫瘍異種移植片モデルにおける、CEP−37440(非晶質HCl塩)の抗腫瘍活性も評価した。
【0077】
マウスにおけるEML4−ALK陽性(NCI−H2228およびNCI−H3122)NSCLC腫瘍異種移植片での、経口投与による抗腫瘍活性
ヒトの肺ガン細胞株であるNCI−H2228およびNCI−H1650(ATCC,Manassas、バージニア州)、ならびにNCI−H3122(Giorgio Inghirami博士、Univ.of Torino、イタリアにより親切に提供された)を、10% ウシ胎児血清(fatal bovone serum:FBS、Cat# SH3007003、Hyclone Logan、ユタ州)を添加したRPMI−1640培地において増殖させた。EML4−ALK変異3a/bを内部に有するNCI−H2228細胞およびNCI−H3122細胞は、先に報告した、蛍光in situハイブリダイゼーションおよび逆転写PCRにより決定されるEML4−ALK変異1を含む(Koivunen JP,Mermel C,Zejnullahu K,Murphy C,Lifshits E,Holmes AJ,et al.EML4−ALK fusion gene and efficacy of an ALK kinase inhibitor in lung cancer.Clin Cancer Res 2008,14:4275−8)。
【0078】
重症複合免疫不全マウスのメスであるScid/Beigeマウス(6〜8週、Taconic、Hudson、ニューヨーク州)における、EML4−ALK陽性およびEML4−ALK陰性NSCLC皮下腫瘍異種移植片の発生を、標準的な研究室給餌におけるマイクロアイソレータユニット(Teklad Labchow、Harlan Teklad、Madison、ウィスコンシン州)において、5匹/ケージを維持した。動物を、湿度および温度管理された条件下において収容した。明かり/暗闇サイクルを、12時間間隔に設定した。マウスを、実験操作前の少なくとも1週間隔離した。全ての動物研究を、Cephalon Incの所内動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee:IACUC)により承認されたプロトコル(#03−023)に基づいて行われた。簡潔に、EML4−ALK陽性および陰性のNSCLC細胞を収集し、5×10
7個/mLの密度でRPMI−1640培地に再懸濁させた。細胞懸濁液(5×10
6個)のアリコート(100μL)を、23gのニードル(23G1、Cat#305145、Becton Dickinson、Flanklin、ニュージャージー州)により、各マウスの左わき腹の皮下に接種した。前記マウスを、前記腫瘍異種移植片の体積が200〜500mm
3に達するまでモニタした。
【0079】
前記腫瘍を有するマウスを、種々の処置群(8〜10匹のマウス/群)にランダム化し、媒体(PEG−400)または、示された用量、bidにおいて、100μLの投与量で、PEG−400に配合されたCEP−37440の非晶質HCl塩のいずれかを投与した。各腫瘍の長さ(L)および幅(W)を、ノギスで測定した。マウスの体重を2日から3日毎に測定した。腫瘍の体積を、0.5236
*L
*W
*(L+W)/2の式により算出した。パーセント腫瘍増殖阻害(parcent tumor growth inhibition:%TGI)を、下記:(処置終了時のコントロール群の腫瘍体積−処置終了時の処置群の腫瘍体積)/処置終了時のコントロール群の腫瘍体積、のように算出した。部分的な腫瘍抑制(Partial tumor regression:PR)を、処置開始時の処置群のそれより小さい、処置終了時での前記処置群の腫瘍体積として規定した。完全な腫瘍抑制(Complete tumor regression:CR)を、処置開始時の処置群の腫瘍体積の5%未満である、処置終了時の処置群の腫瘍体積として規定した。腫瘍体積およびマウスの体重の統計学的分析を、Mann−Whitney Rank Sum試験により行った。血漿および腫瘍のサンプルを、最後の投与後2時間で、各用量レベルにおいて取得した。血漿および腫瘍のライゼートにおける化合物レベルを、LC−MS/MSにより測定した。
【0080】
ホルモン非依存性前立腺ガン腫、NSCLガン腫、およびHNSCガン腫のヒト腫瘍異種移植片における抗腫瘍活性研究
ヒト前立腺ガン腫細胞株であるCWR22およびPC3、ならびにヒト頭頸部扁平上皮ガン腫細胞株であるDetroit562を、アメリカ培養細胞系統保存期間(American Tissue Culture Collection:ATCC、Manassas、バージニア州)から取得した。CWR22細胞を、10% ウシ胎児血清(fetal bovine serum:FBS、Cat# SH3007003、Hyclone Laboratory Inc、Logan、ユタ州)を添加したRPMI(ATCC、Cat#30−2001)において培養した。PC3を、10%のFBSを添加したF12培地(ATCC、Cat#30−2004)において培養した。Detroit562を、10%のFBSを添加したEMEM(ATCC、Cat#30−2003)において培養した。ヒト非小細胞肺ガン細胞株であるHCC−827およびヒト乳ガン細胞株であるBT474も、ATCC(Manassas、バージニア州)から購入し、10%のFBSを含むRPMI(Cat#10−040、Mediatech Inc、Manassas、バージニア州)において培養した。ウサギホスホ−FAK(Tyr397)(Cat#3283)およびFAK抗体(Cat#3285)を、Cell Signaling Technology(Beverly、マサチューセッツ州)から購入した。
【0081】
SCID/Beige若しくはNu/NuマウスのメスであるSCID/Beige(6〜8週、Taconic、Hudson、ニューヨーク州)またはNu/Nuマウス(6〜8週、Charles River Laboratory、Wilmington、マサチューセッツ州)における、皮下でのヒト腫瘍異種移植片の発生を、標準的な研究室給餌におけるマイクロアイソレータユニット(Teklad Labchow、Harlan Teklad、Madison、ウィスコンシン州)において、5匹/ケージを維持した。動物を、湿度および温度管理された条件下において収容した。明かり/暗闇サイクルを、12時間間隔に設定した。マウスを、実験操作前の少なくとも1週間隔離した。実験は、Cephalon Incの所内動物実験委員会により承認された(プロトコル03−023)。簡潔に、前記細胞を収集し、5×10
7個/mLの密度でRPMI培地に再懸濁させた。細胞懸濁液(4×10
6個または5×10
6個)のアリコート(100μL)を、23gのニードル(23G1、Cat#305145、Becton Dickinson、Flanklin、ニュージャージー州)により、各マウスの左わき腹の皮下に接種した。ついで、前記マウスを、毎日モニタした。
【0082】
前記腫瘍を有するマウスを、種々の処置群(8〜10匹のマウス/群)にランダム化し、媒体(PEG−400)または、示された用量(mg/kgの遊離塩基当量で表される)および示された投与頻度において、100μLの投与量で、PEG−400に配合されたCEP−37440のいずれかにより、経口的に投与した。各腫瘍の長さ(L)および幅(W)を、ノギスで測定した。マウスの体重を2〜3日毎に測定した。ついで、腫瘍の体積を、0.5236
*L
*W
*(L+W)/2の式により算出した。腫瘍の体積およびマウスの体重の統計学的分析を、Mann−Whitney Rank Sum試験を使用して行った。血漿および腫瘍のサンプルを、最後の投与後2時間で、各用量レベルにおいて取得した。血漿および腫瘍のライゼートにおける化合物レベルを、LC−MS/MSにより測定した。TGI値を、各CEP−37440処置群の腫瘍体積(tumor volume:TV)を媒体処置群のそれらと比較することにより、研究の最後において、下記式:[1−(化合物処置群の最終日TV/媒体処置群の最終日TV)]
*100により算出した。
【0083】
VII.結果
CEP−37440およびCEP−28122についての生物学的データを表3にまとめ、以下に表示および検討をする。
【0085】
これらのデータは、CEP−37440およびCEP−28122の両方が、強力なALK阻害剤であることを示す。ただし、CEP−37440は、CEP−37440がはるかにより強力なFAK阻害剤であり、タンパク質結合を低下させ、ヒトの血漿における活性を向上させ、本質的な溶解性を向上させ(吸収を容易にし)、脂溶性を低下させ(より高い脂溶性は、向上した毒性に関連する。)、代謝安定性を向上させ(より低い用量でのより高い血中濃度を容易にし、より低い用量は、身体における生体異物負荷を低下させる。−薬剤および代謝物に対するより少ない暴露ならびに代謝系、例えば、肝臓におけるより小さい負荷)、特にCYP3A4およびCYP2C9に関するP450阻害を低下させる(共に投与した薬剤の正常な代謝およびクリアランスの妨害を低下させる)ことによる薬剤−薬剤相互作用についての性能を低下させ、改善された経口での生体有効性および生体内におけるより低いクリアランス割合(より低い用量でのより高い血中濃度)を有する点において、CEP−28122と比較して有利である。CEP−28122と比較したCEP−37440の好ましい特性は驚くべきものであり、予期しなかったことである。
【0086】
Sprague−Dawley系ラットにおけるCEP−28122の、4週間の回復期間を含む13週間の経口毒性および毒物動態学研究
研究中の薬剤関連死ならびに体重、摂食量、または心臓のトロポニン濃度における薬剤関連作用はなかった。血液学パラメータにおける薬剤関連作用は、メスにおける赤血球、ヘモグロビン、およびヘマトクリットにおける、最小限で非有害な低下、ならびに、両性別における血小板における、最小限で非有害な増加に限られた。他の統計学的差異が観察されたが、大きさ若しくは変化の方向および/または用量依存性の欠落のために、意味のないものと見なした。
【0087】
血小板は、150mg/kg/日でのオスおよびメスにおける回復において、緩やかに上昇したままであった。凝集パラメータにおける可能性のある薬剤関連作用は、150mg/kg/日を受けたオスにおけるプロトロンビン時間(prothrombin time:PT)および部分トロンボプラスチン時間(partial thromboplastin time:APTT)の延長、ならびに、全ての用量レベルでのメスにおけるAPおよびAPTTの短縮(メスについての値は、予測された範囲内であった。)に限られた。回復期間の最後での、意味のある変化の事象はなかった。
【0088】
臨床化学パラメータにおける薬剤関連変化は、中程度に限られたが、≧75mg/kg/日を受けたオスにおける、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase:ALT)、総ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase:AST)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−glutamyltransferase:GGT)、およびソルビトール脱水素酵素(SDH)において、矛盾が高まる。これらの作用は、それらの4週での合間のサンプル収集時より、13週の投与期間の最後において明白であり、単独の動物における作用にほとんど起因していた。ASTおよびALTも、150mg/kg/日を受けたメスにおいて向上したが、これらの作用は、前記オスにおいて観察されたより、概ね非常に低い大きさであった。特に、メスは、全ての用量レベルにおいて、統計学的に有意な、用量依存性で、進行性のコレステロール増加を示した。回復期間の最後において、AST、ALT、およびSDHは、投与期間中に75mg/kg/日を受けた個々のオスにおいて向上したままであった。AST、ALT、およびSDHは、投与中に150mg/kg/日を受けたメスにおいてより低い大きさであったのに対して、投与中に150mg/kg/日を受けたオスにおいて、中程度に向上したままであった。
【0089】
総タンパク質およびグロブリンは、≧75mg/kg/日を受けたオス、および、≧30mg/kg/日を受けたメスにおいて、用量依存的に向上した。アルブミンも、≧75mg/kg/日を受けたメスにおいて統計学的に向上したが、値は、予測された範囲内のままであった。カルシウムの統計学的向上は、向上したアルブミンおよび総タンパク質に対して、二次的であると見なされた。他の散発性の統計学的差異が終了時に観察され、変化の大きさ若しくは方向および/または用量依存性の欠落のために、意味のないものと見なされた。前記回復期間の最後において、総タンパク質、グロブリン、アルブミン、またはカルシウムにおける投与の作用はなかった。
【0090】
終了時における150mg/kg/日でのオスおよびメスにおいて、尿の量は増加し、比重は低下した。他の顕著な変化は、終了時または回復時における尿分析パラメータにおいて観察されなかった。
【0091】
(コントロールに対して)増加した肝臓重量が、≧30mg/kg/日を受けたメス、および、≧75mg/kg/日を受けたオスにおいて見られた(オスは、75mg/kg/日において、コントロールに対して、胸腺重量も低下した。)。増加した腎臓、脾臓、および副腎の重量が、≧75mg/kg/日の用量において、両性別に見られた。心臓重量も、≧75mg/kg/日の用量において、中程度に増加した。ただし、相間的な心臓の顕微鏡所見がなく、この所見の毒物学的重要性は不明である。オスの腎臓、心臓、および脾臓における作用は、4週間の回復期間の最後まで持続した。メスにおける持続性の薬剤関連作用の証明はなかった。13週の投与期間の最後に、腎臓の褐色または黒色の変色が、150mg/kg/日を受けたオスおよび75mg/kg/日を受けたメスにおいて、肉眼で見える状態で観察された。150mg/kg/日を受けた1匹のオスは、回復の最後に尿細管の色素に顕微鏡的に相関する腎臓に病巣を有した。13週の投与期間の最後に、薬剤関連顕微鏡的変化は、≧30mg/kg/日を受けた動物の腎臓、副腎、肝臓、肺、褐色脂肪組織、腸間膜リンパ節、脾臓、および甲状腺において明らかであった。副腎、肝臓、肺、褐色脂肪組織、腸間膜リンパ節、脾臓、および甲状腺における所見は、低い重症性および、4週間の回復期間中の回復の実質的な証拠により、有害であるとは見なされない。≧75mg/kg/日を受けた動物の腎臓において明らかな進行性の神経病変は、高い罹患および4週の回復期間を通した持続のために、有害であると見なされる。蓄積された薬剤であると推定される着色も、回復時の複数の組織において明らかであるが、有害であるとは見なされない。
【0092】
特に被膜下の軸状皮質におけるレンズ状繊維の最少から中程度の膨張が、投与期間中に≧75mg/kg/日を受けた動物の回復において認められた。この所見は、これらの動物の臨床上の白内障に相当する。ただし、レンズ状繊維の膨張は、酢酸に関連する細胞膨張から生じるDavidson’s流体による人工物の固定であり得る。被膜下の皮質領域におけるレンズ繊維の膨張が、この研究における一部のコントロール動物におけるより少ない程度に対して、処置された動物(例えば、上記列記された動物および臨床上の白内障の記録がない他の処置された動物)に見られた。さらに、外周前部の皮質パターンにおけるレンズ繊維の膨張が、75および150mg/kg/日で処置された少数の動物に見られたが、眼底検査の所見とは対応しなかった。この所見は、Davidson’s固定に対する二次的な人工物と見なされた。これらの理由により、この研究において観察されたレンズ繊維の膨張は、人工物と解釈され、顕微鏡的所見とは記録されなかった。ただし、前記人工物により隠された腎臓の生存中の変化の可能性は、完全には除外できなかった。
【0093】
上記結果に基づいて、この研究に関する最大無作用量(No Observable Adverse Effect Level:NOAEL)は、30mg/kg/日と見なされ、≧75mg/kg/日の用量での4週間の回復期間を通して持続した腎臓における有害な組織病理学的作用により限定された。
【0094】
カニクイザルにおけるCEP−28122の、6週間の回復期間を含む13週間の経口毒性および毒物動態学研究
毎日の経鼻胃強制飼養による91日間の連続日数のCEP−28122の、20、40、および80/60mg/kgの用量レベルでの投与により、80/60mg/kgで投与された2匹の動物および同様に2匹の更なる動物(一方は、40mg/kgで投与され、他方は、20mg/kgで投与された)において、全ての用量レベルにおいて、複数の有害な薬物関連事象、例えば、罹患および死亡がもたらされた。早期に剖検を受けた更なる動物が存在したが、これは、CEP−28122の投与には関連しなかった。80mg/kgの投与により、9日目および/または10日目に、2匹の動物について発作がもたらされ、この群内の全ての動物において、60mg/kgに用量レベルを低下させた。摂食量、体重、眼科検査、凝集パラメータ、尿分析パラメータ、および心拍数におけるCEP−28122関連の変化は存在せず、血圧またはトロポニンIの最終的なCEP−28122関連の変化は存在しなかった。
【0095】
早期に剖検を受けた動物についての病歴は、概ね、2つの分類に分けられ得る:1)数日/数週間にわたる健康状態が徐々に減退した動物、および2)早期の剖検の日における投与後の短期間までに、前記薬剤を臨床的に許容していたことが明らかな動物。前者の分類における動物について、凝固障害、急性相応答、重度の脱水、および/または肝毒性の示唆的な臨床病理学的変化が存在した。一方、後者の分類における動物は、大部分が臨床病理学的変化が存在しなかった。急性な罹患(投与の1〜3分以内)の病歴が存在したが、分類2の動物内の死亡(投与の15分以内)は、薬剤の点滴注入または肺への吸引を示唆しており、肺内への投与は組織病理学に基づいて特定され得なかった。罹患/死亡の急速な開始の理由を決定することはできなかったが、肺からの薬物吸収を除外することはできなかった。
【0096】
早期に死亡した動物において、薬物関連組織病理学的所見が、肺、肝臓、脾臓、腸間膜リンパ節、および腎臓において特定された。肺において、肺水腫と一致する全体的および組織学的な所見は、全ての投与群において特定され、92日目または134日目に生存していた動物における所見より、あるとすれば、概ねより重症であった。
【0097】
生存している動物において、全ての用量レベル(20、40、および80/60mg/kg)に存在する、CEP−28122関連の臨床兆候が存在し、嘔吐、低下した活性、丸まった外観、および水様便を含んだ。概ね、これらの臨床兆候は、用量依存性ではなかった。これらの臨床兆候は、研究の回復期中には検出されなかった。80/60mg/kgで投与された動物における、肝臓作用を示唆する、CEP−28122関連の向上したアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase:ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase:AST)が存在した。ただし、これらの値は、回復期間の最後には、ベースラインに戻った。肝臓における最終的な組織学的相関は存在しなかった。
【0098】
血液学的パラメータにおけるCEP−28122関連の変化は、80/60mg/kgで投与された動物において、28日目に始まり、研究の投与期中の残りの時点全体を通して持続した、リンパ球の減少に限られた。リンパ球数は、回復期間の最後までに、ベースラインに戻った。
【0099】
92日目において、薬物関連の組織病理学的所見は、肺、肝臓、脾臓、腸間膜リンパ節、および腎臓において特定された。肺水腫と一致する組織学的所見および、早期に死亡した動物において特定されたそれらと類似する、より慢性の肺傷害が、92日目および134日目に見られ、用量比例的ではなく、概ね、早期に死亡した動物より、発生率および/または重症度が低かった。肝臓、脾臓、および腸間膜リンパ節におけるマクロファージ内の用量比例的な好酸球の粒状性が、20mg/kgのCEP−28122を投与された1匹の動物における最少の変化を含めて、40および80/60mg/kgのCEP−28122を投与された動物において、典型的に特定された。この所見は、1匹の高用量動物の肝臓における肝細胞の単一細胞の壊死に関連したが、134日目以降の向上した発生率および好酸球粒状性の変化とのその関連は、前記薬剤の投与との関連を示唆した。腎臓における尿細管上皮内の用量比例的な、褐色顆粒色素が、全ての薬剤処置群において特定され、早期に死亡した動物において最少から中程度であったのに対して、最少から緩やかであり、尿細管上皮の変性/壊死に関連しなかった。
【0100】
92日目において、CEP−28122の投与に関する臓器重量の増加および/または割合が、40および80/60mg/kgのCEP−28122(肝臓および腎臓)、ならびに20、40、および80/60mg/kgのCEP−28122(肺)を投与されたオスの動物における、肝臓、肺、および腎臓について特定された。これらの増加は、クッパー細胞および肝臓における肝細胞内の好中球の粒状性、肺における肺水腫、および腎臓の尿細管上皮における褐色の色素沈着に関連した。
【0101】
134日目において、薬剤関連の組織病理学的所見が、肺、肝臓、脾臓、腸管膜および下顎骨リンパ節、ならびに腎臓において特定された。肺水腫と一致する組織学的変化は、同様に持続したが、最終的な剖検動物と比較した全ての投与群において重症度がわずかに低下し、同様に用量比例的ではなかった。より慢性の肺傷害と一致する最少変化は、1匹の高用量動物に存在した。
【0102】
肝臓、脾臓、ならびに腸間膜および下顎骨リンパ節におけるマクロファージ内の好酸球の粒状性が、40および/または80/60mg/kgのCEP−28122を投与された動物において、典型的に特定され、脾臓を除いて、1より多い群が影響を受けた場合、用量比例的であった。肝臓におけるこの変化は、92日目におけるそれより概ね重症であった。脾臓について、80/60mg/kg群についての92日目と比較して、重症度が低下し、20および40mg/kg群における単独発生における重症度が変動した。肝臓および脾臓内での好酸球粒状化の領域内の褐色の顆粒沈着の度合いは、概ね、より早い時点と比較して、これらの回復群について向上した。92日目と比較して、腎臓における尿細管上皮細胞内での用量比例的な褐色の顆粒沈着は、概ね、持続したが、40mg/kgのCEP−28122を投与された動物においてはほとんど重症ではなく、80/60mg/kgのCEP−28122を投与された動物において持続し、より重症であった。尿細管上皮の最少の変性/壊死は、80/60mg/kgのCEP−28122を投与された一部の動物において、最も重度の色素沈着を伴って特定された。
【0103】
134日目において、CEP−28122の投与に関する臓器重量および/または割合の増加が、メスにおいて、肝臓および腎臓について特定され、40および/または80/60mg/kgのCEP−28122を投与された動物においてであり、終了時における剖検動物と同様に相関した。
【0104】
肺水腫は、この研究において重要な関心事項であった。多くの例において、肺水腫の発生は、急速な悪化および死亡の前において無症候性であった。さらに、肺水腫の発生に対する容易に検出される心循環系成分が存在しなかった。このため、この所見を、非心臓性の肺水腫と分類した。急速な開始および心循環系作用の欠如は、臨床状態における肺水腫の診断または予防をするのを非常に困難にし、CEP−28122をヒトに使用するのに危険にさせるであろう。
【0105】
カニクイザルにおけるCEP−28122の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
3、10、20、および40mg/kg/日の用量レベルでの、毎日1回で4週間の経口強制飼養によるCEP−28122の投与により、罹患または死亡のいずれももたらされなかった。評価されたいずれかの用量レベルにおける、摂食量、体重、(聴診による)肺、眼、ECGs、血圧、心拍数、血液学、凝集、尿分析、尿化学、トロポニンI、または全体的な病理学的観察における、CEP−28122関連作用は存在しなかった。
【0106】
CEP−28122関連の組織学的作用は、用量レベル≧10mg/kg/日で発生した。これらの所見は、肺内での空胞化細胞(推定的な肺胞上皮)における最少または緩やかな多病巣性の増加ならびに最少のII型肺細胞過形成から成った(20mg/kg/日の用量レベルのみ)。この増加した空胞化細胞は、用量レベル≧10mg/kg/日での動物からの、増加した肺重量および肺重量比と相関したが、聴診により臨床的観察または臨床的な肺所見のいずれとも相関しなかった。4週間の回復期後に、肺内の空胞化細胞の増加は、より低い発生率および/または重症度であるにも関わらず、用量レベル≧20mg/kg/日での動物において未だに存在した。この所見の完全な解決は、10mg/kg/日の用量レベルでは起こった。前記II型肺細胞過形成は、20mg/kgで投与され、4週間の回復期後の動物からは検出されず、重症度における最少の全体的な低下もサポートした。
【0107】
可能性のあるCEP−28122関連作用には、20および40mg/kgの用量レベルでの動物における投与後嘔吐およびトリグリセリド(40mg/kg用量レベルのみ)のわずかな増加が含まれた。これらの観察は、回復期間中には検出されなかった。29日目において10mg/kg/日で投与された1匹のメスの網膜層における組織病理学的変化は、不確かなCEP−28122関連作用と見なされた。眼下試験における相関はなかった。
【0108】
より低用量でのこの4週間の研究により、CEP−28122による肺毒性を避けることができないでろうことが説明された。特に関心事項は、肺の傷害が前駆的な兆候(聴診)なしに起こったという事実であった。4週間および13週間のサルでの研究における肺毒性の発生および持続に基づいて、CEP−28122は、ヒトへの使用が危険すぎ、開発努力を終了したとまとめられた。
【0109】
Sprague−Dawly系ラットにおけるCEP−37440の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
薬剤関連の臨床的観察は、投与期または回復期中には見られなかった。むしろまれに現れた臨床的観察は一時的であり、コントロールと同等の発生率であり、瀕死の動物に関連し、未知の強制飼養エラーに関連するか、または、死亡若しくは犠牲が薬剤関連とは見なされなかった動物において発生した。このため、臨床的観察は、薬剤関連とは見なされなかった。
【0110】
30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスは、投与期の全ての間隔中に、コントロールより重量が少なかった。投与期の1日目から28日目中に、オスは、コントロールより31%少なかった。投与期の1日目から28日目中に、メスは、コントロールより65%少なかった。30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスは、回復期の全ての間隔中に、コントロールと同じか、またはそれ以上の重量となった。回復期の1日目から28日目中に、オスは、コントロールより24%多かった。回復期の1日目から28日目中に、メスは、コントロールより29%多かった。30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスは、投与期の全ての間隔中に、コントロールより摂食量が少なかった。これらの差異は、オスにおいては4から10%以下の範囲であり、メスにおいては12から24%以下の範囲であった。摂食量における薬剤関連作用は、回復期中に見られなかった。減少した平均最終体重が、30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスにおいて、最終的な犠牲において観察され(それぞれ、0.90×および0.79×)、メスにおいて統計学的に有意であった。
【0111】
薬剤関連の眼科所見は、投与期または回復期中に見られなかった。薬剤関連作用は、10mg/kg/日まで、臨床病理学的な試験結果において観察されなかった。複数の小さい臨床病理学的作用が、30mg/kg/日において観察され、最少から緩やかな大きさであった。これらの所見は、有害または毒性学的に重要であると見なされなかった。
【0112】
30mg/kg/日での薬剤血液学および凝集所見は、下記のものを含んだ。
・投与期の29日目におけるメスにおいて、穏やかにより少ない赤血球量(すなわち、赤血球数、ヘモグロビン、およびヘマトクリット)
・投与期の15日目および29日目におけるオス、ならびに、投与期の15日目におけるメスにおいて、穏やかにより少ない完全な網状赤血球数
・投与期の15日目および29日目におけるオスにおいて、穏やかにより少ない完全な好中球数
・投与期の29日目におけるメスにおいて、穏やかにより少ない完全な好酸球数
・投与期の15日目および29日目におけるオスにおいて、最少により高いフィブリノゲン
【0113】
血小板数は、影響を受けていないことが明らかであった。赤血球量、完全な網状赤血球、好中球、および好酸球の数の減少は、穏やかな骨髄の抑制/毒性を反映し得るが、相間的な組織病理学的所見は、骨髄において観察されなかった。これらの所見は、回復期の最後において可逆性を示した。30mg/kg/日で与えられたメスにおける、回復期の最後におけるより高い平均血球体積は、おそらく、典型的により大きいサイズのより若い赤血球のより高い割合のためである。
【0114】
30mg/kg/日での薬剤関連の臨床化学的所見は、下記のものを含んだ。
・投与期の29日目でのメスにおける穏やかにより少ないアルブミン
・投与期の15日目および29日目でのメスにおける最少により高いグロブリン
・投与期の15日目および29日目でのメスにおけるより低いアルブミン対グロブリン比
・投与期の15日目および29日目でのオスおよびメスにおける最少により高いコレステロール
・投与期の29日目でのオスにおける穏やかにより高い血清カルシウム濃度
・投与期の29日目でのオスおよびメスにおける最少により低い血清塩化物
【0115】
より低いアルブミンおよびアルブミン対グロブリン比ならびにより高いグロブリンは、炎症と一致し、組織学的に観察された胸腔の慢性的な炎症に関連している場合がある。より高いコレステロールは、これらの動物において観察された摂食量および体重増加量の低下に関連している場合がある。より低い血清塩化物は、おそらく、より高い尿排泄のためであった。より高いカルシウムについてのメカニズムは不明であった。薬剤関連作用は、任意の用量レベルにおけるトロポニンI濃度において観察されなかった。全ての臨床化学的所見は、回復期の最後において、可逆性を示した。
【0116】
30mg/kg/日での薬剤関連の尿化学的所見は、下記のものを含んだ。
・投与期の15日目および29日目でのオスおよびメスにおける最少により高い尿の塩化物排出
・投与期の15日目および29日目でのオスおよびメスにおける、塩化物についての最少により高い尿分別クリアランス
【0117】
より低い血清塩化物は、おそらく、30mg/kg/日を与えられた動物の尿における、塩化物のより高い総排出およびより高い尿分別クリアランスに関連した。相間的な組織病理学的所見は、これらの動物の腎臓において観察されなかった。全ての尿化学所見は、回復期の最後において、可逆性を示した。任意の用量レベルにおける尿分析試験結果において、明らかな作用は観察されなかった。
【0118】
他の臨床病理学的試験結果における統計学的に有意または他の方法で顕著な差異は偶発的であった。それらは、通常、大きさが小さく、用量に対する相関関係を欠いていたか、または、経時的および性別間において矛盾したためである。
【0119】
7匹の予定外の死亡は、投与期中の毒性動物において起こった。前記予定外の死亡は、前記薬剤によるものではなかった。1匹のコントロールのオスおよび30mg/kg/日を与えられた1匹のメスは、採血後まもなく死んだ。これらは、薬剤関連作用を示唆する臨床的または解剖学的な病理学的所見を欠いているため、事故死と見なした。3匹の動物は、強制飼養関連の傷害と一致する肉眼で見えるおよび/または顕微鏡的所見を有した。前記3匹の動物は、25日目に瀕死の状態で犠牲にした1mg/kg/日を与えられた1匹のメス、9日目に死亡していることが発見された3mg/kg/日を与えられた1匹のメス、および投与期の25日目に瀕死の状態で犠牲にした10mg/kg/日を与えられた1匹のメスを含む。死亡の原因は、10日目に死亡していることが発見された30mg/kg/日を与えられた1匹のオスおよび投与期の15日目に瀕死の状態で犠牲にした10mg/kg/日を与えられた1匹のメスについては、明らかではなかった。全ての他の投与期および全ての回復期における毒性動物は、それらの予定通りの犠牲まで生存した。
【0120】
最終的な犠牲において、(最終的な体重に対して調節された)平均臓器重量において統計的に有意な増加が、30mg/kg/日を与えられたオスの肝臓および10mg/kg/日を与えられたオスの前立腺で起こった。これらの変化は、顕微鏡的相関、性別間の一致(肝臓のみ)、および/または用量応答の証明を欠いているため、薬剤関連ではないと見なされた。調節された平均胸腺重量は、10%より大きく減少し、30mg/kg/日を与えられたオス(0.86×)および10mg/kg/日(0.85×)または30mg/kg/日(0.79×)を与えられたメスにおいて、用量依存性であった。統計学的な有意性または顕微鏡的な相関を欠いており、これらの群における前記薬剤に対する胸腺重量の減少の相関関係は、不確かである。最終的な犠牲における全ての他の臓器重量の変化および回復犠牲における全ての臓器重量の変化は、おそらく、通常の生物学的変化によるものであり、前記薬剤の直接的な作用とは見なされなかった。
【0121】
心臓における癒着および肺における癒着または腫瘤の肉眼で確認できる所見が、30mg/kg/日を与えられたメスにおける最終的な犠牲において観察された。心臓における癒着が、30mg/kg/日を与えられた1匹のメスにおける回復犠牲において観察された。これらの肉眼で見える所見は、心臓および肺における繊維症の顕微鏡的所見および/または慢性的な炎症と相関し、薬剤関連と見なされた。全ての他の肉眼で見える所見は、自発的、偶発的であるか、または、事故死に関連すると見なされ、前記薬剤によるものではなかった。
【0122】
最終的な犠牲において、胸腔の慢性的な炎症と一致する顕微鏡的所見が、30mg/kg/日を与えられたメスの心臓および肺の漿膜表面上、ならびに、胸腺周囲の結合組織内に存在した。心臓の漿膜/心外膜の表面および肺の肋膜/肋膜下の表面の慢性的な炎症および/または線維症が、30mg/kg/日を与えられた5/10匹のメスにおいて観察された。前記所見は、心臓および肺の漿膜表面に沿って拡散した多病巣性であり、わずかな炎症性細胞で厚くなっている繊維症から、より重度の慢性的な炎症に変わった。慢性から慢性−活性炎症も、30mg/kg/日を与えられた4/10匹のメスにおける、胸腺周囲の緩い血管結合組織において観察された。回復犠牲において、心臓および肺の漿膜表面における慢性的な炎症および/または線維症が、30mg/kg/日を与えられた2/5匹のメスにおいて観察された。回復犠牲における所見は、わずかな炎症を有する漿膜表面の厚くなっている繊維症が拡散した多病巣性により特徴付けられ、部分的な解決を示唆する。胸腔における慢性的な炎症の所見が、30mg/kg/日を与えられた合計7/15匹のメスでの、予定通りの犠牲において観察されたためであり、これらの所見についての別の原因の肉眼で見えるか、または、顕微鏡的な証明を欠いていたためである。30mg/kg/日を与えられたメスにおける、心臓および肺の漿膜表面上ならびに胸腺周囲の繊維脂肪組織における線維症および/または炎症は、おそらく、最も薬剤関連であると見なされ、肋膜および心膜の滲出液に対して二次的に、漿膜炎症を生じた可能性がある。
【0123】
肺における肺胞マクロファージの発生率の小さな増加が、30mg/kg/日を与えられたメスにおける最終的な犠牲において観察され、おそらく、最も薬剤関連であると見なされた。肺胞のマクロファージの発生率の向上は、回復犠牲において観察されなかった。この所見は可逆性であると示唆された。予定通りおよび予定外の犠牲における全ての他の顕微鏡的所見は、自発的、偶発的であると見なされ、または、事故死に関連し、前記薬剤によるものではないと見なされた。
【0124】
先に行われたCEP−37440による、10日用量範囲所見研究において、ラットに対する10、30、または60mg/kg/日での強制飼養による前記薬剤の毎日の投与は、10mg/kg/日において十分に許容された。骨髄(低細胞性)、脾臓、胸腺、およびリンパ節(リンパ球の減少);ならびに肺(肺胞マクロファージの増加)における解剖学的病理学的所見と組み合わせた体重についての薬剤関連の有害な所見は、≧30mg/kg/日を与えられた動物において観察された。薬剤関連変化は、10mg/kg/日を与えられた動物において観察されなかった。最近の研究では、有害な薬剤関連所見が、30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスにおいて観察された。これらの所見は、オスおよびメスにおいてより低い体重増加が得られ、オスおよびメスにおいてより低い摂食量が得られ、胸腔の慢性的な炎症と一致するメスにおける顕微鏡的所見が得られた。
【0125】
薬剤関連作用は、10mg/kg/日までの臨床病理学的な試験結果において観察されなかった。複数の小さな臨床病理学的作用が、30mg/kg/日において観察され、それは、最少から穏やかな大きさであった。これらの所見は、有害で、毒性学的に重要であると見なされないか、または、生存中の他の有害性または解剖学的病理学的な所見と決定的に相関しなかった。
【0126】
赤血球量、完全な網状赤血球、好中球、および好酸球の数は、穏やかな骨髄抑制/毒性を反映している場合があるが、相間的な組織病理学的所見は、骨髄において観察されなかった。これらの所見は、回復期の最後において、可逆性を示した。30mg/kg/日を与えられたメスにおける回復期の最後でのより高い平均血球体積は、おそらく、典型的により大きいサイズのより若い赤血球のより高い割合のためである。
【0127】
より低いアルブミンおよびアルブミン対グロブリン比ならびにより高いグロブリンは、炎症と一致し、組織学的に観察された胸腔の慢性的な炎症に関連している場合がある。より高いコレステロールは、これらの動物において観察された摂食量および体重増加の減少に関連している場合がある。より低い血清塩化物は、おそらく、より高い尿排泄のためであった。より高いカルシウムについてのメカニズムは不明であった。薬剤関連作用は、任意の用量レベルにおけるトロポニンI濃度において観察されなかった。全ての臨床化学的所見は、回復期の最後において、可逆性を示した。
【0128】
より低い血清塩化物は、おそらく、30mg/kg/日を与えられた動物の尿における、塩化物のより高い総排出およびより高い尿分別クリアランスに関連した。相間的な組織病理学的所見は、これらの動物の腎臓において観察されなかった。全ての尿化学所見は、回復期の最後において、可逆性を示した。
【0129】
まとめると、≦10mg/kg/日での28日間の、ラットに対するCEP−37440の経口投与は、臨床的に十分許容され得た。胸腔の慢性的な炎症と一致する顕微鏡的所見は、30mg/kg/日を与えられたメスに存在した。体重変化および摂食量の低下は、30mg/kg/日を与えられたオスおよびメスに存在した。これらの所見に基づいて、この研究における最大無作用量(no observed adverse effect level:NOAEL)は、10mg/kg/日であった。
【0130】
カニクイザルにおけるCEP−37440の、4週間の回復期間を含む4週間の経口毒性および毒物動態学研究
全ての動物が、それらの予定通りの犠牲まで生存した。
【0131】
薬剤関連の臨床的観察は、投与期または回復期中に見られなかった。むしろまれに現れた臨床的観察は一時的であるか、または、コントロールと同等の発生率であった。このため、それらは、薬剤関連とは見なされなかった。
【0132】
投与期または回復期中に、体重または体重増加における薬剤関連作用は見られなかった。薬剤関連の異常な眼科的所見は見られなかった。さらに、血圧測定中に、薬剤関連の観察は見られなかった。
【0133】
PR間隔、QRS持続、QT間隔、補正QT(corrected QT:QTc)間隔、RR間隔、または心拍数の薬剤関連変化は、2.5、7.5、または20.0mgのCEP−37440/kg体重/日(mg/kg/日)を与えられた動物において、投与期の3日目および27日目または回復期の28日目においては観察されなかった。CEP−37440によるリズム異常または質的なECGの変化は、ECGの質的評価中に観察されなかった。
【0134】
20.0mg/kg/日までのCEP−37440の投与は、投与期または回復期の最後における臨床病理学的な試験結果に作用を有しなかった。
【0135】
少しの個々の動物は、投与期中における(白血球および完全な好中球数、フィブリノゲン、およびC−反応性タンパク質におけるわずかから顕著な増加を含む)炎症と一致する臨床病理学的所見を有したが、これらの動物は、通常、コントロールを含む全ての群にわたって分散していた。その点については、これらの所見は、前記薬剤には関連しないと見なされた。それらが、用量関連パターンを欠いており、多くの場合、経時的に(特に白血球数について)矛盾しており、一部のコントロール動物を含んだためである。
【0136】
最終的な犠牲において、最終的な体重または臓器重量における統計学的に有意な変化はなかった。予定通りの最終的または回復犠牲において存在する全ての臓器重量の変化は、通常の生物学的変化によるものであり、偶発的および前記薬剤に関連しないと見なされた。
【0137】
明らかな薬剤関連の肉眼で見られる所見は、最終的または回復犠牲において存在しなかった。最終的な犠牲において、7.5mg/kg/日を与えられた全て(3/3匹)のオスおよび20.0mg/kg/日を与えられた2/3匹のメスは、胃の粘膜表面上に、単独から少数の、赤色から暗赤色の病巣を示した。20.0mg/kg/日を与えられた1匹のオスにおける胃の漿膜は、小さい赤色領域を示した。顕微鏡的相関は、被膜の筋肉層内の平滑筋変性の存在の有無における、粘膜および/または粘膜下組織/被膜の筋層内の限局性出血であった。1匹のコントロールのメスにおける同様の所見の存在は、これらの所見が偶発的で、前記薬剤に関連しないことを示唆する。
【0138】
明らかな薬剤関連の顕微鏡的所見は、最終的または回復犠牲において存在しなかった。CEP−37440を与えられた一部の動物における胃の粘膜または漿膜において肉眼で見える所見は、被膜の筋肉層内の平滑筋変性の存在の有無における、粘膜および/または粘膜下組織/被膜の筋層内の限局性出血の顕微鏡的所見と概ね相関した。しかしながら、最近の研究におけるCEP−37440投与に対する肉眼で見える所見と顕微鏡的所見との関連は、コントロール物質を与えられたメスの胃における、類似およびより重度の顕微鏡的所見の存在、および、胃の平滑筋変性がカニクイザルにおける公知のバックグラウンド所見であるという事実を仮定すると不確かである。他の顕微鏡的所見が、1若しくはそれ以上の動物の胃において存在したが、前記薬剤に対するその関連は、その低い重症度および/または発生率、明確な用量応答の欠落、またはコントロール動物における同時に起こる存在のために不確かである。
【0139】
最終的または回復犠牲における全ての残りの顕微鏡的所見、例えば、20mg/kg/日を与えられた2匹のメスの肺における、肺胞マクロファージの最少の、病巣浸潤は、通常の生物学的変化によるものであり、偶発的と見なされた。
【0140】
まとめると、28日間の連続日数における20mg/kg/日までの用量におけるカニクイザルに対する経口によるCEP−37440の投与は、十分許容でき、薬剤関連作用は、任意の用量レベルにおいて観察されなかった。明らかに、肺水腫の何等の証拠も存在しなかった。CEP−37440は、ヒトの臨床試験に使用するのに安全であると決定された。CEP−28122と比較したCEP−37440の優れた安全性プロファイル、および、特に肺毒性がないことは、驚くべきことであり、予期しなかったことであった。
【0141】
マウスにおけるNPM−ALK陽性Sup−M2およびKarpas−299 ALCL腫瘍異種移植片モデルでの抗腫瘍活性
顕著な抗腫瘍活性は、10mg/kg以下、bidでのCEP−37440による12日間の処置後に観察されなかった。部分的な腫瘍抑制が、30mg/kg、qdでのCEP−37440による12日間の処置後に観察された。完全または完全に近い腫瘍抑制が、30mg/kg bid、または、55mg/kg、qdでのCEP−37440による12日間の処置後に観察された(
図4)。CEP−37440の投与は、全ての投与計画において、明確な毒性および顕著な化合物関連のマウスの体重減少なしに、十分に許容される(
図5)。CEP−37440の用量関連レベルは、最終的な投与後2時間で収集された血漿および腫瘍のライゼートにおいて見出される(
図6)。CEP−37440は、30mg/kg、bidおよび55mg/kg、qdの用量レベルでの腫瘍においては観察できないことに留意されたい。それらの動物は、腫瘍を有しない、完全な腫瘍抑制を有したためである。CEP−37440レベルは、PK/PD研究における1回の経口投与後2時間でのレベルより、血漿においておおよそ2〜3倍高く、腫瘍において10倍以上高い。このことは、10および30mg/kgでのbidまたはqdによる経口投与計画による、血漿および腫瘍におけるいくらかの化合物の蓄積を示唆している。
【0142】
Karpas−299腫瘍異種移植片において、顕著な抗腫瘍活性が、30mg/kg、qdにおいて観察された。完全または完全に近い腫瘍抑制が、30mg/kg bidまたは55mg/kg、qdでの12日間の処置後に観察された(
図7)。CEP−37440の投与は、投与計画において、明確な毒性および顕著な体重減少なしに、十分許容される(
図8)。CEP−37440の用量関連レベルは、最終的な投与後2時間で収集された血漿および腫瘍のライゼートにおいて観察される(
図9)。CEP−37440は、50mg/kg、qdの用量レベルでの腫瘍においては観察できないことに留意されたい。それらの動物は、腫瘍を有しない、完全な腫瘍抑制を有したためである。
【0143】
マウスにおけるEML4−ALK陽性(NCI−H2228およびNCI−H3122)NSCLC腫瘍異種移植片での、経口投与による抗腫瘍活性
NCI−H2228腫瘍異種移植片モデルについて、30mg/kg、qdおよびbid、ならびに55mg/kg、qd poでの12日間のCEP−37440(HCl塩)による処置により、腫瘍抑制がもたらされる(
図10)。NCI−H3122腫瘍異種移植片モデルについて、30mg/kg、bidまたは55mg/kg、qd poでの12日間のCEP−37440(HCl塩)による処置により、腫瘍静止および部分的な抑制がもたらされる(
図11)。NCI−H2228腫瘍異種移植片において観察された改善された抗腫瘍作用は、おそらく、CEP−37440のより高い腫瘍分布のためである(
図12および
図13)。これらの腫瘍を有するマウスにおける処置は、NCI−H3122の腫瘍を有するマウスにおける処置は、NCI−H3122の腫瘍を有するマウスにおける30mg/kg、bid投与を除いて(
図15)、明確な毒性または化合物関連の体重減少なしに、十分許容される(
図14および
図15)。
【0144】
55mg/kg qd poでのNCI−H2228の腫瘍を有するマウスの4週間の更なる処置により、100%の動物における持続性の完全な腫瘍抑制が提供される(
図16)。前記更なる処置は、明確な毒性および顕著な体重減少なしに、十分許容される(
図17)。持続性の腫瘍抑制は、100%のマウスにおいて、処置の中止後40日間、いずれのマウスにおける腫瘍の再現なしに観察された(
図16)。
【0145】
このことは、CEP−37440によるおおよそ6週間の処置後に、腫瘍が完全に根絶され、マウスが効果的に「治癒」されていることを示唆するため重要である。
【0146】
ホルモン非依存性前立腺ガン腫、NSCLガン腫、およびHNSCガン腫のヒト腫瘍異種移植片における抗腫瘍活性研究
確立されたFAK陽性PC−3前立腺腫瘍の異種移植片において、36日の期間にわたるCEP−37440の投与により、55%の腫瘍増殖阻害(tumor growth inhibition:TGI)および10%の発生率の完全な腫瘍抑制がもたらされる。このモデルにおけるPF−562271の同等の用量のそれ(69%のTGIおよび25%の発生率の部分的な腫瘍抑制)と類似するプルファイルであった(
図18)。全ての投与計画は、明確な毒性または顕著な体重減少が観察されず、十分許容される。
【0147】
非小細胞肺(Non−small Cell Lung:NSCL)ガン腫
CEP−37440は、研究の28日目までの、55mg/kg bidにおいて80%のTGIおよび60%の発生率の(30%の完全および30%の部分的な)腫瘍抑制による薬剤関連抗腫瘍活性、ならびに、30mg/kg bidにおける顕著な活性(60%のTGIおよび部分的な腫瘍抑制についての証拠)を説明する(
図19)。顕著な抗腫瘍活性(66%のTGI)が、55mg/kg bidでのPF−562271により観察されるが、中程度の腫瘍増殖のリバウンドが、23日目に始まって観察された。CEP−37440およびPF−562271両方の投与は、明確な毒性または顕著な体重減少が観察されず、十分許容される(
図20)。CEP−37440により達成された顕著な活性は、このEML4−ALK陰性の腫瘍異種移植片モデルにおけるEGF−Rのリン酸化(活性化)を阻害することの結果ではないことに留意されたい。
【0148】
頭頸部扁平上皮ガン腫(Head and Neck Squamous Cell Carcinoma:HNSCC)
確立されたDetroit562 HNSCC異種移植片を有するSCIDマウスにおいて、CEP−37440およびPF−562271は、総FAK発現レベルにおける作用なしに、FAK活性化の阻害についての明確な腫瘍薬力学的作用を説明した(
図21)。28日の期間にわたって、CEP−37440およびPF−562271により、腫瘍静止ならびに、20%の発生率(CEP−37440、30mg/kg bid)および30%の発生率(CEP−37440およびPF−562271、55mg/kg bid)の部分的な腫瘍抑制がもたらされる。CEP−37440(両用量)により観察された活性の大きさは、PF−562271の55mg/kg bidにより観察されたそれ(Robert et al.,2008)と同等である。投与計画は、罹患または死亡が観察されず、十分許容される。
【0149】
これらの研究は、それらが、ホルモン非依存性前立腺ガン腫、NSCLガン腫、およびHNSCCの確立された異種移植片モデルにおいて、CEP−37440が顕著なFAK薬力学的阻害およびALK非依存性抗腫瘍活性、例えば、客観的な腫瘍応答を示すため、重要である。
【0150】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、説明の目的のみについてのものであり、それらを考慮した種々の改良または変更が、当業者に示唆され、この出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるであろうことが理解される。本明細書において引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的について、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。