(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2の提案によれば、1つの表示画面に複数の設定画像を表示させることで操作性を向上できるが、画像の選択が階層的になされることを前提にすると、未だ操作性に改善の余地が残されている。例えば、特許文献1,2であっても、現時点では表示されていないが、先行して表示されていた前表示画像を再度表示させる場合には、階層順に選択する必要があることには変わりはない。
そこで本発明は、以前に表示されていた前表示画像を再度表示させる場合の作業者の負担を軽減できる射出成形機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の射出成形機の制御装置は、射出成形機の成形条件に関する情報を含む単数又は複数の表示画像を表示する表示部と、表示部への表示画像の表示を制御する制御部と
、表示画像を表示部に表示させた経時的順番と関連づけて表示履歴として記憶する記憶部と、を備える。この制御部は
、第1方向へのスクロールの指示を受けると
、記憶部に記憶した表示画像の表示における経時的順番の前後関係を維持したままで
、表示画像を表示部にスクロール表示させることを特徴とする。
上記した制御部は、表示部を第1表示領域と第2表示領域に区分し、第1表示領域に第1表示画像を表示させ、かつ、第2表示領域に第2表示画像を表示させることが可能である。そして、制御部は、第1表示領域に表示された第1表示画像又は第2表示領域に示された第2表示画像の少なくとも一方の表示画像を、記憶部に記憶した表示画像の表示における経時的順番の前後関係を維持したままで、表示部にスクロール表示させることができる。
本発明の制御装置によると、隣接して表示されている互いに独立して管理された個別選択により任意の組み合わせで表示可能な2つの表示画像が、あたかも連結したままでスクロールさせることができる。したがって、作業者は、現時点では表示されていない表示画像(前表示画像)を再度表示させたい場合には、スクロールの指示を行なうだけで前表示画像を表示させることができる。よって本発明によると、作業者の記憶に頼って前表示画像の名称を思い出す、あるいは、メニュー画面から前表示画像を改めて選択するという手間を省けるので、作業者の負担を軽減できる。また連結する2つ表示画像を、互いに独立して管理された任意の表示画像から個別に選択した、作業者が今まさに表示させたい2つの表示画像の組み合わせとできるので、作業者が記憶に頼らずに表示画像を探すことができるとともに、最適なタイミングで所望の表示画像を表示できる。この結果、迅速にかつストレスの無い運転条件設定が効率よく実現できるので、作業者の勘違いなどによる誤操作や所望の表示画面を表示させるまでの無駄時間削減が可能である。
【0006】
本発明の制御装置は、表示部を第1表示領域と第2表示領域に区分し
て複数の表示画像を表示させる標準表示モードと、表示部の全表示領域に単数の表示画像を表示させる拡張表示モードと、を備えることができる。そして本発明の制御装置は、標準表示モードにより表示されている、第1表示画像、及び、第2表示画像の一方が選択されると、選択された第1表示画像、及び、第2表示画像のいずれか一方を拡張表示モードにて表示させることができる。
標準表示モードにおける第1表示領域又は第2表示領域の範囲には収まりきれない表示画像がある場合には、標準表示モードでは表示することができない部分を拡張表示モードによって表示させることができると、作業者をスクロールなどの操作から開放することができる。また表示量の少ない画面をスクロールしながらではなく、トレンドリストなどの継続的な多くの運転データ値や全体バランスが重要な運転条件値などを一目で把握できるので、全体的バラツキ、バランスを評価しやすい。
本発明において、選択されなかった第1表示画像、及び、第2表示画像の一方は、表示が中断されるが、その表示履歴は記憶部に保持されることが好ましい。後に表示させたい場合があるからである。
また、本発明において、表示を中断するとは、表示自体は行なわないが、表示画像を表示履歴として残しておき、要求がなされれば即座に表示できる状態にあることを言うものとする。これに対して、表示の中止とは、表示自体を行なわないとともに、表示画像を表示履歴から消去することを意味する。
【0007】
本発明の制御装置は、表示履歴の旧い第1表示画像、及び、表示履歴の新しい第2表示画像が表示されている際に、新たな第3表示画像を表示させる要求がなされると、第3表示画像を第2表示画像に隣接させて表示させるとともに、第1表示画像の表示を中断することができる。このとき第3表示画像の表示は、例えば第2表示画像の下側から第2表示画像を押し上げてスクロールさせながら、第3表示画像が表示部の下端から徐々にスライドインして現れるとともに、第1表示画像を表示部の上端から押し出すように第1表示画像の情報から徐々にスライドアウトして見えなくすることが好ましい。これにより上方の画像が表示履歴として旧いか新しいかのイメージが掴みやすい。具体的には、この場合、下方に表示されている画像が上方に表示されている画像よりも後に選択された画像であることのイメージを持つことができるので、表示履歴がより旧い画像を表示させたいときには、ダウンスクロールすればよいことが容易に認識しやすく所望の画面を表示させることの作業性が向上する。また、新たな第3表示画像が表示部の上端から現れて、第2表示画像を下方に押し下げるとともに、第1表示画像は表示部の下端から消えていくようにスクロールさせて、表示履歴がより旧い画像を表示させたいときには、アップスクロールするようにしてもよい。
新たに選択された第3表示画像を、例えばそれよりも上位の階層に位置する第2表示画像に隣接して表示させるとともに、表示履歴として旧い第1表示画像の表示を中断すれば、作業者が格別の操作をすることなく、迅速に条件の設定作業を行うことができるので、作業者の負担軽減になる。
本発明の制御装置における各表示画像は、拡張表示モードを有することができる。この場合、表示履歴の旧い表示画像が拡張表示モードで表示されている際に、新たな表示画像を表示させる要求がなされると、新たな表示画像を拡張表示モードにより表示させるとともに、表示履歴の旧い表示画像の表示を中断することができる。
また
、表示画像が拡張表示モードで表示されている際に、新たな表示画像を表示させる要求がなされると、
(1)第3表示画像を表示させる要求の直前に拡張表示モードで表示されていた表示画像
の表示を中断するとともに、第3表示画像を拡張表示モードにより表示させる、或いは、(2)第3表示画像を表示させる要求の直前に拡張表示モードで表示されていた表示画像を標準モードで表示させるとともに、第3表示画像を標準表示モードにより、第3表示画像を表示させる要求の直前に拡張表示モードで表示されていた表示画像に隣接させて表示させることもできる。
また、表示履歴の旧い表示画像が標準表示モードで表示されている際に、後述するようなデフォルトの表示モードが拡張表示モードである新たな表示画像を表示させる要求がなされると、標準表示モードで表示されている表示履歴の旧い表示画像を上方あるいは下方にスライドアウトさせて、新たな表示画像を拡張表示モードにより表示してもよい。
【0008】
本発明の制御装置は、第1表示画像、及び、第2表示画像が隣接して表示されている際に、選択された第1表示画像、及び、第2表示画像の少なくとも一方を、スクロールが行なわれないロック状態にすることができる。
本発明の制御装置は、第1表示画像と第2表示画像は同期してスクロールされることを原則とするが、ロックという例外を設けることかができる。スクロールのロック機能を備えることで、常に参照したい情報をロックし、当該情報を直に参照しながら他の表示履歴上の表示画像をスクロールさせることができる。例えば第1表示画像と第2表示画像と第3表示画像が、この順番で表示履歴上に並んでいるとした場合に、第2表示画像をロック状態にして、第1表示画像をスクロールすると、第1表示画像が表示されていた領域に第3表示画像を表示させることができる。これにより例えば、型締め工程と射出工程と可塑化工程のそれぞれの設定画像が表示履歴上に連結して並んでいた場合に、型締め工程の設定画像をロックさせると、射出工程と可塑化工程の2つの工程の設定画像を交互にスクロールにより入れ替えることができる。そうすると、作業者は、型締め工程の設定条件を見ながら、射出工程と可塑化工程のそれぞれの工程の設定条件を入力して、設定することができるので、作業者の設定作業の負担を軽減することができる。
【0009】
本発明の制御装置は、表示はされていないが表示履歴に残されている表示画像を特定する情報を、表示部に表示することが好ましい。
作業者の記憶があいまいになったとしても、スクロールするだけで表示させることができる表示画像をスクロールする前に確実に特定できるので、使い勝手がよい。
【0010】
本発明の制御装置は、表示部に第1表示画像、及び、第2表示画像が隣接して表示されている際に、選択された第1表示画像、及び、第2表示画像の一方又は双方の表示を中止することができる。
表示の中止、つまり表示履歴を消去すれば必要な表示画像のみを表示させることができるので、作業者は不必要な画像が表示されることでストレスを感じることがなく、操作性の高い射出成形機が提供される。
【0011】
本発明の制御装置は、第1表示画像が第1表示領域に表示され、かつ、第2表示画像が第2表示領域に表示されている際に、指示に基づいて、第1表示画像を第2表示領域に、第2表示画像を第1表示領域に、表示位置を入れ替えることができる。
作業者の意思に沿った配列を簡単な操作で実現できるので、作業者のストレスを排除できる。
【0012】
本発明の制御装置は、第1表示領域に第1表示画像が表示され、第2表示領域に第2表示画像が表示されている際に、第1表示領域、及び、第2表示領域の一方又は双方は、第1方向と直交する第2方向へのスクロールを許可することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者は、現時点では表示されていない表示画像(前表示画像)を再度表示させたい場合には、スクロールの指示を行なうだけで前表示画像を表示させることができる。よって本発明によると、作業者の記憶に頼って前表示画像の名称を思い出す、あるいは、メニュー画面から前表示画像を改めて選択するという手間を省けるので、作業者の負担を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本実施の形態における射出成形機1は、成形機本体10と、成形機本体10の動作を制御する制御装置20とを備えている。射出成形機1は、制御装置20が備える表示部29の表示の仕方に特徴を有している。なお、本実施形態は油圧アクチュエータ(油圧機構)により駆動される射出成形機1を用いて説明するが、油圧アクチュエータに代えてサーボモータ、インバータモータ、IPM(Interior Permanent Magnet)モータなどの電動モータによる電動アクチュエータを適用した射出成形機1としても支障ない。
成形機本体10は、型締ユニット11と、可塑化ユニット15と、を備える。
型締ユニット11は、図示を省略する固定金型が取り付けられた固定ダイプレート12と、図示を省略する可動金型が取り付けられた可動ダイプレート13とを備えている。型締ユニット11は、可動ダイプレート13を固定ダイプレート12に向けて移動させる油圧機構を備えており、射出成形に先立って、可動ダイプレート13を移動させて可動金型を固定金型に当接させる。そしてさらに、油圧機構の作動油の圧力を高めて、可動金型と固定金型を締め付けて、型締めを行った後に、可動金型と固定金型の間に形成されるキャビティに、可塑化ユニット15から溶融樹脂を射出して成形品を得る。
【0016】
可塑化ユニット15は、型締ユニット11の側である前方側に吐出ノズルが形成された加熱シリンダ16と、加熱シリンダ16の内部に設けられた図示を省略するスクリュとを備えている。可塑化ユニット15は、スクリュを前進又は後退させる駆動源と、スクリュを正転又は逆転させる駆動源と、樹脂原料を加熱シリンダ16の内部に供給するための原料ホッパなどの図示を省略する構成も備えている。
可塑化ユニット15では、スクリュが回転されると、原料ホッパから供給された例えばペレット状の熱可塑性樹脂が、加熱シリンダ16の前方側へ搬送される。この搬送過程において、この樹脂ペレットは徐々に加熱、溶融して、スクリュの前方に貯留される。貯留により発生する樹脂の圧力を受けてスクリュは原料ホッパ側に後退しながら所定量の溶融樹脂をスクリュの前方に計量する。その後、吐出ノズルから、計量された溶融樹脂が型締ユニット11の固定金型と可動金型の間に形成されるキャビティへ所定量だけ射出される。
【0017】
以上の要素を備える射出成形機1を用いて成形品を得るために、以下の各工程が順に実行される。すなわち、可動金型と固定金型を閉じて高圧で型締めする型締工程と、樹脂ペレットを加熱シリンダ16の内部で加熱、溶融して可塑化させる可塑化工程と、可塑化された溶融樹脂を、可動金型と固定金型の間に形成されるキャビティに射出、充填する射出工程と、キャビティに充填された溶融樹脂が固化するまで冷却する冷却工程と、金型を開放する型開き工程と、キャビティ内で冷却固化された成形品を取り出す取り出し工程と、を経て成形品が得られる。
【0018】
成形機本体10は、型締ユニット11及び可塑化ユニット15に各種のセンサを備えており、以上の各工程を実行している間にセンサで得られたセンシング情報SRは、制御装置20に送信される。センシング情報SRとしては、例えば、型締め圧力、射出圧力などがある。
【0019】
制御装置20は、成形機本体10から送られるセンシング情報SRを用い、あるいは、制御装置20が予め備える情報を用いて、成形機本体10が型締工程、可塑化工程、射出工程…の各工程に必要な動作を行うように、動作指令情報OCを生成するとともに、成形機本体10の各駆動部に向けて動作指令情報OCを送信する。成形機本体10の各駆動部は、受信した動作指令情報OCに基づいて射出成形を行うのに必要な動作を実行する。
制御装置20は、処理部20aと記憶部20b(制御部)を備えており、処理部20aは作業者からの指示、選択にしたがって、記憶部20bに記憶されている種々の情報を読み出して表示部29に表示させる。
【0020】
動作指令情報OCは、射出成形機1を操作する作業者が制御装置20に入力する種々の設定値、動作の選択、表示画像の選択などの情報に基づいて、制御装置20にて生成される。なお、ここでいう「入力」は、メニューから特定の情報を選択する行為を含んでいる。
制御装置20は、マン・マシン・インターフェース21を備えており、作業員はマン・マシン・インターフェース21を介して制御装置20に種々の情報を入力する。マン・マシン・インターフェース21は、各種スイッチボタン23と、ソフトキーおよびハードキー入力部25と、タッチパネル27とを備える。
【0021】
スイッチボタン23は、制御装置20の電源のオン・オフを行うスイッチ、成形機本体10の電源のオン・オフを行うスイッチ、装置の移動および移動方向の選択を行うなどの可倒式スイッチ、スイッチのオン・オフによりランプが点灯あるいは点滅あるいは消灯するスイッチなど各種のスイッチがある。
またスイッチボタン23は、成形機本体10の各種動作に対応して設けることもできる。例えば、型締め工程に対応するスイッチボタン23、射出工程に対応するスイッチボタン23などを設けることができる。この場合のスイッチボタン23はメニューボタンを含む構成としてもよい。
【0022】
キー入力部25は、前述した各工程の選択、選択された工程を実行する上で必要な設定値の入力、あるいは、表示部29に表示させる情報の選択を行う。アルファベットに対応するキー、0〜9の数値に対応するテンキーを含む、コンピュータ装置に付随するキーボードをキー入力部25として用いることができるし、タッチパネル上に展開したキーボードをキー入力部25として用いることもできる。キー入力部25から入力された情報は、制御装置20に送られる。
【0023】
タッチパネル27は、タッチ情報検知部28(以下、検知部28という)と表示部29を備えており、表示部29の表面を押す(タッチする)と、検知部28がタッチされた領域の位置を特定するとともに、タッチされた領域に対応する操作ができるようにされた、表示装置と入力の機能を併せ持つ機器である。
【0024】
表示部29は、
図2に示すように、縦長の全表示領域30を備えており、全表示領域30に一つのまとまった情報(単一の表示画像)を表示させることができる。また、表示部29は、異なる2つの表示画像を、各々、全表示領域30を縦方向に2等分にした第1表示領域31と第2表示領域32に表示させることができる。このように、表示部29は、第1表示領域31と第2表示領域32の各々に異なる単一の表示画像を表示させる標準表示モードと、全表示領域30を用いて単一の表示画像を表示させる拡張表示モードと、を備えている。表示部29は、標準表示モードと拡張表示モードを選択的に切り替えて表示画像を表示させることができる。
図2は標準表示モードの例を示しているが、本実施形態の制御装置20は、標準表示モードがデフォルトとして設定されている。ただし、全ての表示画像のデフォルトを標準表示モードとせず、各表示画像毎のデフォルト表示を標準表示モードまたは拡張表示モードに選択設定してもよい。例えば型締め工程、射出工程、可塑化工程などの設定画面のデフォルトを標準表示モードとし、トレンドリストなどのデータ表示画面のデフォルトを拡張表示モードとしてもよい。
表示部29は、表示画像を選択するための
図12、
図13に示すようなメニューボタンを表示させることができる。例えば、射出工程の設定画像を選択するためのボタン、型締め工程の設定画像を選択するためのボタンなどを表示させ、作業者が選択できるようにする。メニューボタンは例えば、
図12に示すような、カテゴリー名による第1選択ボタンリストL1の中から任意のボタン(Temp)をタッチして選択すると、カテゴリー毎の各表示画像を選択できる第2選択ボタンリストL2を表示する2段階式のメニューボタンでもよい。この場合、
図12のように第1選択ボタンリストL1の上方に第2選択ボタンリストL2を表示してもよいし、第2選択ボタンリストL2を第1選択ボタンリストL1と同じ位置に上書き表示してもよい。また、
図13に示すような、全カテゴリーC1と各カテゴリー毎の表示画像C2を一覧できるメニューボタンとしてもよい。メニューボタンの階層は2階層に限らず3階層以上であってもよい。
また、
図13の最下層に示すような、作業者毎のメニューボタンにカスタマイズとしてもよい(C3参照)。この場合、予め作業者毎にIDを与え、このID毎に制御装置に記憶領域を割り付けて、作業者が好んで使う操作画面群の表示選択ボタンをまとめたメニューボタンを作業者のID毎にそれぞれ記憶し、呼び出し表示できるようにすることが好ましい。一般に成形条件を作成する作業者には独自の成形条件選定ノウハウがあり、各作業者毎に好んで使用する操作画面が異なる。よって、各作業者毎にメニューボタンをカスタマイズすることによって、選択画面のメニュー表示項目を少数に絞り込むことで作業者の表示画面のボタン位置認識およびボタン選択作業時間を短縮し作業効率を向上させるのに有効である。また各作業者毎にメニューボタンをカスタマイズする処理を自動で行ってもよい。具体的には、各作業者それぞれが頻繁に使用する設定画面を制御装置20が学習して、各ID毎にメニューボタンを自動で選定し、メニューボタンをカスタマイズして記憶部20bに記憶させてもよい。またカスタマイズしたメニューボタンは、各ID毎に固有ではなく、所定の複数のIDにおいて共有するようにしてもよい。この場合、更に共有のパスワードを設けてもよいし、各ID毎のパスワードをグループとして管理しメニューボタンの共用を可能としてもよい。また記憶部20bに記憶したカスタマイズしたメニューボタンを呼び出し、追加または削除などの編集を可能とすることが好ましい。この場合、編集が可能な作業者は、該メニューボタンを共有可能なIDをもつ作業者全員としても、予め編集可能者として登録されているIDの所有者のみに限定してもよいが、セキュリティー上においては予め編集可能者として登録されているIDの所有者のみに限定しておくことが好ましい。
また金型あるいは対象成形品毎にその操作画面の表示選択ボタンをまとめたメニューボタンをそれぞれ記憶し、呼び出し表示できるようにすることが好ましい。一般に各金型または成形品毎に良品成形に影響する度合いの大きい成形機の運転パラメータが異なる。よって、各金型または成形品毎に影響の大きいパラメータを備えた設定画面にメニューボタンをカスタマイズして、選択画面のメニュー表示項目を少数に絞り込むことによって、作業者の表示画面の選択時間を短縮し作業効率を向上させるのに有効である。
更に、同じIDでも複数のメニューボタンを記憶できるようにすることが好ましい。この場合、所定の金型または成形品の成形条件を制御装置20に読み込ませた後、作業者のIDを制御装置20が認識すると、制御装置20が作業者のIDと金型または成形品の管理番号と照合して、該作業者が該金型または該成形品に対して主に使用する操作画面のメニューリストを記憶部20bから読み出して表示部29に表示できるように準備する。もちろん、制御装置20による作業者のIDの認識後に所定の金型または成形品の成形条件を制御装置20に読み込ませた場合も同様である。これによると成形品が異なると作業者毎に作業効率のよい好ましい操作画面も異なる場合などにおいて、各作業者が独自に成形条件を選定しやすく、それぞれの対象成形品毎の好ましいと思っている操作画面のメニューボタンをいつでも記憶部20bから呼び出すことができて作業性が向上できる。
また記憶部20bに既に登録した操作画面のID毎または金型あるいは製品の管理番号毎のメニューボタンを読み出し後に編集し、編集後のメニューボタンを記憶部20bに更新記憶できるようにすることが好ましい。この場合、作業者がより使いやすいように改善したときは、常に最新の操作画面のメニューボタンを呼び出せるので作業性向上に有効である。
またカスタマイズしたメニューボタンの記憶部20bは、射出成形機1の制御装置20に設けてもよいし、複数の射出成形機を集中管理する図示しない集中管理装置に設けても良い。記憶部20bを集中管理装置に設ける場合は、作業者は集中管理装置により管理されているどの射出成形機を用いた場合でも、自己のカスタマイズしたメニューボタンを使用できるので、一々射出成形機毎にメニューボタンをカスタマイズし記憶部に記憶させる処理を行う必要が無く、作業効率が向上する。
またカスタマイズしたメニューボタンの記憶部20bは、射出成形機1の制御装置20に設けた場合においても、複数の射出成形機の制御装置同士が通信により連携して互いの記憶装置からカスタマイズしたメニューボタンを呼び出して共有してもよい。具体的には作業者のIDを認識した射出成形機の制御装置(仮に制御装置Aとする)が、この作業者がカスタマイズしたメニューボタンを記憶している他の射出成形機の制御装置(仮に制御装置Bとする)を検索して探し出す。制御装置Aが制御装置Bから、この作業者のIDに関連したメニューボタンを通信により受け取って、制御装置Aの表示装置にメニューボタンを表示してもよい。
【0025】
表示部29は、自身に表示させるメニューボタン、キー入力部25等からの入力(選択)に応じた画像を表示させる。この表示画像に関する情報は、制御装置20の記憶部20b(以下、データ記憶部20bということがある)に保持されており、作業者の選択に応じてデータ記憶部20bから読み出され、表示部29に表示される。例えば、
図2は、第1表示領域31に射出工程の設定画像が表示され、第2表示領域32に可塑化工程の設定画像が表示されている。選択された設定画像は、選択および表示履歴を消去する指示がない限り、記憶部20bに表示履歴として記憶される。設定画像に限らず、後述するトレンドデータなどの記憶部20bから読み出された情報は、記憶部20bに表示履歴として記憶される。
【0026】
表示される表示画像が2つあるものとすると、表示部29は、表示させることが先に要求された表示画像を第1表示領域31に、表示させることが後に要求された表示画像を第2表示領域32に表示する。つまり、本実施形態においては、表示履歴の旧い表示画像が上側に位置する第1表示領域31に表示され、表示履歴の新しい表示画像が下側に位置する第2表示領域32に表示されるものとする。ただし、これとは上下を逆に表示させることもできる。例えば、仮に射出工程の設定画像しか読み出されていない段階では、第1表示領域31は空白の画面となるものとする。また、デフォルト画像を予め設定しておき、電源投入後の初期画面として、表示部29の第1表示領域31および第2表示領域32に自動でデフォルト画像を表示させてもよい。ここで簡単のために初期画面として第1表示領域31は空白の画面である場合で説明するが、例えば、可塑化工程の設定画像が読み出されると、空白であった第1表示領域31に射出工程の設定画像が表示され、第2表示領域32には可塑化工程の設定画像が表示される。あるいは、射出工程の設定画像しか読み出されていない段階で射出工程の設定画像を第1表示領域31に表示し、第2表示領域32を空白の画面としてもよい。この場合、例えば、可塑化工程の設定画像が読み出されると、第1表示領域31に射出工程の設定画像が表示されたままで、空白であった第2表示領域32には可塑化工程の設定画像が表示される。
【0027】
射出工程の設定画像は、階層化されており、
図2の第1表示領域31に示される設定画像は最上位に該当し、
図2には示されていない、下位に位置する設定画像が存在している。この下位に位置する設定画像も、メニューボタンからの入力、選択に応じてデータ記憶部20bから読み出され、表示部29に表示される。この下位に位置する設定画像は第2表示領域32に表示させてもよいが、特に最上位の表示画像に対して下位に位置する表示画像が読み出されたときの、表示部29への別の表示の仕方については、後述する。ここでは、射出工程の設定画像について階層化されていることを説明したが、型締工程、可塑化工程、その他の工程の中に、設定画像が階層化されているものもある。階層化の数は任意であり、各工程に対応して2以上の任意の階層を構成することができる。下位の階層を有しない工程もあり得る。
【0028】
本実施形態の表示部29は、第1表示領域31と第2表示領域32の各々に異なる表示画像を表示させる標準表示モードを備えているが、第1表示領域31に表示される画像情報(以下、第1表示画像P1ということがある)と第2表示領域32に表示される画像情報(以下、第2表示画像P2ということがある)を、相対的な位置関係を維持したままで同期してスクロールさせることができる。以下、
図2及び
図3を参照して、本実施形態の特徴である同期スクロールを説明する。なお、本実施形態でいうスクロールとは、記憶部20bに記憶した複数の画像情報の表示履歴をその順に表示装置に切り換えて表示させることを意味する。そして、その表示方法は作業者の操作によるスクロール指示により、表示装置に表示されている画像を一方向(典型的には、垂直または水平)にスライドさせる、つまり連続的に移動するように表示するという公知の手法を含む。また、画像をスライドさせる動的表示を行わずに、表示している画像を表示領域、例えば第1表示領域から一旦は消去してから隣接する第2表示領域に表示するという静的な切換表示の公知の手法をも含む。
【0029】
[同期スクロール機能(
図2,
図3)]
図2に示すように標準表示モードで第1表示画像P1(例として、射出工程の設定画像)及び第2表示画像P2(例として、可塑化工程の設定画像)が表示されているものとする。なお、第1表示領域31には第1表示画像P1の全体が表示され、第2表示領域32には第2表示画像P2の全体が表示されている。なお、本実施形態においては第1表示領域31を表示部29の上方に、第2表示領域32を表示部29の下方に配置した例にて説明を進めるが、第1表示領域31を表示部29の下方に、第2表示領域32を表示部29の上方に配置してもよい。
例えば、キー入力部25に、表示されている画像をスクロールさせる指示が入力されると、
図3(a)または
図3(b)に示すように、第1表示画像P1と第2表示画像P2は、両者の相対的な位置関係を維持したままで同期してスクロールされる。スクロールは、スクロールの指示にしたがって、
図3(a)に示すように、縦長の表示部29の縦方向Yの上向きに行なうこともできるし、
図3(b)に示すように、縦方向Yの下向きに行なうこともできる。また、スクロール速度は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータなどに用いられる公知のスクロール速度で支障ない。またスクロール速度を作業者の好みに合わせて速度値を設定できるようにしてもよい。またスクロールが表示画像をスライドするように動的に表示する場合は、スクロール操作を画面が切り替わる途中で止めるなどの作業者のスクロール停止指示により任意の位置にて、例えばスクロールの途中で各表示画像の上部あるいは下部の一部のみしか表示されていない状態でスクロールを停止して画像を表示させても良い。もちろん、スクロールが任意の位置で停止した状態でも設定入力を可能にすることは言うまでもない。
図3は、理解を容易にするために、表示部29における下側(
図3(a))及び表示部29における上側(
図3(b))を白抜きにしているが、射出工程の設定画像及び可塑化工程以外の設定画像(例えば、型締め工程とする)がすでに選択されているものとすれば、当該白抜き部分に型締め工程の設定画像が表示される。また、スクロールの向きを白抜きの矢印で示しており、以下も同様である。さらに、スクロールにより表示部29からはみ出した部分の画像は、輪郭線を破線により示しているが、もちろん現実には見ることはできない。
【0030】
本実施形態によると、第1表示領域31に表示される第1表示画像と第2表示領域32に表示される第2表示画像にスクロールの指示を与えると、上下に隣接する2つの表示画像が同期してあたかも連結したままで上下にスクロール表示させることができる。したがって本実施形態によると、現時点では表示されていない表示画像(前表示画像)を再度表示させたい場合には、スクロールの指示を行なうだけで前表示画像を表示させることができる。よって本実施形態によると、作業者の記憶に頼って前表示画像の名称を思い出す、あるいは、メニュー画面から前表示画像を改めて選択するという手間を省けるので、作業者の負担を軽減できる。
【0031】
また、本実施形態は、操作履歴、画面選択履歴の順に各設定画像をスクロール表示できるので、「以前に表示させた」というあいまいな作業者の記憶があれば、階層を記憶していなくてもスクロールするだけで、現時点では表示されていない画像を表示させることができるので、操作時間の短縮、生産性向上が可能である。
さらに、表示部29を第1表示領域31と第2表示領域32に区分し、第1表示画像と第2表示画像を同時に表示させることで、異なる工程の設定画面を縮小した表示や部分的な表示ではなく全画面を表示してその画面中の全ての設定値を見ながら条件の入力ができるので、別工程ではあるが一連の機械動作において関連深い設定値を確認しながら、互いの設定値を入力、変更できる。これにより、1つの表示領域に1つの表示画像を表示させる方式とは異なり、表示画像をいちいち切り替えて確認する手間や、画像が縮小されて小さくて見にくい文字を判別する手間や、同設定画面の他の部分に切り替えて表示させる手間が不要であり、かつ記憶違いや勘違いによる入力ミスを防止できる。
さらに、第1表示領域31と第2表示領域32には選択された順序に表示画像が表示されるので、作業者が機械の運転条件の設定において、独自のノウハウで設定順序がある場合に、自分の効率のよい設定順序に従って、設定画像の配置を実現できる。よって、本実施形態によると、作業者毎の操作要領に表示順序をカスタマイズすることも可能である。この場合、予め作業者毎にIDを与え、このID毎に制御装置に記憶領域を割り付けて、操作画面の連結順序、レイアウトを作業者のID毎にそれぞれ記憶し、呼び出し表示できるようにすることが好ましい。また、金型あるいは対象成形品毎に操作画面の連結順序、レイアウトをそれぞれ記憶し、呼び出し表示できるようにすることが好ましい。更に、同じIDでも複数の操作画面の連結順序、レイアウトを記憶できるようにすると、対象成形品によって設定画面の作業効率のよい好ましいレイアウトが異なった場合などにおいて、それぞれの対象成形品毎の好ましい操作画面の連結順序、レイアウトをいつでも記憶部20bから呼び出すことができるようにすることが好ましい。
またレイアウトのカスタマイズ処理は、作業者が成形条件選定の際に実際に表示させた設定画像と表示履歴を、作業者による記憶部20bに記憶させる操作により行ってもよいし、カスタマイズ処理専用画面を設けて、作業者が該専用画面中において設定画面の選定とレイアウトの設定をしてカスタマイズを行い、記憶部20bに記憶させる操作によって行ってもよい。あるいは作業者が頻繁に使用する設定画像と表示順序を制御装置20が学習し、ID毎に自動でレイアウトを設定し記憶部20bに記憶してもよい。
また、記憶部20bに既に登録した操作画面の連結順序、レイアウトを読み出し後に編集し、編集後の操作画面の連結順序、レイアウトを記憶部20bに更新記憶できるようにすることが好ましい。この場合、作業者がより使いやすいように改善した場合に常に最新の操作画面の連結順序、レイアウトを呼び出せるので作業性向上に有効である。また記憶部20bに既に登録した操作画面のID毎または金型あるいは製品の管理番号毎のメニューボタンを読み出し後に編集し、読み出したメニューとは別のメニューとして保存できるようにしてもよいことは言うまでもない。
さらにまた、『○○前に表示させた』という作業者の記憶により、画面の表示順序を直感的に操作に反映することが可能なことから、作業者のイメージに沿った操作ができ、操作における作業者のストレスを低減できる。また、多数頁前に表示させた所望の画像をいち早く表示させるために、スクロール量を頁数などの数値で指定して所望の画像までジャンプさせて画像を切り替えてもよいし、予めスクロール速度を複数段に切り替えられるようにしておき、所望のスクロール速度を直接選択により切り替える或いは所定のタッチアクションにより自動で速度を切り替えてもよい。また、制御装置20に予めテキスト検索あるいはコード検索機能を備えておき、所望の画面のキーワードまたは該当コードを検索すると所望の画面を表示できるようにしてもよい。
スクロールの指示は、タッチパネル上のソフトスイッチあるいはシートキーなどのハードスイッチを押圧しての操作によるものでもよいし、タッチパネル上をタッチしながらスクロール方向に移動させるタッチアクション操作、いわゆるスワイプ操作によるものでもよい。あるいは作業者の音声によるスクロール方向指示を音声認識する方法でもよい。
また新しい設定画像を表示部29の上方から挿入しダウンスクロールすることで、より新しい設定画像を表示するようにするか、あるいは新しい設定画像を表示部29の下方から挿入しアップスクロールすることで、より新しい設定画像を表示するようにするかの切換は、作業者が自己が使い易い方を選択設定できるようにしてもよい。これにより作業者のイメージに合ったスクロール方向を選択できるので、つまりダウンスクロールにより履歴の新しい画像が見えるというイメージをもっている作業者でも、アップスクロールにより履歴の新しい画像が見えるというイメージをもっている作業者でも、どちらの作業者に対しても表示切り替えにより対応できるので、勘違いや違和感などの使い勝手の不都合を解消できる。
【0032】
[標準表示と拡張表示の切り替え(
図4)]
本実施形態は、前述のように標準表示モード及び拡張表示モードを備えているが、以下では
図4を参照して、標準表示モードから拡張表示モードへの切り替え、または、その逆の効果的な利用形態を説明する。
図4(a)は、標準表示モードに従って第1表示画像P1と第2表示画像P2を、各々、第1表示領域31と第2表示領域32に表示させている。この例では、第2表示画像P2が射出工程の設定画像であり、第1表示画像P1が射出成形機1に関するトレンドリストを表している。このトレンドリストは、過去の射出成形で使用された条件の履歴を列挙したリスト形式のデータである。データとしては、例えば、射出のサイクル時間、可塑化時間、射出時間、射出開始位置などを含んでいる。作業者は、このデータを参照することにより射出成形機の動作の成形安定性や、特異な状態の有無や、それによる成形品の安定性、成形不良発生の可能性、成形機の異常などを評価することができる。よって作業者は安定した成形条件を設定するために、例えば射出工程の設定を行う際にこのデータを参照して第2表示画像P2に表示されている設定画像に対して、適正と思われる条件を入力することができる。
【0033】
トレンドデータは、過去の成形サイクルの運転データを各成形サイクル毎の履歴として列挙したものであり、数多くの成形サイクルを重ねてくると標準表示モードにおける第1表示領域31に収まりきれないデータ量となり、
図4(a)においてはその部分は隠れている。作業者は、この隠れている部分の履歴データを参照したいこともある。そこで、本実施形態は、
図4(b)に示すように、トレンドデータを、全表示領域30を使って表示させることができるようにしている。つまり、本実施形態は、標準表示モードで表示されていたトレンドデータを拡張表示モードに切り替えて表示させることができる。具体的には全表示領域30を使って表示させることによって、第1表示領域31のみで表示できるトレンドデータ数の2倍程度のトレンドデータ数を表示することができる。作業者は拡張表示モードで表示されているトレンドデータを参照して必要な射出工程の条件を抽出し、射出工程設定に役立てることができる。作業者は、条件の抽出を終えると、
図4(a)に示すように、拡張表示モードから標準表示モードに復帰させてから、条件の入力を行なう。
上位の表示画像に対して下位の表示画像がある階層構成の表示画像群において、上位の表示画像が第1表示領域31あるいは第2表示領域32に表示されているものとする。この際に、当該上位の表示画像に対して拡張表示モードを指示した場合に、上位の表示画像を第1表示領域31に配置し、下位の表示画像を第2表示領域32に配置するような一対の表示画像を、階層構成の表示としてもよい。
また、逆に下位の表示画像が第1表示領域31あるいは第2表示領域32に表示されている際に、当該下位の表示画像に対して拡張表示モードを指示した場合に、上位の表示画像を第1表示領域31に配置し、下位の表示画像を第2表示領域32に配置するような一対の表示画像を、階層構成の表示としてもよい。
【0034】
標準表示モードから拡張表示モードへの切り替え、また、拡張表示モードから標準表示モードへの復帰(切り替え)は、作業者の指示に従う。この指示は任意であるが、例えば拡張表示モードにしたい画像が表示されている領域(本実施形態では、トレンドデータが表示されている第1表示領域31)をタッチする、キー入力部25から入力する、などが想定される。
また表示画像の誤表示を防止するために、拡張表示モードが使用可能な表示画像を、トレンドデータリストや制御信号リストなどのデータリストのみに限定してもよい。
【0035】
[新規選択画像情報の自動挿入・スクロール機能(
図5)]
次に、本実施形態の他の特徴的な表示手法である、新規選択画像情報の自動挿入・スクロール機能について説明する。
例えば、
図5(a)に示すように、第1表示画像P1としての射出工程の設定画像が表示され、第2表示画像P2としての可塑化工程の主たる設定条件値が表示される可塑化主設定画像(以下、メイン設定画像)が表示されている状態で、第2表示画像P2よりも下位の階層の可塑化工程の周辺条件値の入力欄が配置されている可塑化副設定画像(以下、サブ設定画像)が選択されたものとする。なお、新たな設定画像は型締め工程などのサブ設定画像ではない設定画像でも良いが、本実施例では可塑化副設定画像を用いて説明する。
制御装置20は、
図5(b)に示すように、サブ設定画像を第2表示領域32に表示させるとともに、それまで第2表示領域32に第2表示画像P2として表示されていたメイン設定画像は第1表示領域31に自動的に上方にスクロールされる。なお、本実施形態では表示履歴が旧い画像を表示部29の上方に、新しい画像を表示部29の下方に表示する例を示すが、表示履歴が旧い画像を表示部29の下方に、新しい画像を表示部29の上方に挿入し表示してもよい。メイン設定画像が第1表示画像P1となり、サブ設定画像が第2表示画像P2となる。同時に、それまで第1表示領域31に表示されていた第1表示画像P1としての射出工程の設定画像は、自動的に上方スクロールされることで、表示部29から姿を消し、表示が中断される。ただし、この射出工程の設定画像をメイン設定画像の上方に隣接して表示した表示履歴は記憶部20bに記憶されている。
作業者がサブ設定画像に対して必要な条件の入力を終えて、再度、当初の射出工程の設定画像とメイン設定画像を表示させたい場合には、作業者が指示することにより両画像は同期して下方にスクロールされ、
図5(c)に示すように第1表示領域31と第2表示領域32に表示される。それまで表示されていたサブ設定画像は、下方にスクロールされることで表示部29からは姿を消すが、メイン設定画像の下方に隣接して表示した表示履歴は記憶部20bに記憶されている。
またこのとき、サブ設定画像が下方に姿を消した状態で、可塑化のメイン設定画像を見ながら新たな設定画像で設定作業を行いたい場合などで、例えば型締め工程の設定画像を選択して表示させた場合は、表示部29の上方に表示されている第1表示画像P1としてメイン設定画像を表示し、第2表示画像P2として型締め工程の設定画像が表示される。この場合、記憶部20bに記憶された表示履歴は、型締め工程の設定画像はメイン設定画像とサブ設定画像の間に挿入される。よって、第1表示画像P1としてメイン設定画像を表示し、第2表示画像P2として型締め工程の設定画像が表示されている状態で、作業者が上方へのスクロール操作を行えば、型締め工程の設定画面が第1表示画像P1として表示され、第2表示画像P2としてサブ設定画像が表示される。
【0036】
本実施形態による新規選択画像の挿入手法によると、表示履歴中の任意の位置に新たに選択された設定画像をそれよりも上方に位置する設定画像に隣接して表示させるとともに、表示履歴として旧い設定画像を表示部29から自動的に排除できる。したがって、作業者がスクロールを指示する操作を行なうことなく、今、まさに表示させたい画像を同時に表示させて、迅速に条件の設定作業を行うことができるので、作業者の操作負担を軽減できる。
本実施形態による新規選択画像の挿入手法は、表示履歴の旧い表示画像が拡張表示モードで表示されている際に、新たな表示画像を表示させる要求がなされた場合にも適用することができ、新たな表示画像を拡張表示モードにより表示させるとともに、表示履歴の旧い表示画像(拡張表示モード)の表示を中断することができる。
また、表示履歴の旧い表示画像が拡張表示モードで表示されている際に、新たな表示画像を表示させる要求がなされると、表示履歴の旧い表示画像を標準表示モードで表示し直し、新たな表示画像を標準表示モードにより表示させるとともに、表示履歴の前後関係に従って新たな表示画像を表示履歴の旧い表示画像の上方あるいは下方に表示してもよい。
さらに、表示履歴の旧い表示画像が標準表示モードで表示されている際に、デフォルトの表示モードが拡張表示モードである新たな表示画像を表示させる要求がなされると、標準表示モードで表示されている表示履歴の旧い表示画像を上方あるいは下方にスライドアウトさせて、新たな表示画像を拡張表示モードにより表示してもよい。
【0037】
[表示画像のスクロールロック機能(
図6)]
本実施形態は、第1表示領域31に表示されている画像と第2表示領域32に表示されている画像が同期してスクロールされることを原則とするが、例外を設けている。この例外は、表示画像のスクロールロック機能である。この機能は、以下説明するように、トレンドリストや成形品によって異なる良品成形を行う成形条件として中心となる工程の動作設定を参照しながら、その他の良品成形に効果のある工程の条件を設定、入力する場合に有効である。
【0038】
例えば、トレンドリスト画像、射出工程の設定画像及び可塑化工程の設定画像がすでに選択されており、
図6(a)に示すように、第1表示領域31に第1表示画像P1としてトレンドリスト画像が表示され、第2表示領域32に第2表示画像P2として射出工程の設定画像が表示されているものとする。作業者は、トレンドリストを参照して射出工程の設定画像を当該画像に対して入力する。この入力が済んでから可塑化条件を入力しようとして、第2表示領域32に可塑化工程の設定画像を表示させようとすると、原則のままでは同期スクロールが機能してしまい、トレンドリストは表示部29から姿を消してしまう。これでは作業者にとって不都合であるから、本実施形態は、第1表示領域31に表示されているトレンドリスト画像がスクロールできないようにロックする機能を備える。なお、画像がスクロールできないようにロックする表示領域は表示部29の上方である第1表示領域31でも、下方である第2表示領域32でもどちらでもよいが、本実施形態では第1表示領域31に表示されている画像をロックするものとして説明する。
【0039】
トレンドリスト画像がロックされた状態で、作業者がスクロールを指示する操作をしても、
図6(b)に示すように、トレンドリスト画像が第1表示領域31に表示された状態が維持される。つまりロック処理がされた画像はロック機能が解除されるまでの間、常にロック処理がされた表示領域に固定表示される。一方、それまで第2表示領域32に表示されていた射出工程の表示画像と、隠れていた可塑化工程の設定画像はスクロールの指示が適用されることで、射出工程の表示画像は表示部29の上方に姿を消すとともに、可塑化工程の設定画像は第2表示領域32の下端からアップスライドするように表示される。このとき、射出工程の表示画像について、表示履歴として記憶されるのは、第1表示領域31に表示されるトレンドリスト画像をあたかも飛び越えるようにして、トレンドリストの上方に隣接している画像配置であったものである。つまり、このときの射出工程の画像は表示履歴上はトレンドリストの一つ以前に表示された画像として記憶されてもよい。よって、トレンドリストの画像ロックを解除した状態で、画面を下方にスクロール操作すると、射出工程の画像はトレンドリストの上方に隣接した配置にて上方から表示される。このスクロールのロック機能により作業者は、トレンドリスト画像を参照しながら、可塑化工程の設定画像に対して必要な条件を入力することができる。
また第1表示領域に第1表示画像が表示されており第2表示領域に第2表示画像が表示されており、第1表示画像または第2表示画像のいずれか一方がロック状態となっている際に、他方の表示画像をロック状態とするように作業者が操作した場合、今までロック状態となっていた一方の表示画像のロックを解除するようにしてもよい。具体的には、例えば、第1表示画像がロックされている状態で、第2表示画像をロック状態とするように操作された場合は、第2表示画像をロック状態とするとともに第1表示画像のロック状態を解除してもよい。
また第1表示画像と第2表示画像の両方をスクロールできないロック状態にすることもできる。この場合、例えば作業者のミスなどにより作業者の体の一部または作業者が把持している何らかの部材の一部などがスクロール操作部に当たり、意図しないスクロール動作が行われて画面が切り替わってしまうことを防止できる。またスクロールロックの解除を限られた作業者の予め設定されたIDに限定しても良い。
【0040】
以上の通りであり、本実施形態は、スクロールのロック機能を備えることで、常にトレンドリストを直に参照しながら、射出工程と可塑化工程の2つの工程の条件を設定することができので、作業者の設定作業の負担を軽減することができる。なお、スクロールのロックが可能な画像はトレンドリストに限らず、その他の表示履歴中の任意の位置にレイアウトされた任意の画像に対して可能であり、任意の画像の一つがロックされた状態でスクロール可能なその他の画像も、射出工程と可塑化工程に限らず任意の画像がスクロール可能である。
【0041】
[前後画像情報の名称表示機能(
図7)]
次に、表示部29に表示されていない前後画像情報の名称を表示する機能について、
図7を参照して説明する。この機能は、作業者のあいまいな記憶を支援する。
例えば、
図7に示すように、第1表示領域31にトレンドリスト画像が表示され、第2表示領域32に射出工程の設定画像が表示されているものとする。さらに、すでに2つの表示画像が選択されているが、一方の表示画像はトレンドリスト画像よりも表示履歴が旧く、トレンドリスト画像よりも上方に隠れており、他方の表示画像は射出工程の設定画像よりも表示履歴が新しく、射出工程の設定画像よりも下方に隠れているものとする。
【0042】
作業者は、トレンドリスト画像を参照しながら射出工程の設定画像に対して条件を入力していて少し時間が経過すると、履歴を忘れることもある。そこで、本実施形態は、いずれも現時点で表示されていない旧い表示履歴の画像情報と新しい表示履歴の画像情報を特定できる情報、例えば名称を表示させる。この例では、第1表示領域31に旧い表示履歴の画像情報として「型開閉」という名称を表示させるとともに、第2表示領域32に新しい表示履歴の画像情報として「可塑化」という名称を表示させる。名称を表示させる旧い表示履歴の画像情報は、第1表示領域31に表示されているトレンドリスト画像よりも1世代だけ旧いものである。また、名称を表示させる新しい表示履歴の画像情報は、第2表示領域32に表示されている射出工程の設定画像よりも1世代だけ新しいものである。また本実施形態では表示する画像の名称は1世代だけ旧いまたは1世代だけ新しい画像のみであるが、1世代以上の、例えば2世代、3世代などの複数世代旧いまたは新しい画像の名称を表示履歴順が分かるようにリスト表示させてもよい。この場合、最初から所定数の複数世代の画像の名称を全て表示してもよいが、最初は1世代前の画像の名称だけ表示し、所定の操作により所定数の複数世代の画像名称を表示するように複数段切換え式で表示することが、運転条件の設定入力部を表示するなど限られた表示領域を有効活用するうえで好ましい。
【0043】
以上説明したように、前後画像情報の名称表示機能を備える制御装置20は、表示履歴中の任意の位置にレイアウトされた任意の画像において、現在表示されている画像より以前に表示された画像あるいは以後に表示された画像、具体的には本実施形態では「可塑化」の設定画像、または「型開閉」の設定画像を認知することができる。したがって、本実施形態によると、作業者の記憶があいまいになったとしても、スクロールして再表示させるのに、使い勝手がよい。
【0044】
[表示画像の履歴消去機能(
図8)]
本実施形態の制御装置20は、選択された表示画像を履歴として保持する。しかし、表示履歴の数が多くなると、作業者の負担が増えることもあり得る。そこで、制御装置20は、表示履歴中の任意の位置にレイアウトされた任意の表示画像を表示履歴から消去する機能を備えることができる。
例えば、
図8(a)に示すように、第1表示画像P1としての射出工程の設定画像が表示され、第2表示画像P2としての可塑化工程の設定画像が表示されている状態で、第2表示画像P2に示されるよりも下位の階層の可塑化工程の設定画像(以下、サブ設定画像)が選択されたものとする。そうすると本実施形態の制御装置20は、
図8(b)に示すように、サブ設定画像を第2表示領域32に表示させる。ここまでの動作は、前述した新規選択画像情報の自動挿入・スクロール機能(
図5(a),(b))と同じである。
【0045】
例えば、作業者がサブ設定画像Aに対して必要な条件の入力を終えてしまい、以後はサブ設定画像Aを表示させる必要がないと判断する場合がある。そして、可塑化工程について、他にサブ設定画像Bが存在する場合には、このサブ設定画像Bを新たに選択して表示履歴に登場させると、以後に不要なサブ設定画像Aが一々表示されて、作業者のスクロール作業効率の悪化を招くこともあるであろうし、必要のないサブ設定画像Aが存在すると、サブ設定画像Bを階層が上位の可塑化工程の設定画像に隣接して表示させることができなくなる。そこで、制御装置20は、作業者の指示にしたがって、必要のなくなった表示画像を記憶部20bに記憶した表示履歴から消去させる機能を備える。つまり、
図8(b)に示すサブ設定画像に対して、消去スイッチにタッチする、あるいは消去のためのタッチアクションするなどの表示履歴からの消去を指示すると、自動でスクロールが実行されることで、
図8(c)に示すように、サブ設定画像の選択前の表示に戻る。さらに、以後は、作業者が上向きのスクロールを指示しても、表示履歴が消去されていることから、表示が中止されたサブ設定画像は、表示部29に表示されることはない。
【0046】
以上説明したように、表示画像の履歴消去機能を備える制御装置20は、必要な画像情報のみを表示させることができるので、作業者は不必要な画像が表示されることでストレスを感じることがなく、操作性の高い射出成形機1が提供される。
【0047】
[第1領域と第2領域の入れ替え機能(
図9)]
本実施形態の制御装置20は、表示履歴の旧い画像情報を第1表示領域31に表示させ、表示履歴の新しい画像情報を第2表示領域32に表示させるというルールにしたがっている。しかし、射出成形機1を操作する作業者が、例えば、第1表示領域31に射出工程の設定画像を表示させるとともに、第2表示領域32に可塑化工程の設定画像を表示させることを習慣としていることがある。ところが、当該作業者が、選択の順序を取り違えてしまい、第1表示領域31に可塑化工程の設定画像を表示させるとともに、第2表示領域32に射出工程の設定画像を表示させることもある(
図9の右図)。
【0048】
作業者の習慣に従った画像の配置に変更するためには、可塑化工程の設定画像及び射出工程の設定画像の表示履歴を消した後に、射出工程の設定画像、可塑化工程の設定画像の順に選択をやり直しすればよい。しかし、これは作業者にとって負担となるため、制御装置20は、第1表示領域31に表示されている画像と第2表示領域32に表示されている表示履歴中に隣接してレイアウトされた任意の画像の入れ替えをする機能を備える。
図9の左図は入れ替え後を示しているが、第1表示領域31に射出工程の設定画像が表示されるとともに、第2表示領域32に可塑化工程の設定画像が表示されており、作業者は習慣に則った作業を進めることができる。
【0049】
画像の入れ替え機能を行なうための操作は任意であり、表示部29の中に画像入れ替えを指示するボタンを設ける、あるいは、キー入力部25の特定のキーにこの機能を指示するコマンドを割り当てることもできるし、所定のタッチアクションにより画面の入れ替え操作とすることもできる。
【0050】
[横方向スクロール機能(
図10,
図11)]
本実施形態の制御装置20は、縦方向にスクロールすることを原則とするが、横方向のスクロールが必要、あるいは作業者の設定操作効率の向上に対して有効なこともある。そこで、制御装置20は、以下説明するように、表示履歴中の任意の位置にレイアウトされた任意の画像の横方向のスクロールを許容する。
例えば、
図10(a)に示すように、第1表示領域31に射出工程の設定画像が表示されるとともに、第2表示領域32に定数設定画像(1ページ目)が表示されている。定数設定画像は、射出工程を実行する上で必要な制御定数を設定するための画像である。必要な制御定数の数は極めて多く存在しており、第2表示領域32に一度に全てを表示させることは困難である。したがって、定数設定画像が3ページに分割されており、
図10に示す例では、この3ページ分の定数設定画像がすでに選択されている。しかも、3ページ分の定数設定画像は、あらかじめ横方向Xに並んでいる。なお、第1表示領域31に定数設定画像を表示させ、第2表示領域32に射出工程の設定画像を表示させることもできる。
【0051】
作業者は、第2表示領域32に表示されている1ページ目の定数設定画像に対して必要な制御定数の入力を終えると、次の2ページ目の定数設定画像に対して必要な制御定数を入力するために、横方向Xへのスクロールを指示する。そうすると、
図10(b)に示すように、2ページ目の定数設定画像が第2表示領域32に表示される。さらに、2ページ目の定数設定画像に必要な制御定数の入力を終えると、3ページ目の定数設定画像が第2表示領域32に表示されるように、横方向Xへのスクロールを指示すればよい。ここでは、図中、左向きへのスクロールを説明したが、3ページ分の制御定数の入力を終えた後の確認のために、右向きへのスクロールも指示にしたがって行うこともできる。
なお、1ページ目〜3ページ目の定数設定画像の左右の位置を逆にしてもよい。また、この左右の位置およびスクロール方向の切換は、ワンタッチのタッチ操作またはスイッチ操作によって行っても良い。
【0052】
このときのスクロールの指示の仕方は任意であり、第2表示領域32の表面を横方向Xになぞるスワイプ操作にすることができるし、キー入力部25に割り当てられたキーを操作することであってもよい。なお、
図10に示すように、横方向Xに表示画像が並んでいる場合には、誤って、第1表示領域31に表示されている射出工程の設定画像までもが縦方向Yにスクロールされるのを避けるために、縦方向Yへのスクロールの指示を受け付けないようにし、スクロールの指示は横方向Xに制限してもよい。また横方向Xに表示画像が並んでいる場合に、横方向Xと縦方向Yの両方向に対してスクロール指示の待ち受け状態とし、縦方向Yにスクロール指示を行った場合に、横方向Xに並んだ設定画像のままスクロールさせてもよい。つまり第2表示領域に横方向Xに設定画像が並んだ状態で上方にスクロールを指示した場合、第2表示領域に表示されていた設定画像が第1表示領域に表示され、第1表示領域上にて横方向Xにスクロール可能としてもよい。
また第1表示領域31と第2表示領域32に表示されている両方の表示画像を、それぞれ独立に或いは同期して横方向Xにスクロールできるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態は、3ページ分の定数設定画像があらかじめ横方向Xに並んでいるが、これを実現する手法も任意である。例えば、3ページ分の定数設定画像が1つのまとまった情報として制御装置20に記憶しておき、定数設定画像がメニューにより選択されると、3ページに展開してから横方向Xに並べることができる。また、3ページ分の定数設定画像の情報を1ページ毎に制御装置20に記憶しておき、1ページ分のいずれかの画像情報を選択すると、他の2ページ分の画像情報も同時に選択するようにしておき、横方向Xに並べることもできる。後者の手法は、3ページの画像情報の間をリンクさせておくことになる。
【0054】
また、横方向Xに並べる画像は、定数設定画像に限るものではない。例えば、互いに関係の強い複数の工程の設定画像やデータリスト画像などを予め互いに関連づけて記憶部20bに記憶させる。そして、いずれかの画像が選択され表示された場合に、横方向Xにスクロール指示を行うとこの画像に関連づけられた画像が横方向Xにスクロール表示されてもよい。例えば、可塑化工程のメイン設定画面にサブ設定画面を関連づけておいて、メイン設定画面が表示された状態で横方向Xへのスクロール指示を行うとサブ設定画面を表示するようにしてもよい。また拡張表示モードで表示されたトレンドデータリストや制御信号リストなどの多量のデータリストを、拡張表示モードのままで横方向Xにスクロール表示させてもよい。また拡張表示モードのスイッチ操作で表示された表示画像が、階層構成の上位の表示画像と下位の表示画像からなる一対の表示画像である場合で、該上位であるメイン設定画像に対して複数の下位のサブ設定画像群が関連づけられている場合に、当該メイン設定画像を横方向Xにスクロール表示しないようにし、当該下位のサブ設定画像群のみ横方向Xにスクロールできるようにしてもよい。
【0055】
以上説明したように、横方向スクロール機能を備える制御装置20は、3ページ分の定数設定画像をスクロールするだけで、可塑化工程の設定画像を参照しながら、必要な制御定数を入力できるので、作業性に優れる。しかも、本実施形態によれば、各々のページの定数設定画像を個別にメニュー画面から選択することなく、3ページ分の定数設定画像を横方向Xに配列できるので、メニュー画面を単純化させることができる。
【0056】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、表示部29は縦長の表示領域を備えているが、本発明の表示手法は横長の表示領域を備える表示手段に適用することもできる。この場合、スクロールの同期は、横方向Xに沿って行なわれる。
また、本発明は、標準表示モード及び拡張表示モードを備えているが、これら以外の表示モードを備えることを妨げない。例えば、必要なときには、表示領域を4つに区分する表示の仕方を備えていてもよい。また表示画像を局部的に拡大表示するようにしてもよい。
さらに、本実施形態は、標準表示モードが表示領域を2等分にしているが、第1表示領域31と第2表示領域32の表示面積を異なるようにすることを妨げない。例えば、第1表示領域31の表示面積と第2表示領域32の表示面積の比を6:4というように区分することができるし、デフォルトとして2等分を採用しつつ、作業者からの指示に基づいて第1表示領域31と第2表示領域32の表示面積の比率を変えることもできる。
また、作業者が成形条件入力などの操作により、記憶部20bに記憶させた表示履歴を、作業者のIDを再び制御装置20に読み込ませる、あるいは表示履歴のリセット操作により、表示履歴を初期化するとともに、作業者のIDに関連づけて記憶部20bに記憶している操作画面の連結順序、レイアウトを再度読み出して、表示部29に表示してもよい。
また表示履歴上で2世代前に表示させた表示画像、例えば射出工程の設定画像をスクロールして再表示するのではなく、新たにメニューから再度、射出工程の設定画像を選択して表示させても良い。この場合、表示履歴上2世代前の射出工程の設定画像の表示履歴は消去するのが好ましい。
また制御装置20の電源をOFFした際に、表示履歴をリセットしてもよいし、あるいは電源OFFの直前の表示履歴を記憶部20bに記憶し、制御装置20が再度電源ONされた際には、記憶部20bに記憶しておいた電源OFFの直前の表示履歴を読み出して、表示部29に表示させてもよい。