特許第6017112号(P6017112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017112
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋と容器との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B65D41/34
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-3327(P2011-3327)
(22)【出願日】2011年1月11日
(65)【公開番号】特開2012-144266(P2012-144266A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月18日
【審判番号】不服2015-15029(P2015-15029/J1)
【審判請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】杉 麻実子
【合議体】
【審判長】 千葉 成就
【審判官】 久保 克彦
【審判官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−47351(JP,A)
【文献】 実開昭60−52246(JP,U)
【文献】 特開2011−143942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の口頸部を有し、該口頸部の外周面には雄螺条と該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器と、該容器の該口頸部に装着される合成樹脂製容器蓋であって、円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインより上方の主部と該破断ラインより下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該主部の内周面には該口頸部の該雄螺条に螺合される雌螺条が形成され、該タンパーエビデント裾部の内周面には該口頸部の該係止あご部と協働する係止手段が配設されている合成樹脂製容器蓋との組み合わせにおいて、
該合成樹脂製容器蓋の該スカート壁は肉厚上部と肉薄下部とを有し、該破断ラインは該肉薄下部に配設され且つ周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に残留せしめられている複数個の橋絡部とから構成されており、
該容器の該係止あご部は円筒形状の外周面と水平に延在する下面を有し、該合成樹脂製容器蓋の該係止手段は略水平に半径方向内方に延出する上面を有し、
該容器蓋の該タンパーエビデント裾部の内周面における該係止手段よりも上方には、内径がd1である大径上部と内径がd2である嵌合下部とが配設されており、該内径d2は該内径d1よりも小さく(d2<d1)、該口頸部の該係止あご部の外径Dに対してd2<Dであり、該係止手段の係止上面と該破断ラインとの軸線方向間隔は3.0mm以上であり、
該口頸部の該雄螺条に該合成樹脂製容器蓋の該雌螺条を螺合せしめて該口頸部に該合成樹脂製容器蓋を装着して該口頸部を密封した状態において、該タンパーエビデント裾部の該大径上部が該口頸部の該係止あご部に対向して位置し、該タンパーエビデント裾部の該嵌合下部は該口頸部の該係止あご部よりも下方に位置し、
該口頸部に装着されている該容器蓋を開方向に回転せしめて該口頸部に対して該容器蓋を上昇せしめると、該タンパーエビデント裾部の該嵌合下部が該係止あご部の外周面に係合し且つ該係止手段の上面が該係止あご部の下面に係止し、かかる状態において該タンパーエビデント裾部の内周面は下方に向かって半径方向外方に0度<α≦6.5度である傾斜角度αで傾斜する、
とを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
該タンパーエビデント裾部の内周面における該大径上部と該嵌合下部との間には下方に向かって内径が漸次減少する逆円錐台形状である境界部が存在する、請求項1に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパーエビデント裾部の内周面には係止手段が配設されている合成樹脂製容器蓋と口頸部の外周面には係止あご部が形成されている容器との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、飲料用として、ガラス、合成樹脂或いは金属薄板から形成された容器と合成樹脂から形成された容器蓋との組み合わせが広く実用に供されている。容器は円筒形状の口頸部を有し、この口頸部の外周面には雄螺条とこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている。一方、容器蓋は円形天面壁とこの天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを有する。スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されており、スカート壁は破断ラインより上方の主部と破断ラインより下方のタンパーエビデント裾部とに区画されている。スカート壁の主部の内周面には口頸部の雄螺条に螺合される雌螺条が形成されており、スカート壁のタンパーエビデント裾部の内周面には係止手段が配設されている。
【0003】
容器内に飲料を充填した後に、容器の口頸部に容器蓋を被嵌し容器蓋を閉方向に回転して容器蓋の雌螺条を口頸部の雄螺条に螺合せしめて口頸部に容器蓋を装着し、口頸部を密封する。スカート壁のタンパーエビデント裾部に配設されている係止手段は口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越えて係止あご部の下方に位置する。口頸部を開封して飲料を消費する際には、容器蓋を開方向に回転せしめる。かくすると、雌螺条と雄螺条との螺合解除に応じて口頸部に対して容器蓋が上昇せしめられる。容器蓋が幾分か上昇せしめられると、スカート壁のタンパーエビデント裾部に配設されている係止手段の上面が口頸部の係止あご部の下面に係止せしめられ、これによってタンパーエビデント裾部の上昇が阻止される。容器蓋の開方向への回転を続けると、スカート壁に形成されている破断ラインに生成される応力によって破断ラインが破断され、スカート壁のタンパーエビデント裾部が主部から分離される(或いはタンパーエビデント裾部に軸線方向破断ラインが形成されている場合には、軸線方向破断ラインの破断によってタンパーエビデント裾部が無端環状から有端帯状に展開され、タンパーエビデント裾部は主部から完全に分離されることなく周方向の一部において主部と接続され続ける)。容器蓋の開回転方向への回転を続けると、タンパーエビデント裾部を残留せしめて容器蓋が(或いはタンパーエビデント裾部を含む容器蓋の全体が)口頸部から離脱され、口頸部が開放される。
【0004】
而して、スカート壁のタンパーエビデント裾部の内周面に配設される係止手段は、周方向に間隔をおいて半径方向内方に突出する複数個の突起、或いは周方向に連続して半径方向に突出する環状突条等から構成することができるが、突起或いは環状突条等の半径方向内方への突出量は、成形型からの離脱の際の所謂無理抜きが過剰になるのを回避するために比較的小さい値に制限される。それ故に、口頸部を開封する際に、口頸部の係止あご部に対する係止手段の係合が不充分になり、破断ラインを破断せしめることなく係止手段が係止あご部を弾性的に乗り越えて上昇する所謂すっぽ抜けが発生する傾向がある。かようなすっぽ抜けを防止するために、下記特許文献1においては、タンパーエビデント裾部の内周面における係止手段よりも上方の部位の内径を口頸部の係止あご部の外径よりも幾分小さく設定して、係止手段より上方においてタンパーエビデント裾部の内周面を係止あご部の外周面に締り嵌めし、これによってタンパーエビデント裾部の弾性的変形乃至変位を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−13735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等の経験によれば、上記特許文献1に開示されている如く、口頸部に容器蓋を所要とおりに装着して口頸部を密封した状態において、スカート壁のタンパーエビデント裾部の内周面を口頸部の係止あご部に締り嵌めすると、口頸部を開封するために容器蓋を開方向に回転する際の必要初期トルクが過大になり、子供或いは女性にとって開封操作が相当困難になる傾向がある。
【0007】
本出願人の出願にかかる特願2010−006784(以下「先願」という)号明細書及び図面には、上記特許文献1に開示されている容器蓋に存在する上記問題を解決するために、タンパーエビデント裾部の内周面における係止手段より上方に、内径がd1である大径上部と内径がd1よりも小さいd2である嵌合下部を配設し、容器の口頸部に容器蓋を所要とおりに装着して口頸部を密封した状態においては、タンパーエビデント裾部の大径上部が口頸部の係止あご部に対向して位置してタンパーエビデント裾部が係止あご部に対して遊嵌状態或いは緩く嵌合した状態となるが、容器蓋が開回転方向に幾分回転されて口頸部に対して容器蓋が上昇せしめられると、タンパーエビデント裾部の嵌合下部が係止あご部に対抗して位置し係止あご部に締り嵌め状態にせしめられるようになすことが提案されている。先願のかかる提案によれば、容器の口頸部に容器蓋を所要とおりに装着して口頸部を密封した状態においては、タンパーエビデント裾部の遊嵌上部が口頸部の係止あご部に対向して位置してタンパーエビデント裾部が係止あご部に対して遊嵌状態或いは緩く嵌合した状態となり、それ故に開封の際の必要初期トルクが過大になることが回避され、容器蓋が開回転方向に幾分回転されて口頸部に対して容器蓋が上昇せしめられると、タンパーエビデント裾部の嵌合下部が係止あご部に対抗して位置し係止あご部に締り嵌め状態にせしめられ、それ故に破断ラインを破断せしめることなく係止手段が係止あご部を弾性的に乗り越えて上昇するすっぽ抜けが可及的に防止される。
【0008】
しかしながら、先願の上記提案も必ずしも充分に満足し得るものではなく、本発明者の経験によれば、特に容器蓋のスカート壁における主部の内周面に形成されている雌螺条及び口頸部の外周面に形成されている雄螺条がリード角が比較的小さい一条螺条であり、そしてまた容器蓋のタンパーエビデント裾部の肉厚が比較的小さい場合、破断されるべき破断ラインの一部が局部的に破断されることなく、雌螺条と雄螺条の螺合が完全に解除されてスカート壁の主部が口頸部から離脱してしまう傾向があることが判明した。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、開封の際の必要初期トルクを過大にせしめることなく、破断ラインを破断せしめることなく係止手段が係止あご部を弾性的に乗り越えて上昇するすっぽ抜けを充分確実に防止することができると共に、容器蓋のスカート壁における主部の内周面に形成されている雌螺条及び口頸部の外周面に形成されている雄螺条がリード角が比較的小さい一条螺条であり、そしてまた容器蓋のタンパーエビデント裾部の肉厚が比較的小さい場合であっても、破断すべき破断ラインの全体が充分確実に破断される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋と容器との組み合わせを提供することである。
【0010】
本発明者は、鋭意研究及び実験の結果、先願の上記提案においては、口頸部に装着されている容器蓋を開方向に回転せしめて口頸部に対して容器蓋を上昇せしめ、タンパーエビデント裾部の嵌合下部が係止あご部の外周面に係合し且つ係止手段の上面が係止あご部の下面に係止した状態において、タンパーエビデント裾部が下方に向かって半径方向外方に比較的大きな傾斜角度、例えば8度の傾斜角度、で傾斜した場合に、破断されるべき破断ラインの一部が局部的に破断されることなく係止手段が係止あご部を乗り越えて上昇してしまう傾向があることを知見した。そして、かかる知見に基き、口頸部に装着されている容器蓋を開方向に回転せしめて口頸部に対して容器蓋を上昇せしめ、タンパーエビデント裾部の嵌合下部が係止あご部の外周面に係合し且つ係止手段の上面が係止あご部の下面に係止した状態における、タンパーエビデント裾部の上記傾斜角度を充分小さい値にせしめることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。タンパーエビデント裾部は破断ラインを基縁として傾斜するので、上記傾斜角度を小さくするには、容器蓋における係止手段の係止上面と周方向破断ラインとの軸線方向間隔を大きくすればよい。
【0013】
上記主たる技術的課題を達成する容器と合成樹脂製容器蓋との組み合わせとして、円筒形状の口頸部を有し、該口頸部の外周面には雄螺条と該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器と、該容器の該口頸部に装着される合成樹脂製容器蓋であって、円形天面壁と該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインより上方の主部と該破断ラインより下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該主部の内周面には該口頸部の該雄螺条に螺合される雌螺条が形成され、該タンパーエビデント裾部の内周面には該口頸部の該係止あご部と協働する係止手段が配設されている合成樹脂製容器蓋との組み合わせにおいて、
該合成樹脂製容器蓋の該スカート壁は肉厚上部と肉薄下部とを有し、該破断ラインは該肉薄下部に配設され且つ周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリットと該スリット間に残留せしめられている複数個の橋絡部とから構成されており、
該容器の該係止あご部は円筒形状の外周面と水平に延在する下面を有し、該合成樹脂製容器蓋の該係止手段は略水平に半径方向内方に延出する上面を有し、
該容器蓋の該タンパーエビデント裾部の内周面における該係止手段よりも上方には、内径がd1である大径上部と内径がd2である嵌合下部とが配設されており、該内径d2は該内径d1よりも小さく(d2<d1)、該口頸部の該係止あご部の外径Dに対してd2<Dであり、該係止手段の係止上面と該破断ラインとの軸線方向間隔は3.0mm以上であり、
該口頸部の該雄螺条に該合成樹脂製容器蓋の該雌螺条を螺合せしめて該口頸部に該合成樹脂製容器蓋を装着して該口頸部を密封した状態において、該タンパーエビデント裾部の該大径上部が該口頸部の該係止あご部に対向して位置し、該タンパーエビデント裾部の該嵌合下部は該口頸部の該係止あご部よりも下方に位置し、
該口頸部に装着されている該容器蓋を開方向に回転せしめて該口頸部に対して該容器蓋を上昇せしめると、該タンパーエビデント裾部の該嵌合下部が該係止あご部の外周面に係合し且つ該係止手段の上面が該係止あご部の下面に係止し、かかる状態において該タンパーエビデント裾部の内周面は下方に向かって半径方向外方に0度<α≦6.5度である傾斜角度αで傾斜する、
とを特徴とする組み合わせが提供される。
【0014】
ましくは、該タンパーエビデント裾部の内周面における該大径上部と該嵌合下部との間には下方に向かって内径が漸次減少する逆円錐台形状である境界部が存在する
【発明の効果】
【0016】
発明の容器蓋と容器との組み合わせにおいては、容器蓋における係止手段の係止上面と周方向破断ラインとの軸線方向間隔は3.0mm以上であり、口頸部に装着されている容器蓋を開方向に回転せしめて口頸部に対して容器蓋を上昇せしめると、タンパーエビデント裾部の嵌合下部が係止あご部の外周面に係合し且つ係止手段の上面が係止あご部の下面に係止し、かかる状態においてタンパーエビデント裾部は下方に向かって半径方向外方に0度<α≦6.5度である傾斜角度αで傾斜し、それ故に開封の際の必要初期トルクを過大にせしめることなく、破断ラインを破断せしめることなく係止手段が係止あご部を弾性的に乗り越えて上昇するすっぽ抜けを充分確実に防止することができると共に、容器蓋のスカート壁における主部の内周面に形成されている雌螺条及び口頸部の外周面に形成されている雄螺条リード角が比較的小さい一条螺条であり、そしてまた容器蓋のタンパーエビデント裾部の肉厚が比較的小さい場合であっても、破断すべき破断ラインの全体が充分確実に破断される
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。
図2図1の容器蓋を容器の口頸部に装着した状態を、一部を断面で示す正面図。
図3図2の一部を拡大して示す拡大部分断面図。
図4図2及び図3に示す状態から容器蓋を開回転方向に幾分回転せしめた状態における、図3と同様の拡大部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋と容器との組み合わせの好適実施形態について、更に詳述する。
【0019】
図1を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形することができる容器蓋2は、円形天面壁4とこの天面壁4の周縁から垂下する円筒形スカート壁6とを具備する。天面壁4の内面外周縁部には、下方に垂下する円筒形状の内側シール片8及び同様に下方に垂下する円筒形状の外側シール片10が形成されている。更に、内側シール片8と外側シール片10との間には比較的小さい環状突条9が形成されている。
【0020】
スカート壁6は比較的肉厚の肉厚上部12と比較的肉薄の肉薄下部14を有する。肉薄下部14の上端部には周方向に延びる破断ライン16が形成されており、スカート壁6は破断ライン16より上方の主部18と破断ライン16より下方のタンパーエビデント裾部20とに区画されている。破断ライン16は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリット(切り溝)22とスリット22間に残留せしめられている複数個の橋絡部24とから構成されており、タンパーエビデント裾部20は複数個の橋絡部24を介して主部18に接続されている。
【0021】
スカート壁の主部18の外周面には、周方向に見て交互に存在する凹凸形状から構成された滑り止めローレット26が形成されている。スカート壁6の主部18の内周面には雌螺条28が形成されている。雌螺条28には通気路を形成する切欠29が周方向に間隔をおいて複数個形成されている。タンパーエビデント裾部20の内周面には係止手段30が配設されている。図示の実施形態においては、係止手段30は周方向に間隔をおいて配設され周方向に延びる5個の突起32から形成されている。突起32の各々の主部(両端部を除く部分)の縦断面形状は略直角三角形状であり、略水平に半径方向内方に或いは半径方向内方に向かって幾分下方に傾斜して延出する上面を有する。
【0022】
図1と共に図3を参照して説明を続けると、タンパーエビデント裾部20の内周面においては、上記係止手段30よりも上方において、大径上部34と嵌合下部36とが配設されていることが重要である。大径上部34は内径d1を有し、嵌合下部36は内径d2を有し、内径d2は内径d1よりも小さいことも重要である(d2<d1)。図示の実施形態においては、大径上部34と嵌合下部36との間には下方に向かって内径が漸次減少する逆円錐台形状である境界部38が存在する。本発明の容器蓋2においては、係止手段30の上面と周方向破断ライン16との軸線方向間隔Xは比較的大きく3.0mm以上、好ましくは3.0mm≦X≦4.0mm、であることが重要である。
【0023】
図2には、容器蓋2と共に容器の口頸部40も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂、ガラス或いは金属薄板から形成することができる容器の口頸部40は全体として円筒形状であり、口頸部40の外周面には雄螺条42と雄螺条42の下方に位置する係止あご部44が形成されている。係止あご部44は下方に向かって外径が漸次増大する円錐台形状の上面46、円筒形状である外周面48及び実質上水平に延在する下面50を有する。口頸部40の外周面には、更に、係止あご部44の下方に位置するサポートリング52(かかるサポートリング52は当業者には周知の如く容器の搬送に利用される)も配設されている。
【0024】
容器内に内容物を充填した後に口頸部40に容器蓋2を装着して口頸部40を密封する際には、口頸部40に容器蓋2を被嵌して容器蓋2を閉回転方向、図2において上方から見て時計方向、に回転せしめ、容器蓋2の雌螺条28を口頸部40の雄螺条42に螺合せしめる。図2に示す状態まで雌螺条28を雄螺条42に螺合せしめると、容器蓋2の内側シール片8が口頸部40内に進入して口頸部40の内周面に密接され、環状突条9が口頸部40の頂面に密接せしめられ、外側シール片10が口頸部40の外周面に密接乃至近接せしめられ、かくして口頸部40が密封される。タンパーエビデント裾部20の内周面に配設されている係止手段30は口頸部40の係止あご部44を弾性的に(即ちタンパーエビデント裾部20の弾性変形乃至変位によって)乗り越えて係止あご部44の下方に位置する。
【0025】
図2と共に図3を参照して説明を続けると、口頸部40に容器蓋2を所要とおりに装着した状態、即ち図2及び図3に図示するとおりの状態において、タンパーエビデント裾部20の内周面における大径上部34が口頸部40における係止あご部44の外周面48に対向して位置することが重要であり、係止あご部44の外径Dに対して大径上部34の内径d1は−0.1mm≦(d1−D)≦0.4mm、特に0mm<(d1−D)≦0.3mm、程度であり、大径上部34は係止あご部44に遊嵌乃至比較的弱く嵌合せしめられるのが好適である。そして、後述するとおりにして口頸部40を開封する際の必要トルク及び破断ライン16の破断開始までの容器蓋2の回転角度等の点から、図2及び図3に図示する状態において、口頸部40の係止あご部44の下面50とタンパーエビデント裾部20の内周面における嵌合下部36の上端縁との軸線方向間隔L1は0.1乃至0.4mm(L1=0.1乃至0.4mm)であるのが好ましく、そしてまたタンパーエビデント裾部20の内周面における嵌合下部36の軸線方向長さL2は0.3乃至1.1mm(L2=0.3乃至1.1mm)であるのが好ましい。
【0026】
内容物を消費するために口頸部40を開封する際には、容器蓋2を開方向、即ち図2において上方から見て反時計方向、に回転せしめる。かかる回転の初期においては、タンパーエビデント裾部20の内周面における大径上部34が口頸部40の係止あご部44に対向して位置している故に、必要初期トルクが過大になることはない。容器蓋2を開回転方向に幾分か回転せしめて口頸部40に対して容器蓋2を図4に図示する位置まで上昇せしめると、タンパーエビデント裾部20の内周面に配設されている係止手段30を構成する突起32の上端面が口頸部40の係止あご部44の下面50に当接すると共に、タンパーエビデント裾部20の内周面における嵌合下部36が口頸部40の係止あご部44の外周面48に対向して位置する。係止あご部44の外径Dに対して嵌合下部36の内径d2はd2<D、好ましくは0.2mm≦(D−d2)≦0.5mmであって、係止あご部44の外周面48に対して嵌合下部36が締り嵌め状態になることが望ましい。本発明の容器蓋2と容器との組み合わせにおいては、タンパーエビデント裾部20の内周面に配設されている係止手段30を構成する突起32の上端面が口頸部40の係止あご部44の下面50に当接すると共に、タンパーエビデント裾部20の内周面における嵌合下部36が口頸部40の係止あご部44の外周面48に対向して位置すると、嵌合下部36が口頸部40の係止あご部44に係合することに起因して、タンパーエビデント裾部20の内周面は下方に向かって半径方向外方に傾斜角αで傾斜せしめられるが、傾斜角αは充分に小さくて0度<α≦6.5度、特に0度<α≦6.0度、であることが重要である。後述する実施例及び比較実施例から明確に理解されるとおり、傾斜角αが大きくなると、破断されるべき破断ライン16の一部が局部的に破断されることなく、雌螺条と雄螺条の螺合が完全に解除されてスカート壁の主部が口頸部から離脱してしまう傾向が発生する。
【0027】
図4に図示する状態から容器蓋2を更に開方向に回転せしめると、容器蓋2の係止手段30が口頸部40の係止あご部44に係止せしめられている故に、タンパーエビデント裾部20の上昇が阻止され、破断ライン16、更に詳しくはその橋絡部24に応力が生成され、破断ライン16が破断されてタンパーエビデント裾部20がスカート壁6の主部18から分離される。破断ライン16が破断される際には、タンパーエビデント裾部20の内周面における嵌合下部36が口頸部40の係止あご部44の外周面48に締り嵌め状態にせしめられている故に、タンパーエビデント裾部20の弾性的変形乃至変位が抑制され、破断ライン16が破断されることなく係止手段30が係止あご部44を乗り越えて上昇してしまうことが充分確実に回避される。破断ライン16が破断されてタンパーエビデント裾部20がスカート壁6の主部18から分離された後においては、容器蓋2の開方向への回転に応じて容器蓋2のタンパーエビデント裾部20を除く部分が上昇せしめられ、タンパーエビデント裾部20を口頸部40に残留せしめて容器蓋2が口頸部40から離脱され、かくして口頸部40が開封される。
【0028】
図示の実施形態においては、口頸部40の開封の際には破断ライン16が周方向全体に渡って破断され、タンパーエビデント裾部20がスカート壁6の主部18から完全に分離されるが、所望ならばタンパーエビデント裾部20に軸線方向に延びる付加破断ラインを形成し、口頸部40を開封する際には破断ライン16における橋絡部が局部的に破断されることなく残留せしめられてタンパーエビデント裾部20はスカ−ト壁6の主部18に接続され続け、タンパーエビデント裾部20の付加破断ラインが破断されてタンパーエビデント裾部20が有端帯状に展開されて係止あご部44に対する係止手段30の係止が解除され、タンパーエビデント裾部20を含む容器蓋2の全体が口頸部40から離脱されるようになすこともできる。
【実施例】
【0029】
実施例1:ポリエチレンから射出成形によって図1に図示するとおりの容器蓋を15個成形した。成形した容器蓋の呼び口径は28mmであり、雌螺条のリード角は2.15度であり、スカート壁の肉薄下部の厚さは0.45mmであり、大径上部の内径d1は27.80mmで、嵌合下部の内径d2は27.45mmで、嵌合下部36の軸線方向長さL2は0.80mmで、係止手段の上面と周方向破断ライン軸線方向間隔Xは3.00mmであった。
【0030】
上述したとおり容器蓋を、ポリエチレンテレフタレートから成形された容器の図2に図示するとおりの口頸部に装着した。口頸部の係止あご部の外径Dは27.97mmであった。口頸部に容器蓋を図2に図示するとおりの状態に装着した時の、口頸部の係止あご部の下面とタンパーエビデント裾部の内周面における嵌合下部の上端縁との軸線方向間隔L1は0.15mmであった。口頸部に装着された容器蓋を開回転方向に幾分回転せしめて、図4に図示する状態、即ち係止手段を構成する突起の上端面が口頸部の係止あご部の下面に当接すると共に、タンパーエビデント裾部の内周面における嵌合下部が口頸部の係止あご部の外周面に対向して位置する状態にせしめた時の、タンパーエビデント裾部の内周面の傾斜角αは6.5度であった。容器蓋の開回転方向への回転を続け、タンパーエビデント裾部を残留せしめて容器蓋のその余の部分を口頸部から離脱せしめた後に、破断ラインが全体に渡って破断されたか否かを検査した。その結果、15個の容器蓋のうちの1個において破断ラインの一部が破断されることなく残留していたが、残りの14個においては破断ラインの全体が破断されていた。
【0031】
実施例2:係止手段の上面と周方向破断ライン軸線方向間隔Xは3.40mmであったことを除き実施例1と同様な容器蓋を15個成形した。そして、タンパーエビデント裾部の内周面における嵌合下部が口頸部の係止あご部の外周面に対向して位置する状態にせしめた時の、タンパーエビデント裾部の内周面の傾斜角αは5.5度であったことを除き、実施例1と同様にして破断ラインの破断を検査した。その結果、15個の容器蓋の全てにおいて、破断ラインの全体が破断されていた。
【0032】
比較例:比較のために、係止手段の上面と周方向破断ライン軸線方向間隔Xは2.40mmであったことを除き実施例1と同様な容器蓋を15個成形した。そして、タンパーエビデント裾部の内周面における嵌合下部が口頸部の係止あご部の外周面に対向して位置する状態にせしめた時の、タンパーエビデント裾部の内周面の傾斜角αは8.0度であったことを除き、実施例1と同様にして破断ラインの破断を検査した。その結果、15個の容器蓋のうちの10個の容器蓋においては破断ラインの全体が破断されていたが、15個の容器蓋のうちの5個においての全てにおいて破断ラインの一部が破断されることなく残留していた。
【符号の説明】
【0033】
2:容器蓋
4:天面壁
6:スカート壁
12:スカート壁の肉厚上部
14:スカート壁の肉薄下部
16:破断ライン
18:スカート壁の主部
20:タンパーエビデント裾部
28:雌螺条
30:係止手段
34:大径上部
36:嵌合下部
40:容器の口頸部
44:係止あご部

図1
図2
図3
図4