特許第6017025号(P6017025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017025電気的な接続エレメントを備えた窓ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017025
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電気的な接続エレメントを備えた窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/06 20060101AFI20161013BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20161013BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C03C17/06 Z
   B60J1/00 B
   H01R4/58 A
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-515455(P2015-515455)
(86)(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公表番号】特表2015-527278(P2015-527278A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013060116
(87)【国際公開番号】WO2013182394
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】12171029.7
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512212885
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
【氏名又は名称原語表記】Saint−Gobain Glass France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クラウス シュマールブーフ
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ロイル
(72)【発明者】
【氏名】ローター レスマイスター
(72)【発明者】
【氏名】ミーチャ ラタイチャク
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0224842(US,A1)
【文献】 特開昭50−041366(JP,A)
【文献】 特開昭53−014988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00−23/00
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気的な接続エレメントを有する窓ガラスであって、
基板(1)と、
前記基板(1)の所定の領域に配置された導電性の構造体(2)と、
スナップファスナとして形成され、少なくともクロム含有鋼を含む接続エレメント(3)と、
前記接続エレメント(3)を少なくとも前記導電性の構造体(2)の部分領域に導電接続する鉛フリーのろう材(4)の層とを備え、
前記基板(1)は、ソーダ石灰ガラスを含み、
前記接続エレメント(3)の熱膨張係数は、0℃〜300℃の温度範囲で9×10−6/℃〜13×10−6/℃であり、
前記基板(1)の熱膨張係数と前記接続エレメント(3)の熱膨張係数との差は、5×10−6/℃未満であり、
前記接続エレメント(3)は、少なくとも50重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜5重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜2.5重量%のモリブデンまたは0重量%〜1重量%のチタンを含
ことを特徴とする、少なくとも1つの電気的な接続エレメントを有する窓ガラス(1)。
【請求項2】
前記接続エレメント(3)は、少なくとも75重量%〜84重量%の鉄、16重量%〜18.5重量%のクロム、0重量%〜0.1重量%の炭素、0重量%〜1重量%のマンガンまたは0重量%〜1重量%のチタンを含む、請求項記載の窓ガラス。
【請求項3】
前記導電性の構造体(2)は銀を含む、請求項1または2記載の窓ガラス。
【請求項4】
前記ろう材(4)の層厚さは、6.0×10−4m以下である、請求項1からまでのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項5】
前記ろう材(4)は、錫、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはこれらの組成物を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項6】
ろう材組成物(4)における錫の割合が、3重量%〜99.5重量%であり、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはこれらの組成物の割合が、0.5重量%〜97重量%である、請求項記載の窓ガラス。
【請求項7】
前記接続エレメント(3)は、ニッケル、錫、銅および銀から選択される少なくとも1つでコーティングされている、請求項1からまでのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項8】
前記接続エレメント(3)は、0.1μm〜0.3μmのニッケルおよび3μm〜20μmの銀のいずれかまたは両方でコーティングされている、請求項記載の窓ガラス。
【請求項9】
前記接続エレメント(3)は、接触面(8)を介して完全に前記導電性の構造体(2)の部分領域に接続されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の窓ガラス。
【請求項10】
前記接触面(8)は、丸められた角部を有してい、請求項記載の窓ガラス。
【請求項11】
少なくとも1つの電気的な接続エレメントを有する請求項1から1までのいずれか1項記載の窓ガラスの製造方法において、
a)ろう材(4)を前記接続エレメント(3)に小型プレートとして被着し、
b)導電性の構造体(2)を基板(1)に被着し、
c)前記ろう材(4)を有する前記接続エレメント(3)を前記導電性の構造体(2)に配置し、
d)前記接続エレメント(3)を前記導電性の構造体(2)にろう接することを特徴とする、窓ガラスの製造方法。
【請求項12】
請求項1から1までのいずれか1項記載の、少なくとも1つの電気的な接続エレメントを備えた窓ガラスの、導電性の構造体を有する車両のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な接続エレメントを備えた窓ガラスと、このような窓ガラスを製造するための経済的で環境に優しい方法とに関する。
【0002】
さらに本発明は、たとえば加熱導体またはアンテナ導体のような導電性の構造体を備えた車両に用いられる、電気的な接続エレメントを備えた窓ガラスに関する。導電性の構造体は、通常、ろう接された電気的な接続エレメントを介して、車載電気機器に接続されている。使用される材料の互いに異なる熱膨張係数に基づいて、製造時にも運転時にも機械的な応力が生じ、この機械的な応力は窓ガラスに加えられて、窓ガラスの破損を引き起こし得る。
【0003】
鉛含有のろう(Lote)は、高い延性を有している。この延性は、電気的な接続エレメントと窓ガラスとの間で発生する機械的な応力を塑性変形により補償することができる。しかし、廃自動車指令2000/53/EGに基づいて、欧州共同体では、鉛含有のろうは鉛フリーのろうで代替しなければならない。指令書は、概して省略されてELV(End of life Vihicles)とも呼ばれる。目的は、使い捨て電子装置の大規模な拡大に伴って、極めて問題となる成分を製品から排除することである。該当する物質は、鉛、水銀、カドミウムである。このことはさらに、特にガラス上での電気使用における鉛フリーのろう接手段の普及および対応する代替製品の導入にも関わる。
【0004】
スナップファスナとして形成された電気的な接続エレメントが、たとえば米国特許登録第6249966号明細書および米国特許出願公開第20070224842号明細書から公知である。このような接続エレメントは、車載電気機器への快適な接続を可能にする。米国特許出願公開第20070224842号明細書では、接続エレメントをチタンから製造することが提案されている。しかし、チタンはろう接することが困難である。このことは、窓ガラスにおける接続エレメントの不良な付着につながる。さらにチタンは極めて高価であり、このことは接続エレメントの高価な価格をもたらす。
【0005】
本発明の課題は、電気的な接続部材を備える窓ガラスと、該窓ガラスを製造するための経済的かつ環境に優しい方法を提供することであり、この場合、窓ガラスにおける重大な機械的な応力は回避される。
【0006】
さらに本発明の課題は、接続エレメントのための、先行技術に比べて改善された材料を提供することであり、この材料は、改善された入手性、改善された加工性、たとえば改善されたろう接性および冷間変形加工性を有している。
【0007】
本発明の課題は、本発明によれば請求項1に記載の装置により解決される。好適な実施の形態は、従属請求項から明らかになる。
【0008】
少なくとも1つの接続エレメントを有する本発明に係る窓ガラスは、以下の特徴を有する。つまり、
−基板と、
−基板の所定の領域に設けられた導電性の構造体と、
−スナップファスナとして形成され、少なくともクロム含有鋼を含む接続エレメントと、
−接続エレメントを少なくとも導電性の構造体の部分領域に電気的に接続するろう材(Lotmasse)の層と、を有する。
【0009】
基板は、有利にはガラスであり、特に有利には板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスである。択一的な有利な態様では、基板は、ポリマ、特に有利にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよび/またはそれらの混合物である。
【0010】
基板は、第1の熱膨張係数を有している。接続エレメントは、第2の熱膨張係数を有している。本発明の有利な態様では、第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数との差は、5×10−6/℃未満である。これにより、改善された付着が得られる。
【0011】
窓ガラス上には導電性の構造体が被着されている。電気的な接続エレメントは、ろう材により部分領域で導電性の構造体に電気的に接続されている。ろう材は、1mm未満の流出幅で、接続エレメントと導電性の構造体との間の中間室から流出する。
【0012】
有利な態様では、最大の流出幅は、有利には0.5mm未満であり、特にほぼ0mmである。このことは、窓ガラスにおける機械的な応力の減少、接続エレメントの付着およびろうの節約に関して特に有利である。
【0013】
最大の流出幅は、接続エレメントの外側エッジと、ろう材の層厚さが50μmの層厚を下回るろう材溢流部の箇所との間の間隔として定義されている。最大の流出幅は、ろう接工程後に硬化したろう材において測定される。
【0014】
所望の最大流出幅は、ろう材体積の適切な選択と、接続エレメントと導電性の構造体との間の鉛直方向の間隔の適切な選択とにより達成される。このことは簡単な実験で求められ得る。接続エレメントと導電性の構造体との間の鉛直方向の間隔は、相応するプロセス工具、たとえば組み込まれたスペーサを備える工具によって設けられ得る。
【0015】
最大の流出幅は、負の値であってもよく、つまり電気的な接続エレメントと導電性の構造体により形成される中間室内に引っ込んでいてよい。
【0016】
本発明に係る窓ガラスの有利な態様では、最大の流出幅は、電気的な接続エレメントと導電性の構造体とにより形成される中間室内に凹状のメニスカスで引っ込んでいる。凹状のメニスカスは、たとえばスペーサと導電性の構造体との間の鉛直方向の間隔を、ろう接工程中に、ろう材がまだ流動性である間に高めることによって発生する。
【0017】
利点は、特にろう材溢流部が大きな場合に存在する重要な領域内での窓ガラスにおける機械的な応力の低減にある。
【0018】
第1の熱膨張係数は、有利には8×10−6/℃〜9×10−6/℃である。基板は、有利にはガラスであり、ガラスは有利には0℃〜300℃の温度範囲で、8.3×10−6/℃〜9×10−6/℃の熱膨張係数を有している。
【0019】
第2の熱膨張係数は、0℃〜300℃の温度範囲で有利には9×10−6/℃〜13×10−6/℃、特に有利には10×10−6/℃〜11.5×10−6/℃を有している。
【0020】
本発明に係る導電性の構造体は、有利には5μm〜40μm、特に有利には5μm〜20μm、極めて有利には8μm〜15μmであり、特に10μm〜12μmである層厚さを有している。本発明に係る導電性の構造体は、有利には銀、特に有利には銀粒子およびガラスフリットである。
【0021】
ろう材の層厚さは、6.0×10−4m以下、特に有利には3.0×10−4m未満である。
【0022】
ろう材は、有利には鉛フリーである。鉛フリーのろう材として、本発明の枠内では、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限に関するEG指令2002/95/EGに対応して、0.1重量%未満の鉛の割合を含んでいるか、または鉛を含んでいない。このことは、電気的な接続エレメントを有する本発明に係る窓ガラスの環境適合性に関して特に有利である。
【0023】
鉛フリーのろう材は、鉛含有のろう材に比べて、通常は低い延性を有しているので、接続エレメントと窓ガラスとの間の機械的な応力をあまり良好に補償することができない。しかし、重大な機械的な応力は、本発明に係る接続エレメントにより阻止され得ることが示された。本発明に係るろう材は、有利には錫およびビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはそれらの組成物を含んでいる。本発明に係るろう材組成物における錫の割合は、3重量%〜99.5重量%、有利には10重量%〜95.5重量%、特に有利には15重量%〜60重量%である。本発明に係るろう材組成物におけるビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀またはそれらの組成物の割合は、0.5重量%〜97重量%、有利には10重量%〜67重量%であり、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅または銀の割合は、0重量%であってもよい。本発明に係るろう材組成物は、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムまたはリンを0重量%〜5重量%の割合で含んでいてよい。本発明に係るろう材組成物は、特に有利には、Bi40Sn57Ag3、Sn40Bi57Ag3、Bi59Sn40Ag1、Bi57Sn42Ag1、ln97Ag3、Sn95,5Ag3,8Cu0,7、Bi67ln33、Bi33ln50Sn17、Sn77,2ln20Ag2,8、Sn95Ag4Cu1、Sn99Cu1、Sn96,5Ag3,5、Sn96,5Ag3CuO,5、Sn97Ag3またはこれらの混合物であってよい。
【0024】
本発明の有利な態様では、ろう材はビスマスを含んでいる。ビスマス含有のろう材は、窓ガラスに対する本発明に係る接続エレメントの極めて良好な付着をもたらすことが示された。この場合、窓ガラスの損傷は回避され得る。ろう材組成物におけるビスマスの割合は、有利には0.5重量%〜97重量%、特に有利には10重量%〜67重量%、極めて特に有利には33重量%〜67重量%、特に50重量%〜60重量%である。ろう材は、ビスマスの他に、有利には錫および銀あるいは錫、銀および銅を含んでいる。特に有利な態様では、ろう材は、少なくとも35重量%〜69重量%のビスマス、30重量%〜50重量%の錫、1重量%〜10重量%の銀および0重量%〜5重量%の銅を含んでいる。特に好適な態様では、ろう材は、少なくとも49重量%〜60重量%のビスマス、39重量%〜42重量%の錫、1重量%〜4重量%の銀および0重量%〜3重量%の銅を含んでいる。
【0025】
さらに有利な態様では、ろう材は、90重量%〜99.5重量%の錫、有利には95重量%〜99重量%、特に有利には93重量%〜98重量%の錫を含んでいる。ろう材は、錫の他に、有利には0.5重量%〜5重量%の銀および0重量%〜5重量%の銅を含んでいる。
【0026】
本発明に係る接続エレメントは、有利には少なくとも50重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜5重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜2.5重量%のモリブデンおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいる。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウム、ニオブおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0027】
本発明に係る接続エレメントは、少なくとも66.5重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜5重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜2.5重量%のモリブデン、0重量%〜2重量%のニオブおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいてもよい。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウムおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0028】
別の有利な態様では、本発明に係る接続エレメントは、少なくとも65重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜0.5重量%の炭素、0重量%〜2.5重量%のニッケル、0重量%〜1重量%のマンガン、0重量%〜1重量%のモリブデンおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいる。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウム、ニオブおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0029】
本発明に係る接続エレメントは、少なくとも73重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜0.5重量%の炭素、0重量%〜2.5重量%のニッケル、0重量%〜1重量%のマンガン、0重量%〜1重量%のモリブデン、0重量%〜1重量%のニオブおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいてよい。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウムおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0030】
さらに別の有利な態様では、本発明に係る接続エレメントは、少なくとも75重量%〜84重量%の鉄、16重量%〜18.5重量%のクロム、0重量%〜0.1重量%の炭素、0重量%〜1重量%のマンガンおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいる。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウム、ニオブおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0031】
本発明に係る接続エレメントは、少なくとも78.5重量%〜84重量%の鉄、16重量%〜18.5重量%のクロム、0重量%〜0.1重量%の炭素、0重量%〜1重量%のマンガン、0重量%〜1重量%のニオブおよび/または0重量%〜1重量%のチタンを含んでいてもよい。接続エレメントは、バナジウム、アルミニウムおよび窒素のような別の元素の添加物を付加的に含んでいてよい。
【0032】
本発明に係る接続エレメントは、有利にはニッケル、鈴、銅および/または銀によりコーティングされている。本発明に係る接続エレメントは特に有利には、有利にはニッケルおよび/または銅から成る付着媒体層を有しており、かつ付加的に有利には銀からなるろう接可能な層を有している。本発明に係る接続エレメントは、特に有利には0.1μm〜0.3μmのニッケルおよび/または3μm〜20μmの銀でコーティングされている。接続エレメントは、ニッケルメッキ、錫メッキ、銅メッキおよび/または銀メッキされ得る。ニッケルおよび銀は、接続エレメントの負荷電流容量および腐食耐性を改善し、かつろう材とのぬれ性を改善する。
【0033】
本発明に係る接続エレメントは有利には、10.5重量%以上のクロムの割合と、9×10−6/℃〜13×10−6/℃の熱膨張係数とを有するクロム含有鋼を含んでいる。モリブデン、マンガンまたはニオブのような別の合金成分は、改善された耐腐食性または引っ張り強度または冷間変形加工性のような変更された機械的な特性をもたらす。
【0034】
先行技術によるチタンから成る接続エレメントに対する、クロム含有鋼から成る接続エレメントの利点は、改善されたろう接性である。改善されたろう接性は、22W/mkであるチタンの熱伝導性に比べて高い、25W/mk〜30W/mkの熱伝導性に基づいて生じる。比較的高い熱伝導性は、ろう接工程中に接続エレメントの均一な加熱をもたらす。これにより、特に高温箇所(ホットスポット)の点状の形成は阻止される。高温箇所は、窓ガラスの機械的な応力および後の損傷の起点となる。窓ガラスにおける接続エレメントの改善された付着は、特に鉛フリーのろう材の使用時に生じる。鉛フリーのろう材は、鉛含有のろう材に比べて小さな延性に基づいて、機械的な応力をあまり良好に補償することができない。改善された冷間変形性により、接続エレメントは、クロム含有鋼から良好に変形され得る。さらにクロム含有鋼は、より簡単に入手可能である。
【0035】
クロム含有鋼から成る接続エレメントの別の利点は、たとえば銅から成る多くの従来の接続エレメントに比べて高い剛性を有している。これにより、接続エレメントは、たとえば接続エレメントに接続されたケーブルにおける引っ張りによる負荷下では簡単には変形され得ない。このような変形は、接続エレメントと導電性の構造体との間の、ろう材を介した結合部の負荷をもたらす。
【0036】
特に鉛フリーのろう材では、このような負荷は阻止する必要がある。負荷は、鉛フリーのろう材の、鉛含有のろう材に比べて小さな延性に基づいて、あまり良好に補償することができない。このことは窓ガラスの損傷をもたらし得る。
【0037】
接続エレメントは、本発明によれば、スナップファスナとして形成されている。これにより、接続ケーブルが相補的なスナップファスナを有している場合、接続エレメントは、単純かつ快適な形式で接続ケーブルに接続され得る。接続エレメントと接続ケーブルとの間の接続は、有利には窓ガラスの所定の場所における組込み後に行われ得る。
【0038】
有利な態様では、接続エレメントは、雄型のスナップファスナとして形成されている。したがって接続ケーブルは、相補的な雌形のスナップファスナを備えている。択一的には接続エレメントが雌形のスナップファスナとして形成されており、接続ケーブルが、雄型のスナップファスナを備えていてもよい。
【0039】
接続エレメントは、少なくとも1つの接触面を有している。この接触面を介して接続エレメントは有利には全面的にろう材によって導電性の構造体の部分領域に接続されている。接触面は、有利には角部を有していない。接触面はたとえばオーバル、楕円形、円形の形状を有していてよい。接触面は、択一的には凸多角形の形状、有利には丸められた角部を有する四角形の形状を有していてもよい。丸められた角部は、r>0.5mm、有利にはr>1mmの曲率半径を有している。
【0040】
電気的な接続エレメントは、有利には少なくとも、ろう材に向けられた面に銅、亜鉛、錫、銀、金または合金、またはこれらの層、有利には銀を含むコーティングを有している。これにより、ろう材の、コーティング超える拡散は阻止され、流出幅は制限される。
【0041】
本発明の有利な態様では、接続エレメントの接触面に、スペーサ、有利には少なくとも2つのスペーサ、特に有利には少なくとも3つのスペーサが配置されている。スペーサは、有利には接続エレメントと同一の合金を含んでいる。各スペーサは、たとえばキューブ、ピラミッドまたは回転楕円体のセグメントまたは球体セグメントとして成形されている。スペーサは、有利には、0.5×10−4m〜10×10−4mの幅および0.5×10−4m〜5×10−4m、有利には1×10−4m〜3×10−4mの高さを有している。スペーサによって、均一なろう材層が形成される。このことは、接続エレメントの付着に関して有利である。スペーサは、接続エレメントと一体的に、つまりワンピースに形成されていてよい。スペーサは、たとえば出発状態では平面状の接触面を備える接続エレメントの接触面において、たとえば型押しまたは深絞りによる変形によって形成され得る。この場合、接続エレメントの、接触面に対峙する表面に対応する凹部が形成され得る。
【0042】
スペーサにより、ろう材の均質かつ均一な厚さの、均一に溶融された層が達成される。これにより、接続エレメントと窓ガラスとの間の機械的な応力が減じられ得る。このことは、特に、鉛含有のろう材に比べて小さな延性に基づき機械的な応力をあまり補償することができない鉛フリーのろう材の使用時に特に有利である。
【0043】
接続エレメントは、正面図でたとえば1mm〜50mmの長さおよび幅で、特に有利には3mm〜30mmの長さおよび幅で、極めて有利には5mm〜10mmの長さおよび幅である。
【0044】
電気的な接続エレメントの形状は、接続エレメントと導電性の構造体との間の中間室のろう材堆積物を形成する。接続エレメントにおけるろう材堆積物およびろう材のぬれ特性は、中間室からのろう材の流出を阻止する。ろう材堆積物は、四角形、円形または多角形に形成されていてよい。
【0045】
電気的な接続エレメントおよび導電性の構造体の電気的な接続時のエネルギ導入は、有利にはスタンプ、熱極(Thermoden)、はんだごて(Kolbenloeten)、有利にはレーザ溶接、熱風溶接(Heissluftloeten)、誘導加熱溶接、抵抗加熱溶接および/または超音波溶接で行われる。
【0046】
本発明の課題は、さらに、少なくとも1つの接続エレメントを備えた本発明に係る窓ガラスの製造方法により解決される。この場合、
a)ろう材を接続エレメントに小型プレートとして被着し、
b)導電性の構造体を基板に被着し、
c)ろう材を有する接続エレメントを導電性の構造体に配置し、
d)接続エレメントを導電性の構造体にろう接する。
【0047】
ろう材は、有利には接続エレメント上での規定された層厚さ、体積、形状および配置を有する小型プレートとして、有利には予め接続エレメントに被着される。
【0048】
ろう材小型プレートの層厚さは、有利には0.6mm以下である。ろう材小型プレートの形状は、有利には接触面の形状に一致する。接触面がたとえば丸く形成されているか、円形の外側縁部を有している場合、ろう材小型プレートは、有利には丸い形状を有している。
【0049】
接続エレメントは有利には建物、特に自動車、鉄道、航空機または船舶のヒータガラスまたはアンテナを有する窓ガラスにおいて使用される。接続エレメントは、窓ガラスの導電性の構造体を電気的なシステムに接続するために役立つ。電気的なシステムは、窓ガラスの外部に配置されている。電気的なシステムは、増幅器、制御ユニットまたは電圧源である。
【0050】
本発明を図面および実施の形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明に係る窓ガラスの第1の態様を示す断面図である。
図2図1に示した接続エレメントの断面を示す斜視図である。
図3】本発明に係る方法の詳細なフローチャートである。
【0052】
図1は、電気的な接続エレメント3の領域で本発明による加熱可能な窓ガラス1の横断面を示している。窓ガラス1は、3mmの厚さを有する、熱による予荷重をかけられた、ソーダ石灰ガラスから成る安全強化ガラスである。窓ガラス1は、150cmの幅と、80cmの高さとを有している。窓ガラス1上には、加熱導体構造体2である導電性の構造体2が印刷されている。導電性の構造体2は、銀粒子およびガラスフリットを含んでいる。窓ガラス1の縁部領域では、導電性の構造体2は、10mmの幅にまで拡張されており、電気的な接続エレメント3のための接触面を形成する。窓ガラス1の縁部領域には、さらにカバースクリーン印刷(図示せず)が位置している。電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間の接触面8の領域では、ろう材4が被着されている。このろう材4は、電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間で、持続的な電気的かつ機械的な接続を生ぜしめる。ろう材4は、57重量%のビスマス、40重量%の錫および3重量%の銀を含んでいる。ろう材4は、予め規定された体積および形状により、完全に電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間に配置されている。ろう材4は、250μmの厚さを有している。電気的な接続エレメント3は、10.0×10−6/℃の熱膨張係数を有する、EN10088−2の材料番号14509の鋼(Thyssenkrupp社 Nirosta(登録商標)4509)から成っている。接続エレメント3は、銀コーティング(図示せず)を、たとえば5μmの厚さで有していてよい。
【0053】
EN10088−2の材料番号14509の鋼は、良好に冷間成形可能であり、ガス溶接を除く全ての方法で良好に溶接可能である。鋼は、消音器装置および排ガス処理装置の構造のために使用されており、これらの装置のために、950℃を越えるまで酸化皮膜耐性および排ガスシステムにおいて生じる負荷に対する腐食耐性に基づいて特に適している。しかし、接続エレメント3のためには別のクロム含有鋼も使用され得る。択一的な特に適した鋼は、たとえばEN10088−2の材料番号14016の鋼である。
【0054】
電気的な接続エレメント3は、雄型のスナップファスナとして形成されている。図示の態様では、電気的な接続エレメント3は、ベースプレート6と、結合エレメント7とから成っている。ベースプレート6は、平面図で円形の形状を有している。ベースプレート6は、その中心に円形の穴を有している。この穴の外縁部においてベースプレート6は上方に向かって屈曲されているので、ベースプレートの領域は、窓ガラス1から離れる方向でほぼ直角に延びている。ベースプレート6の外側の縁部は、U字形に曲げられている。これにより、ベースプレート6の縁部領域には、結合エレメント7のための収容部が形成されている。ベースプレート6の曲げられた縁部領域は、連続して形成されていても、中断して形成されていてもよい。ベースプレート6は、穴に接した曲げられた領域および縁部領域を除いて、平坦に形成されている。ベースプレート6の平坦な、窓ガラス1に面した面は、接触面8を形成している。
【0055】
ベースプレート6は、たとえば約0.2mmまたは0.3mmの材料厚さを有している。ベースプレート6の円形の外縁部は、たとえば約8mmの直径を有している。ベースプレート6の中心の円形の穴は、たとえば約1mmの直径を有している。
【0056】
結合エレメント7は、主に中空円筒体のように形成されている。中空円筒体は、主に窓ガラス1の表面に対して垂直方向に配置されている。結合エレメント7の外縁部の基部領域は、外側に向かって曲げられており、接触面8に対してほぼ平行に中空円筒体から離れるように延びている。この基部領域は、ベースプレート6の曲げられた縁部領域により形成された収容部内に差し込まれている。これにより、結合エレメント7は、持続的にベースプレート6に接続され接続エレメント3を形成する。中空円筒体の壁は、結合エレメント7のほぼU字形の屈曲部により実現されている。この場合、U字形の屈曲部の半径は、たとえば約0.3mmである。中空円筒体は、たとえば約5.7mmの外径と、たとえば約3.5mmの内径を有している。接続エレメント7の材料厚さは、たとえば約0.3mmである。結合エレメント7の高さは、たとえば約3.5mmである。
【0057】
接続エレメント3は、雌形のスナップファスナ(図示せず)に結合させるために設けられて、かつ適している。このためには、雌形のスナップファスナは、結合エレメント7に被せ嵌められる。中空円筒体の外壁は、垂直に窓ガラス1から離れる方向に延びているのではなく、たとえば垂線に対して約3°の角度を有しているので、結合エレメント7の直径は、窓ガラス1からの間隔が増すにつれて僅かに大きくなる。これにより、被せられた雌形のスナップファスナの意図しない脱落は阻止される。雌形のスナップファスナは、たとえばばねエレメントを有している。ばねエレメントは、結合エレメント7の外面へ圧力を作用させる。雌形のスナップファスナには、車載電気機器への接続ケーブルが接続されている。したがって、極めて簡単かつ快適に、導電性の構造体2と、外部の電圧源との間の電気的な接続を提供することができる。
【0058】
結合エレメント7は、択一的にはたとえば溝を有していてよい。溝内には、雌形のスナップファスナのリップが被嵌め時に係合する。結合エレメント7の直径が、その高さの少なくとも部分領域で、窓ガラス1に対する間隔が増すにつれて大きくなる場合、雌形のスナップファスナは有利には雄形のスナップファスナにたとえばリップまたはばねエレメントにより係合する。
【0059】
図2は、図1に示した接続エレメント3の横断面を斜視図で示している。接続エレメント3は、接触面8を備えたベースプレート6と、結合エレメント7とを有している。
【0060】
図3は、電気的な接続エレメント3を備えた窓ガラス1を製造するための本発明に係る方法を示している。図3では、電気的な接続エレメント3を有する窓ガラスを製造する本発明に係る方法の実施例が示されている。第1のステップとして、ろう材4を形状および体積にしたがって分割することが必要となる。分割されたろう材4は、電気的な接続エレメント3の接触面8上に配置される。ろう材4は、たとえば円形の小型プレートとして成形されており、該小型プレートは、図1に示した接続エレメント3の接触面に配置される。この場合、ベースプレート6の中心の穴は、カバーされる。電気的な接続エレメント3は、ろう材4と共に導電性の構造体2上に配置される。電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間の持続的な結合、ひいては窓ガラス1との持続的な結合がエネルギ導入下で行われる。
【0061】
実施例
試料は、窓ガラス1(厚さ3mm、幅150cmおよび高さ80cm)、加熱導体構造体の形態の導電性の構造体2、図1に示した電気的な接続エレメント3およびろう材4を備えて製造されている。接続エレメント3は銀メッキされている。ろう材4は、予め規定された層厚さ、体積および形状を有する円形の小型プレートとして、接続エレメント3の接触面8に被着される。接続エレメント3は、被着されたろう材4と一緒に導電性の構造体2に取り付けられる。接続エレメント3は、200℃の温度および2秒の処理時間で導電性の構造体2にろう付けされた。電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間の中間室からの、50μmの層厚さtを上回っているろう材4の流出は、b=0.5mmの最大の流出幅が観察された。電気的な接続エレメント3とろう材4の組成は、表1から判る。接続エレメント3および導電性の構造体2により規定されたろう材4の配置によって、重大な機械的な応力は窓ガラス1内で観察されなかった。窓ガラス1と電気的な接続エレメント3との結合は、導電性の構造体2を介して持続的に安定的である。
【0062】
全ての試料において、+80℃から-30℃の温度差において、ガラス基板1が破損および損傷を有していないことが確認された。ろう接の直後に、ろう接された接続エレメント3を有するこの窓ガラスは、突然の温度降下に対して安定的であることが示された。
【0063】
【表1】
【0064】
比較例
比較例は、実施例と同様に実施されている。実施例との差は、接続エレメント3のための別の材料の使用にある。接続エレメント3は100重量%までチタンから成っている。接続エレメント3は、したがって小さな熱伝導性と、小さな熱膨張係数とを有し、該接続エレメント3の熱膨張係数と窓ガラス1の熱膨張係数との間の比較的小さな差を有している。電気的な接続エレメント3およびろう材4の成分は、表2から判る。接続エレメント3は、導電性の構造体2に従来の方法でろう材4を用いてろう接されている。電気的な接続エレメント3と導電性の構造体2との間の中間室から、50μmの層厚さtを上回っているろう材4の流出時に、b=2mm〜3mmの平均的な流出幅が得られた。接続エレメント3のための材料の小さな熱伝導性は、比較例において、ろう接工程中の接続エレメントのあまり均質でない加熱をもたらした。
【0065】
+80℃〜-30℃の急激な温度変更において、ガラス基板1の大部分がろう接直後に損傷を有していることが観察された。
【0066】
【表2】
【0067】
上述の表1および表2の差および本発明に係る接続エレメント3の利点は、表3から明らかである。
【0068】
【表3】
【0069】
ガラス基板1および電気的な接続エレメント3を有する本発明に係る窓ガラスが、急激な温度差に対してより良好な安定性を有していることが判る。この結果は当業者にとって予想しなかったものであり、意想外であった。
【符号の説明】
【0070】
1 窓ガラス
2 導電性の構造体
3 電気的な接続エレメント
4 ろう材
5 湿潤層
6 電気的な接続エレメント3のベースエレメント
7 電気的な接続エレメント3の結合エレメント
8 導電性の構造体2との接続エレメント3の接触面
b ろう材の最大の流出幅
t ろう材の閾値厚さ
図1
図2
図3