(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される冷却装置は、冷却媒体を燃焼ガスと混合することを意図したものではなく、燃焼ガスから熱を回収した冷却媒体を排熱回収ボイラに供給するものである。従って、冷却媒体を燃焼ガスと混合する方式の冷却装置に比べ、十分な冷却をすることができない。
また、冷却媒体を燃焼ガスと混合する場合には、それらを十分に混合して混合したガスの温度分布を均一化することが求められる。
また、燃焼ガスが流通するダクト内に冷却ガスを流出する冷却ダクトを配置する場合、冷却ダクトの外壁が燃焼ガスの熱により変形や破損が生じないように、適切に保護することが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、窒素酸化物を分解する触媒部に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することを可能にした燃焼ガス冷却装置、燃焼ガス冷却装置を備えた脱硝装置、および燃焼ガス冷却方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、燃焼ガスより低温の冷却ガスを流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクトを、燃焼ガスの熱から適切に保護することを可能にした燃焼ガス冷却装置および燃焼ガス冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様に係る燃焼ガス冷却装置は、燃焼ガスが流通する第1ダクトと、前記燃焼ガスより低温の冷却ガスを前記第1ダクト内に流出させ、前記燃焼ガスと前記冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクトと、を有し、前記冷却ダクトが、前記冷却ガスが流入する冷却ガス流入部と、前記冷却ガス流入部より流入した前記冷却ガスを前記第1ダクト内に流出させる複数の冷却ガス流出部と、前記冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを前記複数の冷却ガス流出部の各々へ分配する分配流路と、を備え
、前記分配流路は、互いに独立した複数の分岐流路を用いて前記冷却ガスを前記複数の冷却ガス流出部の各々へ分配することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る燃焼ガス冷却装置によれば、冷却ダクトに流入した冷却ガスは、分配流路により複数の冷却ガス流出部の各々へ分配され、各冷却ガス流出部から流出するので、冷却ガスが燃焼ガスと適切に混合される。それにより、窒素酸化物を分解する触媒部に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することが可能となる。
【0009】
本発明の第1の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ガス流入部に、前記燃焼ガスの流通方向と交差する方向に沿って前記冷却ガスが流入し、前記複数の冷却ガス流出部が、前記交差する方向の互いに異なる位置に配置され
る。このようにすることで、冷却ガスが、燃焼ガスの流通方向と交差する方向の互いに異なる位置から流出し、触媒部に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することが可能となる。
【0010】
前述した構成において、前記複数の冷却ガス流出部は、第1の冷却ガス流出部と、前記第1の冷却ガス流出部とは異なる方向に開口した第2の冷却ガス流出部を含むようにしてもよい。このようにすることで、冷却ガスが異なる方向に流出して燃焼ガスと混合しやすくなり、触媒部に供給されるガスの温度分布をさらに均一化することができる。
【0011】
前記第1の冷却ガス流出部と前記第2の冷却ガス流出部とが、前記交差する方向に沿って交互に配置されるようにしてもよい。このようにすることで、冷却ガスと燃焼ガスとの混合が促進され、触媒部に供給されるガスの温度分布をさらに均一化することができる。
【0012】
前述した構成においては、前記冷却ダクトが、前記交差する方向に沿った第1方向から前記冷却ガスが流入する第1の前記冷却ガス流入部と、前記第1方向に対向する第2方向に沿って前記冷却ガスが流入する第2の前記冷却ガス流入部と、前記第1の冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを複数の前記冷却ガス流出部の各々に分配する第1の前記分配流路と、前記第2の冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを複数の前記冷却ガス流出部の各々に分配する第2の前記分配流路とを備えるようにしてもよい。このようにすることで、第1ダクトに流入する冷却ガスを十分な量とし、触媒部に供給されるガスを十分に冷却することができる。
【0013】
前記第1の分配流路と前記第2の分配流路とが、仕切り板を介して分離されるようにしてもよい。このようにすることで、冷却ガスに気流の乱れが生じることや冷却ダクト内で滞留が生じることによる冷却能力への悪影響を防止することができる。
【0014】
前述した構成においては、複数の前記冷却ダクトを備え、前記複数の冷却ダクトが、前記交差する方向と直交する方向に間隔を空けて配置するようにしてもよい。このようにすることで、第1ダクトに流入する冷却ガスを十分な量とし、触媒部に供給されるガスを十分に冷却することができる。
【0015】
本発明の第1の態様に係る燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトが、直方体形状のダクトであり、前記分配流路が、前記冷却ダクトの下面と上面を接続する複数の仕切り板により仕切られた流路である構成としてもよい。
【0016】
本発明の第1の態様に係る燃焼ガス冷却装置においては、前記分配流路が、互いに独立した流路を形成する複数の円管により仕切られた流路である構成としてもよい。このようにすることで、強度が高く、高温の燃焼ガスにより生じる熱応力に対する耐性の高い冷却ダクトを備えた燃焼ガス冷却装置を提供することができる。
【0017】
本発明の第1の態様に係る燃焼ガス冷却装置においては、前記第1ダクト内に流通する前記燃焼ガスの温度が500°C以上である構成としてもよい。
【0018】
本発明の第1の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトから前記第1ダクト内に流出する前記冷却ガスとして大気中の空気を用いる構成としてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様に係る脱硝装置は、燃焼ガス冷却装置を備え、前記混合ガスが流通する第2ダクトと、前記第2ダクトの下流に設けられ、前記第2ダクトから流入する前記混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、該窒素酸化物が分解された前記混合ガスを排出する触媒部を有し、前記触媒部の入口の前記混合ガスの温度が300°C以上かつ500°C以下であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様に係る燃焼ガス冷却方法は、燃焼ガスが流通する第1ダクトに冷却ガスを流出させて前記燃焼ガスを冷却する燃焼ガス冷却方法であって、
前記燃焼ガスの流通方向と交差する方向に沿って冷却ガス流入部に前記冷却ガスを流入させる冷却ガス流入工程と、前記冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを、
互いに独立した複数の分岐流路を用いて、
前記交差する方向の互いに異なる位置に配置される複数の冷却ガス流出部の各々へ分配する分配工程と、前記分配工程により分配された前記冷却ガスを複数の冷却ガス流出部を介して前記第1ダクト内に流出させ、前記燃焼ガスと前記冷却ガスが混合した混合ガスの温度が所定の温度範囲内となるように生成する冷却ガス流出工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の態様に係る燃焼ガス冷却方法によれば、冷却ダクトに流入した冷却ガスは、分配流路により複数の冷却ガス流出部の各々へ分配され、各冷却ガス流出部から流出するので、冷却ガスが燃焼ガスと適切に混合される。それにより、窒素酸化物を分解する触媒部に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することが可能となる。
【0022】
本発明の第4の態様に係る燃焼ガス冷却装置は、燃焼ガスが流通する第1ダクトと、前記燃焼ガスより低温の冷却ガスを前記第1ダクト内に流出させ、前記燃焼ガスと前記冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクトと、前記冷却ダクトのうち少なくとも前記燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面を保護する保護面を備え、前記上流側外壁面と前記保護面との間に形成される断熱空間により、前記冷却ダクトを前記燃焼ガスの熱から保護する保護部と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の第4の態様に係る燃焼ガス冷却装置は、燃焼ガスが流通する第1ダクトと、燃焼ガスより低温の冷却ガスを第1ダクト内に流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクトとを有する。従って、冷却ダクトから流出した冷却ガスは燃焼ガスと混合され、燃焼ガスが冷却される。また、本発明に係る燃焼ガス冷却装置は、冷却ダクトのうち少なくとも燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面を保護する保護面を備え、上流側外壁面と保護面との間に形成される断熱空間により、冷却ダクトを燃焼ガスの熱から保護する保護部を有する。従って、燃焼ガスの熱の影響を最も受けやすい流通方向上流側に位置する上流側外壁面が、燃焼ガスの熱から適切に保護される。
【0024】
本発明の第4の態様に係る燃焼ガス冷却装置においては、前記上流側外壁面と前記保護面との間に形成される前記断熱空間に断熱ガスを流通させる構成としてもよい。
【0025】
本発明の第4の態様に係る燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトが、前記燃焼ガスの流通方向と交差する方向に前記冷却ガスが流入する冷却ガス流入部と、前記冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを、前記燃焼ガスの流通方向に向けて前記第1ダクト内に流出させる冷却ガス流出部と、を備え、前記保護部が、前記交差する方向に前記断熱ガスが流入する断熱ガス流入部と、前記交差する方向に前記断熱空間を通過した前記断熱ガスを、前記燃焼ガスの流通方向に向けて前記第1ダクト内に流出させる断熱ガス流出部と、を備える構成としてもよい。
【0026】
このような構成の燃焼ガス冷却装置によれば、冷却ダクトには燃焼ガスの流通方向と交差する方向に冷却ガスが流入し、それと同方向に断熱ガスが断熱空間を通過するので、冷却ダクトの上流側外壁面を燃焼ガスの熱から十分に保護することができる。また、断熱空間を通過した断熱ガスが、燃焼ガスの流通方向に向けて第1ダクト内に流出するので、断熱ガスが燃焼ガスと混合し、燃焼ガスを冷却することができる。
【0027】
本発明の第4の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記保護面の断面形状が、前記燃焼ガスの流通方向上流側に向けて突出した形状である構成としてもよい。このようにすることで、保護面に突き当たる燃焼ガスの圧力が保護面に与える影響を軽減することができる。
【0028】
本発明の第4の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトが、直方体形状のダクトであるとともに、前記上流側外壁面に略直交する2つの外壁面を備え、前記保護部が、前記保護面に連結され前記2つの外壁面を保護する2つの連結面を備え、前記保護面および前記2つの連結面と前記冷却ダクトとの間に形成される前記断熱空間に断熱ガスを流通させることにより、前記冷却ダクトを前記燃焼ガスの熱から保護する構成としてもよい。
【0029】
このような構成とすることで、直方体形状の冷却ダクトの上流側外壁面と、それに略直交する2つの外壁面のいずれもが、断熱空間を流通する断熱ガスにより適切に保護される。
【0030】
本発明の第4の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトが、前記交差する方向に沿った第1方向から前記冷却ガスが流入する第1の前記冷却ガス流入部と、前記第1の冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを前記燃焼ガスの流通方向に向け前記第1ダクト内に流出させる第1の前記冷却ガス流出部と、前記第1方向に対向する第2方向に沿って前記冷却ガスが流入する第2の前記冷却ガス流入部と、前記第2の冷却ガス流入部に流入した前記冷却ガスを前記燃焼ガスの流通方向に向け前記第1ダクト内に流出させる第2の前記冷却ガス流出部と、を備え、前記保護部が、前記第1方向から前記断熱ガスが流入する第1の前記断熱ガス流入部と、前記第1方向に第1の前記断熱空間を通過した前記断熱ガスを、前記燃焼ガスの流通方向に向け前記第1ダクト内に流出させる第1の前記断熱ガス流出部と、前記第2方向から前記断熱ガスが流入する第2の前記断熱ガス流入部と、前記第2方向に第2の前記断熱空間を通過した前記断熱ガスを、前記燃焼ガスの流通方向に向け前記第1ダクト内に流出させる第2の前記断熱ガス流出部と、を備える構成としてもよい。
【0031】
このような構成によれば、互いに対向する2方向から冷却ガスが冷却ダクトに流入し、燃焼ガスの流通方向に向けて第1ダクト内に冷却ガスが流出する。また、互いに対向する2方向から断熱ガスが保護部に流入し、燃焼ガスの流通方向に向けて第1ダクト内に断熱ガスが流出する。このようにすることで、十分な流量の冷却ガスを第1ダクト内に供給するとともに、冷却ダクトの保護に必要な断熱ガスの流量も十分に確保することができる。
【0032】
以上の構成においては、前記第1の断熱ガス流出部と、前記第2の断熱ガス流出部とを、前記冷却ダクトの中心近傍に配置してもよい。このようにすることで、燃焼ガスの流通量が多く燃焼ガスの温度が高温である領域に対して断熱ガスを流出させ、燃焼ガスの冷却効果を更に高めることができる。
【0033】
本発明の第4の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記第1ダクト内に流通する前記燃焼ガスの温度が500°C以上である構成としてもよい。
【0034】
本発明の第4の態様の燃焼ガス冷却装置においては、前記冷却ダクトから前記第1ダクト内及び/または、前記断熱空間から前記第1ダクト内に流出する前記冷却ガスとして大気中の空気を用いる構成としてもよい。
【0035】
本発明の第5の態様の脱硝装置においては、本発明の第1の態様の燃焼ガス冷却装置と、前記混合ガスが流通する第2ダクトと、前記第2ダクトの下流に設けられ、前記第2ダクトから流入する前記混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、該窒素酸化物が分解された前記混合ガスを排出する触媒部と、を有し、前記触媒部の入口の前記混合ガスの温度が300°C以上かつ500°C以下する構成としてもよい。このような構成とすることで、冷却された燃焼ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、大気環境に対する悪影響を防止することができる。
【0036】
本発明の第6の態様に係る燃焼ガス冷却方法は、第1ダクトに燃焼ガスを流通させる工程と、前記燃焼ガスより低温の冷却ガスを前記第1ダクト内に流出させる冷却ダクトを介して前記冷却ガスを流出させ、前記燃焼ガスと前記冷却ガスが混合した混合ガスを生成する工程と、前記冷却ダクトのうち少なくとも前記燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面を保護する保護面と、前記上流側外壁面との間に形成される断熱空間に、断熱ガスを流通させて、前記冷却ダクトを前記燃焼ガスの熱から保護する保護工程と、を有することを特徴とする。
【0037】
本発明の第6の態様に係る燃焼ガス冷却方法は、第1ダクトに燃焼ガスを流通させる工程と、燃焼ガスより低温の冷却ガスを前記第1ダクト内に流出させる冷却ダクトを介して前記冷却ガスを流出させ、前記燃焼ガスと前記冷却ガスが混合した混合ガスを生成する工程とを有する。従って、冷却ダクトから流出した冷却ガスは燃焼ガスと混合され、燃焼ガスが冷却される。また、本発明の第5の態様に係る燃焼ガス冷却方法は、冷却ダクトのうち少なくとも燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面を保護する保護面と、上流側外壁面との間に形成される断熱空間に、断熱ガスを流通させて、冷却ダクトを前記燃焼ガスの熱から保護する保護工程を有する。従って、燃焼ガスの熱の影響を最も受けやすい流通方向上流側に位置する上流側外壁面が、燃焼ガスの熱から適切に保護される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、窒素酸化物を分解する触媒部に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することを可能にした燃焼ガス冷却装置、燃焼ガス冷却装置を備えた脱硝装置、および燃焼ガス冷却方法を提供することができる。
【0039】
また、本発明によれば、燃焼ガスより低温の冷却ガスを流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクトを、燃焼ガスの熱から適切に保護することを可能にした燃焼ガス冷却装置および燃焼ガス冷却方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置について、
図1、
図2、及び
図13を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100の斜視図である。
図2は、燃焼ガス冷却装置100を上方から見た平面図である。
図13は、燃焼ガス冷却装置100を含むガスタービンシステムの側面図である。
図1、
図2、及び
図13で、それぞれ同一の符号を付したものは、同一の構成であるものとする。また、
図1および
図2中の矢印は、ガス(燃焼ガス、混合ガス)の流通方向を示す。
【0042】
第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、
図13に示すように、例えばガスタービン1での燃焼により発生した550°C以上の高温の燃焼ガス(排気ガス)を入口ダクト50から流入させ、燃焼ガスと冷却ガスを混合ダクト10内で混合して混合ガスを生成し、拡大ダクト20を通過した混合ガスを触媒部30に流入させる装置である。触媒部30は、混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、窒素酸化物が分解された混合ガスを、後流側に設けられた煙突3を介して燃焼ガス冷却装置100を含むガスタービンシステムの外部(大気中)に排出する。また、燃焼ガス冷却装置100では、触媒部30にて触媒の活性が高く、混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解処理するのに適した温度である300°C以上かつ500°C以下になるまで冷却を行うことが好ましい。触媒部30に供給される混合ガスの温度の均一化を図るべく、混合ガスの温度分布を最高温度と最低温度の差分が10°C以下の範囲に収めることが好ましい。
【0043】
入口ダクト50は、鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成されており、燃焼ガスの流通流路として機能するものである。入口ダクト50は、ガスタービンから排出される燃焼ガスが流入する流入部50aと、流入部50aに流入した燃焼ガスが流出する流出部50bとを備える。流入部50aは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に直交する方向の断面形状が例えば略円形である。一方、流出部50bは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に直交する方向の断面形状が例えば略正方形である。入口ダクト50は、流入部50aから流出部50bに向けて、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に直交する方向の断面積が徐々に拡大する形状となっている。例えば、入口ダクト50内のガスタービンから排出される燃焼ガスの流速は、50m/sから100m/sである。
【0044】
混合ダクト(第1ダクト)10は、鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成されており、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスの流通流路として機能するものである。混合ダクト10は、入口ダクト50の流出部50bから排出される燃焼ガスが流入する流入部(第1流入部)10aと、流入部10aより流入した燃焼ガスが流出する流出部(第1流出部)10bを備える。流入部10aは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に直交する方向の断面形状が正方形である。流出部10bは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に直交する方向の断面形状が幅広の長方形である。混合ダクト10の流入部10aは、入口ダクト50の流出部50bと同じ形状であり、燃焼ガスの漏れが発生しないように連結されている。なお、流入部10a及び流出部10bの断面形状は、正方形、長方形に限らず、楕円や円形状などでもよい。
【0045】
冷却ダクト40は、鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成されており、燃焼ガスより低温の冷却ガスを混合ダクト10内に流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成するものである。第1実施形態では、例えば4つの冷却ダクト(下方から順に40a、40b、40c、40d)が、混合ダクト10の高さ方向(第3方向)に間隔を空けて配置されている。尚、本実施形態では混合ダクト10の高さ方向に間隔を空けて配置されているがこれに限ることはなく、例えば混合ダクトの幅方向に間隔を空けて配置する等、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に配置してもよい。冷却ガスとしては、燃焼ガスよりも低温の種々のガスを用いることが可能であるが、第1実施形態では、大気中の空気を冷却ガスとして用いる。なお、以下では、4つの冷却ダクトを区別することなく説明する場合には符号40を付して説明し、各冷却ダクトを区別して説明する場合には、符号40a、符号40b、符号40c、符号40dのいずれかの符号を付して説明する。
【0046】
図1および
図2に示されるように、直方体形状の冷却ダクト40は、燃焼ガスの流通方向(
図2中の下方に示される矢印)に略直交する2方向の冷却ガス流入部41a,41bを備え、2つの冷却ガス流入部41a,41bから冷却ガスが流入する。
図1および
図2には図示されていないが、2つの冷却ガス流入部のそれぞれは、空気ファン(不図示)を流路内部に備える連結ダクト(不図示)に接続される。空気ファンは、モータ等の駆動の動力により大気中の空気を連結ダクト内部に流入させ、連結ダクトを介して冷却ガスとして機能する空気を、冷却ガス流入部41a,41bに導く。なお、本実施形態では冷却ダクト40は直方体の形状であるがこれに限ることはなく、例えば台形形状のダクト等も用いることができる。
【0047】
拡大ダクト(第2ダクト)20について説明する。拡大ダクト20は、鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成されており、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスの流通流路として機能するものである。拡大ダクト20は、混合ダクト10の流出部10bから排出される燃焼ガスが流入する流入部(第2流入部)20aと、流入部20aに流入した燃焼ガスが流出する流出部(第2流出部)20bとを備える。流入部20aは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に略直交する方向の断面形状が幅広の長方形である。流出部20bは、燃焼ガスの流入方向(
図1中の矢印方向)に略直交する方向の断面形状が縦長の長方形である。拡大ダクト20の流入部20aは、混合ダクト10の流出部10bと同じ形状であり、混合ガスの漏れが発生しないように連結されている。なお、流入部20a及び流出部20bの断面形状は、正方形、長方形に限らず、楕円や円形状などでもよい。
【0048】
触媒部30は、混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、窒素酸化物が分解された混合ガスを燃焼ガス冷却装置100の外部(大気中)に排出するものである。拡大ダクト20には、触媒部30を通過する混合ガスを還元反応させるための還元剤を拡大ダクト20内に吹き込む吹込部(不図示)が配置されている。吹込部は、例えば複数の孔が設けられた円管形状の流路を備えるものであり、その流路を通過するアンモニアが複数の孔を介して拡大ダクト20内に吹き込まれる。なお、アンモニアは、還元剤の代表例であるが、その他の種類の還元剤も用いることができる。そして、吹込部により還元剤が吹き込まれた混合ガスは、拡大ダクト20の流出部20bを介して触媒部30に流入する。
【0049】
触媒部30は、吹込部により還元剤が吹き込まれた燃焼ガスに含まれる窒素酸化物を、水と窒素に分解する脱硝装置として機能する。第1実施形態においては、アンモニアを還元剤として用いて窒素酸化物を分解する選択接触還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)法を用いるものとする。
【0050】
触媒部30は、混合ダクト10や拡大ダクト20と同様に、鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成されて燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスの流通流路として機能するものである。混合ダクト10や拡大ダクト20と異なるのは、流路中に複数の触媒パック(不図示)が敷き詰めて配置されている点である。触媒パックは、混合ガスをアンモニアと反応させて、排気ガス中の窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素等)を水と窒素に分解するための触媒が充填された触媒部材である。触媒パックは、その内部を混合ガスが流通することができるように、格子状または板状の触媒により構成されている。触媒の成分は、TiO
2が主成分であり、活性成分であるバナジウム、タングステンなどが添加されている。
【0051】
触媒が混合ガスを窒素と水に分解する反応を促進する温度は、300°C以上500°C以下が好ましく、特に300°C以上で470°C以下の範囲がより好ましい。300°Cよりも低温域では、触媒の活性が低くなり、脱硝性能を向上させるためにより多くの触媒量が必要となる。一方、470°Cよりも高温となると、アンモニア(NH
3)が酸化され、それに伴ってアンモニア(NH
3)が減少して脱硝性能が低下するという問題が発生する。また、500°C以上の高温となると、還元反応に適した温度でないことはもとより、触媒自体の耐熱温度を超えてしまい、触媒が破損してしまう可能性がある。従って、触媒に供給される混合ガスの温度は、500°C以下が好ましく、特に300°C以上で470°C以下の範囲がより好ましい。
【0052】
以上では、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100を構成する、混合ダクト10、拡大ダクト20、触媒部30、冷却ダクト40、および入口ダクト50の構成および機能について説明した。次に、触媒部30に流入する燃焼ガスの温度分布を十分に均一化して冷却するために重要な、冷却ダクト40の形状について、
図3から
図7を用いて説明する。
【0053】
図3は、
図2中の矢印A方向から冷却ダクト40を見た正面図である。
図3に示すように、4つの冷却ダクト40a、40b、40c、40dが、混合ダクト10の高さ方向に一定の間隔を空けて配置されている。各冷却ダクト40は、混合ダクト10の側壁面にボルト等で固定される。なお、4つの冷却ダクト40a、40b、40c、40dは、高さ方向に一定の間隔を空けて配置することは必須ではなく、それらの間隔を変化させるようにしてもよい。
【0054】
各冷却ダクト40には、冷却ダクト40の長手方向(混合ダクト10の幅方向)の異なる位置に例えば10カ所の冷却ガス流出孔60が設けられている。冷却ダクト40aについて説明すると、冷却ダクト40aには、冷却ダクト40aの長手方向の異なる位置に、60a〜60jの10カ所の冷却ガス流出孔が設けられている。10カ所の冷却ガス流出孔のうち、冷却ガス流出孔60a、60c、60e、60f、60h、60jの6つ(第1の冷却ガス流出部)は、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口している。一方で、冷却ガス流出孔60b、60d、60g、60iの4つ(第2の冷却ガス流出部)は、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口している。すなわち、複数の冷却ガス流出孔60a〜60jは、異なる方向に開口した冷却ガス流出孔を含む。また、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔と、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔とは、燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)に沿って、交互に配置されている。このように配置することによって、冷却ガスと燃焼ガスとの混合が促進され、触媒部30に供給されるガスの温度分布をさらに均一化することができる。なお、混合ダクト10の高さ方向の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔の数は4つに限られるものではなく、混合ダクト10の高さ方向の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔の数は6つに限られるものではない。
【0055】
図3に矢印で示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の下方に向けて冷却ガスが流出する。一方、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の上方に向けて冷却ガスが流出する。
【0056】
図4は、
図3に示される冷却ダクト40のB−B断面図である。
図5は、
図3に示される冷却ダクト40のC−C断面図である。
図6は、
図3に示される冷却ダクト40のD−D断面図である。
図7は、
図3に示される冷却ダクト40のE−E断面図である。
【0057】
図4に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の斜め上方に向けて冷却ガスが流出する。この流出する冷却ガスは、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けた速度成分と、燃焼ガスの流通方向(
図4における右方向)に向けた速度成分を備えたものとなる。
【0058】
また、
図5に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の斜め下方に向けて冷却ガスが流出する。この流出する冷却ガスは、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けた速度成分と、燃焼ガスの流通方向(
図5における右方向)に向けた速度成分を備えたものとなる。
【0059】
なお、
図6に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔と、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔との間には、仕切り板(61a〜61d)が配置されている。この仕切り板(61a〜61d)は、隣接する冷却ガス流出孔から流出する冷却ガス同士が、冷却ダクト内(40a〜40d)で混ざり合わないように整流するものである。
【0060】
次に、
図7を用いて、冷却ダクト40aが備える、冷却ガス流入部(41a,41b)、複数の冷却ガス流出孔(60a〜60j)、分配流路(42a、42b)について説明する。なお、以下では、冷却ダクト40aについて説明するが、他の冷却ダクト(40b,40c,40d)についても同様の構成であるので、説明を省略する。
【0061】
図7は、
図3に示される冷却ダクト40aのE−E断面図である。
図7に示される冷却ダクト40aには、図中の下方から上方に向けて燃焼ガスが混合ダクト10内に流通する。冷却ダクト40aは、燃焼ガスの流通方向に略直交する2方向の冷却ガス流入部41a,41bを備え、2つの冷却ガス流入部41a,41bから燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)に沿って冷却ガスが流入する。また、冷却ダクト40aには、燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)の互いに異なる位置に、複数の冷却ガス流出孔(60a〜60j)が配置されている。
【0062】
図7の右側に配置された冷却ガス流入部(第1の冷却ガス流入部)41aからは、
図7の右方から左方に向けた方向(第1方向)に、冷却ガスが流入する。冷却ガス流入部41aから冷却ダクト40aに流入した冷却ガスは、分配流路(第1の分配流路)42aに流入する。分配流路42aは、冷却ガス流入部41aに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔(60a〜60e)の各々に分配する流路である。
【0063】
分配流路42aは、例えば仕切り板43a,43b,43c,43dを備える。各仕切り板43a〜43dは、冷却ダクト40a内の下壁面(下面)から上壁面(上面)に向けて略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。各仕切り板43a〜43dの上部は冷却ダクト40a内の上壁面と溶接により接合され、各仕切り板43a〜43dの下部は冷却ダクト40a内の下壁面と溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。
【0064】
また
図7に示されるように、各仕切り板43a〜43dは、冷却ガスの流通方向(
図7の右から左に向けた方向)と略平行な部分と、冷却ガスの流通方向と略直交した方向(
図7の上下方向)と略平行な部分とを含む。冷却ガス流入部41aに流入した冷却ガスは、仕切り板43a〜43dにより、5つの分岐流路に分配される。5つの分岐流路に分配されることにより、冷却ガスは5つの冷却ガス流出孔60a,60b,60c,60d,60eに対して分配される。冷却ガスは、仕切り板により分配された流量で、各冷却ガス流出孔から流出する。
【0065】
仕切り板43aと冷却ダクト40の内壁面とにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60aに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43aと仕切り板43bとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60bに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43bと仕切り板43cとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60cに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43cと仕切り板43dとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60dに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43dと冷却ダクト40の内壁面とにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60eに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。
【0066】
図7の左側に配置された冷却ガス流入部(第2の冷却ガス流入部)41bからは、
図7の左方から右方に向けた方向(第2方向)に、冷却ガスが流入する。冷却ガス流入部41bから冷却ダクト40aに流入した冷却ガスは、分配流路(第2の分配流路)42bに流入する。分配流路42bは、冷却ガス流入部41bに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔(60f〜60j)の各々に分配する流路である。
【0067】
分配流路42bは、例えば仕切り板43f,43g,43h,43iを備える。各仕切り板43f〜43iは、冷却ダクト40a内の下壁面(下面)から上壁面(上面)に向けて略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。各仕切り板43f〜43iの上部は冷却ダクト40a内の上壁面と溶接により接合され、各仕切り板43f〜43iの下部は冷却ダクト40a内の下壁面と溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。
【0068】
また
図7に示されるように、各仕切り板43f〜43iは、冷却ガスの流通方向(
図7の左から右に向けた方向)と略平行な部分と、冷却ガスの流通方向と略直交した方向(
図7の上下方向)と略平行な部分とを含む。冷却ガス流入部41bに流入した冷却ガスは、仕切り板43f〜43iにより、5つの分岐流路に分配される。5つの分岐流路に分配されることにより、冷却ガスは5つの冷却ガス流出孔60f,60g,60h,60i,60jに対して略均等に分配される。冷却ガスは、仕切り板により分配された流量で、各冷却ガス流出孔から流出する。
【0069】
仕切り板43fと冷却ダクト40の内壁面とにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60fに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43fと仕切り板43gとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60gに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43gと仕切り板43hとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60hに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43hと仕切り板43iとにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60iに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。仕切り板43iと冷却ダクト40の内壁面とにより仕切られる分岐流路に流入した冷却ガスは、冷却ガス流出孔60jに導かれ、燃焼ガスの流通方向(
図7の下から上に向けた方向)に流出する。
【0070】
分配流路42aと分配流路42bとは、仕切り板43e、43jを介して分離されている。仕切り板43e、43jは、冷却ダクト40a内の下壁面(下面)から上壁面(上面)に向けて略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。仕切り板43e、43jの上部は冷却ダクト40a内の上壁面とそれぞれ溶接により接合され、仕切り板43e、仕切り板43jの下部は冷却ダクト40a内の下壁面とそれぞれ溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。なお、仕切り板43eと43jの間には、燃焼ガスによる冷却ダクト40の熱伸びを考慮して予め隙間が設けられている。
【0071】
以上説明したように、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、燃焼ガスが流通する流入部10aと、流入部10aに流入した燃焼ガスを流出する流出部10bとを備える混合ダクト10と、燃焼ガスより低温の冷却ガスを混合ダクト10内に流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクト40と、混合ダクト10の流出部10bから流出する混合ガスが流入する流入部20aと、流入部20aに流入した混合ガスを流出する流出部20bとを備える拡大ダクト20と、拡大ダクトの下流に設けられ、流出部20bから流出する混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、窒素酸化物が分解された混合ガスを排出する触媒部30と、を有する。そして、冷却ダクト40が、冷却ガスが流入する冷却ガス流入部41a,41bと、冷却ガス流入部41a,41bより流入した冷却ガスを混合ダクト10内に流出させる複数の冷却ガス流出孔60a〜60jと、冷却ガス流入部41a,41bに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔60a〜60jの各々へ分配する分配流路42a,42bとを備える。
【0072】
冷却ダクト40に流入した冷却ガスは、分配流路42a,42bにより複数の冷却ガス流出孔60a〜60jの各々へ分配され、各冷却ガス流出孔60a〜60jから流出するので、冷却ガスが燃焼ガスと適切に混合される。それにより、窒素酸化物を分解する触媒部30に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することが可能となる。
【0073】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100において、冷却ガス流入部41a,41bには、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に沿って冷却ガスが流入し、複数の冷却ガス流出孔60a〜60jが、交差する方向の互いに異なる位置に配置される。このようにすることで、冷却ガスが、燃焼ガスの流通方向と交差する方向の互いに異なる位置から流出し、触媒部30に供給されるガスの温度分布を十分に均一化して冷却することが可能となる。
【0074】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100において、複数の冷却ガス流出孔60a〜60jは、第1の冷却ガス流出孔60a,60c,60e,60f,60h,60jと、それらとは異なる方向に開口した第2の冷却ガス流出孔60b,60d,60g,60iを含む。このようにすることで、冷却ガスが異なる方向に流出して燃焼ガスと混合しやすくなり、触媒部30に供給されるガスの温度分布をさらに均一化することができる。
【0075】
また、第1の冷却ガス流出孔60a,60c,60e,60f,60h,60jと第2の冷却ガス流出孔60b,60d,60g,60iとが、交差する方向に沿って交互に配置される。このようにすることで、冷却ガスと燃焼ガスとの混合が促進され、触媒部30に供給されるガスの温度分布をさらに均一化することができる。
【0076】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100においては、冷却ダクト40が、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に沿った第1方向から冷却ガスが流入する冷却ガス流入部41aと、第1方向に対向する第2方向に沿って冷却ガスが流入する冷却ガス流入部41bと、冷却ガス流入部41aに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔60a〜60eの各々に分配する分配流路42aと、冷却ガス流入部41bに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔60g〜60jの各々に分配する分配流路42bとを備える。このようにすることで、混合ダクト10に流入する冷却ガスを十分な量とし、触媒部30に供給されるガスを十分に冷却することができる。
【0077】
また、分配流路42aと分配流路42bとが、仕切り板43e、43jを介して分離される。このようにすることで、冷却ガスに気流の乱れが生じることや冷却ダクト40内で滞留が生じることによる冷却能力への悪影響を防止することができる。また、仕切り板43eと43jの間には隙間が設けられているので、燃焼ガスによる冷却ダクト40の熱伸びが生じても、冷却ダクト40全体に変形が生じないようになっている。
【0078】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100においては、複数の冷却ダクト40を備え、複数の冷却ダクト40が、混合ダクト10の高さ方向に間隔を空けて配置される。このようにすることで、混合ダクト10に流入する冷却ガスを十分な量とし、触媒部30に供給されるガスを十分に冷却することができる。
【0079】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100においては、冷却ダクト40が、直方体形状のダクトであり、分配流路42a,42bが、冷却ダクト40の底面と上面を接続する複数の仕切り板43a〜43iにより仕切られた流路である。
【0080】
また、第1実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、以下の工程を実行することにより燃焼ガス冷却方法を実行する。
すなわち、冷却ガス流入部41a,41bに冷却ガスを流入させる冷却ガス流入工程と、冷却ガス流入部41a,41bに流入した冷却ガスを、分配流路42a,42bを用いて、複数の冷却ガス流出孔60a〜60jの各々へ分配する分配工程と、分配工程により分配された冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔60a〜60jを介して混合ダクト10内に流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスの温度が300°C以上500°C以下となるように混合ガスを生成する冷却ガス流出工程とを実行する。
【0081】
なお、第1実施形態においては、ガスタービン1での燃焼により発生する燃焼ガスの温度が550°C以上であり、燃焼ガスの温度を300°C以上500°C以下になるまで冷却する構成を説明したが、燃焼ガスの温度は例えば500°C〜550°Cの温度範囲内のものであっても十分な効果を得ることができる。例えば、500°Cの燃焼ガスの温度を300°C以上470°C以下になるまで冷却することにより、混合ガスの温度分布を改善して触媒の性能を十分に発揮させることができる。
【0082】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、
図8から
図12を用いて説明する。
第1実施形態の冷却ダクト40は、直方体形状のダクトであった。それに対して、第2実施形態の冷却ダクト45は、円管により形成されるダクトである。なお、第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する部分を除き、第2実施形態は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、本実施形態では冷却ダクト40は円管により形成されているがこれに限ることはなく、半円管などにより形成されてもよい。
【0083】
図8は、
図2中の矢印A方向から第2実施形態の冷却ダクト45を見た正面図である。
図8に示されるように、4つの冷却ダクト45a、45b、45c、45dが、混合ダクト10の高さ方向に一定の間隔を空けて配置されている。各冷却ダクト45は、混合ダクト10の側壁面にボルト等で固定される。なお、4つの冷却ダクト45a、45b、45c、45dは、高さ方向に一定の間隔を空けて配置することは必須ではなく、それらの間隔を変化させるようにしてもよい。
【0084】
各冷却ダクト45には、冷却ダクト45の長さ方向(混合ダクト10の幅方向)の異なる位置に16カ所の冷却ガス流出孔62a〜62pが設けられている。冷却ダクト45aについて説明すると、冷却ダクト45aには、冷却ダクト45aの長さ方向の異なる位置に、62a〜62pの16個の冷却ガス流出孔が設けられている。16個の冷却ガス流出孔のうち、冷却ガス流出孔62b,62d,62f,62h,62i,62k,62m,62oの8つ(第1の冷却ガス流出部)は、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口している。一方で、冷却ガス流出孔62a,62c,62e,62g,62j,62l,62n,62pの8つ(第2の冷却ガス流出部)は、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口している。すなわち、複数の冷却ガス流出孔62a〜62pは、異なる方向に開口した冷却ガス流出孔を含む。また、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔と、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔とは、燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)に沿って、交互に配置されている。
【0085】
図8に矢印で示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔62b,62d,62f,62h,62i,62k,62m,62oからは、鉛直方向の下方に向けて冷却ガスが流出する。一方、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔62a,62c,62e,62g,62j,62l,62n,62pからは、鉛直方向の上方に向けて冷却ガスが流出する。
【0086】
図9は、
図8に示される冷却ダクト45のF−F断面図である。
図10は、
図8に示される冷却ダクト45のG−G断面図である。
図11は、
図8に示される冷却ダクト45のH−H断面図である。
図12は、
図8に示される冷却ダクト45のI−I断面図である。
図9から
図12に示されるように、冷却ダクト45は、4本の円管により形成されるダクトである。
【0087】
図9に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の斜め上方に向けて冷却ガスが流出する。この流出する冷却ガスは、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けた速度成分と、燃焼ガスの流通方向(
図9における右方向)に向けた速度成分を備えたものとなる。
【0088】
また、
図11に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔からは、鉛直方向の斜め下方に向けて冷却ガスが流出する。この流出する冷却ガスは、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けた速度成分と、燃焼ガスの流通方向(
図11における右方向)に向けた速度成分を備えたものとなる。
【0089】
なお、
図10に示されるように、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の上方に向けて開口した冷却ガス流出孔と、鉛直方向(混合ダクト10の高さ方向)の下方に向けて開口した冷却ガス流出孔との間には、仕切り板48aが配置されている。この仕切り板は、隣接する冷却ガス流出孔から流出する冷却ガス同士が、冷却ダクト内で混ざり合わないように流れを分離するものである。また、この仕切り板48aにより隣接する2カ所の冷却ガス流出孔に冷却ガスが均等に分配され、各冷却ガス流出孔から略等しい流量の冷却ガスが流出する。
【0090】
次に、
図12を用いて、冷却ダクト45aが備える、冷却ガス流入部(46a,46b)、複数の冷却ガス流出孔(62a〜62p)、分配流路(47a、47b)について説明する。なお、以下では、冷却ダクト45aについて説明するが、他の冷却ダクト(45b,45c,45d)についても同様の構成であるので、説明を省略する。
【0091】
図12は、
図8に示される冷却ダクト45aのI−I断面図である。
図12に示される冷却ダクト45aには、図中の下方から上方に向けて燃焼ガスが流通する。冷却ダクト45aは、燃焼ガスの流通方向に略直交する2方向の冷却ガス流入部46a,46bを備え、2つの冷却ガス流入部46a,46bから燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)に沿って冷却ガスが流入する。また、冷却ダクト45aには、燃焼ガスの流通方向と略直交する方向(交差する方向)の互いに異なる位置に、複数の冷却ガス流出孔(62a〜62p)が配置されている。
【0092】
図12の右側に配置された冷却ガス流入部(第1の冷却ガス流入部)46aからは、
図12の右方から左方に向けた方向(第1方向)に、冷却ガスが流入する。冷却ガス流入部46aから冷却ダクト45aに流入した冷却ガスは、分配流路(第1の分配流路)47aに流入する。分配流路47aは、冷却ガス流入部46aに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔(62a〜62h)の各々に分配する流路である。
【0093】
分配流路47aは、4つの円管によって仕切られた4つの分岐流路を備えるものであり、各分岐流路は互いに独立した流路を形成する。また、分配流路47aは、仕切り板48a,48b,48c,48dを備える。各仕切り板48a〜48dは、各分岐流路(円管)の前方(
図12の上方)に向けて略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。各仕切り板48a〜48dは各分岐流路と溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。各分岐流路(円管)には、2カ所の冷却ガス流出孔が設けられており、各分岐流路に流入した冷却ガスは、2カ所の冷却ガス流出孔から流出する。
【0094】
図12の左側に配置された冷却ガス流入部(第2の冷却ガス流入部)46bからは、
図12の左方から右方に向けた方向(第2方向)に、冷却ガスが流入する。冷却ガス流入部46bから冷却ダクト45aに流入した冷却ガスは、分配流路(第2の分配流路)47bに流入する。分配流路47bは、冷却ガス流入部46bに流入した冷却ガスを複数の冷却ガス流出孔(62i〜62p)の各々に分配する流路である。
【0095】
分配流路47bは、4つの円管によって仕切られた4つの分岐流路を備え、仕切り板48f,48g,48h,48iを備える。各仕切り板48f〜48iは、各分岐流路(円管)の前方(
図12の上方)に向けて略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。各仕切り板48f〜48iは各分岐流路と溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。各分岐流路(円管)には、2カ所の冷却ガス流出孔が設けられており、各分岐流路に流入した冷却ガスは、2カ所の冷却ガス流出孔から流出する。
【0096】
分配流路47aと分配流路47bとは、仕切り板48e、48jを介して分離されている。仕切り板48e、48jは、分岐流路(円管)に略垂直に配置された鉄等の金属素材又は耐熱性素材により形成された板状部材である。仕切り板48e、48jは分岐流路(円管)の流路を塞ぐよう冷却ダクト45aの内周面とそれぞれ溶接により接合されており、接合部分において冷却ガスが漏れないようになっている。なお、仕切り板48eと48jの間には、燃焼ガスによる冷却ダクト45の熱伸びを考慮して予め隙間が設けられている。
【0097】
以上説明したように、第2実施形態の燃焼ガス冷却装置は、分配流路47a,47bが、互いに独立した流路を形成する複数の円管により仕切られた流路である。このようにすることで、強度が高く、高温の燃焼ガスにより生じる熱応力に対する耐性の高い冷却ダクト45を備えた燃焼ガス冷却装置を提供することができる。
【0098】
前述したように、冷却ダクト40が配置される混合ダクト10には、500°C以上の高温の燃焼ガスが流入する。冷却ダクト40内を流通する冷却ガスとして空気(大気)を用いる場合、例えば空気の温度が20°Cであるとすると、燃焼ガスとの温度差が480°C以上となる。このような温度差があると、冷却ダクトを形成する外壁面には、温度差に応じた熱応力が発生する。そして、熱応力そのものや、ガスタービンの運転と停止が繰り返されて熱応力が変化することによる疲労により、冷却ダクト40が損傷を受ける可能性が高い。そこで、後述する第3実施形態では、冷却ダクト40の外部に、冷却ダクト40を熱応力等の燃焼ガスの影響から保護するために、シュラウド(保護部)70が設けられる。なお、シュラウド70は、冷却ダクト40の外壁面を覆うように設けられる。
【0099】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3の実施形態は第1実施形態の変形例であり、冷却ダクト40を熱応力等の燃焼ガスの影響から保護するためにシュラウドを設けた点が異なる。なお、第3実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する部分を除き、第3実施形態は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0100】
第1実施形態で説明したように、冷却ダクト40が配置される混合ダクト10には、550°C以上の高温の燃焼ガスが流入する。冷却ダクト40内を流通する冷却ガスとして空気(大気)を用いる場合、例えば空気の温度が20°Cであるとすると、燃焼ガスとの温度差が530°C以上となる。このような温度差があると、冷却ダクト40を形成する外壁面には、温度差に応じた熱応力が発生する。そして、熱応力そのものや、ガスタービンの運転と停止が繰り返されて熱応力が変化することによる疲労により、冷却ダクト40が損傷を受ける可能性が高い。そこで、第3実施形態では、冷却ダクト40の外部に、冷却ダクト40を熱応力等の燃焼ガスの影響から保護するために、シュラウド(保護部)70が設けられる。
【0101】
図14は、第3実施形態の冷却ダクトとシュラウドの正面図である。
図14は、第1実施形態の
図3を変形したものであり、第1実施形態の
図2中の矢印A方向から冷却ダクトとシュラウドを見た正面図である。
図15は、
図14に示される冷却ダクト40とシュラウド70のB−B断面図である。
図16は、
図14に示される冷却ダクト40とシュラウド70のC−C断面図である。
図17は、
図14に示される冷却ダクト40とシュラウド70のD−D断面図である。
図18は、
図14に示される冷却ダクト40とシュラウド70のE−E断面図である。
図19は、
図14に示される冷却ダクト40とシュラウド70のF−F断面図である。
【0102】
図14から
図19に示されるように、冷却ダクト40(40a〜40d)の上側外壁面と、冷却ダクト40(40a〜40d)の下側外壁面を覆うように、シュラウド70(70a〜70d)が配置されている。
【0103】
シュラウド70には、冷却ダクト40の幅方向(
図14の左右方向)の中心近傍に、断熱ガスが流出する断熱ガス流出孔(断熱ガス流出部)71,72,73,74が配置されている。断熱ガス流出孔71,72,73,74は、後述する断熱空間76を通過した断熱ガスを、燃焼ガスの流通方向に向けて混合ダクト10内に流出させる。
【0104】
図15から
図17に示されるように、シュラウド70(70a〜70d)は、直方体形状の冷却ダクト40(40a〜40d)を形成する外壁面のうち、燃焼ガスの流通方向上流側(
図15から
図17における左側)に位置する上流側外壁面44(44a〜44d)を保護する保護面75(75a〜75d)を備える。また、シュラウド70(70a〜70d)は、冷却ダクト40の上側(
図15から
図17における上側)に位置する上側外壁面を保護する上側連結面77(77a〜77d)を備える。また、シュラウド70(70a〜70d)は、冷却ダクト40の下側(
図15から
図17における下側)に位置する下側外壁面を保護する下側連結面78(78a〜78d)を備える。
【0105】
冷却ダクト40の上側外壁面および下側外壁面は、上流側外壁面44に略直交する。また、保護面75と上側連結面77は、溶接により接合されており、断熱ガスの漏れが発生しないようになっている。同様に、保護面75と下側連結面78は、溶接により接合されており、断熱ガスの漏れが発生しないようになっている。
【0106】
冷却ダクト40と、シュラウド70の保護面75、上側連結面77、および下側連結面78との間には、断熱空間76(76a〜76d)が形成されている。断熱空間76は、冷却ダクト40とは独立した空間であり、冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護する。また、断熱空間76に断熱ガスを流通させることによって、より冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護することができる。断熱ガスとしては、燃焼ガスよりも低温の種々のガスを用いることが可能であるが、本実施形態では、大気中の空気を断熱ガスとして用いる。
【0107】
図15から
図17に示されるように、シュラウド70の保護面75の断面形状は、燃焼ガスの流通方向上流側(
図15から
図17における左側)に向けて突出した円弧形状である。保護面75の断面形状を円弧形状としているのは、燃焼ガスの熱により発生する熱応力に対して高い耐久性を発揮する形状だからである。また、円弧形状とすることで、熱応力の影響を受けやすい溶接部分を持たない面として保護面を形成することができる。なお、本実施形態では保護面75の断面形状を円弧形状としているがこれに限ることはなく、燃焼ガスの流通方向上流側に向けて突出した形状であればよく、例えば山型や台形などの形状を用いることもできる。
【0108】
以下では、シュラウド70aについて特に詳細に説明するが、他のシュラウド(70b,70c,70d)についても同様の構成であるので、説明を省略する。
【0109】
断熱空間76aは、分配流路42aの上流側外壁面44aを保護する空間と、分配流路42bの上流側外壁面44aを保護する空間とを備える。これら2つの空間は仕切り板により仕切られており、互いに連通していない。分配流路42aの上流側外壁面44aを保護する断熱空間76aは、冷却ガス流入部41aと連通しており、前述した連結ダクトから送風される空気が流入する。また、分配流路42bの上流側外壁面44aを保護する断熱空間76aは、冷却ガス流入部41bと連通しており、前述した連結ダクトから送風される空気が流入する。
【0110】
従って、冷却ガス流入部41aは断熱ガスが流入する流入部(第1の断熱ガス流入部)として機能し、冷却ガス流入部41bは断熱ガスが流入する流入部(第2の断熱ガス流入部)として機能する。
また、冷却ガス流入部41aから断熱空間76aに流入した断熱ガスは、
図14および
図19に示されるように、断熱ガス流出孔(第1の断熱ガス流出部)71,73から混合ダクト10内に流出する。冷却ガス流入部41bから断熱空間76aに流入した断熱ガスは、
図14および
図19に示されるように、断熱ガス流出孔(第2の断熱ガス流出部)72,74から混合ダクト10内に流出する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、燃焼ガスが流通する混合ダクト10と、燃焼ガスより低温の冷却ガスを混合ダクト10内に流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する冷却ダクト40とを有する。従って、冷却ダクト40から流出した冷却ガスは燃焼ガスと混合され、燃焼ガスが冷却される。また、本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクトのうち少なくとも燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面44を保護する保護面75を備え、上流側外壁面44と保護面75との間に形成される断熱空間76に断熱ガスを流通させることにより、冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護するシュラウド70を有する。従って、燃焼ガスの熱の影響を最も受けやすい流通方向上流側に位置する上流側外壁面44が、燃焼ガスの熱から適切に保護される。
【0112】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクト40が、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に冷却ガスが流入する冷却ガス流入部41a,41bと、冷却ガス流入部41a,41bに流入した冷却ガスを、燃焼ガスの流通方向に向けて混合ダクト10内に流出させる冷却ガス流出孔60a〜60jと、を備え、シュラウド70が、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に断熱ガスが流入する断熱ガス流入部として機能する冷却ガス流入部41a,41bと、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に断熱空間76を通過した断熱ガスを、燃焼ガスの流通方向に向けて混合ダクト10内に流出させる断熱ガス流出孔71,72,73,74と、を備える。
【0113】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100によれば、冷却ダクト40には燃焼ガスの流通方向と交差する方向に冷却ガスが流入し、それと同方向に断熱ガスが断熱空間76を通過するので、冷却ダクト40の上流側外壁面44を燃焼ガスの熱から十分に保護することができる。また、断熱空間76を通過した断熱ガスが、燃焼ガスの流通方向に向けて混合ダクト10内に流出するので、断熱ガスが燃焼ガスと混合し、燃焼ガスを冷却することができる。
【0114】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、保護面75の断面形状が、燃焼ガスの流通方向上流側に向けて突出した円弧形状である。このようにすることで、保護面75に突き当たる燃焼ガスの圧力が保護面に与える影響を軽減することができる。
【0115】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクト40が、直方体形状のダクトであるとともに、上流側外壁面44に略直交する2つの外壁面を備え、シュラウド70が、保護面75に連結され2つの外壁面を保護する2つの連結面77,78を備え、保護面75および2つの連結面77,78と冷却ダクト40との間に形成される断熱空間76に断熱ガスを流通させることにより、冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護する。また、本実施形態の燃焼ガス冷却装置100によれば、直方体形状の冷却ダクトの上流側外壁面44と、それに略直交する2つの外壁面のいずれもが、断熱空間76を流通する断熱ガスにより適切に保護される。
【0116】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、断熱ガス流出孔71,73と、断熱ガス流出孔72,74とが、冷却ダクト40の中心近傍に配置されている。このようにすることで、燃焼ガスの流通量が多く燃焼ガスの温度が高温である領域に対して断熱ガスを流出させ、燃焼ガスの冷却効果を更に高めることができる。
【0117】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、混合ガスが流通する拡大ダクト20と、拡大ダクト20の下流に設けられ、混合ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、窒素酸化物が分解された混合ガスを排出する触媒部30と、を有する。このようにすることで、冷却された燃焼ガスに含まれる窒素酸化物を分解し、大気環境に対する悪影響を防止することができる。
【0118】
本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、以下の工程を実行することにより燃焼ガス冷却方法を実行する。
すなわち、混合ダクト10に燃焼ガスを流通させる工程と、燃焼ガスより低温の冷却ガスを混合ダクト10内に流出させる冷却ダクト40を介して冷却ガスを流出させ、燃焼ガスと冷却ガスが混合した混合ガスを生成する工程と、冷却ダクト40のうち少なくとも燃焼ガスの流通方向上流側に位置する上流側外壁面44を保護する保護面75と、上流側外壁面44との間に形成される断熱空間76に、断熱ガスを流通させて、冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護する保護工程と、を実行する。
【0119】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について、
図20を用いて説明する。
第3実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、4つの冷却ダクト40a〜40dの全てに対して、シュラウド70a〜70dを設けるものであった。それに対して、第4実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクト40b,40cにシュラウド70b,70cを設ける一方で、冷却ダクト40a,40dにシュラウド70a,70dを設けない。なお、第4実施形態は第3実施形態の変形例であり、以下で特に説明する部分を除き、第4実施形態は第3実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0120】
図20は、第4実施形態の冷却ダクトとシュラウドを見た正面図である。
図20は、第1実施形態の
図3を変形したものであり、第1実施形態の
図2中の矢印A方向から冷却ダクトとシュラウドを見た正面図である。
第3実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクト40aを覆うように配置されたシュラウド70aを備えるが、第4実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、シュラウド70aを備えない。同様に、第3実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、冷却ダクト40dを覆うように配置されたシュラウド70dを備えるが、第4実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、シュラウド70dを備えない。
【0121】
ガスタービン(不図示)から排出される燃焼ガスは、混合ダクト10の高さ方向の中心位置における流量が多く、また温度も高い。従って、混合ダクト10の高さ方向の中心位置に近い冷却ダクトが、高温な燃焼ガスによる熱応力の影響を受けやすい。
図20に示されるように、混合ダクト10の高さ方向の中心位置に近いのは、冷却ダクト40bと冷却ダクト40cである。冷却ダクト40bおよび冷却ダクト40cは、高温な燃焼ガスによる熱応力の影響から保護するために、シュラウド70bおよびシュラウド70cを備える。
【0122】
一方、混合ダクト10の高さ方向の中心位置から遠い冷却ダクトは、高温な燃焼ガスによる熱応力の影響を受けにくい。
図20に示されるように、混合ダクト10の高さ方向の中心位置から遠いのは、冷却ダクト40aと冷却ダクト40dである。冷却ダクト40aおよび冷却ダクト40dは、シュラウドを備えない。
【0123】
以上説明したように、本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、複数の冷却ダクト40が、混合ダクト10の高さ方向に間隔を空けて配置される。そして、本実施形態の燃焼ガス冷却装置100は、少なくともいずれか1つの冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護するシュラウド70を有する一方で、他の冷却ダクト40を燃焼ガスの熱から保護するシュラウド70を有しない。このようにすることで、高温な燃焼ガスによる熱応力の影響を受けやすい冷却ダクトを適切に保護することができる。
【0124】
なお、本実施形態においては、混合ダクト10の高さ方向の中心位置に近い2つの冷却ダクト40b,40cに対応するシュラウド70b,70cを設けるものであったが、他の態様であっても良い。例えば、冷却ダクト40bに対応するシュラウド70bを設ける一方で、冷却ダクト40cに対応するシュラウド70cを設けないようにしても良い。また、4つの冷却ダクト40のいずれに対してシュラウド70を設けるかは、燃焼ガスの温度や燃焼ガスの流入方向と冷却ダクトの配置位置等の関係に基づいて適宜変更してもよい。