(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
昨今の省エネ化の潮流により、特に自動車産業では、エンジンとモータとを使用して燃費を抑えるハイブリッド自動車や、バッテリーに蓄えた電気を使いモータを回転させて走行する電気自動車の開発が急務となっている。
【0003】
このような背景により、ハイブリッド車や電気自動車の開発が進んでおり、ハイブリッド自動車や電気自動車は、駆動源をモータにしたことで車内騒音は低下し、静粛性が大きく改善されている。これに伴い、車内HVAC(heating ventilation and air conditioning:冷暖房空調設備)用アクチュエータにおいては、従来の騒音レベルでは静粛性の高いハイブリッド自動車や電気自動車では不適合となり、更なる低騒音化が求められている。つまり、現状のアクチュエータでは騒音が大きく更なる低騒音化が必要である。
【0004】
そこで、アクチュエータの振動騒音の低減のため、その振動騒音発生源となるモータの更なる低騒音化が求められている。
車載空調用に使用されるアクチュエータにおける低騒音に関しては、使用するモータがクローポール型モータの場合、コイルで発生した磁場が極歯を振動させ、騒音となる。
従来、振動騒音の低減のための技術として、特許文献1、2が知られている。
【0005】
特許文献1は、主な狙いは防振対策ではないが、ボビン(6´a、6b´)内面に山形のテーパを設けて、例えば内ヨーク櫛歯(11a、11b)の圧入時に内ヨーク櫛歯(11a、11b)の傾きを矯正して内ヨーク(5a、5b)が正確に位置決めできるようになり、内ヨーク(5a、5b)はボビン(6´a、6b´)と完全に固定される。これにより、ヨークに対してコイルを正確に固定できず、モータにより発生する振動の問題が改善された。
【0006】
特許文献2は、
図1に示すように、凹状のステータコア(20、22)が、ステータヨーク部(20a、22a)と、軸方向に延設され先端にいく程幅狭の磁極(20b、22b)とを備え、コイルボビン(30)の胴部(33)(
図3)の内側面には、磁極(20b、22b)と略同形状の磁極収容部(39)とが形成されている。
【0007】
ステータコア(20、22)の先端の磁極(20b、22b)がコイルボビン(30)の胴部(33)の磁極収容部(39)に挿入される際に、磁極(20b、22b)の周方向側面が磁極収容部(39)に摺接することで位置ずれが自動修正される。つまり、磁極(20b、22b)の周方向側面とコイルボビン(30)の胴部(33)の磁極収容部(39)の周方向側面は接触している。これにより、位置ずれが原因であった特性異常、振動、騒音の防止に効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る実施形態のモータの外観を示す斜視図である。
本発明に係る実施形態は、クローポール型(爪磁極)のモータ(クローポール型モータ)1である。以下、クローポール型モータ1を、単にモータ1と称す。
モータ1は、下ハウジング2aおよび上ハウジング2bにより外装が形成され、後記のロータ3、ステータ(固定子)1Kが内装され(覆われ)ている。上ハウジング2bからは、モータ1の回転力の出力軸であるロータ3の回転軸3jが突設されている。
【0020】
図2は、実施形態のモータ1の分解斜視図である。
モータ1は、回転子として、永久磁石3mと、永久磁石3mが固定される回転軸3jとでロータ3が構成されている。
下ハウジング2aには、ロータ3の回転軸3jが挿通され支持される軸受け2a1が嵌入、圧入等で設けられている。
上ハウジング2bには、ロータ3の回転軸3jが挿通され支持される軸受け2b1が嵌入、圧入等で設けられている。
【0021】
モータ1は、ステータ1Kとして、第1のコイル5aが巻回される第1のボビン6aと、第2のコイル5bが巻回される第2のボビン6bとを有している。
図3(a)は、第1のボビン6aのアッセンブリの組み立て過程を示す斜視図であり、
図3(b)は、第1のボビン6aのアッセンブリを示す斜視図である。
図3(a)に示すように、第1のコイル5aが巻回される第1のボビン6aには、その軸方向の一方側に、その内周面6a1に対向して配置される第1の極歯7a1が形成される第1の外ヨーク7aが配置される。
【0022】
また、第1のボビン6aの軸方向の他方側には、その内周面6a1に対向して、第1の極歯7a1と互い違いに配置される第1の極歯8a1が形成される第1の内ヨーク8aが配置される。
そして、
図3(a)の矢印で示すように、第1のコイル5aが巻回される第1のボビン6aの軸方向の両端縁に、第1の外ヨーク7aと第1の内ヨーク8aとが、それぞれ設置される(
図3(b)参照)。
これにより、第1のボビン6aに巻回される第1のコイル5aは、第1の外ヨーク7aと第1の内ヨーク8aとで外側が覆われ磁気回路が構成される。
【0023】
図4(a)は、第2のボビン6bのアッセンブリの組み立て過程を示す斜視図であり、
図4(b)は、第2のボビン6bのアッセンブリを示す斜視図である。
図4(a)に示すように、第2のコイル5bが巻回される第2のボビン6bには、その軸方向の一方側に、その内周面6b1に対向して配置される第2の極歯7b1が形成される第2の外ヨーク7bが配置される。
【0024】
また、第2のボビン6bの軸方向の他方側には、その内周面6b1に対向して、第2の極歯7b1と互い違いに配置される第2の極歯8b1が形成される第2の内ヨーク8bが配置される。
そして、
図4(a)の矢印で示すように、第2のコイル5bが巻回される第2のボビン6bの軸方向の両端縁に、第2の外ヨーク7bと第2の内ヨーク8bとが、それぞれ設置される(
図4(b)参照)。
これにより、第2のボビン6bに巻回される第2のコイル5bは、第2の外ヨーク7bと第2の内ヨーク8bとで外側が覆われ磁気回路が構成される。
【0025】
上述の第1のコイル5aが巻回される第1のボビン6aのアッセンブリと第2のコイル5bが巻回される第2のボビン6bのアッセンブリとが軸方向に接着剤等で接合され一体とされ、
図5に示すステータ1Kとして組み立てられる。なお、
図5は、モータ1のステータ1Kを示す斜視図である。
ステータ1Kの組み立て順は、上述に限らない。
【0026】
図6は、
図5のA−A線断面図である。
第1のボビン6aの内周面6a1には、第1の極歯7a1の先端部7a2が当接される当接部6a2が形成されている。これにより、第1の極歯7a1の先端部7a2が自由端の状態から、第1のボビン6aの内周面6a1に対して支持されることになる。当接部6a2は、第1のボビン6aの内周面6a1と一体に成形してもよいし、別体に形成してもよい。
【0027】
第1のボビン6aの内周面6a1には、第1の極歯8a1の先端部8a2(
図3(b)参照)が当接される不図示の当接部6a2と同様な形状の当接部が形成されている。これにより、第1の極歯8a1の先端部8a2が自由端の状態から、第1のボビン6aの内周面6a1に対して支持されることになる。当接部は、第1のボビン6aの内周面6a1と一体に成形してもよいし、別体に形成してもよい。
【0028】
第2のボビン6bの内周面6b1(
図4参照)には、第2の極歯7b1の先端部7b2(
図4(b)参照)が当接される不図示の当接部6a2と同様な形状の当接部が形成されている。これにより、第2の極歯7b1の先端部7b2が自由端の状態から、第2のボビン6bの内周面6b1に支持されることになる。当接部は、第2のボビン6bの内周面6b1と一体に成形してもよいし、別体に形成してもよい。
【0029】
第2のボビン6bの内周面6b1(
図4参照)には、第2の極歯8b1の先端部8b2(
図4(b)参照)が当接される不図示の当接部6a2と同様な形状の当接部が一体に形成されている。当接部は、第2のボビン6bの内周面6b1と一体に成形してもよいし、別体に形成してもよい。
【0030】
これは、従来のクローポール型モータを振動解析した結果、クローポール型モータの騒音となる回転時の振動の原因がヨーク(極歯)の振動にあることの知見に基づき、ヨークが振動しないようにするためにはヨークの極歯の先端部が、宙に浮く状態(自由端の状態)にならないようにすればよいとの理由に拠る。
【0031】
対策としては、上述したボビン(6a、6b)への細工(第1の方法)と、ヨーク(7a、7b、8a、8b)の極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)への細工(第1の方法)の2通りが考えられる。
【0032】
第1の方法としては、ボビン(6a、6b)の内周面6a1、6b1の縁部に極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の先端部(7a2、7b2、8a2、8b2)に適度の力やテンションを与えられるような防振手段や、付勢手段(振動抑制手段)を設ける。
【0033】
上述の
図6は、第1の方法の場合を示しており、第1のボビン6aに、第1の極歯7a1の先端部7a2が当接される当接部6a2を形成した場合である。上述した如く、
図6では、第1の極歯7a1の先端部7a2が自由端の状態から、第1のボビン6aの内周面6a1に対して支持される状態としている。
【0034】
上述した如く、当接部6a2は別部品でもよいが、部品点数の増加の抑制、組立ての容易性などの点からボビン(6a、6b)と一体に設ける、つまり、ボビン(6a、6b)と一体になるようにボビン(6a、6b)の内周面6a1、6B1の形状を変更することで設けることが好ましい。例えば、ボビン(6a、6b)と一体に射出成形することでコスト上昇を抑制できる。
【0035】
第2の方法としては、ヨーク(7a、7b、8a、8b)の極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)が宙ぶらりん(片持ち支持の自由端の状態)にならないように、
図7に示すように、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の先端部(7a2、7b2、8a2、8b2)の形状を突起7a3(
図7(a)参照)や曲げ加工による曲げ部7a4(
図7(b)参照)などを形成し、対向面のボビン(6a、6b)の内周面(6a1、6b1)に適度な圧力で接触するようにする。これにより、同じ極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の防振効果が得られる。
【0036】
図7(a)では、第1の外ヨーク7aの第1の極歯7a1の先端部7a2に突起7a3を塑性変形により形成した場合を示している。
図7(b)では、第1の外ヨーク7aの第1の極歯7a1の先端部7a2に曲げ加工により曲げ部7a4を塑性変形させて形成した場合を示している。
【0037】
<騒音低減効果>
極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の支持位置の違いによる騒音試験の結果について説明する。
極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)のボビン(6a、6b)の内周面6a1、6b1に対する支持位置の違いによる騒音低減効果については、
図8に示すデータが得られた。
【0038】
図8(a)は、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)のボビン(6a、6b)への支持位置の違いによる騒音レベルを表に示したものであり、
図8(b)は、当該騒音レベルをグラフに示したものである。
【0039】
図9(a)〜(c)は、
図8の騒音試験の条件を示す図であり、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の基部、中間部、先端部をそれぞれ支持(固定)する状態(支持位置の違い)を示す
図5のA−A線断面相当図である。
騒音試験は、それぞれ2つのサンプル1,2を使用して、従来品(極歯がフリーなもの)、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の基部、中間部、先端部をそれぞれ支持(固定)したものの4つのケースで行った。
【0040】
図8より、従来品が、騒音が一番大きく、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の基部で支持(固定)のもの、中間部で支持(固定)のもの、先端部を支持(固定)のものの順で騒音が小さくなった。
従来品に比較し、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の基部で支持(固定)のもの(
図9(a)参照)、中間部で支持(固定)のもの(
図9(b)参照)、先端部を支持(固定)のもの(
図9(c)参照)により、約1〜5dBの騒音低減効果があることが分った。平均して3dB位の低減効果が得られることが分る。
【0041】
この理由は、従来品は極歯がフリーの状態(極歯が片持ち支持の自由端の状態)であるから、極歯の振動が大きく騒音が一番大きくなるものと考えられる。
また、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の支持(固定)が基部から中間部、先端部にいくに従って、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の片持ち支持の自由端の箇所の長さ短くなるため、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の振動が次第に小さくなり、騒音が小さくなるためと考えられる。
【0042】
なお、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の支持(固定)が基部から中間部、先端部にいくに従い、振動の節間の長さは長くなるが極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の剛性により、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)における片持ち支持部の長さが振動による騒音に大きく影響すると推測される。
【0043】
極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の支持(固定)は、基部から先端部の何れでもよいが、先端部側にいくほどより好ましい。そのため、極歯(7a1、7b1、8a1、8b1)の先端部を支持(固定)することが最も望ましい。
【0044】
ところで、極歯7a1、7b1、8a1、8b1の各先端部7a2、7b2、8a2、8b2と対向するボビン6a、6bの内周面6a1、6b1に設けた防振手段の当接部が極歯7a1、7b1、8a1、8b1の数だけ点在するのでは、別部品とすると組み立てが大変である。
【0045】
<当接部の別例>
図10(a)〜(c)は、当接部を別部品とした場合の一例のリング状部材を斜視図で示す。
そこで、極歯7a1、7b1、8a1、8b1の数だけ点在する防振手段の当接部r11、r21、r31をリング状につないだ当接部用のリング状部材r1、r2、r3で構成する。これにより、組み立て作業が、Oリングを嵌めるような感覚で作業できる。
【0046】
図10(a)は、リング状部材r1の当接部r11の断面を中高の三角形状とした例である。
図10(b)は、リング状部材r2の当接部r21の断面を矩形状とした例である。
図10(c)は、リング状部材r3の当接部r31の断面を底高の三角形状とした例である。
【0047】
例えば、第1の極歯7a1の先端部7a2が当接される当接部6a2、第1の極歯8a1の先端部8a2が当接される不図示の当接部、第2の極歯7b1の先端部7a2が当接される不図示の当接部、および、第2の極歯8b1の先端部8b2が当接される不図示の当接部を、それぞれ別部品のリング状部材r1の当接部r11で形成する。
【0048】
第1のボビン6aの内周面6a1に対して、第1の極歯7a1の先端部7a2と、第1の極歯8a1の先端部8a2とがあるので、2つのリング状部材r1を第1のボビン6aの内周面6a1に挿設する。また、第2のボビン6bの内周面6b1に対して、第2の極歯7b1の先端部7a2と、第2の極歯8b1の先端部8b2とがあるので、2つのリング状部材r1を第2のボビン6b内周面6b1に挿設する。
リング状部材r2、r3も、リング状部材r1と同様である。
【0049】
このように、リング状部材r1、r2、r3は、ボビン6a、6bの内周面6a1、6b1にそれぞれ挿設される状態で使用される。
なお、リング状部材r1、r2、r3は取り混ぜて適用してもよい。
【0050】
上記構成によれば、モータの騒音の起因である極歯の振動の対策として、極歯7a1、7b1、8a1、8b1が振動しないように、ボビン(6a、6b)に防振手段の当接部(6a2、7a3、7a4)を接触させることとしている。
極歯7a1、7b1、8a1、8b1の先端部7a2、7b2、8a2、8b2を、極歯7a1、7b1、8a1、8b1の板厚方向でボビン6a、6bに対して支持させることで、モータ回転時の極歯7a1、7b1、8a1、8b1の振動が抑えられ、モータ1の騒音を確実に低減することができる。
【0051】
具体的には、
図8に示すように、極歯7a1、7b1、8a1、8b1の先端部7a2、7b2、8a2、8b2を当接部で支持(固定)することで、1〜5dB程度の騒音の低減効果が得られることが確認できた。
従って、わずかな形状の変更で、効果的にモータの振動騒音を低減できる。
【0052】
当接部をボビン6a、6bに一体成形すれば、ボビン6a、6bのわずかな形状の変更で済み、コストに殆ど影響がない。つまり、コスト上昇を抑えられる。
当接部をボビン6a、6bと別部品とする場合、環状のリング状部材r1、r2、r3で形成すれば、内周面6a1、6b1に挿設すれば済み、組み付けが容易である。
【0053】
<<変形形態>>
次に、変形形態のモータ21について説明する。
図11(a)は、変形形態の第1・第2の内ヨーク18a、18bを示す斜視図であり、
図11(b)は、内ヨーク(18a、18b)とボビン16をインサートモールドで一体に成形した状態を示す図であり、
図11(c)は、コイル15a、15bがボビン16に巻回された状態を示す図である。
【0054】
変形形態は、第1・第2の内ヨーク18a、18bをコイル15a、15bが巻回されるボビン16とインサートモールドで一体に成形するものに適用する例である。
図11(a)に示す第1の内ヨーク18aは、平板の円板18a2の形状を有し、所定の複数の第1の極歯18a1がボビン16の内周面16A1(
図11(b)参照)に沿うように、円板18a2に対して垂直に曲げ成形されている。第1の内ヨーク18aの円板18a2には、第1の内ヨーク18aをインサート成形の金型に入れた際の位置決めとなる複数の位置決め孔18a3が穿孔されている。
【0055】
同様に、第2の内ヨーク18bは、鋼板製の平板の円板18b2の形状を有し、所定の複数の第2の極歯18b1がボビン16の内周面16A1に沿うように(
図11(b)参照)、円板18b2に対して垂直に曲げ成形されている。第2の内ヨーク18bの円板18b2には、第2の内ヨーク18bをインサート成形の金型に入れた際の位置決めとなる複数の位置決め孔18b3が穿孔されている。
【0056】
変形形態では、
図11(a)に示す第1・第2の内ヨーク18a、18bが背中合わせ、つまり第1の内ヨーク18aの極歯18a1と、第2の内ヨーク18bの極歯18b1とが反対側を向き、円板18a4、18b4同士が合わさるように(
図11(b)参照)配置される。そして、この配置の第1・第2の内ヨーク18a、18bが、実施形態で説明した第1のボビン6aと第2のボビン6bとが一体に形成される形状のボビンにインサートモールドで一体に成形される。これにより、
図11(b)に示すボビン16が形成される。
【0057】
ボビン16に第1・第2のコイル15a、15bを巻回して、
図11(c)に示すボビンアッセンブリ16Aが形成される。
ボビンアッセンブリ16Aの内周面16A1には、第1・第2の内ヨーク18a、18bのそれぞれの第1の極歯18a1、第2の極歯18b1が埋設されている。
【0058】
また、ボビンアッセンブリ16Aの内周面16A1には、第1の外ヨーク17a(
図12参照)の第1の極歯17a1の先端部17a2が当接する当接部16A2(
図11(b)参照)と、第2の外ヨーク17b(
図12参照)の第2の極歯17b1の先端部17b2が当接する当接部16A3(
図11(b)参照)とが一体に成形されている。なお、
図12は、変形形態の第1・第2の外ヨーク17a、17bを示す斜視図である。
【0059】
図12に示す第1の外ヨーク17aは、鋼板が深絞り加工により、中央に開口17a6を有する有底の短円筒状の形状に形成される。
第1の外ヨーク17aは、中央に開口17a6が形成される平板部17a7と、ボビンアッセンブリ16Aの内周面16A1に沿う形状に平板部17a7から曲げ成形される複数の第1の極歯17a1と、ボビンアッセンブリ16Aの外周面を覆う形状の円筒部17a3を有している。
【0060】
円筒部17a3には、ボビンアッセンブリ16Aのターミナル部16At(
図11(c)参照)が挿通する形状の切り欠き部17a4が形成されている。
また、平板部17a7には、ボビンアッセンブリ16Aに組み付ける際に、ボビンアッセンブリ16Aに形成される位置決め突起(図示せず)が挿通する位置決め孔17a5が複数穿孔されている。
【0061】
第2の外ヨーク17bは、第1の外ヨーク17aと同様な形状であるから、符号“a”を符号“b”に変えて示し、詳細な説明は省略する。
図13は、変形形態のステータ21Kの組み立て過程を示す斜視図である。
変形形態のモータ21のステータ21Kは、
図13に示すように、ボビンアッセンブリ16Aに対して、軸方向に両側から第1の外ヨーク17aと第2の外ヨーク17bとを、矢印に示すように、かぶせるように組み付けることで形成される。
【0062】
図14(a)は、変形形態のステータ21Kを径方向に第1の極歯17a1の中央部で切断した状態を示す断面模式図であり、
図14(b)は、変形形態のステータ21Kのボビンアッセンブリ16Aの内周面16A1を、ロータ側から見た模式図である。
図14(a)に示すように、第1の外ヨーク17aの第1の極歯17a1の先端部17a2が当接部16A2に当接することにより、第1の極歯17a1の振動が抑制され、騒音が低減される。
【0063】
同様に、第2の外ヨーク17bの第2の極歯17b1の先端部17b2が当接部16A3(
図11(c)参照)に当接することにより、第2の極歯17b1の振動が抑制され、騒音が低減される。
【0064】
変形形態によれば、第1の極歯17a1の先端部17a2と第2の極歯17b1の先端部17b2とが、それぞれ当接部16A2、16A3に当接することで、第1・第2の極歯17a1、17b1の先端部17a2、17b2に適切な圧力を与えられ、振動が抑制される。そのため、モータ21の騒音が低減される。
【0065】
なお、変形形態では、第1の極歯17a1の先端部17a2と第2の極歯17b1の先端部17b2とが、それぞれ当接部16A2、16A3に厚さ方向に当接する場合を例示したが、第1・第2の極歯17a1、17b1の厚さ方向に当接すれば、その基部から先端部の何れの箇所でもよいが、当接箇所は防振の点から、より先端部側であることが望ましい(
図8参照)。
当接部16A2、16A3をボビン16に一体に成形することで、コスト低減が図れる。
【0066】
また、変形形態では、当接部16A2、16A3をボビン16に一体に成形した場合を例示したが、当接部16A2、16A3は、それぞれボビン16と別部品として構成してもよい。
【0067】
本発明は、クローポール型モータに適用可能であり、代表的なステッピングモータのほかDCモータなどにも適用できる。
以上、本発明の様々な実施形態を述べたが、本発明の範囲内で様々な修正と変更が可能である。すなわち、本発明は発明の趣旨を変更しない範囲において適宜、任意に変更可能である。