(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機分散剤は、分岐型の構造であり、主鎖に前記導電性高分子に吸着するための吸着基を持ち、かつ親水性および/または疎水性の側鎖を1つ以上持つ構造であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子懸濁溶液。
前記固体電解質層が、前記誘電体層上に形成された第1の導電性高分子化合物層と、前記第1の導電性高分子化合物層上に形成された第2の導電性高分子化合物層からなることを特徴とする請求項9に記載の電解コンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている導電性高分子材料は、導電性高分子粒子とポリアニオンと結合剤から構成されており、この構成により、コンデンサ体との密着性を向上し、ESRの低減を図っている。しかしながら、特許文献1のような構成では、導電性高分子粒子同士の繋がりが弱く、熱や応力などによる経時劣化で、導電性高分子粒子同士の繋がりが切れてしまう可能性があり、導電性高分子材料としての導電性が低下する課題がある。そのため、従来の導電性高分子材料を固体電解質に用いた電解コンデンサは、経時劣化によりESRが上昇するという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決すべく、高い導電性を有し、かつ導電性の経時劣化を抑制した導電性高分子懸濁溶液および導電性高分子材料を提供することを目的とする。また、前記導電性高分子材料を固体電解質として用いた低ESRの電解コンデンサとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、導電性高分子と、ポリアニオンの少なくとも1種と、有機分散剤の少なくとも1種と、架橋剤の少なくとも1種を含有する
導電性高分子懸濁溶液であって、前記導電性高分子100質量部に対し、前記ポリアニオンが10乃至200質量部、前記有機分散剤が8乃至120質量部、前記架橋剤が0.5乃至120質量部であることを特徴とする導電性高分子懸濁溶液が得られる。
【0009】
また、本発明の導電性高分子懸濁溶液において、前記有機分散剤は、分岐型の構造であり、主鎖に前記導電性高分子に吸着するための吸着基を持ち、かつ親水性および/または疎水性の側鎖を1つ以上持つ構造であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の導電性高分子懸濁溶液において、前記有機分散剤は、カルボキシル基を2つ以上持つ構造であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の導電性高分子懸濁溶液において、前記架橋剤は、オキサゾリン基を2つ以上持つ構造であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の導電性高分子懸濁溶液において、前記導電性高分子が、ピロール、チオフェンおよびその誘導体の少なくとも1種から構成されたポリマーであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の導電性高分子懸濁溶液において、前記ポリアニオンとしてポリスチレンスルホン酸を含有することが好ましい。
【0015】
また、本発明によれば、上記の導電性高分子懸濁溶液
から溶媒
が除去
されたものであり、前記導電性高分子と前記ポリアニオンからなる導電性高分子粒子同士が、前記有機分散剤と前記架橋剤とを介して結合していることを特徴とする導電性高分子材料が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、上記の導電性高分子材料を含む固体電解質層を有することを特徴とする電解コンデンサが得られる。
【0017】
また、本発明の電解コンデンサは、弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成されている誘電体層とを有し、前記誘電体層上に前記固体電解質層が形成されていてもよい。
【0018】
また、本発明の電解コンデンサは、前記固体電解質層が、前記誘電体層上に形成された第1の導電性高分子化合物層と、前記第1の導電性高分子化合物層上に形成された第2の導電性高分子化合物層からなる構成でもよい。
【0019】
また、本発明の電解コンデンサは、前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタル、ニオブから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
また、本発明によれば、弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に、上記の導電性高分子懸濁溶液を塗布または含浸し、前記導電性高分子懸濁溶液を加熱乾燥して溶媒を除去した導電性高分子材料を含む固体電解質層を形成する工程とを有することを特徴とする電解コンデンサの製造方法が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に、第1の導電性高分子化合物層と第2の導電性高分子化合物層からなる固体電解質層を形成する工程を有し、前記第1の導電性高分子化合物層は、前記誘電体層上に、第1の導電性高分子化合物を与えるモノマーを化学酸化重合または電解重合して形成し、前記第2の導電性高分子化合物層は、前記第1の導電性高分子化合物層上に、上記の導電性高分子懸濁溶液を塗布または含浸し、前記導電性高分子懸濁溶液を加熱乾燥して溶媒を除去して形成することを特徴とする電解コンデンサの製造方法が得られる。
【0022】
また、本発明の電解コンデンサの製造方法において、前記第1の導電性高分子化合物が、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の電解コンデンサの製造方法において、前記弁作用金属が、アルミニウム、タンタル、ニオブから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高い導電性を有し、かつ導電性の経時劣化を抑制した導電性高分子懸濁溶液および導電性高分子材料を提供することが可能となる。また、前記導電性高分子材料を固体電解質として用いた低ESRの電解コンデンサとその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る導電性高分子懸濁溶液およびその導電性高分子懸濁溶液から得られる導電性高分子材料、ならびに導電性高分子材料を用いた電解コンデンサおよびその製造方法について、詳細に説明する。
【0027】
<導電性高分子懸濁溶液および導電性高分子材料>
本実施の形態に係る導電性高分子懸濁溶液は、導電性高分子と、ポリアニオンの少なくとも1種と、有機分散剤の少なくとも1種と、架橋剤の少なくとも1種を含有する。
【0028】
上記構成において、導電性高分子懸濁溶液中では、導電性高分子とポリアニオンからなる導電性高分子粒子は、有機分散剤と化学的または物理的に結合した状態で溶液中に良好に分散し、また、架橋剤は溶液中に単体で溶解している。
【0029】
図1は、本発明の導電性高分子材料の構造を説明する模式図である。導電性高分子懸濁溶液から溶媒を除去して得られる導電性高分子材料は、溶媒の除去時の加熱により有機分散剤が架橋剤で架橋される。すなわち、
図1に示すように、導電性高分子材料中の導電性高分子粒子1は有機分散剤2と架橋剤3を介して結合しており、導電性高分子粒子1同士の強固な結合が得られる。したがって、本発明の導電性高分子懸濁溶液から得られる導電性高分子材料は、高い導電性を有するとともに、導電性の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0030】
導電性高分子懸濁溶液中に含まれる導電性高分子としては、ピロール、チオフェンおよびその誘導体の少なくとも1種から構成されたポリマーが好ましい。導電性高分子の分子量や特性は、その用途に応じて選択でき、電解コンデンサ用であれば、電解コンデンサの構成に適した分子量および特性の範囲のものを選択すればよい。導電性高分子として、特に、化1式で示される構造単位を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体が好ましい。導電性高分子は、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、1種でも2種以上でもよい。
【0032】
導電性高分子懸濁溶液における導電性高分子の含有量は、溶媒である水100重量部に対して0.1乃至30重量部であることが好ましく、0.5乃至20重量部であることがより好ましい。
【0033】
本実施の形態の導電性高分子懸濁溶液は、ポリアニオンを含有する。ポリアニオンとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸、およびこれらの構造単位の少なくとも1種を有する共重合体が挙げられる。中でも、化2式で示される構造単位を有するポリスチレンスルホン酸が好ましい。ポリアニオンは、1種でも2種以上でもよい。
【0035】
ポリアニオンの重量平均分子量は、2,000乃至500,000であることが好ましく、10,000乃至200,000であることがより好ましい。
【0036】
導電性高分子懸濁溶液はポリアニオンとともに、分岐型の構造を持つ有機分散剤を含有することが好ましい。分岐型の構造を持つ有機分散剤は、1種でも2種以上でもよい。
【0037】
分岐型の構造を持つ有機分散剤は、主鎖に導電性高分子に吸着するための吸着基を持ち、かつ親水性および/または疎水性の側鎖を1つ以上持つ構造である有機高分子分散剤がより好ましい。
【0038】
有機分散剤の主鎖としては、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂およびこれらの構造単位を有する共重合体が挙げられる。
【0039】
有機分散剤の主鎖が持つ吸着基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、アミノ基が挙げられる。導電性高分子への吸着性の高さから、カルボキシル基を2つ以上持つ構造であることが特に好ましい。
【0040】
有機分散剤の側鎖としては、親水性であるポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンや、疎水性であるポリエチレン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂が挙げられる。側鎖は1つでもよいが、立体障害が大きくなり粒子の分散性を高める効果が増すことから複数有することが特に好ましい。側鎖は、1種類でも2種類でもよい。親水性の側鎖と疎水性の側鎖を両方有すると、導電性高分子懸濁溶液中の粒子の安定性および、導電性高分子材料の強度が増すことから特に好ましい。
【0041】
分岐型の構造を持つ有機分散剤としては、顔料などの固体粒子の分散剤として利用されているものの中から、上述した分岐型の構造をもつ分散剤から選択して用いることができ、例えば後述する各実施例で使用する「DISPERBYK(登録商標)−190」として市販されている有機分散剤などが好適に利用できる。
【0042】
「DISPERBYK(登録商標)−190」は、主鎖がアクリル樹脂であり、この主鎖は吸着基としてカルボキシル基を持つ。また、側鎖として、親水基であるポリエーテルおよび疎水性であるポリスチレンとを複数持っており、分岐型の構造を持つ有機分散剤である。
【0043】
さらに、本実施の形態の導電性高分子懸濁溶液は、架橋剤を含有する。架橋剤としては、オキサゾリン基を2つ以上持つ構造であることが好ましい。例えば後述する各実施例で使用する「エポクロス(登録商標)WS−700」として市販されている架橋剤などが好適に利用できる。「エポクロス(登録商標)WS−700」はアクリル鎖にオキサゾリン基を複数持つ構造の架橋剤である。
【0044】
導電性高分子懸濁溶液におけるポリアニオン、分岐型の構造を持つ有機分散剤、架橋剤の含有量は、導電性高分子100重量部に対して、ポリアニオンが10乃至200重量部、分岐型の構造を持つ有機分散剤が1乃至120重量部、架橋剤が0.5乃至120重量部であることが好ましい。より好ましくは、導電性高分子100重量部に対して、ポリアニオンが50乃至150重量部、分岐型の構造を持つ有機分散剤が1乃至50重量部である。
【0045】
本実施の形態の導電性高分子懸濁溶液は、水溶性バインダーを1種以上含んでいてもよい。導電性高分子懸濁溶液に、水溶性バインダーを添加することにより、基材への密着性が向上する。
【0046】
水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドおよびこれらの構造単位を有する共重合体が挙げられ、コーディング用ポリマー懸濁液用として利用されているものの中から選択して利用することができる。
【0047】
また、本実施の形態の導電性高分子懸濁溶液は、導電性高分子材料の導電性や密度、強度の特性の向上を図る目的で、エリトリトールおよび/またはペンタエリトリトールを含んでいてもよい。
【0048】
本実施の形態に係る導電性高分子材料は、上記の導電性高分子懸濁溶液を加熱乾燥して、溶媒を除去したものであり、導電性高分子粒子同士の結合が強固であり、高い導電性を有する。溶媒を除去するための乾燥温度は、有機分散剤と架橋剤の反応温度以上かつ、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、100℃乃至300℃が好ましい。より好ましくは100℃乃至200℃である。
【0049】
<導電性高分子懸濁溶液の製造方法>
本実施の形態に係る導電性高分子懸濁溶液の製造方法は、以下の工程を有する。
【0050】
[第一の工程]
本実施の形態では、まず、ドーパントとしての有機酸またはその塩を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合させて、導電性高分子を含む混合物を得る。第一の工程では、重合度が高く、結晶化度の高い導電性高分子を得ることができる。
【0051】
ドーパントとしては、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸およびそれらの誘導体等、ならびにそれらの鉄(III)等の塩が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸もジスルホンサン酸でもトリスルホン酸でもよい。アルキルスルホン酸の誘導体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸が挙げられる。中でも、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3,6−ナフタレンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはこれらの鉄(III)塩が好ましい。重合物の高結晶化への影響が大きいことから、カンファースルホン酸がさらに好ましい。カンファースルホン酸は、光学活性体でもよい。ドーパントは、1種でも2種以上でもよい。
【0052】
ドーパントの使用量は、過剰であっても第二の工程で除去することが可能であるため、特に制限はないが、モノマー1重量部に対して1乃至100重量部が好ましく、1乃至50重量部がより好ましい。
【0053】
溶媒は、水でも有機溶媒でも水混和有機溶媒でもよく、モノマーとの相溶性が良好な溶媒を選定することが好ましく、ドーパントおよび酸化剤との相溶性もよい溶媒を選定することが特に好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド等の低極性溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種でも2種以上でもよい。中でも、エタノール、またはエタノールと水との混合溶媒が好ましい。
【0054】
導電性高分子としては、ピロール、チオフェンおよびその誘導体の少なくとも1種から構成されたポリマーが好ましい。
【0055】
導電性高分子を与えるモノマーは、目的とする導電性高分子に応じて選択すればよい。モノマーは、1種でも2種以上でもよい。
【0056】
ポリピロールおよびその誘導体は、対応するピロールまたはピロールの誘導体を重合して得られる。ピロールの誘導体としては、3−ヘキシルピロール等の3−アルキルピロール、3,4−ジヘキシルピロール等の3,4−ジアキシルピロール、3−メトキシピロール等の3−アルコキシピロール、3,4−ジメトキシピロール等の3,4−ジメトキシピロールが挙げられる。
【0057】
ポリチオフェンおよびその誘導体は、対応するチオフェンまたはチオフェンの誘導体を重合して得られる。チオフェンの誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体、3−ヘキシルチオフェン等の3−アルキルチオフェン、3−メトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェンが挙げられる。3,4−エチレンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシチオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェンが挙げられる。
【0058】
中でも、化3式で示されるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはその誘導体が好ましい。
【0060】
溶媒中のモノマーの濃度は、0.1乃至50重量%が好ましく、0.5乃至30重量%がより好ましい。
【0061】
酸化剤としては、特に制限はなく、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=1,6)テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩、過酸素水素、オゾン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩を用いることができる。中でも、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、または過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムまたはp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましく、ドーパントを兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)がさらに好ましい。酸化剤は、1種でも2種以上でもよい。
【0062】
酸化剤の使用量は、過剰であっても第二の工程で除去することが可能なため、特に制限はないが、より穏やかな酸素雰囲気で反応させて高導電率の重合体を得るため、モノマー1重量部に対して0.5乃至100重量部が好ましく、1乃至50重量部がより好ましい。
【0063】
化学酸化重合の反応温度は、特に限定されないが、一般的には、使用する溶媒の還流温度付近であり、0乃至100℃が好ましく、10乃至50℃がより好ましい。反応速度が、適性でないと導電性が損なわれる可能性がある。化学酸化重合の反応時間は、酸化剤の種類および投入量、反応温度、攪拌条件などに依存するが、5乃至100時間程度である。
【0064】
第一の工程は、界面活性作用を有する存在下で行うことが好ましい。界面活性作用を有する物質としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤を用いることができ、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレングリコールなどが好適である。
【0065】
[第二の工程]
第二の工程では、第一の工程で得られた混合物から導電性高分子を回収する。具体的には、化学酸化重合して得られた導電性高分子を含む反応液から、導電性高分子を分離、洗浄することで、ドーパント、未反応モノマー、酸化剤由来の残留金属イオンおよびアニオンを除去する。第二の工程により、十分な精製処理が可能であり、高純度の導電性高分子を得ることができる。
【0066】
反応液から導電性高分子を分離する方法としては、ろ過法、遠心分離法などが挙げられる。
【0067】
洗浄溶媒は、導電性高分子を溶解することなく、モノマーおよび/または酸化剤を溶解可能な溶媒を用いて行うことが好ましい。洗浄溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。洗浄溶媒は、1種でも2種以上でもよい。洗浄の程度は、洗浄後の洗浄溶媒のpH測定や比色観察を行うことにより、確認することができる。
【0068】
さらに、酸化剤由来の金属成分をより高度に除去することができることから、導電性高分子を熱水洗浄および/または熱処理することが好ましい。熱処理の温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃未満で行うことが好ましい。また、イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行うことも、酸化剤由来の金属イオンやアニオンを除去する方法として有効である。
【0069】
導電性高分子に含まれる不純物は、ICP発光分析やイオンクロマトグラフィーなどにより定量可能である。
【0070】
[第三の工程]
第三の工程では、ポリアニオンを含む水系溶媒中で、第二の工程で回収された導電性高分子に酸化剤を混合する。第三の工程では、有機分散剤としてのポリアニオンと酸化剤を導電性高分子に作用させることにより、導電性高分子の分散性の良好な導電性高分子懸濁溶液が得られる。分散機構としては、少なくとも、ポリアニオン由来のアニオンのドーピング作用が考えられる。
【0071】
ポリアニオンとしては、前述のポリアニオンを用いることができる。中でも、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。ポリアニオンの重量平均分子量は、2,000乃至500,000であることが好ましく、10,000乃至200,000であることがより好ましい。
【0072】
水系溶媒としては、水が好ましいが、水溶性の有機溶媒を加えてもなんら問題ない。水溶性の有機溶媒としては、水に添加して用いる際に酸化反応に適したものを選択して用いることができる。また、これらの要件に加えて、第三の工程により得られる混合液をそのまま第四の工程に利用する場合は、最終的に得られる導電性高分子懸濁溶液の溶媒(溶媒体)として利用できる有機溶媒を選択して用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド等の低極性溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種でも2種以上でもよい。
【0073】
第三の工程での反応温度は、特に限定されないが、0乃至100℃が好ましく、10乃至50℃がより好ましい。反応時間は、特に制限されないが、5乃至100時間程度である。また、第三の工程後に、前述したイオン交換処理を施すことが好ましい。
【0074】
[第四の工程]
第四の工程では、分岐型の構造を持つ有機分散剤を混合したのち、導電性高分子を粉砕する。分岐型の構造を持つ有機分散剤を混合したのち、導電性高分子を粉砕することで、高い分散安定性を持った導電性高分子懸濁溶液を得ることができる。第四の工程の粉砕により導電性高分子の少なくとも一部、すなわち導電性高分子の一部または全部を100nm以下に粉砕することもできる。
【0075】
分岐型の構造を持つ有機分散剤の使用量は、第二の工程で得られた導電性高分子100重量部に対して1乃至120重量部であることが好ましく、1乃至50重量部であることがより好ましい。
【0076】
上記工程で得られた混合液に、さらに架橋剤を混合する。架橋剤の使用量は、第二の工程で得られた導電性高分子100重量部に対して0.5乃至120重量部であることが好ましく、1乃至50重量部であることがより好ましい。
【0077】
<電解コンデンサおよびその製造方法>
本実施の形態に係る電解コンデンサは、上記の導電性高分子懸濁溶液から得られる導電性高分子材料を固体電解質層として有する。固体電解質層は、固体状であることが好ましい。本実施の形態に係る電解コンデンサにおいては、固体電解質を形成する材料が高導電率であるため、低ESRの電解コンデンサとなる。さらに、本発明の導電性高分子材料は、導電性高分子材料中の導電性高分子粒子が有機分散剤と架橋剤を介して結合しており、導電性高分子粒子同士の強固な結合で結ばれているため、導電性の経時劣化を抑制できる。本実施の形態の電解コンデンサは、前述した導電性高分子材料を固体電解質層として有するため、経時劣化によるESRの上昇を抑制し、信頼性が向上する効果も得られる。
【0078】
図2は、本実施の形態に係る電解コンデンサの構造を説明する模式断面図である。この電解コンデンサは、陽極導体11の表面に誘電体層12、固体電解質層13および陰極導体14が、この順に形成された構造を有している。
【0079】
陽極導体11は、弁作用金属の板、箔、線、弁作用金属の微粒子からなる焼結体、エッチングによって拡面化処理された多孔質体金属などによって形成される。弁作用金属としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少なくとも1種の弁作用金属であることが好ましい。
【0080】
誘電体層12は、陽極導体11の表面を電解酸化させることで形成することができる層であり、焼結体や多孔質体などの空孔部にも形成される。誘電体層12の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
【0081】
固体電解質層13は、上記の導電性高分子材料を含む。固体電解質層13は、単層構造でもよいが、多層構造でもよい。
図2に示す固体電解コンデンサでは、固体電解質層13が、第1の導電性高分子化合物層13aおよび第2の導電性高分子化合物層13bの2層構造からなる。
【0082】
固体電解質層13は、さらに、ピロール、チオフェン、アニリンまたはその誘導体を重合して得られる導電性重合体、二酸化マンガン、酸化ルテニウムなどの酸化物誘導体、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンコンプレックス塩)などの有機物半導体を含んでいてもよい。
【0083】
固体電解質層13の形成方法としては、誘電体層12の表面に、前述の導電性高分子懸濁溶液を塗布または含浸し、その導電性高分子懸濁溶液から溶媒を除去する方法が挙げられる。また、
図1に示す電解コンデンサにおける固体電解質層13は、誘電体層12の表面に、第1の導電性高分子化合物を与えるモノマーの化学酸化重合または電解重合により、第1の導電性高分子化合物層13aを形成し、その第1の導電性高分子化合物層13a上に、上記の導電性高分子懸濁溶液を塗布または含浸し、第2の導電性高分子化合物層13bを形成する方法で形成することができる。
【0084】
第1の導電性高分子化合物を与えるモノマーとしては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。このモノマーを化学酸化重合または電解重合して第1の導電性高分子化合物を得る際に使用するドーパントとしては、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその誘導体等のスルホン酸系化合物が好ましい。ドーパントの分子量としては、低分子化合物から高分子量体まで適宜選択して用いることができる。溶媒としては、水のみでもよく、水と水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒でもよい。
【0085】
第2の導電性高分子化合物層13bを形成する際の、導電性高分子懸濁液の塗布または含浸の方法としては、特に制限はされないが、十分に多孔質細孔内部へ導電性高分子懸濁溶液を充填させるために、塗布または含浸後に数分〜数十分放置することが好ましい。さらに、浸漬の繰り返しや、大気より減圧した環境または加圧した環境で行うのが好ましい。
【0086】
導電性高分子懸濁溶液からの溶媒の除去は、導電性高分子懸濁液を加熱し乾燥させることで行うことができる。乾燥温度は、有機分散剤と架橋剤の反応温度以上かつ、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、100℃乃至300℃が好ましい。より好ましくは100℃乃至200℃である。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜最適化する必要があるが、導電性が損なわれない範囲であれは特に制限されない。
【0087】
陽極導体14は、導体であれば特に限定されないが、例えば、グラファイトなどのカーボン層14aと、銀導電性樹脂14bとからなる2層構造とすることができる。
【実施例】
【0088】
以下、本実施の形態を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェン(2g)と、ドーパントであるカンファースルホン酸(2g)と、酸化剤およびドーパントとして機能するp−トルエンスルホン酸鉄(III)(18g)を、溶媒としてのエタノール(60ml)に溶解させた。得られた溶液を室温下で24時間攪拌して、モノマーの酸化重合を行った。このとき、混合液は黄色から濃青色へと変化した。
【0090】
上記の工程で得られた混合液を減圧ろ過装置でろ過して、導電性高分子の粉末を回収した。得られた粉末を純水で洗浄して、過剰の酸化剤およびドーパントを除去した。純水による洗浄は、ろ液のpHが6〜7になるまで繰り返し行った。ろ液のpHが6〜7になった後、さらに、エタノールで洗浄して、モノマー、酸化剤および反応後の酸化剤(p−トルエンスルホン酸鉄(II))を除去した。エタノールによる洗浄は、ろ液の色が無色透明になるまで行った。
【0091】
上記工程で洗浄された導電性高分子の粉末(1g)を水(200ml)中に分散させた後、ポリ酸(ポリアニオン)としてのポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:50,000)の20重量%水溶液(0.5g)を添加した。この混合液に、さらに酸化剤としての過硫酸アンモニウム(1.5g)を加えて、室温下で24時間攪拌した。得られたポリチオフェン懸濁溶液は濃紺色であった。
【0092】
上記工程で得られた混合液に、分岐型の構造を持つ有機分散剤(DISPERBYK(登録商標)−190、40重量%水溶液、BYK−Chemie GmbH)(3g)を添加し、室温下で1時間攪拌して完全に溶解させた。DISPERBYK(登録商標)−190は分子内に複数のカルボキシル基を持つ。その後、ビーズミルを用いて混合液中の粒子を粉砕し、平均粒子径を50nmとした。得られた導電性高分子懸濁溶液(ポリチオフェン懸濁溶液)は、濃紺色を維持した。平均粒子径の測定には、動的光散乱法(測定装置:ゼータ電位・粒径測定システムELSZ−2(大塚電子(株))を用いた。
【0093】
上記工程で得られた混合液に、さらに架橋剤(エポクロス(登録商標)WS−700、25重量%水溶液、株式会社日本触媒)(4.8g)を添加し、室温下で1時間攪拌して完全に溶解させた。得られたポリチオフェン懸濁溶液は、濃紺色を維持した。
【0094】
得られた導電性高分子懸濁溶液(ポリチオフェン懸濁溶液)をガラス基板上に0.1ml滴下し、125℃の恒温槽中で完全に溶媒を揮発させて乾燥することで、導電性高分子材料である導電性高分子膜を形成した。
【0095】
(実施例2)
ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:50,000)の20重量%水溶液の添加量を(5g)、分岐型の構造を持つ有機分散剤(DISPERBYK(登録商標)−190、40重量%水溶液、BYK−Chemie GmbH)の添加量を(0.2g)、架橋剤(エポクロス(登録商標)WS−700、25重量%水溶液、株式会社日本触媒)(0.32g)を添加した以外は、実施例1と同様にして、導電性高分子懸濁溶液(ポリチオフェン懸濁溶液)を製造した。そして、得られたポリチオフェン懸濁溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性高分子膜を形成した。
【0096】
(
参考例1)
ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:50,000)の20重量%水溶液の添加量を(10g)、分岐型の構造を持つ有機分散剤(DISPERBYK(登録商標)−190、40重量%水溶液、BYK−Chemie GmbH)の添加量を(0.04g)、架橋剤(エポクロス(登録商標)WS−700、25重量%水溶液、株式会社日本触媒)(0.032g)を添加した以外は実施例1と同様にして、導電性高分子懸濁溶液(ポリチオフェン懸濁溶液)を製造した。そして、得られたポリチオフェン懸濁溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性高分子膜を形成した。
【0097】
(比較例1)
比較例1では、従来の方法で、導電性高分子懸濁溶液(ポリチオフェン懸濁溶液)を製造した。具体的には、重量平均分子量4,000のポリスチレンスルホン酸(2g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(0.5g)および硫酸鉄(III)(0.05g)を水(20ml)に溶解させ、24時間にわたって空気を導入して、ポリチオフェン懸濁溶液を製造した。このポリチオフェン懸濁溶液に結合剤であるポリビニルアルコール(0.5g)を添加して、ポリチオフェン懸濁溶液を完成させた。そして、得られたポリチオフェン懸濁溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性高分子膜を形成した。
【0098】
実施例1〜
2、比較例1
、参考例1で得られた導電性高分子膜を四端子法で表面抵抗(Ω/□)および膜厚を計測し、導電率(S/cm)を算出し、導電性を評価した。また、得られた導電性高分子膜を125℃に500時間放置して、放置前の導電率と比較し、導電性の経時劣化を評価した。その結果を表1に示す。なお、表1に記載している導電率比とは、導電率(初期)を1とした場合における、125℃で500時間放置後の導電率の比較値である。導電率比の値が小さい方が導電率の低下が大きい。
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示すように、実施例1〜
2、参考例1で得られた導電性高分子膜は、比較例1で得られた導電性高分子膜に比べて、高導電率かつ導電率の変動が小さかった。すなわち、本実施の形態の導電性高分子材料は、有機分散剤と架橋剤を介して結合しており、導電性高分子粒子同士の強固な結合を得る構成とすることにより、高い導電性を有するとともに、導電性の経時劣化を抑制することが可能となった。
【0101】
(実施例4)
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりアルミニウムの表面に誘電体層となる酸化皮膜を形成した。陽極部と陰極部は、絶縁樹脂で分断した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体の陰極部を、実施例2で製造したポリチオフェン懸濁溶液に浸漬し引き上げた後、125℃の恒温槽中で乾燥、固化させて、固体電解質層を形成した。そして、固体電解質層の上に、カーボン層および銀導電性樹脂を順番に形成して、電解コンデンサを製造した。
【0102】
(実施例5)
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりアルミニウムの表面に誘電体層となる酸化皮膜を形成した。陽極部と陰極部は、絶縁樹脂で分断した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体の陰極部を、ピロール(10g)を純水(200ml)に溶解させたモノマー液と、ドーパントとしてのp−トルエンスルホン酸(20g)および酸化剤としての過硫酸アンモニウム(10g)を純水(200ml)に溶解させた酸化剤液とに順番に浸漬および引き上げを10回繰り返し行い、化学酸化重合を行うことで、第1の導電性高分子化合物層を形成した。
【0103】
第1の導電性高分子化合物層上に、実施例2で製造したポリチオフェン懸濁溶液を滴下し、125℃の恒温槽中で乾燥、固化させて、第2の導電性高分子化合物層を形成した。そして、第1の導電性高分子化合物層および第2の導電性高分子化合物層からなる固体電解質層の上に、カーボン層および銀導電性樹脂を順番に形成して、電解コンデンサを製造した。
【0104】
(比較例2)
実施例2で製造したポリチオフェン懸濁溶液の代わりに比較例1で製造したポリチオフェン懸濁溶液を用いた以外は、実施例4と同様に実施して、電解コンデンサを製造した。
【0105】
実施例4、実施例5、比較例2得られた電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)を、LCRメーターを用いて、それぞれ100kHzの周波数で測定した。ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm
2)に規格化した。得られた電解コンデンサを125℃に500時間放置して、放置前のESRと比較した。結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
表2に示すように、実施例4、5で得られた電解コンデンサは、比較例2で得られた電解コンデンサに比べて、ESRが低く、また125℃放置500時間後のESR上昇が小さかった。したがって、本発明の導電性高分子材料を固体電解質層に使用することにより、低ESRの電解コンデンサを得ることが可能となった。さらに、本発明の電解コンデンサは、ESRの上昇が小さく信頼性にも優れるという効果も得られた。