(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライナーを分配シュートに取り付けるためには、たとえば、ライナーにボルトを設け、分配シュートを構成する鋼板にそのボルトを貫通させてナットで締結する。しかし、分配シュートに設けられた孔部の位置と、ライナーに設けられたボルトの位置を精度良く合わせることは難しい。
【0005】
たとえば、ライナーが鋳物である場合には、底部にボルトが鋳込まれたタイプのものが考えられる。しかし、鋳込まれたボルトにおいて、ボルトの位置精度を確保することは難しい。ボルトの中心位置と孔部の中心位置がずれている場合には、分配シュートとライナーの熱膨張率の相違により、取付け部の破損を招く可能性がある。このように、分配シュートにライナーを精度良く取り付けることは難しい。
【0006】
本発明は、分配シュートに精度良く取り付けることができるライナー部材、ライナー構造およびライナー部材の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るライナー部材は、高炉内において原料を流れ方向に流下させる分配シュートのシュート本体上に取り付けられるライナー部材であって、シュート本体に対面する鋼製の底板と、底板の流れ方向の両端部に設けられた一対の第1側板と、底板の流れ方向に交差する方向の両端部に設けられた一対の第2側板と、を含む枠部と、枠部内に設けられて枠部に一体化された鋳鉄部と、を備え、枠部の一対の第2側板の少なくとも一方は、隣り合う他のライナー部材の第2側板に当接する当接面を含む。
【0008】
このライナー部材によれば、底板と、一対の第1側板および一対の第2側板とによって囲まれた枠部内の領域に鋳鉄部が設けられ、枠部と鋳鉄部とが一体化されている。底板がシュート本体に対面するようにしてライナー部材が設けられることで、原料はライナー部材上を流下する。これにより、衝撃または熱からのシュート本体の保護が図られる。一対の第2側板の少なくとも一方は、隣り合う他のライナー部材の第2側板に当接する当接面を含むため、流れ方向に交差する方向に、複数のライナー部材を並設することができる。よって、流れ方向に交差する方向に延在する1枚のライナー部材を設ける場合に比して、分割されたライナー部材を設けることになるため、組立作業性が向上する。しかも、ライナー部材の底部である枠部の底板は鋼製であるため、孔あけや溶接等の加工性に優れている。よって、ライナー部材をシュート本体に取り付けるための取付部材を底板に設ける場合に、正確な位置に取付部材を設けることができる。よって、ライナー部材を分配シュートに精度良く取り付けることができる。
【0009】
上記のライナー部材において、鋳鉄部は、枠部内に鋳鉄材料の溶湯を流し込むことによって形成される。この場合、いわゆる鋳掛けによってライナー部材を製造可能であるため、鋳型が不要である。よって、製造コストの削減を図ることができる。さらには、小ロットでの製造が可能である。
【0010】
上記のライナー部材は、枠部の底板に対して固定されて、底板から突出するねじ部材を備える。この場合、ねじ部材を用いて、シュート本体にライナー部材を固定することができる。ねじ部材は、底板に対して固定される。鋼製の底板は加工性に優れるため、ねじ部材の固定位置および向きを正確に設定することができる。
【0011】
本発明の一側面に係るライナー構造は、流れ方向に交差する方向に並設された複数の上記ライナー部材を備え、ライナー部材はねじ部材によりシュート本体に固定され、流れ方向に交差する方向で隣り合うライナー部材の第2側板の当接面が互いに当接しており、流れ方向に垂直な断面において、複数のライナー部材の上面が連続して多角形状をなす。
【0012】
このライナー構造によれば、正確な位置および向きにねじ部材を固定することができる。このねじ部材によって、ライナー部材を分配シュートに精度良く取り付けることができる。さらに、隣り合うライナー部材の第2側板の当接面が互いに当接する。そして、複数のライナー部材の上面が連続して、多角形状をなす。このライナー構造により、流れ方向に交差する方向に複数のライナー部材が並設されて、連続するライナー表面が形成される。
【0013】
本発明の一側面に係るライナー構造は、流れ方向に交差する方向に並設された複数の上記ライナー部材と、流れ方向に交差する方向に延在して、複数のライナー部材の底板とシュート本体との間に配置されるベースプレートと、を備え、ベースプレートは、底板に対して接合された接合部と、底板から流れ方向の上流側または下流側に突出してシュート本体に固定される突出部とを含み、流れ方向に交差する方向で隣り合うライナー部材の第2側板の当接面が互いに当接しており、流れ方向に垂直な断面において、複数のライナー部材の上面が連続して多角形状をなす。
【0014】
このライナー構造によれば、ベースプレートの接合部には、複数のライナー部材の底板が接合され、ベースプレートの突出部がシュート本体に固定される。このように、ベースプレートを介してライナー部材が分配シュートに取付けられるため、ライナー部材を分配シュートに精度良く取り付けることができる。さらに、隣り合うライナー部材の第2側板の当接面が互いに当接する。そして、複数のライナー部材の上面が連続して、多角形状をなす。このライナー構造により、流れ方向に交差する方向に複数のライナー部材が並設されて、連続するライナー表面が形成される。
【0015】
本発明の一側面に係るライナー部材の取付方法は、高炉内において原料を流れ方向に流下させる分配シュートのシュート本体上にライナー部材を取り付けるライナー部材の取付方法であって、ライナー部材は、シュート本体に対面する鋼製の底板と、底板の流れ方向の両端部に設けられた一対の第1側板と、底板の流れ方向に交差する方向の両端部に設けられた一対の第2側板と、を含む枠部と、枠部内に設けられて枠部に一体化された鋳鉄部と、を備え、枠部の一対の第2側板の少なくとも一方は、隣り合う他のライナー部材の第2側板に当接する当接面を含み、流れ方向に交差する方向に複数のライナー部材を並設する並設工程を含み、並設工程では、流れ方向に交差する方向で隣り合うライナー部材の第2側板の当接面を互いに当接させ、流れ方向に垂直な断面において、複数のライナー部材の上面が連続して多角形状をなすように、複数のライナー部材を並設する。
【0016】
このライナー部材の取付方法によれば、ライナー部材の一対の第2側板の少なくとも一方は、隣り合う他のライナー部材の第2側板に当接する当接面を含むため、流れ方向に交差する方向に、複数のライナー部材を並設することができる。よって、流れ方向に交差する方向に延在する1枚のライナー部材を設ける場合に比して、分割されたライナー部材を設けることになるため、組立作業性が向上する。しかも、ライナー部材の底部である枠部の底板は鋼製であるため、孔あけや溶接等の加工性に優れている。よって、ライナー部材をシュート本体に取り付けるための取付部材を底板に設ける場合に、正確な位置に取付部材を設けることができる。よって、ライナー部材を分配シュートに精度良く取り付けることができる。並設工程では、隣り合うライナー部材の第2側板の当接面を互いに当接させ、複数のライナー部材の上面が連続して多角形状をなすように、複数のライナー部材を並設する。このライナー部材の取付方法により、流れ方向に交差する方向に複数のライナー部材が並設されて、連続するライナー表面が形成される。
【0017】
上記のライナー部材の取付方法において、流れ方向に交差する方向に延在して、複数のライナー部材の底板とシュート本体との間に配置されるベースプレートを用い、並設工程は、ベースプレートの接合部を底板に対して接合し、底板から流れ方向に突出するベースプレートの突出部をシュート本体に固定する工程を含む。
【0018】
このライナー部材の取付方法によれば、ベースプレートの接合部には、複数のライナー部材の底板が接合され、ベースプレートの突出部がシュート本体に固定される。このように、ベースプレートを介してライナー部材が分配シュートに取付けられるため、ライナー部材を分配シュートに精度良く取り付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分配シュートにライナー部材を精度良く取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
図1〜
図4を参照して、第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、分配シュート1は、高炉内に設置される樋状の装置である。分配シュート1は、炉頂装入装置の一部として高炉内に設置されて、炉頂に供給された原料を高炉本体内に導入する。分配シュート1は、上端に設けられた一対の吊り部2と、吊り部2に連結されて分配シュート1の長手方向に延びるシュート本体4とを備える。吊り部2は、図示しないギア機構に連結されている。分配シュート1は、傾斜した状態で保持されており、ギア機構によって、旋回自在かつ傾動自在になっている。分配シュート1は、鉄鉱石またはコークス等の原料X(
図5参照)を所定の方向に流下させ、落下端部4cから落下させる。吊り部2およびシュート本体4は、たとえばステンレス製である。
【0023】
図2に示されるように、吊り部2の長手方向に垂直な断面は、U字状である。シュート本体4の長手方向に垂直な断面は、U字状である。吊り部2は、シュート本体4よりも厚い。シュート本体4は長手方向において、吊り部2よりも長い。吊り部2およびシュート本体4は、長手方向に延びる流下空間Sを形成している。吊り部2およびシュート本体4は、原料Xを収容した状態で、原料Xを流れ方向D1に流下させる。流れ方向D1は、分配シュート1の長手方向(軸線方向)に等しい。なお、図示は省略されているが、吊り部2およびシュート本体4の下方には、U字状の防熱板が配置されており、防熱板と吊り部2およびシュート本体4との間には、断熱材が配置されている。
【0024】
図1および
図2に示されるように、本実施形態のライナー構造5は、吊り部2およびシュート本体4のそれぞれに設けられている。ライナー構造5は、吊り部2上およびシュート本体4上に取り付けられた複数のライナー部材6を備える。各ライナー部材6は、ライナー本体7と、ライナー本体7の底部に固定された取付ボルト(ねじ部材)8とを備える。耐摩耗性を有する鋼製のライナー本体7は、ブロック状をなしており、吊り部2上およびシュート本体4上に敷き詰められている。
【0025】
なお、この実施形態の説明において、「ライナー本体7」はライニング機能を有するブロック状の単体を意味する。「ライナー部材6」はライナー本体7と、ライナー本体7に一体化された取付ボルト8とを意味する。「ライナー10」は、ライナー部材6と、ライナー部材6をシュート本体4に取り付けるための取付部材、たとえばナット9とを意味する。「ライナー構造5」は、複数のライナー部材6と、これらを取り付けるための取付部材とを意味する。
【0026】
より詳細には、複数のライナー本体7は、流れ方向D1に並設されると共に、流れ方向D1に交差する横方向D2に並設されている。言い換えれば、各々のライナー本体7は、流れ方向D1に分割されると共に、横方向D2に分割された分割ライナーである。ここで、横方向D2とは、流れ方向D1に直交する方向であり、U字状の吊り部2またはシュート本体4の内面に沿う方向である。すなわち、横方向D2は、シュート本体4の下部を構成する湾曲部4a(
図2参照)に沿って湾曲して延び、さらに、シュート本体4の上部を構成する平板部4bに沿って直線状に延びる。吊り部2に設けられたライナー構造5と、シュート本体4に設けられたライナー構造5とは、基本的に同様である。
【0027】
以下、シュート本体4に設けられたライナー構造5について説明する。ライナー部材6は、シュート本体4に形成された孔部4d(
図1参照)に挿入された取付ボルト8と、シュート本体4の外側から設けられるナット9とによって、シュート本体4に締結されている。言い換えれば、本実施形態のライナー10は、ライナー本体7および取付ボルト8を含むライナー部材6と、ナット9とを備える。
【0028】
複数のライナー本体7は、一方の平板部4b、湾曲部4aおよび他方の平板部4bにわたって設けられている。ライナー本体7が設けられた横方向D2の全体領域を基準として、各ライナー本体7は、横方向D2にたとえば4〜12分割されている(
図2に示す例では9分割)。各ライナー本体7の流れ方向D1(長手方向)の長さは、たとえば200〜600mmである。なお、ライナー本体7の長さはこの範囲に限られない。たとえば、ライナー本体7の長さは、1m〜2m等とすることができる。
【0029】
図3を参照して、ライナー部材6についてより詳細に説明する。ライナー部材6は、格子状に組まれた枠部11内に、たとえば高クロム(Hi−Cr)鋳鉄からなる溶湯を流し込むことにより製造される、いわゆる鋳掛けライナーである。ケーシングである枠部11は、矩形の底板11bと、底板11bの流れ方向D1の両端部(
図3(a)の左右の端部)に設けられた一対の矩形の第1側板11c,11cと、底板11bの横方向D2の両端部(
図3(b)の左右の端部)に設けられた一対の矩形の第2側板11d,11dとを含む。枠部11は、たとえばSS400等の溶接可能な普通鋼(マイルド・スチール)からなる。第1側板11cおよび第2側板11dは、たとえば、溶接によって底板11bに接合される。第1側板11cおよび第2側板11dは、底板11bの隅部の位置で、溶接によって接合されている。
【0030】
このように、枠部11の底板11bが溶接可能な普通鋼からなるため、孔あけや溶接等の加工を底板11bに施すことが容易になっている。底板11bは、シュート本体4の湾曲部4aに沿う外形を有している。より詳細には、底板11bは、湾曲部4aに沿って(すなわち横方向D2に沿って)湾曲しており、流れ方向D1に沿って真っ直ぐに延びている。底板11bの底面はライナー本体7の底面7bを構成している。よって、底面7bは、シュート本体4の湾曲部4aに沿って湾曲している(
図2参照)。
【0031】
枠部11の第1側板11cは、流れ方向D1に延びる底板11bに対して垂直に設けられている。第1側板11cの外方の側面は、ライナー本体7の第1側面7cを構成している。一対の第1側面7cは、流れ方向D1に隣り合う他のライナー部材6の第1側板11cに当接する当接面である。言い換えれば、一対の第1側板11cは、流れ方向D1に隣り合う他のライナー部材6の第1側板11cに当接する当接面を含む。
【0032】
枠部11の第2側板11dは、横方向D2に延びる底板11bに対して垂直に設けられている。言い換えれば、第2側板11dは、湾曲部4aの径方向に沿って延びている。底板11bは横方向D2に湾曲しているが、第2側板11dは、第2側板11dが設けられた位置における、湾曲する底板11bの接線に対して垂直に延びている。第2側板11dの外方の側面は、ライナー本体7の第2側面7dを構成している。一対の第2側面7dは、横方向D2に隣り合う他のライナー部材6の第2側板11dに当接する当接面である。言い換えれば、一対の第2側板11dは、横方向D2に隣り合う他のライナー部材6の第2側板11dに当接する当接面を含む。ライナー部材6の第2側面7dの高さは、そのライナー部材6に隣接する他のライナー部材6の第2側面7dの高さに略等しい。
【0033】
枠部11内には、鋳鉄部12が設けられている。鋳鉄部12は、たとえば高クロム鋳鉄からなる。鋳鉄部12は、枠部11に一体化されている。鋳鉄部12の上面は枠部11から露出しており、平坦である。鋳鉄部12の上面は、第1側板11cおよび第2側板11dの上端面と同一平面上に位置する。すなわち、鋳鉄部12の上面はライナー本体7の上面7aを構成しており、この上面7aは、平坦である。なお、ここでいう「上面」とは、ライナー本体7または鋳鉄部12に原料が載る面である。
【0034】
取付ボルト8は、スタッドボルトであり、ライナー部材6に埋設されている。取付ボルト8は、底板11bに対して垂直に設けられて、底板11bから下方に突出している。取付ボルト8の先端部8bには雄ねじが形成されている。
【0035】
なお、シュート本体4の湾曲部4aに設けられるライナー部材6について上述したが、シュート本体4の平板部4bに設けられるライナー部材6では、平板状の底板11bを用いることができる。この場合、ライナー本体7は直方体状をなす。また、湾曲部4aに設けられる複数のライナー部材6は、湾曲部4aの湾曲形状が同じである場合は同一の形状および大きさとすることができるが、設けられる位置によって湾曲部4aの湾曲形状が異なる場合、適宜、底板11bの形状および大きさを変更することができる。
【0036】
ここで、
図4を参照して、ライナー部材6の製造方法について説明する。まず、
図4(a)に示されるように、枠部11を用意する。なお、
図4(a)に示されるように、一対の第1側板11c,11c間の中央に仕切り板11eを立設してもよい。
【0037】
次に、
図4(b)に示されるように、枠部11の底板11bに、所定のピッチで2個の孔部11fを形成する。この孔部11fのピッチは、取付ボルト8のピッチに相当する。孔部11fのピッチが、シュート本体4に設けられている孔部4dのピッチに同一となるように、機械加工により孔部11fを形成する。孔部11fは、取付ボルト8の直径に対して、隙間嵌めとなる直径に設定される。孔部11fは、底板11bに対して垂直な方向に形成される。これによって、取付ボルト8の垂直性が確保される。続いて、
図4(c)に示されるように、取付ボルト8を基端部8aから孔部11fに差し込む。基端部8aを底板11bの上面から突出させ、底板11bに対して基端部8aを溶接固定する。
【0038】
そして、
図4(d)に示されるように、枠部11内に、高クロム鋳鉄(鋳鉄材料)からなる溶湯を流し込み、鋳掛けライナーであるライナー部材6を得る。このようにして製造されるライナー部材6では、取付ボルト8の基端部8aは、底板11bを貫通して鋳鉄部12に達している。取付ボルト8は、鋳掛け時に鋳鉄部12に一体化され、ライナー部材6に埋設される。取付ボルト8は、シュート本体4の孔部4dのピッチに対して略同心である正確な位置に設けられる。
【0039】
図1および
図2を参照して、ライナー構造5の構築方法すなわちライナー部材6の取付方法について説明する。なお、ライナー構造5を交換(更新)する場合も、同様の方法である。まず、防熱板および断熱材を除去して、シュート本体4を露出させる。次に、複数のライナー部材6および複数のナット9を用意する。複数のライナー部材6を流れ方向D1および横方向D2に配置する。このとき、ライナー本体7の底板11b(すなわち底面7b)は、シュート本体4に載置される。次に、シュート本体4の裏面側から順次ナット9を取り付け、シュート本体4に対してライナー部材6を締結していく。
【0040】
複数のライナー部材6を横方向D2に並設する並設工程では、たとえば、シュート本体4の底部寄りに配置されるライナー部材6、すなわち低い位置に配置されるライナー部材6から取り付けていく。底部寄りのライナー部材6を取り付けたら、そのライナー部材6に隣り合うライナー部材6を配置する。この際、ライナー本体7の第2側板11d(すなわち第2側面7d)を互いに当接させる。そして、配置したライナー部材6を順次ナット9により固定していく。この取付手順を繰り返すことにより、複数のライナー部材6の上面7aが連続して多角形状をなすように、複数のライナー部材6を並設する。
【0041】
上記手順を経て構築されたライナー構造5では、
図2に示されるように、ライナー部材6は取付ボルト8によってシュート本体4に固定されている。ライナー部材6の底板11bは、シュート本体4に対面している。複数のライナー本体7が横方向D2に並設されており、隣り合う第2側板11dの第2側面7d同士が当接している。複数のライナー本体7の上面7aは連続している。流れ方向D1に垂直な断面において、複数の上面7aは多角形状をなしている。言い換えれば、ライナー構造5は、多角形状のライナー表面15を含む。
【0042】
上記したライナー部材6およびライナー部材6の取付方法によれば、底板11bと、一対の第1側板11cおよび一対の第2側板11dとによって囲まれた枠部11内の領域に鋳鉄部12が設けられ、枠部11と鋳鉄部12とが一体化されている。底板11bがシュート本体4に対面するようにしてライナー部材6が設けられることで、原料Xはライナー部材6上を流下する。これにより、衝撃または熱からのシュート本体4の保護が図られる。枠部11から露出する鋳鉄部12の上面は平坦であるため、ライナー部材6の近傍を流下する原料Xの流下速度が低下することを抑制できる。なお、鋳鉄部12の上面とは、鋳鉄部12に原料が載る面である。
図5(a)に示されるように、分配シュート1によって原料Xを分配しているとき、分配シュート1は、所定の傾動角度にて軸線Lを中心に旋回する。流れ方向D1に垂直な断面において、通常、原料Xは横方向D2に偏っている。この場合でも、シュート本体4の落下端部4cから落下する原料Xは、シュート本体4に対する位置の分布に影響を受けにくくなっている。すなわち、原料Xは、ライナー部材6に対する遠近またはライナー構造5の底部からの高さに関わらず、略均等な速度で落下する。これによって、原料Xの分配精度が高められている。
【0043】
また、一対の第2側板11dの少なくとも一方は、隣り合う他のライナー部材6の第2側板11dに当接する当接面(すなわち第2側面7d)を含むため、流れ方向D1に交差する方向に、複数のライナー部材6を並設することができる。よって、流れ方向D1に交差する方向に延在する1枚のライナー部材を設ける場合に比して、分割されたライナー部材6を設けることになるため、組立作業性が向上する。しかも、ライナー部材6の底部である枠部11の底板11bは鋼製であるため、孔あけや溶接等の加工性に優れている。よって、ライナー部材6をシュート本体4に取り付けるための取付部材(たとえば取付ボルト8)を底板11bに設ける場合に、正確な位置に取付部材を設けることができる。よって、ライナー部材6を分配シュート1(シュート本体4)に精度良く取り付けることができる。その結果として、たとえばシュート本体4と枠部11の熱膨張率の相違により、取付ボルト8の位置が孔部4dの中心からずれた場合であっても、取付ボルト8が孔部4dの周囲に圧接するような事態が回避され、ライナー部材6またはシュート本体4の破損を防止できる。
【0044】
従来、鋳掛けによって製造されたライナー部材であっても、その底板にスタッドボルトを溶接(またはスタッドボルトが立設されたベースプレートを溶接)する場合があったが、この方法では、ボルトのピッチ精度が低かった。本実施形態のライナー部材6では、取付ボルト8のピッチ精度が向上しており、ライナー部材6の高精度な取り付けが可能になっている。
【0045】
いわゆる鋳掛けによってライナー部材6を製造可能であるため、鋳型が不要である。よって、製造コストの削減を図ることができる。また、短期間での製造が可能である。さらには、小ロットでの製造が可能である。
【0046】
ライナー部材6によれば、取付ボルト8を用いて、シュート本体4にライナー部材6を固定することができる。取付ボルト8は、底板11bに対して固定される。鋼製の底板11bは加工性に優れるため、取付ボルト8の固定位置および向き(すなわち垂直性)を正確に設定することができる。
【0047】
上記したライナー構造5およびライナー部材6の取付方法によれば、取付ボルト8によって、ライナー部材6を分配シュート1(シュート本体4)に精度良く取り付けることができる。また、ライナー部材6をボルト取付することにより、分配シュート1を小型化でき、分配シュート1の構造を簡単化できる。さらに、隣り合うライナー部材6の第2側板11dの当接面(すなわち第2側面7d)が互いに当接する。上記したように、鋳鉄部12の上面すなわちライナー部材6の上面7aは平坦であり、複数の上面7aが連続して、多角形状をなす。このライナー構造5により、流れ方向D1に交差する方向(すなわち横方向D2)に複数のライナー部材6が並設されて、連続するライナー表面15が形成される。
【0048】
以上、第1実施形態について説明したが、ライナー部材にねじ部材が設けられる形態は、上記したライナー部材6に限られない。たとえば、
図6(a)および(b)に記載されるように、底板11bに、所定のピッチで、タップ加工が施された2個の孔部11Afを形成してもよい。このような孔部11Afを含む枠部11Aに、基端部8Aaに雄ねじが形成された取付ボルト8Aをねじ込み固定してもよい。このようなライナー部材6Aおよびライナー本体7Aを採用した場合においても、取付ボルト8Aは、シュート本体4の孔部4dのピッチに対して略同心である正確な位置に設けられる。また、取付ボルト8Aの垂直性が確保される。
【0049】
図6(c)および(d)に記載されるように、底板11bに、所定のピッチで2個の孔部11Bfを形成し、孔部11Bfの周囲にナット17を溶接してもよい。このような孔部11Bfを含む枠部11Bに、基端部8Baに雄ねじが形成された取付ボルト8Bを挿入し、ナット17にねじ込み固定してもよい。このようなライナー部材6Bおよびライナー本体7Bを採用した場合においても、取付ボルト8Bは、シュート本体4の孔部4dのピッチに対して略同心である正確な位置に設けられる。また、取付ボルト8Bの垂直性が確保される。
【0050】
続いて、
図7〜
図10を参照して、第2実施形態について説明する。
図7および
図8に示されるライナー部材6Cおよびライナー構造5Cが第1実施形態のライナー部材6およびライナー構造5と違う点は、ライナー部材6Cがねじ部材を備えていない点と、ライナー部材6Cの底板11bとシュート本体4との間にベースプレート19が配置された点である。ライナー構造5Cでは、1枚のベースプレート19に、複数枚のライナー部材6Cが固定されている。1枚のベースプレート19に固定されるライナー部材6Cの個数は、2個または3個としてもよく、4個以上としてもよい。なお、1枚のベースプレート19に1個のライナー部材6Cを固定してもよい。
【0051】
ベースプレート19は、シュート本体4の横方向D2に延在している。ライナー部材6Cが設けられる横方向D2の全体領域に対して、1枚のベースプレート19が設けられてもよく、2枚のベースプレート19が設けられてもよく、3枚以上のベースプレート19が設けられてもよい。言い換えれば、ライナー部材6Cが設けられる横方向D2の全体領域を基準として、ベースプレート19は、横方向D2に分割されていなくてもよいし、横方向D2に2分割または3以上に分割されていてもよい。ライナー部材6Cが設けられる横方向D2の全体領域を基準として、ベースプレート19の分割数は、ライナー部材6Cの分割数よりも少ないことが好ましい。
【0052】
図8に示されるように、ベースプレート19は、ライナー部材6Cの底板11bに溶接によって接合された接合部19aと、底板11bから流れ方向D1の上流側に突出する突出部19bとを含む。より詳細には、ベースプレート19のうち流れ方向D1の下流側が接合部19aになっており、ベースプレート19のうち流れ方向D1の上流側が突出部19bになっている。接合部19aは、底板11bの流れ方向D1の上流側の端部に接合されている。接合部19aの流れ方向D1の下流端と底板11bとの間には、溶接部Wが形成されている。
【0053】
突出部19bには、ベースプレート19を厚み方向に貫通する孔部19cが形成されている。この孔部19cには皿ボルト20が挿入され、この皿ボルト20およびナット21によって、ベースプレート19の突出部19bがシュート本体4に固定されている。なお、ベースプレート19とシュート本体4との間には、皿ボルト20およびナット21からなる締結部の当たりが出せるように、スペーサ22が設けられている。
【0054】
このように、ライナー10Cでは、ライナー部材6Cの流れ方向D1の上流側の端部がベースプレート19を介してシュート本体4に固定されている。一方、ライナー部材6Cの流れ方向D1の下流側の端部は、流れ方向D1に隣り合うライナー10Cの突出部19b上に載置されている。突出部19bに設けられる皿ボルト20の頭部は、突出部19bの表面よりも内側に収まっている。これにより、平坦な突出部19b上にライナー部材6Cの流れ方向D1の下流側の端部を支障なく載置できる。皿ボルト20の頭部は隣接するライナー部材6Cによって覆われているため、皿ボルト20が保護されており、皿ボルト20の摩耗が防止されている。
【0055】
流れ方向D1に隣り合うライナー部材6C,6Cは、互いに当接していてもよいし、僅かな隙間を有してもよい。ライナー部材6Cが、少なくとも皿ボルト20の頭部を覆っていればよい。
【0056】
1枚のベースプレート19には、その延在方向に所定の間隔をおいて、複数の孔部19cが形成されている。孔部19cのピッチは、シュート本体4に設けられている孔部4eのピッチと同一である。ベースプレート19に形成された孔部19cの個数は、ライナー部材6Cの個数よりも少ない(
図9に示す例では5個)。
【0057】
図8〜
図10を参照して、ライナー構造5Cの構築方法すなわちライナー部材6Cの取付方法について説明する。なお、ライナー構造5Cを交換(更新)する場合も、同様の方法である。まず、防熱板および断熱材を除去して、シュート本体4を露出させる。次に、複数のライナー部材6C、それぞれ複数の皿ボルト20、ナット21およびスペーサ22を用意する。また、1枚または複数枚のベースプレート19を用意する。
図9および
図10に示される例では、9枚のライナー部材6Cと、1枚のベースプレート19を用意している。皿ボルト20、ナット21およびスペーサ22は、孔部19cの個数に対応させて、たとえば5個ずつ用意する。
【0058】
複数のライナー部材6Cを流れ方向D1および横方向D2に配置する。このとき、流れ方向D1の下流端に位置するライナー部材6Cから配置していく。ライナー部材6Cの流れ方向D1の下流端とシュート本体4との間には、角柱状のスペーサ24が設けられる。
【0059】
複数のライナー部材6Cを横方向D2に並設する並設工程では、複数のライナー部材6Cを取り付ける際、
図10に示されるように、1枚のベースプレート19の接合部19aを複数のライナー部材6Cに接合したユニット30をまず組み立てて、シュート本体4上にユニット30を載置してもよい。あるいは、シュート本体4上にベースプレート19を載置および固定して、その後、ベースプレート19の接合部19aを複数のライナー部材6Cに接合してもよい。
【0060】
たとえば、シュート本体4の底部寄りに配置されるライナー部材6C、すなわち低い位置に配置されるライナー部材6からベースプレート19に接合していく。底部寄りのライナー部材6Cを接合したら、そのライナー部材6Cに隣り合うライナー部材6Cを配置する。この際、ライナー部材6Cの第2側板11d(すなわち第2側面7d)を互いに当接させる。この取付手順を繰り返すことにより、複数のライナー部材6Cの上面7aが連続して多角形状をなすように、複数のライナー部材6Cを並設する。
【0061】
シュート本体4上にユニット30が並設された状態で、ライナー部材6Cの底面7bとシュート本体4との間には、横方向D2に延びる円筒状の間隙23が形成されている。次に、孔部19cおよび孔部4eに皿ボルト20を挿入し、シュート本体4の裏面側から順次ナット9を取り付け、シュート本体4に対してベースプレート19を締結していく。このようにして、ベースプレート19の突出部19bをシュート本体4に固定していく。
【0062】
上記手順を経て構築されたライナー構造5Cでは、
図8および
図9に示されるように、ライナー部材6Cの底板11bは、シュート本体4に対面している。複数のライナー部材6Cが横方向D2に並設されており、隣り合う第2側板11dの第2側面7d同士が当接している。複数のライナー部材6の上面7aは連続している。流れ方向D1に垂直な断面において、複数の上面7aは多角形状をなしている。言い換えれば、ライナー構造5は、多角形状のライナー表面15Cを含む。
【0063】
また、ライナー部材6Cを備えるライナー構造5Cでは、ライナー部材6Cの底面7bとシュート本体4との間に、横方向D2に延びる円筒状の間隙23が形成されている。流れ方向D1の下流側に位置するライナー構造5Cの突出部19b上に、流れ方向D1に隣り合うライナー部材6Cの端部が載置されている。このライナー部材6Cによって、皿ボルト20の頭部が覆われている。
【0064】
上記したライナー部材6Cおよびライナー部材6Cの取付方法によれば、上述の第1実施形態と同様の作用・効果が奏される。また、ライナー構造5Cによれば、ベースプレート19の接合部19aには、複数のライナー部材6Cの底板11bが接合され、ベースプレート19の突出部19bがシュート本体4に固定される。このように、ベースプレート19を介してライナー部材6Cが分配シュート1に取付けられるため、ライナー部材6Cを分配シュート1に精度良く取り付けることができる。一枚のベースプレート19に複数のライナー部材6Cが固定され、このベースプレート19がシュート本体4に固定されるため、皿ボルト20が貫通する孔部4eの個数を低減することができる。よって、シュート本体4の強度低下が防止される。また、ベースプレート19をボルト取付することにより、分配シュート1を小型化でき、分配シュート1の構造を簡単化できる。さらに、隣り合うライナー部材6Cの第2側板11dの当接面(すなわち第2側面7d)が互いに当接する。鋳鉄部12の上面すなわちライナー部材6Cの上面7aは平坦であり、複数の上面7aが連続して、多角形状をなす。このライナー構造5Cにより、流れ方向D1に交差する方向(すなわち横方向D2)に複数のライナー部材6Cが並設されて、連続するライナー表面15Cが形成される。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、上記第1実施形態において、ライナー10が取付ボルト8とナット9とを含む場合について説明したが、たとえば、内部に雌ねじが形成された筒状体(ねじ部材)がライナー本体7に固定されており、シュート本体4の外側からボルトが設けられてもよい。取付ボルト8がライナー部材6の鋳掛け時に埋設される場合に限られず、ライナー本体7を製造した後に、ライナー本体7の底板11bに対して取付ボルト8を固定してもよい。また、第2実施形態において、ベースプレート19は、接合部と、底板11bの流れ方向D1の下流側に突出する突出部とを含んでもよい。
【0066】
また、シュート本体4に取り付けられたライナー部材6のうち、すべてのライナー部材6において上面7aが連続している必要はない。たとえば、一部分の上面7aが連続しており、他の部分の上面7aは非連続であってもよい。
【0067】
上記各実施形態では、鋳掛けによってライナー部材6が製造される場合について説明したが、鋳掛けに限られず、枠部11に鋳鉄部12を溶接する等によってライナー部材を製造してもよい。1つの分配シュート1において、上記したようなフラットライニングタイプのライナー構造5,5Cと、ライナー部材の上面に凹凸が設けられたセルフライニングタイプのライナー構造とを組み合わせてもよい。