特許第6017040号(P6017040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017040試料保管器具の製造方法および試料保管器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017040
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】試料保管器具の製造方法および試料保管器具
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/02 20060101AFI20161013BHJP
   G01N 15/00 20060101ALI20161013BHJP
   G01N 1/28 20060101ALN20161013BHJP
【FI】
   B29C39/02
   G01N15/00 B
   !G01N1/28 U
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-526460(P2015-526460)
(86)(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公表番号】特表2015-533672(P2015-533672A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】KR2013006511
(87)【国際公開番号】WO2014025144
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0087681
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515038022
【氏名又は名称】ユ,スン クック
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スン クック
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−279048(JP,A)
【文献】 特開2007−253071(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0241176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
G01N 35/08
G01N 15/00
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、
(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンとを含む陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、
(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、
(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性基板を載置して互いに圧着するステップと、
(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、
(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された充填室の側壁および複数のライン壁が備えられた第1透光性基板を分離させるステップと、
(f)前記複数のライン壁の間にUV硬化性接着剤を塗布するステップと、
)前記第1透光性基板における側壁が形成された側に第2透光性基板を配置した状態で、紫外線を照射して前記UV硬化性接着剤を硬化させることにより、前記第1透光性基板と前記第2透光性基板とを接着して前記充填室を形成するステップと、
を含んで構成され
前記第1透光性基板及び前記第2透光性基板として、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリスチロール(polystyrol)、ガラスのうちのいずれか1つの材質で構成された基板を用いることを特徴とする、試料保管器具の製造方法。
【請求項2】
少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、
(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンとを含む陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、
(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、
(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、
(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、
(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁および当該複数の充填室の側壁それぞれを囲む複数のライン壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、
(f)前記複数の充填室の側壁および複数のライン壁単一の充填室の側壁および当該単一の充填室を囲む複数のライン壁に個別分割されるように、前記第1透光性母材基板を切断して第1透光性基板を用意するステップと、
(g)前記第1透光性基板の前記複数のライン壁の間にUV硬化性接着剤を塗布するステップと、
)前記第1透光性基板における側壁が形成された側に第2透光性基板を配置した状態で、紫外線を照射して前記UV硬化性接着剤を硬化させることにより、前記第1透光性基板と前記第2透光性基板とを接着して前記充填室を形成するステップと、
を含んで構成され、
前記第1透光性基板及び前記第2透光性基板として、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリスチロール(polystyrol)、ガラスのうちのいずれか1つの材質で構成された基板を用いることを特徴とする、試料保管器具の製造方法。
【請求項3】
少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、
(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンとを含む陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、
(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、
(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、
(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、
(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁および当該複数の充填室の側壁それぞれを囲む複数のライン壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、
(f)前記第1透光性母材基板の前記複数のライン壁の間にUV硬化性接着剤を塗布するステップと、
)前記第1透光性母材基板の複数の充填室の側壁が形成された側に第2透光性母材基板を配置した状態で、紫外線を照射して前記UV硬化性接着剤を硬化させることにより、前記第1透光性母材基板と前記第2透光性母材基板とを接着して複数の充填室を形成するステップと、
)前記複数の充填室がそれぞれ個別分割されるように、互いに接着された第1透光性母材基板および前記第2透光性母材基板を切断加工するステップと、
を含んで構成され、
前記第1透光性母材基板及び前記第2透光性母材基板として、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリスチロール(polystyrol)、ガラスのうちのいずれか1つの材質で構成された基板を用いることを特徴とする、試料保管器具の製造方法。
【請求項4】
前記(c)ステップにおいて、
前記パターン形成用モールドと前記第1透光性母材基板との相互圧着は、一対の加圧ローラの間に通過させることにより行われ、
前記パターン形成用モールドと前記第1透光性母材基板が前記一対の加圧ローラを通過した後、前記(d)ステップが行われることを特徴とする、請求項2または3に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項5】
前記陰刻パターン部は、
前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッドパターンを含んで構成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項6】
前記陰刻パターン部は、
前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンを有する電鋳金型が、前記パターン形成用モールドの上面に固定されて構成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項7】
前記電鋳金型は、前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッドパターンを含んで形成されたことを特徴とする、請求項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項8】
前記陰刻パターン部は、
前記パターン形成用モールドの上面に、前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンがエッチング処理されて構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項9】
前記エッチング処理されたパターン形成用モールドは、前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッド目盛形成用電鋳金型が備えられたことを特徴とする、請求項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項10】
前記側壁の形成高さは、10μm〜100μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項11】
前記パターン形成用モールドを、板状のモールド、または前記陰刻パターン部が外周に複数形成されるロールタイプのモールドのうちのいずれか1つを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項12】
少なくとも1つの充填室が備えられた試料保管器具の製造方法であって、
第1基板を用意し、
前記第1基板の一面に前記充填室の側壁および当該側壁を囲む複数のライン壁を形成し、
前記複数のライン壁の間に設けられた接着剤を用いて、前記第1基板に第2基板を接着して、前記側壁の内側部に前記充填室を形成することを含み、
前記第1基板及び前記第2基板として、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリスチロール(polystyrol)、ガラスのうちのいずれか1つの材質で構成された基板を用いることを特徴とする、試料保管器具の製造方法。
【請求項13】
前記側壁および前記複数のライン壁を、液状UV硬化性樹脂を硬化させて形成することを特徴とする、請求項12に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項14】
前記第1基板の一面に前記側壁および前記複数のライン壁を複数形成し、
前記複数の側壁および当該側壁を囲む前記複数のライン壁それぞれが分離されるように、前記第1基板を切断し、
切断された前記第1基板のそれぞれに前記第2基を接着することを特徴とする、請求項12に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項15】
前記第1基板の一面に前記側壁および前記複数のライン壁を複数形成し、
前記第1基板に前記第2基を接着し、
複数形成された前記側壁のそれぞれが単一の充填室を形成するように、前記第1基板および前記第2基板を切断することを特徴とする、請求項12に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項16】
少なくとも前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと当該側壁パターンを囲むように所定の間隔で互いに離隔して設けられた複数のラインパターンとを含む陰刻パターン部が形成されパターン形成用モールドを用意し、
前記陰刻パターン部に液状UV硬化性樹脂を満たし、硬化して前記側壁および前記ライン壁を形成することを特徴とする、請求項12に記載の試料保管器具の製造方法。
【請求項17】
前記パターン形成用モールドを、板状のモールド、または前記陰刻パターン部が外周に複数形成されるロールタイプのモールドのうちのいずれか1つを用いることを特徴とする、請求項16に記載の試料保管器具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料保管器具の製造方法および試料保管器具に関するものであって、より詳細には、陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用いて、1つの基板上に充填室の側壁を形成し、充填室の側壁が形成された前記基板に他の1つの基板を接着させて試料保管器具を製造することにより、試料保管器具を簡便に製造することができ、大量生産が可能な試料保管器具の製造方法および試料保管器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、疾病の診断時には、血液に含まれている赤血球、白血球または血小板などのような代表的な血液細胞の数字および機能を検査する。
【0003】
例えば、赤血球沈降速度から結核、肥満または妊娠などを診断することができ、血球容積からは脱水症または貧血などを診断することができる。
【0004】
また、血小板の個数からは慢性白血病を診断することができ、赤血球の個数からは腎臓疾患、低酸素証、喫煙、肺疾患、溶血性貧血または再生不良性貧血などを診断することができ、白血球の個数からは急性虫垂炎、白血病または再生不良性貧血などを診断することができる。
【0005】
このように、血球などの細胞の個数の測定は、疾病の診断と密接な関係がある。
【0006】
代表的な血液細胞である赤血球の大きさは、マイクロ、ノーマル、マクロおよびメガなどのように4つに分類され、このような赤血球の大きさと個数を把握することにより、前述のような各種疾病に対する診断資料として使用することができる。
【0007】
特に、赤血球の個数は、貧血の有無およびその原因を知るための必須の検査である。
【0008】
元気な一般人であれば、男性の場合、約440万〜560万個/dlの赤血球が血液中に含まれており、女性の場合、約350万〜500万個/dlの赤血球が血液中に含まれている。
【0009】
前記赤血球の個数の測定により、基準値より赤血球の個数が増加した場合、真性多血症、脱水症、ショック 副腎不全症または心肺疾患などの疾病を診断することができる。
【0010】
また、赤血球の個数が減少した場合には、各種貧血の有無を診断することができる。
【0011】
図1は、従来の赤血球のような血液細胞の個数を測定するための試料保管器具の斜視図である。
【0012】
図1に示されているように、従来の赤血球の個数を測定するための試料保管器具10は通常、ガラスや石英などからなるボディ15と、前記ボディ15の上部に備えられた一対の隔壁20、25と、前記一対の隔壁20、25の間に形成された測定部30と、前記測定部30の上部を覆うカバー35とを含んで構成される。
【0013】
前記ボディ15上に備えられる一対の隔壁20、25と、前記一対の隔壁20、25の間に位置する測定部30は、例えば、ガラスまたは石英からなるボディ15を微細機械加工(micromachining)して形成する。
【0014】
前記一対の隔壁20、25は、測定部30の周辺にボディ15の上面から上方に突出して形成され、血液のような試料を測定部30に注入する場合、試料が測定部30から流出しないようにする。
【0015】
また、一対の隔壁20、25上には、ガラスからなる透明なカバー35が備えられ、試料は、一対の隔壁20、25とカバー35との間の測定部30に位置し、血液中の血球細胞のような、試料内に存在する細胞の個数を測定する。
【0016】
しかし、上述のような従来の試料保管器具は、ボディ15とカバー35とが分離されているため、前記測定部30に試料を落とした後、前記ボディ15上にカバーを覆わなければならない問題があった。
【0017】
また、前記カバー35と隔壁20、25との間の密着性を付与するために、別の接着剤などを用いてカバー35を隔壁20、25上に付着させる過程が要求される問題があった。
【0018】
上述の問題を解決するために、図2および図3に示されているように、上部基板61と下部基板63とを互いに接着して一体に構成するが、上部基板61に備えられた投入口61aに試料を投入して流路61bに試料を充填し、試料内に存在する細胞の個数を測定するようにした試料保管器具が開示された。
【0019】
しかし、上述のような従来の一体型試料保管器具は、射出成形によって製造された上部基板61および下部基板63を、整列用治具を用いて互いに整列された状態で積層させ、この状態で接着剤を用いて接着しなければならないため、製造過程が複雑である問題があった。
【0020】
また、試料充填空間を形成するための高さ空間(または凹凸部)の形成のために、上部基板61と下部基板63が射出成形で製造されることにより、各基板61、63を製造するための金型費用が多くかかる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記の従来技術にかかる問題を解決するための本発明の目的は、陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用いて、1つの基板上に充填室の側壁を形成し、充填室の側壁が形成された前記基板に他の1つの基板を接着させて試料保管器具を製造することにより、試料保管器具を簡便に製造することができ、大量生産が可能な試料保管器具の製造方法および試料保管器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するための、本発明の第1側面によれば、少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された充填室の側壁が備えられた第1透光性基板を分離させるステップと、(f)前記第1透光性基板の側壁が形成された側に、第2透光性基板を接着して前記充填室を形成するステップと、を含んで構成されたことを特徴とする、試料保管器具の製造方法が開示される。
【0023】
上記の目的を達成するための、本発明の第2側面によれば、少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、(f)前記複数の充填室の側壁が単一の充填室の側壁に個別分割されるように、前記第1透光性母材基板を切断して第1透光性基板を用意するステップと、(g)前記第1透光性基板の側壁が形成された側に、第2透光性基板を接着して前記充填室を形成するステップと、を含んで構成されたことを特徴とする、試料保管器具の製造方法が開示される。
【0024】
上記の目的を達成するための、本発明の第3側面によれば、少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具の製造方法であって、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、(f)前記第1透光性母材基板の複数の充填室の側壁が形成された側に、第2透光性母材基板を接着して複数の充填室を形成するステップと、(g)前記複数の充填室がそれぞれ個別分割されるように、互いに接着された第1および第2透光性母材基板を切断加工するステップと、を含んで構成されたことを特徴とする、試料保管器具の製造方法が開示される。
【0025】
好ましくは、前記(c)ステップにおいて、前記パターン形成用モールドと前記第1透光性母材基板との相互圧着は、一対の加圧ローラの間に通過させることにより行われ、前記パターン形成用モールドと前記第1透光性母材基板が前記一対の加圧ローラを通過した後、前記(d)ステップが行われてよい。
【0026】
好ましくは、前記一対の基板の接着は、前記充填室を除いた一対の基板の間にUV硬化性接着剤を塗布して互いに積層した状態で、紫外線を照射することにより接着されるようにすることができる。
【0027】
好ましくは、前記陰刻パターン部は、前記充填室の側壁を形成するための側壁パターンと、前記側壁パターンの外側領域に所定の間隔で互いに離隔した複数のラインパターンとを含んで構成できる。
【0028】
好ましくは、前記陰刻パターン部は、前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッドパターンを含んで構成できる。
【0029】
好ましくは、前記陰刻パターン部は、前記充填室の側壁を形成するためのパターンを有する電鋳金型が、前記パターン形成用モールドの上面に固定されて構成できる。
【0030】
好ましくは、前記電鋳金型は、前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッドパターンを含んで形成できる。
【0031】
好ましくは、前記陰刻パターン部は、前記パターン形成用モールドの上面に、前記充填室の側壁を形成するためのパターンがエッチング処理されて構成できる。
【0032】
好ましくは、前記エッチング処理されたパターン形成用モールドは、前記充填室の側壁の内側領域に、グリッド目盛を形成するためのグリッド目盛形成用電鋳金型が備えられてよい。
【0033】
好ましくは、前記側壁の形成高さは、10μm〜100μmであってよい。
【0034】
上記の目的を達成するための、本発明の第4側面によれば、少なくとも1つの充填室が備えられ、前記充填室に充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための試料保管器具であって、前記充填室の一側内面を形成する第1透光性基板と、前記充填室の他側内面を形成する第2透光性基板と、前記第1透光性基板と第2透光性基板との間に所定の高さに積層されて備えられる、液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された側壁と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0035】
また、本発明は、前記パターン形成用モールドを、板状のモールド、または前記陰刻パターン部が外周に複数形成されるロールタイプのモールドのうちのいずれか1つを用いることができる。
【0036】
他の側面において、本発明は、第1基板を用意し、前記第1基板の一面に枠状の凹凸状のパターンを形成し、第2基板を前記パターンに接着して、前記パターンの内側部に充填室を形成する試料保管器具の製造方法を提供する。
【0037】
ここで、前記パターンを、液状UV硬化性樹脂を硬化させて形成することが好ましい。
【0038】
また、前記パターンを複数形成し、前記複数のパターンそれぞれが分離されるように、前記第1透光性基板を切断し、前記第2透光性基板を前記パターンそれぞれに接着することが好ましい。
【0039】
前記パターンを複数形成し、前記第2透光性基板を前記パターンに接着し、前記複数のパターンそれぞれで充填室を有するように、前記第2透光性基板を切断することが好ましい。
【0040】
また、陰刻パターン部が形成されるパターン形成用モールドを用意し、前記陰刻パターン部に液状UV硬化性樹脂を満たし、硬化して前記パターンを形成することが好ましい。
【0041】
さらに、前記パターン形成用モールドを、板状のモールド、または前記陰刻パターン部が外周に複数形成されるロールタイプのモールドのうちのいずれか1つを用いることが好ましい。
【0042】
他の側面において、本発明は、上述の試料保管器具の製造方法を用いて製造される試料保管器具を提供する。
【0043】
上述のような本発明は、陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用いて、1つの基板上に充填室の側壁を形成し、充填室の側壁が形成された前記基板に他の1つの基板を接着させて試料保管器具を製造することにより、試料保管器具を簡便に製造することができる利点がある。
【0044】
また、上述のような工程によって試料保管器具を製造する時、大量に生産することができる利点がある。
【0045】
さらに、上述のような工程によって試料保管器具を製造する時、射出成形が必ずしも要求されない平板状基板で試料保管器具を製造することができる利点がある。
【0046】
また、パターン形成用モールドと基板を一対の加圧ローラの間に通過させた後、液状UV硬化性樹脂に紫外線を照射して側壁を形成することにより、生産時間が短縮され、大量生産に適する利点がある。
【0047】
さらに、側壁パターンの外側領域に複数のラインパターンを構成することにより、一対の基板を互いに接着するためのUV硬化性接着剤が前記ラインパターンの間の空間に充填されて分布するため、UV硬化性接着剤が一対の基板の間に流出するのを防止することができる。
【0048】
また、電鋳金型をパターン形成用モールドの上面に固定したり、パターン形成用モールドの上面をエッチング処理して陰刻パターン部を構成したりすることにより、前記側壁の形成厚さ、側壁の平面形状(印刷パターン)、側壁の印刷パターン幅(印刷ラインの幅)を微細に調整することができる利点がある。
【0049】
さらに、UV硬化性接着剤と紫外線を用いて一対の基板を接着するため、速い時間内に接着が可能である利点がある。
【発明の効果】
【0050】
上述のような本発明は、陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用いて、1つの基板上に充填室の側壁を形成し、充填室の側壁が形成された前記基板に他の1つの基板を接着させて試料保管器具を製造することにより、試料保管器具を簡便に製造することができる利点がある。
【0051】
また、上述のような工程によって試料保管器具を製造する時、大量に生産することができる利点がある。
【0052】
さらに、上述のような工程によって試料保管器具を製造する時、射出成形が必ずしも要求されない平板状基板で試料保管器具を製造することができる利点がある。
【0053】
また、パターン形成用モールドと基板を一対の加圧ローラの間に通過させた後、液状UV硬化性樹脂に紫外線を照射して側壁を形成することにより、生産時間が短縮され、大量生産に適する利点がある。
【0054】
さらに、側壁パターンの外側領域に複数のラインパターンを構成することにより、一対の基板を互いに接着するためのUV硬化性接着剤が前記ラインパターンの間の空間に充填されて分布するため、UV硬化性接着剤が一対の基板の間に流出するのを防止することができる。
【0055】
また、電鋳金型をパターン形成用モールドの上面に固定したり、パターン形成用モールドの上面をエッチング処理して陰刻パターン部を構成したりすることにより、前記側壁の形成厚さ、側壁の平面形状(印刷パターン)、側壁の印刷パターン幅(印刷ラインの幅)を微細に調整することができる利点がある。
【0056】
さらに、UV硬化性接着剤と紫外線を用いて一対の基板を接着するため、速い時間内に接着が可能である利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】従来の試料保管器具の一例を示す斜視図である。
図2】従来の試料保管器具の他の例を示す斜視図である。
図3】従来の試料保管器具の他の例を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施例による試料保管器具の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施例による試料保管器具の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の第3実施例による試料保管器具の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図7A】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドを示す斜視図である。
図7B】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドを示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドの一部分を拡大して示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドの一部分を拡大して示す斜視図である。
図10A】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドに液状UV硬化性樹脂が吐出された状態を示す斜視図である。
図10B】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドに液状UV硬化性樹脂が吐出された状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドの上面に第1透光性基板を載置させる過程を示す斜視図である。
図12】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドの上面に第1透光性基板を載置させる過程を示す斜視図である。
図13】本発明の第1実施例によるパターン形成用モールドと第1透光性基板とを互いに圧着し、紫外線を照射する過程を示す斜視図である。
図14】本発明の第1実施例による第1透光性基板と第2透光性基板とを互いに接着する過程を示す斜視図である。
図15】本発明の第1実施例による第1透光性基板と第2透光性基板とを互いに接着する過程を示す斜視図である。
図16】本発明の第1実施例による陰刻パターン部にグリッドパターンが備えられた状態を示す斜視図である。
図17】本発明の第1実施例によるグリッドパターンが備えられた陰刻パターン部によってグリッドパターンが形成された試料保管器具を示す斜視図である。
図18A】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドを示す斜視図である。
図18B】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドを示す斜視図である。
図19】本発明の第2実施例による他のパターン形成用モールドを示す斜視図である。
図20A】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドに液状UV硬化性樹脂が吐出された状態を示す斜視図である。
図20B】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドに液状UV硬化性樹脂が吐出された状態を示す斜視図である。
図21】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドの上面に第1透光性母材基板を載置させる過程を示す斜視図である。
図22】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドの上面に第1透光性母材基板を載置させる過程を示す斜視図である。
図23】本発明の第2実施例によるパターン形成用モールドと第1透光性母材基板とを互いに圧着し、紫外線を照射する過程を示す斜視図である。
図24】本発明の第2実施例による複数の充填室の側壁が形成された第1透光性母材基板を示す斜視図である。
図25】本発明の第3実施例による複数の充填室の側壁が形成された第1透光性母材基板を示す斜視図である。
図26】本発明の第3実施例による複数の充填室の側壁が形成された第1透光性母材基板と第2透光性母材基板とを互いに接着する過程を示す斜視図である。
図27】本発明の第3実施例による複数の充填室の側壁が形成された第1透光性母材基板と第2透光性母材基板とを互いに接着する過程を示す斜視図である。
図28】本発明にかかるロールタイプのパターン形成用モールドの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、その技術的思想または主な特徴を逸脱しない範囲で他の様々な形態で実施可能である。したがって、本発明の実施例は、すべての点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈されてはならない。
【0059】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲で、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてよく、同様に、第2構成要素も第1構成要素と名付けられてよい。および/またはという用語は、複数の関連する記載項目の組み合わせ、または複数の関連する記載項目のうちのいずれかの項目を含む。
【0060】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0061】
本出願で使用した用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「備える」、「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0062】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含むここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0063】
以下、添付した図面を参照して、本発明にかかる好ましい実施形態を詳細に説明するが、図面符号に関係なく、同一または対応する構成要素は同一の参照番号を付し、これに関する重複する説明は省略する。本発明を説明するにあたり、かかる公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにし得ると判断された場合、その詳細な説明を省略する。
【0064】
本発明の一実施形態にかかる試料保管器具は、図14および図15に示されているように、少なくとも1つの充填室sが備えられ、前記充填室sに充填された試料に含まれている微細粒子の個体数を計数するための器具である。
【0065】
前記試料保管器具200は、第1透光性基板210と、第2透光性基板220と、側壁210aと、ライン壁210bとを含んで構成される。
【0066】
前記第1透光性基板210は、前記充填室sの一側内面を形成する。
【0067】
前記第2透光性基板220は、前記充填室sの他側内面を形成する。
【0068】
一方、第1透光性基板210と第2透光性基板220はそれぞれ、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリスチロール(polystyrol)、ガラスのうちのいずれか1つの材質で構成できる。(220)の間に所定の高さに積層されて充填室sの側壁として構成されるが、液状UV硬化性樹脂(RS)が硬化して形成される。
【0069】
上述のように、前記第1透光性基板210、第2透光性基板220、側壁210aによって前記充填室sが形成される。
【0070】
前記ライン壁210bは、前記側壁210aの外側領域に等間隔で複数個形成され、前記ライン壁210bの間に、前記第1透光性基板210、第2透光性基板220を接着するための接着剤が塗布されてよい。
【0071】
前記充填室sの側壁210aの形成高さは、約10μm〜100μmである。
【0072】
一方、前記第1透光性基板210、前記第2透光性基板220のうちのいずれか1つの基板には、試料を充填室sに充填させるための投入部220aと、前記試料または空気を排出するための排出部220bとが形成され、例えば、図14および図15に示されているように、前記投入部220aおよび排出部220bは、前記第2透光性基板220に形成できる。
【0073】
以下、上述のような試料保管器具200を製造するための方法について説明する。
【0074】
<第1実施例>
【0075】
本発明の第1実施例による試料保管器具200の製造方法は、図4に示されているように、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された充填室の側壁が備えられた第1透光性基板を分離させるステップと、(f)前記第1透光性基板の側壁が形成された側に、第2透光性基板を接着して前記充填室を形成するステップと、を含んで構成される。
【0076】
まず、(a)ステップについて説明する。
【0077】
前記(a)ステップは、少なくとも前記充填室sの側壁210aを形成するための陰刻パターン部104が上面に備えられたパターン形成用モールド100を用意するステップである。
【0078】
前記陰刻パターン部104は、前記充填室sの側壁210aを含めて前記充填室sの外側に多様な形状を形成するために、多様なパターンに形成可能である。
【0079】
例えば、図8および図9に示されているように、前記陰刻パターン部104は、充填室sの側壁(図14の210a)を形成するために、陰刻で形成された側壁パターン104aと、充填室sの側壁210aの外側に複数のライン壁(図14の210b)を形成するために、前記側壁パターン104aの外側領域に所定の間隔で互いに離隔して陰刻で形成された複数のラインパターン104bとを含んで形成できる。
【0080】
また、前記陰刻パターン部104は、前記ラインパターン104bなしに側壁パターン104aのみで形成されたり、前記充填室sを形成するための領域を除いた領域全体を陰刻で形成し、充填室sの側壁210aの幅が厚く形成できるように形成されたりしてもよく、多様に変形できることは当然である。
【0081】
一方、前記陰刻パターン部104は、図16および図17に示されているように、前記側壁パターン104aの内側領域に、グリッド目盛200gを形成するためのグリッドパターン104cを含んで構成されてもよい。
【0082】
前記グリッドパターン104cは、前記グリッド目盛200gの目盛ライン部分に対応する部分が陽刻または陰刻で形成されてよい。
【0083】
一方、前記陰刻パターン部104は、図7Aおよび図7Bに示されているように、前記充填室sの側壁210aを形成するためのパターンを有する電鋳金型104からなってよく、前記側壁パターン104aが前記パターン形成用モールドベース102の上面に固定され、前記パターン形成用モールド100が構成できる。
【0084】
すなわち、図7Aに示されているように、前記パターン形成用モールドベース102の上面に電鋳金型104が固定可能な固定溝102hを形成し、前記固定溝102hに前記電鋳金型104が挿入されて固定されるようにして、図7Bに示されているようなパターン形成用モールド100を構成することができるのである。
【0085】
ここで、電鋳金型とは、電鋳(Electro−Forming、電気鋳造)方式で製作された金型であって、電鋳は、機械加工で製作されたマスター(master)の表面に電気めっきを用いて所定の厚さに金属層を形成した後、形成された金属層を分離し、分離された金属層を仕上げ処理して金型に製作する方法である。
【0086】
例えば、めっき方式のように、硫酸ニッケル水溶液に、金型に製作しようとする金属材料とマスターを入れて、前記金属材料に+極を接続し、前記マスターに−極を接続して、前記+極に接続された金属材料の金属粒子が前記マスターの表面に移動して付着するようにして、所定厚さの電鋳金型を製作することができる。
【0087】
上述のような電鋳金型104は、微細な形状に金型を製作することができて、マイクロ単位の高さおよび厚さを有する充填室sの側壁210aを形成するのが容易である利点がある。
【0088】
一方、前記電鋳金型104は、前記充填室sの側壁210aを形成するための側壁パターン104aの内側領域に、グリッド目盛200gを形成するためのグリッドパターン104cを含んで形成できる。
【0089】
すなわち、前記電鋳金型104は、前記側壁パターン104a、前記ラインパターン104b、前記グリッドパターン104cをすべて含んで形成できるのである。
【0090】
一方、前記陰刻パターン部104は、図9に示されているように、前記パターン形成用モールドベース102の上面に、前記充填室sの側壁210aおよびライン壁104bを形成するためのパターンがエッチング処理されて構成できる。
【0091】
前記パターンは、公知の一般的なエッチング処理で形成することができ、例えば、前記パターン形成用モールドベース102の上面に酸化被膜を形成した後、前記酸化被膜に感光性樹脂を積層した状態で、ネガティブ(negative)図形のマスクを介して紫外線を照射して前記感光性樹脂を感光処理し、前記感光処理された感光性樹脂を除去処理し、前記感光性樹脂が除去された部分の酸化被膜を除去処理し、残っている感光性樹脂を除去処理し、酸化被膜のない部分に不純物の蒸気を含浸して、前記パターン形成用モールドベース102の上面に側壁210aとライン壁210bを形成するためのパターンを形成することができる。
【0092】
一方、エッチング処理により製作されたパターン形成用モールド100は、前記充填室sの側壁210aを形成するための側壁パターン104aの内側領域に、グリッド目盛200gを形成するためのグリッド目盛形成用電鋳金型105が備えられてよい。
【0093】
前記充填室sの側壁210aの内側領域に形成されるグリッド目盛200gは、充填室sの側壁210aやライン壁210bよりも微細な形状に形成されるが、エッチング処理ではグリッド目盛200gを形成するためのパターンを形成しにくいことがある。
【0094】
したがって、微細なパターンの製作が可能な電鋳方式でグリッド目盛200gを形成するためのグリッド目盛形成用電鋳金型105を製作した後、エッチング処理したパターン形成用モールド100の側壁パターン104aの内側領域に溝105gを形成し、前記グリッド目盛形成用電鋳金型105を挿入して前記パターン形成用モールド100を構成するのである。
【0095】
上述のように、充填室sの側壁210aを形成するためのパターンを有する電鋳金型が前記パターン形成用モールドベース102の上面に固定されるように構成したり、パターン形成用モールドベース102の上面に前記充填室sの側壁210aを形成するためのパターンがエッチング処理されたりするようにして、パターン形成用モールドベース102の上面に陰刻パターン部104を形成することができ、これによってパターン形成用モールド100を用意することができる。
【0096】
次に、(b)ステップについて説明する。
【0097】
前記(b)ステップは、前記陰刻パターン部104に収容させるための液状UV硬化性樹脂(RS)を、前記パターン形成用モールド100の上面に一定量吐出するステップである。
【0098】
例えば、図10Aに示されているように、前記パターン形成用モールド100の一側上面に、前記陰刻パターン部104に全体的に収容可能な一定量の液状UV硬化性樹脂(RS)を吐出することができる。
【0099】
また、例えば、図10Bに示されているように、前記パターン形成用モールド100の上面、具体的には、前記陰刻パターン部104に全体的に液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出されるようにして、前記陰刻パターン部104に液状UV硬化性樹脂(RS)が全体的に塗布されるようにすることができる。
【0100】
前記液状UV硬化性樹脂(RS)は、充填室sの側壁210aおよびライン壁210bを形成するための樹脂であって、例えば、ウレタンアクリレート(Urethane Acrylate)系の通常の液状UV硬化型樹脂であって、NANO PHOTONICS CHEMICAL CO.,LTDの「ND−938」などを使用することができる。
【0101】
一方、液状UV硬化性樹脂(RS)の硬化性を高めるために、硬化剤を混合して使用してもよいことは当然である。
【0102】
次に、(c)ステップについて説明する。
【0103】
前記(c)ステップは、前記パターン形成用モールド100の上面に、第1透光性基板210を載置して互いに圧着するステップである。
【0104】
例えば、図11および図12に示されているように、前記パターン形成用モールド100の一側上面に一定量の液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された状態で、前記パターン形成用モールド100の上面に第1透光性基板210を整列させて載置させることができる。
【0105】
一方、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210との相互圧着は、前記第1透光性基板210の自重によって行われたり、別の加圧手段によって行われたりしてもよい。
【0106】
例えば、図13に示されているように、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210は、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された側から一対の加圧ローラRの間に通過することにより互いに圧着できる。
【0107】
そのほかにも、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210とを互いに圧着さえできれば、公知の圧着手段を任意に適用してもよいことは当然である。
【0108】
一方、上述のような圧着過程を通じて、前記パターン形成用モールド100の陰刻パターン部104の陽刻部分と第1透光性基板210との間には、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が約3μmの厚さに被膜の形態で存在し、前記パターン形成用モールド100の陰刻パターン部104の陰刻部分と第1透光性基板210との間には、陰刻形状に対応して前記液状UV硬化性樹脂(RS)が充填される。
【0109】
この時、前記陰刻部分の形成高さは、充填室sの形成高さである10μm〜100μmに形成されることが好ましい。
【0110】
次に、(d)ステップについて説明する。
【0111】
前記(d)ステップは、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が前記陰刻パターン部104に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂(RS)を硬化させるステップである。
【0112】
すなわち、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210が前記一対の加圧ローラRを通過した後、前記(d)ステップが行われてよい。
【0113】
例えば、図13に示されているように、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210が、液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された側から一対の加圧ローラRを通過することにより、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210との間に全体的に広がるように分布しながら前記陰刻パターン部104に収容可能である。
【0114】
この時、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210が、前記一対の加圧ローラRを通過して排出される排出側に紫外線(UV)を照射することにより、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性基板210との間に広がって分布した液状UV硬化性樹脂(RS)を硬化させることができる。
【0115】
次に、(e)ステップについて説明する。
【0116】
前記(e)ステップは、前記パターン形成用モールド100から、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が硬化して形成された側壁210aが備えられた第1透光性基板210を分離させるステップである。
【0117】
前記パターン形成用モールド100は、前記硬化した樹脂が容易に分離可能に離型処理されてよく、例えば、熱処理、めっき、蒸着コーティングなどにより離型処理されてよい。
【0118】
したがって、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が硬化して形成された側壁210aが備えられた第1透光性基板210が、前記パターン形成用モールド100から容易に分離可能である。
【0119】
次に、(f)ステップについて説明する。
【0120】
前記(f)ステップは、前記第1透光性基板210の側壁210aが形成された側に、第2透光性基板220を接着して前記充填室sを形成するステップである。
【0121】
前記第2透光性基板220は、図14に示されているように、前記第1透光性基板210と略同一の面積で形成され、充填室sに試料を投入するための投入部220aと、前記試料または空気を排出するための排出部220bとが形成される。
【0122】
前記第1透光性基板210と前記第2透光性基板220は、前記充填室sを除いた一対の基板の間にUV硬化性接着剤を塗布して互いに積層した状態で、紫外線を照射することにより接着できる。
【0123】
例えば、前記UV硬化性接着剤は、一部のライン壁210bの間の空間に充填されるように塗布されてよく、前記第1透光性基板210と前記第2透光性基板220との接着時、一部のライン壁210bの間の空間に充填されたUV硬化性接着剤が隣接するライン壁210bの間の空間に流入しながら全体的に分布するため、前記UV硬化性接着剤が一対の基板の間を通して外部に流出するのを防止することができる。
【0124】
前記UV硬化性接着剤(G)は、例えば、ウレタンアクリレート(Urethane acrylate)などが含まれている液状の物質であって、通念的に「液状UV」とも呼ばれ、熱を加えたり紫外線を照射したりすれば硬化する特徴を有する物質である。
【0125】
一方、前記UV硬化性接着剤(G)の硬化性を高めるために、硬化剤を混合して使用してもよいことは当然である。
【0126】
上述のように、前記第1透光性基板210と前記第2透光性基板220とを互いに接着することにより、図15に示されているように、充填室sが備えられた試料保管器具200を完成することができる。
【0127】
<第2実施例>
【0128】
本発明の第2実施例による試料保管器具の製造方法は、図5に示されているように、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、(f)前記複数の充填室の側壁が単一の充填室の側壁に個別分割されるように、前記第1透光性母材基板を切断して第1透光性基板を用意するステップと、(g)前記第1透光性基板の側壁が形成された側に、第2透光性基板を接着して前記充填室を形成するステップと、を含んで構成される。
【0129】
まず、(a)ステップについて説明する。
【0130】
前記(a)ステップは、少なくとも前記充填室sの側壁210aを形成するための陰刻パターン部104が上面に備えられたパターン形成用モールド100を用意するステップであり、この時、前記陰刻パターン部104は、単一の充填室sの側壁210aを形成する個別パターン部104’が複数配列された形態からなって、複数の充填室sの側壁210aを形成できるように形成される。
【0131】
例えば、図18A図18Bおよび図19に示されているように、前記陰刻パターン部104は、単一の充填室sの側壁210aを形成するための個別パターン部104’が「2×10」の形態で配列されるように形成されてよく、各個別パターン部104’は、1つの試料保管器具の充填室sの側壁210aを形成する。
【0132】
すなわち、第2実施例の陰刻パターン部104は、複数の試料保管器具の充填室sの側壁210aを同時に形成するために、個別パターン部104’が複数配列されて構成されるものであり、このような陰刻パターン部104により1回の製作工程で複数の試料保管器具を生産することができるため、大量生産が可能になる。
【0133】
一方、前記陰刻パターン部104を形成する個別パターン部104’は、前記充填室sの側壁210aを含めて前記充填室sの外側に多様な形状を形成するために、多様なパターンに形成できる。
【0134】
例えば、それぞれの個別パターン部104’は、図18A図18Bおよび図19に示されているように、側壁パターン104a、ラインパターン104b、およびグリッドパターン(図示せず)を含んで形成されてよく、具体的なパターンの形状は、第1実施例の陰刻パターン部104の側壁パターン104a、ラインパターン104b、およびグリッドパターン104cの形状と同一または類似しているので、重複した説明は省略する。
【0135】
また、第2実施例の陰刻パターン部104も、第1実施例の陰刻パターン部104と同様に、例えば、図18A図18Bに示されているように、電鋳金型104をパターン形成用モールドベース102の上面に備えてパターン形成用モールド100を構成したり、図19に示されているように、パターン形成用モールドベース102の上面にエッチング処理によりパターンを形成してパターン形成用モールド100を構成したりすることができ、重複した説明は省略する。
【0136】
次に、(b)ステップについて説明する。
【0137】
前記(b)ステップは、前記陰刻パターン部104に収容させるための液状UV硬化性樹脂(RS)を、前記パターン形成用モールド100の上面に一定量吐出するステップである。
【0138】
例えば、図20Aに示されているように、前記パターン形成用モールド100の一側上面に、前記陰刻パターン部104に全体的に収容可能な一定量の液状UV硬化性樹脂(RS)を吐出したり、図20Bに示されているように、前記パターン形成用モールド100の上面、具体的には、前記陰刻パターン部104に全体的に液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出されるようにしたりして、前記陰刻パターン部104に液状UV硬化性樹脂(RS)が全体的に塗布されるようにすることができる。
【0139】
前記液状UV硬化性樹脂(RS)は、充填室sの側壁210aおよびライン壁210bを形成するための樹脂であって、例えば、ウレタンアクリレート(Urethane Acrylate)系の通常の液状UV硬化型樹脂であって、NANO PHOTONICS CHEMICAL CO.,LTDの「ND−938」などを使用することができる。
【0140】
次に、(c)ステップについて説明する。
【0141】
前記(c)ステップは、前記パターン形成用モールド100の上面に、第1透光性母材基板210’を載置して互いに圧着するステップである。
【0142】
例えば、図21および図22に示されているように、前記パターン形成用モールド100の一側上面に一定量の液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された状態で、前記パターン形成用モールド100の上面に第1透光性母材基板210’を整列させて載置させることができる。
【0143】
一方、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’との相互圧着は、例えば、図23に示されているように、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’を、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された側から一対の加圧ローラRの間に通過させることにより行われてよい。
【0144】
そのほかにも、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’とを互いに圧着さえできれば、公知の圧着手段を任意に適用してもよいことは当然である。
【0145】
一方、上述のような圧着過程を通じて、前記パターン形成用モールド100の陰刻パターン部104の陽刻部分と第1透光性母材基板210’との間には、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が約3μmの厚さに被膜の形態で存在し、前記パターン形成用モールド100の陰刻パターン部104の陰刻部分と第1透光性母材基板210’との間には、陰刻形状に対応して前記液状UV硬化性樹脂(RS)が充填される。
【0146】
この時、前記陰刻部分の形成高さは、充填室sの形成高さである10μm〜100μmに形成されることが好ましい。
【0147】
次に、(d)ステップについて説明する。
【0148】
前記(d)ステップは、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が前記陰刻パターン部104に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂(RS)を硬化させるステップである。
【0149】
すなわち、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’が前記一対の加圧ローラRを通過した後、前記(d)ステップが行われてよい。
【0150】
例えば、図23に示されているように、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’が、液状UV硬化性樹脂(RS)が吐出された側から一対の加圧ローラRを通過することにより、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’との間に全体的に広がるように分布しながら前記陰刻パターン部104に収容可能である。
【0151】
この時、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’が、前記一対の加圧ローラRを通過して排出される排出側に紫外線(UV)を照射することにより、前記パターン形成用モールド100と前記第1透光性母材基板210’との間に広がって分布した液状UV硬化性樹脂(RS)を硬化させることができる。
【0152】
次に、(e)ステップについて説明する。
【0153】
前記(e)ステップは、前記パターン形成用モールド100から、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が硬化して形成された複数の充填室sの側壁210aが備えられた第1透光性母材基板210’を分離させるステップである。
【0154】
前記パターン形成用モールド100は、前記硬化した樹脂が容易に分離可能に離型処理されてよく、例えば、熱処理、めっき、蒸着コーティングなどにより離型処理されてよい。
【0155】
したがって、前記液状UV硬化性樹脂(RS)が硬化して形成された側壁210aが備えられた第1透光性母材基板210’が、前記パターン形成用モールド100から容易に分離可能である。
【0156】
次に、(f)ステップについて説明する。
【0157】
前記(f)ステップは、前記複数の充填室sの側壁210aが単一の充填室sの側壁210aに個別分割されるように、前記第1透光性母材基板210’を切断して第1透光性基板210を用意するステップである。
【0158】
例えば、上述のような(a)〜(e)ステップにより製作された第1透光性母材基板210’の一側面には、図24に示されているように、個別充填室sを形成する側壁210aおよびライン壁210bが「2×10」の形態で配列されて形成されている。
【0159】
このような第1透光性母材基板210’を、仮想の切断線cに沿ってそれぞれ切断処理して第1透光性基板210を用意するのである。
【0160】
一方、前記第1透光性母材基板210’の切断は、トムソン加工切断、NC切断などの機械的な切断方式で行われてよい。
【0161】
したがって、第1透光性母材基板210’が切断されて形成された第1透光性基板210の一側面には、図14に示された第1実施例の第1透光性基板210のように、1つの充填室sを形成する1つの側壁210aおよび複数のライン壁210bが備えられてよい。
【0162】
次に、(g)ステップについて説明する。
【0163】
前記(g)ステップは、前記第1透光性基板210の側壁210aが形成された側に、第2透光性基板を接着して前記充填室sを形成するステップである。
【0164】
前記第2透光性基板(図14の「220」参照)は、前記第1透光性基板210と略同一の面積で形成され、充填室sに試料を投入するための投入部220aと、前記試料または空気を排出するための排出部220bとが形成される。
【0165】
前記第1透光性基板210と前記第2透光性基板は、前記充填室sを除いた一対の基板の間にUV硬化性接着剤を塗布して互いに積層した状態で、紫外線を照射することにより接着されてよく、具体的な接着方法は、第1実施例と同一または類似しているので、重複した説明は省略する。
【0166】
上述のように、前記第1透光性基板210と前記第2透光性基板とを互いに接着することにより、図15に示された第1実施例の試料保管器具のような単一の試料保管器具を完成することができる。
【0167】
<第3実施例>
【0168】
本発明の第3実施例による試料保管器具の製造方法は、図6に示されているように、(a)少なくとも前記充填室の側壁を形成するための陰刻パターン部(当該陰刻パターン部は、単一の充填室の側壁を形成する個別パターン部が複数配列された形態からなって、複数の充填室の側壁を形成できるように形成される)が上面に備えられたパターン形成用モールドを用意するステップと、(b)前記陰刻パターン部に収容させるための液状UV硬化性樹脂を、前記パターン形成用モールドの上面に一定量吐出するステップと、(c)前記パターン形成用モールドの上面に、第1透光性母材基板を載置して互いに圧着するステップと、(d)前記液状UV硬化性樹脂が前記陰刻パターン部に収容された状態で、紫外線を照射して前記液状UV硬化性樹脂を硬化させるステップと、(e)前記パターン形成用モールドから、前記液状UV硬化性樹脂が硬化して形成された複数の充填室の側壁が備えられた第1透光性母材基板を分離させるステップと、(f)前記第1透光性母材基板の複数の充填室の側壁が形成された側に、第2透光性母材基板を接着して複数の充填室を形成するステップと、(g)前記複数の充填室がそれぞれ個別分割されるように、互いに接着された第1および第2透光性母材基板を切断加工するステップと、を含んで構成される。
【0169】
一方、本発明の第3実施例による試料保管器具の製造方法の(a)〜(e)ステップは、第2実施例の製造方法の(a)〜(e)ステップと同一または類似しているので、重複した説明は省略し、(f)、(g)ステップについてのみ説明する。
【0170】
まず、(f)ステップについて説明する。
【0171】
前記(f)ステップは、(a)〜(e)ステップによって製造された第1透光性母材基板(図25の210’)の複数の充填室sの側壁210aが形成された側に、第2透光性母材基板(図26の220’)を接着して複数の充填室sを形成するステップである。
【0172】
前記第2透光性母材基板220’は、図26に示されているように、前記第1透光性母材基板210’と略同一の面積で形成され、各充填室sに試料を投入するための投入部220aと、前記試料または空気を排出するための排出部220bとが複数個形成される。
【0173】
前記第1透光性母材基板210’と前記第2透光性母材基板220’は、前記各充填室sを除いた一対の母材基板の間にUV硬化性接着剤
【0174】
次に、(g)ステップについて説明する。
【0175】
前記(g)ステップは、前記複数の充填室sがそれぞれ個別分割されるように、互いに接着された第1および第2透光性母材基板210’、220’を切断加工するステップである。
【0176】
例えば、上述のような(a)〜(f)ステップにより製作され、互いに接着された第1透光性母材基板210’と前記第2透光性母材基板220’との間には、図27に示されているように、個別充填室sを形成する側壁210aおよびライン壁210bが「2×10」の形態で配列されて形成されている。
【0177】
したがって、互いに接着された第1透光性母材基板210’と前記第2透光性母材基板220’を仮想の切断線cに沿ってそれぞれ切断して、図15に示された第1実施例の試料保管器具のような単一の試料保管器具を完成することができるのである。
【0178】
上述の本発明の試料保管器具の製造方法に使用されるパターン形成用モールドは、上述のように板状のモールドを用いる。
【0179】
図28は、本発明にかかるロールタイプのパターン形成用モールドの一例を示す斜視図である。
【0180】
図28を参照すれば、本発明の試料保管器具の製造方法に使用されるパターン形成用モールド400をロール(Roll)タイプとして用いることができる。
【0181】
ロールタイプのパターン形成用モールド400は、両端部にモータのような回転機(図示せず)の回転軸に連結される軸401が形成され、円柱形状に形成される。
【0182】
そして、前記パターン形成用モールド400の外周には、均一な間隔を有する位置に陰刻パターン部410が形成され、それぞれの陰刻パターン部410の内側空間には、基板での充填室を形成するための突出成形物411が形成される。
【0183】
したがって、本発明では、ロールタイプのパターン形成用モールド400を用いることにより、連続的に基板を生産することができるため、生産速度および生産量を向上させることができる利点がある。
【0184】
他方、本発明で提供する試料保管器具は、上述の製造方法により製造される。
【0185】
本発明は、添付した図面を参照して、好ましい実施例を中心に記述されたが、当業者であれば、かかる記載から本発明の範疇を逸脱しない範囲で多くの多様かつ自明な変形が可能であることは明らかである。したがって、本発明の範疇は、このような多くの変形例を含むように記述された特許請求の範囲により解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28