特許第6017154号(P6017154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特許6017154位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器
<>
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000002
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000003
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000004
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000005
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000006
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000007
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000008
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000009
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000010
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000011
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000012
  • 特許6017154-位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017154
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】位置限界が油圧によって制御される回転流体操作器
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/12 20060101AFI20161013BHJP
   B63H 1/06 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   F15B15/12 C
   F15B15/12 K
   B63H1/06
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-59599(P2012-59599)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2012-197934(P2012-197934A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】13/051,468
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・チャールズ・グリン
(72)【発明者】
【氏名】ダレック・トム・ザトルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ロウ・ディンスモア
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ウェイン・ミラー
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−054405(JP,A)
【文献】 特開平05−215075(JP,A)
【文献】 米国特許第05201637(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/12
B63H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(12)と、ロータ(14)と、通路とを備える回転流体操作器装置であって、
前記ハウジング(12)は、
協同して概ね円筒状の内部チャンバ(30)を画定している周囲壁(26)および末端壁(28)であって、第1のボス(32)が前記周囲壁(26)から半径方向に内側に向かって延在している周囲壁(26)および末端壁(28)と、
前記末端壁(28)と連絡している円筒状の穴(46)を画定しているポートブロック(44)であって、前記穴(46)と連絡しているロータサプライポート(50)およびロータドレンポート(54)、および前記第1のボス(32)中のステータ孔を介して前記内部チャンバ(30)と連絡しているステータポート(42)をさらに含むポートブロック(44)と
を含み、
前記ロータ(14)は、
回転軸の周りに前記内部チャンバ(30)内で回転するように取り付けられ、
横方向に外側に向かって延在しているアーム(62)を備えたボディ(56)と、
前記ハウジング(12)の前記穴(46)の中に受け取られる第1のスタブ軸(58)であって、横方向に貫通して通っているロータベーススロット(66)を含む第1のスタブ軸(58)と、
前記内部チャンバ(30)と連絡している前記アーム(62)の中に配置され、かつ、前記回転軸に対して接線方向に配向される第1のロータポート(70)と、
前記ロータベーススロット(66)と前記第1のロータポート(70)とを相互接続している内部通路(64、68)と
前記ポートブロック(44)内の通路であって、前記穴(46)と連絡しており、前記ハウジング(12)に対して、前記ロータ(14)の予め選択済みの第1の角位置で、前記ロータベーススロット(66)を介して前記ロータサプライポート(50)と前記ロータドレンポート(54)とを相互接続する、通路と
を含む、回転流体操作器装置。
【請求項2】
前記ポートブロック(44)内の前記通路が、
前記穴(46)の一部の周りに延在している、前記穴(46)および前記ロータサプライポート(50)の両方と連絡しているロータサプライ溝(48)と、
前記穴(46)の一部の周りに延在している、前記穴(46)および前記ロータドレンポート(54)の両方と連絡しているロータドレン溝(52)と
を備える、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ロータ(14)が、前記内部チャンバ(30)と連絡している前記アーム(62)内に配置された第2のロータポート(74)を含み、
前記第2のロータポート(74)は、前記ロータ(14)に対して接線方向に配向され、かつ、前記第1のロータポート(70)の反対側に配向される、請求項1記載の装置。
【請求項4】
第2のボス(34)が前記第1のボス(32)の反対側の前記周囲壁(26)から半径方向に内側に向かって延在し、これらの前記ボスが前記ロータ(14)の運動を前記ハウジング(12)に対して第2の角位置と第3の角位置の間の範囲に制限するために配置され、前記第1の角位置が前記第2の角位置と前記第3の角位置の間に存在する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング(12)が、前記周囲壁(26)、前記側壁および前記ポートブロック(44)を含んだベース(22)を備え、前記内部チャンバ(30)を閉じるカバー(24)が前記ベース(22)に取り付けられた、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記アーム(62)が概ね長方形の立体である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記第1のボス(32)がくさび形である、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記ロータ(14)の前記ボディ(56)が、前記第1のスタブ軸(58)から反対側に延在している第2のスタブ軸(60)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記内部通路が、前記ベーススロット(66)を相互接続している中央ギャラリ(64)、および前記第1のロータポート(70)の各々から前記中央ギャラリまで延在している第1の横方向ギャラリ(68)を備える、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記ロータ(14)が、横方向に外側に向かって延在している複数のアーム(62)を含み、個々のアーム(62)が、前記内部チャンバ(30)および前記内部通路と連絡している前記アーム(62)の中に配置され、かつ、前記ロータ(14)に対して接線方向に配向される第1のロータポート(70)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
請求項1記載の回転流体操作器装置を動作させる方法であって、前記ロータ(14)をそれぞれ第1の方向または前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させるために、加圧流体を前記ロータサプライポート(50)または前記ステータポート(42)に選択的に提供するステップを含み、前記第1の方向の運動が前記第1の角位置と前記第2の角位置の間に制限される方法。
【請求項12】
前記ロータサプライポート(50)および前記ロータドレンポート(54)の両方に同時に圧力を加えることにより、前記ロータ(14)を前記第1の方向に前記第1の角位置を超えて回転させるステップをさらに含む、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に流体操作器に関し、より詳細にはこのような操作器のための運動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機発電装置は、通常、プロペラあるいはファンブレードなどの推力生成エーロフォイルエレメントを駆動するために使用される。様々な飛行条件で最大可能推進効率を提供するために、エーロフォイルエレメントの迎え角(すなわち「ピッチ角」)をそれらを支えている回転ハブに対して変化させることが知られている。
【0003】
ピッチを制御する一般的な方法には、加圧流体の流れに応じてブレードピッチ角を変化させる流体操作器が使用されている。操作器は、「粗動」から「微動」へ、ピッチ角を介してブレードを移動させることができ、また、地上運転に適したピッチ角を提供することも可能である。安全上の理由から、飛行中、ブレードピッチ角を制限することが重要である。ブレードピッチ角を制限することにより、発電装置の速度超過もしくは過剰構造負荷の強制または航空機に対する予期せぬ偏揺れ運動が回避される。従来技術による典型的な可変ピッチプロペラには、ブレードピッチ角を制限する機械式ピッチ停止またはロックが含まれており、ブレードを地上運転範囲内の位置に向かって移動させるためには手動で後退させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6196801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械式ピッチ停止は有効ではあるが、それらは基本操作器デバイスの複雑性を増し、重量を重くし、また、コストを高くしている。したがって2つの回転運動範囲を提供する操作器であって、これらの2つの範囲の間にリミットを画定する機械式ロックまたは停止が存在しない操作器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この必要性は、2つの動作範囲を有する回転操作器を提供する本発明によって対処され、これらの2つの範囲の間のリミットは油圧によって制御される。
【0007】
本発明の一態様によれば、回転流体操作器装置には、協同して概ね円筒状の内部チャンバを画定している周囲壁および末端壁であって、第1のボスが周囲壁から半径方向に内側に向かって延在している周囲壁および末端壁と、末端壁と連絡している円筒状の穴を画定しているポートブロックであって、穴と連絡しているロータサプライポートおよびロータドレンポート、およびボス中のステータ孔を介して内部チャンバと連絡しているステータポートをさらに含んだポートブロックとを含んだハウジングが含まれている。ロータは、回転軸の周りに内部チャンバ内で回転するように取り付けられており、ロータには、横方向に外側に向かって延在しているアームを備えたボディと、ハウジングの穴の中に受け取られる第1のスタブ軸であって、横方向に貫通して通っているベーススロットを含んだ第1のスタブ軸と、内部チャンバと連絡しているアームの中に配置され、かつ、回転軸に対して接線方向に配向される第1のロータポートと、ロータベーススロットと第1のロータポートとを相互接続している内部通路が含まれている。ポートブロック内の、穴と連絡している通路は、ハウジングに対して、ロータの予め選択済みの第1の角位置で、ロータベーススロットを介してロータサプライポートとロータドレンポートとを相互接続するように構成されている。
【0008】
本発明は、添付の図面に照らして行う以下の説明を参照することによって最も良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一態様に従って構築された回転流体操作器の外部斜視図である。
図2】カバーが取り外された図1の操作器の斜視図である。
図3図1の操作器のロータの斜視図である。
図4】中央部分に沿って取った、ロータが第1の位置に位置している操作器の略横断面図である。
図5】末端部分に沿って取った、ロータが第1の位置に位置している、図1の操作器の略横断面図である。
図6】中央部分に沿って取った、ロータが第2の位置に位置している操作器の略横断面図である。
図7】末端部分に沿って取った、ロータが第2の位置に位置している、図1の操作器の略横断面図である。
図8】中央部分に沿って取った、ロータが第3の位置に位置している操作器の略横断面図である。
図9】末端部分に沿って取った、ロータが第3の位置に位置している、図1の操作器の略横断面図である。
図10】中央部分に沿って取った、ロータが第4の位置に位置している操作器の略横断面図である。
図11】末端部分に沿って取った、ロータが第4の位置に位置している、図1の操作器の略横断面図である。
図12】ポンプおよび弁システムに結合された回転流体操作器の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、全く同じ参照数表示は、様々な図を通して同じ構成要素を表しており、図1および2は、本発明に従って構築された回転流体操作器10を示したものである。操作器10の主なコンポーネントは、ハウジング12およびロータ14である。以下でより詳細に説明するように、操作器10は、操作器10がその様々なポートに加圧油圧油の流れが提供されると、ロータ14の制御された回転運動を生成するように動作させることができる。操作器10は、回転運動を必要とする任意の機械的負荷に対して使用することができるが、操作器10は、ガスタービンエンジンファンブレードあるいはプロペラブレード(図示せず)などのエーロフォイルのピッチ角を制御するためにとりわけ有用である。
【0011】
ハウジング12は、インボード端18およびアウトボード端20を有しており、ボルトまたは他の適切なファスナによって互いにアセンブルされるベース22およびカバー24からアセンブルされている。ハウジング12は、協同して概ね円筒状の内部チャンバ30を画定している周囲壁26および末端壁28を有している。2つの互いに反対側のボス32および34は、もしそうでなければ円筒状の内部チャンバ30である内部チャンバ30の中心に向かって突出している。個々のボス32、34は、間隔を隔てた2つの平らな側壁36および凹状に湾曲した末端壁38を備えたくさび形をしている。これらのボスのうちの一方のボス32には、中にステータサプライ孔40が形成されている(図4に最も良好に示されている)。ステータサプライ孔40は、内部チャンバ30の内部に向かって開いており、また、図には示されていない内部通路を介してステータポート42(図1に示されている)と連絡している。本明細書において使用されている「サプライ」および「ドレン」などの用語は、単に便利に参照されているにすぎず、必ずしも特定のポートまたは構造の唯一の機能を記述しているわけではないことに留意されたい。
【0012】
ポートブロック44は、ベース22の末端壁28から突出している。図5に最も良好に示されているように、ポートブロック44には、末端が閉じた円筒状の穴46が含まれている。ロータサプライ溝48は、穴46の一部の周りに延在しており、穴46およびロータサプライポート50の両方と連絡している。ロータドレン溝52は、穴46の一部の周りに延在しており、穴46およびロータドレンポート54の両方と連絡している。
【0013】
図3は、ロータ14を示したものである。ロータ14は、通常、互いに反対側の末端から延在しているインボードスタブ軸58およびアウトボードスタブ軸60を備えた円筒状ボディ56を有している。ボディ56は、ボス32と34の間に受け取られるようにサイズ化されており、概ね長方形の2つのアーム62がボディ56から互いに反対方向に横方向に延在している。アウトボードスタブ軸60は、ファンブレードあるいはプロペラブレードなどの回転させるべき機械負荷に結合されるように適合されている。インボードスタブ軸58は、ポートブロック44の穴46の中に受け取られるようにサイズ化されている。ロータ14は、特定の用途に適合するよう、異なる数のアームを含むことができ、例えば1つだけ、あるいは3つ以上のアームを設けることができる。一般に、ハウジング12は、ロータ14のアーム毎に1つのボスを含むことになる。
【0014】
ロータ14には、いくつかの内部通路が含まれている。中央ギャラリ64は、インボードスタブ軸58および通路を介してボディ56の中へ上に向かって延在している。互いに直径方向に反対側のベーススロット66は、中央ギャラリ64とインボードスタブ軸58の外部周囲表面の間を延在している。インボード横方向ギャラリ68は、一方のアーム62からボディ56および中央ギャラリ64を通って反対側のアーム62の中へ延在している。インボードロータポート70は、インボード横方向ギャラリ68の個々の末端から、インボード横方向ギャラリ68に対して直角の方向(つまりロータ14の回転軸に対して接線の方向)に延在しており、関連するアーム62の外部に向かって開いている。アウトボード横方向ギャラリ72は、一方のアーム62からボディ56を通って反対側のアーム62の中へ延在している。アウトボードロータポート74は、アウトボード横方向ギャラリ72の個々の末端から、アウトボード横方向ギャラリ72に対して直角の方向(つまりロータ14の回転軸に対して接線の方向)に延在しており、関連するアーム62の外部に向かって開いている。横方向ギャラリ68および72の末端は、解放することも、あるいは栓を使用して閉じることも可能である。
【0015】
ロータ14は、ハウジング12の中にアセンブルされると、スタブ軸58および60に対して平行である回転軸の周りに、アーム62がボス32および34と接触する2つの限界位置の間で自由に回転することができる。これらのアーム62は、内部チャンバ30を事実上4つの個別空洞に分割している。これらの空洞のサイズは、ロータ14が移動すると変化する。単なる参照目的にすぎないが、これらの空洞は、図2に、「A」、「B」、「C」および「D」のラベルが振られている。
【0016】
加圧油圧油を操作器10に選択的に供給するための手段が提供されている。図12は、ポンプ76、ロータサプライポート50、ロータドレンポート54およびステータポート42にそれぞれ結合された3つの3位置弁78、80および82、および貯蔵容器84を含んだシステムを概略的に示したものである。個々の弁78、80および82は、関連するポートをポンプ出口圧力または貯蔵容器84に接続するように動作させることができる。弁78、80および82は、手動、油圧または電子制御などの任意の便利な手段によって動作させることができる。この単純な概略システムは、操作器10の基本油圧動作を説明するために使用されているが、操作器10を実際の航空機システムの中に組み込むために他の制御システムを提供することも可能であることは理解されよう。詳細には、知られているタイプのプロペラ制御機構または定速機構を提供することができる。
【0017】
次に、操作器10の一般動作について、図2〜11を参照して、操作器10を使用してプロペラブレード(図示せず)の位置を制御する文脈の中で説明する。図4〜11に示されているように、航空機の飛行方向は、ページの左側に向かっており、また、プロペラの回転方向は、ページの上側に向かっているものとする。図4〜11においては、個々の対の図の上側の図は、アーム62に沿った1つの断面における操作器10を示しており、また、その対の下側の図は、インボードスタブ軸58に沿った断面における操作器10を示している。ロータ14を反時計方向に回転させることは、ピッチ角を大きくすることである(例えば「粗動ピッチ」)と見なされ、また、ロータ14を時計方向に回転させることは、ピッチ角を小さくすることである(例えば「微動ピッチ」)と見なされる。
【0018】
ロータ14を時計方向に移動させるためには、ロータサプライポート50をポンプ吐出圧力に結合することによってそのロータサプライポート50が加圧され、ロータドレンポート54が貯蔵容器84に結合され、また、ステータポート42が貯蔵容器84に結合される。それにより、加圧された流体がロータベーススロット66を通って流れ、インボード横方向ギャラリ68に流入した後、最終的にインボードロータポート70から流出する。インボードロータポート70から流出する流体によって空洞BおよびD(図2参照)が満たされる。結果として得られる、アーム62に対する流体圧力によってロータ14が時計方向に駆動される。これが生じている間、アーム62が流体を反対側の空洞AおよびCから変位させる。空洞Aから変位した流体は、ステータサプライ孔40から流出し、そこからステータポート42へ流出する。空洞Cから変位した流体は、アウトボードロータポート74へ流入し、アウトボード横方向ギャラリ72を横切った後、反対側のアウトボードロータポート74から流出し、次にステータサプライ孔40から流出し、そこから貯蔵容器84へ流出する。
【0019】
ロータ14を反時計方向へ移動させるためには、次の事象が生じることになる。ロータサプライポート50が貯蔵容器84に結合され、ロータドレンポート54が同じく貯蔵容器84に向かって開かれ、また、ステータポート42をポンプ吐出圧力に結合することによってそのステータポート42が加圧される。それにより、加圧された流体がステータサプライ孔40から流出して空洞Aを満たす。流体の一部は、アウトボードロータポート74に流入し、アウトボード横方向ギャラリ72を横切った後、反対側のアウトボードロータポート74から流出して空洞Cに流入する。結果として得られる、アーム62に対する流体圧力によってロータ14が反時計方向に駆動される。これが生じている間、アーム62が流体を反対側の空洞BおよびDから変位させる。空洞BおよびDから変位した流体は、インボードロータポート70に流入し、インボード横方向ギャラリ68に流入し、次に中央ギャラリ64に流入してロータベーススロット66へ向かった後、ロータサプライポート50およびロータドレンポート54のいずれか、あるいはそれらの両方から流出する(ロータ14の位置で決まる)。
【0020】
図4および5を参照すると、プロペラ「ハイピッチ」すなわち「全粗動」位置に対応する全反時計方向位置に位置しているロータ14が示されている。この位置では、ロータ14とボス32および34の干渉によってそれ以上の反時計方向の運動が防止される。これは「ハード停止」と見なされる。
【0021】
図6および7は、「全微動」すなわち最小飛行ピッチ位置におけるロータ14を示したものである。この位置では、ベーススロット66は、ロータサプライ溝48とロータドレン溝52を接続し、したがってロータサプライポート50とロータドレンポート54を相互接続する。流体の供給が、上で説明したように時計方向の運動のために構成されている場合、ロータサプライポート50からのすべての加圧流体にロータ4をバイパスさせ、貯蔵容器84に直接戻すことができる。したがってそれ以上の時計方向の回転は生じない。逆に、流体の供給が、上で説明したように反時計方向の運動のために構成されている場合、正規に動作させることができる。本質的には、時計方向の回転には「油圧」すなわち「ソフト停止」制限が存在している。図4および5に示されている反時計方向制限と、図6および7に示されている時計方向制限との間の運動範囲は、インフライトピッチ角範囲に対応することになる第1の運動範囲として概念的に解釈することができる。
【0022】
図8および9は、時計方向へのさらなる運動を許容するために、上で説明した「ソフト停止」から変化させることができる方法を示したものである。実際には、小さいブレードピッチ角を提供するためには(例えば「地上微動」または「ベータ」運転のために)、あるいは逆推力を提供するためには、さらに時計方向の位置が必要になる。この位置では、ロータサプライポート50およびロータドレンポート54はいずれも加圧され、また、ステータポート42は貯蔵容器84に結合される。ロータドレンポート圧力とロータサプライポート圧力が平衡し、それにより中央ギャラリ64への加圧流体の流入が許容され、上で説明したように時計方向へのロータ14のさらなる運動が実現される。
【0023】
図10および11は、最大時計方向すなわち「最大逆」位置におけるロータを示したものである。この位置では、ロータ14とボス32および34の干渉によってそれ以上の時計方向の運動が防止される。これは「ハード停止」と見なされる。図4および5に示されている反時計方向制限と、図10および11に示されている時計方向制限との間の運動範囲は、上で説明した第1の範囲より広い第2の運動範囲として概念的に解釈することができる。
【0024】
上で説明した操作器10によれば、2つの異なる利用可能運動範囲が提供される。制限モードにある場合、駆動角度は、制限されていない場合より小さい。この制限は、すべて油圧制御を使用して課され、したがって重量、複雑性、および従来技術による機械式停止に関わる複雑化が回避される。この操作器は、航空機プロペラブレードおよびファンブレードのコンパクトで単純なピッチ制御を提供するのにとりわけ有用である。
【0025】
以上、回転流体操作器について説明した。本発明の特定の実施形態について説明されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な改変を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって本発明の好ましい実施形態および本発明を実践するための最良モードについての以上の説明は、単に説明を目的として提供されたものにすぎず、制限することを目的としたものではない。
【符号の説明】
【0026】
10 回転流体操作器
12 ハウジング
14 ロータ
18 インボード端
20 アウトボード端
22 ベース
24 カバー
26 周囲壁
28、38 末端壁
30 内部チャンバ
32、34 ボス
36 側壁
40 ステータサプライ孔
42 ステータポート
44 ポートブロック
46 ポートブロックの穴
48 ロータサプライ溝
50 ロータサプライポート
52 ロータドレン溝
54 ロータドレンポート
56 ロータのボディ
58 インボードスタブ軸
60 アウトボードスタブ軸
62 アーム
64 中央ギャラリ
66 ベーススロット
68 インボード横方向ギャラリ
70 インボードロータポート
72 アウトボード横方向ギャラリ
74 アウトボードロータポート
76 ポンプ
78、80、82 3位置弁
84 貯蔵容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12