特許第6017052号(P6017052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6017052-高安定性の高温チップ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017052
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】高安定性の高温チップ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G01K7/18 B
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-538349(P2015-538349)
(86)(22)【出願日】2013年9月23日
(65)【公表番号】特表2015-532438(P2015-532438A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2013069696
(87)【国際公開番号】WO2014063877
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】102012110210.4
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502393969
【氏名又は名称】ヘレーウス ゼンゾール テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Sensor Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ ヴィーナント
(72)【発明者】
【氏名】マツヴェイ ジンケヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】マーギト ザンダー
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−085952(JP,A)
【文献】 特開2001−050821(JP,A)
【文献】 特表2012−517004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサー、特に高温センサーであって、被覆された基板(16)と、少なくとも1つの抵抗構造(11)と、少なくとも2つの接続接点(12、13)とを備えており、前記接続接点(12、13)は前記抵抗構造に電気的に接触しており、前記基板(16)は酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミックからなり、前記酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムは三価の金属と五価の金属の酸化物で安定化されており、前記基板(16)は絶縁層(17)で被覆されており、前記抵抗構造(11)と、前記絶縁層(17)のうち抵抗構造(11)が配置されていない空き領域とは、少なくとも部分的にセラミック製中間層(18)で被覆されており、かつ前記セラミック製中間層(18)には保護層(19)またはカバー(20)、あるいは保護層(19)とカバー(20)が配置されている、温度センサー。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサーにおいて、前記抵抗構造(11)は前記セラミック製中間層(18)によって完全に被覆されていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項3】
請求項2に記載の温度センサーにおいて、少なくとも、前記抵抗構造(11)に隣接する前記絶縁層(17)の領域は、前記セラミック製中間層(18)で覆われていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記抵抗構造(11)は蛇行部分を備えており、前記蛇行部分と蛇行部分の間に存在する前記絶縁層(17)の空き領域は前記セラミック製中間層(18)によって覆われていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムは三価の金属と五価の金属の酸化物で安定化されていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項6】
請求項5に記載の温度センサーにおいて、前記酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムは、5〜20モル%の前記三価の金属と五価の金属の酸化物で安定化されていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、少なくとも1つの接続接点(12、13)に対し、少なくとも1つの電極(14、15)が前記絶縁層(17)上で前記抵抗構造(11)の隣に配置されており、好ましくは、両方の接続接点(12、13)に対し、それぞれ1つの電極(14、15)が前記絶縁層(17)上で前記抵抗構造(11)の隣に配置されており、前記1つの電極(14、15)または前記複数の電極(14、15)は前記抵抗構造(11)と一体的に形成されていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記絶縁層(17)は金属酸化物層(17)、または酸化アルミニウム層(17)であることを特徴とする、温度センサー。
【請求項9】
高温用温度センサーであって、基板(16)と、少なくとも1つの抵抗構造(11)と、少なくとも2つの接続接点(12、13)とを備えており、前記接続接点(12、13)は前記抵抗構造(11)に電気的に接触しており、かつ少なくとも1つの接続接点(12、13)に対し、少なくとも1つの電極(14、15)が前記基板(16)上で前記抵抗構造(11)の隣に配置されており、前記1つの電極(14、15)または複数の電極(14、15)は前記抵抗構造(11)と一体的に形成されており、前記抵抗構造(11)と、前記基板(16)のうち抵抗構造(11)が配置されていない空き領域とは、少なくとも部分的にセラミック製中間層(18)で被覆されており、かつ前記セラミック製中間層(18)には保護層(19)および/またはカバー(20)が配置されており、前記セラミック製中間層(18)は多孔性である、温度センサー。
【請求項10】
請求項またはに記載の温度センサーにおいて、前記1つの電極(14、15)または複数の電極(14、15)が前記抵抗構造(11)を少なくとも部分的に取り囲んでいることを特徴とする、温度センサー。
【請求項11】
請求項10に記載の温度センサーにおいて、前記1つの電極(14、15)または複数の電極(14、15)が前記抵抗構造(11)を取り囲んでおり、少なくとも1つの側が1つの電極(14、15)によって取り囲まれているか、または前記抵抗構造(11)の少なくとも2つの互いに反対に位置する側が少なくとも2つの電極(14、15)によって取り囲まれていることを特徴とする、温度センサー。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記セラミック製中間層(18)が1%から20%の多孔性を有しているか、または5%から15%の多孔性を有していることを特徴とする、温度センサー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記セラミック製中間層(18)の厚さは1μmから50μmであるか、または前記セラミック製中間層(18)の厚さは4μmから10μmであることを特徴とする、温度センサー。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記保護層(19)はガラス製であり、および/または前記カバー(20)はセラミック小板であることを特徴とする、温度センサー。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の温度センサーにおいて、前記抵抗構造(11)は白金製または白金合金製、または白金基合金製であることを特徴とする、温度センサー。
【請求項16】
排気ガス系における、エンジン、特に自動車用エンジンを制御および/または調整するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の温度センサーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度センサーに関し、特に基板、少なくとも1つの抵抗構造および少なくとも2つの接続接点を有する高温センサーであって、該接続接点が電気的に該抵抗構造に接触している高温センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる温度センサーは、排気ガス温度および/またはエンジンガスの燃焼温度を測定するのに自動車業界で使用されている。測定はできるだけエンジンに近い所で行われるべきである。従って、かかるセンサーは、燃焼ガスの高温に耐えられるものでなければならない。平形抵抗構造を有する温度センサーは例えば(特許文献1)で知られている。
【0003】
かかる高温で安定な温度センサーの設計に関して、いくつかの提案が従来技術でなされている。例えば、白金抵抗構造の保護として自立型カバーを有するセンサーが(特許文献2)で提案されている。(特許文献3)は、基板が酸化ジルコニウムを含む更に高温のセンサーを公開している。白金層抵抗構造にとって有害なイオンで被毒するのを防ぐため、基板に犠牲電極を追加的に使用することが(特許文献4)で提案されている。
【0004】
上述の手段は高温で作動する温度センサーの開発に適している。しかし、高温で使用されるため、極めて大きい温度勾配が特に温度センサーの冷却中に生じることが多い。同時に、エンジン制御およびエンジン調整には、反応時間がますます短縮された温度センサーが要求されている。加えて、温度センサーは1,100℃までの超高温に耐えなければならず、そうでなければ温度センサーの破壊またはドリフトが生じる。従って、かかる高温においても、頻繁に生じる温度変化の存在下であっても、温度センサーの測定特性が経時的に極端すぎるまたは急速すぎる変動を生じることなく確実に作動する、温度センサーの提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 197 42 696 A1
【特許文献2】DE 10 2007 046 900 B4
【特許文献3】DE 10 2009 007 940 B4
【特許文献4】DE 10 2011 051 845 B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が取り組む課題は、従来技術の欠点を乗り越えることである。特に、急速な温度変化があっても高温で確実に、かつ長期間作動する温度センサーが提供されるべきである。この目的のためには、測定中に生じるセンサーのドリフトを最小限に抑えなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が取り組む課題は、被覆された基板と、少なくとも1つの抵抗構造と、少なくとも2つの接続接点とを備える温度センサー、特に高温センサーであって、該接続接点は該抵抗構造に電気的に接触しており、該基板は酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミックからなり、該酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムは三価の金属と五価の金属の酸化物で安定化されており、該基板は絶縁層および該抵抗構造で被覆されており、該絶縁層のうち抵抗構造が配置されていない空き領域は、少なくとも部分的にセラミック製中間層で被覆されており、該セラミック製中間層には保護層および/またはカバーが配置されている、温度センサーにより解決される。
【0008】
酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムの安定化とは、ある特定の結晶構造が安定化されている構造安定化であると理解することができる。
【0009】
三価の金属と五価の金属の酸化物による結晶構造の安定化により、基板の熱膨張を中間層および抵抗構造の貴金属の熱膨張へ適合させることが可能となる。その結果、抵抗構造中の熱誘起応力を阻止または削減できる。
【0010】
これとの関連で、抵抗構造はセラミック製中間層によって完全に被覆されており、その際、少なくとも、抵抗構造に隣接する絶縁層の領域は覆われていることが好ましいことが想定できる。
【0011】
その結果、抵抗構造の特に効果的な保護が達成できる。
【0012】
更に、抵抗構造は蛇行部分を備えており、蛇行部分と蛇行部分の間に存在する絶縁層の空き領域はセラミック中間層によって覆われているという特徴が提供できる。
【0013】
その結果、抵抗層を絶縁層および中間層に特にしっかりと固定でき、高温であっても、温度の急速な変化であっても、センサー全体を安定的に保持できる。
【0014】
更に、本発明によれば、酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミック中の酸化ジルコニウムは三価の金属と五価の金属の酸化物、好ましくは5〜20モル%の前記酸化物で安定化されているという特徴が提供できる。
【0015】
三価の金属の酸化物として、酸化イットリウムが特に好ましく使用される。五価の金属の酸化物として、酸化タンタルおよび/または酸化ニオブが特に好ましく使用される。適切な混合物は、例えば、EP 0 115 148 B1に記載されている。
【0016】
本発明によれば、少なくとも1つの接続接点に対し、少なくとも1つの電極が絶縁層上で抵抗構造の隣に配置されており、好ましくは、1つの電極がそれぞれ絶縁層上において、抵抗構造に沿って両方の接続接点に配置されており、該1つの電極または複数の電極は抵抗構造と一体的に形成されているという特徴が特に好ましく提供できる。
【0017】
かかる犠牲電極は、抵抗構造にとって有害なイオンを捕捉することにより、温度センサーの寿命を長くする。
【0018】
更に、絶縁層は金属酸化物層、好ましくは酸化アルミニウム層であるという特徴が特に好ましく提供できる。
【0019】
金属酸化物層として、種々の金属酸化物の混合物も使用できる。金属酸化物による基板の被覆は金属酸化物セラミックとして具体化できる。
【0020】
本発明が取り組む課題は、被覆された基板と、少なくとも1つの抵抗構造と、少なくとも2つの接続接点とを備える温度センサー、特に高温センサーであって、該接続接点は該抵抗構造に電気的に接触しており、少なくとも1つの接続接点に対し、少なくとも1つの電極が該基板上で該抵抗構造の隣に配置されており、該1つの電極または複数の電極は該抵抗構造と一体的に形成されており、該抵抗構造と、該基板のうち抵抗構造が配置されていない空き領域とは、少なくとも部分的にセラミック製中間層で被覆されており、該セラミック製中間層には保護層および/またはカバーが配置されている、温度センサーにより解決される。
【0021】
犠牲電極と中間層の組み合わせは、有害な化学的影響に対して特に強力で抵抗力のある温度センサーを提供する。犠牲電極は高温における操作を可能にし、加えて温度センサーは、中間層により温度の急激な変化に耐えられるようになる。
【0022】
本発明によれば、このタイプおよび上述のタイプの温度センサーの場合、1つの電極または複数の電極が抵抗構造を少なくとも部分的に取り囲んでおり、特に少なくとも1つの側が1つの電極によって取り囲まれ、好ましくは抵抗構造の少なくとも2つの側が少なくとも2つの電極によって取り囲まれ、更に特に好ましくは抵抗構造の2つの互いに反対に位置する側が2つの電極によって取り囲まれているという特徴が提供される。
【0023】
その結果、特に優れた保護効果が達成される。
【0024】
更に、本発明の温度センサーは、セラミック製中間層が多孔性であり、セラミック製中間層が1%から20%の多孔性を有しているのが好ましく、5%から15%の多孔性を有しているのが更に好ましく、10%の多孔性を有しているのが特に好ましいという点により特徴付けられる。
【0025】
多孔性により、中間層の熱膨張は、基板あるいは基板の絶縁層、すなわち安定化酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムセラミックあるいは絶縁層の金属酸化物の熱膨張に適合させることができる。
【0026】
本発明の発展形によれば、セラミック製中間層の厚さは1μmから50μmであり、好ましくは、セラミック製中間層の厚さは4μmから10μmであるという特徴が提供できる。
【0027】
かかる厚さは、中間層、カバー層またはカバーが熱膨張率の違いによって割れることなく、当該カバー層および任意でカバーを中間層の上に配置するのに充分な厚さである。
【0028】
更に、保護層はガラス製であり、および/またはカバーはセラミック小板であるという特徴が提供できる。
【0029】
これと関連して、特にカバーを固定するのにガラスを使用してもよい。
【0030】
更に、抵抗構造は白金製または白金合金製、特に白金基合金製であるという特徴が好ましく提供できる。
【0031】
白金または白金合金は、温度センサーの製造には特に適している。
【0032】
最後に、本発明が取り組む課題は、排気ガス系における、エンジン、特に自動車用エンジンを制御および/または調整するための、本発明の温度センサーの使用によっても解決される。
【0033】
本発明は、基板および抵抗蛇行部分を中間層で被覆することにより、高温でも、温度が急速に変化しても、該抵抗蛇行部分を安定に保持できるという驚くべき発見に基づいている。特に安定した温度センサーは、多孔性の中間層を使用した場合に特に製造可能である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の例示的実施態様を以下に概略図を参照して説明するが、本発明がかかる実施態様により制限されることはない。
【0035】
図1は本発明による温度センサーの概略分解立体図を示す。蛇行する層状構造の抵抗構造11が2つの接続接点12、13に電気的に接続されている。抵抗構造11は、約2つより多くの側部で2つの電極14、15によって取り囲まれている。従って、図1に示す温度センサーは、2つの電極14、15を備えており、各電極が接続接点12、13の1つに接続されている。
【0036】
電極14、15は2つの接続接点12、13に接続されており、抵抗構造11を保護するために犠牲電極として使用される。図1に示す電極14、15の1つは、カソードと電気的に接続された後、温度測定抵抗として提供されている抵抗構造11を侵入してくる電気化学的汚染物質から保護する。上記温度センサーは不正確に(すなわち逆極性で)接続されることはないので、この方法は温度センサーの設置を簡略化する。従って、測定抵抗のドリフトが電気接続とは独立して大幅に減少する。本実施態様の特に重要な特長は、ハウジングが任意の極性および電位を有することができることである。
【0037】
安定化酸化ジルコニウムでできている、または安定化酸化ジルコニウム製の酸化ジルコニウムセラミックでできている基板16は酸化アルミニウム製の絶縁層17で被覆されているので、高温で導電性になる酸化ジルコニウムによって抵抗構造11が短絡することが確実に生じなくなり、更に酸化ジルコニウムと白金製蛇行部分11との間の有害な相互作用が阻止される。抵抗構造11、接続接点12、13および電極14、15が、ZrO基板16のAl被覆17上に一体構造として具備される。抵抗構造11は1つの作業工程、例えば写真蝕刻法により製造される。従って、全構成が安定化酸化ジルコニウムまたは安定化酸化ジルコニウム製の酸化ジルコニウムセラミック16のAl被覆17の平面上に、例えば薄膜として配置できる。接続接点12、13は、抵抗構造11および電極14、15と同じ素材で作られている。その素材としては、白金または白金合金が好ましく使用される。
【0038】
抵抗構造11には、基板16の反対側に中間層として拡散隔膜層が備わっており、該中間層はガラスまたはガラスセラミック製のパッシベーション被覆19で覆われている。
【0039】
カバー20は、白金含有抵抗構造11のデリケートな構造を環境起因の大気毒から効果的に保護する。ガラスセラミック19のセラミックおよびガラス成分の純度が高いので、白金製の抵抗構造11にとって特に有害なカチオンは、かかる多層設計により阻止される。上記カチオンは高温で電場に移動することにより急速に白金を汚染し、結果として生じる白金合金の温度/抵抗機能にひどい悪影響を及ぼすので、温度測定に必要な抵抗構造11の高温抵抗がもはや機能しなくなるほどである。熱力学第一法則的に安定で純度の高いハフニウムまたは酸化アルミニウムの層が中間層18すなわち拡散隔膜18として使用されているので、白金にとって有毒なシリコンや他の物質またはイオンの侵入が確実に最小限に抑えられる。従って、例えば蛇行した形状を有する抵抗構造11は、基板側からだけでなくその反対側からも被毒に対する保護が提供される。中間層すなわち拡散隔膜18は物理蒸着により作製できる。
【0040】
セラミック層18は化学量論的に極めて正確な方法で適用され、純度の高い酸化アルミニウム(Al)の極めて安定した層が抵抗構造11の白金構造体をカバーする。従って、ガラスセラミック製のシリコン含有パッシベーション層19とアクティブな白金抵抗構造11との接触は極めて僅かであり、従って、抵抗構造11のシーリングは外部汚染要素に対する機械的保護として確実なものとなる。
【0041】
中間層18は、中間層18内に約10%の低多孔性が存在するように適用される。中間層18の適切な多孔性により、中間層18の熱膨張はZrO被覆17の熱膨張率に適合させることができる。その結果、抵抗構造11はZrO被覆17と中間層18との間に埋め込まれる。本発明によれば、特に温度安定な温度センサーはこのようにして作製できることが見出され、その場合、上記温度センサーは、いくつかの温度変化、しかも特に高温では急速な温度変化にも耐えられる。このタイプの従来型の温度センサーは1000℃の温度またはこれよりも僅かに高温で約500の急速な変化にしか耐えられないが、本発明の設計では、かかる温度で約5,000の温度変化を測定でき、しかも極端すぎるほどのドリフトや温度センサーの破壊などが生じることはない。
【0042】
図1によれば、ガラスセラミック19の上にセラミック小板20が適用される。セラミック小板20は追加のパッシベーションであり、実際の温度センサーを連結するハウジング内の粒子による摩耗に対して機械的「保護遮蔽」として機能する。これは、機械的摩耗および電気化学的汚染に対する保護を提供する。しかし、本発明によれば、セラミック小板20は省いてもよい。
【0043】
図1に示される実施態様では、接続パッド23および24上にリード線21および22を有する温度センサーの接続接点12、13は、電気的に絶縁されている固定器25によって歪みが緩和されている。この固定器25は高度に純粋なガラスまたはガラスセラミック製である。
【0044】
拡散隔膜18としての中間層に関する上述の実施態様に加えて、0.2μmから10μmの範囲、好ましくは5μmの厚さを有する薄膜法か、5μmから50μmの範囲、好ましくは15μmの厚さを有する厚膜法のいずれかによって、これが適用されることに注目されたい。
【0045】
抵抗構造11上の接続接点パッド23、24の厚さは、10μmから50μmの範囲、好ましくは20μmである。担体としての基板16は、0.1mmから1mmの範囲、好ましくは0.4mm、特に好ましくは0.38mmの厚さを有している。
【0046】
接続接点12、13は両方とも一方側に配置されているが、2つの接続接点12、13が反対側に配置されている本発明の耐熱性抵抗または温度センサー、好ましくは高温センサーの実施態様を使用することも可能である。
【0047】
図1が明白に示すように、Al層18が中間層18として適用された後、ガラスセラミック19が適用され、次に厚層として接続パッド23、24が適用され、最後にセラミックカバー20が適用される。次に、リード線21、22が接続され、該リード線21、22の歪みを緩和するために固定器25が適用される。
【0048】
上述の説明、特許請求項の範囲、図面および例示的実施態様で開示した本発明の特徴は、種々の実施態様で本発明を実現するにあたり、個別的にまたはそれらのあらゆる組み合わせにおいて非常に重要である。
【符号の説明】
【0049】
11 抵抗構造、 12 接続接点/カソード、 13 接続接点/アノード、 14、15 電極、 16 安定化ZrO基板、 17 酸化アルミニウム絶縁層、 18 中間層/多孔性酸化アルミニウム層、 19 パッシベーション層/ガラスセラミック、 20 カバー/セラミック、 21、22 リード線、 23、24 接続パッド、 25 固定器/歪み緩和器
図1