(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のアンダーカット特徴部の少なくとも90%が、前記アンダーカット特徴部の全ての平均距離の20%以内である距離だけ、前記一体バッキングから延在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
前記複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.001インチ(in)(0.0254ミリメートル(mm))〜0.25in(6.35mm)の距離だけ、前記一体バッキングから延在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
接着剤とインターロックされるアンダーカット特徴部を含む層を有する方法及び物品が提供される。より具体的には、物品は、第1の層と、第2の層と、第3の層と、を備える、多層構造を含む。第1の層は、ポリオレフィンで形成され、複数のアンダーカット特徴部を備える。第2の層は、複数のアンダーカット特徴部とインターロックされる接着剤を備える。第3の層は、基材を備え、また、接着剤に付着される。故に、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0010】
多層構造を含む物品を作製する方法も提供される。本方法は、一体バッキング上にあり、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部を含む第1の層を形成するために、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップと、少なくとも150ミリメートル/分(mm/分)の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップと、を含む。次に、第1の層に取り付けられる第2の層を形成するために、硬化性接着剤を複数のアンダーカット特徴部に塗布し、硬化性接着剤は、硬化したときに、59を超えるショアD硬度を有する。更に、基材を備える第3の層が第2の層に取り付けられる。第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0011】
端点による任意の数値範囲の列挙は、いずれも、その範囲の端点、その範囲内の全ての数値、及び述べられた範囲内の任意のより狭い範囲を含むことを意味する(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。本明細書及び実施形態において使用される量又は成分、特性の測定値等を表す全ての数値は、別段指定のない限り、全ての場合において「約」という用語によって修正されることを理解されたい。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、先の明細書及び添付した実施形態の一覧に記述されている数値パラメータは、当業者が本開示の教示を利用して得ようとする所望の性質に応じて変化し得る。最低限でも、また、請求される実施形態の範囲への同等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、少なくとも各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常の概算方法を適用することによって解釈されなければならない。
【0012】
以下の用語集の定義された用語について、請求項又は明細書の他の箇所で異なる定義が提供されない限り、これらの定義が出願全体に適用されるものとする。
【0013】
用語集
説明及び特許請求の範囲の全体を通して特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とする場合がある。本明細書で使用するとき、以下の通りであると理解すべきである。
用語「a」、「an」及び「the」は、「少なくとも1つの」と互換的に用いられ、記載された要素のうちの1つ又は2つ以上を意味する。
【0014】
用語「及び/又は」とは、一方又は両方を意味する。例えば、「A及び/又はB」という表現は、A、B、又はAとBとの組み合わせを意味する。
【0015】
「アンダーカット」という用語は、金型キャビティからの成型した特徴部の取り出しを妨げる突起又は窪みを指す。
【0016】
「アンダーカット特徴部」という用語は、金型キャビティからの要素の取り出しを妨げる突起又は窪みを含む要素を指す。いくつかの事例では、要素の一部分がアンダーカット(例えば、釘形状の頭部部分)であり、一方で、他の事例では、要素全体がアンダーカット(例えば、漏斗形状)である。
【0017】
「ステム」という用語は、バッキング上に一体に形成され、かつそこから延在するアンダーカット特徴部の主軸を指す。
【0018】
「頭部」という用語は、ステムの端部上に位置するアンダーカット特徴部の任意の一部分を指す。
【0019】
「逆勾配」という用語は、あるタイプのアンダーカット特徴部、すなわち、バッキング上に一体に形成され、かつそこから延在するアンダーカット特徴部を指し、その断面積は、バッキングの近位からバッキングの遠位にかけて徐々に増加する。
【0020】
「インターロック」という用語は、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部の別の材料(例えば、接着剤)の中へのマクロ的穿通、又は1つ若しくは2つ以上のアンダーカット特徴部と別の材料との絡み合いを指す。インターロックは、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部を有する要素と別の材料との機械的相互作用を提供する。機械的相互作用の程度が大きくなるほど、インターロックされた材料を引き離すために必要とされる力の量が多くなる。
【0021】
「近位」という用語は、起始点(例えば、バッキング層)の近くに位置することを指し、一方で、「遠位」という用語は、起始点から遠く離れて位置することを指す。
【0022】
第1の態様では、物品が提供される。より具体的には、多層構造を備える物品が提供され、多層構造は、(a)一体バッキング上に形成され、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部を備え、ポリオレフィンで形成される第1の層と、(b)硬化したときに59を超えるショアD硬度を有する接着剤を備え、複数のアンダーカット特徴部とインターロックされる第2の層と、(c)基材を含む第3の層と、を備え、第3の層は、接着剤に付着され、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0023】
第2の態様では、方法が提供される。より具体的には、本方法は、(a)一体バッキング上にあり、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部を備える第1の層を形成するために、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップと、(b)少なくとも150ミリメートル/分(mm/分)の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップと、(c)第1の層に取り付けられる第2の層を形成するために、硬化性接着剤を複数のアンダーカット特徴部に塗布するステップであって、硬化性接着剤は、硬化したときに59を超えるショアD硬度を有する、塗布するステップと、(d)基材を備える第3の層を第2の層に取り付けるステップと、を含み、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0024】
以下の本開示の実施形態の説明は、上記の態様のいずれか一方又は双方に関する。
【0025】
低表面エネルギー(LSE)ポリマーを他の材料に接合することは難題であり、また、多くの事例において、LSEポリマー(例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン)に対する強力な構造接合は、特別に設計された接着剤を必要とする。「低表面エネルギー」という用語は、本明細書で使用するとき、1メートルあたり33ミリニュートン(mN/m)未満の表面エネルギーを備える主要面を有する材料を指す。そのような接着剤は、よく見られるより低価格の接着剤(例えば、エポキシ)とは対照的であり、典型的には、LSEポリマーに対して比較的弱い接合を生じる。本明細書で提供される実施形態は、数多くの異なる接着剤を使用して、低表面エネルギーポリマーを他の材料(例えば、基材)に接合することを可能にする。大部分の実施形態において、ポリオレフィンで形成される第1の層は、LSEポリマーである。接着剤を備える第2の層が硬化するときに、一体バッキング上に形成され、かつそこから延在するアンダーカット特徴部は、固化した接着剤の中に埋設され、接着剤とインターロックされる。この時点で、アンダーカット特徴部は、かなりの変形を伴わずに接着剤から分離することはできない。そのような機械的インターロックは、温度がポリマーの軟化点よりも低いままであれば、ポリマーと接着剤との間の界面接着性に関係なく、ポリマーと接着剤との間に強力な接合を生じさせる。
【0026】
上で述べられるように、アンダーカット特徴部は、特徴部の変形がかなりの圧縮歪み及び/又は剪断歪みを含むため、無アンダーカット特徴部と比較して、離型することが困難になり得る。これらのより苛酷な歪みに適応するために、比較的正確な高い温度を維持しなければならないことを発見した。更に、これらの高い温度では、離型は、変形の弾性性質を維持するために、高速に行わなければならない。
【0027】
図1は、本開示の態様による、アンダーカット特徴部を有する層を形成するためのステップを例示する、例示的な部分断面図を提供する。
図1Aは、複数のキャビティを有するように形成した金型ツール10の一部分の断面図を示し、単一のキャビティ14だけが示される。キャビティ14は、アンダーカット特徴部を最終成型層の上に提供するように形成される領域12の中で終了する。使用に際し、金型ツール10は、
図1Bで示されるようにポリオレフィン樹脂15が充填されて、層17を形成する。ポリオレフィン15は、金型ツール10内に充填される。
図1Bで示されるように、層17は、バッキング19と、バッキング19上に一体に形成され、かつそこから延在するステム16と、を備える。ステム16は、バッキング19から遠位のステム16上に配置される頭部18を備える。
図1の実施形態において、ステム16及び頭部18は、ともにアンダーカット特徴部11を提供する。
【0028】
図1Cは、層17を離型することを例示する。具体的には、金型ツール10の温度は、ポリオレフィン15がゴム状である範囲内の温度を有するように制御される。典型的には、金型ツールは、室温(例えば、約23〜25℃)〜ポリオレフィン15の融解温度(T
m)より低い温度で維持される。ポリオレフィン15の温度は重要であるが、その理由は、温度が低すぎる場合、キャビティ14から離型したときにアンダーカット特徴部11が永続的に変形するか、又は破損する場合があるからである。温度が高過ぎる場合、アンダーカット特徴部11は、その以前に成型した形状に復帰するための十分な弾性記憶を有しなくなり、及び/又はポリオレフィン15は、離型力に耐えるのに十分な機械的強度を有しなくなり、層17のバッキング19の不具合をもたらし得る。
図1Cで例示されるように、ポリオレフィン15に適切な温度範囲を有することは、キャビティ14からアンダーカット特徴部11を取り外している間に、アンダーカット特徴部が一時的に変形することを可能にする。この後に、
図1Dで示されるように、離型の前に、アンダーカット特徴部11がその成型した形状に戻る。具体的には、
図1Dにおいて、離型された層17は、それが金型ツール10の中にあったときと同じ寸法を有するように示され、具体的には、アンダーカット特徴部11は、変形又は破損していない。ポリオレフィン15の温度に加えて、層17の離型速度は、アンダーカット11の変形又は破損が最も少ない(好ましくは、全く無い)状態で層17から離型するために、150ミリメートル/分(mm/分)等の最低速度を超えるべきである。
【0029】
ポリオレフィン樹脂は、典型的には、例えばロール成型、射出成型、押出成型、真空成型、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない、従来の成型方法により金型キャビティ内に堆積される。ある特定の実施形態において、本方法は、樹脂を金型キャビティ内に堆積させる前に、好ましくはポリオレフィン樹脂の融解温度(T
m)を超える温度まで、ポリオレフィン樹脂を加熱するステップを含む。そのような実施形態において、本方法はまた、典型的には、金型キャビティから第1の層を離型する前に、金型キャビティの温度を25℃〜ポリオレフィン樹脂のT
m未満の温度に維持することによって、金型キャビティ内のポリオレフィン樹脂を冷却するステップも含む。他の実施形態において、本方法は、金型キャビティから第1の層を離型する前に、固体として樹脂を金型キャビティ内に堆積させ、樹脂を金型キャビティの形状に合致させるステップを含む。そのような実施形態において、本方法は、典型的には、金型キャビティ内で第1の層を成型している間に、金型キャビティの温度を、25℃〜ポリオレフィンの劣化温度(T
d)未満、好ましくは25℃〜ポリオレフィン樹脂のT
mの温度に維持することによって、金型キャビティ内のポリオレフィン樹脂を加熱することを含む。金型キャビティの温度がポリオレフィンのT
mを超えて上昇するほど、離型の前に金型キャビティの温度をより多く下げることが必要になる。
【0030】
離型が行われる温度が、アンダーカット特徴部の最小の変形及び/又は破損で、アンダーカット特徴部を離型する能力に影響を及ぼすことを発見した。好ましくは、離型が行われるときに、金型キャビティの温度は、ポリオレフィン樹脂のT
m〜ポリオレフィン樹脂のT
mよりも30℃低い温度に維持される。ある特定の実施形態において、金型キャビティの温度は、50℃〜200℃、又は75℃〜150℃、又は100℃〜150℃、又は125℃〜175℃、又は150℃〜175℃に維持される。より具体的には、ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、ポリプロピレンであり、金型キャビティの温度は、130℃〜170℃又は145℃〜150℃に維持され、一方で、他の実施形態において、ポリオレフィンは、高密度ポリオレフィン(HDPE)であり、金型キャビティの温度は、110℃〜135℃又は115℃〜125℃に維持される。ある特定の実施形態において、金型キャビティの温度は、金型ツールの1つの主要面を高温に晒すことによって調整される。別の実施形態において、金型キャビティの温度は、金型をオーブンの中に配置することによって調整される。金型キャビティの温度を調整する他の様々な方法は、当業者によって決定され得る。
【0031】
離型が行われる速度も、アンダーカット特徴部の最小の変形及び/又は破損で、アンダーカット特徴部を離型する能力に影響を及ぼすことが発見された。好ましくは、第1の層は、少なくとも150ミリメートル/分(mm/分)、又は少なくとも200mm/分、又は少なくとも250mm/分、又は少なくとも300mm/分、又は少なくとも350mm/分、又は少なくとも400mm/分、又は少なくとも450mm/分、又は少なくとも500mm/分の速度で、金型キャビティから離型される。ある特定の実施形態において、本方法は、150mm/分〜550mm/分、又は150mm/分〜300mm/分、又は350mm/分〜550mm/分、又は250mm/分〜500mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型することを含む。
【0032】
多くの実施形態において、本方法は更に、第3の層を第2の層に取り付けた後に、硬化性接着剤を硬化させることを含む。第2の層は、主として接着剤と複数のアンダーカット特徴部とのインターロックにより、第1の層に取り付けられる。本明細書で使用するとき、「インターロック」という用語は、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部の別の材料(例えば、接着剤)の中へのマクロ的穿通、又は1つ若しくは2つ以上のアンダーカット特徴部と別の材料との絡み合いを指す。インターロックは、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部を有する要素と別の材料との機械的相互作用を提供し、第2の層の接着剤は、第1の層と第2の層との間の接続を強化し得るが、インターロックは、第1の層と第2の層との間の接続を維持するために、第2の層の接着剤特性に依存しない。
【0033】
大部分の実施形態において、複数のアンダーカット特徴部の各々は、アンダーカット特徴部の各々の主軸である、一体バッキングから延在するステムを備える。
図2は、一体バッキング24から延在するアンダーカット特徴部22(略釘様形状を有する)の例示的な部分斜視図を提供する。特徴部は、バッキング24から延在するステム26を備える。任意に、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部は、逆勾配形状、例えば漏斗形状を備える。
【0034】
図3は、一体バッキング34から延在する漏斗形状を備えるアンダーカット特徴部32の例示的な部分斜視図を提供する。特徴部は、バッキング34から延在するステム36を備える。複数のアンダーカット特徴部のステムは、好ましくは、全て同じ角度で一体バッキングから延在する。一実施形態において、複数のアンダーカット特徴部の各々のステムは、一体バッキングの近位から一体バッキングの遠位にかけて増加する断面積を備える形状を備える。そのような形状の1つの例は、
図3に示される漏斗形状である。複数のアンダーカット特徴部の各々のステムは、しばしば、1つ又は2つ以上の円形断面を備える単一の軸を備える。
図2及び
図3の各々は、1つを超える円形の断面を有する単一の軸を備えるステムを有するアンダーカット特徴部を示し、具体的には、
図2のステム26の断面は、バッキング24の近位から一体バッキング24の遠位にかけて減少し、
図3のステム36の断面は、バッキング34の近位から一体バッキング34の遠位にかけて増加する。
【0035】
ある特定の実施形態において、複数のアンダーカット特徴部の各々は、ステム上に形成される頭部を備え、頭部は、一体バッキングの遠位に位置する。複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部は、好ましくは、ステムの断面積よりも大きい断面積を備え、各頭部は、少なくとも3つの方向にステムから半径方向に延在する。複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部は、1つ又は2つ以上の円形断面を備える。
図2を参照すると、アンダーカット特徴部22は、ステム26上に形成され、かつ一体バッキング24の遠位に位置する頭部28を備え、頭部28は、ステム26の断面積よりも大きい円形の断面積を備え、各頭部28は、少なくとも3つの方向にステムから半径方向に延在する。頭部を含む複数のアンダーカット特徴部は、しばしば、釘形状、マッシュルーム形状、又はそれらの組み合わせを備える。例えば、
図8を参照すると、本開示の一実施形態に従って作製される、バッキング82と、各々が釘形状を有する一連のアンダーカット特徴部84と、を備える、ポリプロピレンで形成される第1の層80の断面の光学顕微鏡画像が提供され、アンダーカット特徴部84の各々は、各々が、ステム86と、ステム上に配置される頭部88と、を備える。
【0036】
ある特定の実施形態において、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部は、0.005in(0.127mm)〜0.1in(2.54mm)、又は0.02in(0.508mm)〜0.1in(2.54mm)、又は0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)、又は0.01in(0.254mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、ステムから延在する。頭部がステムからより長く延在することは、アンダーカット特徴部の離型中に、インターロックが増加する潜在性を提供するだけでなく、同時に、頭部の変形及び/又は破損が増加する可能性も提供する。
【0037】
離型プロセスは、時には、バッキング上に一体に形成される1つ又は2つ以上の個々のアンダーカット特徴部の変形及び/又は破損をもたらす。したがって、変形及び/又は破損したアンダーカット特徴部は、変形及び/又は破損せずに離型したアンダーカット特徴部と同じ幾何学的形状を有しない。「同じ幾何学的形状」という用語は、本明細書で使用するとき、実質的に同一の形状を有する構造を指し、差異又は相違は、アンダーカット特徴部と接着剤との間のインターロックの程度にいかなる影響も及ぼさないように、十分僅かである。例えば、極僅かな構造の変動を有するアンダーカット特徴部をもたらす、ツーリングを形成するために用いられるプロセスによるツールの複数の金型キャビティにおける僅かな差異(ステム部分上の頭部部分の位置付けの僅かな変動等)は、完全に同一の幾何学的形状を有しないにもかかわらず、「同じ幾何学的形状」という用語の範囲に包含される。同様に、離型中のいくらかの永続的な変形(例えば、アンダーカット特徴部の頭部の元々平坦な頂部のいくらかの凹面の発生、又はアンダーカット特徴部の遠位端部における粗化された縁部の製作)は、アンダーカット特徴部と接着剤との間のインターロックの程度に影響を及ぼさない。対照的に、アンダーカット特徴部がもはやアンダーカット特性を有しない程度に完全に破損又は屈曲したステム及び/又は頭部の一部分は、「同じ幾何学的形状」という用語によって包含されない。
【0038】
変形する、破損する、又は双方が生じるアンダーカット特徴部が少ないほど、第1の層と第2の層との間の接合は強力になる。典型的には、アンダーカット特徴部の50%〜100%が同じ幾何学的形状を備え、又はアンダーカット特徴部の60%〜100%、又は70%〜100%、又は80%〜100%、又は90%〜100%、60%〜90%、又は70%〜90%、又は80%〜90%が同じ幾何学的形状を備える。代替的に、アンダーカット特徴部の1%〜49%が互いに異なる幾何学的形状を備える。
【0039】
図5は、本開示の態様による、多層構造を備える物品を形成するためのステップを例示する、例示的な部分斜視図を提供する。
図5Aは、バッキング53と、バッキング53上に一体に形成され、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部54と、を備える、ポリオレフィンで形成される第1の層52の部分斜視図を提供する。アンダーカット特徴部54は各々、逆勾配形状、すなわち、漏斗形状を備える。
図5Bは、第1の層52と、第2の層55と、を含む、2層多層構造56の部分斜視図を提供する。第2の層55は、第1の層52に取り付けられる第2の層55を形成するために、複数のアンダーカット特徴部54に塗布される硬化性接着剤である。多くの実施形態において、接着剤は、複数のアンダーカット特徴部54の表面、及びバッキング53の少なくとも一部の表面に接触する。
図5Cは、第1の層52と、第3の層58と、第1の層52と第3の層58との間に配置される第2の層55と、を含む、3層多層構造を備える、物品57の部分斜視図を提供する。第3の層58は、好ましくは低表面エネルギー材料ではない基材である。
【0040】
多くの実施形態において、本方法は更に、第3の層を第2の層に取り付けた後に、接着剤を硬化させることを含む。第2の層は、主として接着剤と複数のアンダーカット特徴部とのインターロックにより、第1の層に取り付けられる。本明細書で使用するとき、「インターロック」という用語は、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部の別の材料(例えば、接着剤)の中へのマクロ的穿通、又は1つ若しくは2つ以上のアンダーカット特徴部と別の材料との絡み合いを指す。インターロックは、1つ又は2つ以上のアンダーカット特徴部を有する要素と別の材料との機械的相互作用を提供し、第2の層の接着剤は、第1の層と第2の層との間の接続を強化し得るが、インターロックは、第1の層と第2の層との間の接続を維持するために、第2の層の接着剤特性に依存しない。大部分の実施形態において、接着剤は、アンダーカット特徴部を埋設するが、それは、接着剤が基材に接触する表面積をより大きくすることを可能にする。
【0041】
物品57は、任意に接着剤を硬化させた後に、使用すること及び/又はその機械的特性を試験することができる。そのような物品57は、第1の層52の低表面エネルギー材料(すなわち、ポリオレフィン)を第3の層58の基材に取り付ける実際の方法を提供する。より具体的には、第2の層55の接着剤は、アンダーカット特徴部54と硬化した接着剤との機械的インターロックを使用して、第1の層52に接合され、一方で、第2の層55の接着剤は、従来の接着性を使用して、第3の層58に接合される。
【0042】
ある特定の実施形態において、複数のアンダーカット特徴部の各々は、0.001インチ(in)(0.0254ミリメートル(mm))〜0.25in(6.35mm)、又は0.01in(0.254mm)〜0.1in(2.54mm)、又は0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)、又は、0.07in(1.78mm)〜0.25(2.54mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する。好ましい実施形態では、複数のアンダーカット特徴部の各々は、同じ距離だけ一体バッキングから延在するか、又は複数のアンダーカット特徴部の少なくとも90%が、アンダーカット特徴部の全ての平均距離の20%以内である距離だけ、一体バッキングから延在する。本開示による一体バッキングからのアンダーカット特徴部の延在は、以前の試みとは対照的に、2つの材料間の接着強度を強化するためのものであり、一方の材料の表面は、表面にクラックを形成するために粗化される。例えば、
図6は、下で更に詳細に論じられる比較実施例4による、粗化したポリオレフィン表面63を形成するために紙やすりをかけたポリオレフィン層62の断面の蛍光顕微鏡画像である。エポキシ接着剤層64は、ポリオレフィン層62に取り付けられ、鋼基材66は、エポキシ接着剤層64に取り付けられる。対照的に、
図7は、下で更に詳細に論じられる実施例7による、バッキング74と、各々が漏斗形状を有し、かつバッキングから延在する複数のアンダーカット特徴部75と、を備えるポリオレフィンの第1の層72を備える物品70の断面の蛍光顕微鏡画像である。エポキシ接着剤層76は、複数のアンダーカット特徴部75とインターロックされ、鋼基材78は、エポキシ接着剤層76に取り付けられる。
【0043】
バッキング上の複数のアンダーカット特徴部の配設は、特に限定されない。いくつかの実施形態において、アンダーカット特徴部は、繰り返しパターン、例えば、直接隣接したアンダーカット特徴部の各々から等距離で配置される複数のアンダーカット特徴部の各々を備える繰り返しパターンで、一体バッキング上に位置する。例えば、そのようなパターンは
図4に示され、図は、一体に形成された漏斗形状のアンダーカット特徴部44を備えるポリプロピレン層42の一部分の光学顕微鏡画像である。代替的に、いくつかの実施形態において、アンダーカット特徴部は、ランダムな配設で一体バッキング上に位置する。
【0044】
上で示されるように、第1の層は、ポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、特に限定されない。ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、10分あたり0.1〜10グラム(g/10分)、又は0.5〜5g/10分、又は0.1〜4g/10分のメルトインデックスを含む。約10g/10分を超えるメルトインデックスでは、離型中に、アンダーカット特徴部の多く(例えば、50%超)が変形又は破損する。約0.1g/10分未満のメルトインデックスでは、効率的に金型キャビティに充填するには樹脂の粘度が高過ぎる場合がある。好ましくは、ポリオレフィンは、59以上の、又は65を超える、又は70を超える、又は75を超える、又は80を超えるショアD硬度を有する。適切なポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、及び/又はポリプロピレンを含むブレンド)、ポリエチレン(例えば、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び/又は中密度ポリエチレン(MDPE))、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、直鎖低密度ポリエチレン(LDPE)について、LDPEがポリオレフィンとして適切である十分な弾性を有する温度範囲は見つからなかった。
【0045】
接着剤は、特に限定されず、例えば、適切な接着剤は、エポキシ、ポリ尿素、アクリル、シアノアクリル酸、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリイミド、又はポリウレタンを含む。いくつかの実施形態において、接着剤は、(硬化したときに)59を超える、又は65を超える、又は70を超える、又は75を超える、又は80を超えるショアD硬度を有する。59以下のショアD硬度を有する接着剤を用いることは、潜在的に、物品に負荷をかけたときに不具合の発生に耐える十分な完全性を有しない物品をもたらす。デュロメーター硬度は、ショアD硬度等の、窪みに対する材料の抵抗の測定値であり、典型的には、ASTM D2240に従って行われる。多くの市販の材料には、最高で85を有する、ショアD硬度の報告値が提供される。弾性係数は、接着剤等のポリマー材料を特徴付けるために用いられる、別の一般的な特性である。例えば、典型的には、ASTM D 638に従って、弾性係数(E
0、メガパスカル(MPa)を単位とする)が測定される。弾性係数は、次式を使用してショアD硬度に変換することができる。log E
0=0.0235S−0.6403。式中、E
0は、弾性係数であり、Sは、ショアD硬度+50(「Durometer Hardness And The Stress−Strain Behavior Of Elastomeric Materials」,Qi,H.J.;Joyce,K;Boyce,M.C.;Rubber Chemistry and Technology、vol.76、419〜435ページ、2002)である。
【0046】
接着剤は、熱硬化性材料又は熱可塑性プラスチック材料を含み得る。「材料」という用語は、本明細書で使用するとき、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、及び/又はポリマーを指す。「熱硬化性」という用語は、本明細書で使用するとき、接合時に化学変化及び材料の硬度の増加をもたらす硬化反応を受ける材料を指す。「熱硬化性物」という用語は、本明細書で使用するとき、硬化した熱硬化性材料を指す。熱硬化性材料は、一般的に、熱、又はUV、可視、赤外線、マイクロ波、若しくはX線エネルギー等の化学線の印加によって接合することができる。熱硬化性材料はまた、2つの反応性成分を混合することによって、例えば、モノマー混合物又はオリゴマー混合物と硬化剤混合物とを混合することによって、硬化を生じさせることもできる。接着剤層は、任意の添加剤を含むことができ、熱硬化性材料を含む接着剤材料の事例では、1つ又は複数の硬化剤を含むこともできる。
【0047】
「熱可塑性プラスチック」という用語は、本明細書で使用するとき、熱の印加時に物理的変化を受ける材料、すなわち、材料が接合時に流動し、冷却時にその初期の非流動状態に戻る材料を指す。熱可塑性プラスチック材料は、典型的には、加熱によって接合される。熱可塑性プラスチック接着剤としては、ホット−メルト接着剤を挙げることができる。好ましくは、本開示のホット−メルト接着剤は、ポリオレフィン基材の特性と一致するか、又はそれを超える、使用温度での硬度又は係数を有する。これらのホット−メルト接着剤は、好ましくは、ポリアミド及びポリエステルを含む。
【0048】
本開示の接着剤は、加熱接合可能な層を含むことができるが、この層は、熱を印加すると、粘度の初期増加を受け、この増加が、基材の湿潤を促進し、接着性を強化し、また、例えば熱硬化性材料の事例では、硬化反応を生じさせる。UV、可視、若しくは、赤外線等の化学線、マイクロ波若しくはX線エネルギー、又はこれらの組み合わせを、接合を開始又は完了させるために使用することができる。
【0049】
熱硬化性材料
熱硬化性材料を含む接着剤は、好ましくは、基材(非ポリオレフィン)に接合した後に、基材の内部強度(典型的には、引張強度)に近い、又はそれを超える、室温(約23℃±3℃)でのASTM D−1002−94による重なり剪断強度を有し、基材は、少なくとも意図する用途においてとる形態と同程度の強度がある。A.V.Pocius、「Adhesion and Adhesives Technology」、Hanser/Gardner 1997、183ページで説明されるように、室温(約23℃±3℃)で、ASTM D−1002−94に従って、少なくとも約6.9MPaの重なり剪断強度を有する接着剤は、構造用接着剤とみなされる。
【0050】
適切な熱硬化性材料としては、エポキシド、ウレタン、シアン酸エステル、ポリイミド、ビスマレイミド、ニトリルフェノール樹脂を含むフェノール樹脂、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0051】
エポキシド
適切なエポキシドとしては、少なくとも2つの1,2−環状エーテルを含有するものが挙げられる。そのような化合物は、飽和若しくは不飽和化合物、脂肪族化合物、芳香族化合物、若しくは複素環化合物とすることができ、又はこれらの組み合わせを含むことができる。適切なエポキシドは、室温で、固体又は液体であり得る。
【0052】
少なくとも2つのエポキシド基を含有する化合物(すなわち、ポリエポキシド)が好ましい。エポキシド化合物を組み合わせたものを使用することができ、また、混合物の全体的なエポキシド官能価が少なくとも2であれば、2未満の官能価を有するエポキシドを組み合わせて使用することができる。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する直鎖状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、ペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられる。また、エポキシド官能性の他の官能性を有するが、エポキシド官能性とは本質的に非反応性である材料、例えば、エポキシド官能性及びアクリル官能性の双方を含有する材料を使用することも本開示の範囲内に含まれる。任意の添加剤は、コア−シェル硬化剤である。
【0053】
市販の適切なエポキシド系接着剤の例としては、3M Company(St.Paul、MN)から「3M SCOTCH−WELD EPOXY ADHESIVE」の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0054】
ウレタン材料
「ウレタン材料」という用語は、本明細書で使用されるとき、本明細書で「イソシアネート」と称される、少なくとも2つのイソシアネート基(−N=C=O)を含有する化合物の反応生成物から作製されるポリマー、及び少なくとも2つの活性水素含有基を含有する化合物に適用される。活性水素含有基の例としては、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、及び水が挙げられる。他の活性水素含有基としては、イソシアネートと反応して尿素結合を形成し、それによってポリ尿素を作製する、第一級及び第二級アミンが挙げられる。多種多様なイソシアネート末端材料及び適切な共反応物がよく知られており、多くは、市販されている(例えば、Gunter Oertelの「Polyurethane Handbook」、Hanser Publishers、Munich(1985)を参照されたい)。ウレタン接着剤としては、2液型室温硬化接着剤を挙げることができる。ウレタン接着剤としてはまた、暖かいときに適用される1液型湿気硬化接着剤も挙げることができ、3M company(St.Paul、MN)から「3M SCOTCH−WELD POLYURETHANE REACTIVE ADHESIVES」の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0055】
シアン酸エステル材料
適切なシアン酸エステル材料(モノマー及びオリゴマー)は、2つ又はそれ以上の−O−CN官能基を有するものである。適切なシアン酸エステル化合物としては、1,3−及び1,4−ジシアナトベンゼン、2−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、2,4−ジメチル−1,3−ジシアナトベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、テトラメチル−1,4−ジシアナトベンゼン、4−クロロ−1,3−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、2,2−又は4,4−ジシアナトビフェニル、3,3’、5,5’,−テトラメチル−4,4’,−ジシアナトビフェニル、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,8−、2,6−、又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェノキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−シアナトフェニル)ケトン、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、亜リン酸トリス(4−シアナトフェニル)、及びリン酸トリス(4−シアナトフェニル)が挙げられる。また、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物とハロゲン化シアン化物とを反応させることによって得られるポリシアネート化合物も適している。
【0056】
フェノール材料
適切なフェノール樹脂は、一般的に、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、第11巻、John Wiley & Sons,Inc.(New York、1988)、45〜92ページで説明されている。
【0057】
フェノール系樹脂は、一般的に、Alphonsus V.Pocius、「Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction」、Hanser Publishers(New York、1997)、185〜188ページで説明されている。適切なフェノール系材料は、レゾールフェノール及びノボラックフェノールを含む、フェノールの反応生成物及びホルムアルデヒドとして作製されるものである。フェノールの例としては、フェノール、レゾルシノール、para−置換フェノール、クレゾール、並びにビスフェノールAの反応生成物及びビスフェノールAのモノグリシジルエーテルが挙げられる。
【0058】
適切なビスマレイミド材料の例は、別名N,N’−ビスマレイミドモノマー及びプレポリマーとしても知られており、1,2−エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(ベンゼンアミン)、2−メチル−1,4−ベンゼンジアミン、3,3’−メチレン−ビス(ベンゼンアミン)、3,3’−スルホニル−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−スルホニル−ビス(ベンゼンアミン)、3,3’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキサンアミン)、1,3−ベンゼンジメタンアミン、1,4−ベンゼンジメタンアミン、及び4,4’−シクロヘキサン−ビス(ベンゼンアミン)のN,N’−ビスマレイミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
熱硬化性材料用の硬化剤
熱硬化性接着剤層は、好ましくは、熱硬化性材料と、1つ又は複数の硬化剤と、を含む。「硬化剤」という用語は、従来硬化剤とみなされる材料だけでなく、硬化性材料の反応を触媒又は促進する材料、並びに硬化剤及び触媒又は促進剤の双方の役割を果たすことができる材料も含むように広義に使用される。また、2つ又はそれ以上の硬化剤を組み合わせて使用することも可能である。
【0060】
本開示で使用するための硬化剤としては、潜在的な熱の反応性を呈する熱活性硬化剤が挙げられる。すなわち、これらの硬化剤は、主としてより高い温度(好ましくは、少なくとも80℃の温度)で反応するか、又は化学線への曝露等の活性化ステップの後にだけより低い温度で反応する。本開示で使用するための硬化剤としては、基材への塗布前に熱硬化性材料と混合され、それによって接着剤を室温で硬化させる硬化剤を挙げることができる。当業者は、どの硬化剤が熱硬化性材料の各分類に適切であるかを容易に理解するであろう。
【0061】
エポキシド重合に適切な硬化剤としては、多塩基酸及びそれらの無水物、窒素含有硬化剤、アルミニウム、ホウ素、アンチモン、及びチタンのクロロ含有、ブロモ含有、及びフルオロ含有ルイス酸、プロトン酸又はルイス酸の光化学的に活性化された生成系、及び上で説明されるフェノール材料が挙げられる。
【0062】
ウレタン材料に適切な硬化剤としては、エポキシドとの使用について上で説明されるような窒素含有硬化剤(デブロッキング反応の後にブロックされたイソシアネート基と反応して、尿素をもたらすことができる)、並びに例えば、水酸基(例えば、フェノール)、又はイソシアネートと反応することができるチオール官能性を含有する材料が挙げられる。プロトン酸又はルイス酸の光化学的に活性化された生成系は、これらの反応を強化するために使用することができる。
【0063】
シアン酸エステル材料のための適切な硬化剤としては、エポキシドとの使用について説明されるような窒素含有硬化剤、並びに熱的又は光化学的に活性化することができる硬化剤が挙げられる。このような硬化剤の例としては、シクロペンタジエニル基(C
5H
5)及びシクロペンタジエニル基の誘導体を含有する有機金属化合物が挙げられる。
【0064】
フェノール材料のための、及びニトリルフェノール材料のための適切な硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラアミン(ホルムアルデヒドの潜在的な供給源)、並びに有機酸(例えば、リン酸、パラトルエンスルホン酸、及びサリチル酸)と金属酸化物(例えば、酸化亜鉛及び酸化マグネシウム)との組み合わせが挙げられる。
【0065】
ビスマレイミド材料のための適切な硬化剤としては、エポキシドとの使用について説明されるような窒素含有硬化剤、並びにアリルフェノールの潜在的な供給源が挙げられる。
【0066】
アクリル
適切なアクリル接着剤としては、フリーラジカル硬化性アクリル及びシアノアクリル酸が挙げられる。「(メタ)アクリル」という用語は、本明細書で使用するとき、アクリル及びメタクリルを指す。本開示において有用な(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくは、ポリオレフィン基材の特性と一致する、又はそれを超える硬度又は係数を有するポリマーを生成する。アクリル接着剤としては、例えば、可塑剤、硬化剤、流動性改良剤、中和剤、安定化剤、抗酸化剤、充填剤、着色剤、及び同類のもの等の、従来の添加剤を挙げることができる。
【0067】
適切なフリーラジカル硬化性アクリルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸イソボルニル、及びメタクリル酸イソボルニルが挙げられるが、これらに限定されない。多官能性(メタ)アクリル酸エステルは、任意に、架橋剤として含むことができる。これらの多官能性(メタ)アクリル酸としては、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、テトラアクリル酸ペンタエリトリトール、ジアクリル酸1,2−エチレングリコール、エチレンオキシド修飾ビスフェノールAのジメタクリル酸、及びエチレンオキシド修飾ビスフェノールAのジアクリル酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
(メタ)アクリル接着剤は、フリーラジカル開始重合を通して硬化させることができる。1つのタイプの重合において、フリーラジカルは、レドックス反応によって生成される。レドックス開始剤としては、過酸化物、ヒドロペルオキシド、金属イオン、サッカリン、及びN,N−ジメチル−p−トルイジンが挙げられる。フリーラジカルは、混合後に室温で硬化する2液型接着剤システムで、又は1液型接着剤システムで生成することができる。本開示で有用なポリマーを形成するための(メタ)アクリル接着剤モノマーの重合は、熱エネルギー、電子ビーム放射、紫外線放射等を使用して実行することができる。そのような重合は、熱開始剤又は光開始剤とすることができる重合開始剤によって促進することができる。適切な光開始剤の例としては、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、アニソインメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、及び2−メチルーヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファケトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
シアノアクリル酸接着剤は、シアノアクリル酸メチル及びシアノアクリル酸エチル、並びに他のシアノアクリル酸エステルを含むことができる。それらは、任意に、ヒドロキノン等の添加剤を含むことができる。好ましくは、シアノアクリル酸接着剤は、高い粘度及び適切に長い接合線を有する、Super Glue Gelの名称で複数の企業から販売されている接着剤から選択される。
【0070】
基材は、特に限定されず、好ましくは、LSEポリマーではない材料を含む。適切な基材は、例えば、ガラス、金属、セラミック、木材、アクリル酸、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ボール紙、革、泡沫、布地、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリ塩化ビニル、又はこれらの組み合わせで構成されるが、これらに限定されない。好ましくは、基材は、少なくとも1つの平坦な主要面を備える。
【0071】
本物品の態様の1つの利点は、アンダーカット特徴部を含むことが、180°剥離試験によって決定される少なくとも50ニュートン(N)の、又は180°剥離試験によって決定される少なくとも100N、又は少なくとも150N、又は少なくとも200N、又は少なくとも250N、又は少なくとも300Nのピーク負荷を呈する物品をもたらすことである。同様に、アンダーカット特徴部を含むことが、重なり剪断試験によって決定される少なくとも1000ニュートン(N)の、又は重なり剪断試験によって決定される少なくとも1500N、又は少なくとも200N、又は少なくとも2500Nのピーク負荷を呈する物品をもたらすことである。高いピーク負荷を受けたときの物品の不具合モードは、物品の特定の材料に応じて変化する。例えば、物品は、任意に、アンダーカット特徴部の変形及び/又は破損によって、基材の降伏(例えば、変形)によって、基材の不具合によって、及び/又は接着剤と基材との間の接着の不具合によって、不具合を生じる。
【0072】
物品又は物品を作製する方法である様々な項目が説明される。
【0073】
項目1は、多層構造を備える物品であって、多層構造は、(a)一体バッキング上に形成され、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部を含み、ポリオレフィンで形成される第1の層と、(b)硬化したときに59を超えるショアD硬度を有する接着剤を備え、複数のアンダーカット特徴部とインターロックされる第2の層と、(c)基材を含む第3の層と、を含む。第3の層は、接着剤に付着され、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0074】
項目2は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、一体バッキングから延在するステムを含む、項目1に記載の物品である。
【0075】
項目3は、ステムが、逆勾配形状を有する、項目2に記載の物品である。
【0076】
項目4は、逆勾配形状が、漏斗形状を含む、項目3に記載の物品である。
【0077】
項目5は、複数のアンダーカット特徴部のステムが全て、同じ角度で一体バッキングから延在する、項目2〜4のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0078】
項目6は、複数のアンダーカット特徴部の各々のステムが、一体バッキングの近位から一体バッキングの遠位にかけて増加する断面積を含む形状を有する、項目2〜5のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0079】
項目7は、複数のアンダーカット特徴部の各々のステムが、1つ又は2つ以上の円形断面を含む単一の軸を有する、項目2〜6のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0080】
項目8は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、ステム上に形成される頭部を含み、頭部が、一体バッキングの遠位に位置する、項目2〜7のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0081】
項目9は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、ステムの断面積よりも大きい断面積を含み、各頭部が、少なくとも3つの方向にステムから半径方向に延在する、項目8に記載の物品である。
【0082】
項目10は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、1つ又は2つ以上の円形断面を含む、項目8又は項目9に記載の物品である。
【0083】
項目11は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.005in(0.127mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目8〜10のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0084】
項目12は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.02in(0.508mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目8〜11のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0085】
項目13は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目8〜11のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0086】
項目14は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.01in(0.254mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目8〜11のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0087】
項目15は、複数のアンダーカット特徴部が、釘形状、マッシュルーム形状、又はそれらの組み合わせを含む、項目1〜14のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0088】
項目16は、アンダーカット特徴部の50%〜100%が、同じ幾何学的形状を有する、項目1〜15のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0089】
項目17は、アンダーカット特徴部の1%〜49%が、互いに異なる幾何学的形状を有する、項目1〜16のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0090】
項目18は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、同じ距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜17のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0091】
項目19は、複数のアンダーカット特徴部の少なくとも90%が、アンダーカット特徴部の全ての平均距離の20%以内である距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜17のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0092】
項目20は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.001インチ(in)(0.0254ミリメートル(mm))〜0.25in(6.35mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜19のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0093】
項目21は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.01in(0.254mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜20のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0094】
項目22は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜19のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0095】
項目23は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.07in(1.78mm)〜0.25in(2.54mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目1〜19のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0096】
項目24は、複数のアンダーカット特徴部が、繰り返しパターンで一体バッキング上に位置する、項目1〜23のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0097】
項目25は、繰り返しパターンが、直接隣接したアンダーカット特徴部の各々から等距離で配置される複数のアンダーカット特徴部の各々を備える、項目24の物品である。
【0098】
項目26は、複数のアンダーカット特徴部が、ランダムな配設で一体バッキング上に位置する、項目1〜23のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0099】
項目27は、ポリオレフィンが、ポリプロピレン又はポリエチレンを含む、項目1〜26のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0100】
項目28は、ポリオレフィンが、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、項目1〜27のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0101】
項目29は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンコポリマーを含む、項目1〜27のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0102】
項目30は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマーを含む、項目1〜27のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0103】
項目31は、接着剤が、エポキシ、ポリ尿素、アクリル、シアノアクリレート、ポリアミド、フェノール、ポリイミド、又はポリウレタンを含む、項目1〜30のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0104】
項目32は、接着剤が、エポキシを含む、項目1〜31のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0105】
項目33は、接着剤が、75を超えるショアD硬度を有する、項目1〜32のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0106】
項目34は、接着剤が、80を超えるショアD硬度を有する、項目1〜33のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0107】
項目35は、基材が、ガラス、金属、セラミック、木材、アクリル酸、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ボール紙、革、泡沫、布地、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリ塩化ビニル、又はこれらの組み合わせを含む、項目1〜34のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0108】
項目36は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも50ニュートン(N)のピーク負荷を呈する、項目1〜35のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0109】
項目37は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも100Nのピーク負荷を呈する、項目1〜36のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0110】
項目38は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも150Nのピーク負荷を呈する、項目1〜37のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0111】
項目39は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも200Nのピーク負荷を呈する、項目1〜37のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0112】
項目40は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも250Nのピーク負荷を呈する、項目1〜38のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0113】
項目41は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも300Nのピーク負荷を呈する、項目1〜40のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0114】
項目42は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも1000ニュートン(N)のピーク負荷を呈する、項目1〜41のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0115】
項目43は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも1500Nのピーク負荷を呈する、項目1〜42のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0116】
項目44は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも2000Nのピーク負荷を呈する、項目1〜43のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0117】
項目45は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも2500Nのピーク負荷を呈する、項目1〜44のうちのいずれか一項に記載の物品である。
【0118】
項目46は、多層構造を有する物品を形成する方法であり、(a)一体バッキング上にあり、かつそこから延在する複数のアンダーカット特徴部を含む第1の層を形成するために、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップと、(b)少なくとも150ミリメートル/分(mm/分)の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップと、(c)第1の層に取り付けられる第2の層を形成するために、硬化性接着剤を複数のアンダーカット特徴部に塗布するステップであって、硬化性接着剤が、硬化したときに59を超えるショアD硬度を有する、塗布するステップと、(d)基材を備える第3の層を第2の層に取り付けるステップと、を含む。第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。
【0119】
項目47は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、一体バッキングから延在するステムを含む、項目46に記載の方法である。
【0120】
項目48は、ステムが、逆勾配形状を有する、項目47に記載の方法である。
【0121】
項目49は、逆勾配形状が、漏斗形状を含む、項目48に記載の方法である。
【0122】
項目50は、複数のアンダーカット特徴部のステムが全て、同じ角度で一体バッキングから延在する、項目47〜49のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0123】
項目51は、複数のアンダーカット特徴部の各々のステムが、一体バッキングの近位から一体バッキングの遠位にかけて増加する断面積を含む形状を有する、項目47〜50のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0124】
項目52は、複数のアンダーカット特徴部の各々のステムが、1つ又は2つ以上の円形断面を含む単一の軸を有する、項目47〜51のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0125】
項目53は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、ステム上に形成される頭部を含み、頭部が、一体バッキングの遠位に位置する、項目47〜52のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0126】
項目54は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、ステムの断面積よりも大きい断面積を含み、各頭部が、少なくとも3つの方向にステムから半径方向に延在する、項目53に記載の方法である。
【0127】
項目55は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、1つ又は2つ以上の円形断面を備える、項目53又は項目54に記載の方法である。
【0128】
項目56は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.005in(0.127mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目53〜55のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0129】
項目57は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.02in(0.508mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目53〜56のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0130】
項目58は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目53〜56のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0131】
項目59は、複数のアンダーカット特徴部の各々の頭部が、0.01in(0.254mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、ステムから延在する、項目53〜56のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0132】
項目60は、複数のアンダーカット特徴部が、釘形状、マッシュルーム形状、又はそれらの組み合わせを含む、項目46〜59のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0133】
項目61は、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップの前に、ポリオレフィン樹脂の融解温度(Tm)を超える温度まで、樹脂を加熱するステップを更に含む、項目46〜60のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0134】
項目62は、金型キャビティから第1の層を離型するステップの前に、金型キャビティの温度を25℃〜ポリオレフィン樹脂のT
m未満の温度に維持することによって、金型キャビティ内のポリオレフィン樹脂を冷却するステップを更に含む、項目46〜61のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0135】
項目63は、第2の層が、接着剤と複数のアンダーカット特徴部とのインターロックにより、第1の層に取り付けられる、項目46〜62のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0136】
項目64は、離型するステップが行われるときに、金型キャビティの温度が、ポリオレフィン樹脂のT
m〜ポリオレフィン樹脂のT
mよりも30℃低い温度に維持される、項目46〜63のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0137】
項目65は、第3の層を第2の層に取り付けた後に、硬化性接着剤を硬化させるステップを更に含む、項目46〜64のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0138】
項目66は、ポリオレフィンが、10分あたり0.1〜10グラム(g/10分)のメルトインデックスを含む、項目46〜65のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0139】
項目67は、ポリオレフィンが、0.5〜5g/10分のメルトインデックスを含む、項目46〜66のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0140】
項目68は、ポリオレフィンが、0.1〜4g/10分のメルトインデックスを含む、項目46〜66のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0141】
項目69は、金型キャビティの温度が、50℃〜200℃に維持される、項目46〜68のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0142】
項目70は、金型キャビティの温度が、100℃〜150℃に維持される、項目46〜69のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0143】
項目71は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンであり、金型キャビティの温度が、130℃〜170℃に維持される、項目46〜70のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0144】
項目72は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンであり、金型キャビティの温度が、145℃〜150℃に維持される、項目46〜71のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0145】
項目73は、ポリオレフィンが、高密度ポリオレフィン(HDPE)であり、金型キャビティの温度が、110℃〜135℃に維持される、項目46〜70のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0146】
項目74は、ポリオレフィンが、高密度ポリオレフィン(HDPE)であり、金型キャビティの温度が、115℃〜125℃に維持される、項目46〜70のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0147】
項目75は、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップが、ロール成型、射出成型、押出成型、真空成型、又はそれらの組み合わせを含む、項目46〜74のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0148】
項目76は、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップが、ロール成型を含む、項目46〜75のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0149】
項目77は、少なくとも250mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜76のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0150】
項目78は、少なくとも400mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜77のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0151】
項目79は、少なくとも500mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜78のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0152】
項目80は、150mm/分〜550mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜76のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0153】
項目81は、150mm/分〜300mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜77のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0154】
項目82は、350mm/分〜550mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜80のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0155】
項目83は、250mm/分〜500mm/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップを含む、項目46〜78のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0156】
項目84は、アンダーカット特徴部の50%〜100%が、同じ幾何学的形状を有する、項目46〜83のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0157】
項目85は、アンダーカット特徴部の1%〜49%が、互いに異なる幾何学的形状を有する、項目46〜84のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0158】
項目86は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、同じ距離だけ一体バッキングから延在する、項目46〜85のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0159】
項目87は、複数のアンダーカット特徴部の少なくとも90%が、アンダーカット特徴部の全ての平均距離の20%以内である距離だけ、一体バッキングから延在する、項目46〜86のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0160】
項目88は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.001インチ(in)(0.0254ミリメートル(mm))〜0.25in(6.35mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目46〜87のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0161】
項目89は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.01in(0.254mm)〜0.1in(2.54mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目46〜88のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0162】
項目90は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.005in(0.127mm)〜0.05in(1.27mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目46〜88のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0163】
項目91は、複数のアンダーカット特徴部の各々が、0.07in(1.78mm)〜0.25in(2.54mm)の距離だけ、一体バッキングから延在する、項目46〜88のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0164】
項目92は、複数のアンダーカット特徴部が、繰り返しパターンで一体バッキング上に位置する、項目46〜91のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0165】
項目93は、繰り返しパターンが、直接隣接したアンダーカット特徴部の各々から等距離で配置される複数のアンダーカット特徴部の各々を含む、項目92に記載の方法である。
【0166】
項目94は、複数のアンダーカット特徴部が、ランダムな配設で一体バッキング上に位置する、項目46〜91のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0167】
項目95は、ポリオレフィンが、ポリプロピレン又はポリエチレンを含む、項目46〜94のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0168】
項目96は、ポリオレフィンが、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、項目46〜95のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0169】
項目97は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンコポリマーを含む、項目46〜95のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0170】
項目98は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマーを含む、項目46〜95のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0171】
項目99は、接着剤が、エポキシ、ポリ尿素、アクリル、シアノアクリレート、ポリアミド、フェノール、ポリイミド、又はポリウレタンを含む、項目46〜98のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0172】
項目100は、接着剤が、エポキシを含む、項目46〜99のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0173】
項目101は、接着剤が、75を超えるショアD硬度を有する、項目46〜100のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0174】
項目102は、接着剤が、80を超えるショアD硬度を有する、項目46〜101のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0175】
項目103は、基材が、ガラス、金属、セラミック、木材、アクリル酸、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ボール紙、革、泡沫、布地、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリ塩化ビニル、又はこれらの組み合わせを含む、項目46〜102のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0176】
項目104は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも50ニュートン(N)のピーク負荷を呈する、項目46〜103のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0177】
項目105は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも100Nのピーク負荷を呈する、項目46〜104のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0178】
項目106は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも150Nのピーク負荷を呈する、項目46〜105のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0179】
項目107は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも200Nのピーク負荷を呈する、項目46〜106のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0180】
項目108は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも250Nのピーク負荷を呈する、項目46〜107のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0181】
項目109は、物品が、180°剥離試験によって決定される少なくとも300Nのピーク負荷を呈する、項目46〜108のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0182】
項目110は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも1000ニュートン(N)のピーク負荷を呈する、項目46〜109のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0183】
項目111は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも1500Nのピーク負荷を呈する、項目46〜110のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0184】
項目112は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも2000Nのピーク負荷を呈する、項目46〜111のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【0185】
項目113は、物品が、重なり剪断試験によって決定される少なくとも2500Nのピーク負荷を呈する、項目46〜112のうちのいずれか一項に記載の方法である。
【実施例】
【0186】
本発明の目的及び利点が以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、例示の目的のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0187】
材料
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、百分率、及び比率などは、重量による。特に記載のない限り、全ての化学物質は、Sigma−Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)などの化学物質供給業者から入手されているか、又は入手可能である。
【0188】
試験方法
180°剥離試験方法
張り出したポリオレフィンシートを有する金属基材の端部を、1000重量ポンド(lbf)(4450N)の容量負荷セルを装備するSintech負荷フレーム(MTS Systems(Eden Prairie、MN))の一方のクランプに、23℃の環境で配置した。次いで、ポリオレフィンシートを公称で180°折り返し、負荷フレームの第2のクランプに配置した。次いで、クランプを、51mm/分の速度で分離して、180°剥離を生じさせた。反復試験の各々からのピーク負荷を平均した。
【0189】
回転剥離試験方法
ASTM D3167−10の
図1の治具に相当するローラー治具を、200lbf(890N)容量負荷セルを装備するMTS Insight 30負荷フレーム上に、23℃の環境で載置した。金属基材をこのローラー治具に配置し、次いで、ポリオレフィンシートを、治具を通して送給し、負荷フレームのクランプに配置して、約135°の剥離幾何学的形状を生じさせた。次いで、クランプを51mm/分の速度で分離した。反復試験の各々からのピーク負荷を平均し、記録した。加えて、各試験について全剥離距離にわたる平均剥離負荷を算出し、各反復試験について平均値を平均し、記録した。
【0190】
重なり剪断試験方法
25mm×25mmの重複領域を有する試料を作製した。各基材の一端部を、1000lbf(4450N)の容量負荷セルを装備するSintech負荷フレームの各クランプに、23℃の環境で配置した。クランプを、試料が不具合を生じるまで、51mm/分の速度で分離した。反復試験の各々からのピーク負荷を平均した。
【0191】
【表1】
【0192】
ツール番号1アルミニウムプレート(203mm×127mm×0.5mm)に、中心が2.7mm間隔で直径が1.5mmの一連の穴(9穴×18穴)を穿設した。次いで、直径は2.0mmであるが、深さは0.18mmだけの穴を再穿設した。結果として生じた穴は各々、直径2.0mmの区間と、直径1.5mmの別の区間と、を有した。
【0193】
ツール番号2アルミニウムプレート(152mm×76mm×0.25mm)に、中心が2.0mm間隔の一連の穴(12穴×12穴)を穿設した。各穴が、プレートの一方の面で直径が1.0mmであり、プレートの反対側の面で直径が0.76mmであるテーパーを有するように、約27°のテーパー角度を有する切削ビットを使用した。
【0194】
ツール番号3アルミニウムプレート(305mm×152mm×0.5mm)に、中心が2.7mm間隔の一連の穴(9穴×36穴)を穿設した。各穴が、プレートの一方の面で直径が2.0mmであり、プレートの反対側の面で直径が1.5mmであるテーパーを有するように、30°のテーパー角度を有する切削ビットを使用した。
【0195】
ツール番号4アルミニウムプレート(152mm×76mm×0.51mm)に、中心が4.1mm間隔の一連の穴(6穴×6穴)を穿設した。穴が、プレートの一方の面で直径が2.0mmであり、プレートの反対側の面で直径が1.5mmであるテーパーを有するように、約27°のテーパー角度を有する切削ビットを使用した。
【0196】
実施例1.ポリプロピレンの釘形状試料及び接着剤のアセンブリ
ツール番号1に、離型剤Aを薄くスプレーした。152mm×25mmの矩形の切り抜きを有するアルミニウムシムプレート(203mm×127mm×0.76mm)を、より小さい直径の穴開口部を有するツールの表面に配置した。MFI−4 PPのペレットをシムプレートの開口内でツール上に配置して、アセンブリを形成した。ポリエステルライナーをアセンブリの両面を覆って配置した。アセンブリを、両プラテンを190℃に加熱した液圧プレス機に配置した。アセンブリを1分間加温し、次いで、53kNの力を更に1分間印加した。試料をプレス機から取り外し、冷却し、ライナーを取り外した。次いで、アセンブリを2分間150℃温度のオーブンに戻した。まだオーブンの中にある間に、成型されたポリプロピレンストリップを手でツールから迅速に取り外した。結果として生じたフィルムは、9×18個の一連の成型された特徴部を有し、特徴部は、それがフィルム表面と接触する各特徴部の基部で1.5mmの直径を有し、各特徴部の先端部では2.0mmの直径を有した。
【0197】
過剰のDP−100エポキシを釘形状のアンダーカット特徴部のパターンに塗布し、次いで、パターン化された領域を鋼クーポンに対して配置した。ガラスプレート及び少なくとも1kgのウエイトをアセンブリ上に配置し、アセンブリを24時間室温で硬化させた。180°剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、380Nであり、試験片は全て、ポリプロピレンの基材の不具合によって不具合が生じた。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、69Nの平均剥離負荷で140Nであった。試料は、主として、エポキシの凝集破壊によって不具合を生じ、ある試料は、基材の不具合を生じた。
【0198】
比較実施例1.ポリプロピレンの逆釘形状試料の接着剤試験
シム及び樹脂をより大きい穴開口部を有するツールの表面に塗布したことを除いて、接着剤試験片の調製を含む実施例1の手順を繰り返した。成型された試料は、室温でツールから取り外した。成型された試料は、各々が基部で2.0mmの直径を有し、先端部で1.5mmの直径を有する、一連の特徴部を有した。
【0199】
180°剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、25Nであり、ポリプロピレン/エポキシ界面で接着不具合が生じた。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、12Nの平均剥離負荷で16Nであった。不具合モードは、エポキシ/ポリプロピレン界面での接着不具合であった。
【0200】
実施例2.ポリプロピレンの漏斗形状試料の接着剤試験
実施例1の手順を繰り返したが、ツール番号3を使用した。結果として生じた成型されたフィルムは、9×36個の一連の特徴部を有し、特徴部は、各特徴部の基部で1.5mmの直径を有し、各特徴部の先端部で2.0mmの直径まで段階的なテーパーを有した。180°剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、335Nであり、5つ全ての試料で基材の不具合が観察された。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、71Nの平均剥離負荷で170Nであった。試料は、エポキシの凝集破壊及び基材の不具合を含む混合モードによって不具合を生じた。
【0201】
比較実施例2.ポリプロピレンの逆漏斗形状試料の接着剤試験
シム及び樹脂を直径がより大きい穴開口部を有するツールの表面に塗布したことを除いて、実施例2の手順を繰り返した。成型された試料を、室温でツールから取り外した。成型された試料は、基部で2.0mmの直径を有し、先端部で1.5mmの直径を有する、一連の特徴部を有した。180°剥離試験における5つの接着剤試験片の平均ピーク負荷は、1Nであり、ポリプロピレン/エポキシ界面で接着不具合が生じた。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷及び平均剥離負荷は、2Nであった。不具合モードは、エポキシ/ポリプロピレン界面での接着不具合であった。
【0202】
実施例3.HDPEの釘形状試料の接着剤試験
177℃のプレス機、及び125℃に設定した離型オーブンで、MFI−2.2HDPEを使用することを除いて、実施例1の手順を繰り返した。結果として生じたフィルムは、9×18個の一連の特徴部を有し、特徴部は各々、基部(すなわち、特徴部がフィルム表面に接触する場所)で1.5mmの直径を有し、先端部で2.0mmの直径を有した。180°剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、292Nであり、5つ全ての試料で基材の不具合が観察された。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、95Nの平均剥離負荷で138Nであった。試料は、釘形状のアンダーカット特徴部の顕著な変形を伴ってエポキシ/HDPE界面での接着不具合によって不具合を生じた。
【0203】
比較実施例3.HDPEの逆釘形状試料の接着剤試験
シム及び樹脂を直径がより大きい穴開口部を有するツールの表面に塗布したことを除いて、実施例3の手順を繰り返した。成型された試料は、室温でツールから取り外した。成型された試料は、基部で2.0mmの直径を有し、先端部で1.5mmの直径を有する、一連の特徴部を有した。180°剥離試験における6つの試験片の平均ピーク負荷は、25Nであり、ポリプロピレン/エポキシ界面で接着不具合を生じた。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、12Nの平均剥離負荷で17Nであった。不具合モードは、エポキシ/ポリプロピレン界面での接着不具合であった。
【0204】
実施例4.HDPEの漏斗形状試料の接着剤試験
実施例3の手順を繰り返したが、ツール番号3を使用した。結果として生じた成型されたフィルムは、9×36個の一連の特徴部を有し、特徴部は、各特徴部の基部で1.5mmの直径を有し、各特徴部の先端部で2.0mmの直径まで段階的なテーパーを有した。180°剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、249Nであり、全ての試料で基材の不具合が観察された。回転剥離試験における5つの試験片の平均ピーク負荷は、80Nの平均剥離負荷で137Nであった。試料は、主として、逆勾配特徴部の顕著な変形を伴うエポキシ/HDPE界面での接着不具合によって不具合を生じた。
【0205】
実施例5.鋼に対する重なり剪断接着性
ツール番号4に、離型剤Aを薄くスプレーした。一片のPPシート(102mm×51mm×3.2mm)を、より小さい直径の開口部を有する表面と接触させて、ツール上に配置した。このアセンブリを、160℃の底部プラテン及び未加熱の頂部プラテンを有する液圧プレス機に配置した。プレス機を、圧力を印加せずに閉じ、アセンブリを、30分間加温した。次いで、133kNの力を更に60秒間印加した。プレス機を開き、ツールを底部プラテン上に残したままで、ポリプロピレンを手で迅速に取り外した。結果として、3mmを超える厚さを維持したクーポン上に、高さ0.51mmの一連の漏斗形状の特徴部が得られた。これらの試料を、幅25mmのストリップに切断した。
【0206】
次いで、これらのストリップのうちの5つを、ポリマーのパターン化した領域に塗布したDP−100を使用し、25mm×25mmの重なり領域を伴って、(実施例1で使用したような)鋼クーポンに付着させた。接着剤を16時間室温で硬化させ、次いで、1時間85℃で後硬化させた。重なり剪断試験における平均ピーク負荷は、2600Nであり、ポリプロピレンの基材の不具合、及び特徴部の変形を伴うエポキシ−ポリプロピレン界面での接着不具合を含む、複数の不具合モードを生じた。
【0207】
実施例6.0.25mmの特徴部高さによる、鋼に対する重なり剪断接着性
重なり剪断試験片を、ツール番号2を使用したことを除いて、実施例5で説明される試料プロセスによって調製し、高さ0.25mmの逆勾配特徴部をもたらした。重なり剪断試験における平均ピーク負荷は、1500Nであり、特徴部の変形を含む、エポキシ−ポリプロピレン界面の接着不具合を生じた。
【0208】
実施例7.エポキシ接着剤による、ステンレス鋼に対する重なり剪断接着性
ツール4に、離型剤Bを薄くスプレーした。一片のPPシート(100mm×50mm×6mm)を、より小さい直径の開口部を有する表面と接触させて、ツール上に配置した。このアセンブリを、160℃の底部プラテン及び未加熱の頂部プラテンを有する液圧プレス機に配置した。プレス機を、圧力を印加せずに閉じ、アセンブリを、30秒間加温した。次いで、133kNの力を更に60秒間印加した。プレス機を開き、ツールを底部プラテン上に残したままで、ポリプロピレンを手で迅速に取り外した。結果として、5.5mmを超える厚さを維持したPPクーポン上に、高さ0.51mmの一連の逆勾配漏斗形状の特徴部が得られた。
【0209】
これらの試料のうちの1つの上の36個の逆勾配特徴部の各々の高さを測定した。平均高さは、0.031インチ(0.79mm)であり、最も低い測定高さは、0.027インチ(0.69mm)であり、最も高い測定高さは、0.039インチ(0.99mm)であった。36個の測定の標準偏差は、0.0030インチ(0.077mm)であり、相対標準偏差は、9.7%であった。2つの特徴部だけが、36個の特徴部の平均距離の20%以内に入らない距離だけ、バッキングから延在していた。
【0210】
ステンレスクーポンを、SCOTCH−BRITE PAD(3M(St.Paul、MN)から得られる)によって、軽く粗化した。次いで、双方の基材を、イソプロパノールで拭いて、乾燥させた。次いで、それらの基材を、DP460 NSを使用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成で接合した。各試験片は、12時間を超えて固定クリップで保持した。次いで、クリップを取り外し、試験片を、70℃のオーブンに30分間配置した。余分なポリプロピレンを試験片の縁部から鋸で除去し、幅26mmの試料を製作した。重なり剪断試験を行うと、2つの試験片は、2060Nの平均ピーク負荷を生じた。
【0211】
第3の試験片を切断して、パターン化した逆勾配特徴部の1つの列を露出させた。
図7を参照すると、Zeissフィルターセット38(450nm〜500nmで励起)を有するCarl Zeiss Lumar V12ステレオ顕微鏡による蛍光顕微鏡検査は、6つの特徴部75が各々、同じ幾何学的形状を有し、ツール4のキャビティの幾何学的形状に一致する均一な間隔を有することを示した。特徴部の各々をエポキシ層76に埋設して、締まり(例えば、「インターロック」)嵌めを生じさせた。
【0212】
比較実施例4.エポキシによる、ステンレス鋼に対する重なり剪断接着性
複数片のPPシート(100mm×27mm×6mm)を、100グリットの3Mシリーズ431Q紙やすりを使用して激しく粗化した。ステンレスクーポンを、SCOTCH−BRITE PADによって、軽く粗化した。次いで、双方の基材を、イソプロパノールで拭いて、乾燥させた。次いで、それらの基材を、DP460 NSを使用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成で接合した。各試験片は、接着線の厚さの制御を補助するために、2つの長さの直径0.010インチ(0.25mm)のステンレス鋼ワイヤを接着線に含んだ。各試験片は、12時間を超えて固定クリップで保持した。次いで、クリップを取り外し、試料を、70℃のオーブンに30分間配置した。各試験片の縁部を研磨して、ポリプロピレンの僅かな張り出しを除去し、露出したポリプロピレン縁部を撮像のために磨いた。
図6を参照すると、蛍光顕微鏡検査は、ポリプロピレンの表面63が、紙やすりをかけることによってランダムに形成され、ランダムに離間された特徴部を有することを示した。大部分の特徴部は、顕著なアンダーカットを表さず、観察された特徴部のいずれも100ミクロンの高さを超えなかった。重なり剪断試験を行うと、2つの試料は、750Nの平均ピーク負荷を生成した。
【0213】
実施例8.ポリウレタンによる、木材に対する重なり剪断接着性
実施例7と同じ手順を使用してポリプロピレンクーポン上に逆勾配特徴部を作製した。次いで、結果として生じたクーポンを、クーポンの一端部の全てが逆勾配特徴部を有する、26mmの幅に鋸で切断した。TE030接着剤を121℃に加熱し、ポリプロピレン上の特徴部に塗布し、オーククーポン(100mm×25mm×13mm)を接着剤の上に適用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成を作製し、アセンブリをバインダークリップで固定した。48時間室温で静置した後に、試料に重なり剪断試験を受けさせた。2つの試験片は、1000Nの平均ピーク負荷を生じ、試料は、逆勾配特徴部を含む接着剤キャビティの可視的な変形を伴って、ポリプロピレン/接着剤界面で不具合を生じた。
【0214】
実施例9.アクリル接着剤による、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)ポリマーに対する重なり剪断接着性
実施例8と同じ手順を使用して、ポリプロピレンクーポン上に26mmの幅で逆勾配特徴部を作製した。イソプロパノールで拭き、220グリットの紙やすりをかけ、再びイソプロパノールで拭くことによって、天然ABSクーポン(100mm×25mm×3mm)を調製した。DP805接着剤の層をポリプロピレン上の特徴部に塗布し、次いで、ABSクーポンを適用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成を作製した。アセンブリは、2つのバインダークリップで各々固定した。48時間室温で静置した後に、試料に重なり剪断試験を受けさせた。2つの試験片は、1710Nの平均ピーク負荷を生じ、試料は、ポリプロピレン/接着剤界面で不具合を生じた。双方の試験片について、逆勾配特徴部のいくつかの基部に可視的な損傷があった。
【0215】
比較実施例5.アクリル接着剤による、ABSポリマーに対する重なり剪断接着性
複数片のPPシート(100mm×27mm×6mm)を、100グリットの3Mシリーズ431Q紙やすりを使用して激しく粗化し、次いで、イソプロパノールで拭いた。イソプロパノールで拭き、220グリットの紙やすりをかけ、再びイソプロパノールで拭くことによって、天然ABSクーポン(100mm×25mm×3mm)を調製した。DP805接着剤の層をポリプロピレンに塗布した。直径0.25mmで、25mmを超える長さの2片のステンレス鋼ワイヤを、接着剤層に配置して、接着線スペーサーとして作用させた。次いで、ABSクーポンを接着剤に適用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成を作製した。アセンブリは、2つのバインダークリップで各々固定した。48時間室温で静置した後に、試料に重なり剪断試験を受けさせた。2つの試験片は、940Nの平均ピーク負荷を生じ、試料は、ポリプロピレン/接着剤界面で不具合を生じた。
【0216】
比較実施例6.軟質接着剤
逆勾配特徴部を、実施例8と同じ手順を使用して、ポリプロピレンクーポン上に26mmの幅で調製した。4000 UV接着剤をポリプロピレンに加え、オーククーポン(100mm×25mm×13mm)を接着剤に適用して、25mm×25mmの重なり領域を有する重なり剪断構成を作製した。アセンブリは、2つのバインダークリップで固定し、5日間静置した。次いで、重なり剪断試験を試験片に受けさせ、41Nのピーク負荷を生じさせた。試料は、ポリプロピレン/接着剤界面で不具合を生じた。
【0217】
予備実施例1、2、及び3は、高い接着強度を有するアセンブリを作製するのに適切であるアンダーカット特徴部(及び、いくつかの事例では、逆勾配特徴部)を成型するために必要とされる条件を示す。
【0218】
予備実施例1.様々なメルトインデックス及び温度によるポリプロピレンのパターン化
ツール番号1に、離型剤Aを薄くスプレーした。152mm×25mmの矩形の切り抜きを有するアルミニウムシムプレート(203mm×127mm×0.76mm)を、より小さい直径の穴開口部を有するツールの表面に配置した。MFI−0.5 PP、MFI−4 PP、又はMFI−35 PPのペレットをシムプレートの開口内でツール上に配置した。ポリエステルライナーをアセンブリの両面を覆って配置した。アセンブリを、両プラテンを190℃に加熱した液圧プレス機に配置した。アセンブリを1分間加温し、次いで、53kNの力を更に1分間印加した。試料をプレス機から取り外し、冷却し、ライナーを取り外した。次いで、アセンブリを、110℃〜150℃で変動させた温度設定のオーブンに2分間戻した。まだオーブンの中にある間に、成型されたポリプロピレンストリップを手でツールから迅速に取り外した。これらの試験の結果は、表1に示される。
【0219】
離型温度が高くなるほど、釘形状のアンダーカット特徴部は、金型から取り外した後に、良好に形成された状態を維持した。離型温度が低くなるほど、2つの主なタイプの不具合が現れた。いくつかの事例において、個々の特徴部は、剪断された釘頭部の縁の一部分を有したか、又は破損したステムの部分全体を有した。他の事例において、ツールからポリプロピレンを剥離することによる力は、ステムの各列の基部においてバッキングを変形させるのに十分になった。
【0220】
【表2】
【0221】
予備実施例2.メルトインデックス及び温度を変動させたHDPEのパターン化
MFI−2.2 HDPE、MFI−12 HDPE、又はMFI−42 HDPEを試験したことを除いて、予備実施例1で使用される金型アセンブリを使用した。液圧プレス機のプラテンを177℃に加熱し、オーブンの温度設定を100℃〜140℃で変動させたことを除いて、予備実施例1からの手順を使用した。
【0222】
実施例1の特徴部とは異なり、HDPEの釘形状のアンダーカット特徴部の頭部は、離型の後に、いくらかの変形を保持する傾向があった。特に、頭部は、頂部が平坦ではなくいくらかカップ状のままであり、また、頭部の縁にいくらかのうねりがあった。高温において、バッキングは、ツールから特徴部を引っ張るというよりは、降伏する傾向があった。低温において、特に高いメルトインデックスの樹脂について、バッキングは、ツールから特徴部を引っ張るというよりは、(顕著な降伏を伴わずに)不具合を生じる傾向があった。結果は、下の表2に示される。
【0223】
【表3】
【0224】
予備実施例3.離型速度を変動させたポリプロピレンのパターン化
予備実施例1による方法を使用して、MFI−4 PPをツール#1に充填した。試料を離型するために、シムプレートを室温で慎重に取り外し、成形された試料のパターン化されていない部分をツールから慎重に剥離した。180℃の剥離モードでツールから試料を取り外すために、150℃のオーブンを装備したSintech負荷フレームを使用した。試料の自由部分を負荷フレームの一方のグリップに装填し、ツールをもう一方のグリップに装填した。試料を5分間オーブンに残し、次いで、25mm/分、127mm/分、又は508mm/分で剥離した。
【0225】
508mm/分の剥離速度について、ピーク負荷は、16Nであり、試料は、良好に形成された。25mm/分及び127mm/分の剥離速度は、それぞれ、29N及び23Nのピーク負荷を与え、どちらの試料も、特徴部の各列の基部においてバッキングにかなりの変形を示した。
【0226】
本明細書で特定の例示的な実施形態を詳細に説明したが、当業者は、前述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起し得ることが理解されるであろう。更に、本明細書において参照される全ての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示されるかのごとく、同じ範囲でそれらの全体が参照により本明細書に援用される。様々な例示的な実施形態が説明されてきた。これら及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
(a)ポリオレフィンから形成され、一体バッキング上に形成され、かつそこから延在するアンダーカット特徴部を含む第1の層と、(b)硬化したときに59を超えるショアD硬度を有する接着剤を含む第2の層と、(c)基材を含む第3の層と、を有する、多層構造を有する物品が提供される。第2の層は、アンダーカット特徴部とインターロックされ、第3の層は、接着剤に付着され、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置される。(a)アンダーカット特徴部を含む第1の層を形成するために、ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に堆積させるステップと、(b)少なくとも150ミリメートル/分の速度で、金型キャビティから第1の層を離型するステップと、(c)第1の層に取り付けられる第2の層を形成するために、硬化性接着剤をアンダーカット特徴部に塗布するステップと、(d)基材を含む第3の層を第2の層に取り付けるステップと、を含む、方法も提供される。