(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御装置が感知器による火災検知に基づいて防災盤から防災信号を受信することで、自動閉鎖装置のブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる防火シャッターにおいて、
防災盤と制御装置との間には、防災盤の第1端子と制御装置の第1端子を接続する第1信号線と、非火災時には開状態の第1接点を備え、煙感知器による火災検知に基づいて前記第1接点が閉じて防災盤の第2端子と制御装置の第2端子を接続する第2信号線と、からなる第1配線が形成されており、火災時に前記第1配線を通して前記防災盤から前記制御装置に防災信号が送信され、
前記制御装置と、前記防災盤以外の1つあるいは複数のデバイスとの間には、当該デバイスからの信号入力のための1つあるいは複数の配線が形成されており、
前記制御装置において、前記第1配線の前記第2信号線の前記第2端子は、少なくとも前記第1接点が開状態にある時には、前記1つあるいは複数の配線の信号戻り側のシグナルグランドから電気的に分離されており、前記第1接点が開状態にある非火災時に前記第2信号線の防災盤の前記第2端子と前記1つあるいは複数の配線の少なくとも1つが地絡によって繋がった場合に、前記防災盤と前記制御装置との間に前記制御装置が防災信号を受信したと認識するような回路が形成されることを防止するように構成されている、
防火シャッター。
前記制御装置において、前記第2端子と前記シグナルグランドとの間には配線は無く、前記第2端子は物理的かつ電気的に前記シグナルグランドから分離されている、請求項1〜4いずれか1項に記載の防火シャッター。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、防災信号が未入力の状態であるにもかかわらず、制御装置が防災信号を受信した状態となってシャッターカーテンが自重降下してしまうという誤動作を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
制御装置が感知器による火災検知に基づいて防災盤から防災信号を受信することで、自動閉鎖装置のブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる防火シャッターにおいて、
防災盤と制御装置との間には、防災盤の第1端子と制御装置の第1端子を接続する第1信号線と、非火災時には開状態の接点を備え、煙感知器による火災検知に基づいて前記接点が閉じて防災盤の第2端子と制御装置の第2端子を接続する第2信号線と、からなる第1配線が形成されており、火災時に前記第1配線を通して前記防災盤から前記制御装置に防災信号が送信され、
前記制御装置と、前記防災盤以外の1つあるいは複数のデバイスとの間には、当該デバイスからの信号入力のための1つあるいは複数の配線が形成されており、
前記制御装置において、前記第1配線の前記第2信号線の前記第2端子は、少なくとも前記接点が開状態にある時には、前記1つあるいは複数の配線の信号戻り側のシグナルグランドから電気的に分離されている、
防火シャッター、である。
【0007】
1つの態様では、前記1つあるいは複数のデバイスは、リミットスイッチ、障害物検知手段、手動閉鎖装置、のいずれか1つあるいは複数である。
【0008】
1つの態様では、前記1つあるいは複数のデバイスは、リミットスイッチ、障害物検知手段、手動閉鎖装置、であり、
前記1つあるいは複数の配線は、前記リミットスイッチからの信号を前記制御装置に入力するための第2配線、前記障害物検知手段からの信号を制御装置に入力するための第3配線、前記手動閉鎖装置からの信号を前記制御装置に入力するための第4配線、であり、
前記制御装置において、前記第2配線、前記第3配線、前記第4配線の信号戻り線側の端子は、共通のシグナルグランドに接続されている。
【0009】
1つの態様では、前記制御装置において、前記第2端子と前記シグナルグランドとの間には配線は無く、前記第2端子は物理的かつ電気的に前記シグナルグランドから分離されている。
【0010】
1つの態様では、前記制御装置において、前記第2端子と前記シグナルグランドは、非火災時には開状態の接点を介して接続されており、前記防災信号が制御装置に入力されると、前記接点が閉じて、前記第2端子が前記シグナルグランドに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、防災信号を制御装置に入力するための回路の信号戻り線側の第2端子を、制御装置に接続される他のデバイスの信号戻り線のシグナルグランドから電気的に分離して浮かせることによって、前記デバイスの信号線が地絡したとしても、制御装置において、防災信号が入力されたと認識されるような回路が防災盤と制御装置との間で形成されることがなく、したがって、誤動作でシャッターカーテンが自重降下することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、電動シャッター1のシャッターカーテン2は、幅方向両端部が開口部両側に設けたガイドレール3、3に案内された状態で昇降し、開口部全閉姿勢では、シャッターカーテン2の下端の座板2aが着床した状態となり、開口部全開姿勢では、シャッターカーテン2が開口部上方の天井裏4の収納空間に設けた巻取シャフト(図示せず)に巻装されて収納された状態となる。天井裏4には、巻取シャフトと伝動連結された開閉機5が配置されており、開閉機5によって巻取シャフトを正逆回転させることで、シャッターカーテン2を昇降させて開口部を開閉する。
【0014】
図2に示すように、開閉機5には、シャッター制御盤5aと、シャッターカーテン2の全開状態及び全閉状態(ここでの全閉状態は、完全な全閉状態に限定されるものではなく、全閉状態の少し前の状態の場合も含む)を検知するリミットスイッチ6と、煙感知器7の火災検知により出力される信号に基づいてシャッターカーテン2を自重降下させる自動閉鎖装置8が設けてある。ガイドレール3、3の側方に位置する壁9、9には防災盤10と手動閉鎖装置11が配設されている。開閉機5(シャッター制御盤5a)、リミットスイッチ6、自動閉鎖装置8、防災盤10および手動閉鎖装置11は、天井裏4に配設された制御装置(危害防止用連動中継器)12にコネクタケーブルを介してそれぞれ接続されており、制御装置12は、シャッター装置の各種開閉制御を司る。
【0015】
シャッターカーテン2の最下端に設けた座板2aは、座板スイッチ2bを有しており、下降作動中のシャッターカーテン2の下方に障害物が存在する場合に、これを座板スイッチ2bへの当接で検出し、障害物検知信号を信号線2cによって制御装置12に送信し、シャッター制御盤5aを介して、シャッターカーテン2の下降を停止する。シャッターカーテン2が自重降下中の場合には、障害物検知信号に基づいて解放状態のブレーキが復帰する。障害物が取り除かれた後は、シャッターカーテン2は再び降下を開始する。なお、座板スイッチ2bに接続される信号線2cは、開口部上端に位置して取り付けられたコードリール13内に巻き取り方向への付勢力を保持して巻装されており、シャッターカーテン2の昇降駆動に伴って、信号線2cがコードリール13に巻き取られ、あるいは、繰り出されるようになっている。
【0016】
制御装置12には、通常時の商用電源とは別に停電時の制御動作を確保するためにバッテリ電源14が内蔵されており、火災時に、停電で商用電源が遮断されるような緊急状態であっても、バッテリ電源14によって、火災検知信号に基づいて、自動閉鎖装置8を介して、シャッターカーテン2の下降を行えるようになっている。
【0017】
手動閉鎖装置11は、
図2に示すように、縦長方形状の前面部15と、前面部15内に設けたパネル15aとを有する。前面部15の下方部位に、「押す」と表記されたプラスチックカバー16が設けてあり、その上方位置に開閉自在なキー付開閉扉17が設けてある。プラスチックカバー16の内部側には非常作動スイッチが配設されている。非常作動スイッチを押すことで、防災信号の入力に先立って、シャッターカーテン2を自重降下させることができる。パネル15aは開閉扉17で隠蔽されるようになっており、パネル15aには、上昇スイッチ18、下降スイッチ19および停止スイッチ20が配設されていると共に、これらのスイッチの側方には、防災盤10からの防災信号入力を受けて自動閉鎖モードに切り替わった電動シャッター1の制御装置12を、自動閉鎖モードから通常の手動操作モードに復旧させるための復旧スイッチ21と、発光部としての発光LED22が配設されている。発光LED22にバッテリ電源14の電圧状態を表示させる。キー付開閉扉17には、発光LED22に対応する位置に、透明窓17aが形成されており、透明窓17aを通して、発光LED22の発光状態を当該キー付開閉扉17の閉鎖時においても確認できるようになっている。このようにして、手動閉鎖装置11に、バッテリチェッカーとしての機能を持たせてある。
【0018】
制御装置12は、手動閉鎖装置11からの操作によってシャッター制御盤5aを介して開閉機5を制御して、シャッターカーテン2の昇降及び停止を行う(通常の手動操作モード)。例えば、開口部全開状態において下降スイッチ19を押すことで、制御装置12、シャッター制御盤5aを介して開閉機5のモータがシャッターカーテン2を下降させる方向に回転してシャッターカーテン2が下降し、下降中に座板スイッチ2bが障害物検知を行ってONとなると、コードリール13を介して制御装置12に障害物検知信号が送信され、シャッター制御盤5aを介して開閉機5のモータを停止させる。障害物が取り除かれて座板スイッチ2bがOFFとなった後に、下降スイッチ19を押してシャッターカーテン2を降下させ、シャッターカーテン2が全閉位置の近傍まで下降したことをリミットスイッチ6で検知して、制御装置12に下限信号が入力され、その後に、座板スイッチ2bがONとなった時には、制御装置12、シャッター制御盤5aを介して開閉機5のモータを停止させる。さらに、制御装置12は、火災時には、煙感知器7、防災盤10からの信号に基づいて自動閉鎖モードとなって、制御装置12からの通電によって自動閉鎖装置8が作動し、開閉機5のブレーキ部を解放させてシャッター2が降下して防火区域を区画する。より具体的に説明する。通常時において、シャッターカーテン2の自重降下は開閉機5に内蔵されたブレーキによって規制されている。煙感知器7が火災を検知すると防災盤10から制御装置12にDC24Vの防災信号が送信され、さらに、防災信号の入力があった制御装置12から自動閉鎖装置8にDC24Vがブレーキ解放信号として送信される。自動閉鎖装置8がブレーキ解放信号を受信すると、自動閉鎖装置8のブレーキ解放体84が開閉機5に内蔵されたブレーキを解放する方向に作動して、開閉機5のブレーキを解放して、シャッターカーテン2を自重降下させる。シャッターカーテン2の自重降下中に座板スイッチ2bがONとなると、障害物検知信号がコードリール13を介して制御装置12に送信され、制御装置12から自動閉鎖装置8にブレーキ復帰信号が送信され、自動閉鎖装置8がブレーキ復帰信号を受信すると、ブレーキを解放する方向に作動しているブレーキ解放体84が元の姿勢に復帰して、開閉機5のブレーキが復帰する。障害物が取り除かれて座板スイッチ2bがOFFとなると、所定時間経過後に制御装置12から自動閉鎖装置8にブレーキ解放信号が送信され、自動閉鎖装置8のブレーキ解放体84の作動によって開閉機5のブレーキを解放して、シャッターカーテン2を自重再降下させ、座板スイッチ2bが床面に接触してONとなって、シャッターカーテン2が全閉位置で停止する。1つの実施形態では、自動閉鎖装置8は、モータの回転に連動して作動する複数の機械要素によって開閉機5のブレーキ部を解放させ、ブレーキ解放後には、直ちにモータへの通電を遮断する。制御装置12は、シャッターカーテン2の降下中に障害物を検知した場合には、コードリールを用いた有線式の障害物検知手段によって、シャッターカーテン2の降下を停止させる。
【0019】
図7に基づいて、自動閉鎖装置8の動作について説明する。なお、
図7に示す自動閉鎖装置は1つの実施形態に過ぎないものであり、制御装置12からの通電によりブレーキ解放を行い、障害物検知によりブレーキを復帰させるブレーキ解放・復帰機構を備えていれば、自動閉鎖装置の具体的な構成は限定されない。制御装置12からの通電(ブレーキ解放信号)によりモータ80が第1の方向に回転することで、モータ軸の回転がワンウェイクラッチ81の駆動軸に伝達されて、駆動軸の回転に伴ってピニオン82が回転し、ピニオン82の回転によって、ピニオン82と噛合しているラック83がブレーキ解放方向に直進移動することで、ブレーキ解放体84が主軸85に沿ってブレーキ解放方向に移動して、ケーシングの開口80aから自動閉鎖装置8の内部に突出する開閉機5のブレーキ解放レバー50を押して開閉機5のブレーキ解放を行う。
【0020】
3つのマイクロスイッチ87A、87B、87Cはリレー基板88に電気的に接続されており、ラック83の移動に伴ってブレーキ解放体84と共に移動するスイッチレバー89Aが接触することでスイッチが入る。ブレーキ解放体84が所定量移動すると、スイッチレバー89Aとの接触によってマイクロスイッチ87Aが入ることで、制御装置(危害防止連動中継器)への出力が行われ、当該出力をもってブレーキ解放が行われたとことを確認し、マイクロスイッチ87Bが入ることで、外部機器(自動閉鎖装置によるブレーキ解放と連動して作動するように予め設定されている装置等)への出力が行われ(マイクロスイッチ87Bの使用は任意である)、マイクロスイッチ87Cが入ることで、モータ80への通電が遮断される。
【0021】
自動閉鎖装置8のモータ80への通電が遮断された状態において、ワンウェイクラッチ81の駆動軸がモータ80のモータ軸と回転伝達状態にあり、かつ、モータ80(例えば、減速機付きモータ)の増速起動トルクが、復帰用スプリング86Bのバネ力及びブレーキ解放レバー50(開閉機に内蔵された図示しない復帰用スプリング)の復帰力に打ち勝って、ピニオン82の回転、ラック83の移動は規制されており、ブレーキ解放状態が保持される。
【0022】
障害物検知信号(ブレーキ復帰信号)によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、当該駆動軸がモータ軸から独立してフリーとなって回転可能となり、ブレーキ解放状態の保持状態の時に圧縮されていた復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83が主軸に沿ってブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー50も復帰してブレーキが復帰する。
【0023】
図2に示すように、制御装置12と防災盤10との間には、防災盤10からの防災信号を制御装置12に入力するための第1配線W
1が形成されており、制御装置12とリミットスイッチ6との間には、リミットスイッチ6からの信号を制御装置12に入力するための第2配線W
2が形成されており、制御装置12とコードリール13との間には、障害物検知信号を制御装置12に入力するための第3配線W
3が形成されており、制御装置12と手動閉鎖装置11との間には、手動閉鎖装置11からの各種信号を制御装置12に入力するための第4配線W
4が形成されている。1つの態様では、第4配線には、手動閉鎖装置11からの作動信号、復旧信号を制御装置12に入力するための第4A配線W
4A、手動閉鎖装置11からの開閉制御信号(開信号、閉信号、停信号)を制御装置12に入力するための第4B配線W
4Bが含まれる。
【0024】
図3に示すように、第1配線W
1は、防災盤の第1端子D+と制御装置の第1端子D+(火災信号+)を接続する第1信号線と、非火災時には開状態の接点を備え、煙感知器による火災検知に基づいて前記接点が閉じて防災盤の第2端子DCと制御装置の第2端子D−(火災信号−)とを接続する第2信号線(信号戻り線)と、を備えている。
【0025】
図3に示すように、防災盤の第2端子DCと制御装置の第2端子D−とを接続する第2信号線上の接点は、通常時(非火災時)には開状態にあり、煙(ないし熱)を感知した感知器から防災盤が信号を受信すると、第2信号線上の接点が開状態から閉状態(接点ON)となって、第1配線W
1を通して制御装置の第1端子D+と第2端子D−間にDC24V信号が印加され、DC24V信号を受け取った制御装置から自動閉鎖装置にDC24V信号による通電を行って、自動閉鎖装置を作動させて、シャッターカーテンを自重降下させる。
【0026】
防災盤と制御装置との間には、防災盤の端子DAと制御装置の端子DACを繋ぐ第3信号線が設けてある。制御装置には、さらに、端子DAが設けてあり、端子DAは通常時には開状態の接点を介して端子DACと接続されており、また、第1端子D+に接続されている。第3信号線を通して所定の確認信号が防災盤に送信される。1つの態様では、全閉状態を検知したリミットスイッチからの信号により接点が閉じられて、第3信号線を通して閉鎖確認信号が防災盤に送信される。1つの態様では、自動閉鎖装置においてマイクロスイッチ87Aが入力されると、接点が閉じて、第3信号線を通してブレーキ解放確認信号が防災盤に送信される。1つの態様では、第3信号線を通してどのような確認信号を送信するかは、ディップスイッチ等により選択可能である。
【0027】
リミットスイッチ(閉鎖リミットSW)からの信号の入力のための第2配線W
2において、制御装置には、信号線側の端子SF、信号戻り線側の端子SFCが備わっている。障害物検知装置(コードリール)からの信号の入力のための第3配線W
3において、制御装置には、信号線側の端子、信号戻り線側の端子が備わっている。手動閉鎖装置からの信号の入力のための第4A配線W
4Aにおいて、制御装置には、信号線側の端子ST(作動SW)、信号線側の端子R(復旧SW)、信号戻り線側の端子C、が備わっており、手動閉鎖装置からの信号の入力のための第4B配線W
4Bにおいて、制御装置には、信号線側の端子B1(停釦SW)、信号線側の端子B2(開釦SW)、信号戻り線側の端子B3、信号線側の端子B4(閉釦SW)が備わっている。
図3〜6では、端子C、B3のみ示し、他の端子ST、R、B1、B2、B4は省略されている。
【0028】
図3は従来の制御装置のシグナルグランドを示す。制御装置における、第1配線W
1〜第4配線W
4の信号戻り線側の端子、具体的には、第1配線W
1の第2信号線の第2端子D−、第2配線W
2の端子SFC、第3配線W
3の1つの端子、第4A配線W
4Aの制御装置側の端子Cは、第4B配線W
4Bの端子B3は、共通のシグナルグランド(信号接地)SG(点線で示す)に接続されていた。
【0029】
従来の制御装置を備えた防火シャッターにおいて、防災信号が未入力の状態(防災盤と制御装置間の第2信号線の接点が開状態)で、可能性は極めて低いものの、地絡によって、シャッターカーテンが自重降下するおそれがあることが懸念される。
図4に例示するように、防災盤側において、第2信号線が鉄骨等によって地絡しており、かつ、リミットスイッチの信号線が鉄骨等によって地絡しており、防災盤とリミットスイッチが地絡により電気的に繋がると、シグナルグランドSGを介して、第1信号線の第1端子D+と第2信号線の第2端子D−とを繋ぐ回路が形成され、防災信号が入力されていないにもかかわらず(防災盤と制御装置間の第2信号線の接点が開状態)、制御装置が防災信号を受信した状態となり、第1信号線の第1端子D+と第2信号線の第2端子D−間にDC24Vが印加され、自動閉鎖装置に通電が行われて、シャッターカーテンが自重降下して開口部を閉鎖してしまうおそれがある。
【0030】
このような誤動作は、施工による影響で地絡していることが前提としてあるが、制御装置側で地絡するルートとしては、リミットスイッチルート(第2配線W
2の信号戻り線)、コードリールルート(第3配線W
3の信号戻り線)、手動閉鎖装置ルート(第4配線W
4の信号戻り線)が考えられることから、制御装置における防災信号入力のための配線と他のデバイス(手動閉鎖装置、コードリール、リミットスイッチ)からの入力のための配線のシグナルグラウンドSGが同一回路になっていることが誤動作発生の要因となり得ると考えられる。すなわち、防災盤側が地絡しており、さらに、
図4における←のいずれかが地絡すると、リミットスイッチルートを例示したように、防災盤と制御装置を繋ぐ回路が形成され、防災信号が入力されていなくても(防災盤と制御装置間の第2信号線の接点が開状態)、制御装置が防災信号を受信した状態となり、シャッターカーテンが誤動作で閉鎖してしまう。また、この種の回路が形成されて、あるデバイスに当該デバイスの動作のための電圧(例えば、DC24Vよりも低い電圧の場合)よりも高い電圧が流れてしまうような場合には、当該デバイスの故障の要因になり得る。
【0031】
そこで、少なくとも防災盤と制御装置を接続する第2信号線上の接点が開状態にある時には、制御装置内のシグナルグランドSG(前記第2配線W
2、前記第3配線W
3、前記第4配線W
4の信号戻り線側の端子が、共通のシグナルグランドSGに接続されている)から防災信号の信号戻り側(第2端子D−)を電気的に分離させ、シャッター装置側及び防災盤側で地絡しても、制御装置が防災信号を受信した状態となるような回路が防災盤と制御装置との間で形成されることがないようにした。
【0032】
誤動作防止手段の第1の実施形態を
図5に示す。制御装置において、防災盤と制御装置との間の第2の信号線の制御装置側の第2端子D−と、リミットスイッチの第2配線W
2の信号戻り側、コードリールの第3配線W
3の信号戻り側、手動閉鎖装置の第4配線W
4の信号戻り側の端子の共通のシグナルグランドSGとの間には配線は無く、第2端子D−は、物理的かつ電気的にシグナルグランドSGから分離されて、電気的に浮かしている。
図5に示す←のいずれかが地絡しても、第2端子D−が、リミットスイッチ、コードリール、手動閉鎖装置に共通のシグナルグランドSGから電気的に分離されているため、制御装置が防災信号を受信した状態となるような回路が防災盤と制御装置との間で形成されることがなく、制御装置において、防災信号の入力が認識されることがない。第2端子D−は、いかなるグランドにも接続されずに電気的に浮いていてもよく、あるいは、シグナルグランドSGからは完全に独立分離されているシグナルグランドSG以外のグランドに接続されていてもよい。
【0033】
誤動作防止手段の第2の実施形態を
図6に示す。制御装置において、第2端子D−とリミットスイッチ、コードリール、手動閉鎖装置に共通のシグナルグランドSGは、非火災時には開状態の接点を介して接続されており、防災信号が制御装置に入力されると、前記接点が閉じて、第2端子D−が前記シグナルグランドSGに電気的に接続される。すなわち、防災信号が制御装置に入力された時にのみリレーで、第2端子D−をシグナルグランドSGに接続し、防災信号が入力されていない時には、シグナルグランドSGから分離されている。
【0034】
防災信号が制御装置に入力されない限り、
図6に示す←のいずれかが地絡しても、開状態にある接点によって、第2端子D−が、リミットスイッチ、コードリール、手動閉鎖装置に共通のシグナルグランドSGから分離されているため、制御装置が防災信号を受信した状態となるような回路が防災盤と制御装置との間で形成されることがなく、制御装置において、防災信号の入力が認識されることがない。火災時に、防災盤と制御装置との間の第2信号線上の接点が開状態から閉状態となって、制御装置において、第1端子D+と第2端子D−間に電流が流れると、第2端子D−とシグナルグランドSGとの繋ぐ線上にある接点が開状態から閉状態となって、第2端子D−が前記シグナルグランドSGに電気的に接続される。
【0035】
本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は図示の態様に限定されるものではない。図示の態様では、第1配線W
1は、防災盤の第1端子D+と制御装置の第1端子D+(火災信号+)を接続する第1信号線と、非火災時には開状態の接点を備え、煙感知器による火災検知に基づいて前記接点が閉じて防災盤の第2端子DCと制御装置の第2端子D−(火災信号−)とを接続する第2信号線と、を備えているが、接点を設ける信号線を逆にしてもよい。すなわち、防災盤の第1端子D+と制御装置の第1端子D+を接続する信号線に接点を設けてもよい。
【0036】
図2に示す態様では、防災盤からの防災信号が危害防止連動中継器からなる制御装置に入力されるようになっているが、危害防止連動中継器を用いずに、手動閉鎖装置に制御装置を内蔵させ、防災盤からの防災信号が手動閉鎖装置からなる制御装置に直接ないし他のデバイスを経由して入力されるようにしてもよい。1つの態様では、防災信号は、前記自動閉鎖装置を介して前記手動閉鎖装置に送信される。
【0037】
図8に示す実施形態では、防火シャッターは、防災盤から出力される防災信号に基づいて開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、手動でシャッターカーテンを自重降下させるための非常作動スイッチを備えた手動閉鎖装置と、シャッターカーテンの自重降下時に障害物を検知した場合に障害物検知信号を出力する障害物検知手段と、を備えている。手動閉鎖装置は、信号を送受信可能なように自動閉鎖装置と電気的に接続されており、手動閉鎖装置はまた、障害物検知信号を受信可能なように障害物検知手段と電気的に接続されており、自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、当該手動閉鎖装置から自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる。手動閉鎖装置は、バッテリを備えており、当該バッテリを電源として、自動閉鎖装置に前記作動信号を送信可能となっており、手動閉鎖装置は、当該手動閉鎖装置への防災信号の供給の有無を監視する手段を備えており、防災信号が有効な場合には、当該防災信号を用いて作動信号が送信され、防災信号が無効な場合には、前記バッテリを用いて作動信号が送信される。1つの態様では、上記作動信号は、ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号であり、自動閉鎖装置は、防災盤から防災信号を受信した手動閉鎖装置からブレーキ解放信号を受信するとブレーキを解放させるように作動し、障害物検知手段のコードリールから障害物検知信号を受信した手動閉鎖装置からブレーキ復帰信号を受信するとブレーキを復帰させるように作動する。
【0038】
1つの態様では、自動閉鎖装置が開閉機のブレーキを解放させるように作動した時には、作動確認信号が自動閉鎖装置から手動閉鎖装置に送信される。1つの態様では、手動閉鎖装置は、防災信号出力後に、自動閉鎖装置から作動確認信号が受信されない時には、当該手動閉鎖装置から自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信する。手動閉鎖装置は、非常作動スイッチの押し操作によって、バッテリを電源として、自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信し、ブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを解放させるように作動する。
【0039】
通常時には押しボタン操作により開口部を電動開閉する防火シャッターについて説明したが、本発明は、通常時は開口部を開閉するものではなく、火災時にのみ自重降下して所定の区画を形成する防火シャッターとして具現化されてもよい。障害物検知手段は、コードリールを用いた有線式の手段に限定されるものではなく、電波や光を用いた無線式の手段であってもよい。