(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被着体機器の形状に合わせて被着体機器に当接する複数の当接面部を有し、電子機器の筐体内で被着体機器を前記複数の当接面部で覆って衝撃を緩衝する発泡緩衝体において、
一の発泡原材を圧縮成形して形成した圧縮発泡材からなり、
前記複数の当接面部は、前記圧縮発泡材の厚み方向に亘って同一の圧縮率を有する圧縮状態で形成されており、かつ一の当接面部の圧縮率が他の一の当接面部の圧縮率とは異なることを特徴とする発泡緩衝体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポンジのような多孔質材からなる緩衝体は、軽くまた軟質であり、ある程度の衝撃を緩和する効果があるが、薄肉とすると直ぐに潰れてしまい要求する衝撃吸収性が得られない場合がある。ところが昨今の電子機器においては薄型化が要求され、筐体内の内部スペースに限りがあって、薄い緩衝体しか配置できないことも多い。特に、被着体機器の厚み方向については、内部スペースの確保が困難であり、筐体内面と被着体機器の間に小さな隙間しか存在しない。そこで、薄肉としても衝撃吸収性に優れた緩衝体を配置することが望まれている。
また、被着体機器に当接する部分によって、その部分ごとに要求される衝撃吸収性の程度が異なることがあり、部分ごとに衝撃吸収性が異なる緩衝体が望まれている。
【0005】
そこで、本発明はこうした課題を解決するためになされたものであり、薄肉であっても衝撃を良く吸収する衝撃緩衝性能の高い緩衝体を得ることを目的としている。
また、被着体機器に当接する部分によって衝撃緩衝性能が異なる緩衝体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、被着体機器の形状に合わせて被着体機器に当接する当接面部を複数有し、電子機器の筐体内で被着体機器をこの当接面部で覆って衝撃を緩衝する発泡緩衝体について、一の発泡原材を圧縮した圧縮発泡材からなり、かつ圧縮率が異なる複数の当接面部を有することを特徴とする発泡緩衝体である。
【0007】
被着体機器の形状に合わせて被着体機器に当接する当接面部を複数有し、電子機器の筐体内で被着体機器をこの当接面部で覆って衝撃を緩衝する発泡緩衝体であるため、被着体機器に当接する当接面部のクッション性によって衝撃を緩衝することができる。
そして、一の発泡原材を圧縮した圧縮発泡材からなるため、複数種類の発泡原材を準備する必要がない。そのため、原材料コストを低く抑えることができ、また複数の部分を接合する必要がなく、接着部位が生じない。そのため、発泡部分以外の部分が内部に存在することによる衝撃吸収性の悪化を防止することができる。
また、圧縮率が異なる複数の当接面部を有するため、圧縮率が異なる当接面部ごとに異なる衝撃吸収性を発揮することができる。
【0008】
こうした発泡緩衝体は、被着体機器を挟んで対向する2つの対向面部と、その2つの対向面部に隣り合う連結部とを有し、この対向面部と連結部とを当接面部とすることができる。
被着体機器を挟んで対向する2つの対向面部と、その2つの対向面部に隣り合う連結部とを有し、この対向面部と連結部とが当接面部であるため、2つの対向面部と連結部との3面で被着体機器を覆い保護することができる。そして、対向面部と連結部の圧縮率が異なる当接面部とすれば、対向面部と連結部とでその厚みを変えることができ、また、その衝撃吸収性を変えることができる。
【0009】
対向面部は被着体機器の上下面の何れか一面を覆う上下面部であり、連結部は被着体機器の側面の何れか一面を覆う側面部である発泡緩衝体とすることができる。
対向面部が被着体機器の上下面の何れか一面を覆う上下面部であり、連結部が被着体機器の側面の何れか一面を覆う側面部であるため、被着体機器の上下面と何れか1つの側面とを覆うことができる。そのため、被着体機器の上下方向や左右方向へ向かう衝撃を緩和することができる。
【0010】
また、発泡緩衝体は、被着体機器を挟んで対向する2つの対向面部と、その2つの対向面部に隣り合う2つの連結部とを有し、それらを当接面部とすることができる。
被着体機器を挟んで対向する2つの対向面部と、その2つの対向面部に隣り合う2つの連結部とを有し、これらが当接面部であるため、2つの対向面部と2つの連結部との4面で被着体機器を覆うことができる。そして、2つの連結部のそれぞれと対向面部との3者間で圧縮率が異なるものとすれば、2つの連結部と対向面部とでその厚みを変えることができ、また、その衝撃吸収性を変えることができる。
【0011】
さらに、当接面部が被着体機器の凹凸形状に沿って厚み方向に圧縮された部分であるものとすることができる。
当接面部が被着体機器の凹凸形状に沿って厚み方向に圧縮された部分であるため、被着体機器の凹凸に対応して覆うことができ、また、その凹凸の部位ごとに厚みや衝撃吸収性を変えることができる。
【0012】
発泡緩衝体は一の発泡原材からなるものとしているが、それ以外の材料からなる部分を組み合わせることも可能である。
例えば、当接面部を接続する接続部材を備えるものとすることができる。即ち、一対の発泡緩衝体で被着体機器を覆う場合に、この一対の発泡緩衝体を連結する接続部材を設けることができる。また、複数の当接面部に渡る表面シートのような接続部材を設けることができる。
当接面部を接続する接続部材が2つの発泡成形体を繋ぐ接続部材であれば、一対の発泡成形体をまとめて取扱い易くなる。また、表面シートのような接続部材であれば、滑り性を向上させたり、耐久性を高めたりと、発泡成形体だけからは得られにくい性質を補うことができる。
【0013】
そして、電子機器の筐体内に衝撃を緩衝する発泡緩衝体を介して被着体機器を収納する被着体機器の緩衝構造であって、発泡緩衝体を上述の発泡緩衝体である被着体機器の緩衝構造とすることができる。
上述の発泡緩衝体を用いた被着体機器の緩衝構造であるため、凹凸のある被着体機器に対応した緩衝構造が得られる。また、部位によって衝撃吸収性の異なる被着体機器の緩衝構造とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発泡緩衝体によれば、発泡体であるにも関わらず、肉薄にしても衝撃吸収性が高く衝撃緩衝性能に優れた発泡緩衝体である。
また、被着体機器に当接する部分によって衝撃吸収性が異なる緩衝体である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発泡緩衝体とこれを用いた被着体機器の緩衝構造について種々の実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。但し、各実施形態において同一の構成、作用効果、製造方法等の重複する部分については説明を省略する。
【0017】
第1実施形態(図1,図2):
第1実施形態となる発泡緩衝体11を
図1および
図2に示す。
この発泡緩衝体11は、デスクトップ型コンピュータのような電子機器の筐体内に組み込まれるHDD(ハードディスクドライブ;被着体機器)2の長手方向側面からその周囲を覆う2つで一組に形成された発泡緩衝体である。より具体的には、対になった一方の発泡緩衝体11は、HDD2の上面2aを覆う上面部12とその下面2bを覆う下面部13、2つの短手側面2cのそれぞれを覆う2つの短手側面部14、さらに一方の長手側面2dを覆う長手側面部15を有している。そして、HDD2の一つの長手側面15とそれに隣接する面の端部を覆う形状、換言すれば蓋のない箱形状となっている。そして、発泡緩衝体11の上面部12、下面部13(上面部と下面部とをあわせて上下面部ともいう)、短手側面部14、長手側面部15(短手側面部と長手側面部のそれぞれを、またはその両者を側面部ともいう)はすべてHDD2に当接する当接面部となっている。
【0018】
そして、発泡成形体11では、上面部12と下面部13、および2つの短手側面部15,15がHDDを挟んで対向する対向面部であり、長手側面部15がその2つの対向面部に隣り合う連結部でもある。あるいは発泡成形体11では、上面部12と下面部13を対向面部とする一方で、長手側面部15だけでなく、2つの短手側面部14,14もそれぞれが上下面部12,13に隣り合う連結部と見ることもできる。
【0019】
発泡緩衝体11は、全体的には発泡体であるが、部位に応じて発泡原材からの圧縮率が異なり、気泡の密度が異なるものになっている。長手側面部15と、それに隣接する上面部12や下面部13、短手側面部14とを比較すると、長手側面部15より上下面部12,13や短手側面部14,14の方が圧縮率が高く、薄肉としている。薄肉としたのは、HDD2が配置される電子筐体の内部は、横方向には比較的大きな隙間を持つことができるが、縦方向には比較的小さな隙間しか持つことができないからである。
なお、ここで「圧縮率」とは、加圧成形前の原材料である発泡体(以下「発泡原材」という)の厚さに対する発泡緩衝体の厚さを表す。
【0020】
発泡倍率が同じ発泡緩衝体は、その厚みが大きいほど、衝撃吸収性が高くなる。一方、厚みが同じ発泡緩衝体では、圧縮率が大きく高密度であるほど、衝撃吸収性が高くなる。そのため、薄肉に加圧成形され圧縮率が大きく、気泡が高密度に形成された上下面部12,13や短手側面部14,14は、長手側面部15に比較して高い衝撃吸収性を有している。
【0021】
発泡緩衝体11を形成する発泡原材の材質は、ゴムや樹脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビミル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリオレフィンゴム、ポリアクリロニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
また、これらの原材料から発泡原材を形成するには、機械的発泡法、物理的発泡法、化学的発泡法などの発泡法を採用することができ、軟質で柔軟な発泡体シート(スポンジシート)とすることが好ましい。発泡体シートとすれば、その後の3次元方向への圧縮加工がし易いからである。
【0022】
こうした発泡体シートは、発泡倍率(密度)が、20kg/m
3〜400kg/m
3とすることができ、80kg/m
3〜200kg/m
3kg/m
3程度であることが好ましい。発泡倍率が400kg/m
3を超えると、衝撃を受けても圧縮され難く衝撃を緩衝しにくいからである。また20kg/m
3より少ないと、発泡緩衝体への加工時に圧縮の程度が大きくなり作業効率が劣るからである。気泡の種類としては連続気泡や独立気泡のいずれのものでも良い。
【0023】
発泡緩衝体11の製造は、原材料となる一の発泡原材4を圧縮成形して形成することができる。その製造方法の一例を
図3,
図4に示す。直方体形状の凸を有する上部金型Aと、この凸に対応する凹を有する下部金型Bとでなる一組のプレス金型を用い、厚みのあるシート形状の発泡原材4である発泡体シートに対して加熱圧縮成形をする。
図4(A)はこの金型A,Bの間に発泡原材4を挿入する状態を説明する説明図であり、
図4(B)は成形後の発泡緩衝体11の断面図を示している。この成形により、長手側面部15は3倍圧縮となり、上下面部12,13および短手側面部14は5倍圧縮となる。最後にバリ部分5を切断除去することで発泡緩衝体11を得る。
なお、成形時の加熱条件は、発泡原材4の材質にもよるが、概ね80℃〜200℃、好ましくは140℃〜180℃で、5秒〜300秒、好ましくは30秒〜120秒である。
【0024】
金型内で発泡形成した従来のスポンジ体ではどの部位も略同じ発泡倍率になっているのに対し、この発泡緩衝体11は、所望の部分に適切な緩衝特性となる圧縮率と厚さを施すことが可能である。
特に発泡成形体11では、HDDの収納スペースが狭い上下面2a,2bに対して高圧縮された上面部12及び下面部13で被覆するため、その肉厚を薄くできるとともに、衝撃吸収性も高めることができる。そうした一方で、収納スペースを比較的広く取れる長手側面2dに対しては、その広い収納スペースに併せて厚肉となる長手側面部15が対応し、上下面部12,13に比べると低圧縮としていて、その厚みを利用して衝撃吸収性を維持しつつ、必要以上に圧縮して重くなることを防いでいる。
また、本実施形態ではHDD2の短手側面2c,2c側もスペースが無い場合に対応できるように上下面部12,13と同様の高圧縮な当接面部としている。
【0025】
発泡原材のもとの厚みが同じであれば、圧縮率を変えることで得られた発泡緩衝体の当接面部の厚みは変わるが、当接面部の単位面積あたりの発泡緩衝体の質量は略同じとすることができる。
換言すれば、当接面部が薄い場合であっても、厚い部分と略同じ質量を有する程度に圧縮されていることから、当接面部が薄くても衝撃吸収性に優れた発泡緩衝体とすることができる。
【0026】
一実施例として、密度120kg/m
3のウレタンスポンジである発泡体シート(発泡原材)4を元に、プレス金型で170℃15秒の加熱圧縮成形をして発泡成形体11を製造した。得られた発泡成形体11の長手側面部15および短手側面部14は圧縮率が小さく、密度240kg/m
3、厚さ3.0mmであり、上下面部12,13は圧縮率が大きく、密度600kg/m
3、厚さ1.2mmであった。
【0027】
第2実施形態(図5,図6):
第2実施形態となる発泡緩衝体21を
図5で示す。
この発泡緩衝体21は、第1実施形態で示した発泡緩衝体11と比べて、HDD2の上面または下面からその周囲を覆うように形成されている点が異なっている。より具体的には、一対のうちの一つの発泡緩衝体21は、HDD2の上面2a(または下面2b)を覆う上面部22(または下面部23)と、2つの短手側面2c,2cのそれぞれを覆う2つの短手側面部24,24、さらに2つの長手側面2d,2dのそれぞれを覆う長手側面部25,25を有している。そして、上面部22(または下面部23)と、2つの短手側面部24,24、さらに2つの長手側面部25,25はそれぞれ当接面部となっている。こうして、発泡成形体21は、HDD2の上面2a(または下面2b)とそれに隣接する面の端部を覆う形状となっており、蓋のない箱形状である点では発泡緩衝体11と同様である。
【0028】
発泡成形体21では、2つの短手側面部15,15および2つの長手側面部25,25がHDDを挟んで対向する対向面部であり、上面部22(または下面部23)がその2つの対向面部に隣り合う連結部でもある。あるいは発泡成形体21では、短手側面部24,24を対向面部とする一方で、上面部22(または下面部23)だけでなく、2つの長手側面部25,25もそれぞれが短手側面部24,24に隣り合う連結部と見ることもできるし、長手側面部25,25を対向面部とする一方で、上面部22(または下面部23)だけでなく、2つの短手側面部24,24もそれぞれが長手側面部25,25に隣り合う連結部と見ることもできる。
【0029】
この発泡緩衝体21は、長手側面部25,25と、それに隣接する短手側面部24,24とは同じ圧縮率で圧縮されており、上下面部22,23は、長手側面部25,25や短手側面部24,24より圧縮率が高く、薄肉としている。HDD2が配置される電子筐体の内部は、横方向には比較的大きな隙間を持つことができるが、縦方向には比較的小さな隙間しか持つことができないからである。本実施形態では、短手側面部24,24でも長手側面部25,25と同様の圧縮率として、HDDの短手側面2c,2c側の比較的余裕のあるスペースに対応した構成としている。
【0030】
発泡緩衝体21は、HDD2の広い上下面部2a,2bの全体を薄いが圧縮率の高い上面部22または下面部23で当接されるため、上下方向に隙間が狭い電子機器内でも用いることができ、上下方向に対して強い衝撃緩衝特性を与えることができる。
【0031】
第3実施形態(図7):
第3実施形態となる発泡緩衝体31を
図7で示す。
この発泡緩衝体31は、HDD2の2隅を覆う発泡緩衝体であり、4つで一組に形成されている。より具体的には、その一つの発泡緩衝体31は、HDD2の上面2a(または下面2b)を覆う上面部32(または下面部33)と、2つの短手側面2c,2cのそれぞれを覆う2つの短手側面部34,34、さらに1つの長手側面2dを覆う長手側面部35を有している。そして、HDD2の上面2a(または下面2b)とそれに隣接する2つの短手側面2c,2cと1つの長手側面2dを覆う形状となっている。そして、上面部32(または下面部33)には、HDD2との当接部分を少々切り欠いた切欠37を形成している。
【0032】
発泡成形体31では、2つの短手側面部35,35がHDDを挟んで対向する対向面部であり、上面部32(または下面部33)と長手側面部35がその2つの対向面部に隣り合う2つの連結部でもある。
この発泡緩衝体31も、長手側面部35と、それに隣接する短手側面部34,34とは同じ圧縮率で圧縮されており、上面部32(または下面部33)は、長手側面部35や短手側面部34,34より圧縮率が高く、薄肉としている。
【0033】
発泡緩衝体31を製造するには、
図8で示すように、2つの短手側面部34,34と一つの長手側面部35を残して上面部32(または下面部33)を得るように発泡原材4を上部から圧縮する。あるいはまた、第1実施形態で示した発泡緩衝体11を形成してから、2つに切断してもよい。最後に切欠37を取り除くことで発泡緩衝体31を得る。
【0034】
発泡緩衝体31は、一の発泡緩衝体31でHDD2の上下面2a,2bの双方を覆うものではないため、規定のHDD2だけでなく、厚み方向に厚手の電子部品に対しても適用することができる。
【0035】
第4実施形態(図9,図10):
第4実施形態となる発泡緩衝体41,51を
図9および
図10で示す。
この発泡緩衝体41,51は、表面P1に電子部品t1,t2,t3,t4が表出し、裏面P2に電子部品t5,t6,t7,t8が表出している回路基板Pを覆う発泡緩衝体であり、発泡緩衝体41は回路基板Pの表面P1側を覆い、発泡緩衝体51は回路基板Pの裏面P2側を覆っている。即ち、被着体機器である回路基板Pから表出する電子部品t1〜t8の凹凸形状に沿って厚み方向に圧縮された当接面部を有している。
【0036】
まず、発泡緩衝体51は、
図10で示すように、電子部品t5,t6,t7,t8のそれぞれに対応する受け部(図面の斜線で表された部位)56,57,58,59を有している。この受け部56〜59は何れも当接面部である。電子部品t5と電子部品t7、および電子部品t8は、回路基板Pからの突出高さが等しいため、これらの電子部品t5,t7,t8に対応する受け部56,58,59は等しい圧縮率で形成されている。これに対し、電子部品t6の回路基板Pからの突出高さはより高いため、受け部57は、受け部56,58,59よりも高い圧縮率で圧縮されて形成されている。
【0037】
また、発泡緩衝体41は、電子部品t1,t2,t3,t4のそれぞれに対応する当接面部である受け部52,53,54,55を有している。電子部品t1と電子部品t4は、回路基板Pからの突出高さが等しいため、これらの電子部品t1,t4に対応する受け部52,55は等しい圧縮率で形成されている。これと同様に受け部53,54は等しい圧縮率で形成されているが、受け部53,54よりは低い圧縮率で圧縮されて形成されている。
【0038】
発泡緩衝体41,51も、受け部52〜59に相当する部分を金型で押圧することで製造することができる。
【0039】
発泡成形体41(51)は、被着体機器の凹凸形状に沿って厚み方向に圧縮された当接面部を有するため、被着体機器の表面から突出した部分も保護することができる。そして、突出程度が高い部分に対してはスペースの観点からその当接面部を薄くせざるを得ないにもかかわらず、突出程度が高くなるのに応じて発泡成形体41(51)の圧縮率も高くしているため、薄肉であっても高い衝撃吸収性を有することができる。
【0040】
実施形態の変更例:
上記実施形態で示した態様は一例であり、こうした態様に限定されるものではなく、本願発明の趣旨に反しない任意の変更形態を含むものである。即ち、上記実施形態で示した一部の構成を含まなかったり、別の公知の構成を含んだり、実施形態のある構成要素を他の実施形態の別の構成要素に代替したりする場合も本願発明の範囲に含まれる。
【0041】
例えば、発泡緩衝体の有する当接面部の圧縮率は適宜変更することができる。例えば、発泡緩衝体11で長手側面部15と短手側面部14の圧縮率を同じとしていたが、この両者の圧縮率を変えて、上下面部12,13、長手側面部15、短手側面部14の3つの当接面部の全ての圧縮率を変えることも可能である。これは、他の発泡緩衝体21,31,41,51についても同様である。
【0042】
発泡成形体における当接面部は適宜設けることができる。例えば、第1実施形態の発泡成形体11において短手側面部14,14を設けない構造とすることもでき、その場合には、
図11で示す発泡成形体11aのような構造となる。
【0043】
上述の発泡緩衝体は、他の素材との一体成形が可能であり、例えば、ゴム状弾性体や樹脂からなるシート、フィルム、成形体との一体成形をすることができる。
図12で示す発泡緩衝体61aは、被着体機器と当接する面とは反対側の面に樹脂フィルム66aを積層した例である。樹脂フィルム66aを発泡緩衝体と一体に設けることですべり性が良くなり発泡緩衝体を電子機器内に装着しやすくなるといった利点が挙げられる。また、樹脂フィルム66aによる補強効果で発泡緩衝体61aが破れにくくなり取扱い性が向上する。
樹脂フィルム66aの代わりにエラストマーシート66bを積層することもでき、この場合は、すべり性の向上は期待し難いが、防水性や緩衝・制振性での向上が期待できる。
【0044】
さらに、
図13で示す発泡緩衝体61bのように、被着体機器との当接面に放熱シート66cを積層することができる。また、この放熱性をさらに高めるため、
図14で示す発泡緩衝体61cのように、一部に貫通孔66dを設けたりすることができる。あるいは、
図15で示す発泡緩衝体61dのように、その一部に別部材を組み込むことができる。例えば放熱ゲル66eを組み込めば放熱性の高い発泡緩衝体61dとすることができる。
【0045】
製造方法についても、
図3、
図4で示した金型A,Bを用いた製造方法に代えて、次のように製造することもできる。
図16で示すように、直方体からなる発泡原材4に対し、
図16(A)の矢印Xで示した部位を矢印の方向に加熱圧縮し、
図16(B)で示す断面凹状に形成する。次に
図16(C)の矢印Yで示した部位を矢印の方向に圧縮し、
図16(D)で示す縦横両方向に圧縮された発泡緩衝体11を得る。このように、一の発泡原材4をXYの2方向、場合によってはさらにこれらと直交するZ方向にさらに圧縮することで発泡緩衝体11を得ることができる。
【0046】
実験例:
発泡成形体の圧縮率、厚みと衝撃吸収性の関係について実験を行っているので説明する。
厚さ2mm、密度120kg/m
3のウレタンスポンジである発泡体シートと、厚さ2mm、密度240kg/m
3のウレタンスポンジである発泡体シートをそれぞれ準備した。
また、厚さ4mm、密度120kg/m
3のウレタンスポンジである発泡体シートを2枚準備し、そのうちの1枚は加熱圧縮して、厚さ2mm、密度240kg/m
3の発泡体シートとした。こうした4枚のシートをそれぞれ試験片(1)〜(4)とし、表1に示す。
【0048】
試験片(1)〜(4)に対し、HDD相当治具を用いて落下衝撃試験を行った。
具体的には、2.5インチHDDダミー(100g)の下面に試験片を貼り付けて、治具の総重量140g、温度23℃の条件で、50cmの高さからの落下させて伝達される衝撃値(G)を測定した。その結果も表1に示す。
試験片(3)は試験片(1)と同じ発泡密度であり、厚みが厚い試験片(3)の方が衝撃吸収性が高かった。また、試験片(2)は試験片(1)と同じ厚さであるものの衝撃吸収性が高く、圧縮による高密度化で衝撃吸収性が高まることが確認できた。