特許第6017076号(P6017076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017076
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】骨格ブロック構造体の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20161013BHJP
   E03B 3/03 20060101ALI20161013BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20161013BHJP
   E03B 11/14 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   E03F1/00 Z
   E03F1/00 A
   E03B3/03 B
   E03B3/02 Z
   E03B11/14
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-34786(P2016-34786)
(22)【出願日】2016年2月25日
【審査請求日】2016年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511176551
【氏名又は名称】リプロントーワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸三
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106101(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03B 3/00−11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘り下げて形成された貯水空間に、複数の骨格ブロックを水平方向に隣接配置し且つ垂直方向に積層して構成された骨格ブロック構造体を設置する骨格ブロック構造体の組み立て方法において、
前記骨格ブロックは、互いに一体に連結された複数のリブによって構成される平板状の基台を備え、
地表面からの深さに応じて、前記骨格ブロック構造体の各層を構成する前記骨格ブロックを、同一の外寸で、かつ水平方向の強度が変化するように、前記骨格ブロックを積層し、
前記リブの本数、前記リブの太さ及び前記リブの両端部と前記基台の外周フレームとの接続の有無のうち少なくともいずれかを変化させることにより前記骨格ブロックの水平方向の強度を変化させる
骨格ブロック構造体の組み立て方法。
【請求項2】
前記地表面から所定の深さの位置を境に前記骨格ブロック構造体を上層側と下層側とに区画したとき、前記下層側に含まれる各層を構成する前記骨格ブロックの水平方向の強度が、前記上層側に含まれる各層を構成する前記骨格ブロックの水平方向の強度より高くなるように、前記骨格ブロックを積層する
請求項1に記載の骨格ブロック構造体の組み立て方法。
【請求項3】
前記地表面から所定の深さの位置は、前記地表面から4mの位置に設定された
請求項2に記載の骨格ブロック構造体の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルあるいは集合住宅、特に団地、学校、病院などにおいて、雨水等を防火用や散水用、あるいは洪水防止用等として使用すべく貯水するための貯留施設、あるいは降水を一時的に貯留施設に蓄えておいて、少しずつ浸透させる浸透施設に用いられる骨格ブロック構造体の組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今では、都市化に伴う土地の被覆により、雨水の地下浸透能力の低下が著しく、道路冠水や施設浸水の被害が多発しており、従来から、河川の水や雨水等を地中に貯水する貯水施設を構成する貯水空間に設置される骨格ブロック構造体が知られている。この骨格ブロック構造体は、複数の骨格ブロックを水平方向に隣接配置し且つ垂直方向に積層することによって構成される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
係る貯水空間においては、周囲から受ける土圧に対処するための強度を確保する必要がある。上述のように、貯水空間内に骨格ブロック構造体を設置することにより、周囲から受ける土圧を骨格ブロック構造体で受け止めることができる。この結果、主として水平方向の土圧に対する貯水空間の強度が高まる。なお、本明細書において、「強度」とは、変形や破壊に対する抵抗力(変形のし難さ、破壊のされ難さ)を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−38457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような貯水空間に作用する水平方向の土圧は、地表面からの深さに応じて変化する。典型的には、地表面からの深さが大きい箇所では水平方向の土圧が大きくなり、地表面からの深さが小さい箇所では水平方向の土圧が小さくなる。これは、以下の理由に基づくと考えられる。
【0006】
即ち、貯水空間における地表面からの深さが大きい箇所では、貯水空間の周りに位置する土砂から作用する土圧はほぼ水平方向に作用する、と考えられる。従って、水平方向の土圧の大きさは、土圧そのものの大きさと等しくなる。これに対し、貯水空間における地表面からの深さが小さい箇所では、貯水空間の周りに位置する土砂に斜め方向の滑りが発生することを考慮する必要がある。この滑りを考慮すると、貯水空間の周りに位置する土砂から作用する土圧は斜め方向に作用すると考えられる。従って、水平方向の土圧の大きさは、土圧そのものの大きさではなく、土圧における水平方向の分圧の大きさと等しくなる、と考えられる。この結果、地表面からの深さが大きい箇所では地表面からの深さが小さい箇所より水平方向の土圧が大きくなる。
【0007】
本発明者は、貯水空間において水平方向の土圧が大きくなる地表面からの深さが大きい箇所に作用する水平方向の土圧を基準として、骨格ブロックの水平方向の目標強度を設定し、設定された目標強度に基づいて骨格ブロックを設計・作成した。そして、本発明者は、このように設計・作成した同じ骨格ブロックを、骨格ブロック構造体の全ての層を構成する骨格ブロックとして使用してきた。換言すれば、骨格ブロック構造体の各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度は全て、地表面からの深さが大きい箇所に作用する水平方向の土圧を基準として設定された同じ値であった。
【0008】
しかしながら、この構成では、骨格ブロック構造体における地表面からの深さが小さい箇所では、骨格ブロックの水平方向の強度が不必要に大きくなる。一般に、骨格ブロックの強度が高いほど、その骨格ブロックの製造コストが上昇する。そのため、骨格ブロック構造体全体としての製造コストの低減の観点からは、従来の構成から改善する余地があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストが低い骨格ブロック構造体の組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る骨格ブロック構造体の組み立て方法は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
【0011】
(1)
地面を掘り下げて形成された貯水空間に、複数の骨格ブロックを水平方向に隣接配置し且つ垂直方向に積層して構成された骨格ブロック構造体を設置する骨格ブロック構造体の組み立て方法において、
前記骨格ブロックは、互いに一体に連結された複数のリブによって構成される平板状の基台を備え、
地表面からの深さに応じて、前記骨格ブロック構造体の各層を構成する前記骨格ブロックを、同一の外寸で、かつ水平方向の強度が変化するように、前記骨格ブロックを積層し、
前記リブの本数、前記リブの太さ及び前記リブの両端部と前記基台の外周フレームとの接続の有無のうち少なくともいずれかを変化させることにより前記骨格ブロックの水平方向の強度を変化させること。
【0012】
(2)
上記(1)に記載の骨格ブロック構造体の組み立て方法において、
前記地表面から所定の深さの位置を境に前記骨格ブロック構造体を上層側と下層側とに区画したとき、前記下層側に含まれる各層を構成する前記骨格ブロックの水平方向の強度が、前記上層側に含まれる各層を構成する前記骨格ブロックの水平方向の強度より高くなるように、前記骨格ブロックを積層すること。
【0013】
(3)
上記(2)に記載の骨格ブロック構造体の組み立て方法において、
前記地表面から所定の深さの位置は、前記地表面から4mの位置に設定されたこと。
【0014】
上記(1)の構成の骨格ブロック構造体の組み立て方法によれば、地表面からの深さに応じて、貯水空間に作用する水平方向の土圧が変化する場合において、骨格ブロック構造体の各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度を、対応する地表面からの深さの位置に作用する水平方向の土圧を基準としてそれぞれ個別に設定することができる。この結果、上述のように、骨格ブロック構造体の各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度が全て、地表面からの深さが大きい箇所に作用する水平方向の土圧を基準として設定された同じ値である場合と比べて、骨格ブロック構造体全体としての製造コストを低減できる。
【0015】
上記(2)の構成の骨格ブロック構造体の組み立て方法によれば、地表面からの深さに応じて、貯水空間に作用する水平方向の土圧が上述した典型的なパターン(即ち、深さが大きい箇所で大きくなり、深さが小さい箇所で小さくなるパターン)で変化する場合において、骨格ブロック構造体の各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度を、対応する地表面からの深さの位置に作用する水平方向の土圧に応じた適切な値にそれぞれ設定することができる。従って、骨格ブロック構造体全体としての製造コストを確実に低減できる。
【0016】
上記(3)の構成の骨格ブロック構造体の組み立て方法によれば、骨格ブロック構造体を上層側と下層側とに区画する際の境の位置の深さが4mとされる。公益社団法人雨水貯留浸透技術協会では、水平方向の土圧を算出する際、地表面からの深さが4mより大きい箇所では、土圧は水平方向に作用すると仮定して土圧が算出され、地表面からの深さが4mより小さい箇所では、上述した斜め方向の滑りを考慮して土圧は斜め方向に作用すると仮定して土圧が算出される。上記(3)の構成は、係る知見に基づく。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、製造コストが低い骨格ブロック構造体の組み立て方法を提供できる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係る骨格ブロック構造体の組み立て方法によって組み立てられた骨格ブロック構造体が配置された貯水施設を示す概略構成図である。
図2図2は、水平方向の強度が高い骨格ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0021】
(貯水施設の一例)
先ず、図1を参照しながら、複数の骨格ブロック10を用いて構成された骨格ブロック構造体15が配置された貯水施設の一例について簡単に説明する。
【0022】
図1に示すように、この貯水施設では、地面1を掘り下げて形成された、例えば平面形状が長方形又は正方形の凹部の内表面を内張層2で覆うことで、貯水空間が形成される。内張層2としては、砂利、不織布、或いは防水シート等が使用され得る。この貯水空間には、雨水等の流入通路3、及び、流出通路4が接続される。
【0023】
この貯水空間内に、複数の骨格ブロック10が水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されることで、複数の骨格ブロック10からなる骨格ブロック構造体15が貯水空間内に設置される。その後、骨格ブロック構造体15が設置された貯水空間の上部開口に蓋部が設置され、外周部5が形成される。
【0024】
図1に示すように、骨格ブロック10を用いた骨格ブロック構造体15の場合、下段の骨格ブロック10の上に上下を逆さまにした上段の骨格ブロック10を組み付けて得られる上下2段の骨格ブロック10の集合体が、骨格ブロック構造体15の1つの層を構成する。図1に示す例では、第1層〜第6層までの6層の骨格ブロック構造体15が示されている。
【0025】
(骨格ブロックの全体構成)
次に、骨格ブロック10の全体構成について簡単に説明する。
【0026】
骨格ブロック10の一例を図2に示す。骨格ブロック10は、例えば、平面形状が正方形であり且つ互いに平行な上面及び下面を有する平板状の基台20を備える。その基台は、例えば、その基台20の正方形状の外枠を構成する外周フレーム21と、その外周フレーム21の内側空間にてその外周フレーム21と一体に連結された複数のリブ22と、によって構成される。
【0027】
その基台20には、その上面から立設すると共に先端に近づくほど縮径するテーパ形状の複数(典型的には、2つ)の同形の支柱30が形成される。また、その基台20の上面には、複数(典型的には、2つ)の同形の嵌合穴40が形成される。
【0028】
下段の骨格ブロック10に上下を逆さまにした上段の骨格ブロック10を近づけて、上段の骨格ブロック10の支柱30を下段の骨格ブロック10の嵌合穴40に挿入し、且つ、上段の骨格ブロック10の嵌合穴40に下段の骨格ブロック10の支柱30を挿入することによって、上下2段の骨格ブロック10を互いに連結・固定することができる。
【0029】
「上下2段の骨格ブロック10の集合体」を構成する手法として、主として、以下の2つの手法がある。第1に、上下を逆さまにした上段の各骨格ブロック10を、水平方向に縦横に隣接配置された下段の対応する1つの骨格ブロック10と連結・固定する手法である。第2に、上下を逆さまにした上段の各骨格ブロック10を、水平方向に縦横に隣接配置された下段の対応する4つの骨格ブロック10と連結・固定する手法である(所謂「千鳥配置」)。この場合、水平方向に隣接する骨格ブロック10同士を連結・固定する手段を省略することが可能になる。図1では、第1の手法によって構成された「上下2段の骨格ブロック10の集合体」(=1層)を積層した6層の骨格ブロック構造体15が示されている。
【0030】
なお、水平方向に隣接配置された「骨格ブロック10」同士の連結・固定、並びに、上下方向に積層された「上下2段の骨格ブロック10の集合体」同士の連結・固定は、例えば、所定の把持具を用いること、並びに、互いに連結される連結面の一方に設けた嵌合突起部と他方に設けた嵌合孔部とを嵌合すること等、によって達成され得る。
【0031】
(骨格ブロック構造体15の組み立て方法)
次に、本発明の実施形態に係る、複数の骨格ブロック10を用いた骨格ブロック構造体15の組み立て方法について説明する。
【0032】
一般に、図1に示すような貯水空間に作用する水平方向の土圧は、地表面からの深さに応じて変化する。典型的には、地表面からの深さが大きい箇所では水平方向の土圧が大きくなり、地表面からの深さが小さい箇所では水平方向の土圧が小さくなる。これは、以下の理由に基づくと考えられる。
【0033】
即ち、貯水空間における地表面からの深さが大きい箇所では、貯水空間の周りに位置する土砂に斜め方向の滑りが発生し難い。従って、このような斜め方向の滑りを考慮する必要がない。このため、貯水空間の周りに位置する土砂から作用する土圧はほぼ水平方向に作用する、と考えられる。従って、水平方向の土圧の大きさは、土圧そのものの大きさと等しくなる。
【0034】
これに対し、貯水空間における地表面からの深さが小さい箇所では、貯水空間の周りに位置する土砂に斜め方向の滑りが発生し易い。従って、このような斜め方向の滑りを考慮する必要がある。この滑りを考慮すると、貯水空間の周りに位置する土砂から作用する土圧は斜め方向に作用する、と考えられる。従って、水平方向の土圧の大きさは、土圧そのものの大きさではなく、土圧における水平方向の分圧の大きさと等しくなる、と考えられる。この結果、地表面からの深さが大きい箇所では地表面からの深さが小さい箇所より水平方向の土圧が大きくなる。
【0035】
この点に関し、公益社団法人雨水貯留浸透技術協会では、水平方向の土圧を算出する際、地表面からの深さが4m以上の箇所では、土圧は水平方向に作用すると仮定して土圧が算出され、地表面からの深さが4m以下の箇所では、上述した斜め方向の滑りを考慮して土圧は斜め方向に作用すると仮定して土圧が算出される。
【0036】
そこで、本発明の実施形態では、図1に示すように、地表面から深さL(具体的には、4m)の位置を境に、複数の骨格ブロック10からなる骨格ブロック構造体15が、上層側と下層側とに区画される。図1に示す例では、第1層〜第3層が上層側に含まれ、第4層〜第6層が下層側に含まれている。なお、骨格ブロック構造体15において、地表面から深さL(4m)の位置を深さ方向に跨ぐ層がある場合、その層は、上層側及び下層側のどちらに含めてもよい。
【0037】
下層側に含まれる各層を構成する骨格ブロック10(図1では、第4層〜第6層を構成する骨格ブロック10)の水平方向の強度が、上層側に含まれる各層を構成する骨格ブロック10(図1では、第1層〜第3層を構成する骨格ブロック10)の水平方向の強度より高くなるように、骨格ブロック構造体15が組み立てられる。
【0038】
具体的には、下層側に含まれる全ての層を構成する骨格ブロック10(図1では、第4層〜第6層を構成する骨格ブロック10)の水平方向の強度が全て、値Aとされ、上層側に含まれる全ての層を構成する骨格ブロック10(図1では、第1層〜第3層を構成する骨格ブロック10)の水平方向の強度が全て、値Aより小さい値Bとされる。即ち、強度が異なる2種類の骨格ブロック10を用いて、骨格ブロック構造体15の全体が構成されている。
【0039】
骨格ブロック10の強度の調整は、例えば、骨格ブロック10の基台を構成する外周フレーム及び複数のリブ(複数の支持骨部)の太さ及び本数、或いは、骨格ブロック10を構成する樹脂材料そのものの強度を調整することによって達成される。具体的には、骨格ブロック10の強度を高める(下げる)には、複数の支持骨部の太さを大きく(小さく)、複数の支持骨部の本数を大きく(少なく)、或いは、樹脂材料そのものの強度を高く(低く)すればよい。また、図2に示すように、リブ22がある外周フレーム21から反対側の外周フレーム21まで連続して形成されていると(所謂通しリブ)、骨格ブロック10の強度が高まるので、通しリブの本数の差異、あるいは通しリブの有無により、上層側と下層側の骨格ブロック10の強度を異ならせてもよい。
【0040】
したがって、例えば、図2に示す骨格ブロック10を下層側に用いる場合には、上層側の骨格ブロック10としては、図2に示す骨格ブロック10よりもリブ22の本数を削減したり、リブ22の太さを細くしたものが用いられる。したがって、上層側の骨格ブロック10は、下層側の骨格ブロック10よりも安価に製造でき、結果として骨格ブロック構造体15全体のコストを低減できる。
【0041】
(作用・効果)
本発明の実施形態に係る骨格ブロック構造体15の組み立て方法によれば、地表面から深さに応じて、貯水空間に作用する水平方向の土圧が上述した典型的なパターン(即ち、深さが大きい箇所(4m以上)で大きくなり、深さが小さい箇所(4m以下)で小さくなるパターン)で変化する場合において、骨格ブロック構造体15の各層を構成する骨格ブロック10の水平方向の強度を、対応する地表面からの深さの位置に作用する水平方向の土圧に応じた適切な値にそれぞれ設定することができる。従って、骨格ブロック構造体15全体としての製造コストを確実に低減できる。
【0042】
(他の態様)
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、上層側と下層側とを区画する境の位置が、地表面からの深さが4mの位置に設定されているが、例えば、貯水空間特有の事情により、上述した斜め方向の滑りが発生し易い箇所と発生し難い箇所との境の位置が、地表面から4mの位置と異なる位置である場合、上層側と下層側とを区画する境の位置を、4mからその位置に変更してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、強度が異なる2種類の骨格ブロック10を用いて、骨格ブロック構造体15の全体が構成されているが、強度が異なる3種類以上の骨格ブロック10を用いて、骨格ブロック構造体15の全体が構成されてもよい。この場合、地表面からの深さが大きくなるにつれて骨格ブロック10の強度が大きくなるように、骨格ブロック構造体15が組み立てられることが好ましい。
【0045】
また、上記実施形態に基づき、以下の骨格ブロック構造体を構成することもできる。
(1) 地面を掘り下げて形成された貯水空間に、複数の骨格ブロックが水平方向に隣接配置され且つ垂直方向に積層されて構成された骨格ブロック構造体において、地表面からの深さに応じて、骨格ブロック構造体の各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度が異なった、骨格ブロック構造体。
(2) 地表面から所定の深さの位置を境に骨格ブロック構造体を上層側と下層側とに区画したとき、下層側に含まれる各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度が、上層側に含まれる各層を構成する骨格ブロックの水平方向の強度より高い、上記(1)に記載の骨格ブロック構造体。
(3) 地表面から所定の深さの位置は、地表面から4mの位置に設定された、上記(2)に記載の骨格ブロック構造体。
【符号の説明】
【0046】
10 骨格ブロック
15 骨格ブロック構造体
【要約】
【課題】貯水空間に設置され、複数の骨格ブロックを水平方向に隣接配置し且つ垂直方向に積層することにより構成される骨格ブロック構造体の組み立て方法であって、製造コストが低いものを提供する。
【解決手段】地面を掘り下げて形成された貯水空間に、複数の骨格ブロック10を水平方向に隣接配置し且つ垂直方向に積層して構成された骨格ブロック構造体15を設置する。地表面からの深さに応じて、骨格ブロック構造体15の各層を構成する骨格ブロック10の水平方向の強度が変化するように骨格ブロック10を積層する。典型的には、地表面から所定の深さ(4m)の位置を境に骨格ブロック構造体15を上層側と下層側とに区画し、下層側に含まれる各層を構成する骨格ブロック10の水平方向の強度が、上層側に含まれる各層を構成する骨格ブロック10の水平方向の強度より高くなるように骨格ブロック10を積層する。
【選択図】図1
図1
図2