特許第6016976号(P6016976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6016976
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】モールディング
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/75 20160101AFI20161013BHJP
   B60J 10/30 20160101ALI20161013BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20161013BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B60J10/75
   B60J10/30
   B60J10/27
   B60R13/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-93883(P2015-93883)
(22)【出願日】2015年5月1日
【審査請求日】2016年7月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(72)【発明者】
【氏名】上田 啓人
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋介
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−018943(JP,U)
【文献】 特開2004−291704(JP,A)
【文献】 特開平09−123757(JP,A)
【文献】 特開2009−196391(JP,A)
【文献】 特開2005−254915(JP,A)
【文献】 特開平09−277827(JP,A)
【文献】 国際公開第1999/048714(WO,A1)
【文献】 実開昭62−174923(JP,U)
【文献】 実開昭59−167022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/75
B60J 10/27
B60J 10/30
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルの縁部に設けられたフランジに装着される長尺のモールディングであって、
互いに対向する車内側側壁部および車外側側壁部と、これらを連結する頂壁部と、を有するモール本体と、
前記車内側側壁部の端部に延設された係止部と、
前記車外側側壁部の車内側表面から車内側斜め上方に向けて突出する保持リップと、
を備え、
当該モールディングが前記フランジに装着された装着状態にあるとき、
前記保持リップの先端は、前記フランジの上端よりも上方で、かつ前記フランジの車外側表面よりも車内側に位置しており、
前記係止部は、前記フランジの下端に係止している、
モールディング。
【請求項2】
前記モールディングを、前記フランジに非装着でかつ前記装着状態と同じ姿勢に置いたときの、前記長尺方向に直交する横断面において、
前記保持リップの前記先端を先端Bとし、
前記保持リップの根元の上端を上端Cとし、
前記保持リップの前記根元の下端を下端Dとし、
前記上端Cと前記下端Dとを結ぶ線分CDの中点を中点Aとし、
前記中点Aと前記先端Bとを結ぶ線を線分ABとしたとき、
前記線分ABと水平線とのなす角度αは0度より大きく45度以下である、
請求項1に記載のモールディング。
【請求項3】
当該モールディングが前記装着状態にあるとき、
前記保持リップの先端は、前記フランジの車内側表面よりも車外側に位置している、
請求項1または2に記載のモールディング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアパネルの縁部に装着されるモールディングに関する。このモールディングは、アウターベルトモール、ベルトラインモール、モールディングフロントドアベルトラインアウター等とよばれるものを包含する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用ドアであって、昇降可能な窓板が取り付けられているドアには、ドアパネルの上縁(ベルトライン等ともいう。)に沿って長尺なモールディングが取り付けられている。ドアパネルは車両のドアの外形を構成し曲面を有するアウターパネルを備えており、このアウターパネルの上縁にはフランジが設けられ、このフランジにはモールディングが装着されている。また、このモールディングは、フランジの車外側に配置される車外側側壁部とフランジの車内側に配置される車内側側壁部とが、頂部で連結された横断面略U字型の構成をしている。この種のモールディングに関する従来技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平07−18943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたベルトラインモール1は、車内側側壁の下端に設けられた掛止部8がボディパネル3に形成された膨出部9に掛止されてボディパネル3に装着されている。また、ベルトラインモール1が適正な取り付け位置から沈み込む(落ち込む)のを張出面12によって防止している。この張出面12は、ベルトラインモール1の車内側側壁の内側から突出している。
しかしながら、特許文献1に開示されたベルトラインモール1をボディパネル3に装着するときには、張出面12を上方に変形させるために大きい力が必要であった。また、ボディパネル3のうち、張出面12に当接する部位と掛止部8に当接する部位との間の部分の長さがばらつくことがあり、所定の長さより短いと、張出面12がボディパネル3に当たらず、ベルトラインモールの沈み込みを防止できないことがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するべく創出されたものであり、その目的は、モールディングの適正な取り付け位置からの落ち込みを防止することができ、また、装着時に要する力が過度に増大することがなく、かつ、ドアパネルのフランジの長さにばらつきがあっても装着状態が良好なモールディングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するべく創出された請求項1の発明は、車両のドアパネルの縁部に設けられたフランジに装着される長尺のモールディングを提供する。このモールディングは、互いに対向する車内側側壁部および車外側側壁部と、これらを連結する頂壁部と、を有するモール本体と、上記車内側側壁部の端部に延設された係止部と、上記車外側側壁部の車内側表面から車内側斜め上方に向けて突出する保持リップと、を備えている。そしてこのモールディングが上記フランジに装着された装着状態にあるとき、上記保持リップの先端は、上記フランジの上端よりも上方で、かつ上記フランジの車外側表面よりも車内側に位置しており、上記係止部は、前記フランジの下端に係止するようにしたものである。
【0007】
請求項1の発明によれば、モールディングが装着状態にあるとき、保持リップは、先端がフランジの上端よりも上方に、かつ、フランジの車外側表面よりも車内側に位置した状態でフランジの上端に弾接している。このため、モールディングが、適正な装着状態よりもフランジの下方に向けて更に押圧されても、フランジの上端の侵入が保持リップにより押し留められて、フランジがモール本体の内部空間の奥に入り込むことが抑制される。これにより、モールディングが適正な装着状態よりも下方に落ち込むことを防止することができるという効果が得られる。また、モールディングをフランジの上方から下方に力を加えて取り付けるとき、保持リップが車外側かつ上方に弾性変形して反力が生じる。このとき、保持リップからフランジに作用する反力は車内向きの成分と下向きの成分とに分けることができる。従って、例えば、保持リップがフランジの上方に向けてのみ変形し、フランジの下方にのみ反力が生じるような形態に比べて、モールディングの装着に要する力が過度に増大することを防止できるという効果が得られる。
また、保持リップは、斜め上方に向けて突出しているため、保持リップは、フランジの長さが設計値よりも長い場合には車外側側壁部の側に大きく撓み、またフランジの長さが設計値よりも短い場合には小さく撓んで、保持リップの先端がフランジの上端に当接する。これにより、フランジの長さにばらつきがあっても、保持リップがその長さの誤差分を吸収して撓み、モールディングを安定して装着できるという効果が得られる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記モールディングを、上記フランジに非装着でかつ上記装着状態と同じ姿勢に置いたときの上記長尺方向に直交する横断面において、保持リップの中点Aと上記先端Bとを結ぶ線を線分ABとしたとき、上記線分ABと水平線とのなす角度αが0度より大きく45度以下であることを特徴としたものである。なおここで、上記保持リップの上記先端を先端Bとし、上記保持リップの根元の上端を上端Cとし、上記保持リップの上記根元の下端を下端Dとし、上記上端Cと上記下端Dとを結ぶ線分CDの中点を中点Aとしている。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、なす角度αが0度より大きいため、モールディングをフランジに装着するときの取り付け力が過度に大きくなることを防止でき、また、なす角度αが45度以下のため、モールディングがフランジに装着状態にあるときに保持リップがフランジを下方へ押し付ける反力を大きくすることができるという効果が得られる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、当該モールディングが上記装着状態にあるとき、上記保持リップの先端は、上記フランジの車内側表面よりも車外側に位置していることを特徴としたものである。
請求項3の発明によれば、請求項1および2の発明の効果に加えて、先端がフランジの車内側表面よりも車外側に位置する程度の長さの保持リップであればよいため、保持リップを構成する材料の無駄を防止できるという効果が得られる。また、モールディングをフランジに装着するときに、保持リップがモール本体の内側に当たって取り付け作業を阻害するのを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るモールディングのフロントドアへの装着状態を示した図である。
図2A】一実施形態に係るモールディングの横断面図である。
図2B図2A中のXで示された部分の拡大図である。
図3】一実施形態に係るモールディングの装着途中の状態を示した図である。
図4図1のIV‐IV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のモールディングを、好適な一実施形態を基に詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事項(例えば押出成形法等によるベルトモールの製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0012】
図1は、一実施形態に係るモールディング1が取り付けられた車両のフロントドア100を模式的に示す図である。本実施形態では、モールディング1を車両の左側のフロントドア100に装着する場合を例にして説明するが、ここに開示される技術はこのような形態に限定されない。例えば、モールディング1は、図示しない車両の右側のフロントドア、車両後方に配置される右側及び左側のリアドア等に装着されてもよい。
【0013】
フロントドア100は、典型的には、ドア本体を構成するドアパネル110と、ドアパネル110の上方に形成された窓枠(ドア枠)120とを有している。窓枠120は、図示しない車両のセンターピラーに沿って上下方向に配設される後側縦部122と、図示しない車両のルーフに沿って車両の前後方向に延びるとともに上記後側縦部122の上端部に一体に形成される水平部124と、該水平部124の前方端部から連続的に形成され該前方端部から図示しない車両のフロントピラーに沿って斜め下方向に延びる傾斜部126とを備えている。これら後側縦部122、水平部124、傾斜部126およびドアパネル110の上方の縁部110aに囲まれることで、窓開口部130が形成されている。
【0014】
ドアパネル110は、車外側に配置され、ドアの外形を構成するアウターパネル112と、車内側に配置されるインナーパネル113(図3および図4に図示)とを備えている。このアウターパネル112は、図4に示されるように、典型的には、ドア本体の外形を形づくる曲面部Rを有しており、アウターパネル112の上縁(すなわちドアパネル110の縁部110a)には、この曲面部Rから連続的に上方に向けて突出する略平坦なフランジ114が設けられている。ここに開示されるモールディング1は長尺であって、車両のドアパネル110の縁部110aに設けられたフランジ114に、車両の前後方向に亘って取り付けられる。
【0015】
なお、ドア100の窓開口部130内には窓板132が取り付けられる。窓開口部130を構成する傾斜部126、水平部124および後側縦部122のそれぞれの窓開口部側側面には、図示しないガラスランチャンネルが設けられている。そして窓板132は、ドアパネル110内に設けられた図示しない窓板昇降機構と連結され、ガラスランチャンネルに嵌められるとともに、該ガラスランチャンネルによりガイドされて窓開口部130を昇降移動するよう構成されている。
【0016】
また、図4に示すように、アウターパネル112は、板状のパネル材を曲面プレス加工することで形成されており、フランジ114は、アウターパネル112の曲面部Rから連続的に略垂直上方に突出する平坦部Fを備えている。そして、フランジ114は、上方に突出するインナーパネル113と、フランジ114の平坦部Fの上端114aでインナーパネル113を覆うように車内側に曲げ加工されて下方に向けて突出するアウターパネル112とを有している。ここで、フランジ114の上端114aとアウターパネル112の下端114dとの間の長さは、所定の寸法となるように設計される。そして後述するように、アウターパネル112の下端114dにモールディング1の係止部20が係止できるよう構成されている。なお、このようにパネル材を曲げ加工してフランジ114を形成することで、フランジ114に十分な強度が備えられる。
【0017】
図2Aは、本実施形態に係るモールディング1の長手方向(車両の前後方向)に直交する横断面図(以下、単に「横断面」という)である。図2Bは、図2AにおいてXで示した部分の拡大図である。図3は、本実施形態に係るモールディング1をドアパネルに装着する途中の様子を模式的に示した図であり、モールディング1はかかる状態を経て図4の装着状態に至る。図4は、図1における矢視方向でのIV−IV線に沿った断面図であり、本実施形態に係るモールディング1をドアパネルに取り付けた装着状態について模式的に示している。
【0018】
ここに開示されるモールディング1は、フランジ114の車両の前後方向の長さに対応して長尺であり、図2Aに示すように、本質的な構成として、モール本体10と、係止部20と、保持リップ30と、を備えている。モール本体10は、互いに対向する車外側側壁部12および車内側側壁部16と、これらを連結する頂壁部18と、を有している。これら車外側側壁部12、頂壁部18および車内側側壁部16は横断面において略U字型の形状を呈しており、モール本体10には、車外側側壁部12、頂壁部18および車内側側壁部16により包囲された内部空間Sが形成されている。
【0019】
車外側側壁部12は、モールディング1の装着状態においてフランジ114よりも車外側に配置される部位である。本実施形態では、車外側側壁部12の先端に、車外側側壁部12の先端部から車内側に向けて突出する車外側リップ14が設けられている。モールディング1がフランジ114に装着されたとき、この車外側リップ14はアウターパネル112の表面に弾接してモールディング1を支持する。
【0020】
車内側側壁部16は、モールディング1の装着状態においてフランジ114よりも車内側に配置される部位である。本実施形態では、この車内側側壁部16の車外側表面(内部空間S側の表面)に、内部空間Sに向けて突出する張出部22が設けられている。この張出部22は、装着状態においてフランジ114に当接し、フランジ114に対するモールディング1の装着姿勢を安定させる機能を有する。また、車内側側壁部16の車内側の表面には、車内側側壁部16の上端から頂壁部18にかけて、モールディング1の長手方向に沿って車内側シールリップ26が設けられている。さらに、車内側側壁部16の車内側の表面の中央部よりやや下方には、モールディング1の長手方向に沿って突出シール部24が形成されている。これらの車内側シールリップ26および突出シール部24は、モールディング1がフランジ114に装着されたとき、車内側側壁部16から窓板132の表面に対してそれぞれ所定の角度で交差する方向に突出し、窓板132の表面に弾接可能となるようにモール本体10と一体的に成形されている。ここで突出シール部24の突出長さは、例えば、車内側シールリップ26の突出長さよりも短くすることができる。
【0021】
係止部20は、車内側側壁部16の端部に延設され、係止部20の先端20aが車外側斜め上方に向けて折り返されて形成されている。係止部20には、折り返しにより凹部20bが形成される。この凹部20bにフランジ114の下端114dを受けることで、係止部20がフランジ114の下端114dに係止し、モールディング1がドアパネルに固定される。
【0022】
モール本体10および係止部20は、金属材料からなる芯材40が、横断面において車外側側壁部12、頂壁部18、車内側側壁部16および係止部20に亘って骨格として配設されている。そして芯材40の少なくとも一部に、弾性を有するポリマー材料42が被覆される。換言すると、芯材40は、少なくとも一部がポリマー材料42に埋設されている。ポリマー材料42は、芯材40のうち、フランジ114への装着時や装着状態においてフランジ114や窓板132に当接する可能性のある部位を主として一体的に被覆しており、典型的には、芯材40の内部空間S側の表面、車外側側壁部12の先端(車外側リップ14)、係止部20および車内側側壁部16の車内側の表面等に設けられている。突出シール部24、車内側シールリップ26等が設けられる場合、これら突出シール部24、車内側シールリップ26は、弾性を有するポリマー材料42により車内側側壁部16と一体的に形成される。なお、芯材40のうち、車外側側壁部12の車外側表面は、ポリマー材料42により被覆されていてもよいし、被覆されていなくてもよい。
【0023】
また、保持リップ30は、車外側側壁部12の車内側表面から車内側斜め上方に向けて突出するよう、モール本体10の内部空間Sに形成されている。この保持リップ30は、弾性を有するポリマー材料42により車外側側壁部12と一体的に形成されている。これにより、保持リップ30は、モール本体10に対してその先端Bが上方かつ車外側に弾性変形する(撓む)ことが可能とされる。本実施形態において、保持リップ30は、根元(すなわち、車外側側壁部12と保持リップ30との連結部分)から先端Bに至るまで、先細形状になっており、横断面における下側の輪郭が滑らかに上昇している。なお、モールディング1をフランジ114に装着していない非装着状態における、保持リップ30の先端と係止部の凹部20bとの距離(寸法)は、フランジ114の上端114aと下端114dとの間の長さ(以下、単に、「フランジ114の寸法」という場合がある)に一致しているか、これよりやや狭いことが好ましい。
【0024】
このようなモールディング1をフランジ114に装着したとき、図4に示すように、モール本体10の内部空間Sにフランジ114が配置される。このとき、車外側側壁部12と車内側側壁部16とは、それぞれフランジ114よりも車外側、車内側に位置するようモールディング1の装着向きが決められる。また、保持リップ30はフランジ114に当接(弾接を包含する)している。このとき、保持リップ30の先端Bは、フランジの上端114aよりも上方で、かつフランジの車外側表面114bよりも車内側に位置している。そして係止部20は、フランジ114の下端114dに係止している。このように、モールディング1は、保持リップ30と係止部20とによりフランジ114を挟み込むように保持することで、フランジ114に装着される。
【0025】
また、図2Aに示すように、モールディング1は、保持リップ30が、車外側側壁部12から車内側斜め上方に向けて突出している。そのため保持リップ30は、フランジ114の寸法に応じて、フランジ114の寸法が所定の長さ(設計値)よりも長い場合には車外側側壁部12の側に大きく撓み、フランジ114の寸法が所定の長さよりも短い場合には小さく撓んで、フランジ114に当接する。このようにフランジ114の寸法にばらつきがあっても、保持リップ30はその寸法誤差を吸収するように撓むことができる。これにより、モールディング1はフランジ114の寸法のばらつきに依らずに安定してフランジ114に装着することが可能となる。本実施形態におけるモールディング1は、一例として、フランジ114の上端114aと下端114dとの間の寸法のばらつきが所定の長さの±0.5cm程度以内であれば、安定した装着が可能であることが確認されている。
【0026】
また、保持リップ30は、車外側(車外側側壁部12)の上方からフランジ114に対して接している。したがって、例えば、保持リップ30が車内側側壁部16の車外側表面から突出していて、フランジ114に対して略直上から接している場合に比べ、より小さな力で撓むことができる。これにより保持リップ30を撓ませるために必要な力が過剰に増大することを防止することができる。
【0027】
また、装着状態において、モールディング1は保持リップ30がフランジ114に当接するとともに、係止部20が車内側(車内側側壁部16)の下方でフランジ114に係止している。したがって、モールディング1とフランジ114との位置が相対的にずれるような外力が作用する状況では、保持リップ30からフランジに対して、係止部20の側に押し付けるような反力が生じ得る。これにより、モールディング1をフランジ114(ドアパネル110)に対してより堅固に装着(固定)することができる。例えば、車両が停止しているときであっても、あるいは、走行しているときであっても、モールディング1がフランジ114(ドアパネル110)に対してがたついたり、外れたりし難い構成が実現される。
【0028】
なお、このようなモールディング1は、以下の手順にてフランジ114に装着することができる。まず、ドアパネル110の縁部110aに設けられたフランジ114に、モール本体10の車外側側壁部12がフランジ114よりも車外側に、車内側側壁部16がフランジ114よりも車内側に位置するように、上方からモールディング1を被せる。すると、モールディング1の内部空間Sにフランジ114が挿入されて、フランジ114の上端114aが保持リップ30に当接する。また、車外側側壁部12の先端の車外側リップ14はアウターパネル112に当接する。
【0029】
このとき、図3に示すように、モールディング1に対して下方に力を加え、モールディング1を下方に押し下げることで、フランジの上端114aで保持リップ30を車外側かつ上方へ撓ませる。すると、フランジ114は、保持リップ30の撓みの分だけ内部空間Sの奥に移動する。また、フランジの下端114dは係止部の先端20aを乗り越えて、係止部20(凹部20b)に係止する。これにより、フランジの上端114aは先端Bの近傍で保持リップ30に当接し、上記の装着状態が実現される。
なお、モールディング1の装着に際しては、保持リップ30からの反力よりも大きな力でモールディング1を押し下げることが必要となるが、上記の構成によると、フランジの下端114dと係止部20との係止が完了するとかかる反力が解放されて、解放感(いわゆる、クリック感)を感じることができる。
【0030】
従来のモールディングにおいては、モールディングを下方に押し込む力が過大になったり、装着後のモールディングに下方へ力が加わったりすると、フランジの上端114aが内部空間Sの奥に入り込み、モールディングが適正な装着状態よりも下方に落ち込むという問題が生じ得た。これに対し、ここに開示されるモールディング1は、上記のとおり保持リップ30の反力により内部空間Sへのフランジ114の過剰な侵入を遮ることができる。これにより、モールディング1の装着時や装着後に過剰に力が加わっても、モールディング1の落ち込みを防止することができる。
【0031】
より好ましい一態様において、保持リップ30の形状は、以下のように構成することができる。すなわち、図2Bに示したように、モールディング1をフランジ114に非装着でありながら装着状態と同じ姿勢に置いたときの横断面において、保持リップ30の先端を先端Bとする。また、車外側側壁部12の車内側表面であって、保持リップ30の根元の上端を上端Cとし、該根元の下端を下端Dとする。そしてこの上端Cと下端Dとを結ぶ線分CDの中点を中点Aとし、この中点Aと先端Bとを結ぶ線を線分ABとする。ここで、保持リップ30の車外側側壁部12から車内側斜め上方へ向けた突出の傾きの程度は、この線分ABと水平線Hとのなす角度αにより表すことができる。なお、なす角度αは、水平線Hから上方に向けて(図2Bにおいては反時計回りに)正の角度、水平線Hから下方に向けて(図2Bにおいては時計回りに)負の角度となるよう計測される。そして保持リップ30は、概ねこの中点Aを中心として上方かつ車外側に撓むと考えることができる。
【0032】
ここに開示される技術においては、このなす角度αが0度より大きく45度以下であることが好ましい。その理由は以下の通りである。モールディング1をフランジ114の上方から下方に力を加えて取付けるとき、フランジの上端114aで保持リップ30を車外側かつ上方へ撓ませると、フランジ114から保持リップ30には、図3に示すように、車外側斜め上方に力Nが作用する。この力Nは、上向きの成分と車外向きの成分とに分けることができる。また同時に、力Nと釣り合うように、保持リップ30からフランジ114に反力(弾性反力、図4参照)が作用する。この反力は、力Nと釣り合うように、下向きの成分と車内向きの成分とに分けることができる。このとき、なす角度αを0度より大きくすることで、保持リップ30が水平あるいは下方に向けて突出し、フランジ114から保持リップ30には上方にのみ力が作用する場合(なす角度αが0度以下の場合)と比較して、上記の保持リップ30を撓ませるために必要となる力が過剰に増大することを防止することができる。また、なす角度αが45度を超過すると、装着状態において保持リップ30の反力が下向きに寄与する割合が小さくなり過ぎ、反力が車内側向きに散逸されてしまう。したがって、なす角度αを45度以下とすることで、保持リップ30がフランジの上端114aを上方から下方に押しつける力を効果的に確保することができて好ましい。
【0033】
なお、ここに開示されるモールディング1においては、装着状態にあるとき、保持リップ30が先端Bの近傍でフランジの上端114aに当接していればよい。このとき、保持リップ30の先端Bは、フランジの車外側表面114bよりも車内側であって、車内側表面114cよりも車外側に位置していることが好ましい。このような保持リップ30の長さであれば、本発明の効果を得ることができる。このため、保持リップ30を過度に長くする必要がなく、保持リップ30を形成するための材料の無駄な使用を防止することができる。また、モールディング1をフランジ114に装着するときに、保持リップ30がモール本体10の内側に接触する等して取り付け作業を阻害することを防止できる。なお、このモールディング1において、非装着でありながら装着状態と同じ姿勢に置いたときの保持リップ30の先端Bは、適正な装着状態におけるフランジの上端114aよりも下方に位置している。また、当然のごとく、保持リップ30の上端Cおよび下端Dは、適正な装着状態におけるフランジの上端114aよりも下方に位置している。
【0034】
以上のモールディング1において、芯材40として使用することができる金属材料は特に制限されない。例えば、鉄や鉄合金(典型的には、各種のステンレス鋼)、アルミニウムやアルミニウム合金等の各種の金属材料を用いることができる。
また、芯材40を被覆するポリマー材料42としては、適度な弾性および剛性を有するものであれば特に制限されない。例えば、各種の熱可塑性樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー等のポリマー材料を用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂;アクリル樹脂;塩化ビニル樹脂;アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂);等が挙げられる。
ゴムの例としては、天然ゴム(NR);アクリルゴム(ACM)、エチレン−アクリルゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、シリコーンゴム等の各種の合成ゴム;等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーの例としては、例えば、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ポリアミド系、塩化ビニル系、ウレタン系等の各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらのポリマー材料は、例えば、JIS K 7215:1986に基づいて測定されるデュロメータ硬さがおおよそHDA55〜85程度であることが好ましい例として挙げられる。
【0035】
保持リップ30を構成するポリマー材料42は、上記のモール本体10に使用されているポリマー材料42と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態においては、芯材40としてステンレス鋼が、ポリマー材料42としてデュロメータ硬さがHDA65の塩化ビニル樹脂が使用されている。
【0036】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 モールディング
10 モール本体
12 車外側側壁部
14 車外側リップ
16 車内側側壁部
18 頂壁部
20 係止部
20a 先端
20b 凹部
30 保持リップ
40 芯材
42 ポリマー材料
A 中点
B 先端
C 上端
D 下端
【要約】
【課題】モールディングの適正な取り付け位置からの落ち込みを防止することができ、また、装着時に要する力が過度に増大することがなく、かつ、ドアパネルのフランジの長さにばらつきがあっても装着状態が良好なモールディングを提供する。
【解決手段】本発明のモールディング1は、車内側側壁部16、車外側側壁部12および頂壁部18を有するモール本体10と、車内側側壁部16の端部に延設された係止部20と、保持リップ30と、を備える。このモールディング1がフランジ114に装着された装着状態にあるとき、保持リップ30の先端は、フランジの上端114aよりも上方で、かつフランジの車外側表面114bよりも車内側に位置しており、係止部20は、フランジ114の下端114dに係止している。
【選択図】図4
図1
図2A
図2B
図3
図4