【実施例】
【0027】
例
例1〜30:協調的OSDAの存在なしでの様々な量のCu錯体(銅−テトラエチレンペンタミン、銅−TEPA)を用いたCu−SAPO−34の直接合成。
本例の典型的な製造は、次の通りであった:第1工程として、Cu錯体分子を製造した。これを行うために、硫酸銅(II)(98質量%、アルファ)水溶液の20質量%を、テトラエチレンペンタミン(TEPA 99質量%、Aldrich)の必要量と混合し、2時間撹拌下で維持した。第2工程として、蒸留水及びリン酸(85質量%、Aldrich)の必要量を添加し、5分間攪拌した。その後、アルミナ(75質量%、Condea)及びシリカ(Ludox AS40 40%質量、Aldrich)源をゲル混合物中に導入し、30分間又は溶媒の蒸発が所望のゲル濃度を達成するのに必要な場合には必要な時間攪拌下で保持した。合成ゲルを製造したら、それらをテフロンライナーを有するオートクレーブに移し、そして静的条件下で7日間150℃の温度に加熱した。熱水結晶化後のサンプルをろ過し、十分な蒸留水で洗浄し、最後に100℃で乾燥させた。
【0028】
サンプルを、結晶化プロセス後に達成された相を知るために、粉末X線回折(PXRD)により特徴付けた。
【0029】
必要に応じて、サンプルを、結晶化プロセスの間に細孔性材料の内部に排除された有機部分を除去するために空気中において550℃で焼成した。
【0030】
例1〜30のために選択された様々な合成モル比を「表I」にまとめる。また、達成された相も「表I」に示す。さらに、各例の合成中に使用された各先駆物質の必要量は、「表II」で見ることができる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
興味深いことに、先の実験セットから、多量のCu錯体を合成ゲルに導入した場合のみ[Cu−TEPA/(Al+P)=0.5]、Cu−SAPO−34材料が達成されると結論付けることができる(「表I」を参照)。銅錯体の量を合成媒体中で減少させた場合[Cu−TEPA/(Al+P)<0.3、「表I」を参照。]、Cu−SAPO−34材料において直接合成法により様々なCuローディングを制御することを可能にする非晶質材料が達成された。さらに、合成媒体に必要な多量の銅錯体[Cu−TEPA/(Al+P)=0.5]は、最終固体中における銅の非常に大きなローディングを促進させる[0.13〜0.21の間のCu/(Al+P)、「表III」を参照。]。これらのサンプルは、NOxのSCRにおける中程度の活性転化率を示す(「表X」を参照)。
【0034】
【表3】
【0035】
例31〜40:TEPAの過剰を加えて様々な量のCu錯体(Cu−TEPA)を使用したCu−SAPO−34の直接合成。
本例は、Cu−SAPO−34へのCuローディングを制御しようとするものであった。その際、Cu錯体の制御された量[Cu−TEPA/(Al+P)=0.1、0.2、0.3及び0.4]を合成ゲル中に導入し、追加のTEPAを0.5のTEPA/(Al+P)の合計比まで混合物に添加した。
【0036】
本例の典型的な製造は、次の通りであった:第1工程として、Cu錯体分子を製造した。これを行うために、硫酸銅(II)(98質量%、アルファ)水溶液の20質量%を、テトラエチレンペンタミン(TEPA 99質量%、Aldrich)の必要量と混合し、2時間撹拌下で維持した。第2工程として、蒸留水及びリン酸(85質量%、Aldrich)の必要量を添加し、5分間攪拌した。その後、アルミナ(75質量%、Condea)及びシリカ(Ludox AS40 40%質量、Aldrich)源をゲル混合物中に導入し、30分間又は溶媒の蒸発が所望のゲル濃度を達成するのに必要な場合には必要な時間攪拌下で保持した。合成ゲルを製造したら、それらをテフロンライナーを有するオートクレーブに移し、そして静止状態で7日間150℃の温度に加熱した。熱水結晶化後のサンプルをろ過し、十分な蒸留水で洗浄し、最後に100℃で乾燥させた。
【0037】
サンプルを、結晶化プロセス後に達成された相を知るために、粉末X線回折(PXRD)により特徴付けた。
【0038】
例31〜40のために選択された様々な合成モル比を「表IV」にまとめる。また、達成された相も「表IV」に示す。さらに、各例の合成中に使用された各先駆物質の必要量は、「表V」で見ることができる。
【0039】
残念ながら、「表IV」から分かるように、純Cu−SAPO−34は、これらの実験では達成されなかった。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
例41〜56:様々な量のCu錯体(Cu−TEPA)を協調的OSDA(ジエチルアミン、DEA)と共に使用したCu−SAPO−34の直接合成。
本例は、Cu−SAPO−34へのCuローディングを制御しようとするものである。その際、Cu錯体の制御された量[Cu−TEPA/(Al+P)=0.05、0.1、0.15及び0.2]を合成ゲル中に導入し、ジエチルアミン(DEA)などの協調的OSDAを混合物に添加した。
【0043】
本例の典型的な製造は、次の通りであった:第1工程として、Cu錯体分子を製造した。これを行うために、硫酸銅(II)(98質量%、アルファ)水溶液の20質量%を、テトラエチレンペンタミン(TEPA 99質量%、Aldrich)の必要量と混合し、2時間撹拌下で維持した。第2工程として、蒸留水及びリン酸(85質量%、Aldrich)の必要量を添加し、5分間攪拌した。その後、アルミナ(75質量%、Condea)及びシリカ(Ludox AS40 40%質量、Aldrich)源をゲル混合物中に導入した。最後に、ジエチルアミンの必要量(99質量%、Aldrich)をゲルに添加し、適宜SAPO−34の種子(酸化物の合計に対する質量%)を添加し、そして30分間撹拌下で維持した。合成ゲルを製造したら、それらをテフロンライナーを有するオートクレーブに移し、静止状態で5日間150℃の温度に加熱した。熱水結晶化後のサンプルをろ過し、十分な蒸留水で洗浄し、最後に100℃で乾燥させた。
【0044】
サンプルを、結晶化工程後に達成された相を知るために、粉末X線回折(PXRD)により特徴付けた。必要に応じて、サンプルを、結晶化プロセスの間に細孔性材料の内部に排除された有機部分を除去するために空気中において550℃で焼成した。
【0045】
例41〜56のために選択された様々な合成モル比を「表VI」にまとめる。また、達成された相も「表VI」に示す。さらに、各例の合成中に使用された各先駆物質の必要量は、「表VII」で見ることができる。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
先の実験セットから、Cu−SAPO−34材料は、合成ゲル中において様々なCu含有量で達成される。興味深いことに、様々なCuローディングが最終固体でも達成された(「表VIII」を参照)。
【0049】
【表8】
【0050】
さらに重要なことに、「例54」で得られたCu−SAPO−34のその焼成後の最終固体収率は、90%よりも高い。この値は、BASFの研究者により彼らの特許(Bull、I外、EP2269733A1、2011)で与えられたCu−SAPO−34の直接合成において報告された収率よりもはるかに高い。
【0051】
例57:例54で合成されたCu−SAPO−34の他のキャラクタリゼーション。
例54で合成されたサンプルをPXRD、走査電子顕微鏡(SEM)及びUV−Vis分光法によりさらに特徴付けた。「
図1」は、例54のCu−SAPO−34材料の製造されたままの状態及び焼成された状態でのPXRDを示し、焼成前後のSAPO−34の構造及び高結晶化度を確認するものである。
【0052】
図1は、例54のCu−SAPO−34の製造されたままの状態及び焼成された状態のPXRDパターンである。
【0053】
「
図2」は、例54のCu−SAPO−34材料のSEM画像を示し、6〜8μmの結晶サイズを明らかにするものである。
【0054】
図2は、例54のCu−SAPO−34のSEM画像である。
【0055】
「
図3」は、Cu−TEPA錯体の溶液の状態でのUV−Visスペクトル(a)及び例54の製造されたままのCu−SAPO−34のUV−Visスペクトル(b)を示す。両スペクトルは、270nmで強いバンドを示すが、これは、Cu−TEPA錯体が結晶化後に保持され、有機物除去後にCu
2+骨格外陽イオンの存在をもたらすことを明らかにするものである。
【0056】
図3は、溶液の状態のCu−TEPA錯体のUV−Visスペクトル(a)及び例54の製造されたままのCu−SAPO−34のUV−Visスペクトルである。
【0057】
例58:Cu錯体(Cu−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、Cu−シクラム)を形成させるために環状ポリアミンを協調的OSDA(ジエチルアミン、DEA)と共に使用したCu−SAPO−34の直接合成。
本例は、Cu−SAPO−34へのCu−ローディングを制御しようとするものであったが、ただし、Cu−錯体の状態の異なるポリアミンを使用した。本例において、シクラムと呼ばれる環状ポリアミン1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンは、ジエチルアミン(DEA)などの協調的OSDAと共に合成ゲル中に導入される。
【0058】
本例の典型的な製造は、次の通りであった:第1工程として、Cu錯体分子を製造した。これを行うために、硫酸銅(II)(98質量%、Alfa)の20質量%水溶液100mgと25mgの1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(シクラム、98質量%、Aldrich)と混合し、そして撹拌下で2時間にわたり保持した。第2工程として、282mgの蒸留水及び128mgのリン酸(85質量%、Aldrich)を添加し、5分間攪拌した。その後、94mgのアルミナ(75質量%、Condea)及び75mgのシリカ(Ludox AS40 40%の質量、Aldrich)源をゲル混合物中に導入した。最後に、82mgのジエチルアミン(99質量%、Aldrich)をゲルに添加し、そして30分間攪拌下で保持した。ゲルのモル組成は次のとおりであった:P/Al=0.8;Si/(P+Al)=0.2;Cu−シクラム/(Al+P)=0.05;DEA/(Si+Al)=0.45;H
2O/(Si+Al)=10。合成ゲルを製造したら、このものを、テフロンライナーを有するオートクレーブに移し、そして静止状態で5日間150℃の温度に加熱した。熱水結晶化後のサンプルをろ過し、十分な蒸留水で洗浄し、最後に100℃で乾燥させた。
【0059】
サンプルを空気中において550℃で焼成して、結晶化プロセスの間に多孔質材料の内部に排除された有機部分を除去した。
【0060】
実施例59:例58で合成されたCu−SAPO−34のキャラクタリゼーション。
例58で合成されたサンプルを、PXRD、走査型電子顕微鏡(SEM)及びUV−Vis分光法で特徴付けた。「
図4」は、例58のCu−SAPO−34材料のその製造されたままの状態及び焼成された状態でのPXRDを示し、焼成前後のSAPO−34の構造及び高い結晶化度を確認するものである。
【0061】
図4は、例58のCu−SAPO−34の製造されたままの状態及び焼成された状態のPXRDパターンである。
【0062】
「
図5」は、例58のCu−SAPO−34材料のSEM画像を示し、10〜15μmの結晶サイズを明らかにするものである。
図5は、例58のCu−SAPO−34のSEM画像である。
【0063】
「
図6」は、例58の製造されたままのCu−SAPO−34のUV−Visスペクトルを示す。このスペクトルは、270nmで強いバンドを示すが、これは、Cu−シクラム錯体が結晶化後に保持され、有機除去後にCu
2+骨格外陽イオンの存在を導くことを明らかにするものである。
【0064】
図6は、例58の製造されたままのCu−SAPO−34のUV−Viスペクトルである。
【0065】
実施例60:Cu−交換SAPO−34の製造。
SAPO−34の合成に用いた手順は次のとおりであった:2.05gのリン酸(85質量%、Aldrich)を8.7gの蒸留水で希釈し、得られた溶液を5分間にわたって攪拌した。その後、1.5gのアルミナ(75質量%、Condea)及び1.04gのシリカ(Ludox AS40 40%質量、Aldrich)をゲル混合物に導入した。最後に、1.65gのジエチルアミン(99質量%、Aldrich)をゲルに添加し、30分にわたって攪拌下で保持した。合成ゲルが製造されたら、このものを、テフロンライナーを有するオートクレーブに移し、静止状態で72時間にわたり200℃の温度に加熱した。熱水結晶化後のサンプルをろ過し、十分な蒸留水で洗浄し、最後に100℃で乾燥させた。サンプルをPXRDによって特徴付けたところ、SAPO−34の特徴的なPXRDパターンを示した。このサンプルを、結晶化プロセス中に多孔質材料の内部に排除された有機部分を除去するために空気中において550℃で焼成した。
【0066】
このSAPO−34材料についてCuイオン交換を行うために、焼成されたサンプルをまずNaNO
3(0.04M)で洗浄し、その後、このサンプルをCu(CH
3CO
2)2溶液(10g/Lの固体/液体比)により室温で交換した。最後に、このサンプルを濾過し、蒸留水で洗浄し、そして4時間にわたり550℃で焼成した。
【0067】
例61:本発明により合成された様々なCu−SAPO−34についてのNOxのSCRに関する触媒試験。
NOxの接触還元についてのサンプルの活性を、直径2.2cm及び長さ53cmの固定床石英管型反応器内で検討した。典型的な実験では、触媒を0.25〜0.42mmの粒径で製造した。このものを反応器に導入し、550℃まで加熱し(「表IX」の反応条件を参照)、そして窒素流下で1時間にわたりこれらの温度で保持した。その後、所望の反応温度を設定し、そして反応供給物を入れた。NOxのSCRを、還元剤としてNH
3を用いて検討した。反応器からの出口ガス中に存在するNOxを化学発光検出器(Thermo 62C)により連続的に分析した。
【0068】
【表9】
【0069】
触媒結果を「表X」にまとめる。
【0070】
【表10】