(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化促進剤、シランカップリング剤、防塵剤、中和剤及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性バインダー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バインダーとしてフェノール樹脂を用いる場合は、硬化中や硬化後にホルムアルデヒドが発生する恐れがあり、環境負荷低減の要請からホルムアルデヒド非含有バインダーが求められる場合が多い。
【0005】
一方、水性バインダーとしてはホルムアルデヒドを使用しないものが知られているが、断熱性能を高めるために厚い無機繊維断熱吸音材を製造すると、無機繊維断熱吸音材の表層部が断熱層として働いてしまい、無機繊維断熱吸音材の中心部の加熱が不充分となりやすい。その結果、無機繊維断熱吸音材の中心部のバインダーの硬化度が不充分となり、得られる無機繊維断熱吸音材の圧縮強度や耐久性に品質のばらつきが生じるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化後の無機繊維断熱吸音材の圧縮強度や耐久性に優れる水性バインダー及びこの水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリカルボン酸と該ポリカルボン酸の架橋剤とを含有する無機繊維断熱吸音材用水性バインダーであって、(1)上記ポリカルボン酸は、重量平均分子量が1000〜20000であり酸価が500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸を含んでおり、(2)上記架橋剤は、重量平均分子量が300〜2000であり分岐構造を有するポリエチレンイミンと、該ポリエチレンイミンよりも低分子量でありアルコール価数が2以下のアルカノールアミンとを含んでおり、(3)上記ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、前記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が、0.30〜0.75であり、(4)上記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、前記架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が0.34〜0.80である、水性バインダーを提供する。
【0008】
本発明の水性バインダーは、ポリカルボン酸と架橋剤を含有し、上記(1)〜(4)の特徴を有するため、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化することで圧縮強度や耐久性に優れる無機繊維断熱吸音材が製造可能となる。
【0009】
すなわち、本発明の水性バインダーは、上記のポリカルボン酸と硬化剤との反応により硬化する系であるため、加熱硬化時にホルムアルデヒドを放出することなく反応が進行し、排出ガス等において、環境負荷を少なくすることができる。また、重量平均分子量が上記範囲のポリエチレンイミンを使用することにより、速やかにバインダーの加熱硬化を進行させることができ、更には、架橋反応も充分に改善されることから、架橋を緻密なものにできる。そして、カルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中のカルボキシ基と反応しうる官能基のモル数を上記範囲にしたことで、ポリカルボン酸と架橋剤とを過不足なく反応させることができ、強固なバインダー硬化物が得られ、無機繊維断熱吸音材の諸物性が向上する。更に、架橋剤において、水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、アミノ基及びイミノ基のモル数を、上記範囲にしたことから、バインダーの硬化の進行が高速度化し、硬化オーブンの温度を上昇させたり、硬化工程の時間を長くすることなく、優れた特性の無機繊維断熱吸音材を製造することができる。
【0010】
多くのホルムアルデヒド非含有バインダーでは、加熱硬化させる際にエステル結合を形成する組成となっているが、エステル化反応においては、脱水を伴いながら縮合が進行するため、反応速度が遅く、硬化させる際の温度を高くしたり、加熱時間を長くするなどして、バインダーの硬化度を高める必要がある。このため、生産性の低下や、経済性に問題を有している。一方、アミノ基やイミノ基とカルボキシ基とを反応させる熱硬化性バインダーも提案されているが(特許文献1等)、硬化後に形成されるアミド基又はイミド基の親水性が高いために、得られる無機繊維断熱吸音材の湿度によるバインダー劣化が著しく、湿度による無機繊維断熱吸音材の膨れが生じることがあり、これにより板材としての強度が低下する。本発明の水性バインダーは、このような欠点をも克服したものであり、無機繊維断熱吸音材の製造に特に有用である。
【0011】
ポリカルボン酸は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体をモノマー単位として有するものであることが好ましい。本発明の水性バインダーは上述のように、高分子量のポリカルボン酸と、中分子量の分岐ポリエチレンイミンと、低分子量のアルカノールイミンとを組み合わせることが特徴の一つであるが、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合して得られるポリカルボン酸を用いることで、一分子あたりのカルボキシ基の量を増やすことができ、また好適な連鎖移動剤との組み合わせにより、重量平均分子量の制御も容易である。したがって、このようなポリカルボン酸を用いることで水性バインダーとしての機能を向上させることができる(一分子当たりのカルボキシ基が多いことに基づく架橋効率や架橋密度の向上等)とともに、性能のばらつきも低減される。
【0012】
アルカノールアミンは、各アルカノール部分の炭素数が1〜6のジアルカノールアミンであることが好ましい。アミンに結合するアルカノールのそれぞれにおいて炭素数が1〜6と低いことで、上述のポリカルボン酸及びポリエチレンイミンと組み合わせたときに、圧縮強度や耐久性を更に向上させることができる。
【0013】
水性バインダーには、硬化促進剤、シランカップリング剤、防塵剤、中和剤及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有させることが可能である。このような材料を添加することで、水性バインダーの性能を、硬化工程や使用原料(無機繊維等)に合わせて適宜修正できるようになるため、最終用途に適した配合とすることができる。
【0014】
このような水性バインダーを用いて、圧縮強度や耐久性が向上した無機繊維断熱吸音材を得ることができる。すなわち、無機繊維と、該無機繊維を固着する上記水性バインダーの硬化物とを備える無機繊維断熱吸音材が提供される。
【0015】
この無機繊維断熱吸音材は、環境条件、例えば、気温又は湿度によって、断熱吸音性能に関わる断熱材の厚み寸法や、施工時の自立性に関係する剛性が低下することがなく、従来のフェノール系バインダーを使用したものと同等又はそれ以上の物性を有するものであり、住宅、建物等の断熱、吸音材、あるいは真空断熱材の芯材として、好適に使用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化後の無機繊維断熱吸音材の圧縮強度や耐久性に優れる水性バインダー及びこの水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材が提供可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0018】
実施形態に係る無機繊維断熱吸音材用水性バインダー(以下「水性バインダー」と略称する場合がある。)はポリカルボン酸を含有するものであり、ポリカルボン酸としては、重量平均分子量が1000〜20000であり酸価が500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸(以下「高分子量ポリカルボン酸」と略称する場合がある。)が必須成分として含まれる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、酸価は、ポリカルボン酸1gを中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH)を意味する。
【0019】
ポリカルボン酸としては、高分子量ポリカルボン酸以外のもの(例えば、重量平均分子量が1000〜20000から外れるもの又は酸価が500〜900mgKOH/gから外れるもの)を含有することを排除するものではないが、ポリカルボン酸全量に占める高分子量ポリカルボン酸の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
【0020】
高分子量ポリカルボン酸は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体をモノマー単位として有するもの、すなわち、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合して得られるものであることが好ましい。なお、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては1種又は2種以上を用いることができる。高分子量ポリカルボン酸を構成するモノマー単位は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体のみからなる場合と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシ基を有しない共重合モノマーとからなる場合がある。後者の場合、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量はモノマーの全量を基準として90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0021】
カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2‐メチルマレイン酸、イタコン酸、2‐メチルイタコン酸、α‐β‐メチレングルタル酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、無水マレイン酸、無水アクリル酸、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンフタレート、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンマレエート、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンサクシネートが挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸の分子量が制御しやすいことから、(メタ)アクリル酸を使用することが好ましく、アクリル酸が特に好ましい。また、ポリカルボン酸の酸価を700mgKOH/g以上に調整する場合は、マレイン酸又はフマル酸を使用することが好ましい。なお、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味し、類似の化合物においても同様である。
【0022】
カルボキシ基を有しない共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n‐ステアリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエトキシ(メタ)アクリレート、メチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、エチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、ブチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、4‐ヒドロキシブチルアクリレート、3価以上のポリオールのモノ(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N‐アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N‐ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体;ビニルアルキルエーテル、N‐アルキルビニルアミン、N,N‐ジアルキルビニルアミン、N‐ビニルピリジン、N‐ビニルイミダゾール、N‐(アルキル)アミノアルキルビニルアミン等のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N‐ビニルホルムアミド、N‐ビニルアセトアミド、N‐ビニルピロリドン等のアミド系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレン、ブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素;スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、ビニルトルエン、p‐ヒドロキシスチレン、p‐アセトキシスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を併用することができる。
【0023】
高分子量ポリカルボン酸の酸価は、500〜900mgKOH/gであり、550〜750mgKOH/gであることが好ましい。ポリカルボン酸の酸価がこの数値範囲内であることにより、バインダー硬化物の強度や剛性が向上し、得られる無機繊維断熱吸音材の圧縮梱包開封後の厚み復元性やボード状に加工された無機繊維断熱吸音材の剛性が向上する。また、断熱性、吸音性又は自立性等、施工時の作業性に優れる。
【0024】
高分子量ポリカルボン酸の重量平均分子量は、1000〜20000であり、2000〜15000が好ましく、2000〜10000がより好ましい。ポリカルボン酸の重量平均分子量がこの数値範囲内であることにより、水性バインダーの流動性が無機繊維に付与するのに適したものしやすく、水性バインダーの付着量のばらつきを抑制できる。また、無機繊維断熱吸音材の製造において、水性バインダーの繊維への付与は、遠心法等で繊維化された直後の約200〜350℃の高温雰囲気下で行われることが多く、その際、水性バインダー中の水分の揮散を良好にできる。
【0025】
ポリカルボン酸の重量平均分子量は、水性バインダーの流動性だけでなく、硬化速度や、硬化後の架橋密度とも関係があり、同じ酸価のポリカルボン酸であっても分子量が異なると、バインダーの硬化速度やバインダー硬化物の強度が変動し、得られる無機繊維断熱吸音材の物性も変化する。例えば、ポリカルボン酸類の重量平均分子量が小さくなるにつれて、水性バインダーの硬化速度は速くなるが、硬化物は脆くなる傾向にあり、製造ラインの生産条件によっては、所望する物性が得られない場合がある。ポリカルボン酸類の重量平均分子量が上記範囲内であれば、水性バインダーの流動性と、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性との最適化を図ることができる。
【0026】
水性バインダー中のポリカルボン酸の配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、70〜90質量%が好ましく、75〜86質量%がより好ましい。
【0027】
水性バインダーは、上述のポリカルボン酸の他、架橋剤を含んでおり、架橋剤としては、重量平均分子量が300〜2000であり分岐構造を有するポリエチレンイミン(以下「分岐ポリエチレンイミン」と略称する場合がある。)と、このポリエチレンイミンよりも低分子量でありアルコール価数が2以下のアルカノールアミン(以下「低分子量アルカノールアミン」と略称する場合がある。)を必須成分とする。架橋剤としては、この必須成分以外のものを含有することを排除するものではないが、架橋剤全量に占める、分岐ポリエチレンイミン及び低分子量アルカノールアミンの合計含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
【0028】
分岐ポリエチレンイミンは、エチレンイミンを重合させたものであり、重合触媒や重合条件により、分子の末端にアミノ基又は分子中にイミノ基若しくはアミノ基が形成された、分岐構造を有する水溶性樹脂である。
【0029】
分岐ポリエチレンイミンの重量平均分子量は300〜2000であり、好ましくは500〜1800であり、より好ましくは600〜1200である。分岐ポリエチレンイミンも、ポリカルボン酸と同様に、分子量により、水性バインダーの流動性、水性バインダーの硬化挙動に影響する。ポリエチレンイミンの重量平均分子量が上記範囲内であれば、水性バインダーの流動性と、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性との最適化を図ることができる。また、ポリエチレンイミン中のアミノ基又はイミノ基は水酸基よりも速くカルボキシ基と反応する傾向にあるため、重量平均分子量を上記数値範囲内にすることで、分岐ポリエチレンイミンがポリカルボン酸と速く反応し、バインダー硬化物の分子量の増加速度が向上し、バインダー硬化物の強度が向上する。
【0030】
分岐ポリエチレンイミンのアミン価は、850〜1150mgKOH/gが好ましく、1000〜1130mgKOH/gがより好ましい。なお、このアミン価は、JIS K7237に準じて求められる。
【0031】
水性バインダー中の分岐ポリエチレンイミンの配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、0.3〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0032】
低分子量アルカノールアミンは、アミノ基又はイミノ基と、水酸基とを有する化合物であり、モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンに大別できる。低分子量アルカノールアミンは、モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンの混合物であってもよい。低分子量アルカノールアミンとしては、各アルカノール部分の炭素数が1〜6のジアルカノールアミンが挙げられ、各アルカノール部分の炭素数が1〜3のジアルカノールアミンを用いることが好ましい。各アルカノール部分の炭素数が1〜6のジアルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンが挙げられ、ポリカルボン酸との反応速度並びにバインダー硬化物の圧縮強度及び耐久性から、ジエタノールアミンが好ましい。
【0033】
ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比は、0.30〜0.75であり、0.40〜0.70が好ましく、0.45〜0.65がより好ましい。モル比をこの数値範囲内にすることにより、ポリカルボン酸と架橋剤成分とが、過不足なく架橋構造を形成しやすく、バインダー硬化物の強度が強固になり、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性を最適なものにできる。
【0034】
架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比は0.34〜0.80であり、0.34〜0.65であることが好ましく、0.34〜0.60であることがより好ましい。モル比をこの数値範囲内にすることで、高分子量ポリカルボン酸及び架橋剤成分である分岐ポリエチレンイミンと低分子量アルカノールアミンは、速やかに架橋構造を形成し、耐水性に好ましくない影響を及ぼすアミド基及びイミド基の形成が抑制されるため、硬化条件により硬化度の変動が少なく、得られる無機繊維断熱吸音材の耐水性を損なわず、機械的強度、断熱材としての寸法の確保が可能となる。
【0035】
水性バインダー中の低分子量アルカノールアミンの配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0036】
このようにポリカルボン酸と架橋剤とを配合した上記水性バインダーは、硬化の過程でホルムアルデヒドが生成せず、優れた圧縮強度及び耐久性を有する硬化物を得ることができる。
【0037】
水性バインダーは、還元性の無機塩等の硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、次亜リン酸塩、亜硫酸塩が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。次亜リン酸塩としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸ストロンチウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸水素リチウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素アンモニウムが挙げられ、なかでも、硬化促進作用のある亜硫酸イオンの含有量が高い亜硫酸水素リチウム、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素アンモニウムが好ましい。
【0038】
硬化促進剤の配合量は、ポリカルボン酸及び架橋剤の合計100質量部に対して、固形分換算で0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
【0039】
水性バインダーは、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤は、無機繊維とバインダー硬化物との界面で作用し、バインダー硬化物の無機繊維への接着を向上させることができる。シランカップリング剤としては、例えば、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
シランカップリング剤の配合量は、ポリカルボン酸及び架橋剤の合計100質量部に対して、固形分換算で0.1〜2.0質量部が好ましい。
【0041】
水性バインダーには、必要に応じて、防塵剤である重質オイル水分散体、着色剤、ガラス等の無機繊維から溶出されるアルカリ成分を中和するための無機硫酸塩(中和剤)、その他添加剤等を更に配合することができる。無機硫酸塩としては、例えば、硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0042】
水性バインダーのpHは、6.0〜8.0が好ましく、6.0〜7.0がより好ましく、6.0〜6.5が更に好ましい。pHをこの数値範囲内にすることで、製造設備の腐食を抑制でき、また、廃水処理も容易となるので、メンテナンス費用の低減を図ることができる。pHの調整は、揮発性塩基性化合物を用いて行うことが好ましい。揮発性塩基性化合物としては、例えば、アンモニア水、アミン等が挙げられ、硬化時に発生する臭気等の観点から、アンモニア水が好ましい。
【0043】
水性バインダーは、例えば、以下のような方法で製造することができる。すなわち、上記ポリカルボン酸及び架橋剤に加え、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、重質オイル水分散体、その他添加剤を、ディゾルバー等の攪拌機のついたタンクに導入して混合すればよい。
【0044】
水性バインダーの形態としては、エマルション、コロイダルディスパージョン、水溶性組成物が挙げられ、このどの形態をとっていてもよい。ここで、エマルションとは、水性バインダー中の樹脂成分(高分子量ポリカルボン酸等)とは別の乳化剤、例えば、界面活性剤等で乳化したものを意味し、コロイダルディスパージョンとは、樹脂成分中の官能基によって、樹脂成分が水中に分散したものを意味し、一般的に両者とも外観は乳白色を呈する。一方、水溶性組成物とは、樹脂成分が水に溶解しているものをいい、外観も透明又は透明に近いものである。
【0045】
水性バインダーの形態としては、以下に説明するとおり、工程管理が容易であることから、エマルション又はコロイダルディスパージョンよりも水溶性組成物の方が有利である。すなわち、エマルションやコロイダルディスパージョンでは、分散されている樹脂成分(高分子量ポリカルボン酸等)は、水との溶解性、膨潤性が低い性質を有しており、媒体である水が揮散すると、フィルムを形成しやすい。水性バインダー中の樹脂成分が、硬化前にフィルムを形成すると、無機繊維表面でのバインダーの流動性が損なわれやすく、バインダーの付着量が均質な無機繊維断熱吸音材が得られないだけでなく、無機繊維同士のバインダーによる結合が欠ける部分が多くなり、製品としての形状を保つのが困難となる場合がある。また、コロイダルディスパージョンやエマルションでは、一旦、媒体である水が揮散してフィルムを形成すると、再度水性材料に戻り難いため、製造設備等にバインダーが付着すると、洗浄が煩雑となり、生産性の低下が生じがちである。
【0046】
一方、水性バインダーが水溶性組成物である場合、水性バインダーから水が徐々に揮散してもフィルム形成が直ちに生じるわけではないので、上記のような問題が生じることがない。よって、水性バインダーは水溶性組成物として調製することが好ましい。
【0047】
上記のような事情があるものの、エマルション又はコロイダルディスパージョンについては、加湿条件下で使用したり、水分含有量を調整したりすることで、実用上問題なく使用することも可能であることから、エマルション、コロイダルディスパージョン、水溶性組成物のいずれの形態をとるべきかは、水性バインダーの使用環境に従って適宜決定すればよい。
【0048】
また、水性バインダーの固形分量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。固形分量を5質量%以上にすると、水分量が適量であるため硬化工程に時間がかかりすぎず、良好な生産性を保つことができる。固形分量を40質量%以内にすると、バインダーの流動性の低下を防ぐことができる。ここで、固形分とは、水性バインダーを、1気圧且つ室温(23℃程度)以上100℃以下の温度で加熱して、揮発しない成分をいう。なお、固形分以外の成分(揮発成分)は水であることが好ましい。
【0049】
実施形態に係る無機繊維断熱吸音材は、無機繊維と、無機繊維を固着(保持)する上記水性バインダーの硬化物と、を備えるものである。すなわち、無機繊維断熱吸音材は、上記水性バインダーを無機繊維に付与し、バインダーを加熱硬化させて成形して得ることができるものである。
【0050】
無機繊維断熱吸音材の密度は、通常の断熱材や吸音材に使用されている密度でよく、好ましくは5〜300kg/m
3である。
【0051】
無機繊維断熱吸音材は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、まず、溶融した無機質原料を繊維化装置で繊維化し、その直後に上記水性バインダーを無機繊維に付与する。次いで水性バインダーが付与された無機繊維を有孔コンベア上に堆積して嵩高い無機繊維断熱吸音材用中間体を形成し、所望の厚さになるように間隔を設けた上下一対の有孔コンベア等に送り込んで狭圧しつつ加熱し、水性バインダーを硬化させて無機繊維断熱吸音材を形成する。必要に応じて表皮材等を被覆させて、無機繊維断熱吸音材を所望とする幅、長さに切断する。
【0052】
無機繊維としては、通常の断熱吸音材に使用されているグラスウール、ロックウール等を用いることができる。無機繊維の繊維化方法としては、例えば、火焔法、吹き飛ばし法、遠心法(ロータリー法ともいう)の各種方法を用いることができる。無機繊維がグラスウールの場合は、遠心法を用いることが好ましい。
【0053】
無機繊維に水性バインダーを付与する時期としては、繊維化後であればよく、水性バインダーを効率的に付与する観点から、繊維化直後に付与することが好ましい。
【0054】
無機繊維に水性バインダーを付与する方法としては、スプレー装置等を用いて塗布又は噴霧する方法が挙げられる。水性バインダーの付与量の調整は、従来の撥水剤を含まないバインダーと同様の方法で行うことができる。水性バインダーの付与量は、無機繊維断熱吸音材の密度や用途によって異なるが、水性バインダーを付与した無機繊維断熱吸音材の質量を基準として、固形分換算で0.5〜15質量%が好ましく、0.5〜9質量%がより好ましい。
【0055】
上記工程によって水性バインダーが付与された無機繊維は、有孔コンベア上に堆積され、嵩高い無機繊維中間体となる。ここで有孔コンベア上に堆積する時に、無機繊維が堆積される有孔コンベアの反対側から吸引装置により吸引することが好ましい。
【0056】
水性バインダーの加熱方法としては、例えば、熱風オーブンによる加熱が挙げられる。熱風オーブン内の加熱温度は、例えば、200〜350℃とすることができる。加熱硬化時間は、無機繊維断熱吸音材の密度及び厚さにより、30秒〜10分の間で適宜調整することができる。
【0057】
無機繊維断熱吸音材は、そのままの形態で用いてもよく、また、表皮材で被覆して用いてもよい。表皮材としては、例えば、紙、合成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布、織布又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。
【0058】
このようにして得られた無機繊維断熱吸音材は、優れた圧縮強度及び耐久性を有する。また、バインダーの加熱硬化時に、ホルムアルデヒドを放出することがないので、従来のフェノール・ホルムアルデヒド系バインダーと比較して、環境負荷を少ないものである。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
【実施例】
【0060】
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
次亜リン酸ナトリウムを連鎖移動剤としてラジカル重合させたポリアクリル酸(重量平均分子量8,000、酸価660mgKOH/g)を水で溶解させ、樹脂溶液(固形分45%)を得た。樹脂溶液を固形分換算で100質量部と、ポリエチレンイミン(重量平均分子量600、アミン価1120mgKOH/g)を固形分換算で0.60質量部と、ジエタノールアミンを固形分換算で22.44質量部と、硬化促進剤である次亜リン酸ナトリウムを4.0質量部と、を混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得た。さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0質量部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.60であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.35であった。
【0062】
(実施例2)
ポリエチレンイミン(重量平均分子量1800、アミン価1060mgKOH/g)を固形分換算で5.56質量部、ジエタノールアミンを固形分換算で12.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.40であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.49であった。
【0063】
(実施例3)
次亜リン酸ナトリウムを連鎖移動剤としてラジカル重合させたポリアクリル酸(酸価560mgKOH/g、重量平均分子量3,500)を水で溶解させ、樹脂溶液(固形分50%)を得た。樹脂溶液を固形分換算で100質量部と、ポリエチレンイミン(重量平均分子量1200、アミン価1060mgKOH/g)を固形分換算で8.89質量部と、ジエタノールアミンを固形分換算で8.21質量部と、硬化促進剤として次亜リン酸ナトリウムを2.0質量部と、を混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得た。さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0質量部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.50であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.61であった。
【0064】
(実施例4)
次亜リン酸ナトリウムを連鎖移動剤としてラジカル重合させたポリアクリル酸(酸価720mgKOH/g、重量平均分子量15,000)を水で溶解させ、樹脂溶液(固形分40%)を得た。樹脂溶液を固形分換算で100質量部と、ポリエチレンイミン(重量平均分子量600、アミン価1120mgKOH/g)を固形分換算で16.25質量部と、ジエタノールアミンを固形分換算で16.23質量部と、硬化促進剤として次亜リン酸ナトリウムを2.0質量部と、を混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得た。さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0質量部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.60であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.61であった。
【0065】
(比較例1)
実施例1において、ポリエチレンイミンを添加せず、ジエタノールアミンを固形分換算で43.5質量部に変更した以外は同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.00であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.33であった。
【0066】
(比較例2)
ポリエチレンイミンを固形分換算で0.36質量部、ジエタノールアミンを固形分換算で8.42質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.22であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.35であった。
【0067】
(比較例3)
ポリエチレンイミンを固形分換算で16.20質量部、ジエタノールアミンを固形分換算で34.91質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.16であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.49であった。
【0068】
(比較例4)
ポリエチレンイミンを固形分換算で19.84質量部、ジエタノールアミンを固形分換算で3.92質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.6であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.85であった。
【0069】
(比較例5)
連鎖移動剤として次亜リン酸ナトリウムを使用して、アクリル酸をラジカル重合させたポリアクリル酸(酸価720mgKOH/g、重量平均分子量15,000)を水で溶解させた樹脂溶液(固形分40%)を固形分換算で100部と、重量平均分子量3200、アミン価1025mgKOH/gのポリエチレンイミンを固形分換算で15.52質量部、アルカノールアミン類として、ジエタノールアミンを固形分換算で16.23質量部と、硬化促進剤として次亜リン酸ナトリウムを2.0部とを混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得て、さらに、シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、比較例5の無機繊維用水性バインダーを得た。このバインダーにおいて、カルボキシ基の総モル数に対する、アミノ基、イミノ基及び水酸基の総モル数の比が0.56であり、アミノ基、イミノ基及び水酸基の総モルに対する、アミノ基とイミノ基を合わせたモル数の比が、0.60であった。
【0070】
[圧縮強度の評価]
遠心法により繊維化したガラス繊維に、実施例及び比較例のバインダーを所定の付着量になるようにそれぞれスプレーで塗布した後、吸引装置で吸引しながら有孔コンベア上に堆積して、無機繊維断熱吸音材の中間体を形成させた。前記中間体を260℃の熱風中で5分間加熱して、バインダーを硬化させ、密度24kg/m
3、長さ1350mm、幅430mm、厚み80mm、バインダー付着量8.0%の無機繊維断熱吸音材(グラスウールボード)を得た。得られたグラスウールボードの厚み方向に、1m/分の速度で10%圧縮荷重を測定した。結果を表1及び表2に示す。なお、比較例2のバインダーを使用したグラスウールボードでは、無機繊維断熱吸音材の中間体を形成する有孔コンベア上に、バインダーの粘着による汚れと、無機繊維の付着が多く観察された。
【0071】
[耐久性評価]
上記のように作製したグラスウールボードから、厚さ80mm、300mm角の試験片を切り出した。試験片を、温度105℃、圧力135kPaの高温高圧の蒸気下で1時間静置させた後の厚さの変化を測定し、初期の厚さに対する変化率を求めた。結果を表1及び表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【解決手段】ポリカルボン酸とポリカルボン酸の架橋剤とを含有し、ポリカルボン酸は、重量平均分子量が1000〜20000であり酸価が500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸を含んでおり、架橋剤は、重量平均分子量が300〜2000であり分岐構造を有するポリエチレンイミンと、ポリエチレンイミンよりも低分子量でありアルコール価数が2以下のアルカノールアミンとを含んでおり、ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が、0.30〜0.75であり、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が0.34〜0.80である、無機繊維断熱吸音材用水性バインダー。