(54)【発明の名称】光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを判定するための方法及び装置、光伝送インターフェイスを構成するための方法及び装置、並びに情報記憶媒体
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学帯域フィルタを介して第2の装置に光信号を伝送するために第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを判定するための方法であって、
前記第2の装置は、前記第1の装置によって或る搬送波波長で伝送される光信号であって、前記搬送波波長が前記光学帯域フィルタの通過域に含まれるときに前記光学帯域フィルタによって出力される光信号を受け取れるように構成される光受信インターフェイスを有しており、
前記搬送波波長及び/又は前記光学帯域フィルタの前記通過域は事前に分かっておらず、
モニタ装置が、
−前記光信号によって前記第2の装置が受け取る符号語と前記第1の装置が伝送する対応する符号語との間の差異レベルの漸進的変化をモニタリングするステップと、
−前記モニタリングに基づいて、前記光学帯域フィルタの前記通過域に前記搬送波波長が一致するように前記搬送波波長について前記第1の装置の前記光伝送インターフェイスの前記構成を調節しなければならないかどうかを判定するステップと
を実行する
ことを特徴とする、方法。
前記第1の差異レベル及び前記第2の差異レベルは、或る積分期間にわたって積分される、前記第2の装置が受け取る符号語と前記第1の装置が伝送する対応する符号語との間の複数の差異レベルにそれぞれ対応する
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
前記モニタ装置は、前記第2の装置が前記光学帯域フィルタを介して前記第1の装置から受け取る符号語記号の信号の時間的形状を解析することにより、離調情報と前記差異レベルのそれぞれの累積変動量との間の前記対応リストを前もって求める
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
光学帯域フィルタを介して第2の装置に光信号を伝送するために第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを判定するためのモニタ装置であって、
前記第2の装置は、前記第1の装置によって或る搬送波波長で伝送される光信号であって、前記搬送波波長が前記光学帯域フィルタの通過域に含まれるときに前記光学帯域フィルタによって出力される光信号を受け取れるように構成される光受信インターフェイスを有し、
前記搬送波波長及び/又は前記光学帯域フィルタの前記通過域は事前に分かっておらず、
前記モニタ装置が、
−前記光信号によって前記第2の装置が受け取る符号語と前記第1の装置が伝送する対応する符号語との間の差異レベルの漸進的変化をモニタリングするための手段と、
−前記モニタリングに基づいて、前記光学帯域フィルタの前記通過域に前記搬送波波長が一致するように前記搬送波波長について前記第1の装置の前記光伝送インターフェイスの前記構成を調節しなければならないかどうかを判定するための手段と
を含む
ことを特徴とする、モニタ装置。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明について受動光ネットワークとの関係で詳細に述べる。但し、本発明はそのような関係に限定されず、第1の光通信装置から第2の光通信装置に光学帯域フィルタを介して光信号を伝送する一般的な範囲内で実施できることを理解すべきである。
【0041】
波長と周波数とは直接的な反比例関係によって結び付けられているため、これらの2つの用語は同じ概念を指すことから、当業者はこれらの2つの用語を区別なく使用することを指摘しておく必要がある。
【0042】
図1は、本発明を実装することができる、受動光ネットワーク100のアーキテクチャを概略的に示す。受動光ネットワーク100は、マスタ装置110、複数のスレーブ装置141、142、143、及びスペクトル分割装置120を含む。
スレーブ装置141、142、143は、スペクトル分割装置120を介してマスタ装置110に相互接続される。マスタ装置110に相互接続可能なスレーブ装置の台数を増やすために、以下に記載のパワースプリッタをスレーブ装置とスペクトルフィルタ装置120との間に配置しても良い。受動光ネットワーク100の全ての相互接続が光ファイバを使用することによって行われる。
【0043】
受動光ネットワーク100との関係では、スレーブ装置141、142、143はONU(Optical Network Unit)(光終端装置)タイプのものである。ONUは、典型的にはエンドユーザの世帯に置かれることを目的とする。受動光ネットワーク100との関係では、マスタ装置110がOLT(Optical Line Terminal)(光加入者線端局装置)タイプのものである。マスタ装置110は、ONUがコアネットワーク又はメトロポリタンネットワーク(不図示)にアクセスすることを可能にする。
【0044】
スレーブ装置141、142、143は、パワースプリッタ装置132を介してスペクトル分割装置120に接続することができる。パワースプリッタ装置132は、ダウンリンク方向の入力信号を複数の対応する信号に分ける受動分配器であり、それらの信号のパワーはスレーブ装置141、142、143に向かうリンクの数で割られる。パワースプリッタ装置132がダウンリンク方向の各リンク上で出力する信号は、入力信号と同じ情報を含み、パワースプリッタ装置132は信号のパワーに対してのみ影響を及ぼす。
【0045】
他のスレーブ装置も、パワースプリッタ装置131、133を介してスペクトル分割装置120に接続することができる。各パワースプリッタ装置131、132、133、及び接続されるスレーブ装置が、OLTを有するPON(Passive Optical Network)(受動光ネットワーク)タイプのネットワークを形成する。PONは、スペクトル分割装置120によってフィルタされるそれぞれの波長域上で動作する。これを実現するために、スペクトル分割装置120は、それぞれの波長域をフィルタし、それによりスペクトル分割装置120がWDM(Wavelength Division Multiplexing)(波長分割多重)を行うことを可能にすることを目指して、PONごとに1対の光学帯域フィルタを含む。
【0046】
従って
図1に示すように、スペクトル分割装置120は、パワースプリッタ装置132及びその関連するスレーブ装置141、142、143のPON上の伝送に充てられる光学帯域フィルタ121及び122を含む。
本明細書で以下アップリンクフィルタと呼ぶ第1のフィルタ122は、アップリンク方向の光信号、即ちスレーブ装置141、142、143からマスタ装置110への光信号をフィルタする役割を担う。
本明細書で以下ダウンリンクフィルタと呼ぶ第2のフィルタ121は、ダウンリンク方向の光信号、即ちマスタ装置110からスレーブ装置141、142、143への光信号をフィルタする役割を担う。
各フィルタ121、122は、中心波長とも呼ばれる公称波長とともに、帯域幅又は通過域によって定められる光学帯域フィルタである。
【0047】
検討するアップリンク又はダウンリンク方向について、スペクトル分割装置120の全てのフィルタは、好ましくは同じ帯域幅の値を有し、好ましくは一定のスペクトル距離間隔を空けられる。
しかし、フィルタの公称波長、従ってフィルタの実効通過域は、事前に分かっていない。
スペクトル分割装置120は好ましくは受動的であり、フィルタの公称波長、従ってフィルタの実効通過域は、スペクトル分割装置120の温度に応じて変動する場合がある。典型的には、−40℃〜80℃の範囲内の温度では、公称波長、従って実効通過域が石英系光ファイバでは±0.6nm変動する可能性があり、この変動は約200GHzの周波数帯にわたる周波数偏移に相当する。
【0048】
更に、同じ理由から、スレーブ装置141、142、143又はマスタ装置110のいずれかの光伝送インターフェイスの所与の構成に対応する実効搬送波波長が分かっていない場合がある。
【0049】
従って、アップリンクフィルタ122の帯域幅又は通過域内の搬送波周波数でアップリンク方向に光信号を伝送するように、スレーブ装置141、142、143を構成する必要がある。更に、ダウンリンクフィルタ121の帯域幅又は通過域内の搬送波周波数でダウンリンク方向に光信号を伝送するように、マスタ装置110を構成する必要がある。
【0050】
光学帯域フィルタを介して第2の装置に光信号を伝送するために第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを判定するために、
モニタ装置が、前述の光信号によって第2の装置が受け取る符号語と第1の装置が伝送する対応する符号語との間の差異レベルの漸進的変化をモニタし、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを前述のモニタ動作に基づいて判定することを提案する。
第2の装置は、第1の装置によって搬送波波長で伝送される光信号であって、前述の搬送波波長が光学帯域フィルタの通過域に含まれるときに、前述の光学帯域フィルタによって出力される光信号を受け取れるように構成される光受信インターフェイスを有する。
搬送波波長及び/又は光学帯域フィルタの通過域は事前に分かっていない。
【0051】
モニタ装置は、光信号を受け取る第2の装置に実装することができる。この場合、第2の装置が、前述のモニタ動作に基づき、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスを再構成するように命令する。
【0052】
改変形態では、光信号を伝送する第1の装置にモニタ装置を実装することができる。この場合、第2の装置が、予期される符号語と第2の装置によって有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を第1の装置に与え、それに応じて、第1の装置が、自らの光伝送インターフェイスを調節しなければならないかどうかを判定し、必要な場合は何時でも調節を行う。
【0053】
別の改変形態では、第1の装置及び第2の装置に接続される第3の装置にモニタ装置を実装することができる。この場合、第2の装置が、予期される符号語と第2の装置によって有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を第3の装置に与え、それに応じて、第3の装置が、第1の装置の光伝送インターフェイスを調節しなければならないかどうかを判定し、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスを再構成するように命令する。
【0054】
受動光ネットワーク100との関連では、ダウンリンク及びアップリンクの光伝送をモニタするために、マスタ装置110にモニタ装置を実装することができる。更に別の改変形態では、ダウンリンク及びアップリンクの光伝送をモニタするために、スレーブ装置141、142、143にモニタ装置を実装することができる。
【0055】
図2は、受動光ネットワークの光学帯域フィルタの信号減衰(
図2ではaで表わす)を概略的に示す。周波数を横軸(水平軸)として表し、伝送(transmittance)(
図2ではTで表わす)を縦軸(垂直軸)として表す。
【0056】
光学帯域フィルタの通過域は公称周波数f
0に中心がある。公称周波数f
0は、事前に分かっておらず、温度に応じて変動し得る。
図2は、低遮断周波数f
0−εと高遮断周波数f
0+εとの間のフラットトップ200を示し、このフラットトップの幅は2εに等しい。低遮断周波数f
0−εと高遮断周波数f
0+εとの間では減衰が生じないと考えることができる。
【0057】
図2は、低遮断周波数f
0−εよりも低い周波数の立ち上がり端201と、高遮断周波数f
0+εよりも高い周波数の立ち下がり端202とを示す。
フラットトップフィルタでは、立ち上がり端及び立ち下がり端の傾斜が急であり、このことは短い周波数範囲内で減衰が最小から最大まで変動し得ることを意味する。立ち上がり端及び立ち下がり端の傾斜は、傾斜の絶対値が少なくとも500dB/nmの大きさを有する場合に急であると考えられる。
【0058】
従って、光信号の搬送波周波数がフラットトップ200の周波数範囲内にある場合、信号の減衰は起こらない。しかし、光信号の搬送波周波数が低遮断周波数f
0−ε又は高遮断周波数f
0+εに近い場合、温度の僅かな変化が周波数の僅かな偏移を暗に意味する場合があり、このことは光信号の減衰が著しく変化することを含意し得る。
【0059】
図3は、モニタ装置を含む装置のアーキテクチャを概略的に示す。
【0060】
モニタ装置は、コントローラモジュール301、離調判定モジュール302、復号マージン推定モジュール303、及びビット距離解析モジュール305を含む。
【0061】
コントローラモジュール301は、リンク310を介して離調判定モジュール302から離調情報Δλを受け取るように適合され、離調情報Δλは少なくとも1つの参照表(LUT)に基づいて構築され得る。
【0062】
コントローラモジュール301は、リンク311を介して復号マージン推定モジュール303から復号マージン情報を受け取るように更に適合される。
【0063】
図9に関して以下で詳述するように、コントローラモジュール301は、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成をしかるべく調節するように第1の装置に命令する波長調節コマンドを第1の装置に伝送するように更に適合される。コントローラモジュール301は、離調判定モジュール302によって与えられる離調情報Δλに基づき、波長調節コマンドを生成するように更に適合される。
【0064】
コントローラモジュール301は、リンク315を介してビット距離解析モジュール305にリフレッシュ期間調節コマンドを伝送するように更に適合され得る。
リフレッシュ期間調節コマンドは、リフレッシュ期間をしかるべく調節するように、ビット距離解析モジュール305に命令するものである。リフレッシュ期間は、ビット距離解析モジュール305による差異レベルΔdecの連続した2回の解析間の期間を定めるものである。差異レベルΔdecは、第1の装置が伝送する符号語と第2の装置が有効に受け取る対応する符号語との間のものである。
コントローラモジュール301は、復号マージン推定モジュール303によって与えられる復号マージン情報に基づき、リフレッシュ期間調節コマンドを生成するように更に適合される。
【0065】
ビット距離解析モジュール305は、第2の装置が第1の装置から受け取る符号語について、第1の装置が伝送する前述の符号語と第2の装置が有効に受け取る対応する符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を、リンク321を介して受け取るように適合される。
【0066】
差異レベルΔdecは、例えば伝送される符号語と受け取られる符号語との間のユークリッド距離として表現される。それを行うためにソフト復号(soft decoding)の結果を使用することができる。差異レベルΔdecは、ビット誤り率(BER)として、又は伝送された符号語を回復するために第2の装置が遭遇する困難を表す任意のメトリックとして表現することもできる。
【0067】
簡単にするために、本明細書では差異レベルΔdecの解析をビット距離解析と呼ぶが、モニタ装置は、ビット距離の他に、伝送された符号語を回復するために第2の装置が遭遇する困難を表す別のメトリックを処理しても良い。
【0068】
好ましい実施形態では、第1の装置及び第2の装置が、例えばリードソロモン誤り訂正符号や低密度パリティ検査(Low-Density Parity-Check)(LDPC)符号を使用する等して、順方向誤り訂正(Forward Error Correction)(FEC)を実施する。
従って、差異レベルΔdecは、第2の装置が受け取る符号語と、第2の装置がFEC符号により復号する対応する符号語との間の差の大きさを表す。差異レベルΔdecは、受け取られる符号語の信頼性を表すものである。
【0069】
別の実施形態では、例えば周期的フレームの一部であり得る既定の期間内等に、第2の装置が知る既定の符号語を第1の装置が第2の装置に伝送する。
従って、第2の装置はソフト符号化を実施することなしに、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルを表す情報を求めることができ、何れにせよ前述の情報は、伝送される符号語と受け取られる符号語との間のビット誤り率若しくはユークリッド距離、又は伝送された符号語を回復するために第2の装置が遭遇する困難を表す任意のメトリックである。
【0070】
好ましくは前述の差異レベルΔdecが指す符号語がFEC復号されるとき、差異レベルΔdecを表す情報が、リンク321を介して第2の装置によって与えられる。差異レベルΔdecを表す情報は、FEC復号が実行されたら求めることができ、又は信頼水準を伴うFEC復号の中間結果に基づき得る。
【0071】
図6及び
図7に関して以下で詳述するように、ビット距離解析モジュール305は、受け取った差異レベルΔdecを解析するように更に適合される。
ビット距離解析モジュール305は、受け取った差異レベルΔdecの解析に由来する差異レベルΔdecの累積変動量Δaccを表す情報を、リンク313を介して離調判定モジュール302に与えるように更に適合される。
ビット距離解析モジュール305は、所定の積分期間にわたる受信済みの差異レベルΔdecを表す情報を、リンク314を介して復号マージン推定モジュール303に与えるように更に適合される。
ビット距離解析モジュール305は、コントローラモジュール301からリフレッシュ期間調節コマンドを受け取り、それに応じて
図8に関して以下で詳述する通りに前述のリフレッシュ期間を調節するように更に適合され得る。
【0072】
離調判定モジュール302は、ビット距離解析モジュール305によって与えられる差異レベルΔdecの累積変動量Δaccを表す情報と、離調判定モジュール302によってコントローラモジュール301に与えられる前述の離調情報Δλとの間の対応関係を判定するように適合される。
【0073】
復号マージン推定モジュール303は、ビット距離解析モジュール305によって与えられる所定の積分期間にわたる受信済みの差異レベルΔdecを表す情報が、第2の装置が復号限界Tdecにもうすぐ達することを示すかどうかを判定するように適合される。復号限界Tdecは、最大差異レベルであって、それを超えると第1の装置によって伝送される符号語を第2の装置が回復できない最大差異レベルに相当する。
復号マージン推定モジュール303は、前述の復号マージン情報をコントローラモジュール301に適宜与えるように更に適合される。
【0074】
モニタ装置は、信号形状解析モジュール304を更に含むことができる。信号形状解析モジュール304は、リンク312を介して離調判定モジュール302に対応情報を投入する役割、例えばLUTの前に投入する役割を担う。
信号形状解析モジュール304は、離調の大きさと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を推定するために、受け取った光信号の形状を解析するように適合される。
信号形状解析モジュール304は、信号形状情報とともに、前述の信号形状に対応する符号語の前述の差異レベルΔdecを表す情報を、リンク320を介して受け取るように適合される。
【0075】
信号形状解析モジュール304は、減衰解析モジュールに置き換えることができる。その減衰解析モジュールは、離調の大きさと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を推定するために、
図12に関して以下で詳述する波長走査操作中に光信号の減衰を解析するように適合される。
減衰解析モジュールは、信号強度測定値情報とともに、前述の信号強度測定値に対応する符号語の前述の差異レベルΔdecを表す情報を、リンク320を介して受け取るように適合される。
【0076】
図4は、モニタ装置を含む装置のハードウェアプラットフォームを概略的に示す。例えば、マスタ装置110がモニタ装置を含むと考えられる。
【0077】
図示のハードウェアプラットフォームによれば、マスタ装置110は、通信バス410によって相互接続される以下の構成要素、すなわちプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はCPU(中央処理装置)400、RAM(ランダムアクセスメモリ)401、ROM(読取専用メモリ)402、記憶手段上に記憶されている情報を読み取るように適合される装置403、光信号を送受信するためにスペクトル分割装置120に接続されることを目的とする第1の通信インターフェイス404、及びコアネットワーク又はメトロポリタンネットワークに接続されることを目的とする第2の通信インターフェイス405である。
【0078】
CPU400は、ROM402又は他の任意の記憶手段からRAM401内にロードされた命令を実行することができる。マスタ装置110への電源投入後、CPU400は、RAM401から命令を読み取り、それらの命令を実行することができる。それらの命令は、以下に記載するアルゴリズムのステップの一部若しくは全てをCPU400に実行させ、且つ/又は
図3に関して先に記載したモジュールをCPU400に実装させる、1つのコンピュータプログラムを形成する。
【0079】
接続されたスレーブ装置が受動光ネットワーク100の関連装置と通信できるように通信インターフェイスが適合されることを除き、
図4に概略的に示すハードウェアプラットフォームに基づいてスレーブ装置141、142、143を実装しても良いことを指摘できる。
【0080】
本明細書に記載のアルゴリズムの任意の及び全てのステップ並びに
図3に示すアーキテクチャは、DSP(デジタル信号プロセッサ)やマイクロコントローラ等のプログラム可能な計算機が命令若しくはプログラムのセットを実行することにより、ソフトウェアによって実装することができるか、又はFPGA(書替え可能ゲートアレイ)やASIC(特定用途向け集積回路)等の機械若しくは専用構成要素によりハードウェアによって実装することができる。
【0081】
図5は、温度変化により、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかを判定するためのアルゴリズムを概略的に示す。
【0082】
第2の装置に光信号を伝送するために第1の装置が使用する搬送波波長と、第1の装置と第2の装置との間にある光学帯域フィルタの通過域との間に不一致があるかどうかを判定するために、ステップS510で、前述の光信号によって第2の装置が受け取る符号語と、第1の装置が伝送する対応する符号語との間の差異レベルΔdecの漸進的変化をモニタ装置がモニタする。
次いでステップS520で、前述のモニタリングに基づき、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならないかどうかをモニタ装置が判定する。
【0083】
図5は、ステップS510及びステップS520の詳細な実施形態を示す。
より具体的には、第1の装置と第2の装置との間の光学経路が損傷を受ける場合、モニタ装置は、温度変化に起因する差異レベルΔdecの漸進的変化の一部と、前述の損傷に起因する差異レベルΔdecの漸進的変化の一部とを区別する。
実際に、そのような損傷が生じる場合、前述の差異レベルΔdecの漸進的変化における前述の損傷の寄与度を、前述の差異レベルΔdecの漸進的変化における搬送波波長と光学帯域フィルタの通過域との間の不一致の寄与度と混同すべきではない。その理由は、搬送波波長を調節しても、かかる損傷に関係する復号の問題を解決する助けにはならないからである。
【0084】
ステップS501で、モニタ装置が、第1の装置が伝送する符号語と第2の装置が有効に受け取る対応する符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を第2の装置から得る。従ってモニタ装置は、第2の装置が受け取る複数の符号語に関する差異レベルΔdecを表す前述の情報を得る。
【0085】
次のステップS502で、モニタ装置が所定の積分期間にわたり、差異レベルΔdecを表す前述の情報を積分する。前述の所定の積分期間は、本明細書では単純に積分期間と呼ぶ。つまりモニタ装置は、前述の複数の符号語に関する差異レベルΔdecを表す受信情報から、平均差異レベルを得る。
積分期間は、例えば経験的に定められるか、又は第1の装置から第2の装置への光伝送に使用される変調方式に従って定められた既定値(default value)とすることができる。第2の装置からは積分情報に関係する符号語が送出される。
【0086】
次のステップS503で、モニタ装置が、複数の積分期間にわたる差異レベルΔdecの連続的且つ単調な漸進的変化を抽出する。つまり、モニタ装置は、差異レベルΔdecの漸進的変化における不連続性を除去する。
実際に、温度が変化して、第1の装置と第2の装置との間に配置される光学帯域フィルタの通過域に対する第1の装置の光伝送インターフェイスの構成の一致を修正する場合、差異レベルΔdecに対するこの温度変化の影響の漸進的変化は連続的であり、単調であることが予期される。
逆に、急な損傷は、差異レベルΔdecの漸進的変化における不連続性を示すことが予期される。
従って、複数の積分期間にわたる差異レベルΔdecの抽出された連続的且つ単調な漸進的変化は、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成と前述の光学帯域フィルタの通過域との間の、温度変化に起因する、あり得る不一致を表す。
前述の差異レベルΔdecの連続的且つ単調な漸進的変化を抽出することがステップS510を終了させる。
【0087】
次のステップS504で、抽出された差異レベルΔdecの漸進的変化が、少なくとも1つの既定の基準に従って許容できるかどうかをモニタ装置が確認する。
かかる既定の基準は、例えば安定的な又は向上する差異レベルΔdecを前述の漸進的変化が示すときに、抽出された差異レベルΔdecの漸進的変化が許容できるとモニタ装置が見なすためのものである。
かかる基準が満たされていることは、差異レベルΔdecの時間による導関数を用いて評価することができる。
別の例によれば、かかる既定の基準は、累積差異レベルΔaccが一定の閾値を上回るときに、抽出された差異レベルΔdecの漸進的変化が許容できないとモニタ装置が見なすためのものである。
かかる累積差異レベルΔaccについては
図7及び
図9に関して以下で詳述する。
別の例によれば、かかる基準は、第1の装置の光伝送インターフェイスによる搬送波波長のチューニングの粒度を上回る変化を差異レベルΔdecの漸進的変化が示すときである。
【0088】
抽出された差異レベルΔdecの漸進的変化が許容できるものであるとモニタ装置が見なす場合、ステップS505が実行され、さもなければステップS506が実行される。
【0089】
ステップS505では、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成は調節される必要はないとモニタ装置が判定する。
【0090】
ステップS506では、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節する必要があるとモニタ装置が判定する。モニタ装置は、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節しなければならない程度を前述の累積差異レベルΔaccによって決定することができる。
【0091】
ステップS506に続き、モニタ装置は、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスの構成を調節するように命令する。この態様については
図9に関して以下で詳述する。モニタ装置が、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスの構成を効果的に調節するように命令する場合、本明細書ではそのモニタ装置を構成側装置と呼ぶ。
【0092】
前述のモニタリングステップの少なくとも1つの実施形態の詳細な実装形態を
図6〜9に関して以下に示す。
【0093】
図6は、予期される符号語と第2の装置によって有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を処理するためのアルゴリズムを概略的に示す。
【0094】
ステップS601で、第1の装置が伝送する符号語と第2の装置が有効に受け取る対応する符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報をモニタ装置が第2の装置から得る。従ってモニタ装置は、第2の装置が受け取る複数の符号語に関する差異レベルΔdecを表す前述の情報を得る。ステップS601は、既に説明したステップS501に対応する。
【0095】
次のステップS602で、モニタ装置が、差異レベルΔdecを表す前述の情報を所定の積分期間にわたって積分する。ステップS602は、既に説明したステップS502に対応する。単純にするために、所定の期間iにわたる積分の結果をRIW(i)で示し、iは自然数のインデックスである。
【0096】
次のステップS603で、PIWで示すリフレッシュ期間が経過しているかどうかをモニタ装置が確認する。
図8に関して以下で詳述するように、リフレッシュ期間PIWは調節することができる。リフレッシュ期間は、予期される符号語と第2の装置が有効に受け取る符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を2回連続して集める間の期間に対応する。
【0097】
リフレッシュ期間が経過していない場合、ステップS603が繰り返される。さもなければ、ステップS601が繰り返され、モニタ装置は予期される符号語と第2の装置が有効に受け取る符号語との間の差異レベルΔdecを表す新たな情報を集め、その後、新たな積分を行う。
【0098】
従って
図6のアルゴリズムは、ビット距離解析を行うために、第2の装置から必要な情報を得ること、及び前述の必要な情報を更にフォーマットし又は前処理することを目指す。
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図6のアルゴリズムはビット距離解析モジュール305によって実行される。
【0099】
図7は、ビット距離解析を行うためのアルゴリズムを概略的に示す。
【0100】
ステップS701では、
図6に関して既に詳述したように、連続した2つの積分期間に関する積分情報RIW(i−1)及びRIW(i)をモニタ装置が得る。
【0101】
次のステップS702で、モニタ装置が以下のようにDIの値を求める。
DI=(RIW(i)−RIW(i−1))/PIW
【0102】
DIの値は、予期される符号語と第2の装置が有効に受け取る符号語との間の差異レベルΔdecの漸進的変化において、不連続性が生じたかどうかを示す。
【0103】
次のステップS703で、モニタ装置は、DIの絶対値が所定の閾値DIWを上回るかどうかを確認する。所定の閾値DIWは、経験的に定めるか、又は第1の装置から第2の装置への光伝送に使用される変調方式に依拠する既定値に設定されることができ、第2の装置からは積分情報RIW(i)に関係する符号語が送出される。
【0104】
DIの絶対値が所定の閾値DIWを上回る場合(これは、差異レベルΔdecの漸進的変化における不連続性が検出されたことを意味する)、ステップS701が繰り返され、さもなければステップS704が実行される。
【0105】
リフレッシュ期間PIWが固定されている場合、DIの値を以下のように求めることができることを指摘しておく必要がある。
DI=RIW(i)−RIW(i−1)
【0106】
この場合、所定の閾値DIWの値が適合して設定される。
【0107】
ステップS704で、モニタ装置が、温度変化の寄与度と関係がある差異レベルΔdecの変動に対応する累積変動量Δaccを更新する。第1の積分情報RIW(0)では、累積変動量Δaccを0に設定する。累積変動量Δaccは、Δaccの前の値に減算RIW(i)−RIW(i−1)の符号付きの結果を加算することによって更新される。
【0108】
次のステップS705では、モニタ装置が、既に述べた復号マージン情報を求めるための積分情報RIW(i)を提供する。モニタ装置は、既に述べた離調情報Δλを求めるための累積変動量Δaccを更に提供する。
【0109】
従って、
図7のアルゴリズムは、ビット距離解析を実行することを目指し、この関連では、予期される符号語と第2の装置が有効に受け取る符号語との間の差異レベルΔdecの漸進的変化内で認められる不連続性を除去することを目指す。
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図7のアルゴリズムはビット距離解析モジュール305によって実行され、ビット距離解析モジュール305は、累積変動量Δaccを離調判定モジュール302に与え、積分情報RIW(i)を復号マージン推定モジュール303に与える。
【0110】
図8は、リフレッシュ期間を調節するためのアルゴリズムを概略的に示す。既に述べたように、リフレッシュ期間は固定することができ、又は調節されても良い。
【0111】
ステップS801で、積分情報RIW(i)及び既に述べた復号限界Tdecから、モニタ装置が推定復号マージンDを得る。復号限界Tdecは、経験的に定めるか、又は第1の装置から第2の装置への光伝送に使用される復号方式に従って定められることができる。第2の装置からは積分情報RIW(i)に関係する符号語が送出される。復号マージンDは、積分情報RIW(i)と復号限界Tdecとの間の差に相当する。
【0112】
図3に示すアーキテクチャとの関連では、復号マージンDは、復号マージン推定モジュール303によって推定されるとともに、その復号マージン推定モジュール303によってコントローラモジュール301に更に与えられる。
【0113】
次のステップS802で、モニタ装置は、復号マージンDが所定の閾値TdecMを上回るかどうかを確認する。復号マージンDが所定の閾値TdecMを上回る場合、ステップS801が繰り返され、さもなければステップS803が実行される。
【0114】
ステップS803で、モニタ装置がリフレッシュ期間PIWを一時的に短縮する。その後、ステップS801が繰り返される。
【0115】
従って、
図8のアルゴリズムは、第2の装置の復号能力と比較した第2の装置の残りのマージンに照らし、搬送波波長調節の反応性を適合させることを目指す。これにより、反応性とパワー消費量との間のトレードオフを定めることが可能になる。
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図8のアルゴリズムはコントローラモジュール301によって実行され、コントローラモジュール301はリフレッシュ期間調節コマンドをビット距離解析モジュール303に与える。
【0116】
図9は、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節するように前述の第1の装置に命令するためのアルゴリズムを概略的に示す。
【0117】
ステップS901で、モニタ装置が前述の累積変動量Δaccを得る。
【0118】
図3に示すアーキテクチャとの関連では、前述の累積変動量Δaccは、離調判定モジュール302によって求められるとともに、その離調判定モジュール302によってコントローラモジュール301に更に与えられる。
【0119】
次のステップS902で、モニタ装置が、取得された累積変動量Δaccから、及び離調情報のセットとそれぞれの累積変動量のセットとの間の対応関係の情報から、既に述べた離調情報Δλを得る。
既に述べたように、離調情報のセットとそれぞれの累積変動量のセットとの間の前述の対応関係はLUTにおいて実装することができる。かかるLUTは、第1の実施形態では
図10及び
図11に関して以下で詳述するように、又は第2の実施形態では
図12、
図13A、及び
図13Bに関して以下で詳述するように、データを投入することができる。
【0120】
次のステップS903で、モニタ装置は、離調情報Δλが所定の閾値TIを上回るかどうかを判定する。
【0121】
所定の閾値TIは、例えば経験的に定められるか、又は第1の装置から第2の装置への光伝送に使用される変調方式及び/若しくはFEC方式に従って定められた既定値とすることができる。第2の装置からは取得された累積変動量Δaccに関係する符号語が送出される。
【0122】
離調情報Δλが所定の閾値TIを上回る場合、ステップS904が実行される。さもなければステップS901が繰り返される。
【0123】
ステップS904で、モニタ装置が少なくとも1つの波長調節コマンドを第1の装置に伝送する。その結果、第1の装置は、前述の第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を調節する。従って、第1の装置から第2の装置への光伝送に使用される搬送波波長が修正される。
【0124】
搬送波波長を増加すべきか減少すべきかモニタ装置が分からない場合があるため、モニタ装置は、搬送波周波数をチューニングすべき既定の方向を示すことができる。
次いで、第1の装置が自らの光伝送インターフェイスの構成を修正したら、モニタ装置は、差異レベルΔdecのその後の漸進的変化が適切な方向への調節を示すかどうかを確認する。
適切な方向への調節を示していない場合、モニタ装置は、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスの構成を逆方向に調節するように命令する。この態様についてはステップS905及びステップS906に関して以下で詳述する。
【0125】
ステップS905で、モニタ装置は、伝送された波長調節コマンドが差異レベルΔdecの漸進的変化に正しい方向で影響したかどうかを確認する。伝送された波長調節コマンドが差異レベルΔdecの漸進的変化に正しい方向で影響している場合、ステップS901が繰り返される。さもなければステップS906が実行される。
【0126】
ステップS906で、モニタ装置が、少なくとも1つの逆波長調節コマンドを第1の装置に伝送する。この逆波長調節コマンドは、ステップS904で伝送された波長調節コマンドの影響を打ち消し、離調情報Δλに従って搬送波波長を更に調節することを目指す。
【0127】
特定の実施形態では、搬送波波長を増加すべきか減少すべきかモニタ装置が分からない場合、モニタ装置はまず、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を部分的に調節することを要求する。
次いで、差異レベルΔdecのその後の漸進的変化に従い、モニタ装置は、第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を完璧に調節すること、又は第1の装置の光伝送インターフェイスの構成を逆方向に訂正して調節することを要求する。
【0128】
従って、
図9のアルゴリズムは、第1の装置から第2の装置への光学経路上にある光学帯域フィルタの通過域に搬送波波長がより良く一致するように、第1の装置に自らの光伝送インターフェイスを適合させるように要求することを目指す。
予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecの漸進的変化は、離調情報Δλを導出することを可能にする。
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図9のアルゴリズムがコントローラモジュール301によって実行され、コントローラモジュール301は波長調節コマンドを第1の装置に与える。
【0129】
図10は、第1の装置から第2の装置への光学経路上にある光学帯域フィルタのインパルス応答の信号の時間的形状を概略的に示す。時間を横軸(水平軸)として表し、信号強度を縦軸(垂直軸)として表す。
【0130】
以下の特性を有する光学帯域フィルタを検討する。その特性とはつまり、10GHzにおける0.1dBの減衰、7.5GHz及び12.5GHzにおける3dBの減衰、並びにこれらの値を上回る場合の850dB/nmの傾斜である。
【0131】
形状1010は、光信号の搬送波周波数が光学帯域フィルタの公称周波数f
0に一致するときの、光学帯域フィルタのインパルス応答の信号の時間的形状を表す。形状1010は、記号の受信開始から0.2nsのあたりで極大を示している。
【0132】
形状1020は、光信号の搬送波周波数と光学帯域フィルタの公称周波数f
0との間の周波数偏移が2GHzに等しいときの、光学帯域フィルタのインパルス応答の信号の時間的形状を表す。形状1020は、記号の受信開始から0.3nsのあたりで極大を示している。
【0133】
形状1030は、光信号の搬送波周波数と光学帯域フィルタの公称周波数f
0との間の周波数偏移が4GHzに等しいときの、光学帯域フィルタのインパルス応答の信号の時間的形状を表す。形状1030は、記号の受信開始から0.35nsのあたりで極大を示している。
【0134】
形状1040は、光信号の搬送波周波数と光学帯域フィルタの公称周波数f
0との間の周波数偏移が6GHzに等しいときの、光学帯域フィルタのインパルス応答の信号の時間的形状を表す。形状1040は、記号の受信開始から0.4nsのあたりで極大を示している。
【0135】
これらの形状1010、1020、1030、及び1040は、最大信号強度である極大をそれぞれ0.3ns、0.35ns、及び0.4nsのあたりで示している。例えば光学帯域フィルタを介して伝送される信号の波形に従い、他の形状も得ることができる。
【0136】
これらの形状は、例えば形状1030及び1040に示すように、局所極大とも呼ばれる更に多くの極大を示すことがある。
【0137】
従って、光信号の搬送波周波数と光学帯域フィルタの公称周波数f
0との間の周波数離調に伴い、信号の時間的形状は変化することを理解することができる。
【0138】
図11は、波長離調情報Δλと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を求めるための第1のアルゴリズムを概略的に示す。
【0139】
ステップS1101で、モニタ装置は、第2の装置が光学帯域フィルタを介して第1の装置から受け取る符号語の信号形状を表す情報を第2の装置から得る。
【0140】
一実施形態では、モニタ装置は、第2の装置が光学帯域フィルタを介して第1の装置から受け取る光信号の信号強度の測定値を、検討される記号の持続時間内の複数の時点において得る。
【0141】
記号の持続時間内の複数の時点における信号強度の測定値を得るために、第2の装置がオーバーサンプリングを行う。
【0142】
改変形態では、第1の装置が記号の複数のコピーを第2の装置に連続して伝送する。各コピーは、記号の持続時間の約数(submultiple)分だけ前のコピーから遅延される。この遅延は、遅延線を使用することによって実現することができる。
次いで、第2の装置が複数のコピーのサンプリングを行い、そのサンプリング周波数に従って記号のコピーごとに信号強度の測定を1回行う。
この構成によれば、或るコピーの伝送開始とすぐ次のコピーの伝送開始との間の期間は、記号の持続時間を前述の記号の持続時間の約数分だけ増加させたものに等しい。従って、第2の装置は同じ記号のコピーを様々な時点においてサンプルし、その結果、様々な時点における信号強度を捉える。これにより、オーバーサンプリングを使用することなしに記号に関する信号の時間的形状の離散的なビューを得ることが可能になる。
次いで第2の装置は、複数のコピーをサンプリングすることで信号の時間的形状を表す情報を生成する。
【0143】
別の改変形態では、第1の装置が記号の複数のコピーを第2の装置に連続して伝送する。
次いで、第2の装置が複数のコピーのサンプリングを行う。或るコピーの各サンプリング操作は、前のコピーのサンプリング操作に比べて、記号の持続時間の約数分だけ遅延される。この遅延は、遅延線を使用することによって実現することができる。
この構成によれば、同様に第2の装置は同じ記号のコピーを様々な時点においてサンプルし、その結果、様々な時点における信号強度を捉える。これにより、オーバーサンプリングを使用することなしに記号に関する信号の時間的形状の離散的なビューを得ることが可能になる。
次いで第2の装置は、複数のコピーのサンプリングから信号の時間的形状を表す情報を生成する。
【0144】
次のステップS1102で、モニタ装置は、第2の装置が光学帯域フィルタを介して第1の装置から受け取る符号語の信号形状を表す取得された情報から、離調情報Δλを得る。
これを実現するために、モニタ装置は信号の時間的形状を既定の信号の時間的形状のセットと比較する。つまり、
図10の説明のための例を使用し、モニタ装置は、形状1010、1020、1030、1040に対応する信号の時間的形状の様々な候補を表す情報を自由に有し、その情報は記号を受け取るときに第2の装置によって見られ得る。
符号語は複数の記号によって構成され、モニタ装置は、検討される符号語を構成する記号のうちの1つの記号について比較を行うことができ、又は検討される符号語の複数の(場合によっては全ての)記号について比較を行うことができ、前述の複数の記号の傾向を導出する。
改変形態では、トレーニングシーケンスやプリアンブル等の専用シーケンスに基づいて信号の時間的形状の解析を行い、前述の専用シーケンスに続けて伝送されるか又はその前に伝送された符号語に基づき、差異レベルΔdecを表す情報を求める。
その場合、専用シーケンスと前述の符号語との間の時間差は、波長の離調がその間に変化していないと見なせる程に十分短い。例えば、波長の離調は1μs内で安定していると見なすことができる。
【0145】
信号の時間的形状の様々な候補を表す情報は、実際には
図10に示す光学帯域フィルタのインパルス応答の時間的形状と、第1の装置が第2の装置に光信号を伝送するために実際に使用した波形との畳み込み(convolution)を表す。
【0146】
モニタ装置は、どの既定の候補形状が受信記号の実際の形状に最も良く一致するのかを判定する。
図10に示すように、受信記号の信号の時間的形状が分かり、光学帯域フィルタの公称波長と第1の装置が第2の装置に伝送する光信号の実際の搬送波波長との間の周波数離調を推論することができる。かかる候補形状は、例えば前述の公称波長と前述の搬送波波長との間の周波数離調に対応する、LUT内に記憶されるパターン等である。
【0147】
最良の一致をもたらす既定の候補形状の選択は、例えば以下のように行われる。
モニタ装置は、記号の持続時間内の所定の時間間隔における実際の信号強度の値を有しており、或る間隔の実際の信号強度を同じ間隔の候補形状について推定された信号強度と比較する。
次いで、モニタ装置は、推定信号強度値がこの間隔の実際の信号強度に一致する候補形状のサブセットを選択するとともに、候補形状が1つしか残らなくなるまで、選択された候補形状に関して別の間隔についてもこの選択プロセスを繰り返す。
【0148】
最良の一致をもたらす既定の候補形状の選択は、実際の信号形状の局所極大又は変曲点を候補形状の局所極大又は変曲点と比較することによっても行うことができる。
【0149】
次のステップS1103で、モニタ装置は、差異レベルΔdecを表す情報を第2の装置から得る。この差異レベルΔdecは、第1の装置が伝送する符号語と、第2の装置が有効に受け取るとともに、その信号形状の情報がステップS1101で得られている対応する符号語との間のものである。
同期性への配慮から、ステップS1103をステップS1101と並行して行うこと、又はステップS1101で得た情報とステップS1103で得た情報とを互いに関連付けることが好ましい。
【0150】
次のステップS1104で、モニタ装置は、離調情報Δλと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を提供する。対応が(例えば予備段階で)確立されると、モニタ装置は信号形状を解析することなしに所要の搬送波波長の調節を後で行うことができる。
【0151】
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図11のアルゴリズムは信号形状解析モジュール304によって実行される。この信号形状解析モジュール304は離調判定モジュール302に対応情報を与える。従って、
図11のアルゴリズムは、既に述べた離調判定モジュール302のLUTを埋めるのにとりわけ適している。
【0152】
図12は、波長離調情報Δλと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を求めるための第2のアルゴリズムを概略的に示す。
図12のアルゴリズムは、
図11のアルゴリズムの代わりである。
【0153】
ステップS1201で、モニタ装置が少なくとも1回の波長走査操作の結果を第2の装置から得る。
この波長走査操作は、様々な搬送波波長にわたり、第1の装置が光学帯域フィルタを介して符号語を第2の装置に伝送することで構成される。
例えば、走査される搬送波波長のセットが、モニタ装置に事前に知られているか、又は第1の装置によって直接若しくは間接的にモニタ装置に与えられる。
既に述べたように、実効搬送波波長が分かっていない場合があり、例えば第1の装置の光伝送インターフェイスの構成パラメータ等の前述の搬送波波長を表す情報だけが使用される。
第2の装置は、受け取った符号語の信号強度測定を行う。つまり第2の装置は、走査される様々な搬送波波長に関する減衰測定値を取得し、前述の測定値又はその測定値を表す情報をモニタ装置に与える。
図13Aに、前述の測定値の説明のための例を示す。
図13Aでは、各測定値をばつ印(x)で示し、周波数を横軸(水平軸)として表し、測定信号強度(
図13AのSで示す)を縦軸(垂直軸)として表す。
【0154】
波長走査操作を反復して、搬送波波長の値ごとに複数の測定値を得ることができる。これにより搬送波波長の値ごとに一連の測定済みの減衰値が規定される。
【0155】
次のステップS1202で、モニタ装置は、光学帯域フィルタの既定の減衰モデルを、波長走査操作の結果に調節する。つまり、モニタ装置は、光学帯域フィルタの既定の減衰モデルを波長走査操作の結果に一致させようと試みる。
【0156】
光学帯域フィルタの通過域の値(
図2を参照する場合は幅2ε)は、典型的には温度変化と無関係であることを指摘しておく必要がある。従って、光学帯域フィルタの減衰モデルの(
図2に示す)全体的形状は事前に分かっている場合があるが、通過域の公称波長f
0は事前に分からない。
図13Aに示す測定値に基づく説明のための例を
図13Bに示す。従って、モニタ装置は、公称波長f
0又は第1の装置の光伝送インターフェイスの対応する構成を求めること、例えば必要に応じて補間によって推定することができる。
【0157】
次のステップS1203で、モニタ装置は、第1の装置が伝送する符号語と、第2の装置が有効に受け取り、その測定値又はその測定値を表す情報がステップS1201で得られている対応する符号語との間の差異レベルΔdecを表す情報を第2の装置から得る。
同期性への配慮から、ステップS1203をステップS1201と並行して行うこと、又はステップS1201で得た情報とステップS1203で得た情報とを互いに関連付けることが好ましい。
【0158】
次のステップS1204で、モニタ装置は、離調情報Δλと、予期される符号語と有効に受け取られる符号語との間の差異レベルΔdecとの間の対応情報を提供する。離調情報Δλは、通過域の公称波長f
0と、検討される差異レベルΔdecに対応する搬送波波長との間の差に相当する。対応が(例えば予備段階で)確立されると、モニタ装置は波長走査を再び実行する必要なしに所要の搬送波波長の調節を後で行うことができる。
【0159】
図3に示すアーキテクチャとの関連では、
図12のアルゴリズムは既に述べた減衰解析モジュールによって実行され、減衰解析モジュールは対応情報を離調判定モジュール302に与えるように適合される。従って、
図12のアルゴリズムは、既に述べた離調判定モジュール302のLUTを埋めるのにとりわけ適している。