特許第6017139号(P6017139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017139
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20161013BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20161013BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20161013BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20161013BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/659 20140101ALI20161013BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20161013BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20161013BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/02 A
   H01M2/04 A
   H01M2/08 A
   H01M10/613
   H01M10/617
   H01M10/647
   H01M10/6555
   H01M10/6557
   H01M10/6568
   H01M10/659
   !H01M10/0587
   !H01M10/052
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-3134(P2012-3134)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-143271(P2013-143271A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 健也
(72)【発明者】
【氏名】田多 伸光
(72)【発明者】
【氏名】首藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】中濱 敬文
(72)【発明者】
【氏名】和田 怜
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−100328(JP,A)
【文献】 特開2011−194982(JP,A)
【文献】 特開2006−196350(JP,A)
【文献】 特開平9−161747(JP,A)
【文献】 特開2008−181765(JP,A)
【文献】 実開昭63−22064(JP,U)
【文献】 特開2009−37973(JP,A)
【文献】 特開平10−323903(JP,A)
【文献】 特開平10−241749(JP,A)
【文献】 特開2011−222369(JP,A)
【文献】 特開2012−226840(JP,A)
【文献】 特開2008−135374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/04
H01M 2/08
H01M 10/0587
H01M 10/613
H01M 10/617
H01M 10/659
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の一対の電極と当該一対の電極の間に配置されたシート状の介在物とが巻かれた複数の偏平なコイル部と、
前記コイル部のそれぞれを電解質に浸された状態で収容する複数の収容部が設けられた筐体と、
前記筐体に結合され、前記収容部のそれぞれに対応した複数の開口部を覆う蓋部と、
を備え、
前記複数の収容部は、前記筐体と前記蓋部との間で、それぞれ区分された状態でシールされ、
互いに容積が異なる複数の前記収容部が含まれた、電池。
【請求項2】
前記複数の収容部が列状に配置され、
前記複数の収容部の列の中央部に位置された第一の前記収容部の容積が当該第一の収容部より前記列の端部側に位置された第二の前記収容部の容積より大きい、請求項に記載の電池。
【請求項3】
シート状の一対の電極と当該一対の電極の間に配置されたシート状の介在物とが巻かれた複数の偏平なコイル部と、
前記コイル部のそれぞれを電解質に浸された状態で収容する相互に並行した複数の収容部が設けられ、外壁部と、互いに隣接する前記収容部を隔てる内壁部と、を有し、前記外壁部と前記内壁部とが一体成形された筐体と、
前記筐体に結合され、前記収容部のそれぞれに対応した複数の開口部を覆う蓋部と、
を備え、
前記複数の収容部は、前記筐体と前記蓋部との間で、それぞれ区分された状態でシールされ、
互いに厚さが異なる複数の前記内壁部を有した、電池。
【請求項4】
前記複数の収容部が列状に配置され、
前記複数の収容部の列の中央部に位置された第一の前記内壁部の厚さが当該第一の内壁部より前記列の端部側に位置された第二の前記内壁部の厚さより大きい、請求項に記載の電池。
【請求項5】
前記内壁部に、流体の通路が設けられた、請求項またはに記載の電池。
【請求項6】
シート状の一対の電極と当該一対の電極の間に配置されたシート状の介在物とが巻かれた複数の偏平なコイル部と、
前記コイル部のそれぞれを電解質に浸された状態で収容する複数の収容部が設けられた筐体と、
前記筐体に結合され、前記収容部のそれぞれに対応した複数の開口部を覆う蓋部と、
を備え、
前記複数の収容部は、前記筐体と前記蓋部との間で、それぞれ区分された状態でシールされ、
前記筐体および前記蓋部のうち少なくとも一方に、前記筐体と前記蓋部とを加熱して溶着させる電熱部が設けられた、電池。
【請求項7】
筐体と蓋部との間で、複数の収容部をそれぞれ区分された状態にシールするシール部材を備え、
前記電熱部が、前記シール部材より前記収容部に電解質が収容された状態での上方に位置された、請求項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれ筐体を有したモジュール化(ユニット化)された複数のセルが外部筐体に収容されたリチウムイオン二次電池が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−96840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電池では、例えば、より簡素な構成やより小さな構成など、より不都合の少ない新しい構成が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態にかかる電池は、複数のコイル部と、筐体と、蓋部と、を備える。コイル部は、シート状の一対の電極と当該一対の電極の間に配置されたシート状の介在物とが巻かれて偏平に構成される。筐体には、コイル部のそれぞれを電解質に浸された状態で収容する複数の収容部が設けられる。蓋部は、筐体に結合され、収容部のそれぞれに対応した複数の開口部を覆う。複数の収容部は、筐体と蓋部との間で、それぞれ区分された状態でシールされ、電池には、互いに容積が異なる複数の収容部が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の一例が示された斜視図である。
図2図2は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された斜視図である。
図3図3は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池のコイル部の一例が示された斜視図である。
図4図4は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池のコイル部の層状体の一部の一例が示された断面図である。
図5図5は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体にコイル部が収容された状態の一例が示された斜視図である。
図6図6は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の蓋部の一例が示された斜視図である。
図7図7は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池のシール部材の一例が示された斜視図である。
図8図8は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の蓋部との対向面の一部の一例が示された平面図である。
図9図9は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体、シール部材、および蓋部の一例の一部が示された分解断面図である。
図10図10は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体、シール部材、および蓋部の一例の一部が示された断面図である。
図11図11は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の筐体にコイル部が収容されるとともに蓋部が被せられた状態の一例が示された斜視図である。
図12図12は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池のコイル部および蓋部の一部の一例が示された断面図である。
図13図13は、第1変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された平面図である。
図14図14は、第2変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された平面図である。
図15図15は、第3変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された平面図である。
図16図16は、第4変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された平面図である。
図17図17は、第5変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一例が示された平面図である。
図18図18は、第6変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体の一部の一例が示された平面図である。
図19図19は、第7変形例にかかるリチウムイオン二次電池の筐体、シール部材、および蓋部の一例の一部が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の例示的な実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。また、各図では、説明の便宜上、方向(X方向、Y方向、Z方向)が示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、相互に直交している。
【0008】
<第1実施形態>
組電池1は、直列または並列に接続された複数の電池4(単電池、単位電池、図5参照)を有し、本実施形態では、一例として、二次電池(蓄電池、充電式電池)として構成されている。組電池1は、種々の装置や、機械、設備等に設置されうる。一例として、組電池1は、自動車(車両)等の移動体や家庭用のテレビや商用のPOS(point of sales)システムに電力を供給する定置型の電源装置に搭載されうる。
【0009】
また、本実施形態では、一例として、組電池1(電池4)は、リチウムイオン二次電池として構成されている。リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種であり、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。正極材料としては、例えば、マンガンや、ニッケル、リン酸鉄等が用いられ、負極材料としては、例えば、チタン酸リチウム(LTO)等の酸化物系材料や、炭素系材料等が用いられる。また、電解質(一例としては電解液)としては、例えば、フッ素系錯塩(LiBF4)等のリチウム塩が配合された炭酸エチレンや炭酸ジエチル等の有機溶媒等が用いられる。
【0010】
図1,2に例示されるように、本実施形態では、一例として、組電池1は、ケース2(筐体)とカバー3(蓋部、覆部、蓋)とを備えている。具体的に、ケース2は、直方体状の外観を呈している。また、ケース2は、底壁2a(壁部、横壁、外壁部)と、相互に対向した二つの側壁2b(壁部、立壁、外壁部、側壁部)と、相互に対向した二つの端壁2c(壁部、立壁、外壁部、側壁部)と、を有している。底壁2aは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、底壁2aは、XZ平面に沿って延びている。側壁2bは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成されている。また、側壁2bは、底壁2aの短手方向(Z方向)の端部に接続され、底壁2aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、XY平面)に沿って延びている。端壁2cは、矩形状(例えば長方形状)の板状に形成され、底壁2aの長手方向(X方向)の端部に接続されている。また、端壁2cは、底壁2aと交叉する方向(本実施形態では一例として直交する方向、YZ平面)に沿って延びている。また、側壁2bは、隣接する端壁2cと接続されている。
【0011】
また、ケース2には、複数の凹部2dが設けられている。凹部2dは、一方側(Y方向側)に開放されている。また、凹部2dは、底壁2aの長手方向(X方向)に薄く端壁2c(YZ平面)に沿った偏平な直方体状に形成されている。そして、同じ形状(幅、広さ、深さ)の複数の凹部2dが、一定のピッチ(間隔)で、底壁2aの長手方向(凹部2dの厚さ方向、重なり方向、X方向)に沿って列状に並べられている。互いに隣接した二つの凹部2dは、隔壁2e(壁部、縦壁、内壁部)で区分されている(隔てられている)。なお、本実施形態では、一例として、全ての隔壁2eが同じ厚さを有している。また、本実施形態では、一例として、ケース2は、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の合成樹脂材料(フッ素樹脂)で構成される。PFAは、水分透過性が低く、組電池1(電池4)のケース2の材料として適している。また、一例として、底壁2a、側壁2b、端壁2c、および隔壁2eは、一体成形されている。
【0012】
また、本実施形態では、一例として、組電池1は、図3,4に示されるようなコイル部5を有する。具体的に、コイル部5は、シート状の一対の電極5a,5bと、電極5a,5b間に配置されたシート状の介在物5c,5d(セパレータ)と、を有している。本実施形態では、一例として、介在物5c、電極5a、介在物5d、および電極5bがこの順で重ねられた図4に示されるような層状体5eが複数回巻かれて(折り畳まれて、折り返されて)、コイル部5が構成されている。なお、図4には、コイル部5の一端部5fで層状体5eが2回巻かれた部分のみが示されている。層状体5eは、図3に示されるように、一端部5fと他端部5gとで屈曲されるとともに、一端部5fと他端部5gとの間では平坦に積み重ねられて複数回に亘って長円状の断面形状を有した偏平な形状に巻かれる。また、電極5a,5bには、それぞれ接続端子5h,5iが溶接等によって接合される。接続端子5h,5i(タブ)は、本実施形態では、一例として、電極5a,5bおよび介在物5c,5dが巻かれる一端部5fおよび他端部5gの軸方向(Y方向)に突出している。換言すれば、電極5a,5bおよび介在物5c,5dは、接続端子5h,5iが突出した(引き出された)方向(Y方向)に沿った軸回りに巻かれている。
【0013】
本実施形態では、一例として、図5に示されるように、コイル部5は、凹部2dに収容される。すなわち、凹部2dはコイル部5を収容した収容部の一例である。また、図5に示されるように、一つの凹部2dには、一つのコイル部5が収容されている。凹部2dにコイル部5が収容されることで、複数のコイル部5は、その厚さ方向(配列方向、重なり方向、X方向)に重ねられる。各凹部2dには、電解質(図示されず)が入れられる。この凹部2dの深さは、一例として、コイル部5の層状体5eの巻かれた部分の長さとほぼ同じかより長い。よって、図5に示されるように、本実施形態では、一例として、凹部2dにコイル部5が収容された状態(サブアセンブリ)では、ケース2に設けられた凹部2dの開口部2f(開口縁、縁部)からは、コイル部5の接続端子5h,5iのみが突出(露出)する。
【0014】
本実施形態では、一例として、図5に示されたケース2とコイル部5とを含むサブアセンブリに、図6に示されたカバー3が取り付けられて、組電池1が構成される。また、ケース2とカバー3との境界部分には、図7に示されたシール部材6(シール部、ガスケット)が設けられて、凹部2dがシールされる。シール部材6は、各凹部2dからの電解質の流出を抑制するとともに、外部から凹部2dへの液体の流入を抑制する。
【0015】
図6に示されるように、カバー3は、天壁3aと、側壁3bと、を有している。天壁3a(壁部、横壁、外壁部)は、矩形状かつ板状である。天壁3aは、ケース2の開口部2f側の端部に載せられ、複数の凹部2dの開口部2fを覆う。天壁3aで覆われることにより、凹部2dがそれぞれ区分される。また、天壁3aには、接続端子5h,5iが貫通する貫通部3c(貫通孔、開口部)が設けられる。貫通部3cの周縁(縁、端部)と接続端子5h,5iとの間の隙間は、図示されないシール部(一例としては、接着剤、シール部材等)で埋められ、シールされる。側壁3bは、天壁3aの周縁部(端部)に接続され、天壁3aと交叉する方向(本実施形態では、一例として直交する方向、Y方向、XY平面、YZ平面)に沿って延びている。側壁3bは、ケース2の側壁2bおよび端壁2cと連なって、組電池1の一連の側壁および側面を構成している。側壁3bは、本実施形態では、一例として、図11に示されるように、天壁3aの貫通部3cを貫通した接続端子5h,5iが位置される天壁3aの外側(上側、表面3d側、凹部2d(収容部)の反対側)の領域を取り囲み、接続端子5h,5i等を保護する。また、本実施形態では、一例として、カバー3も、ケース2と同様、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の合成樹脂材料(フッ素樹脂)で構成される。
【0016】
また、シール部材6は、一例としては、エラストマ(合成ゴム、一例としてはフッ素ゴム)等の弾性かつ可撓性を有した材料によって構成される。その場合、シール部材6は、ケース2とカバー3との結合によって生じる押圧力によって潰されて弾性変形し、ケース2およびカバー3の双方に密着して、ケース2およびカバー3とのそれぞれの接触面(密着面)をシールする。すなわち、各電池4の内部は、シール部材6によってシールされる。シール部材6は、梯子状に構成される。シール部材6の各部は、複数の凹部2dの開口部2fを取り囲むように、ケース2の側壁2b、端壁2c、および隔壁2eの開口部2f側の端部に沿って配置される。
【0017】
シール部材6は、本実施形態では、一例として、図8〜10に示されるように、ケース2の開口部2f側の端部2gに設けられた凹部2h(溝、溝部)に収容される。具体的に、カバー3の裏面3eには、凹部2hに対応して(対向して)、当該凹部2hに収容される凸部3f(突出部、壁部)が設けられている。ケース2とカバー3とがアセンブリされた状態では、カバー3の裏面3eとケース2の端面2iとが接触する。また、凸部3fの高さは、凹部2hの深さより短く、凸部3fの先端部と凹部2hの底部との間に、シール部材6が収容されるスペースが確保されている。このような構成において、図9,10に示されるように、シール部材6は、ケース2とカバー3との間に挟まれることで、弾性的に変形し、シール部材6とケース2およびカバー3との間の面圧が高まって、凹部2dとカバー3とで囲まれた電池4の室4aがシールされる。すなわち、本実施形態では、一例として、底壁2aや、側壁2b、端壁2c、隔壁2e、天壁3a等によって囲まれシール部材6によって密閉された室4a内にコイル部5と電解質とが収容されることで、電池4(単電池)が構成されている。
【0018】
また、本実施形態では、一例として、図9,10に示されるように、電熱部7の加熱による溶着によって、ケース2とカバー3とが接合されている。具体的には、ケース2とカバー3との接触部分(本実施形態では、一例としてケース2の端面2iおよびカバー3の裏面3e)の近傍となる位置で、ケース2およびカバー3のうち少なくともいずれか一方(本実施形態では、一例としてカバー3)には、例えば、ニッケルクロム線(ニクロム線)や鉄クロム線等の、電熱部7(電熱線)が設けられている。電熱部7は、凸部3fまたは凹部2hに沿って、凹部2d(室4a)を取り囲むように、設けられている。このような構成により、図10のように、ケース2、カバー3、およびシール部材6を組み合わせた状態で、外部電源(図示されず)を接続して電熱部7を通電し当該電熱部7の電気抵抗によってジュール熱を生じさせ(発熱させ)、電熱部7の周囲に位置されたケース2およびカバー3を部分的に(局所的に)加熱することで、ケース2およびカバー3を熱溶着することができる。なお、図10中に示された破線による円Hが、熱溶着される領域である。このような電熱部7を用いたケース2およびカバー3の溶着は、ケース2およびカバー3が、熱可塑性を有する場合(一例としては、熱可塑性の合成樹脂材料である場合等)に有効である。また、ケース2およびカバー3が合成樹脂材料で構成される場合、剛性や強度の向上のため、合成樹脂材料に繊維材料を混入することがある。このような場合、混入された繊維材料によってケース2およびカバー3の透光性が低下するため、レーザ溶接を行うのが難しくなることがある。この点、本実施形態のような電熱部7を用いた溶着は、ケース2やカバー3に、繊維材料で強化された合成樹脂材料等の透光性が比較的低い材料が用いられる場合に、効果的である。
【0019】
また、本実施形態では、一例として、図10に示されるように、電熱部7が、シール部材6から離間して位置されるとともに、電熱部7が、シール部材6より、凹部2dに電解質が収容された状態での上方に位置された。よって、本実施形態によれば、一例としては、凹部2dに電解質が収容された状態で、電熱部7を通電してケース2とカバー3とを熱溶着する場合に、電熱部7による熱の影響がシール部材6に及びにくくなる。よって、一例としては、シール部材6の劣化等が抑制されやすい。
【0020】
また、本実施形態では、一例として、図11,12に示されるように、カバー3の貫通部3cを通ってカバー3の外側(表面3d側)に露出した接続端子5h,5iが、当該カバー3(の表面3d)に沿って折り曲げられている。接続端子5h,5iは、互いに近付く方向に折り曲げられる。そして、対応する接続端子5h,5iのカバー3(の表面3d)に沿った部分(露出部分5j、先端部分)同士が重ねられ(折り重ねられ)、レーザ溶接等によって接合されている。溶接部分Wは一箇所でもよいし複数箇所でもよい。このような構成により、一例としては、複数の電池4の電極5a,5b間を接続するバスバーを省略することができる。よって、一例としては、組電池1の部品点数を減らすことができる。なお、このような接続を実行するため、図11に示されるように、複数の凹部2dに収容されるコイル部5の電極5a,5bのそれぞれに対応した接続端子5h,5iは、凹部2d(コイル部5)の配列方向に沿って互い違いに配置される。
【0021】
以上の本実施形態では、ケース2(筐体)に、コイル部5が収容された複数の凹部2d(収容部)が設けられ、複数の凹部2dがカバー3(蓋部)によって覆われている。よって、本実施形態によれば、一例としては、電池4(単電池)毎に筐体を設けずに済む。よって、一例としては、組電池1の部品点数を減らしたり、組み立ての手間を減らしたりすることができる。
【0022】
また、本実施形態では、電極5a,5bがカバー3の外側で当該カバー3に沿った状態に屈曲され、対応する複数の電極5a,5bのカバー3に沿った露出部分5j(部分)が接合された。よって、本実施形態によれば、複数の電池4の電極5a,5b間を接続するバスバーを省略することができる。よって、一例としては、組電池1の部品点数を減らすことができる。
【0023】
また、本実施形態では、一例として、ケース2およびカバー3のうち少なくとも一方(本実施形態では、一例としてカバー3)に、ケース2とカバー3とを加熱して溶着させる電熱部7が設けられた。よって、本実施形態によれば、一例としては、ケース2とカバー3とをジュール熱を利用した熱溶着によって接合することができる。よって、本実施形態のように、ケース2とカバー3との接合部分がカバー3の周縁部より内側に位置されるような場合にあっても、当該接合部分がより容易にあるいはより確実に接合されやすい。
【0024】
また、本実施形態では、一例として、電熱部7が、シール部材6(シール部)より凹部2dに電解質が収容された状態での上方に位置された。よって、本実施形態によれば、一例としては、電熱部7による熱の影響がシール部材6に及びにくくなる。
【0025】
<第1変形例>
本変形例では、一例として、図13に示されるように、ケース2Aの凹部2dの断面形状が長円状である。すなわち、凹部2dの内周面2d1(内面)は、コイル部5の層状体5e(の巻かれた部分)の外周面5e1に沿っている。よって、本変形例によれば、一例としては、コイル部5が凹部2d内に収容される際に、外周面5e1が内周面2d1にガイドされて、コイル部5が凹部2d内により円滑に収容される。また、一例としては、凹部2dのデッドスペースが減るため、電解質の容積(量)を減らすことができる。なお、本変形例にかかる組電池1Aは、凹部2dの断面形状が異なる点を除き、上記第1実施形態の組電池1と同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0026】
<第2変形例>
本変形例では、一例として、図14に示されるように、ケース2Bの凹部2d(コイル部5、電池4)の数が上記実施形態や変形例に比べて少ない。このように、本発明は、凹部2d(コイル部5、電池4)の数を適宜に変更して構成することができる。なお、本変形例にかかる組電池1Bは、凹部2d(コイル部5、電池4)の数(本変形例では三つ)が異なる点を除き、上記第1変形例の組電池1Aと同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0027】
<第3変形例>
本変形例では、一例として、図15に示されるように、ケース2Cには、容積が異なる複数の凹部2d(収容部)が含まれている。凹部2dの容積を異ならせることで、例えば、各凹部2dの熱容量や、放熱性等を異ならせることができる。よって、一例としては、組電池1C内で、何らかの要因(組電池1Cにおける要因や、外的な要因等)で局所的に高温となる部分があった場合等に、当該部分に位置された凹部2dの容積を他の部分に位置された凹部2dの容積より大きくすることができる。これにより、一例としては、当該高温となる部分での温度上昇を抑制することができる。また、本変形例では、複数の凹部2d(電池4)が列状に配置され、複数の凹部2dの列の中央部に位置された凹部2da(第一の収容部)の容積が当該凹部2daより列の端部側に位置された凹部2db,2dc(第二の収容部)の容積より大きい。また、凹部2dbの容積が、凹部2dcの容積より大きい。本変形例のように凹部2d(電池4)が列状に並べられた場合、列の中央部では、列の端部より温度が高くなりやすい場合がある。これは、両側に他の凹部2d(電池4)が位置されたり、外部との接触面積がより小さくなったりするためである。この点、本変形例によれば、列の中央部に位置された凹部2daの温度上昇を抑制しやすくなる。また、本変形例では、一例として、凹部2daの幅Wa(凹部2dおよびコイル部5の厚さ方向(配列方向、重なり方向、X方向)の長さ)が凹部2db,2dcの幅Wb,Wcより大きい。これにより、本変形例によれば、一例としては、凹部2dの深さ(高さ)や長さを異ならせる場合に比べて、凹部2dの容積を種々に設定しやすい。また、一例としては、各凹部2da,2dbに深さ方向に延びた隙間gが設けられるため、電解質が液状である場合には、対流による熱の拡散が生じやすく、これにより、一例としては、局所的に高温となる部分が生じにくい。なお、本変形例にかかる組電池1Cは、互いに容積が異なる複数の凹部2dを有する点を除き、上記第1変形例の組電池1Aと同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0028】
<第4変形例>
本変形例では、一例として、図16に示されるように、ケース2Dには、厚さが異なる複数の隔壁2e(内壁部、壁部)が含まれている。隔壁2eの厚さを異ならせることで、例えば、各隔壁2eひいては各凹部2dの熱容量や、放熱性等を異ならせることができる。よって、一例としては、組電池1D内で、何らかの要因(組電池1Dにおける要因や、外的な要因等)で局所的に高温となる部分があった場合等に、当該部分に位置された凹部2dに隣接した隔壁2eの厚さを他の部分に位置された凹部2dに隣接した隔壁2eの厚さより大きくすることができる。これにより、一例としては、隔壁2eを介しての放熱効果が得られる場合には、当該高温となる部分での温度上昇を抑制することができる。また、一例としては、厚さが大きい隔壁2ea内に、金属材料等の熱伝導性の比較的高い(ケース2Dの合成樹脂材料より高い)部材が設けられる(埋められる)ことができる。この場合、熱伝導性の高い部材は、一例としては、インサート成形によって隔壁2ea内に設ける(埋める)ことができる。また、本変形例では、複数の凹部2d(電池4)が列状に配置され、複数の凹部2d(電池4)の列の中央部に位置された隔壁2ea(第一の内壁部)の厚さThaが当該隔壁2eaより列の端部側に位置された隔壁2eb,2ec(第二の内壁部)の厚さThb,Thcより大きい。また、隔壁2ebの厚さThbが、隔壁2ecの厚さThcより大きい。本変形例のように、凹部2d(電池4)が列状に並べられた場合、列の中央部では、列の端部より温度が高くなりやすい場合がある。この点、本変形例によれば、複数の凹部2d(電池4)の列の中央部に位置された凹部2dに隣接した隔壁2eaによる放熱性をより高めやすくなるため、凹部2dの温度上昇を抑制しやすくなる。なお、本変形例にかかる組電池1Dは互いに容積が異なる複数の隔壁2eを有する点を除き、上記第1変形例の組電池1Aと同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0029】
<第5変形例>
本変形例では、一例として、図17に示されるように、ケース2Eには、ケース2Dと同様、厚さが異なる複数の隔壁2e(内壁部、壁部)が含まれている。よって、本変形例によれば、上記第4変形例と同様の効果が得られる。また、本変形例では、一例として、厚さが大きい隔壁2ea内に、流体(例えば、空気、水、液体、冷媒等)の通路2jが設けられている。よって、本変形例によれば、一例としては、通路2jを通る流体により、隔壁2eaひいてはこれに隣接する凹部2dを冷却することができる。よって、本変形例によれば、一例としては、より局所的に高温となる部分が生じにくい。また、本変形例では、複数の凹部2d(電池4)の列の中央部に位置された凹部2dに隣接した隔壁2eaによる放熱性をより高めやすくなるため、凹部2dの温度上昇を抑制しやすくなる。なお、通路2jは、一例としてZ方向に沿っているが、これには限定されない。また、ケース2Eの側壁2bまたは端壁2cと隔壁2eとが交叉した部分には、図示されない結合具(一例としてはねじ)が結合される結合部2k(一例としては雌ねじ孔)が設けられている。カバー(図示されず)に設けられた貫通部(図示されず)を貫通した結合具が結合部2kに結合されることにより、ケース2Eとカバーとを結合することができる。本変形例にかかる組電池1Eは、隔壁2eに通路2jが設けられている点を除き、上記第4変形例の組電池1Dと同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0030】
<第6変形例>
本変形例では、一例として、図18に示されるように、ケース2Fの凹部2d(収容部)に、コイル部5を支持する支持部として、凹部2mならびに凸部2nが設けられている。具体的に、凹部2mはコイル部5の一端部5fおよび他端部5g(図18では一端部5fのみ図示)に対向して設けられ、一端部5fおよび他端部5gを少なくとも部分的に収容している。また、凸部2nは、コイル部5の外周面5e1のうち平坦な部分を支持する突起として、隔壁2e(壁部、内壁部)または端壁2c(壁部、外壁部)に設けられている。よって、本変形例によれば、一例としては、凹部2d内でコイル部5が移動したり振動したりするのが抑制されやすい。このような構成は、容積がより大きい凹部2d(例えば、上記第3変形例の凹部2da等)においてより効果的である。なお、本変形例にかかる組電池1Fは、支持部として凹部2mならびに凸部2nが設けられている点を除き、上記第1変形例の組電池1A等と同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0031】
<第7変形例>
本変形例では、一例として、図19に示されるように、上記第1実施形態(図10参照)とは、電熱部7の位置が異なっている。具体的に、本変形例では、電熱部7aの接合面2p,3g(接合部)の沿う方向(Y方向、XZ平面に沿った方向)と電熱部7bの端面2iおよび裏面3e(接合面、接合部)の沿う方向(X方向、YZ平面に沿った方向)とが異なっている。よって、本変形例によれば、一例としては、複数の方向から組電池1Gに作用する外力に対するケース2Gとカバー3Gとの接合部の強度を、向上しやすくなる。なお、本変形例にかかる組電池1Gは、電熱部7の位置が異なる点を除き、上記第1実施形態の組電池1と同様である。よって、本変形例によっても、上記実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、コイル部の層状体(電極および介在物)の巻き方向に対する接続端子の取出方向や、突出方向、突出位置等は、種々に変更することができる。また、ケースやカバーの材質は、必要な部分で絶縁を確保しつつ、金属材料とすることもできる。また、ケースを一体成形することは必須ではなく、外壁部に内壁部(隔壁)を接合することでケースを構成することができる。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
1,1A〜1G…組電池(電池、リチウムイオン二次電池)、2,2A〜2G…ケース、2a…底壁(外壁部)、2b…側壁(外壁部)、2c…端壁(外壁部)、2d…凹部(収容部)、2da…(第一の)収容部、2db,2dc…(第二の)収容部、2e…隔壁(内壁部)、2ea…(第一の)隔壁、2eb,2ec…(第二の)隔壁、2f…開口部、2j…通路、3…カバー(蓋部)、3c…貫通部、5…コイル部、5a…電極、5b…電極、5c…介在物、5d…介在物、6…シール部材(シール部)、7,7a,7b…電熱部。
図1
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