特許第6016978号(P6016978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016978電気機器の電力消費量を監視するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016978
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電気機器の電力消費量を監視するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G05F1/56 320C
   G05F1/56 310D
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-95694(P2015-95694)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-215899(P2015-215899A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】14167629.6
(32)【優先日】2014年5月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース デジタル シグナル プロセッシング アンド コントロール エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】dspace digital signal processing and control engineering GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100182556
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 暁
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン フェルツケ
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−092391(JP,A)
【文献】 実開平03−127445(JP,U)
【文献】 特開平06−335248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能なスイッチング素子(12)を用いて、容量性負荷を有している電気機器(50)の電力消費量を監視する方法において、
前記制御可能なスイッチング素子(12)と、前記電気機器(50)とを直列に接続し、
前記電気機器(50)を流れる電流の電流強度を検出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧を検出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧の時間的な変化を検出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧と、前記電気機器(50)の電力消費量に関する所定の最大値とから、許容動作電流強度を算出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧の時間的な変化から、前記容量性負荷の充電電流強度を算出し、
前記許容動作電流強度と、前記充電電流強度とを考慮して、許容瞬時電流強度を算出し、
前記許容瞬時電流強度を、前記機器を流れる電流の電流強度と比較し、
前記電気機器(50)を流れる電流の電流強度が、前記許容瞬時電流強度よりも高い場合には、前記スイッチング素子(12)の電気抵抗を高める、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記許容瞬時電流強度を、前記許容動作電流強度と、前記充電電流強度と、所定の直流成分とから算出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記許容動作電流強度を、ディジタル回路(26)を用いて算出する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記機器で降下する電圧の時間的な変化を、アナログ回路を用いて検出する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
モデルコンデンサ(20)を前記電気機器(50)に並列に接続し、前記モデルコンデンサ(20)の充電電流を検出し、前記モデルコンデンサ(20)の充電電流から、前記機器(50)で降下する電圧の時間的変化を算出する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
測定抵抗(72)を前記モデルコンデンサ(20)に直列に接続し、ピーク値検出器(76)を前記測定抵抗に並列に接続し、前記ピーク値検出器(76)の電圧を求め、前記ピーク値検出器(76)の電圧から、前記モデルコンデンサ(20)の充電電流を算出する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機器(50)を流れる電流の電流強度が、前記許容瞬時電流強度よりも高い場合には、前記スイッチング素子(12)を非導通状態に移行させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記スイッチング素子(12)はトランジスタであり、該トランジスタのゲート電圧又はベース電圧を制御することによって、該トランジスタの電気抵抗を制御する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気機器(50)及び前記スイッチング素子(12)を、12Vから48Vまでの範囲の動作電圧を有している搭載電源に接続する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
電気機器(50)の電力消費量を監視する装置(10)であって、
前記機器は、容量性負荷を有しており、
前記装置(10)は、制御可能なスイッチング素子(12)と、該制御可能なスイッチング素子(12)のための制御装置を有しており、
前記装置(10)と、前記電気機器(50)とが電気的に接続されており、それによって前記スイッチング素子(12)と、前記電気機器(50)とが直列に接続されている、装置(10)において、
前記制御装置
前記電気機器を流れる電流の電流強度と、前記電気機器で降下する電圧と、前記電気機器(50)で降下する電圧の時間的な変化とを検出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧と、前記電気機器(50)の電力消費量に関する所定の最大値とから、許容動作電流強度を算出し、
前記電気機器(50)で降下する電圧の時間的な変化から、前記容量性負荷の充電電流強度を算出し、
前記許容動作電流強度と、前記充電電流強度とから、許容瞬時電流強度を算出し、
前記許容瞬時電流強度と、前記電気機器(50)を流れる電流の電流強度とを、比較器(40)を用いて比較し、
前記電気機器(50)を流れる電流の電流強度が、前記許容瞬時電流強度よりも高い場合には、前記スイッチング素子(12)の電気抵抗を高める、
ように構成されていることを特徴とする、装置(10)。
【請求項11】
前記装置(10)は電源回路のコンポーネントとして構成されており、前記電源回路は直流変換器、特に昇圧型コンバータとして構成されている、請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記電源回路は、12Vから48Vまでの範囲の動作電圧を有している搭載電源に電気機器(50)を接続するために構成されており、且つ、設けられている、請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記装置は、アナログ回路によってモデルコンデンサ(20)の充電電流を検出することによって、前記電気機器(50)で降下する電圧の時間的な変化を検出するように構成されており、前記装置は更に、前記許容動作電流強度をディジタル方式の算術演算によって算出するように構成されている、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、電気機器の電力消費量を監視するための方法に関する。更に本発明は、請求項10の上位概念に記載されている、装置の形態の電子ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費量を監視するための、制御可能な電子ヒューズは従来技術から公知である。刊行物WO 2000/13279には、印加される電圧に依存して、電流の流れが制御エレメントによって制御されている、電子ヒューズのための回路装置が開示されている。刊行物US 8 299 767 B2には、トランジスタの電力消費量の監視を基礎としたトランジスタの制御が開示されている。モデルコンデンサを使用して突入電流を制限するための回路は刊行物US 2013/0021 702 A1から公知である。刊行物US 2012/0087 053 A1には、過電流保護回路を備えている電源回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2000/13279
【特許文献2】US 8 299 767 B2
【特許文献3】US 2013/0021 702 A1
【特許文献4】US 2012/0087 053 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術を基礎とした本発明の課題は、従来技術を発展させた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部分に記載されている構成を備えている、電気機器の電力消費量を監視するための方法と、請求項10の特徴部分に記載されている構成を備えている装置とによって解決される。本発明の有利な実施の形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明の対象によれば、電気機器の電力消費量を監視するための方法が提供され、この方法においては、機器が容量性負荷を有しており、制御可能なスイッチング素子と、電気機器とが直列に接続されており、機器を流れる電流の電流強度が検出され、機器で降下する電圧が検出され、機器で降下する電圧の時間的な変化が検出され、機器で降下する電圧と、電気機器の電力消費量に関する所定の最大値とから、許容動作電流強度が算出され、機器で降下する電圧の時間的な変化から、容量性負荷の充電電流強度が算出され、許容動作電流強度及び充電電流強度を考慮して、許容瞬時電流強度が算出され、許容瞬時電流強度が、機器を流れる電流の電流強度と比較され、機器を流れる電流の電流強度が許容瞬時電流強度よりも高い場合には、スイッチング素子の電気抵抗が高められる。
【0007】
機器の容量性負荷とは、機器に組み込まれている複数の電気コンポーネントの容量の総和として表すことができる、機器の正味の容量を意味していることを言及しておく。本発明によれば、許容瞬時電流強度とは、所定の時点に物理的に測定可能な、機器における入力電流の瞬間的な電流強度の許容最大値であると解される。本発明によれば、充電電流強度とは、所定の時点に機器の容量性負荷を充電又は放電するために使用される、機器における入力電流の成分の電流強度であると解される。動作電流強度とは、機器を流れる電流の電流強度から充電電流強度を減算することにより得られる電流強度であると解される。
【0008】
本発明の利点は、異なる動作電圧を有する種々の電源回路電流網において、電気機器の確実な動作を実現できることである。特に自動車技術においては、通常の運転において種々の動作電圧、例えば12V,24V,42V又は48Vが予定されている搭載電源の種々の標準が広く知られている。自動車制御装置のためのソフトウェアの開発及びテストとの関係において、従来技術からは、プログラミング可能な携帯型の制御ユニットを搭載電源に接続し、制御ユニットが自動車制御装置の機能を一時的に担うようにすることが公知である。本発明は、許容瞬時電流強度を実際に印加される入力電圧に動的に適合させることによって、プログラミング可能な携帯型の制御ユニットを種々の入力電圧において過負荷から保護する電子ヒューズの構造を実現し、またその際に、プログラミング可能な携帯型の制御ユニットの動作が誤作動による影響を受けることはない。同一のプログラミング可能な携帯型の制御ユニットを、電源回路を交換することなく、種々の搭載電源において使用することができる。
【0009】
本発明の更なる利点は、種々の動作電圧の他に、短時間の電圧変動も識別されて考慮されることである。出力電圧の変動は、特に搭載電源においても、機器のオンオフによって発生する可能性があり、とりわけ、バッテリが切断された状態で車両が運転されるか、又は、エンジンが回転している状態でバッテリが切断されると、出力電圧の変動が発生する可能性がある。その種の環境において確実に機能するためには、電子ヒューズが過電圧パルスの間に、許容動作電流強度に関して相応に比較的低い値を有するようにし、それによって機器の過度に高い電力消費量を阻止しなければならない。
【0010】
本発明の更なる利点は、機器の容量性負荷の、出力電圧の前述の変動によって惹起された充電電流が識別されることである。容量性負荷の充電電流、例えばコンデンサの充電電流は、容量性負荷の容量と入力電圧の時間的な変化との積を表す、式I=C×dU/dTから得られる。従って、短時間の電圧変動は、場合によっては容量性負荷の短時間の非常に大きい充電電流を生じさせる可能性があり、また一般的に、それらの充電電流によって直接的に電子ヒューズがトリガされることは望ましいことではない。機器の容量性負荷の充電電流強度を個別に検出することによって、この充電電流はその種の充電電流として識別され、また許容瞬時電流強度を設定する際に考慮される。
【0011】
本発明の一つの有利な実施の形態においては、許容瞬時電流強度を算出する際に付加的に所定の直流成分も考慮され、それによって、許容動作電流強度又は充電電流強度の算出が不正確であることに起因する電子ヒューズの誤作動が阻止される。
【0012】
本発明の一つの有利な実施の形態においては、充電電流強度がアナログ回路を用いて求められる。ディジタル回路を用いた場合、先ずアナログ形式の充電電流強度をアナログ/ディジタル変換器を用いてディジタル値に変換しなければならないので、アナログ形式の電流強度をディジタル形式の値に変換し、それに続いてその値のディジタル形式の評価を行うために設けなければならない時間を勘案すれば、ディジタル回路は、充電電流を適時に識別し、且つ電子ヒューズの誤動作を阻止するには非常に緩慢であると考えられる。特に有利な実施の形態においては、充電電流強度がモデルコンデンサを用いて求められる。本発明においてモデルコンデンサとは、機器に並列に接続されており、且つ、その容量が機器の容量性負荷の容量よりも遙かに小さいコンデンサであると解され、従って、モデルコンデンサを用いて充電電流強度を測定しても結果は劣化しない。測定抵抗を用いることによって、モデルコンデンサを流れる電流が測定され、その測定された電流から機器の容量性負荷の充電電流が推定される。別の特に有利な実施の形態においては、コンデンサを流れる電流がピーク値検出器を用いることによって測定され、それによって、機器におけるインダクタンス及び/又は容量性負荷および/またはオーム負荷に基づく充電電流強度の過小評価が阻止される。
【0013】
別の有利な実施の形態においては、許容動作電流強度がディジタル回路を用いて求められる。充電電流強度の場合とは異なり、ここでは、算出速度に対して特別な要求は課されない。また、許容動作電流強度は、許容電力消費量を、実際の動作電圧によって除算することによって得られ、更には、除算の実行はアナログ回路では困難であることから、ディジタル回路が有利である。
【0014】
本発明の一つの実施の形態においては、機器を流れる電流の電流強度が許容瞬時電流強度よりも高くなると、スイッチング素子は即座に非導通状態に移行される。
【0015】
一つの有利な実施の形態においては、スイッチング素子は、ゲート電圧の制御によって電気抵抗が制御されるトランジスタ、特にMOSFETである。一つの実施の形態においては、機器を流れる電流の電流強度が許容瞬時電流強度よりも高くなるとゲート電圧は即座にゼロに設定され、その結果、トランジスタが非導通状態に移行される。一つの別の実施の形態においては、ゲート電圧が少なくとも一時的に低減されるが、しかしながらゼロには設定されないので、その結果、トランジスタは電気抵抗が高い状態に移行され、また、印加される電圧の一部がトランジスタで降下する。
【0016】
一つの別の有利な実施の形態においては、12Vから48Vまでの範囲の動作電圧を有している搭載電源に接続するために、電気機器及びスイッチング素子が設けられており、またそのために構成されている。
【0017】
更に本発明によれば、電気機器の電力消費量を監視するための装置の形態の電子ヒューズが提供され、この電子ヒューズにおいては、機器が容量性負荷を有しており、装置が制御可能なスイッチング素子と、その制御可能なスイッチング素子のための制御装置とを有しており、また装置と電気機器とが電気的に接続され、それによってスイッチング素子と、電気機器とが直列に接続されている。またこの電子ヒューズにおいては、制御装置は以下のように構成されている。即ち、電気機器を流れる電流の電流強度と、電気機器で降下する電圧と、電気機器で降下する電圧の時間的な変化とを検出し、電気機器で降下する電圧と、電気機器の電力消費量に関する所定の最大値とから、許容動作電流強度を算出し、電気機器で降下する電圧の時間的な変化から、容量性負荷の充電電流強度を算出し、許容動作電流強度と、充電電流強度とから、許容瞬時電流強度を算出し、許容瞬時電流強度を、電気機器を流れる電流の電流強度と、比較器を用いて比較し、電気機器を流れる電流の電流強度が許容瞬時電流強度よりも高い場合にはスイッチング素子の電気抵抗を高めるように、制御装置は構成されている。
【0018】
有利には、装置は電源回路のコンポーネントとして構成されている。電源回路は直流変換器、特に、昇圧型コンバータとして構成されている。特に有利には、12Vから48Vまでの範囲の動作電圧を有している搭載電源に電気機器を接続するために、電源は構成されており、またそのために設けられている。
【0019】
更に有利には、装置は、アナログ回路がモデルコンデンサの充電電流を検出することによって、電気機器で降下する電圧の時間的な変化をアナログ回路によって検出するために構成されており、更に装置は、許容動作電流強度をディジタル方式の算術演算によって算出するために構成されている。
【0020】
以下では、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図面において同種の部分には同一の参照番号を付している。図示されている実施の形態は非常に概略的に示されたものであって、従って、間隔、水平方向の寸法及び垂直方向の寸法は縮尺通りではなく、また別段の記載がない限りは、導き出される幾何学的な相互関係も有していないと解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一つの有利な実施の形態における本発明による装置及び電気機器の原理回路図を示す。
図2】一つの有利な実施の形態における本発明による装置の詳細な回路図を示す。
図3】容量性負荷の前段に接続されているオーム抵抗による、容量性負荷の理想的な充電過程の劣化の定性的なグラフを示す。
図4】ピーク値検出器によって前述の劣化を考慮した別の定性的なグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、一つの有利な実施の形態における本発明による装置10の形態の電子ヒューズ並びに電気機器50が示されている。装置10はトランジスタの形態のスイッチング素子12を有しており、このスイッチング素子12は電気機器50に直列に接続されている。装置10は更に、スイッチング素子12のゲート電圧を制御するための制御装置を有している。本発明によれば、制御装置は、機器50を流れる電流の電流強度を測定するための第1の測定装置14を有している。更に本発明によれば、制御装置は、機器50で降下する電圧を測定するための第2の測定装置16を有している。更に本発明によれば、制御装置は、機器50の容量性負荷の充電電流の電流強度を測定するための第3の測定装置18を有しており、この第3の測定装置18は有利には、スイッチング素子12及び機器50に並列に接続されているモデルコンデンサ20に流れる電流の電流強度を測定するように構成されている。更に本発明によれば、制御装置は評価ユニット22を有しており、この評価ユニット22は、第1の測定装置14、第2の測定装置16及び第3の測定装置18によって生成された測定量を読み出し、スイッチング素子12のゲート電圧をそれら三つの測定量に応じて制御する。本発明の一つの実施の形態においては、評価ユニット22が少なくとも一つの比較器及び一つのマイクロコントローラを有している。
【0023】
電気機器50は有利には、直流変換器、特に昇圧型コンバータの形態のスイッチング電源回路と、電気的な負荷54、例えばdSPACE社のAutoBoxとを有している。スイッチング電源回路及び電子ヒューズ10は有利には、12Vから48Vの範囲の一般的な動作電圧を有している直流電源、特に搭載電源に接続するために設けられており、またそのために構成されている。直流変換器は少なくとも一つのコンデンサ52を有している。このコンデンサ52は、スイッチング電源回路における別のコンデンサ又は他の容量性コンポーネント及び負荷54と一緒に、機器50の容量性負荷を形成している。直流変換器は更に、容量性負荷の充電過程に影響を及ぼす少なくとも一つのインダクタンス56を有している。ここで昇圧型コンバータは、理想化された形態で示されており、従って非常に簡略化された形態で示されていることを言及しておく。
【0024】
図2には、一つの有利な実施の形態における本発明による装置10の詳細な回路図が示されている。第1の測定装置14は測定抵抗30として構成されている。差動増幅回路32は測定抵抗30での電圧降下を測定し、その測定値に測定抵抗30の電気抵抗の逆数を乗算し、計算結果をアナログ信号の形態で比較器40に転送する。
【0025】
機器50で降下する電圧を測定するための第2の測定装置16は電圧測定器として構成されており、測定された値をアナログ信号の形態でアナログ/ディジタル変換器24に転送する。マイクロコントローラ26は、機器50の電力消費量に関する所定の最大値を第2の測定装置16によって測定された電圧で除算することによって、ディジタル値から許容動作電流強度を表す値を算出する。またマイクロコントローラ26は、許容動作電流強度を表す算出値をディジタル/アナログ変換器28に転送し、ディジタル/アナログ変換器28はその算出値を再びアナログ信号の形態で加算ユニット70に転送する。アナログ/ディジタル変換器24、マイクロコントローラ26、ディジタル/アナログ変換器28及び加算ユニット70は評価ユニット22のコンポーネントと解される。
【0026】
機器50の容量性負荷の充電電流の電流強度を測定するための第3の測定装置18は、モデルコンデンサ20及びそのモデルコンデンサ20の充電電流を監視する回路として構成されている。モデルコンデンサ20は機器50に並列に接続されている。モデルコンデンサ20を流れる電流の電流強度の測定は測定抵抗72によって行われる。このために増幅回路74が測定抵抗72で降下する電圧を測定し、その測定値に係数C2/(C1×R)と乗算する。ここでC1はモデルコンデンサ20の容量であり、C2は機器50の容量性負荷の容量であり、Rは測定抵抗72の電気抵抗である。また増幅回路74は計算結果をアナログ信号の形態で加算ユニット70に転送する。
【0027】
一つの特に有利な実施の形態においては、増幅回路74が、測定抵抗72で降下する電圧を、ピーク値検出器76を用いて測定する。このピーク値検出器76は、測定抵抗72に並列に接続されているコンデンサ78と、ダイオード80と、抵抗82とによって形成されている。ピーク値検出器76のそれらのコンポーネントは、コンデンサ78が先ず、測定抵抗72で降下する電圧に相当する電圧で充電され、続いて、抵抗82を介して緩慢に放電されるように配置されている。この有利な実施の形態においては、増幅回路がピーク値検出器76のコンデンサ78の電圧を測定する。
【0028】
上記のようなピーク値検出器を使用することによって、電流の経過が付加的な誘導成分及び/又は直列抵抗によって影響が及ぼされる場合に、機器50の容量性負荷の充電電流強度が過小評価されることを阻止することができる。この原理を図3及び図4を用いて説明する。
【0029】
図3の上部には、動作電圧の仮定の変動が電圧の線形の上昇として示されている。下部には、その変動の結果生じるモデルコンデンサ20の充電電流が実線で示されている。この充電電流は電源の電圧供給部に即座に供給され、従って、理想的なコンデンサに近い特性を示している。破線の曲線は、容量性負荷の前段にオーム抵抗が接続されている場合の、機器50の容量性負荷の例示的な充電電流を示す。この破線で示されている充電電流は、機器50の容量性負荷の充電を遅延させる複数の抵抗の影響を受けている。二つの曲線からも見て取れるように、そのような抵抗の影響は期間Δt内での充電電流の過小評価に繋がる。このような過小評価によっても電子ヒューズの誤作動が生じる可能性がある。
【0030】
図4の上部には、図3において説明したものと同じ、仮定の電圧変動が示されている。下部には、ピーク値検出器を用いてモデルコンデンサ20において測定された充電電流が実線で示されている。この図からも見て取れるように、機器50の容量性負荷の充電電流は常に過大評価されている。これによって、充電電流の過小評価に起因する電子ヒューズの誤作動が阻止される。ピーク値検出器の抵抗82及びコンデンサ78を適切に選択することによって、コンデンサ78の放電は機器50の容量性負荷の放電よりも極僅かに緩慢になるので、充電電流の過大評価が過剰に行われることはない。
【0031】
更に、本発明による装置10の図2に示した実施の形態は、一定の信号発生器90を有しており、この信号発生器90によって一定のアナログ信号が加算ユニット70に供給される。このようにして、信号発生器90は第2の測定装置16及び第3の測定装置18によって生成された信号に直流成分を加え、それによって、測定エラーに起因する電子ヒューズの誤作動を抑制する。
【0032】
加算ユニット70は、この加算ユニット70に供給される三つのアナログ信号を加算することによって、許容瞬時電流強度を算出し、その算出値をアナログ信号の形態で比較器40に転送し、比較器40はそのアナログ信号を、機器50を流れる電流の電流強度と比較する。比較器40は、比較の結果をバイナリ信号の形態でマイクロプロセッサ92に転送する。機器50を流れる電流の電流強度が許容瞬時電流強度よりも高い場合には、マイクロプロセッサ92はスイッチング素子のゲート電圧を制御し、スイッチング素子の電気抵抗を高める。第3の測定ユニット18によって検出された、機器50の容量性負荷の充電電流が許容瞬時電流強度に常に加算されるので、この容量性負荷の充電電流によってヒューズがトリガされることはない。
【0033】
図2に示した実施の形態は例示的なものであって、当業者であれば、請求項1又は請求項10の上位概念に含まれる種々の明確なヴァリエーションを実現できることが分かる。特に、信号評価の構成及び評価ユニット22によるスイッチング素子12の制御を異なる構成にすることもでき、例えば、場合によっては機器の容量性負荷の充電電流によっても電子ヒューズをトリガできるように、即ち、スイッチング素子12の電気抵抗を高めることができるように制御を構成することができる。
図1
図2
図3
図4