(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非晶質炭素粒子は、黒鉛質粒子に比べると真比重が低く(ブタノールを用いた真比重測定方法では、黒鉛系の材料が2.23前後であるのに対して、材料にもよるが一般的なハードカーボンは1.5〜1.6と低い。)、粒子が硬質であるために、電極密度の向上が困難であり、電極のプレス性に劣る場合がある。
【0005】
また、非晶質炭素粒子は、黒鉛質粒子と比較すると導電性が低い傾向にある。主として電子伝導性が支配的な秒単位の充放電入出力特性を改善するためには、導電性の向上が有効な手段であると考えられる。
なお、非晶質炭素粒子を用いて電極を作製する段階で、導電補助材として、導電性が良好な黒鉛質粒子を後添加することも考えられる。しかし、例えば、低温特性に優れ寒冷地でも固化しないプロピレンカーボネートを含む電解液を用いた場合、黒鉛質粒子が電解液と反応(分解反応)してしまい、充電がされず、電池性能に悪影響が出る。
【0006】
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、電解液との反応性を抑制しつつ、プレス性および導電性に優れる非晶質炭素粒子を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非晶質炭素粒子に黒鉛質粒子を内包させることにより、黒鉛質粒子を外表面に露出させないことで電解液との反応を抑制しつつ、粒子全体として抵抗を下げて導電性を向上させ、かつ、真比重を高めて電極密度を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)を提供する。
(1)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(2)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(3)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に1000〜1300℃の温度で焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(4)前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の非晶質炭素粒子の製造方法。
(5)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
(6)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
(7)非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
前記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
前記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
前記メカノケミカル処理品に焼成を行うことにより粒子内に前記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
を備える非晶質炭素粒子の製造方法であって、
前記非晶質炭素粒子中の前記黒鉛質粒子の含有量が1〜50質量%である非晶質炭素粒子の製造方法。
(8)前記非晶質炭素粒子の真比重が1.600〜1.700である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の非晶質炭素粒子の製造方法。
(9)前記非晶質炭素粒子がリチウムイオン二次電池用負極材料である、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の非晶質炭素粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電解液との反応性を抑制しつつ、プレス性および導電性に優れる非晶質炭素粒子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[非晶質炭素粒子の製造方法]
本発明の非晶質炭素粒子の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)は、概略的には、非晶質炭素の前駆体に黒鉛質粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、上記非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に上記黒鉛質粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施した後、焼成を行うことにより、粒子内に上記黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法である。また、不融化処理工程の前後にメカノケミカル処理を施してもよい。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
〔非晶質炭素の前駆体〕
本発明に用いられる非晶質炭素の前駆体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチ;フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂;ピッチと樹脂との混合物;等が挙げられ、なかでも、経済性等の観点から、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチが好ましい。石炭系ピッチの具体例としては、コールタールピッチ、石炭液化ピッチ等が挙げられる。
なお、ピッチを用いる場合、キノリン不溶分(QI)含有量は、電池の容量を上げる観点から、0〜2質量%であるのが好ましいが、特に限定されない。
【0013】
〔黒鉛質粒子〕
本発明に用いられる黒鉛質粒子としては、特に限定されず、例えば、天然黒鉛;人造黒鉛;これらを非晶質炭素で被覆した複合粒子;等が挙げられる。また、天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛、土状黒鉛などが挙げられ、なかでも、鱗片状黒鉛が好ましい。また、人造黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズを黒鉛化したもの、バルクメソフェーズを粉砕して黒鉛化したもの、メソフェーズカーボンファイバーを黒鉛化したもの、高結晶ニードルコークスを黒鉛化したもの等が挙げられる。メソカーボンマイクロビーズからなる人造黒鉛は、例えば、特許第3866452号公報に記載の製造方法によって製造することができる。
【0014】
黒鉛質粒子の平均粒子径としては、最終的に得られる非晶質炭素粒子の粒子径にもよるが、1〜25μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。黒鉛質粒子の粒子径が小さすぎる場合には混合が困難となって内包されにくくなり、大きすぎる場合は黒鉛質粒子の端面が露出する確率が高くなるが、粒子径が上記範囲であれば、黒鉛質粒子が内包されやすく露出の可能性も低減され、本発明の効果がより優れる。
なお、本発明において、黒鉛質粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
【0015】
〔添加・混合〕
本発明の製造方法の一態様としては、まず、非晶質炭素の前駆体(以下、単に「前駆体」ともいう)に黒鉛質粒子を添加混合するが、その方法としては特に限定されず、例えば、攪拌装置付きのオートクレーブを用いて、前駆体を加熱して流動状態とした後に、攪拌しながら黒鉛質粒子を少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行う方法などが挙げられる。
【0016】
このとき、黒鉛質粒子の添加量としては、黒鉛質粒子の形状や結晶性にもよるが、上記前駆体に対して1〜50質量%であるのが好ましく、5〜20質量%がより好ましい。添加量が多すぎる場合には黒鉛質粒子を全て内包できる確率が低くなり、少なすぎる場合には導電性向上の効果が得られにくいこともあるが、添加量が上記範囲であれば、黒鉛質粒子をほぼ全て内包でき、導電性向上の効果により優れる。
【0017】
〔架橋処理〕
次に、架橋処理を施して架橋処理品(第1の架橋処理品)を得る。架橋処理を施す方法としては、例えば、エアーブローイング反応による方法;酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、エアーブローイング反応による方法が好ましい。
【0018】
エアーブローイング反応は、例えば、加熱しながら、酸化性ガス(例えば、空気、酸素、オゾン、これらの混合物)を吹き込むことにより、軟化点を上昇させる反応である。エアーブローイング反応によれば、例えば200℃以上の高軟化点を有する架橋処理品(例えば、エアーブロンピッチ)を得ることができる。
【0019】
なお、特開平9−153359号公報によれば、エアーブローイング反応は、液相状態での反応であり、固相状態での架橋処理と比較して炭素材料中への酸素原子の取り込みが殆どないことが知られている。
また、エアーブローイング反応においては、酸化的脱水反応を主体とする反応が進行し、ビフェニル型の架橋結合により重合が進む。そして、その後の不融化、焼成(後述)によって、この架橋部分が支配的になった配向性のない三次元構造を有し、リチウムが吸蔵される空隙を数多く残存させた炭素粒子が得られるとされている。
【0020】
エアーブローイング反応の条件は、特に限定されないが、温度が高すぎるとメソフェーズが発生し、低いと反応速度が遅くなるという理由から、反応温度としては、280〜420℃が好ましく、320〜380℃がより好ましい。また、酸化性ガスの吹き込み量としては、空気の場合ピッチ1000gあたり0.5〜15L/分が好ましく、1.0〜10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
【0021】
また、本発明の製造方法の別態様としては、まず、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後に黒鉛質粒子を添加混合して架橋処理品(第2の架橋処理品)を得てもよい。なお、架橋処理および添加混合の方法としては、上述した方法と同様の方法が挙げられる。また、第2の架橋処理品をさらに架橋処理してもかまわない。
以下では、第1の架橋処理品と第2の架橋処理品とをまとめて単に「架橋処理品」ともいう。
【0022】
このようにして得られる架橋処理品の軟化点としては、不融化処理のしやすさの観点から、200〜400℃が好ましく、250〜350℃がより好ましい。
【0023】
〔粉砕〕
なお、得られた架橋処理品については、粉砕して、粒度調整するのが好ましい。粉砕の方法は特に限定されず従来公知の方法を用いることができる。また、粉砕後の平均粒子径としては、例えば、1〜50μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。なお、このような粉砕は、後述する不融化処理品に対して行ってもよい。
なお、本発明において、粉砕後の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
【0024】
〔不融化処理〕
次に、適宜粉砕された架橋処理品に対して不融化処理を施して、不融化処理品を得る。不融化処理は、固相状態で行われる一種の架橋処理(酸化処理)であり、架橋処理品の構造の中に酸素が取り込まれ、さらに架橋が進行することにより、高温で溶融し難くなる。
【0025】
不融化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、酸化性ガスによる乾式法が好ましい。
【0026】
不融化処理の処理温度としては、架橋処理品の軟化点以下を選択することが好ましい。また、バッチ式で行う場合の昇温速度は、融着をより防止する観点から、5〜100℃/時間が好ましく、10〜50℃/時間がより好ましい。
【0027】
不融化処理におけるその他の処理条件は特に限定されないが、例えば、酸化性ガスの吹き込み量としては、圧縮空気として1.0〜20L/分が好ましく、2.0〜10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
【0028】
不融化処理によって得られる不融化処理品の酸素量としては、焼成時の融着を防止するという理由から、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0029】
〔焼成〕
不融化処理の後、不融化処理品を、減圧または窒素等の不活性ガス雰囲気中において焼成することにより、炭素粒子を得る。このとき、昇温速度としては、50〜150℃/時間が好ましく、80〜120℃/時間がより好ましい。また、到達温度(焼成温度)は、1000〜1300℃が好ましく、1000〜1200℃がより好ましい。
【0030】
なお、本発明においては、架橋処理品または不融化処理品に対して、メカノケミカル処理を施してもよい。これにより、粒子どうしがこすり合わされるため、焼成後に得られる粒子は、角がとれ丸みを帯びた形状となり、電極密度が向上し、プレス性を高めることができる。
メカノケミカル処理に用いる装置としては、例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム(登録商標)(奈良機械製作所製)、メカノマイクロス(「マイクロス」は登録商標)(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(「メカノフュージョン」は登録商標)(ホソカワミクロン社製)等の装置を使用することができる。
メカノケミカル処理のせん断力や圧縮力などの強度は、弱ければそれだけ表面処理がされず、プレス性向上効果が低いため、平均粒子径や角の形状などの状況により、調節する。また、処理の強度が強すぎると、粒子の破壊による新生面生成や微粉の生成により、電池特性が低下する恐れがあるなどの弊害が発生するため、適度な強度を選択する。
【0031】
[非晶質炭素粒子]
本発明の非晶質炭素粒子は、上述した本発明の製造方法等によって得られるものであって、粒子内に黒鉛質粒子を内包する非晶質炭素粒子である。
図2に本発明の非晶質炭素粒子の断面の偏光顕微鏡写真を示す。これは、本発明の非晶質炭素粒子を樹脂に埋め込め、断面を研磨して、偏光顕微鏡写真を写したものである。
図2に示す写真中、白い灰色部分(a)が非晶質炭素粒子であり、その中に見える白い針状のもの(b)が黒鉛質粒子(鱗片状)である。白い灰色部分(a)の周りの黒い部分は、非晶質炭素粒子を埋め込んだ樹脂である。
【0032】
本発明の非晶質炭素粒子においては、非晶質炭素よりも抵抗が低く真比重の高い黒鉛質粒子を内包させることにより、粒子全体として抵抗を下げて導電性を向上させ、かつ、粒子全体として真比重を高めて電極密度を向上させ、プレス性を良好にすることができる。
また、同時に、黒鉛質粒子を内包して外表面に露出させないことにより、電解液との反応も抑制できる。そのため、例えば、低温特性に優れ寒冷地でも固化しないプロピレンカーボネートを含む電解液を用いることもでき、耐久性の悪さや膨張収縮による導電パスの減少など、電池の性能への悪影響を抑えることができる。
【0033】
なお、このような本発明の非晶質炭素粒子は、架橋処理前の原料に黒鉛質粒子を入れずに架橋後、不融化処理を施した後の不融化処理品に黒鉛質粒子を添加混合してこれを焼成した場合には、得ることができない。
【0034】
本発明の非晶質炭素粒子においては、黒鉛質粒子の含有量は、導電性向上の効果により優れるという理由から、1〜50質量%であるのが好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0035】
本発明の非晶質炭素粒子の平均粒子径は、使用する電池の特性にもよるが、入出力特性向上の観点から、1〜25μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。内包する黒鉛質粒子の露出が顕著にならない程度に調整することができる。
なお、本発明の非晶質炭素粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
【0036】
本発明の非晶質炭素粒子の比表面積は、電解液との反応性を抑制するという理由から、10m
2/g以下であるのが好ましく、0.5〜8m
2/gであるのがより好ましく、1.0〜4m
2/gであるのがさらに好ましく、1.2〜3.5m
2/gであるのが最も好ましい。
なお、本発明において、比表面積は、窒素ガスの吸着によるBET法により求めたものである。
【0037】
本発明の非晶質炭素粒子は、放電容量やサイクル寿命が優れるという理由から、X線回折における(002)面の平均格子面間隔d
002(以下、単に「平均格子面間隔d
002」ともいう)が、0.350nm以上であるのが好ましい。
なお、本発明において、平均格子面間隔d
002とは、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して非晶質炭素粒子の(002)面の回折ピークを測定し、そのピークの位置から算出するものである。算出方法は、学振法(日本学術振興会第17委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」[大谷杉郎、733−742頁(1986年3月)、近代編集社]に記載された方法である。
【0038】
本発明の非晶質炭素粒子の真比重は、その値が高くなると電極密度がより向上するという理由から、1.600以上が好ましく、1.600〜1.700がより好ましく、1.600〜1.690がさらに好ましく、1.620〜1.685が最も好ましい。
なお、本発明において、真比重は、JIS R 7222:1997(黒鉛素材の物理特性測定方法)に従い、ブタノールを用いて、ピクノメーターによる液相置換法により求めたものである。
【0039】
次に、本発明の非晶質炭素粒子を用いた負極材料として用いたリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう)について説明する。
【0040】
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解液を主たる電池構成要素とし、正・負極はそれぞれリチウムイオンの吸蔵可能な物質(層状化合物として)または化合物やクラスターからなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の非晶質炭素粒子を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
【0041】
〔負極〕
本発明の非晶質炭素粒子から負極を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法に準じて行うことができる。負極製造時には、本発明の非晶質炭素粒子に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが好ましく、通常、負極合剤全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。結合剤としてポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)を用いることができる。また、活物質として、本発明の非晶質炭素粒子以外の炭素材料、黒鉛材料を添加してもよい。さらに、導電剤として、例えば、カーボンブラック、炭素繊維等も添加してよい。
【0042】
本発明の非晶質炭素粒子を、結合剤と混合することによってペースト状の負極合剤塗料を調製し、この負極合剤塗料を、通常、集電体の片面または両面に塗布することで負極合剤層を形成する。この際、塗料調製には、通常の溶媒を用いることができる。負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状;メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状;等が挙げられる。集電体としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
【0043】
〔正極〕
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムイオンをドープ/脱ドープし得るものを選択するのが好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそれらのリチウム含有化合物、一般式M
XMo
6S
8−Y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭酸塩を添加することもできる。
【0044】
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)
1−PM(2)
PO
2(式中Pは0≦P≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)、または、LiM(1)
2−QM(2)
QO
4(式中Qは0≦Q≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)で示される。ここで、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、Co、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが好ましい。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
【0045】
このような正極材料を用いて正極を形成する方法としては、例えば、正極材料、結合剤および導電剤からなるペースト状の正極合剤塗料を集電体の片面または両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で例示したものを使用できる。導電剤としては、例えば、微粒の炭素材料、繊維状の炭素材料、黒鉛、カーボンブラックを使用できる。集電体の形状は特に限定されず、負極と同様の形状のものが用いられる。集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ニッケル、ステンレス箔などを使用することができる。
【0046】
上述した負極および正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を、適宜使用することができる。
【0047】
〔電解質〕
電解質としては、LiPF
6、LiBF
4などのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。
非水電解質は、液系の非水電解液であってもよいし、固体電解質やゲル電解質などの高分子電解質であってもよい。
【0048】
液系の非水電解質液とする場合には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒を使用できる。
【0049】
高分子電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子を含む。このマトリクス高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子などを単独または混合して用いることができ、なかでも、酸化還元安定性等の観点から、フッ素系高分子が好ましい。
高分子電解質に含有される可塑剤(非水電解液)を構成する電解質塩や非水溶媒としては、液系の電解液に使用できるものを使用できる。
【0050】
本発明のリチウムイオン二次電池においては、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンの微多孔体またはそれらを層構造としたもの;不織布;などのセパレータを使用する。ゲル電解質を用いることも可能である。この場合、例えば、本発明の非晶質炭素粒子を含有する負極、ゲル電解質、正極をこの順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>
まず、錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末30gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
攪拌後、窒素気流下で、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これを回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/時間の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0053】
<実施例2および3>
実施例2および3では、使用したコールタールピッチおよび黒鉛質粒子を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、炭素粉末を得た。なお、実施例3で用いた人造黒鉛は、次のようにして製造した。
(人造黒鉛の製造方法)
コールタールピッチを原料として450℃で熱処理することにより、メソカーボンマイクロビーズを生成させた。このコールタールピッチに、溶媒としてタール中油を6倍当量添加したあと、フィルターにより2.0(kg/cm
2)の加圧下でろ過し、メソカーボンマイクロビーズを分離した。次いで、得られたメソカーボンマイクロビーズを常圧下、120℃で乾燥した。この乾燥品を、円筒形キルン中、窒素雰囲気下、350℃で1時間加熱した後、室温まで自然冷却し、熱処理品を得た。次いで、熱処理品をアトマイザーで解砕後、粗粉分(150μm以上)を除去した。熱処理されたメソカーボンマイクロビーズを、再び円筒形キルン中に装入し、窒素雰囲気下、320℃で1時間加熱した。得られたメソカーボンマイクロビーズを、さらに1000℃で焼成して焼成体を得た。得られた焼成体を粉砕した。次いで、3000℃で黒鉛化した。黒鉛化時には、粒子どうしの融着は起こらず、黒鉛化後の平均粒子径は4μmであった。
【0054】
<実施例4>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。ここで、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末30gを少量のコールタールピッチと混ぜてペースト状にしたものを、攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これを回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/時間の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0055】
<実施例5>
実施例1と同様に、錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末90gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
攪拌後、窒素気流下で、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記表1に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これをホソカワミクロン製のメカノフュージョンシステムに入れ、周速15m/sで15分間処理を行った。処理後の粉末を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/分の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0056】
<実施例6>
実施例1と同様に、錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末90gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
攪拌後、窒素気流下で、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これを回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/時間の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品をホソカワミクロン製のメカノフュージョンシステムに入れ、周速18m/sで15分間処理を行った。処理後の粉末を、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0057】
<実施例7>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。ここで、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末
100gを少量のコールタールピッチと混ぜてペースト状にしたものを、攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これをホソカワミクロン製のメカノフュージョンシステムに入れ、周速15m/sで15分間処理を行った。処理後の粉末を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/時間の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0058】
<実施例8>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。ここで、黒鉛質粒子として、天然黒鉛(平均粒子径:4μm)の粉末
100gを少量のコールタールピッチと混ぜてペースト状にしたものを、攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行った。
その後、室温まで冷却して、内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径12μmに粒度調整した。これを回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら、20℃/時間の昇温速度で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施して、不融化処理品を得た後、放置冷却を行った。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品をホソカワミクロン製のメカノフュージョンシステムに入れ、周速18m/sで15分間処理を行った。処理後の粉末100gを黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
【0059】
<比較例1および2>
比較例1および2では、コールタールピッチに黒鉛質粒子を添加しなかった以外は、それぞれ実施例1および2と同様にして、炭素粉末を得た。
【0060】
<比較例3>
比較例3では、比較例1と同様にして炭素粉末を得たが、後述する負極合剤ペーストを調製する際に、この炭素粉末100質量部に対して5質量部の天然黒鉛(平均粒子径:5μm)を添加したもの(以下、これを単に「炭素粉末」という)を負極材料として用いた。
【0061】
<評価>
(焼成後の炭素粉末の評価)
まず、各々の実施例および比較例において上記焼成により得られた炭素粉末について、平均粒子径(単位:μm)、比表面積(単位:m
2/g)および真比重(単位:なし)を、上述した方法によって測定した。結果を下記第1表に示す。
【0062】
次に、各々の実施例および比較例で得られた炭素粉末を負極材料として用いて評価用のコイン型二次電池(
図1参照)を作製し、各種の評価を行った。結果を下記第2表に示す。
【0063】
(負極合剤ペーストの調製)
まず、得られた炭素粉末を負極材料として、負極合剤ペーストを調製した。具体的には、プラネタリーミキサーに、炭素粉末(95質量部)と、ポリビニリデンジフルオライドのN−メチルピロリジノン12%溶液(固形分で5質量部)とを入れ、100rpmで15分間攪拌し、さらに、N−メチルピロリジノンを追加して固形分比60%となるように調整して引き続き15分間攪拌を行い、負極合剤ペーストを調製した。
【0064】
(作用電極(負極)の作製)
調製した負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに送風乾燥機内に入れて100℃で溶媒を揮発させ、負極合剤層を形成した。次に、負極合剤層をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。なお、評価を行う前に、真空中100℃で8時間以上の乾燥を行った。
【0065】
(電極のプレス性(電極密度))
作製した作用電極について、一定面積を有する鏡面板どうしの間に挟み、ハンドプレス機を用いて250MPaの圧力を20秒間かけた後の電極密度(単位:g/cm
3)を求めた。電極密度は、負極合剤層の質量および厚さを測定し、計算により求めた。この電極密度が高いほど、プレス性に優れるものとして評価できる。
【0066】
(電極の導電性(体積抵抗率))
上述したように調製した負極合剤ペーストをポリエチレンテレフタレート製フィルム(東レ社製)に塗布し、250MPaのプレス圧力でプレスしたものについて、抵抗測定装置(三菱化学社製)を用いて3点測定し、平均値から体積抵抗率(単位:Ω・cm)を求めた。この体積抵抗率が低いほど、導電性に優れるものとして評価できる。
【0067】
(電解液の調製)
電解液A:エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPF
6を1mol/dm
3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
電解液B:プロピレンカーボネートに、LiPF
6を1mol/dm
3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
【0068】
(評価電池の作製)
次に、作製した作用電極(負極)を用いて、
図1に示す評価用のコイン型二次電池(単に「評価電池」ともいう)を作製した。
図1は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
まず、リチウム金属箔をニッケルネットに押し付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、ニッケルネットからなる集電体7aに密着した、リチウム箔からなる円盤状の対極4を作製した。
次に、セパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極(負極)2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、作用電極2を外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、外装カップ1と外装缶3との周縁部を、絶縁ガスケット6を介してかしめ、密閉することにより、評価電池を作製した。
作製された評価電池においては、外装カップ1と外装缶3との周縁部が絶縁ガスケット6を介してかしめられ、密閉構造が形成されている。密閉構造の内部には、
図1に示すように、外装缶3の内面から外装カップ1の内面に向けて順に、集電体7a、対極4、セパレータ5、作用電極(負極)2、および、集電体7bが積層されている。
【0069】
(充放電試験)
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行った。なお、本試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を「充電」、炭素粉末から脱ドープする過程を「放電」とした。
まず、0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量(「初回充電容量」ともいう)(単位:mAh/g)を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(「初回放電容量」ともいう)(単位:mAh/g)を求めた。これを第1サイクルとした。
ここで、電解液Aを用いた場合の初回放電容量、初回充放電効率、急速放電効率を下記第2表に示す。
【0070】
(初回充放電効率)
上記充放電試験の結果から、電解液Aを用いた場合と電解液Bを用いた場合とについて、次の式から、初回充放電効率(単位:%)を求めた。結果を下記第2表に示す。
初回充放電効率=(初回放電容量/初回充電容量)×100
【0071】
(電解液反応性)
電解液Aを用いた場合の充放電ロスと、電解液Bを用いた場合の充放電ロスとの差を求めることによって、電解液との反応性を評価した。
充放電ロスの差が15mAh/g以内であった場合には、プロピレンカーボネートを含んだ電解液Bの反応を抑制できているものとして「○」と評価し、充放電ロスの差がそれよりも大きい場合には反応が抑制できていないものとして「×」と評価した。
なお、充放電ロス(単位:mAh/g)は次の式から求めた。
充放電ロス=初回充電容量−初回放電容量
【0072】
(急速放電効率)
また、第3サイクルにて高速放電を行った。0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間休止した。その後、電流値を8倍の7.2mAとして、回路電圧が1500mVに達するまで定電流放電を行い、放電容量(「急速放電容量」ともいう)(単位:mAh/g)を求め、次の式から急速放電効率(単位:%)を求めた。電解液Aを用いた場合の急速放電効率を下記第2表に示す。
急速放電効率=(急速放電容量/初回放電容量)×100
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
このような実施例1〜8と比較例1〜2とを対比すると、実施例1〜8は、黒鉛質粒子を添加しなかった比較例1〜2と比べて、真比重の値が高く電極密度も向上しておりプレス性に優れ、また、体積抵抗率が低く導電性に優れることが分かった。
【0076】
また、実施例1〜8と比較例3とを対比すると、比較例3は、電極密度等は比較的良好であるものの、電解液反応性の評価結果が「×」であった。これは、比較例3では、プロピレンカーボネートを含む電解液Bを用いた場合には、後添加した黒鉛質粒子が電解液と反応してしまい、ほとんど充電されなかったと考えられる。
一方、実施例1〜8においては、電解液反応性の評価結果が「○」であり、電解液Bを用いた場合にも、充放電できることが分かった。