(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の製造方法について詳細に説明する。以下の図面は、当業者に本発明の思想を十分に伝達するための例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下に提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されてもよく、以下に提示される図面は、本発明の思想を明確にするために誇張して図示されることがある。この際、使用される技術用語及び科学用語において他の定義がない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において本発明の要旨を不明にしうる公知の機能及び構成に関する説明は省略する。
【0025】
希土類系焼結磁石の保磁力を増大させるために重希土類元素のドーピングが使用されている。しかし、重希土類元素は、その埋蔵量が極めて少なくて非常に高価であるため、希土類系焼結磁石の商用化において大きい障害となっている。
【0026】
本発明者らは、高価の重希土類元素の使用量を最小化し、且つ優れた磁性特性を有し、生産性を向上させることができる希土類系焼結磁石の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、多段ドーピングによりドーピング元素の拡散特性を制御することで、微量の重希土類元素でも優れた磁性特性及び均質な磁性特性を有する焼結体の製造が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0027】
本発明の一実施例による製造方法において、焼結磁石は、希土類系焼結磁石であってもよく、希土類系焼結磁石は、Nd‐Fe‐B系焼結磁石であってもよい。希土類系磁石原料粉末は、Nd、Fe及びBを含有してもよく、耐食性の向上など、要求される特性を向上させるために、Cu、Co、Al及びNbから選択されるいずれか一つ以上の遷移元素(M)をさらに含有してもよい。この際、希土類系磁石原料粉末は、希土類系焼結磁石の母材粉末を含むことができる。
【0028】
具体的に、前記希土類系磁石原料粉末は、磁石原料粉末が焼結されて形成される主相(母材)が、Nd
xFe
yB
z(x=1.5〜2.5の実数、y=13.5〜14.5の実数、z=0.95〜1.1の実数)を満たすために、Nd、Fe及びBを含有してもよい。この際、上述のように、磁石原料粉末が遷移元素(M)をさらに含有する場合、遷移元素(M)は、磁石原料粉末に含有されるFeの一部を置換することができ、詳細には、磁石原料粉末に含有されるFeの総量を100原子%とし、2.0〜3.0原子%のFeに該当する遷移元素(M)を含有することができる。
【0029】
本発明の一実施例による焼結磁石の製造方法は、a)希土類系磁石原料粉末に第1重希土類化合物を含む第1ドーピング物質を混合焼結して、第1ドーピングされた焼結体を製造する第1ドーピング段階と、b)第1ドーピングされた焼結体の表面に第2重希土類化合物を含む第2ドーピング物質のコーティング層を形成してから熱処理を施して、第2ドーピングされた焼結体を製造する第2ドーピング段階と、を含むことができる。
【0030】
すなわち、一実施例による製造方法は、第1ドーピング物質と磁石原料粉末の混合及び熱処理による第1ドーピング段階と、第1ドーピングされた焼結体の表面に第2ドーピング物質のコーティング層を形成した後、コーティング層から焼結体へ第2ドーピング物質を拡散させる第2ドーピング段階と、を含む多段ドーピングにより焼結磁石を製造することができる。
【0031】
このような多段ドーピングにより、ドーピング物質として使用される重希土類元素の使用量を減少させ、且つ焼結磁石内に重希土類酸化物のような好ましくない異常が形成されることを防止することができ、第2ドーピング段階において第2ドーピング物質の拡散が促進されて均一な磁性を有する焼結磁石の生産量を向上させることができる。
【0032】
通常、主相の結晶粒コア及び結晶粒コアを包み、重希土類元素が多量にドーピングされたシェルのコア‐シェル構造を製造するために、重希土類元素のドーピングの際に、結晶の内部を介して拡散する格子拡散又はバルク拡散を防止することが、より好ましいと知られている。
【0033】
しかし、上述の多段ドーピングに基づき、むしろ第1ドーピングの際に主相に対する第1ドーピング物質の格子拡散により、主相に応力や点欠陥などをもたらした後、表面コーティング層を用いた第2ドーピングを行う場合、第2ドーピング物質の粒界拡散を著しく向上させることができる。
【0034】
詳細には、本発明の一実施例による製造方法において、第1ドーピング段階により、第2ドーピング段階が下記関係式1を満たすことができる。
【0035】
(関係式1)
L
dif0≦1.5L
dif
(関係式1中、L
dif0は、a)段階において、第1重希土類化合物を混合せずに製造された焼結体(以下、基準焼結体)を対象としてb)段階を行った場合、前記コーティング層が形成された表面に対して垂直な深さ方向に第2重希土類化合物が拡散された深さを意味し、L
difは、第1ドーピングされた焼結体のコーティング層が形成された表面に対して垂直な深さ方向に第2重希土類化合物が拡散された深さを意味する。)
より詳細には、第1ドーピング段階において、第1重希土類化合物によるドーピングだけでなく、第1重希土類化合物によって希土類系磁石原料粉末が焼結されて形成される主相に応力及び欠陥が形成されることがある。このような応力及び欠陥の形成により、第2ドーピング段階の拡散が促進され、第2ドーピング段階の際にドーピングが上述の関係式1を満たすことができる。
【0036】
第2ドーピング段階の際に、コーティング層は、ドーピング対象物の表面にドーピング元素を供給する物質供給源の役割を果たし、コーティング層が形成されたドーピング対象物を熱処理することにより、コーティング層に含有されたドーピング元素がドーピング対象物の内部に拡散し、ドーピングが行われることができる。
【0037】
詳細には、本発明の一実施例により多段ドーピングを行う場合、第1重希土類化合物を添加せず、希土類系磁石原料粉末を焼結して基準焼結体を製造し、製造された基準焼結体の表面に第2重希土類化合物を含む第2ドーピング物質のコーティング層を形成してから熱処理する際に、第2重希土類化合物の拡散深さである基準拡散深さ(L
dif0)に比べて、第1ドーピング段階が行われた後、第2ドーピング段階を行う際に、基準拡散深さより1.5倍以上の深さ、具体的に2倍以上の深さまで第2重希土類化合物の拡散が行われることができる。この際、拡散深さは、EPMA(電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer))及びWDS(波長分散分光法(Wavelength Dispersive Spectroscopy))を用いた深さによる元素含有量(depth profile)を分析する際、ドーピング元素が少なくとも1.0元素%以上検出される深さを意味する。この際、1次ドーピングと2次ドーピングが順に行われる本発明の一実施例において、1次ドーピングと2次ドーピングの際にドーピングされる重希土類元素が一致する場合、拡散深さは、1次ドーピングの際のドーピング元素の検出濃度を基準点(reference、0%)とし、基準点より1.0元素%以上検出される深さを意味する。
【0038】
a)段階において、重希土類酸化物のような好ましくない異常の形成を防止し、重希土類元素のドーピング(1次ドーピング)とともに、重希土類化合物により主相に欠陥と応力(格子歪を含む)を効果的に形成するためには、第1重希土類化合物の物質、第1重希土類化合物の量及び焼結温度が主に制御されることが好ましい。
【0039】
主相に欠陥と応力をより効果的に形成するために、第1重希土類化合物は、第1重希土類化合物に含有される第1重希土類元素と結合する異種元素である相手元素のイオン半径がホウ素(B)のイオン半径より大きいことが好ましい。また、第1重希土類化合物は、主相への格子拡散が容易に発生する物質であることが好ましい。このような面において、第1重希土類化合物はハロゲン化物であってもよい。ハロゲン化物は、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物から選択されるいずれか一つ以上のものであってもよく、ホウ素(B)と相手元素とのイオン半径の差が小さすぎる場合には、格子歪を含む応力の形成が不十分になる虞があり、イオン半径の差が大きすぎる場合には、格子拡散が容易に発生しない虞がある。このような面において、第1重希土類化合物はフッ化物であることが最も好ましい。
【0040】
さらに、第1重希土類化合物が、ハロゲン化物、好ましくは、フッ化物の場合、a)段階で生成される焼結体(第1ドーピングされた焼結体)の密度(相対密度)を減少させることができ、このような低い相対密度と後続するb)段階のドーピング工程が結合することにより、第2ドーピング段階の際に、第2ドーピング物質の拡散を促進することができる。具体的には、第1ドーピングされた焼結体の相対密度は96.5〜97.5(%)であってもよく、これにより、関係式1、具体的には、関係式1‐1を満たす第2ドーピングが行われることができる。
【0041】
(関係式1‐1)
L
dif0≦2L
dif
(関係式1‐1中、L
dif0は、a)段階において、第1重希土類化合物を混合せずに製造された焼結体(基準焼結体)を対象としてb)段階を行った場合、前記コーティング層が形成された表面に対して垂直な深さ方向に第2重希土類化合物が拡散された深さを意味し、L
difは、第1ドーピングされた焼結体のコーティング層が形成された表面に対して垂直な深さ方向に第2重希土類化合物が拡散された深さを意味する。)
また、第1重希土類化合物が、ハロゲン化物、好ましくは、フッ化物の場合、a)段階の焼結後に焼結体に異常が残留しても、その異常が第1重希土類元素の酸化物ではなく、磁石原料粉末に含有された希土類‐酸素‐ハロゲンの化合物が形成されることができる。このような化合物の場合、酸化物とは異なり、重希土類元素のシンク(sink)として作用せず、第1ドーピング及び第2ドーピングにより非常に均一な厚さのシェルが形成されることができる。
【0042】
第1重希土類化合物の第1重希土類元素は、Dy、Tb、Ho、Sm、Gd、Er、Tm、Yb、Lu及びThから選択されるいずれか一つ又は二つ以上の元素であってもよい。非限定的な一例として、製造しようとする焼結磁石がNd‐Fe‐B系の場合、第1重希土類元素がDy、Tb又はDy及びTbであることが、磁性特性の向上においてより好ましい。
【0043】
第1重希土類化合物により主相に生じる欠陥は、空格子点欠陥(vacancy defect)、格子間欠陥(interstitial defect)及び/又は格子内欠陥(substitutional defect)を含むことができ、主相に生じる応力は、格子歪を含むことができる。一例として、イオン半径が相違する異種元素(第1重希土類化合物に起因した元素)が格子内に位置する場合、そのイオン半径の差によって主相には格子歪が発生しうる。
【0044】
第1ドーピング段階の第1重希土類化合物の量は、第1ドーピングされた焼結体が0.5〜6.5重量%、好ましくは、0.5〜1.5重量%の第1重希土類元素(第1重希土類化合物に起因した第1重希土類元素)を含有するようにする量であってもよい。このような第1重希土類化合物の量は、焼結処理の際、原料に投入される未反応(又は未拡散)状態の第1重希土類化合物がほとんど残留しないほどに微量であるとともに、主相に欠陥と応力をもたらしうる量である。すなわち、主相に欠陥と応力をもたらしうるとともに焼結処理の際に未反応(又は未拡散)第1重希土類化合物が残留せず、未反応第1重希土類化合物によって第1重希土類酸化物が生成されないほどの量である。
【0045】
a)段階の焼結温度は、1000〜1100℃であることが好ましく、通常、粒界拡散は、格子拡散に比べて、相対的に低い拡散エネルギー障壁を有する。これにより、a)段階の焼結温度を1000〜1100℃に調節することにより、格子拡散に要求される拡散エネルギー障壁を容易に超えることができるほどに熱エネルギーを提供することができ、粒界拡散に比べて格子拡散の割合をより向上させることができ、空格子点欠陥を多量にもたらしうる。
【0046】
本発明の一実施例による製造方法において、a)段階の1段階ドーピング工程は、i)希土類系磁石原料粉末に第1重希土類化合物を含む第1ドーピング物質を混合する段階と、ii)i)段階の混合物を圧縮成形して成形体を製造する段階と、iii)成形体を焼結して、第1ドーピングされた焼結体を製造する段階と、を含むことができる。
【0047】
i)段階の混合は、乾式混合であってもよく、粉末を均一且つ均質に混合するために通常使用される如何なる混合方法を使用してもよい。原料として使用される粉末(第1ドーピング物質及び磁石原料粉末を含む)の平均粒径は、焼結の際に粒子成長及び緻密化のために十分な駆動力を提供し、原料間の均一且つ均質な反応が発生するように、1〜10μmの範囲であればよい。この際、希土類系磁石原料粉末は、製造しようとする希土類系磁石の原料(元素)それぞれの粉末、製造しようとする希土類系磁石の原料化合物(元素化合物)それぞれの粉末、製造しようとする希土類系磁石の原料間の化合物(元素間化合物)の粉末、製造しようとする希土類系磁石(母材)自体の粉末であってもよい。非限定的な一例として、希土類系磁石原料粉末は、Nd
xFe
yB
z(x=1.5〜2.5の実数、y=13.5〜14.5の実数、z=0.95〜1.1の実数)粉末又はNd
xFe
yB
z(x=1.5〜2.5の実数、y=13.5〜14.5の実数、z=0.95〜1.1の実数)において、Feの総量を100原子%とし、2.0〜3.0原子%のFeに該当する遷移元素(M)を含有する粉末であってもよい。
【0048】
ii)段階の成形体の製造は、モールド(成形型)に、i)段階の混合物を投入した後、200〜400MPaの圧力で圧縮成形して行われることができる。成形体は、焼結磁石の用途に適する形状を有することができ、その形状は制限されず、第1ドーピング段階の後、第1ドーピングされた焼結体の表面にコーティング層を形成して熱処理が行われることにより、均一なコーティング層の形成に有利な形状、一例として、六面体(正六面体又は直方体)又はディスク形状を有してもよい。しかし、本発明が成形体の形状によって限定されないことは言うまでもない。さらに、本発明の一実施例により、第1ドーピング段階及び第2ドーピング段階を含む多段ドーピングを行うことにより、上述の関係式1を満たす第2ドーピングが行われることができる。これにより、厚い成形体を製造しても、均一且つ均質にドーピングが行われることができる。具体的な一例として、通常のディップコーティング法(dip‐coating method)を使用する場合、ドーピング物質の拡散距離が300μm内外であると知られているが、本発明の一実施例による製造方法の場合、第2ドーピング段階において、ドーピング物質の拡散距離が450μm以上、さらに700μm以上であってもよい。これにより、第1ドーピングされた焼結体の互いに対向する二つの表面からドーピング物質が拡散する場合、0.9mm以上、さらに1.4mm以上の厚さ(互いに対向する二つの表面間の距離)を有するように成形体及び第1焼結体を製造する場合にも、安定的で均質な磁性特性を有する焼結磁石が製造されることができる。
【0049】
iii)段階の焼結は、真空又は不活性雰囲気下で行われることができる。この際、真空雰囲気は、1×10
-4〜1×10
-7torrの圧力であってもよく、不活性雰囲気は、アルゴン、窒素、ヘリウム又はこれらの混合ガス雰囲気であってもよい。焼結時間は、希土類系磁石原料粉末により主相が核生成及び成長し、十分な緻密化が行われる時間であればよい。非限定的な一例として、焼結時間は、1〜4時間であってもよい。
【0050】
上述のように、第1ドーピング段階により、主相は第1重希土類化合物から起因した第1重希土類元素によりドーピングされるとともに、格子歪を含む応力と欠陥が形成された第1ドーピングされた焼結体が製造されることができる。第1ドーピングされた焼結体は、第2ドーピング段階を経て再度ドーピング処理されることができる。第2ドーピング段階は、第1ドーピングされた焼結体の表面に第2ドーピング物質の物質供給源であるコーティング層を形成した後、焼結体の表面から焼結体の内部に第2ドーピング物質を拡散する粒界拡散工程であってもよい。
【0051】
詳細には、第2ドーピング段階は、1)第2重希土類化合物を含む第2ドーピング物質を含有するドーピング液を用いて、第1ドーピングされた焼結体の表面に第2ドーピング物質のコーティング層を形成する段階と、2)コーティング層が形成された第1ドーピングされた焼結体を熱処理して、第2ドーピング物質を第1ドーピングされた焼結体の内部に拡散(drive‐in)させる段階と、を含むことができる。
【0052】
第1ドーピング段階により主相に生じた応力と欠陥は、第2ドーピング物質の粒界拡散を著しく促進することができる。具体的に、関係式1のように、基準焼結体に比べて、1.5倍以上、より具体的に、2倍以上の深さに第2ドーピング物質が拡散することができる。
【0053】
さらに、多段ドーピングを用いて重希土類元素を主相にドーピングすることにより、第1ドーピングの際に微量の第1重希土類化合物を添加して、酸化物のようにコア‐シェル構造の形成を妨げる好ましくない異常が形成されることを防止することができる。これにより、第2ドーピングにより主相のコア及び主相に重希土類元素(第1重希土類化合物に起因した第1重希土類元素及び第2重希土類化合物に起因した第2重希土類元素を含む)が多量にドーピングされたシェルのコア‐シェル構造が形成される際、均一で薄い厚さに、コアを全体的に包むシェルが形成されることができる。すなわち、第1ドーピングの際に微量の第1重希土類化合物を添加し、主相に粒界拡散を促進する欠陥及び応力が形成されるようにすることで、同じ第2ドーピング処理条件下でより均一で均質なコア‐シェル構造が形成されることができ、第2ドーピングの際に拡散深さが著しく向上するとともに、ドーピングが非常に均質に行われることができ、これにより、焼結磁石の磁性特性及び生産量を著しく向上させることができる。
【0054】
第2ドーピング段階において、コーティング層は、第1ドーピングされた焼結体にドーピング液を噴霧及び乾燥するか、ドーピング液に第1ドーピングされた焼結体を浸漬した後、第2ドーピングされた焼結体を回収及び乾燥して形成されることができる。この際、第1ドーピングされた焼結体の表面の全領域に第2ドーピング物質のコーティング層を形成することができる。ドーピング液は、第2ドーピング物質及び溶媒を含有することができ、溶媒は、第2ドーピング物質を溶解し、第1ドーピングされた焼結体と化学的に反応しない安定した物質であれば使用することができる。具体的な一例として、ドーピング液の溶媒としては、C1‐C3の低級アルコールが挙げられ、本発明は、ドーピング液の溶媒によって限定されるものではない。ドーピング液中の第2ドーピング物質の濃度は、形成されたコーティング層が第1ドーピングされた焼結体に第2ドーピング物質を十分に供給することができる程度の濃度であればよく、具体的な一例として、ドーピング液は、20〜80M(モル濃度)の第2ドーピング物質を含有してもよい。乾燥は、特に限定されず、不活性気体又は真空雰囲気(1×10
-1〜1×10
-3torr)で50〜100℃の温度で行われてもよい。
【0055】
第2ドーピング物質は、第2重希土類化合物を含むことができ、第2重希土類化合物は、主に、粒界拡散により第1ドーピングされた焼結体に拡散されることができる水素化物であることが好ましい。第2重希土類化合物の第2重希土類元素は、第1重希土類化合物とは独立して、Dy、Tb、Ho、Sm、Gd、Er、Tm、Yb、Lu及びThから選択されるいずれか一つ又は二つ以上の元素であってもよい。非限定的な一例として、製造しようとする焼結磁石が、Nd‐Fe‐B系の場合、第2重希土類元素がDy、Tb又はDy及びTbであることが、磁性特性の向上においてより好ましく、均質で優れた磁性特性を有する焼結磁石の製造の面において、第1重希土類元素と同じものがより好ましい。
【0056】
第1ドーピングされた焼結体にコーティング層を形成した後、コーティング層が形成された表面から焼結体の内部に第2ドーピング物質を拡散させるための熱処理(drive‐in)が行われることができる。
【0057】
第2ドーピング段階における熱処理は、粒界拡散を主とし、第2ドーピング物質をドーピングさせるためのものであるため、第2ドーピング段階の熱処理は、格子拡散に要求されるエネルギー障壁は容易に超えることができず、且つ粒界拡散に要求されるエネルギー障壁を容易に超えることができる程度の温度であることが好ましい。これにより、第2ドーピング段階における熱処理は、800〜950℃で行われる第1熱処理を含むことが好ましい。第1熱処理は、粒界拡散により第2ドーピング物質を焼結体の内部に拡散させるための熱処理であってもよい。
【0058】
これとともに、第2ドーピング段階における熱処理は、第1熱処理が行われた後、第1熱処理温度より相対的に低い温度で行われる第2熱処理を含むことができる。すなわち、第2ドーピング段階における熱処理は、上述の第1熱処理及び第2熱処理を含む多段熱処理であってもよい。第2熱処理は、焼結磁石の微細構造を向上させるための熱処理であってもよい。このために、第2熱処理は、400〜600℃で行われることが好ましい。
【0059】
詳細には、第2ドーピング段階の熱処理は、800〜950℃の第1熱処理及び400〜600℃の第2熱処理を含む多段熱処理であってもよく、真空又は不活性雰囲気で行われてもよい。この際、真空雰囲気は、1×10
-4〜1×10
-7torrの圧力であってもよく、不活性雰囲気は、アルゴン、窒素、ヘリウム又はこれらの混合ガス雰囲気であってもよい。第1熱処理時間は、第1ドーピングされた焼結体の表面領域に厚すぎるシェルが形成されて磁性特性を低減しないとともに、第2ドーピング物質が焼結体内に十分に拡散流入されることができる時間であればよい。具体的な一例として、第1熱処理は、1時間〜3時間行われてもよい。非限定的な一例として、第2熱処理は、1時間〜3時間行われてもよい。
【0060】
本発明は、上述の製造方法により製造される焼結磁石を含む。
【0061】
本発明の一実施例による焼結磁石は、焼結磁石をなすグレーン(grain)それぞれが主相のコア及び主相を包むシェルのコア‐シェル構造を有し、コア‐シェル構造のグレーン平均半径(R)を基準とし、シェルが0.1〜0.3倍の平均厚さを有することができる。
【0062】
また、本発明の一実施例による焼結磁石は、一つのグレーンを基準とし、一つのグレーンと接するグレーン間、シェルではなくコア同士が接して粒界を形成する割合(コア同士が接して形成される粒界面積/一つのグレーンの総粒界面積*100)が5%未満、実質的には0であってもよい。
【0063】
また、本発明の一実施例による焼結磁石は、磁界の強度(H)−磁束密度の(B)曲線において、BとHとの掛け算の最大値である(BH)max値と保磁力(Hc)との足し算の値が6.22〜6.5であってもよい。
【0064】
また、本発明の一実施例による焼結磁石は、基準焼結体にb)段階のドーピングが行われた基準焼結磁石の保磁力より1.5〜2kOe大きい保磁力を有することができる。この際、製造方法において、関係式1により上述の基準焼結体及び保磁力の基準となる基準焼結磁石は、後述する比較例を参照してより具体的に規定されることができる。
【0065】
以下、ネオジム系焼結磁石を製造対象とした実施例を提供するが、これは、本発明による方法が優れていることを実験的に立証し、本発明をより明確に理解するために提供されるものであって、本発明が以下に提示される実施例によって限定されて解釈されることができないことは言うまでもない。
【0066】
(実施例1)
32重量%のNd、64.56重量%のFe、1重量%のB及び2.44重量%のM(M=0.20重量の%Cu、1.67重量%のCo、0.20重量%のAl及び0.37重量%のNb)の組成を満たすように、Nd、Fe、Fe
3B、Cu、Co、Al及びNbを秤量して混合した後、誘導融解(induction melting)させて合金化し、ストリップ‐キャスティングした後、水素処理して、平均粒径が5μmである磁石原料粉末を製造した。
【0067】
製造された磁石原料粉末に、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%又は3重量%のDyを含有するようにDyF
3(平均大きさ1.4μm)を投入して混合粉末を製造した。
【0068】
製造された混合粉末を炭化タングステン材質の直方体状モールドに投入した後、300Mpaで一軸加圧して、15.0mm(長さ)×11.0mm(幅)×14.1〜14.5mm(高さ)の成形体を製造した。
【0069】
製造された成形体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で1060℃で4時間焼結して、第1ドーピングされた焼結体を製造した。
【0070】
第1ドーピングされた焼結体をDyH
2が50M(モル濃度)で純粋アルコール(Absolute alchol)に溶解されたドーピング液に含浸した後、取り出して真空雰囲気(1×10
-1〜1×10
-3torr)で5分間乾燥し、完全に乾燥するために不活性雰囲気で3分間乾燥して、コーティング層を形成した。
【0071】
コーティング層が形成された焼結体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で900℃で2時間第1熱処理した後、また、500℃で2時間第2熱処理を行って焼結磁石を製造した。
【0072】
(実施例2)
実施例1において、第1ドーピング物質(第1重希土類化合物)としてDyF
3の代わりにDyH
2を使用したこと以外は、実施例1と同様に行って焼結磁石を製造した。
【0073】
(実施例3)
実施例1において、コーティング層を形成する第2ドーピング物質(第2重希土類化合物)として、DyH
2の代わりにDyF
3を使用し、DyF
3が純粋アルコールに50M(モル濃度)で溶解されたコーティング液を使用したこと以外は、実施例1と同様に行って焼結磁石を製造した。
【0074】
(実施例4)
実施例1において、第1ドーピング物質(第1重希土類化合物)としてDyF
3の代わりにDyH
2を使用し、コーティング層を形成する第2ドーピング物質(第2重希土類化合物)としてDyH
2の代わりにDyF
3を使用し、DyF
3が純粋アルコールに50M(モル濃度)に溶解されたコーティング液を使用したこと以外は、実施例1と同様に行って焼結磁石を製造した。
【0075】
(比較例1)
実施例1において、第1ドーピング物質であるDyF
3を添加せず、実施例1と同様に成形体の形成及び焼結処理を行って基準焼結体を製造し、製造された基準焼結体に、実施例1と同様にコーティング層の形成及び熱処理を行って基準焼結磁石を製造した。
【0076】
実施例1と同様に磁石原料粉末を製造した後、ドーピング物質を添加せず、実施例1と同様に成形体を製造し、製造された成形体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で1060℃で4時間焼結して基準焼結体を製造した。
【0077】
基準焼結体をDyH
2が50M(モル濃度)で純粋アルコール(Absolute alchol)に溶解されたドーピング液に含浸した後、取り出して真空雰囲気(1×10
-1〜1×10
-3torr)で5分間乾燥し、完全に乾燥するために不活性雰囲気で3分間乾燥して、基準焼結体の表面にコーティング層を形成した。
【0078】
コーティング層が形成された基準焼結体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で900℃で2時間第1熱処理した後、また、500℃で2時間第2熱処理を行って基準焼結磁石を製造した。
【0079】
(比較例2)
第1ドーピング物質であるDyF
3を添加せず、コーティング層を形成する第2ドーピング物質(第2重希土類化合物)として、DyH
2の代わりにDyF
3を使用し、DyF
3が純粋アルコールに50M(モル濃度)で溶解されたコーティング液を使用したこと以外は、実施例1と同様に行って焼結磁石を製造した。
【0080】
(比較例3)
混合粉末がDyを0.5〜3.0重量%(0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%又は3重量%のDy)含有するようにDyF
3を投入して原料粉末を製造し、実施例1と同様に成形及び焼結を行って焼結磁石を製造した。この際、コーティング層の形成によるドーピングである2段階ドーピングは行われなかった。
【0081】
(比較例4)
混合粉末がDyを0.5〜3.0重量%(0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%又は3重量%のDy)含有するようにDyH
2を投入して原料粉末を製造し、実施例1と同様に成形及び焼結を行って焼結磁石を製造した。この際、コーティング層の形成によるドーピングである2段階ドーピングは行われなかった。
【0082】
(比較例5)
磁石原料粉末の製造段階において、Dyを3.0重量%含有するようにDyを投入した後、誘導融解させて原料粉末を製造し、別のドーピング物質を添加しない状態で原料粉末自体に、実施例1と同様に、成形及び焼結を行って焼結体を製造した。焼結体をDyH
2が50M(モル濃度)で無水アルコール(absolute alchol)に溶解されたドーピング液に含浸した後、取り出して真空雰囲気(1×10
-1〜1×10
-3torr)で5分間乾燥し、完全に乾燥するために不活性雰囲気で3分間乾燥し、焼結体の表面にコーティング層を形成した。
【0083】
コーティング層が形成された焼結体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で900℃で2時間第1熱処理した後、また、500℃で2時間第2熱処理を行って焼結磁石を製造した。
【0084】
(比較例6)
磁石原料粉末の製造段階において、Dyを3.0重量%含有するようにDyを投入した後、誘導融解させて原料粉末を製造し、別のドーピング物質を添加しない状態で原料粉末自体に、実施例1と同様に、成形及び焼結を行って焼結体を製造した。焼結体をDyF
3が50M(モル濃度)で無水アルコール(absolute alchol)に溶解されたドーピング液に含浸した後、取り出して真空雰囲気(1×10
-1〜1×10
-3torr)で5分間乾燥し、完全に乾燥するために不活性雰囲気で3分間乾燥して、焼結体の表面にコーティング層を形成した。
【0085】
コーティング層が形成された焼結体を真空雰囲気(1×10
-5〜1×10
-7torr)で900℃で2時間第1熱処理した後、また、500℃で2時間第2熱処理を行って焼結磁石を製造した。
【0086】
実施例及び比較例で製造された焼結磁石の微細構造分析及び元素分析は、EPMA(電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer))及びWDS(波長分散分光法(Wavelength Dispersive Spectroscopy))により行われた。焼結磁石の断面を分析して、Dyが1.0原子%まで検出される深さを拡散距離と規定した。この際、本発明の一実施例により1段階ドーピング及び2段階ドーピングが行われた場合、1段階ドーピングされた濃度を基準点(0原子%)とし、2段階ドーピングによって1.0原子%まで検出される深さを拡散距離と規定した。実施例及び比較例で製造された焼結磁石の磁性特性(B‐H曲線)は、B‐Hヒステリシスループトレーサー(hysteresis loop tracer)装備を用いて分析した。
【0087】
図1は実施例1でDyが1.0重量%にドーピングされた焼結体を製造した後、第2ドーピング処理して製造された焼結磁石の断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(
図1の(a))及び当該断面のDy元素の濃度マッピング結果(
図1の(b))を示す図であり、
図2は比較例1で製造された基準焼結磁石の断面(
図2の(a))及び当該断面のDy元素の濃度マッピング結果(
図2の(b))を示す図である。
【0088】
図1を参照すると、本発明の一実施例により、第1ドーピング及び第2ドーピングを含む多段ドーピングが行われた場合、ドーピング元素の拡散がより向上することが分かり、比較例1で製造された基準焼結磁石の場合、Dy拡散深さが約250μmであることを確認し、実施例1でDyが1.0重量%にドーピングされた焼結体を製造した後、第2ドーピング処理して製造された焼結磁石の場合、Dy拡散深さが約700μmであることを確認した。また、実施例1〜4で製造された焼結磁石の拡散深さを分析した結果、実施例1で製造された焼結磁石が著しく大きい拡散深さを有することを確認し、第2ドーピングの際にDyH
2を使用した場合より大きい拡散深さを有することを確認した。
【0089】
図3は実施例1でDyが1.0重量%にドーピングされた焼結体を製造した後、第2ドーピング処理して製造された焼結磁石の微細構造を観察した走査型電子顕微鏡写真(
図3の(a))及び当該断面のDy元素の濃度マッピング結果(
図3の(b))を示す図である。
図3を参照すると、本発明の一実施例により焼結磁石を製造する場合、粒界領域に均一で均質にDyがドーピングされてシェルが形成され、主相(Nd
2Fe
14B)のコアを完全に包む非常に薄くて均一な厚さのシェルが形成されることが分かる。グレーン(コア‐シェル構造のグレーン)の平均半径とシェルの平均厚さを測定した結果、グレーン平均半径(R)を基準としてシェルが0.1〜0.3倍の厚さを有することを確認した。また、
図3において矢印で表示した領域を元素分析した結果、Dyの酸化物ではなく、Nd‐O‐F化合物が形成されたことを確認し、さらに、このような化合物とは無関係に、化合物周辺でもシェルが所定の厚さに形成されることを確認した。
図3と同様に、実施例2〜実施例4で製造された焼結磁石のコア‐シェル構造を観察した結果、第1ドーピング段階で水素化物を使用した場合、Dy酸化物が粒界や三重点(triple‐point)に残留し、このようなDy酸化物が後続する第2ドーピング段階でDyを吸収してシンク(sink)として作用することから、Dy酸化物の下部(Dy拡散方向への下部)でシェルがよく形成されないことを確認した。
【0090】
図4は比較例3で製造された焼結磁石の微細構造を観察した走査型電子顕微鏡写真(
図4でBSと表示)及びエネルギー分光分析による各元素の濃度マッピング結果を示す図であり、
図4の図面においてスケールバーの右側に記載されたDy、Nd、O又はFは、イメージマッピングされた検出元素を表示したものである。
図5は比較例4で製造された焼結磁石の微細構造を観察した走査型電子顕微鏡写真(
図5でBSと表示)、エネルギー分光分析による各元素の濃度マッピング結果を示す図であり、
図5においてスケールバーの右側に記載されたDy、Nd又はOは、イメージマッピングされた検出元素を表示したものである。
【0091】
図4及び
図5を参照すると、粉末相の混合という1段階ドーピングにより焼結磁石を製造する場合、シェルが過剰に厚く形成されることが分かり、ドーピング物質が粒界や三重点(triple point)に凝集残留するだけでなく、酸化物を形成することが分かる。さらに、
図4及び
図5を参照して、主相に対して、DyF
3がDyH
2より容易に格子拡散することが分かり、DyH
2の場合、格子拡散よりは粒界拡散を介して拡散することが分かる。
【0092】
図6は実施例1〜4と、比較例1〜2及び比較例5〜6で製造された焼結磁石の保磁力(
図6の(a))及び残留磁気(
図6の(b))を測定した結果を示す図である。
図6を参照すると、粒界拡散によりドーピングする2段階工程のみが行われる比較例1及び比較例2の場合及び磁石組成により合金化する段階でドーピングが行われる比較例5及び比較例6に比べて、実施例で製造された焼結磁石の保磁力が向上したことが分かる。特に、格子拡散が主に発生するDyF
3を第1ドーピング物質として微量混合して焼結した後、DyH
2でコーティング層を形成して熱処理した実施例1の焼結磁石が著しく優れた磁性特性を有することが分かるが、実施例1の焼結磁石は、格子拡散より粒界拡散の方が容易なDyH
2を用いた比較例1の基準焼結磁石及び比較例5の焼結磁石の保磁力よりも2kOe程度さらに大きい保磁力を有することが分かる。
【0093】
図7は実施例1(赤色の四角で図示)〜2(青色の円で図示)及び比較例1と比較例5(黒色の三角で図示)で製造された焼結磁石の永久磁石の性能指数(飽和保磁力(coercivity)+磁力(magnetic energy);磁力(magnetic energy)=BxHmax)を焼結体のDy含有量(焼結体を製造する際に原料粉末が含有するDy重量%)別に測定した結果を示す図である。
【0094】
図6及び
図7の結果を参照すると、粒界拡散の際、格子拡散よりは粒界拡散が容易に発生する水素化物を用いた場合、磁性特性がより向上することが分かる。また、実施例1、実施例2及び比較例1と比較例5の結果から、第1ドーピング段階の際、格子拡散が容易に発生するハロゲン化物、好ましくは、フッ化物を1.5重量%以下に微量添加して焼結体を製造した後、水素化物で粒界拡散させる多段ドーピングにより、永久磁石の性能指数を著しく向上させることができることが分かる。すなわち、粒界拡散がより容易な水素化物を添加して焼結体を製造する場合、拡散する重希土類元素のシンク(sink)として作用する重希土類酸化物のような異常の生成によって永久磁石の性能指数が低下することが分かる。すなわち、薄くて均一な厚さのシェルが均質に形成されることができるハロゲン化物、好ましくは、フッ化物を添加した実施例1で製造された焼結磁石の永久磁石の性能指数が、実施例2で製造された焼結磁石の永久磁石の性能指数より高いことが分かる。具体的に、微量の重希土類元素、1.5重量%以下、実質的には0.5〜1.5重量、好ましくは、1重量%以下、実質的に0.5〜1重量%のDyを含有するようにDyF
3を投入して焼結体を製造した後、DyH
2を用いて第2ドーピング処理して製造された実施例1の焼結磁石が、最も優れた永久磁石の性能指数を有することが分かる。
【0095】
以下の表1は、実施例1(焼結体がDyを1.0重量%含有するサンプル)、比較例1及び比較例4で焼結処理によって製造された焼結体の相対密度を測定した結果である。表1を参照すると、DyF
3を添加して焼結体を製造した場合、相対密度が97.1%と最も低い値を有することが分かる。比較例1でドーピング物質を添加することなく原料磁石粉末で焼結体を製造した場合、相対密度が98.2%であり、比較例4で製造された焼結磁石(焼結体)の場合、98.8%の相対密度を有することが分かる。
【0096】
【表1】
さらに、焼結体の製造のための成形体(green)の密度(相対密度)を測定した結果、実施例1(焼結体がDyを1.0重量%含有するサンプル)の成形体の場合、その密度が44.7%であり、比較例4で製造された成形体の場合、その密度が46.8%であることを確認した。
【0097】
このような焼結体と成形体の密度により、DyF
3の場合、粉末の回転を妨げ、摩擦を増加させる異物の役割をして成形密度と焼結密度の両方が低下することが分かる。このような低い焼結密度によっても第2ドーピング段階である粒界拡散段階で重希土類元素の拡散距離がより増加することが分かる。
【0098】
さらに、
図4と
図5の結果により、DyF
3の場合、焼結温度でDyH
2に比べて相対的に優れた格子拡散係数を有することが分かる。格子拡散により主相の格子にDyF
3が固溶される場合、相対的に大きいフッ素イオン(F
-、イオン半径1.3Å)により、主相に格子歪を含む応力が生じることが分かり、また、このような応力を緩和するために、空格子点を含む点欠陥が増加することが分かる。
【0099】
上述の実施例及び比較例により、酸化物が形成されず、格子拡散が容易な第1ドーピング物質を磁石原料粉末と混合し、焼結処理して、第1ドーピングされた焼結体を製造した後、コーティング層による第2ドーピング物質の粒界拡散という多段ドーピングにより、焼結磁石の磁性特性、生産量及び品質を向上させることができることが分かる。さらに、第1ドーピング物質がハロゲン化物、好ましくは、フッ化物であり、第2ドーピング物質が水素化物の場合、第1ドーピングされた焼結体が低い焼結密度を有し、ホウ素イオンに比べて相対的に大きいイオン半径により応力と点欠陥が生じ、粒界拡散を促進させ、また、粒界拡散の際、拡散深さを著しく増加させることが分かる。
【0100】
以上、本発明は、特定の事項と限定された実施例及び図面によって説明しているが、これは、本発明のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0101】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等且つ等価的な変形があるすべてのものなどが本発明の思想の範疇に属すると言える。