(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017075
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】骨格ブロック
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20161013BHJP
E03B 3/03 20060101ALI20161013BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20161013BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03F1/00 A
E03B3/03 B
E03B3/02 Z
E03B11/14
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-34785(P2016-34785)
(22)【出願日】2016年2月25日
【審査請求日】2016年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511176551
【氏名又は名称】リプロントーワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸三
【審査官】
竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4084437(JP,B2)
【文献】
特開2008−255767(JP,A)
【文献】
特開2008−038457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03B 3/00−11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水貯留浸透施設を構成する貯水空間に設置され、それぞれが水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されることにより骨格ブロック構造体を形成する骨格ブロックであって、
前記骨格ブロックは、互いに一体に連結された複数の支持骨部によって構成され、上面及び下面を有する平板状の基台を備え、
前記基台には、
前記複数の支持骨部のうち隣り合う第1の支持骨部と第2の支持骨部との間の空間における前記基台の厚さ方向の前記上面側の位置に、前記第1及び第2の支持骨部から一体に前記上面に沿う方向に延在する上補強板が形成され、
前記複数の支持骨部のうち前記第2の支持骨部に対して前記第1の支持骨部と反対側に位置する第3の支持骨部と前記第2の支持骨部との間の空間における前記厚さ方向の前記下面側の位置に、前記第2及び第3の支持骨部から一体に前記下面に沿う方向に延在する下補強板が形成され、
前記下補強板、前記第2の支持骨部及び前記上補強板が、一体連続して前記基台の一部を形成している、
骨格ブロック。
【請求項2】
前記基台には、前記上面から立設し、他の骨格ブロックの基台に形成された嵌合穴に先端が挿入される錘台形状の支持体が形成され、
前記第1及び第2の支持骨部のそれぞれは、前記複数の支持骨部のうち、前記支持体の基部を囲む形状を備えた支持骨部であり、
前記第1及び第2の支持骨部にて囲まれた環状領域にて前記上補強板が形成された、
請求項1に記載の骨格ブロック。
【請求項3】
前記基台は、正方形状に形成され、
前記基台には、前記上面から立設し、他の骨格ブロックの基台に形成された嵌合穴に先端が挿入される錘台形状の支持体が2つ形成され、
前記基台の上面には、他の骨格ブロックの基台に形成された前記支持体の先端が挿入される前記嵌合穴が2つ形成され、
前記第1及び第2の支持骨部のそれぞれは、前記複数の支持骨部のうち、前記基台の外周を構成する一組の平行な2辺に対応する位置を両端部とし他の一組の2辺と平行に延びる支持骨部であり、
前記第1及び第2の支持骨部にて囲まれた細長の方形領域にて前記上補強板が形成され
た、
請求項1に記載の骨格ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルあるいは集合住宅、特に団地、学校、病院などにおいて、雨水等を防火用や散水用、あるいは洪水防止用等として使用すべく貯水するための貯留施設、あるいは降水を一時的に貯水施設に蓄えておいて、少しずつ浸透させる浸透施設に用いられる骨格ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、都市化に伴う土地の被覆により、雨水の地下浸透能力の低下が著しく、道路冠水や施設浸水の被害が多発しており、新規開発地域では雨水流出対策をとることが多くなってきている。従来から、河川の水や雨水等を地中に貯水する貯水施設を構成する貯水空間に設置される骨格ブロックが知られている。通常、この骨格ブロックは、複数の骨格ブロックが水平方向に隣接配置され垂直方向に積層された骨格ブロック構造体を構成するために使用される。この骨格ブロック構造体が、貯水空間内に設置される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
係る貯水空間においては、周囲から受ける土圧や水圧に対処するための強度を確保する必要がある。上述のように、貯水空間内に骨格ブロック構造体を設置することにより、周囲から受ける土圧や水圧を骨格ブロック構造体で受け止めることができる。この結果、主として水平方向の土圧や水圧に対する貯水空間の強度が高まる。なお、本明細書において、「強度」とは、変形や破壊に対する抵抗力(変形のし難さ、破壊のされ難さ)を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−38457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献に記載された骨格ブロックは、互いに一体に連結された複数の支持骨部によって構成され、上面及び下面を有する平板状の基台を備えている。複数の支持骨部とは、具体的には、外周フレームと、その外周フレームの内側空間に外周フレームと一体に形成された複数のリブである。
【0006】
本発明者は、係る基台を備えた骨格ブロックの水平方向の強度を高めるため、隣接する支持骨部の間の空間における基台の厚さ方向の下面側の位置に、隣接する支持骨部から一体に下面に沿う方向に延在する補強板を設けることを既に検討してきた。
【0007】
水貯留浸透施設の設置環境によっては、狭い範囲に施設を設置する必要があるが、この場合、水貯留浸透施設の貯留部の深さを深くする必要がある。貯留部を深くすると、骨格ブロックに対する周囲からの土圧や水圧が大きくなる。土圧や水圧に対する貯水空間の強度確保と向上の観点から、骨格ブロックの水平方向の強度を出来る限り高めることが大きな課題となる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水平方向の強度が高い骨格ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る骨格ブロックは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
【0010】
(1)
水貯留浸透施設を構成する貯水空間に設置され、それぞれが水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されることにより骨格ブロック構造体を形成する骨格ブロックであって、
前記骨格ブロックは、互いに一体に連結された複数の支持骨部によって構成され、上面及び下面を有する平板状の基台を備え、
前記基台には、
前記複数の支持骨部のうち隣り合う第1の支持骨部と第2の支持骨部との間の空間における前記基台の厚さ方向の前記上面側の位置に、前記第1及び第2の支持骨部から一体に前記上面に沿う方向に延在する上補強板が形成され、
前記複数の支持骨部のうち前記第2の支持骨部に対して前記第1の支持骨部と反対側に位置する第3の支持骨部と前記第2の支持骨部との間の空間における前記厚さ方向の前記下面側の位置に、前記第2及び第3の支持骨部から一体に前記下面に沿う方向に延在する下補強板が形成され
、
前記下補強板、前記第2の支持骨部及び前記上補強板が、一体連続して前記基台の一部を形成していること。
【0011】
(2)
上記(1)に記載の骨格ブロックにおいて、
前記基台には、前記上面から立設し、他の骨格ブロックの基台に形成された嵌合穴に先端が挿入される錘台形状の支持体が形成され、
前記第1及び第2の支持骨部のそれぞれは、前記複数の支持骨部のうち、前記支持体の基部を囲む形状を備えた支持骨部であり、
前記第1及び第2の支持骨部にて囲まれた環状領域にて前記上補強板が形成されたこと。
【0012】
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の骨格ブロックにおいて、
前記基台は、正方形状に形成され、
前記基台には、前記上面から立設し、他の骨格ブロックの基台の上面に形成された嵌合穴に先端が挿入される錘台形状の支持体が2つ形成され、
前記基台の上面には、他の骨格ブロックの基台に形成された前記支持体の先端が挿入される前記嵌合穴が2つ形成され、
前記第1及び第2の支持骨部のそれぞれは、前記複数の支持骨部のうち、前記基台の外周を構成する一組の平行な2辺に対応する位置を両端部とし他の一組の2辺と平行に延びる支持骨部であり、
前記第1及び第2の支持骨部にて囲まれた細長の方形領域にて前記上補強板が形成されたこと。
【0013】
上記(1)の構成の骨格ブロックによれば、基台を構成する複数の支持骨部の間の空間において、下補強板が形成された箇所と上補強板が形成された箇所とが隣り合って混在する。従って、下補強板のみが形成される形態と比べて、三次元構造体としての基台の強度が高まる。この結果、下補強板のみが形成される形態と比べて、水平方向の強度が高い骨格ブロックが提供される。
【0014】
上記(2)の構成の骨格ブロックによれば、基台の上面側に形成された錘台形状の支持体の基部を囲む環状領域にて上補強板が形成され、この環状領域以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間には下補強板が形成され得る。従って、特に、支持体に作用する水平方向の任意の向きの外力に対する基台の強度を高めることができる。
【0015】
上記(3)の構成の骨格ブロックによれば、2本の平行な所謂「通しリブ」に囲まれた細長の方形領域にて上補強板が形成され、この方形領域以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間には下補強板が形成され得る。一般に、三次元構造体において、「通しリブ」が形成された箇所の強度が高まる。従って、この構成では、基台における相対的に強度が高い箇所の強度を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水貯留浸透施設の水平方向の強度が高い骨格ブロックを提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る骨格ブロックを用いて構成した骨格ブロック構造体が配置された水貯留浸透施設を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る骨格ブロックの斜視図である。
【
図4】
図4は、上補強板が設けられる領域を強調して示した
図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
(水貯留浸透施設の一例)
先ず、骨格ブロック10の詳細について説明する前に、
図1を参照しながら、骨格ブロック10を用いて構成した骨格ブロック構造体が配置された水貯留浸透施設の一例について簡単に説明する。
【0021】
図1に示すように、この水貯留浸透施設では、地面1を掘り下げて形成された、例えば平面形状が長方形又は正方形の凹部の内表面を内張層2で覆うことで、貯水空間が形成される。内張層2としては、遮水性シートもしくは半透水性シートあるいはこれを組合わせた多重シート、不織布、防水シート、砂利、コンクリート等が使用され得る。この貯水空間には、雨水等の流入通路3、及び、流出通路4が接続される。
【0022】
この貯水空間内に、複数の骨格ブロック10が水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されることで、複数の骨格ブロック10からなる骨格ブロック構造体が貯水空間内に設置される。その後、骨格ブロック構造体が設置された貯水空間の上部開口に蓋部が設置され、外周部5が形成される。
【0023】
図1に示すように、骨格ブロック10を用いた骨格ブロック構造体の場合、下段の骨格ブロック10の上に上下を逆さまにした上段の骨格ブロック10を組み付けて得られる上下2段の骨格ブロック10の集合体が、骨格ブロック構造体の1つの層を構成する。従って、
図1に示す例では、6層の骨格ブロック構造体が示されている。
【0024】
(骨格ブロックの全体構成)
次に、骨格ブロック10の全体構成について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、骨格ブロック10は、平面形状が正方形であり且つ互いに平行な上面及び下面を有する平板状の基台20を備える。基台20は、基台20の正方形状の外枠を構成する外周フレーム21と、外周フレーム21の内側空間にて外周フレーム21と一体に連結された複数のリブ22と、によって構成されている。
【0026】
外周フレーム21の上面、及び、複数のリブ22の上面によって基台20の上面が構成され、外周フレーム21の下面、及び、複数のリブ22の下面によって基台20の下面が構成されている。ここで、外周フレーム21、及び、複数のリブ22が、本発明の「複数の支持骨部」に対応する。基台20を構成する外周フレーム21、及び、複数のリブ22の詳細については後述する。
【0027】
基台20には、その上面から立設すると共に先端に近づくほど小径となる円錐台状の2つの同形の支持体30が形成されている。また、基台20の上面には、2つの同形の嵌合穴40が形成されている。
【0028】
平面視にて、2つの支持体30のそれぞれの中心は、基台20の外周形状である正方形(以下、「外周正方形」と呼ぶ)の一対の対角線のうち一方の対角線上に位置し、2つの嵌合穴40のそれぞれの中心は、外周正方形の一対の対角線のうち他方の対角線上に位置している。平面視にて、2つの支持体30、及び、2つの嵌合穴40は、「2つの支持体30の2つの中心と、2つの嵌合穴40の2つの中心とを四隅とする四角形」が「外周正方形を0.5倍に縮小した正方形」となるように配置されている。
【0029】
下段の骨格ブロック10に上下を逆さまにした上段の骨格ブロック10を近づけて、上段の骨格ブロック10の支持体30を下段の骨格ブロック10の嵌合穴40に挿入し、且つ、上段の骨格ブロック10の嵌合穴40に下段の骨格ブロック10の支持体30を挿入することによって、上下2段の骨格ブロック10を互いに連結・固定することができる。
【0030】
「上下2段の骨格ブロック10の集合体」を構成する手法として、主として、以下の2つの手法がある。第1に、上下を逆さまにした上段の各骨格ブロック10を、水平方向に縦横に隣接配置された下段の対応する1つの骨格ブロック10と連結・固定する手法である。第2に、上下を逆さまにした上段の各骨格ブロック10を、水平方向に縦横に隣接配置された下段の対応する4つの骨格ブロック10と連結・固定する手法である(所謂「千鳥配置」)。この場合、水平方向に隣接する骨格ブロック10同士を連結・固定する手段を省略することが可能になる。
図1では、第1の手法によって構成された「上下2段の骨格ブロック10の集合体」(=1層)を積層した6層の骨格ブロック構造体が示されている。
【0031】
なお、水平方向に隣接配置された「骨格ブロック10」同士の連結・固定、並びに、上下方向に積層された「上下2段の骨格ブロック10の集合体」同士の連結・固定は、例えば、所定の把持具を用いること、並びに、互いに連結される連結面の一方に設けた嵌合突起部と他方に設けた嵌合凹部とを嵌合すること等、によって達成され得る。
【0032】
(骨格ブロックの基台の詳細な構成)
次に、骨格ブロック10の基台20の詳細な構成について、
図2〜
図6を参照しながら説明する。
【0033】
上述のように、基台20は、外周フレーム21と、外周フレーム21と一体に連結された複数のリブ22と、によって構成されている。外周フレーム21及び複数のリブ22の、延在方向に直交する方向の断面形状は、上下方向に延びる細長形状(典型的には、長方形)を呈している。
【0034】
図2及び
図3に示すように、平面視にて、複数のリブ22は、大略的には、外周正方形の一対の対角線のそれぞれに対して線対称に形成されている。また、複数のリブ22の大部分が、外周正方形の一組の平行な2辺に対応する位置を両端部とし他の一組の2辺と平行に直線的に延びるリブ(所謂「通しリブ」)となっている。
【0035】
以下、複数のリブ22のうちで、特に、
図2及び
図3に示す16本のリブ(通しリブ)22a(
図3にて、上下方向に延びる8本と、左右方向に延びる8本)に着目する。更に、これら16本のリブ22aのうちで、特に、
図4に太い実線で示すように、支持体30の基部又は嵌合穴40を正方形に囲む4つの部分に着目する。これら4つの部分のそれぞれは、正方形の環状領域を区画している。
【0036】
図2〜
図4に示す例では、基台20を構成する複数の支持骨部(外周フレーム21+複数のリブ22(22a))により区画・形成されている隣り合う支持骨部の間の多数の空間のうちで、上記4つの環状領域に対応する空間についてのみ、基台20の上面側に上補強板23が設けられ、残りの全ての空間については、基台20の下面側に下補強板24が設けられている(
図2を参照)。
【0037】
例えば、
図4にて最も左側で上下に延びる2本の通しリブ22aに関し、
図4の5−5断面を示す
図5に示すように、上記環状領域に対応する空間には上補強板23が設けられ、
図4の6−6断面を示す
図6に示すように、上記環状領域に対応しない空間には下補強板24が設けられている。
【0038】
この例では、
図5に示すように、上補強板23は、隣り合う支持骨部の上端から一体に上面20aに沿って(即ち、基台20の上面20aと面一となるように)延在しており、
図6に示すように、下補強板24は、隣り合う支持骨部の下端から一体に下面20bに沿って(即ち、基台20の下面20bと面一となるように)延在している。
【0039】
なお、上補強板23は、隣り合う支持骨部の上端より少し下方の位置(厚さ方向の上面側の位置)から上面20aに沿って(即ち、基台20の上面20aと段差が形成されるように)延在していてもよい。下補強板24は、隣り合う支持骨部の下端より少し上方の位置(厚さ方向の下面側の位置)から下面20bに沿って(即ち、基台20の下面20bと段差が形成されるように)延在していてもよい。また、上補強板23及び下補強板24は共に、対応する空間の全域に延在してもよい(即ち、対応する空間が完全に塞がれていてもよい)し、対応する空間の全域に延在しなくてもよい(即ち、対応する空間の一部が上下方向に貫通していてもよい)。
【0040】
また、この例では、例えば、上述した
図4にて最も左側で上下に延びる2本の通しリブ22aに関してみると、この2本の通しリブ22aの全体で囲まれた「細長の方形領域」(
図4にて上下両端まで延びる縦長の長方形領域)に対応する空間には、上補強板23が設けられる部分(即ち、上記環状領域に対応する部分)と、下補強板24が設けられる部分(即ち、上記環状領域に対応しない部分)とが混在している、といえる。
【0041】
以上、例えば、
図4の5−5断面に関してみると、5−5断面に含まれる2本の通しリブ22aのうち右側のリブ22a及び左側のリブ22aがそれぞれ、本発明の「第1の支持骨部」及び「第2の支持骨部」に対応し、左側のリブ22aの更に左に位置する(5−5断面に含まれない)外周フレーム21が、本発明の「第3の支持骨部」に対応している。
【0042】
(作用・効果)
本発明の実施形態に係る骨格ブロックによれば、基台20を構成する複数の支持骨部(外周フレーム21+複数のリブ22)の間の空間において、下補強板24が形成された箇所と上補強板23が形成された箇所とが隣り合って混在する。従って、下補強板24のみが形成される形態と比べて、三次元構造体としての基台20の強度が高まる。この結果、下補強板24のみが形成される形態と比べて、水平方向の強度が高い骨格ブロック10が提供され得る。
【0043】
また、基台20の上面側に形成された円錘台形状の支持体30の基部、及び嵌合穴40を正方形に囲む4つの環状領域(
図4を参照)にて上補強板23が形成され、この環状領域以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間には下補強板24が形成されている。従って、特に、支持体30及び嵌合穴40に作用する水平方向の任意の向きの外力に対する基台20の強度を高めることができる。
【0044】
また、2本の平行な通しリブ22aに囲まれた上述した「細長の方形領域」の一部にて上補強板23が形成され、この「細長の方形領域」及び上記「環状領域」以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間には下補強板24が形成されている。一般に、三次元構造体において、「通しリブ」が形成された箇所の強度が高まる。従って、この構成では、基台20における相対的に強度が高い箇所の強度を更に高めることができる。
【0045】
(他の態様)
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0046】
例えば、上記実施形態では、上記環状領域(
図4を参照)の全領域にて上補強板23が形成されているが、上記環状領域(
図4を参照)にて下補強板24が形成された部分が含まれていてもよい。同様に、上記実施形態では、上記環状領域以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間の全領域には下補強板24が形成されているが、上記環状領域以外の領域を構成する複数の支持骨部の間の空間にて上補強板23が形成された部分が含まれていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、上述した「細長の方形領域」の一部のみに上補強板23が形成されているが、上述した「細長の方形領域」の全領域に上補強板23が形成されていてもよい。また、「細長」でなく、より幅の広い領域に上補強板23が形成されていてもよい。また、外周フレーム21とリブ22との間に上補強板23が形成されていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、複数の支持骨部(外周フレーム21、及び、複数のリブ22)の(延在方向に直交する方向の)断面形状が、上下方向に延びる細長形状(典型的には、長方形)を呈しているが、この断面形状が、上下方向から傾いて延びる細長形状(典型的には、テーパ形状)であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、支持体30が円錐台形状となっているが、支持体30が、正方形の錐台形状や多角形(角数が5以上)の錐台形状となっていてもよい。また、支持体30そのものが無くても良い。同様に、嵌合穴40そのものが無くてもよい。
【0050】
更には、上記実施形態では、骨格ブロック10の平面形状が正方形となっているが、骨格ブロック10の平面形状が、長方形、多角形(角数が5以上)、円形、楕円形等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 骨格ブロック
20 基台
20a 上面
20b 下面
21 外周フレーム(支持骨部)
22,22a リブ(支持骨部)
23 上補強板
24 下補強板
30 支持体
40 嵌合穴
【要約】
【課題】貯水空間に設置され、それぞれが水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されることにより骨格ブロック構造体を形成する骨格ブロックであって、水平方向の強度が高いものを提供することにある。
【解決手段】この骨格ブロック10は、平板状の基台20を備える。基台20は、互いに一体に連結された複数の支持骨部(外周フレーム21,リブ22)によって構成される。基台20を構成する複数の支持骨部(外周フレーム21,リブ22)の間の空間において、基台20の上面と面一の上補強板23が形成された箇所と、基台20の下面と面一の下補強板24が形成された箇所と、が隣り合って混在している。従って、下補強板24のみが形成される形態と比べて、三次元構造体としての基台20の強度が高まり、水平方向の強度が高い骨格ブロック10が提供される。
【選択図】
図2