(54)【発明の名称】車両の制御システム、当該制御システムのための入力装置およびその動作方法、ならびに、当該制御システムを備えたラジオモジュール、空調モジュールおよびナビゲーションモジュール
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較ユニットは、前記温度測定値および前記近接信号の所定の数学的比較関数に基づいて前記比較信号を生成するためのモジュールを有している、請求項1記載の入力装置。
前記比較ユニットは、前記温度測定値および前記近接信号に基づいて所定の比較値の組から選択される1つの値を含む前記比較信号を生成するモジュールを有している、請求項1記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の課題は、改善された静電容量式装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
静電容量式装置は、作動の種類に従って作動感度を調整することにより改善可能であると考えられる。作動の種類には、むき出しの指による作動や手袋で覆われた指による作動が含まれる。
【0005】
本願は、自動車両の制御システムのための入力装置を提供する。自動車両の例には、乗客および商品の輸送のために用いられる乗用車、バスおよびトラックが含まれる。
【0006】
入力装置は、作動検出電気回路に電気接続された1つ以上の静電容量式ボタンを備えている。入力装置は、さらに、近接センサおよび近接温度センサを備えている。近接センサおよび近接温度センサは、静電容量式ボタンの近くに位置しており、プロセッサに電気接続されている。プロセッサは、比較ユニットと調整ユニットとを備えている。
【0007】
特に、静電容量式ボタンは、ユーザからの作動を受け付けるためのものである。ユーザは多くの場合、タッチの形態で作動をもたらす。作動は、静電容量式ボタンの静電容量電荷値を変えるよう作用する。一方、作動検出電気回路は、閾値を有しており、その静電容量電荷値が閾値を超えたときにボタン作動信号を出力する。閾値は、コンピュータメモリに保存されたデータとして実施可能であり、または、ハードウェア部分の特性、たとえばツェナーダイオードの降伏電圧として実施可能である。
【0008】
一例として、ユーザが静電容量式ボタンをタッチすると、ユーザが、静電容量電荷を放電することにより、静電容量式ボタンの静電容量電荷を変える。閾値は、ユーザによるこの放電が閾値を超え、これにより、作動検出電気回路にボタン作動信号を出力させるように構成されている。
【0009】
近接センサは、物体が静電容量式ボタンの近くの領域に位置するときに、近接信号を生成する。多くの場合、物体とはユーザの手をいう。近接温度センサは、当該近くの領域の温度を測定し、多くの場合、測定のために赤外線技術を用いる。
【0010】
プロセッサに関して、比較ユニットが近接温度センサからの温度測定値を受信し、近接センサからの近接信号を受信するために用いられる。この後、比較ユニットは、受信した温度測定値および受信した近接信号から導出される比較信号を生成する。調整ユニットは、その後、比較ユニットから比較信号を受信し、その後、比較信号から調整値を得る。その後、調整ユニットは、作動検出電気回路の閾値を、導出された調整値に調整する。
【0011】
作動検出電気回路の閾値の動的な調整は、入力装置にとって有利である。実際、一定の閾値は、多くの場合、静電容量式ボタンを作動する異なる種類の物体に適していない。むき出しの指を用いたボタンの作動に適した閾値は、多くの場合、手袋で覆われた指を用いたボタン作動に適していない。同様に、手袋で覆われた指を用いたボタン作動に適した閾値は、多くの場合、むき出しの指を用いたボタン作動に適していない。これは、ボタン作動物体の異なる種類に対して適合可能な動的閾値を提供する本願とは異なっている。
【0012】
本願の一態様では、静電容量式ボタンは、近接センサ信号を供給する。換言すれば、静電容量式ボタンは近接センサの機能を有している。静電容量式ボタンの近くにある物体は、静電容量式ボタンの電界を変え、これは一方で静電容量式ボタンの静電容量を変える。この静電容量変化はその後、物体が近くに配置され、近接センサ信号を生成可能なことを検知するために用いることができる。
【0013】
比較ユニットを実施する種々の方法が可能である。
【0014】
一実施例では、比較ユニットは、比較信号を生成するモジュールを備えている。比較信号の生成は、温度測定値および近接信号の所定の数学的比較関数に基づいている。別の実施例では、比較ユニットは、比較信号を生成する別のモジュールを備えており、比較信号の値は、所定の比較値の組から選択される。選択は、温度測定値および近接信号に基づいている。
【0015】
比較ユニットは、近接信号がないときにゼロ信号を生成しうる。換言すれば、比較ユニットは、近接センサが静電容量式ボタンの近くに何らの物体も検出しないときには比較信号を生成しない。
【0016】
比較ユニットは、また、静電容量式ボタンの接近物体の温度測定値が環境温度未満であるときにゼロ信号を生成しうる。換言すれば、比較ユニットは、この物体が環境温度未満の温度を有しているときには、何らの信号も生成しない。
【0017】
この物体が環境温度未満の温度を有しているとき、物体はユーザの指ではないと推定される。多くの場合、静電容量式ボタンは、ユーザの指による作動のために設けられている。むき出しの指は通常、環境温度よりも高い温度を有しているが、手袋で覆われた指は、通常、環境温度とほぼ同じ温度を有している。
【0018】
比較ユニットと同様に、調整ユニットを実施する種々の方法が可能である。一実施例では、調整ユニットは、調整値を決定するためのモジュールを有している。決定は、比較信号の所定の数学的調整関数に基づいている。別の実施例では、調整ユニットは、比較信号に基づいて所定の比較値の組から調整値を選択するための異なるモジュールを有している。
【0019】
本願の一態様では、比較ユニットは、温度測定値が環境温度に対応する温度測定値を超えるときに、所定の低感度比較信号を生成する。所定の低感度閾値比較信号を受信すると、調整ユニットは、作動検出電気回路の閾値を所定の低感度閾値に変える。
【0020】
多くの場合、手は環境温度に対して温かいため、物体はむき出しの指を含むと推定される。作動検出電気回路の閾値はその後、むき出しの指によるボタン作動を検出するための低感度に設定される。
【0021】
比較ユニットは、温度測定値が環境温度に対応する温度測定値とほぼ同じであるとき、所定の高感度閾値比較信号を生成しうる。調整ユニットは、所定の高感度閾値比較信号を受信すると、作動検出電気回路の閾値を所定の高感度閾値に変える。
【0022】
この場合、物体は手袋で覆われた指を含むと推定される。作動検出電気回路の閾値は、手袋で覆われた指によるボタン作動を検出するために高感度に設定される。
【0023】
外部温度センサが環境温度に対応する温度測定値を供給しうる。近接温度センサはまた所定期間にわたって得られる温度測定値を用いてこの温度測定値を供給しうる。
【0024】
近接温度センサは、近接信号が生成されたときに、物体の表面温度を測定してもよい。換言すれば、近接温度センサは、物体が静電容量式ボタンの近くにあるときに、物体の温度を測定する。
【0025】
近接温度センサはまた環境温度を測定するために用いられてもよい。これは、物体が静電容量式ボタンの近くに位置しないときに行われる。この場合、近接温度センサの温度測定値は、環境温度に対応する、静電容量式ボタンの周囲の温度測定値を指す。
【0026】
本願は、車両の制御モジュールを提供する。制御モジュールは、上記の入力装置と制御ユニットとを有している。制御ユニットは、所定のシステム機能選択信号の組を有している。使用時、入力装置は、ユーザから作動を受け付け、その後、入力装置は制御ユニットに作動信号を出力する。制御ユニットは、所定のシステム機能選択信号の組から選択されるシステム機能選択信号を供給する。選択は、ボタン作動信号に従ってなされる。
【0027】
本願は、車両のラジオモジュールを提供する。ラジオモジュールは、上記の制御システムとチューナモジュールとを有している。制御システムは、ラジオ機能選択信号を提供するために用いられる。チューナモジュールは、ラジオ機能選択信号を受信し、ラジオ機能選択信号に従ってラジオ機能を提供する。
【0028】
本願は、車両の空調モジュールを提供する。空調モジュールは、上記の制御システムと空調ユニットとを有している。制御システムは、空調選択信号を供給するために用いられる。空調ユニットは、空調機能選択信号を受信し、空調機能選択信号に従って空調機能を提供する。
【0029】
本願は、車両のナビゲーションモジュールを提供する。ナビゲーションモジュールは、上記の制御システムとナビゲーションユニットとを有している。制御システムは、ナビゲーション機能選択信号を供給するために用いられる。ナビゲーションユニットは、ナビゲーション機能選択信号を受信し、ナビゲーション機能選択信号に従ってナビゲーション機能を提供する。
【0030】
本願は、車両の制御システムのための入力装置の動作方法を提供する。
【0031】
上記方法は、静電容量式ボタンの近くの領域に物体があるときに、近接信号を生成するステップを含む。近接信号が生成されたときに、物体の温度測定値が得られる。その後、当該領域の温度測定値が、環境温度に対して比較される。その後、物体の温度測定値と環境温度との比較に従って所定の閾値の組からボタン作動閾値を選択されうる。あるいは、ボタン作動閾値は実行時または使用中に計算されうる。選択は物体の温度測定値と環境温度との比較に従ってなされる。その後、ボタン作動閾値に従って静電容量式ボタンの作動検出電気回路の閾値が調整される。
【0032】
上記方法は、多くの場合、静電容量式ボタンの作動が静電容量式ボタンの静電容量電荷を変化させて、静電容量電荷の変化が作動検出電気回路の閾値を超えるときに、ボタン作動信号を生成するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の詳細な説明において、本願の実施形態を記載するために詳細が挙げられている。しかし、これらの実施形態がこれらの詳細無しで実施可能であることは当業者には自明であろう。
【0035】
図に示されている実施形態のいくつかの部分は、同様の部分を有する。同様の部分は、同じまたは同様の部分の番号を有している場合がある。ある同様の部分の記載が、同様に、他の同様の部分の参照により適用され、適当な場合、開示を限定すること無く、記載の繰り返しが省かれる。
【0036】
図1は、統合中央スタック(ICS)12を備える自動車10を示し、統合中央スタック(ICS)12はカーラジオを有している。ラジオは
図1に示されていない。ICS12は、外面を備えた面板14と、表示パネル16と、制御卓17とを有している。制御卓17は、入力装置ともいう。表示パネル16および制御卓17は、面板14の外面上に位置している。
【0037】
図2に示されるように、入力装置17は、複数の静電容量式ボタン19と、赤外線(IR)センサ21と、近接センサ23と、プロセッサ26と、集積メモリモジュール27とを備えている。静電容量式ボタン19は、静電容量式タッチボタンまたは静電容量式ボタンともいう。静電容量式ボタン19、IRセンサ21、近接センサ23および集積メモリモジュール27は、プロセッサ26に電気接続されている。
【0038】
静電容量式ボタン19、IRセンサ21および近接センサ23は、ICSの面板14の入力装置17の外面上に位置している。
【0039】
一般的な使用では、自動車10は、商用車、たとえばトラックまたはローリで置き換え可能である。
【0040】
使用時、ICS12は、自動車10の中央部に長手軸に沿って搭載されている。ICS12は、
図3に示すように、自動車10のドライバと助手席の乗客との間に位置している。自動車10は、乗客の輸送のために用いられる。
【0041】
ICS12は、自動車10のラジオのためのヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。ラジオは自動車10の乗客にラジオ局からのコンテンツを提供する。入力装置17は、ラジオの機能を選択するよう、ユーザから入力または作動を受け付ける。受け付けた入力は、その後、プロセッサ26に送られる。表示装置16は、ラジオの現在の状態を示す。実施においては、表示パネル16は、自動車10の他の構成部品、たとえば、暖房、換気、および空調(HVAC)コントローラおよびナビゲーション装置の状態を示してよい。
【0042】
IRセンサ21は視野角Aを有しており、これは、温度検知角ともいう。入力装置17の静電容量式ボタン19のいずれか1つの前または近くに位置する接近物体に対して視野角Aが方向付けられるように、IRセンサ21は位置している。IRセンサ21は、この接近物体の表面温度を測定する。表面温度測定値は、物体が静電容量式ボタン19にタッチする前に生成される。測定された温度の読み取りは、その後プロセッサ26に送られる。
【0043】
さらに、IRセンサ21は自動車10内部の環境温度を測定するためにも用いられる。IRセンサ21は、周囲温度のグラフ55を示す
図6が示すように、特定の期間にわたって特定の間隔で複数の温度測定値を取得する。これらの温度測定値は、その後、環境温度を決定するよう、平均化される。測定された環境温度の読み取りは後にプロセッサ26に送られる。
【0044】
一般的な意味において、IRセンサ21の代わりに、車の別の温度センサを同様に環境温度の決定に用いることができる。
【0045】
近接センサ23は、物体が入力装置17の静電容量式ボタン19のいずれか1つの近くに位置するときに近接検出信号を供給するように配置されている。近接検出信号は、物体が静電容量式ボタン19にタッチする前に生成される。要するに、近接検出信号は、物体が静電容量式ボタン19の1つの近くに位置するときに供給される。生成された近接検出信号は、プロセッサ26にその後送られる。
【0046】
静電容量式ボタン19はユーザからのタッチを受け付けるために用いられ、ユーザのタッチはボタンの作動を表すよう用いられる。実際、タッチによって各ボタン19の静電容量は変化する。この静電容量変化は、その後、ボタンの作動を識別するために、静電容量式ボタン19の検出チップセットまたは検出電気回路により用いられる。これらの検出電気回路は、検出閾値を有しており、検出閾値は、静電容量変化が検出閾値を超えるときに検出信号が生成されるように設定されている。
【0047】
検出閾値が低い場合、小さな静電容量変化だけが検出信号の生成に必要である。これは、検出回路が高い検出感度を有することを意味する。一方で、検出閾値が高い場合、大きな静電容量変化が検出信号の生成に必要である。換言すれば、検出回路は低い検出感度を有している。
【0048】
プロセッサ26は、IRセンサ21からの上述の物体表面温度測定値、および、近接センサ23からの物体近接検出信号を受信する。
【0049】
プロセッサ26は、受信した物体表面温度測定値および受信した物体近接温度検出信号に従って、静電容量式ボタン19の検出電気回路の検出閾値を調整する。これにより、ボタン19は、異なる作動手段に従ってボタン作動感度を適合させることができる。
【0050】
プロセッサ26がボタン検出閾値をより高く調整すれば、ボタン19はより低い検出感度を有する。換言すれば、より小さい静電容量変化がボタン19の作動に必要である。
【0051】
一方、プロセッサ26がボタン検出閾値をより低く調整すれば、ボタン19はより高い検出感度を有する。換言すれば、より小さい静電容量変化がボタン19の作動に必要である。寒い天候の中では、ユーザは多くの場合、手袋を着用し、手袋は、本来の性質から、多くの場合、より小さい静電容量変化を生じさせる。
【0052】
これらの低い閾値および高い閾値は、検出電気回路が飽和とならないように選択される。要するに、これらの閾値は、検出電気回路の動作範囲内に置かれる。
【0053】
使用において、スクリーンタッチスライダは、たとえば、線上に互いに隣り合って配置された複数の静電容量式ボタンを有する。スライダの静電容量式ボタン19の1つが作動されるとき、スライダの静電容量式ボタン19は使用不可とされる。動作上、このスクリーンタッチスライダは、機械的スライダとして働く。
【0054】
一般的な意味で、この実施形態は、閾値感度の3つ以上のレベルを含んでもよい。
【0055】
ボタン検出閾値のこの適合化によって、ボタン作動の検出は改善される。要するに、作動の種類に適切なまたは適した検出閾値を提供することができる。これは、異なる種類の作動に対して一定のボタン作動閾値を有するボタンを備えた他の入力装置と異なる。むき出しの指を用いたボタン作動に適したボタン検出閾値は、手袋で覆われた指を用いたボタン作動に多くの場合適していない。同様に、手袋で覆われた指を用いたボタン作動に適したボタン検出閾値は、むき出しの指を用いたボタン作動に多くの場合適していない。
【0056】
図4は、静電容量式ボタン19を動作する可能な方法のフローチャート30を示す。
【0057】
フローチャート30は、プロセッサ26が近接センサ23からの近接検出信号を確認またはポーリングするステップ32を含んでいる。近接検出信号の存在は、物体が静電容量式ボタン19の1つの近くに物体が位置していることを示している。
【0058】
プロセッサ26が近接検出信号を受信すると、プロセッサ26はフローチャート30のステップ34においてIRセンサ21からの測定値を取得する。この測定値は、接近物体の表面温度測定値を供給するよう働く。多くの場合、ユーザだけが、ボタン19を作動するためにボタン19の近くに手を置くため、プロセッサ26は物体がユーザの手であると推定する。プロセッサ26は、ユーザが手袋を着用しているか否かを示すために、表面温度測定値を用いる。
【0059】
プロセッサ26は、フローチャート30のステップ36で、受信した表面温度測定値および受信した近接検出信号に従って検出閾値を調整する。受信した表面温度測定値が環境温度よりも高い場合、プロセッサ26はユーザが手袋を着用していないと推定する。というのも、人の手は通常、環境温度よりも温かいからである。プロセッサ26はその後、ボタン19の静電容量感度を、高い検出閾値に設定する。換言すれば、これによって、ボタンは低い作動感度を有することができる。一方で、受信した表面温度測定値が環境温度とほぼ同じである場合、プロセッサ26はユーザが手袋を着用していると推定する。これは、多くの場合、手袋が環境温度と同じ表面温度を有するからである。プロセッサ26は、後に、ボタン19の静電容量感度を低い検出閾値に設定し、このとき、ボタンは高い作動感度を有する。
【0060】
ボタン19の検出閾値は、好ましくは、ボタン19がユーザによってタッチまたは作動される前に、設定または変えられる。
【0061】
このように、作動感度が作動の種類に従って適合されるので、静電容量式ボタン19の作動感度は改善される。
【0062】
図5は、作動検出電気回路に接続された静電容量式ボタン19の実施例を示す。
図5は、帯電したコンデンサ45と作動検出電気回路47とに接続された一対の端子40、42を示す。作動検出電気回路47は、作動検出閾値を有する。
【0063】
詳細には、端子40は電気接地に接続されており、端子42はコンデンサ45の一端と、作動検出電気回路47とに接続されている。コンデンサ45の他端は電気接地に接続されている。
【0064】
使用時、端子40、42は、ユーザからタッチの形態での作動を受け付け、作動は端子40を端子42に電気接続するよう働く。これは、また、端子40、42を介して電気接地に静電容量電荷を放電することにより、コンデンサ45の静電容量電荷を変化させるよう働く。
【0065】
作動検出電気回路47はコンデンサ45の静電容量電荷を監視するよう働く。作動検出電気回路47はまた、コンデンサ45の変化した静電容量電荷が作動検出閾値を超えるときに、作動信号を生成するよう働く。
【0066】
図7は、入力装置17の実施例のブロック
図60を示す。
【0067】
ブロック
図60は、近接センサ23、IRセンサ21および作動検出電気回路47に接続されたプロセッサ26を示し、作動検出電気回路47は静電容量式ボタン19に接続されている。プロセッサ26は比較ユニット60および調整ユニット61を備えている。調整ユニット61は比較ユニット60に接続されている。
【0068】
実施においては、作動検出電気回路47および近接センサ23は同様の集積回路(IC)または電気回路を有してよい。
【0069】
使用時、比較ユニット60は、IRセンサ21から温度測定値を受信し、近接センサ23から近接信号を受信する。比較ユニット60は、比較信号を調整ユニット61に対して生成する。比較信号は、温度測定値および近接信号から、数学的関数を用いて、または、所定の比較信号値のテーブルから選択して決定される。
【0070】
調整ユニット61は比較ユニット60から比較信号を受信する。調整ユニット61は、その後比較信号から閾値調整値を導出する。導出は、数学的関数を用いてまたは所定の閾値調整値のテーブルから選択して実現可能である。この後、調整ユニット61は作動検出電気回路47の閾値を、導出された閾値調整値に変える。
【0071】
実際、近接センサ23は、接近物体の存在または近さを検知するため、ボタン19の静電容量電荷の変化を用いることができる。このような実施の実施例が次の図に示されている。
【0072】
図8は、入力装置17の別の実施のブロック
図160を示す。このブロック
図160は
図7のブロック
図60から適合される。すなわち、ブロック
図60および160は、同様の部分を有している。
【0073】
ブロック
図160では、ブロック
図60の静電容量式ボタン19が一体型静電容量式ボタン119に置き換えられている。これらの一体型静電容量式ボタン119は、静電容量式ボタン19の機能を実行し、近接センサ23の機能を実行する。すなわち、近接センサ23はブロック
図160から除かれている。
【0074】
一体型静電容量式ボタン119の各部の形状はこの用途に従って適合されている。
【0075】
使用時、一体型静電容量式ボタン119は、ボタン119の静電容量電荷の変化を用いて、接近物体の存在または近さを検出するための近接検出信号を生成する。
【0076】
特別な実施形態では、IRセンサ21は、自動車10の室内温度を測定するためにも用いられ、室内温度は暖房、換気、および空調(HVAC)コントローラに送られる。HVACコントローラは受信した室内温度に従って室内の環境温度を調整する。温度調整は、自動車10の空調装置の送風機速度、排気温度および/または空気分配を調整することにより実現される。
【0077】
これらの実施形態は、項目にまとめられた特徴また要素の以下のリストで記載することができる。項目リストに記載されている特徴の各組み合わせは、本願の他の特徴とも組み合わせ可能な、それぞれ独立な発明とみなすことができる。
【0078】
1. 車両の制御システムのための入力装置であって、
該入力装置は、少なくとも1つの静電容量式ボタンと、作動検出電気回路と、近接センサと、近接温度センサと、プロセッサと、を備えており、
前記少なくとも1つの静電容量式ボタンは、ユーザから作動を受け付けるために設けられており、当該作動によって前記少なくとも1つの静電容量式ボタンの静電容量値が変わり、
前記作動検出電気回路は閾値を有しており、前記作動検出電気回路は、前記静電容量値が前記閾値を超えたときにボタン作動信号を出力し、
前記近接センサは、物体が前記静電容量式ボタンの近くの領域にあるときに近接信号を生成し、
前記近接温度センサは、前記静電容量式ボタンの近くの領域の温度測定値を供給し、
前記プロセッサは、比較ユニットと、調整ユニットとを有しており、
前記比較ユニットは前記温度測定値および前記近接信号を受信し、前記比較ユニットは、前記温度測定値および前記近接信号から導出される比較信号を生成し、
前記調整ユニットは、前記閾値を、前記比較信号から導出される調整値に調整する、
ことを特徴とする入力装置。
【0079】
2. 前記静電容量式ボタンは、前記近接センサ信号を供給する、項目1記載の入力装置。
【0080】
3. 前記比較ユニットは、前記温度測定値および前記近接信号の所定の数学的比較関数に基づいて前記比較信号を生成するためのモジュールを有している、項目1記載の入力装置。
【0081】
4. 前記比較ユニットは、前記温度測定値および前記近接信号に基づいて所定の比較値の組から選択される1つの値を含む前記比較信号を生成するモジュールを有している、項目1記載の入力装置。
【0082】
5. 前記調整ユニットは、前記比較信号の所定の数学的調整関数に基づいて前記調整値を決定するモジュールを有している、項目1記載の入力装置。
【0083】
6. 前記調整ユニットは、前記比較信号に基づいて所定の比較値の組から前記調整値を選択するモジュールを有している、項目1記載の入力装置。
【0084】
7. 前記比較ユニットは、前記温度測定値が環境温度に対応する温度測定値を超えるときに、所定の低感度閾値比較信号を生成する、項目1記載の入力装置。
【0085】
8. 前記比較ユニットは、前記温度測定値が環境温度に対応する温度測定値とほぼ同じであるときに、所定の高感度閾値比較信号を生成する、項目1記載の入力装置。
【0086】
9. 前記環境温度に対応する温度測定値は、温度センサによって供給される、項目7または8記載の入力装置。
【0087】
10. 前記環境温度に対応する温度測定値は、所定期間にわたる前記近接温度センサからの前記温度測定値から導出される、項目7または8記載の入力装置。
【0088】
11. 車両の制御モジュールであって、
ユーザから作動を受け付け、ボタン作動信号を出力する、項目1記載の入力装置と、
所定のシステム機能選択信号の組を有する制御ユニットと、を備えており、
前記制御ユニットは、前記入力装置からの前記ボタン作動信号を受信し、かつ、前記所定のシステム機能選択信号の組から選択される1つのシステム機能選択信号を供給するよう設けられており、当該選択は、前記ボタン作動信号に従ってなされる、
制御モジュール。
【0089】
12. 車両のラジオモジュールであって、
ラジオ機能選択信号を供給する、項目11記載の制御システムと、
前記ラジオ機能選択信号を受信し、前記ラジオ機能選択信号に従ってラジオ機能を提供するチューナモジュールと、
を備えている、ラジオモジュール。
【0090】
13. 車両の空調モジュールであって、
空調選択信号を供給する、項目11記載の制御システムと、
前記空調信号を受信し、前記空調機能選択信号に従って空調機能を提供する空調ユニットと、
を備えている、空調モジュール。
【0091】
14. 車両のナビゲーションモジュールであって、
ナビゲーション機能選択信号を供給する、項目11記載の制御システムと、
前記ナビゲーション機能選択信号を受信し、前記ナビゲーション機能選択信号に従ってナビゲーション機能を提供するナビゲーションユニットと、
を備えている、ナビゲーションモジュール。
【0092】
15. 車両の制御システムのための入力装置の動作方法であって、
静電容量式ボタンの近くの領域に物体があるときに、近接信号を生成するステップと、
前記近接信号が生成されたときに、前記物体の温度測定値を得るステップと、
環境温度に対して前記物体の前記温度測定値を比較するステップと、
前記物体の前記温度測定値と前記環境温度との比較に従って所定の閾値の組からボタン作動閾値を選択するステップと、
前記ボタン作動閾値に従って前記静電容量式ボタンの作動検出電気回路の閾値を調整するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【0093】
上記記載は多くの特定を含むが、これは実施形態の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、単に予見可能な実施形態の例を提供するに過ぎない。実施形態の上述の利点は、実施形態の範囲を特に限定するものと見なされるべきではなく、記載の実施形態が実施された場合に起こりうる効果を説明したに過ぎない。すなわち、実施形態の範囲は特許請求の範囲およびその均等物によって定められ、記載の実施例によって定められない。