(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記レベル変更部は、上記特定の領域に属する画像データに対して画像処理を行うことによって、露光の促進効果または抑制効果を付与し、上記特定の領域に属する画像データのレベル変更を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
上記レベル変更部、上記累積加算画像のヒストグラムのピークを移動するように画像処理を施すことによって、画像データのレベル変更を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
上記露出設定操作部による露出設定の可変制御は、上記露出設定の可変に基づいて、上記イメージセンサの光電変換感度を可変させることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
さらに上記操作入力部が指定した第1の領域と、該第1の領域とは異なる領域であり、かつ指定した第2の領域を検出し、上記指定した第1の領域と、第2の領域の露出設定条件に露出差を指定させて露光させることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に従って本発明に係る撮像装置をカメラに適用した好ましい一実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係るカメラは、撮影された光像を映像信号に変換し、この映像信号に基づいて画像データを得るデジタルカメラである。デジタルカメラは、主となる構成として撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者は、撮影を指示するためのレリーズ操作の前は、表示部に表示されたライブビュー画像を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。撮影者がレリーズ操作を行うと、撮像部から得られた画像データが記録媒体に記録される。また、記録媒体に記録された画像データは、撮影者がカメラの操作部を操作し再生モードを選択すると、記録媒体から画像データが読み出され、表示部に再生表示することができる。
【0017】
また、このカメラは、露光開始と露光終了のタイミングを撮影者の意思に基づいて撮影する、所謂バルブ撮影が可能である。バルブ撮影時には、撮影者が撮影経過表示モード(ライブバルブモードともいう)を選択設定すると、カメラは、バルブ撮影中に、撮像部から予め設定された時間毎に画像データを読出し、この読出した画像データの累積加算画像を生成し、累積加算画像を表示部に表示する。この累積加算画像の表示にあたっては、累積加算画像の輝度情報に基づいて適正露光時間となるまでの残時間等を算出し、表示部に併せて表示する。また、表示部に表示される累積加算画像において、撮影者が指定した領域について、露光を促進させたり、抑制させる等の指示を行い、あたかも覆い焼きを行ったような撮影をすることができる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるカメラ100の主として電気的構成を示すブロック図である。撮像部10は、レンズ1、バリアブルNDフィルタ3、絞り5、メカシャッタ5、イメージセンサ9から構成される。レンズ1は被写体の光学像(被写体像)を形成するための複数の光学レンズによって構成され、単焦点レンズまたはズームレンズである。図示しないレンズ駆動機構によってレンズ1を構成するフォーカスレンズが光軸方向に沿って移動することによりピント合わせが行われる。
【0019】
バリアブルNDフィルタ3は、減光素子の一例であり、入射光の透過率を減光する光学素子である。バリアブルNDフィルタ3は、レンズ1の後方に配置され、レンズ1を透過した被写体光中に配置/非配置を切り換えることにより、レンズ1を透過した被写体光の減光量を可変できる。また、上述したような減光のための光学素子をレンズ1の光軸上で出し入れすることによって減光量を可変する以外にも、偏光フィルタ等の偏光透過素子を2個、光軸上に配置し、2個の偏光透過素子を入射面光に対する光軸中心を回転中心として、それぞれ偏向角を回転駆動させることによって、透過率を可変とするようにしてもよい。また、減光素子としては、印加電圧に応じて透過率が変化する液晶素子等の電気光学効果を奏する光学素子であってもよい。
【0020】
絞り5は、バリアブルNDフィルタ3の後方に配置され、開口径を可変にすることにより、レンズ1を透過した被写体光量を減少させる。メカシャッタ7は、絞り5の後方に配置され、レンズ1を透過した被写体光の開閉動作を行い、この開閉動作によりイメージセンサ9への露出や遮光を行い、また、シャッタ速度の制御を行う。
【0021】
なお、
図1において、レンズ1、バリアブルNDフィルタ3、絞り5、メカシャッタ7の順に配置したが、配置はこれに限らず、またレンズ1の光学系中に、これらの部材を配置しても勿論かまわない。また、レンズ1、バリアブルNDフィルタ3、絞り5等は、交換レンズ鏡筒内に配置し、カメラ本体に装着可能としてもよい。その場合には、通信部を介して、カメラ本体から露出制御指令を送信し、露出制御を行うようにすればよい。
【0022】
レンズ1の光軸上であって、被写体像が形成される付近にイメージセンサ9が配置されている。イメージセンサ9は、レンズ1によって形成された光学像を画像信号に変換し出力する。このイメージセンサ9は、各画素を構成するフォトダイオードが二次元的にマトリックス状に配置されており、各フォトダイオードは受光量に応じた光電変換電流を発生し、この光電変換電流は各フォトダイオードに接続するキャパシタによって電荷蓄積される。
【0023】
このイメージセンサ9は、二次元的に配置された画素に電荷蓄積された電気信号を順次、所定の周期で繰り返し読み出し動作を行うこのよって、被写体像をアナログ出力の画像信号に変換する。また、イメージセンサ9は、各画素に入射する光に対して、それぞれR、G、Bの光の三原色で透過するカラーフィルタが配置されており、被写体像の画像信号への変換にあたって、R、G、Bの色成分のアナログ画像信号が出力される。このような作用によって取得されたアナログ画像信号をAD変換部11に出力する。
【0024】
イメージセンサ9としては、各画素の蓄積電荷量を、順次転送して画像信号を得るCCDイメージセンサや、画素毎に蓄積電荷を電圧に変換するチャージアンプ回路を有し、電圧信号を順次転送するMOSイメージセンサ等の固体撮像素子である。また、CCDイメージセンサやMOSイメージセンサのような破壊読み出し方式の撮像素子に限らず、CMD(Charge Modulation Device)等の非破壊読み出し方式の撮像素子等、種々のイメージンセンサを採用することができる。
【0025】
AD変換部11は、イメージセンサ9から出力されたアナログ出力の画像信号を入力し、デジタルの画像データに変換する。このデジタルの画像データは、それぞれ、R、G、Bの色成分のデジタル化された輝度データにより構成される。このAD変換部11で変換されたデジタル画像データは、画像処理部20内のゲイン処理部21および現像処理部29に出力される。
【0026】
画像処理部20は、ゲイン処理部21、画像合成部23、出力検出部25、ゲイン係数演算部27、局所ゲイン処理部28、および現像処理部29から構成される。これらの各部は、システム制御部31とバスライン33を介して接続されている。これにより、各部は、画像データ等の各種データの入出力や、またシステム制御部31との制御命令等の入出力を行う。なお、これらの各部間のデータ入出力や制御命令を伝達させるバスライン33は、電気信号の伝送線路に限らず、光伝送路であってもよい。
【0027】
ゲイン処理部21は、AD変換部11から出力された画像データ中に含まれる各画素の輝度データに対して一律のゲイン係数を重み付けして演算処理する。この一律のゲイン処理により、画面全体を明るくしたり、逆に暗くする画像処理を行うことができる。
【0028】
画像合成部23は、多重合成撮影時に画像加算合成を行う。ここでは、例えば、撮影動作として、撮影経過表示モードが設定されている場合に、操作指示部19の1つであるレリーズ釦の全押しがなされると、イメージセンサ9と、AD変換部11を経て画像信号が取得される毎に累積加算画像を演算処理する。累積加算画像の画像データは、内部メモリ13に一時記憶され、累積加算画像が演算処理されるたびに内部メモリ13に一時記憶した累積加算画像の画像データは更新されて、常に最新の累積加算画像が一時記憶されている。
【0029】
出力検出部25は、画像合成部23によって合成された累積加算画像の画像データの輝度レベルや、輝度レベルの時間的変換や、撮像領域の輝度分布(ヒストグラム)等を検出する。この輝度レベルは、イメージセンサ9から取得される各画像出力のR、G、Bの三原色の輝度値から、白黒成分を演算して取得される。後述のシステム制御部31によるAE動作での露出調整作用では、被写体像全体の平均輝度値、もしくは撮影者が表示部において指定した特定のエリアにおける輝度値(例えば、最大輝度値、または特定エリアの平均輝度値)を得る。出力検出部25は、画像合成部により加算された中間合成画像データ(累積加算画像の画像データに対応)又はこの中間画像データを構成する各々の画素データレベルを検出する出力検出部として機能する。なお、画素データレベルは、イメージセンサ9の各画素に対応する輝度データである。
【0030】
ゲイン係数演算部27は、画像合成部23において合成された累積加算画像の画像データに対してエリアを分割してゲイン係数を決定する。エリア分割は、後述するように、表示部17の表示面を撮影者がタッチ、または操作指示部19の1つである十字釦等の操作部材により指定し、または上述したように撮影者が指定したエリアに対して、適正露光条件に対して露光を促進または抑制するための露出補正量も指定する。したがって、このゲイン係数演算部27は、この指定されたエリアに対応する画像データの領域のゲインを指定量に応じて決定する。
【0031】
局所ゲイン処理部28は、画像合成部23において合成された累積加算画像に対して、ゲイン係数演算部27において決定されたエリアに対して、露出補正差を与えるために、更にゲイン係数を乗算する。なお、指定されていないエリアに対しては、適正露出で撮影するために露出補正は指示せず、ゲイン係数としては「1」とし、画像合成部23において合成された累積加算画像のデータを露出補正処理することなく、そのまま出力する。
【0032】
後述するように、表示部17には、タッチ操作部17aが設けられており、撮影者はタッチ操作部17aをタッチ操作することにより、または操作指示部19の1つである十字釦とOK釦を操作することにより、局所ゲイン処理部28への指定する領域となる特定の領域を設定できる。上述のゲイン係数演算部27および局所ゲイン処理部28は、設定された特定の領域について、累積加算画像の特定の領域の画像データのレベルを変更するレベル変更部として機能する。
【0033】
レベル変更部は、特定の領域に属する画像データに対して画像処理を行うことによって、露光の促進効果(露出量を増やす効果)または抑制効果(露出量を減らす効果)を付与し、特定の領域に属する画像データのレベル変更を行うことができる。このレベル変更は、
図2のS31、
図6、
図8を用いて後述する。
【0034】
また、レベル変更部は、累積加算画像のヒストグラムのピークを移動するように画像処理を施すことによって、画像データのレベル変更を行うことができる。このレベル変更は、
図2のS31、
図5、
図9を用いて後述する。
【0035】
現像処理部29は、局所ゲイン係数処理部28において重み付けされた画像データ、またはA/D変換部11でデジタル化された画像データに対して現像処理を行う。このA/D変換部11から出力される画像データおよび局所ゲイン処理部28から出力される画像データは、いずれも後述の現像処理が施される前のRAW画像データである。現像処理部29における現像処理として、同時化処理(デモザイキング)、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0036】
内部メモリ13は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリによって構成され、カメラ動作に必要な各種設定情報や、画像処理時に途中経過の画像を一時的に記憶する。なお、前述の累積加算画像の画像データも一時記憶される。一時記憶用のメモリは、揮発性メモリでもかまわない。
【0037】
外部メモリ15は、カメラ100に内蔵または装填可能な不揮発性のメモリであり、現像処理部29において現像処理された画像データを記録する。
【0038】
表示部17は、TFTや有機EL等の電子ビューファインダ(EVF)によって構成され、カメラ100の本体背面等に配置される。この表示部17は、撮影時のライブビュー表示、撮影済みの画像データの再生表示、撮影条件等の設定のためのメニュー画面等の表示を行う。撮影経過表示モードが設定されている際には、表示部17に露光中の累積加算画像も表示される。
【0039】
また、後述するように、システム制御部31は、適正露光となる露光時間を算出する露出時間演算部として機能するので、この表示部17は、撮影中に、中間合成画像データ(累積加算画像の画像データ)の表示、出力検出部の結果、および露出時間演算部の結果を、逐次表示する表示部として機能する。また、この表示部は、露出設定操作部(操作指示部19の1つである十字釦と操作部17aが対応)が、撮影中に、露出設定を変更する際に、逐次、露出時間を再度算出されることに基づいて、適正露出時間を取得し、残り露光時間を変更して表示する。
【0040】
また、表示部17には、撮影者が表示画面をタッチした際のタッチ位置を、画像出力の二次元座標の位置として検出し、検出結果を出力するタッチ操作部17aが設けられている。このタッチ操作部17aは、タッチパネルを有し、所謂タッチパネルインターフェース機能を有する。前述したように、ライブバルブ撮影時には、表示部17に露光中の画像が累積加算画像として表示される。このとき、撮影者が特定の領域(エリア)に対して、露出を促進させたり、抑制した場合には、表示画面をタッチすることにより、その領域を特定することができる。
【0041】
タッチ操作部17aは、表示部の画像表示出力から、出力検出部が画像データのレベルを検出する範囲を指定する操作入力部として機能する。なお、この操作入力部としては、操作指示部19の十字釦等が果たしてもよい。また、タッチ操作部17aは、撮影中に、露出設定を可変制御する露出設定操作部としても機能する。
【0042】
なお、露出設定の可変制御は、露出設定の可変操作に応じて、イメージセンサ9の光電変換感度を可変とする。光電変換感度の変更としては、イメージセンサ9の感度を変えてもよく、またゲイン処理部21において、デジタル化された画像出力への重み付けするゲインを変えるようにしてもよい。また、露出設定の可変制御は、絞り機構(絞り2に対応)を可変してもよく、レンズ1の光軸上に配置または非配置の操作を切り替えるようにした減光素子(バリアブルNDフィルタ3に対応)で行ってもよい。
【0043】
また、撮影者の操作に基づいて、タッチ操作部17a等の操作入力部が指定した第1の領域と、この第1の領域とは異なる領域であり、且つ同様に、操作入力部が指定した第2の領域を検出し、第1の領域と第2の領域の露出設定条件に露出差を指定させて露光させている。この露出差を指定しての露光については、
図9を用いて後述する。
【0044】
操作指示部19は、レリーズ釦、OK釦、十字釦、パワースイッチ、再生釦等(不図示)、各種の操作部材を含み、撮影者が操作する。レリーズ釦は、押し込み状態が半押しと全押しの2段階で検知可能であり、半押し状態で第1スイッチがオンとなり撮影準備を行い、全押しで第2スイッチがオンとなり撮影を行う。十字釦は、上下左右の4つの釦から構成され、表示部17に表示されるカメラ制御画面またはメニュー画面において、撮影者が操作入力時に領域を指定する際にカーソル位置の変更に使用される。OK釦は、撮影者の押し操作に基づいて、表示部17に表示されるカメラ制御画面またはメニュー画面上の項目等に対して、十字釦によって選択された項目等を確定する。
【0045】
システム制御部31は、内部メモリ13に記憶されたプログラムに従って、カメラ100の全体制御を行う。このシステム制御部31は、出力検出部25の検出結果に基づいて、適正露光となる露光時間を算出する露出時間演算部としての機能を果たす。なお、露光時間の算出については、ステップS25(
図2参照)において後述する。
【0046】
次に、
図1に示すカメラ100の撮影動作の概要を説明する。まず、システム制御部31の制御に基づき、レンズ1を構成するフォーカスレンズの合焦位置が調整され、被写体像のピントが合わせられる。次に絞り5が所定の値に設定され、撮影時の露出量が調整される。続いて、メカシャッタ7が、露出条件に基づいて取得された露出時間の間、開放状態となり、被写体からの光学像がイメージセンサ9に入射し結像される。イメージセンサ9よって光学像が画像信号に変換され、イメージセンサ9から読み出されたアナログの画像データは、A/D変換部11でデジタルの画像データに変換される。このデジタルの画像データは、画像処理部20で後述する所望の画像処理が施された後、現像された画像データとして、外部メモリ15に記録される。
【0047】
また、画像処理部20で所定の画像処理が施された画像データは、表示部17の解像度や画像サイズにあわせてリサイズされたのち、表示部17に表示される。システム制御部31は、操作指示部19を介して撮影者からの操作指示を受けて、イメージセンサ9の露出開始、イメージセンサ9からの画像信号読出しなどの撮像部10のタイミング制御を行い、さらにメカシャッタ7の開閉タイミング制御、絞り5の絞り制御や、レンズ1のオートフォーカス制御を行う。また、システム制御部31は、画像処理部20から画像データを受け取り、表示部17において画像表示や、外部メモリ15に撮影された画像データの保存、記録等の制御を行う。
【0048】
次に、本発明の一実施形態におけるバルブ撮影モードの動作について、
図2および
図3に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、内部メモリ13に記憶されたプログラムに従って、システム制御部31によって実行される。
【0049】
本実施形態においては、メニュー画面等において、撮影経過表示(バルブ撮影の途中で撮影中の画像表示を行うこと)を行なわない通常のバルブ撮影モードと、画像データを累積加算し累積加算画像の表示を行なう撮影経過表示モードに基づくライブバルブ撮影モードを選択できるようにする。バルブ撮影に慣れており、イメージセンサ9から画像読出しと加算処理を繰り返すことにより発生する画質劣化を嫌う撮影者は撮影経過表示を行なわない従来のバルブ撮影を選択できる。一方、バルブ撮影中の撮影経過表示を観察しながら、撮影停止のタイミングを決めたり、また撮影者の意図する画像となるように被写体画像の一部または全部に対して、露出補正等の画像処理を行いたい場合には、撮影経過表示モードによるライブバルブ撮影を選択できる。
【0050】
バルブ撮影に先だって、撮影者は、カメラ100の表示部7に表示されているライブビュー表示、または光学ファインダ(不図示)を観察して、被写体の状況に合わせてカメラ100の向きやレンズの焦点距離(ズーム)を調整することにより撮影構図を決める。また、必要に応じて、撮影者は操作指示部19やタッチ操作部17aによって撮影経過表示モードの選択や、レンズ1のフォーカスレンズのピント位置の調整や、絞り5の絞り値の設定や、イメージセンサ9のISO感度等の撮影情報の設定を行う。
【0051】
撮影者の操作に基づいて、
図2に示すバルブモード選択のフローに入ると、まず、1stレリーズがオンされたか否かの判定を行う(S1)。ここでは、システム制御部31が、操作指示部19の1つであるレリーズ釦が半押しされ、1stレリーズスイッチがオンされたか否かを検出して判定する。この判定の結果、オンでない場合には、待機状態となる(ステップS1の判定に戻る)。
【0052】
ステップS1における判定の結果、1stレリーズがオンになると、AF/AE動作を行う(S3)。ここでは、システム制御部31は、オートフォーカス(AF)と自動露出制御(AE)を行う。AF動作としてシステム制御部31は、イメージセンサ9から繰り返し読み出される画像信号に基づく画像データの輝度の明暗差の評価値であるコントラストが、最大値となるように、レンズ1のフォーカスレンズを駆動制御して合焦点を合わせる。また、AE動作としてシステム制御部31は、画像データから輝度情報を抽出し、この輝度情報に基づいて撮影時に適正露光となるシャッタ速度値、絞り値、ISO感度値等を算出する。またライブビュー表示が適正露光となるための電子シャッタ速度値やISO感度値等を算出する。
【0053】
ステップS3においてAF/AE動作を行うと、次に、撮影者の操作によって、2ndレリーズがオンされたか否かを判定する(S5)。ここでは、システム制御部31が、撮影者の操作に基づいて、操作指示部19の1つであるレリーズ釦が半押しから更に全押しさたか否かを、2ndレリーズスイッチがオンになったか否かを検出することによって判定する。この判定の結果、オンでない場合には、2ndレリーズ検出に基づく撮影開始の待機状態となる(ステップS5の判定ステップを繰り返す)。
【0054】
ステップS5における判定の結果、2ndレリーズがオンとなると、次に、撮影経過表示モードか否かを判定する(S7)。前述したように、撮影経過表示モードは、メニュー画面等において設定するので、このステップでは撮影経過表示モードが設定されたか否かを判定する。この判定の結果、撮影経過表示モードが設定されていた場合(ステップS7の判定:Yes)には、ステップS9以下において撮影経過表示モードにおけるライブバルブ撮影を実行する。一方、撮影経過表示モードが設定されていない場合(ステップS7の判定:No)には、ステップS61(
図3参照)以下において通常のバルブ撮影を実行する。通常のバルブ撮影においては、バルブ撮影中にイメージセンサ9から画像信号の読み出しを行うことがなく、また累積加算画像による経過表示はなされない。
【0055】
まず、ステップS7における判定の結果、撮影経過表示モードが設定されていなかった場合には、露出を開始する(S61)。このステップでは、システム制御部31は、イメージセンサ9に対して電荷蓄積の開始を指示し、露出を開始する。
【0056】
露出を開始すると、次に、撮影者の操作に基づいて、2ndレリーズがオフされたか否かを判定する(S63)。撮影者は、レリーズ釦を全押してバルブ撮影を開始すると、バルブ撮影の続行中はレリーズ釦の全押しを継続している。バルブ撮影を終了する場合には、レリーズ釦の全押しを解除する(すなわち、レリーズ釦から指を離す)。このステップでは、2ndレリーズスイッチがオフか否かを判定する。この判定の結果、2ndレリーズがオンの場合(ステップS63の判定:No)には、バルブ撮影を続行する。
【0057】
ステップS63における判定の結果、2ndレリーズがオフとなると(ステップS63の判定:Yes)、画像信号の読み出しを行う(S65)。ここでは、システム制御部31はイメージセンサ9から画像信号の読み出しを指示し、画像信号が読み出される。
【0058】
ステップS65においてイメージセンサ9からアナログ画像信号の読み出しを行うと、次に、A/D変換を行う(S67)。ここでは、読み出された画像信号をA/D変換部11に出力し、A/D変換部11がデジタルの画像データに変換する。
【0059】
ステップS67においてA/D変換がなされると、次に、ステップS67において取得したデジタルの画像データが内部メモリ13に記憶される(S69)。続いて、現像処理がなされる(S71)。ここでは、現像処理部29によって、RAWデータ形式の画像データの現像処理を行う。
【0060】
ステップS7(
図2参照)に戻り、このステップにおける判定の結果、撮影経過表示モードが設定されていた場合(ステップS7の判定:Yes)には、表示部17において途中経過を表示する時間周期に対応する画像読み出し時間周期Tの設定を行う(S9)。前述したように、撮影経過表示モードにおいては、バルブ撮影中に繰り返しイメージセンサ9から画像信号の読み出しを行う。このステップでは、この画像読み出しの時間周期Tを設定する。画像読み出し時間周期Tは、予め設定されている初期設定値、または撮影者が操作指示部19を介して設定した時間である。また、露光開始前のライブビュー画像の被写体輝度情報に応じて自動的に設定するようにしてもよい。
【0061】
画像読み出し周期Tを設定すると、露出を開始する(S11)。ここでは、システム制御部31は、イメージセンサ9に対して電荷蓄積の開始を指示し、露出を開始する。
【0062】
露出を開始すると、次に、露出時間Tが経過したか否かを判定する(S13)。この露出時間は、ステップS9において設定した露出時間Tである。この判定の結果、露出時間Tが経過していない場合(ステップS13の判定:No)には、露出時間Tが経過するまで露光継続状態となる。
【0063】
ステップS13における判定の結果、露出時間Tが経過すると(ステップS13の判定:Yes)、画像信号の読み出しを行う(S15)。ここでは、システム制御部31はイメージセンサ9から画像信号の読み出しを指示し、アナログの画像信号が読み出される。
【0064】
画像信号の読み出しを行うと、次に、AD変換を行う(S17)。ここでは、読み出された画像信号をA/D変換部11に出力し、A/D変換部11がデジタルの画像データに変換する。ステップS17においてA/D変換がなされると、次に、デジタルの画像データが内部メモリ13に記憶される(S19)。
【0065】
内部メモリにデジタルの画像データが記憶されると、次に、画像合成処理を行う(S21)。ここでは、画像合成部23によって累積加算画像の合成がなされる。すなわち、イメージセンサ9からの画像信号が出力される毎に、内部メモリ13に記憶されている累積加算画像に読み出されたばかりの画像信号に基づく画像データの加算演算処理を施し、この加算された累積加算画像を、再度、内部メモリ13に記憶する。累積加算画像は、撮影経過表示モードにおいて、表示部17への表示用画像として使用される。
【0066】
画像合成処理を行うと、次に、現像処理を行う(S23)。ここでは、画像合成部23によって合成された累積加算画像のRAW形式のデジタル画像データに対して、現像処理部29が現像処理を行う。
【0067】
現像処理を行うと、次に、残露光時間の算出を行う(S25)。ここでは、システム制御部31は、ステップS21における画像合成処理において生成された累積加算画像の画像データの輝度情報に基づいて、アペックス演算等を用いて適正露光になるまでの残露光時間を算出する。この残露光時間の算出については、後述する。
【0068】
すなわち、撮影経過表示モードが設定されていると、累積加算画像(撮影経過表示画像)を露光中に表示部17に表示すると共に、撮影者が累積加算画像上において特定の領域を指定すると、その指定した領域の輝度情報と、絞り3の絞り値(Av値)やバリアブルNDフィルタ5の減光量設定値や、イメージセンサ9の光電変換ゲインに対応するISO感度(Sv値)を、アペックス演算式に基づいて、適正露光となるための残り露光時間を算出する。
【0069】
また、表示部17には、後述するようにスライド操作部77等の露出補正操作表示が表示され、ヒストグラム表示部75に累積加算画像の輝度分布表示がなされる(
図5参照)。撮影者がこれらの操作部77や表示部75においてタッチ操作によって補正指示を与えることにより、露出設定を変更すると、この変更に応じて残り露光時間を算出する。
【0070】
ステップS25において、残露光時間を算出すると、次に、加算画像の表示を行う(S27)。ここでは、ステップS23において現像処理された累積加算画像を表示部17に表示する。また、累積加算画像の表示にあたって、ステップS25において算出された残露光時間も表示する。
【0071】
加算画像の表示を行うと、次に、撮影者によって露出設定変更がなされたか否かの判定を行う(S29)。バルブ撮影中に、撮影者が操作指示部19によって操作することによって、またタッチ操作部17aによってタッチ操作することによって、露出設定を変更したか否かを判定する。
【0072】
ステップS29における判定の結果、露出設定の変更がなされていた場合(ステップS29の判定:Yes)には、露出設定変更を行う(S31)。ここでは、目標となる適正露出値を変更したり、また被写体像のうちの一部の領域に対して露出を促進したり抑制したりする。この露出設定の変更処理についての詳細説明は、
図4ないし
図9を用いて後述する。
【0073】
ステップS31において露出設定変更を行うと、またはステップS29における判定の結果、撮影者が露出設定の変更を行わなかった場合には、次に、再度、露出を開始する(S33)。ここでは、ステップS11と同様に、システム制御部31は、イメージセンサ9に対して電荷蓄積の開始を指示し、露出を開始する。また、露出時間Tがリセットされ、露出時間Tの計時動作が再スタートする。
【0074】
ステップS33において、露出を開始すると、次に、2ndレリーズがオフか否かを検出する(S35)。前述したように、撮影者は、バルブ撮影を終了する場合には、レリーズ釦の全押しを解除する。このステップでは、2ndレリーズスイッチがオフか否かを判定する。この判定の結果、2ndレリーズがオンの場合には、ステップS13に戻り、撮影経過表示モードにおけるバルブ撮影を続行する。
【0075】
ステップS35における判定の結果、2ndレリーズがオフであった場合(ステップS35の判定:Yes)、すなわち、レリーズ釦の全押しが解除された場合には、次に、露出を終了する(
図3のS41)。ここでは、システム制御部31は、イメージセンサ9に対して、電荷蓄積動作の終了を指示する。
【0076】
露出を終了すると、次に、画像信号の読み出しを行う(S43)。ここでは、システム制御部31はイメージセンサ9から画像信号の読み出しを指示し、画像信号が読み出される。画像信号の読み出しを行うと、次に、A/D変換を行う(S45)。ここでは、読み出された画像信号をA/D変換部11に出力し、A/D変換部11がデジタル画像データに変換する。
【0077】
A/D変換がなされると、このAD変換されたデジタル画像データが内部メモリ13に記憶される(S47)。続いて、画像合成処理を行う(S49)。ここでは、内部メモリ13に記憶されている累積加算画像の画像データに、ステップS43において読み出された画像信号に基づく画像データを加算し、この加算された累積加算画像の画像データを、再度、内部メモリ13に記憶する。
【0078】
画像合成を行うと、現像処理を行う(S51)。ここでは、現像処理部29が、ステップS49において合成された累積加算画像のRAWデータ形式のデジタル画像データの現像処理を行う。
【0079】
ステップS51またはステップS71において現像処理を行うと、次に、外部メモリに記憶する(S53)。ここでは、現像処理部29により現像処理された画像データ(圧縮処理済み)を外部メモリ15に記録する。
【0080】
続いて、画像表示を行う(S55)。ここでは、外部メモリ15に記憶された画像を、表示部17に所定時間の間、表示する。これによって、撮影者は外部メモリ15に記録された画像を確認することができる。画像表示を行うと、バルブモードのフローを終了する。
【0081】
このように、本実施形態におけるバルブモードのフローにおいては、イメージセンサ9から読み出された画像信号に基づく画像データを、画像信号が読み出される毎(S15)に、順次累積加算を行い(S21)、この合成された累積加算画像を表示し(S27)、表示された累積加算画像の露出設定を変更可能としている(S31)。このため、バルブモードで撮影中に、撮影者の意図に応じた露出とすることが可能となる。
【0082】
次に、ステップS25における残露出時間の算出方法について説明する。適正露光となるための露出量はアペックス演算式を用いて行っており、適正露光となるための残露出時間Tresもアペック演算式を用いて算出する。
【0083】
残露出時間Tresの算出にあたっては、まず、イメージセンサ9のISO感度に対応するSV値、被写体の明るさに対応するBV値を用いて、イメージセンサ9に入射する光束量Lvを算出する(式1参照)。次に、撮像部10の開口率(Fナンバー)に対応するAv値(式2参照)と、露出時間に対応するTv値(式3参照)の和を算出して露出値Ev(式4参照)を求める。この適正露光になる露出値Evは、前述の光値Lvと等しいことから、式5が得られる。一般に、バルブ撮影時においては、撮影中は撮像部10の開口率(Fナンバー)に対応するAv値が既知であることから、適正露光時間Tevに基づくTv値を算出する(式6参照)。
【0084】
Lv=Sv+Bv (式1)
Av=log
2(F
2) (式2)
Tv=log
2(1/Tev) (式3)
Ev=Av+Tv (式4)
Lv=Ev=(Sv+Bv)=(Av+Tv) (式5)
Tv=(Sv+Bv)−Av (式6)
【0085】
式6において、被写体の明るさに対応するBv値は撮影中一定値とし、アペックス演算式に基づいた露出設定変更前の絞り値をAv1、ISO感度に対応するSv値をSv1とすると、適正露出を得るための露光時間に対応するTv値、Tv1は、下記(式7)から算出される。
Tv1=(Sv1+Bv)−Av1 (式7)
【0086】
また、撮影周期をT(sec)、途中経過での累積加算回数をm回とすると、途中経過での露出値Ev1は下記(式8)のように算出される。
Ev1=Av1+Tv(m) (Tv(m)=log
2(1/mT)) (式8)
【0087】
次に、撮影中に絞り値を変更して、露出量を変更した場合について算出する。ここで、アペックス式にもとづいた露出設定変更前の絞り値をAv2とすると、残露光時間Tresに基づくTv値、Tv2は、下記(式9)となる。
TV2=(SV1+Bv)−Av2−(Av1+Tv(m)) (式9)
【0088】
また、撮影中に、ISO感度に基づくSv値をSv1からSv2に変更した場合、残露光時間Tresに基づくTv値、Tv2は、下記(式10)となる。
Tv2=(Sv2+Bv)−Av1−(Av1+Tv(m)) (式10)
【0089】
したがって、撮影中に絞り値を変更した場合には(式9)により、また撮影中にISO感度を変更した場合には(式10)よりTv2を求め、このTv2を用いて残露光時間Tresを、下記(11)から算出し、この算出された残露光時間TresをステップS25(
図2参照)において表示する。
Tres=2
(−Tv2) (式11)
【0090】
次に、
図4ないし
図6を用いて、撮影経過表示モードにおける画像表示と、露出設定の変更操作について説明する。
【0091】
図4は、撮影経過表示モードに設定された際において、表示部17に表示された累積加算画像70を示す。露出解析領域71は、累積加算画像の中に設定する二次元の領域を指示し、撮影者がタッチ操作によって、表示部17のタッチした座標に基づいて設定された領域であり、タッチ操作部17aによって指定する領域を検出する。なお、この領域は、撮影者がタッチした領域と1対1の関係である必要はなく、撮影者のタッチ操作によって指示された複数の座標位置を含む形状で領域を設定する方法であってもよい。また、
図4に示す露出解析領域71の形状は四角形であるが、この領域の形状はこれに限らず、例えば、タッチ操作位置に基づいて適宜、定めてもよい。
【0092】
残露光時間表示部73は、ステップS25(
図2)においてシステム制御部31が演算した残露光時間を表示する領域である。前述したように、残露光時間は、累積加算画像の画像データに基づいて、アペックス演算等を用いて適正露光になるまでの時間であり、露出解析領域71が設定された場合には、この露出解析領域71に属する累積加算画像の画像データに基づいて算出される。
【0093】
なお、残露光時間表示部73には、残露光時間を示す以外にも、露出解析領域71の累積加算画像の輝度値を表示するようにしてもよい。このときの表示としては、例えば、「+**EV」とする(ここで、**は輝度値が表示される)。また、残露光時間と輝度値の両方を表示してもよい。
【0094】
ヒストグラム表示部75は、露出解析領域71における輝度分布情報を示すヒストグラムを表示する。具体的には、このヒストグラムの横軸は露出解析領域71の輝度であり、
図5においては紙面の右側ほど輝度が増加し、縦軸は輝度に対する発生頻度を示し、紙面の上側ほど頻度が多くなる。このヒストグラムは、出力検出部25において検出されるので、出力検出部25における検出結果に基づいて、累積加算画像の表示の際に、該累積加算画像の表示画面に重畳表示する。
【0095】
なお、
図4における露出解析領域71、残露光時間表示部73およびヒストグラム表示部75の表示位置や表示形態は例示であり、他の表示位置や表示形態であって勿論かまわない。例えば、撮影者によって設定された露出解析領域71に対応する表示画像やヒストグラム表示を、表示色を点滅させる等によって、両者の対応が撮影者に一意的に判断できるような表示形態を行ってもよい。また、露出解析領域71は、タッチ操作以外にも、例えば、操作指示部19の1つである十字釦等を用いて領域を示すカーソル移動させることによって設定するようにしても勿論かまわない。
【0096】
図5は、露光時間の可変調整の操作方法を示す。表示部17に表示された累積加算画像70の右側には、スライド操作部77が表示される。このスライド操作部77は、撮影経過表示モードが設定された際には常時表示するようにしてもよく、また、露出補正釦等の操作指示部19が操作された際のみ表示するようしてもよい。
【0097】
図5に示す例においては、撮影者がスライド操作部77においてタッチにより上方向にスライド操作を行うと露出促進の画像処理がなされ、また下方向にスライド操作を行うと露出抑制の画像処理がなされる。この画像処理は、画面全体に行う場合には、ゲイン処理部21によって、ゲインが調整される。また撮影者によって指定された領域のみ露出促進・抑制の画像処理を行う場合には、ゲイン係数演算部27および局所ゲイン処理部28によって行われる。
【0098】
なお、画面全体に一律に露出促進または露出抑制を行う場合には、画像処理ではなく、絞り5の開口量を大きく又は小さくするようにしてもよく、また、バリアブルNDフィルタ3を光軸上に配置または非配置の切り替えを行うことで減光作用を与えるようにしてもよい。
【0099】
表示部17に表示された累積加算画像70の下側には、
図4において説明したように、ヒストグラム表示部75が表示される。
図5の撮影画像表示においては、ヒストグラム表示部75におけるヒストグラムのピーク75aは花火79が表示される領域の輝度分布を示しており、ピーク75bは建物78が表示されている領域の輝度分布を示しており、75cは背景となる夜空80が表示されている領域の輝度分布を示している。撮影者がこれらのヒストグラム表示部75のピークのいずれかにタッチし、右側にスライド操作すると、露出が促進するように画像処理され、一方、左側にスライド操作すると、露出が抑制されるように画像処理される。
【0100】
撮影者が、ヒストグラム表示部75のピーク75a〜75cに対してタッチし、さらに右側にスライド操作を行うと、被写体像の中で比較的明るい部分が、更に明るくなるように画像処理され、逆に左側にスライド操作がなされると被写体像の中で比較的明るい部分が、暗くなるように画像処理される。つまり、右側にスライド操作すると、累積加算された画像は、全体に輝度が明るく設定され、さらに、これから時間周期T毎に露光される画像も、スライド操作によって露出が増加するように変更された露出設定に基づいて、累積加算処理される。同様に、撮影者がヒストグラムを左側にスライド操作すると、累積加算された画像は、全体に輝度が暗くなるように設定され、さらに時間周期T毎に露光される画像も、スライド操作によって露出が抑えられるように変更された露出設定に基づいて累積加算処理される。この画像処理は、スライド操作されたピークに対応する累積加算画像の画像データの輝度データに対して、更に明るく、または暗くなるようにゲイン係数を変更して行う。この処理は、ゲイン係数演算部27および局所ゲイン処理部28によって行い、ステップS31(
図2参照)の露出設定変更において実行される。
【0101】
図5に示す例において、建物78を明るくしたい場合には、ピーク75bを右側にスライド操作すればよく、また夜空80を更に暗くしたい場合には、ピーク75cを左側にスライド操作すればよい。このスライド操作は、複数のピークに対して行っても勿論かまわない。この場合、複数のピークの露出差を指定して露光させることができる。
【0102】
なお、
図5に示すようなタッチによってスライド操作部77上においてスライド操作を行う以外にも、例えば、十字釦の上方向への操作、または下方向への操作によって、露出補正を行うようにしてもよい。また、
図5に示した例では、露出解析領域71を設定していないが、勿論、設定してもよく、この場合には、設定された露出解析領域71に対して、露出を促進、または抑制するように画像処理を行うことができ、この設定された露出解析領域71と、設定されなかった領域の間で、露出設定に所望の差をもたせ、あたかも覆い焼きをしたような画像となる。
【0103】
図6は、撮影者が指定した露出解析領域に基づいて、露出を促進または抑制する画像処理を行う場合と、行わない場合の差異を示す。
図6(a)は、指定した領域について露出を促進または抑制する画像処理を行わない場合を示す。花火撮影のように、主要被写体である花火による被写体が時間変化し、かつ、事前に花火の点火のタイミングが分からない場合には、主要被写体である花火79以外の被写体(例えば、建物78)が長時間露光となり、明るくなってしまう場合がある。
【0104】
それに対して、露出を促進または抑制する画像処理を行う場合には、主要被写体と周囲の被写体の明るさのバランスを適度に保つことができる。
図6(b)に示す例では、事前に主要被写体以外の被写体(ここでは建物78)に対して、露出を抑制するように設定しておく。この結果、主要被写体以外の被写体の明るさは暗く抑えられ、主要被写体である花火79との明るさのバランスが適切になる。これらの画像処理は、ステップS31(
図2参照)の露出設定変更において実行される。
【0105】
次に、撮影経過表示モードにおいて適正露光時間の算出と露光時間の調整の例を、
図7を用いて説明する。
図7は、露光開始から、所定時間毎に取得された累積加算画像の撮影経過の推移を、撮影画像列として示すものであり、
図7の上段、中段、下段の撮影画像列は、紙面左側から右側へ、横方向に露光開始からの経過時間に対応した累積加算画像を示すものである。
図7の上段に示す撮影画像列は、露光時間の調整を行わない例であり、中段は時刻0において、露出を促進する処理に変更した場合であり、下段は時刻0において露出を抑制する処理に変更した場合を示す。
【0106】
露光時間の調整を行わない場合には、
図7の上段に示すように、時刻0において、残露光時間表示部73には、適正露光までの時間として200secと表示される。以後、累積加算画像は次第に明るくなり、200secで目標露出に達する。
【0107】
図7の中段に示すように、時刻0においてスライド操作部77を操作し、時刻100secにおいて目標露出のレベルに達するように、露出を促進する処理に変更すると、ゲイン処理部21がゲインを増加調整する。この場合、残露光時間表示部73には、時刻100secまでの残露光時間が表示される。
図7の中段に示す場合には、露光時間の調整を行わない場合(
図7の上段参照)と比較して、撮影時の露出量が促進されることから、目標露出を得るまでの時間が短縮されてる。なお、露出を促進する処理としては、画面全体に行う場合には、画像処理以外にも、絞り5の制御によって行ってもよい。
【0108】
また、
図7の下段に示すように、時刻0において、スライド操作部77を操作し、時刻300secにおいて目標露出レベルに達するように、露出を抑制する処理に変更すると、ゲイン処理部21がゲインを減少調整する。この場合、残露光時間表示部73には、時刻300secまでの残露光時間が表示される。
図7の下段に示す場合では、露光時間の調整を行わない場合(
図7の上段参照)と比較して、撮影時の露出量が抑制されることから、目標露出を得るまでの時間が延びる。なお、露出を抑制する処理としては、画面全体に行う場合には、画像処理以外にも、絞り5、バリアブルNDフィルタ3、電子シャッタの露光時間間隔等の制御によって行ってもよい。
【0109】
次に、撮影経過表示モードにおいて、撮影者が領域を指定し、その領域について露出を促進または抑制する処理を施す場合の例を、
図8を用いて説明する。
図8の上段は領域を指定せずに、バルブ撮影を行った場合を示し、下段は撮影開始後、100sec経過時に、主要被写体以外の被写体78(建物)を指定し、スライド操作部78aをタッチにより左側に、すなわち抑制側にスライド操作している。
【0110】
このスライド操作により、建物の部分については露出が抑制され、一方、主要被写体である花火ついては露出が抑制されないことから、主要被写体である花火が目立つように、被写体の明るさをバランスよくするようにバルブ撮影を行うことができる。
【0111】
主要被写体以外の被写体78に対する処理は、タッチ操作部17aによって指定された領域について、ゲイン係数演算部27および局所ゲイン処理部28によって、露出を抑制する画像処理がなされる。
【0112】
次に、撮影経過表示モードにおいて、撮影者がヒストグラムのピークを指定し、コントラストを調整する処理を施す場合の例を、
図9を用いて説明する。
図9の上段はヒストグラムのピークを指定せずに、バルブ撮影を行った場合を示している。
【0113】
また、
図9の下段は撮影開始後、ヒストグラム表示部75のピークに対してスライド操作を行い露出の調整をおこなっている。すなわち、撮影開始後100sec経過時に主要被写体以外の被写体78(建物)と夜空の露出を抑制するように、ヒストグラム表示部75のピーク75b、75cをタッチにより左側に、すなわち抑制側にスライド操作している。また、主要被写体79の花火の露出を促進するように、ピーク75aをタッチにより右側に、すなわち促進側にスライド操作している。
【0114】
図9の上段では、コントラスト調整を行っていないことから、主要被写体以外の被写体である建物等が明るくなってしまう。これに対して、
図9の下段では、ピーク75aとピーク75b(75c)の露出差を調整することにより、コントラスト調整を行っていることから、主要被写体である花火が明るく、周囲の建物が全体に暗くなり、明るさのバランスの良いバルブ撮影を行うことができる。
【0115】
このコントラスト調整は、ゲイン係数演算部27および局所ゲイン処理部28によって、スライド操作されたピークに対応する累積加算画像の画像データの輝度データに対して、更に明るく、または暗くなるようにゲイン係数を変更して行う。
【0116】
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、表示部に累積加算画像を表示し、この表示部表示された累積加算画像の特定領域の画像データのレベルを、露出を促進または抑制するように、変更している(
図6、
図8参照)。このため、長秒時撮影の際に、被写体画像に対して部分的に露出を促進または抑制を可能とし、撮影者の意図する長秒時画像を取得できる。例えば、撮影を開始した後に、主要被写体または背景が、暗い場合や明るい場合に、適度な明るさになるように制御することができる。また、主要被写体の動きや明るさの変化に応じて、露光を促進し、逆に抑制し、適正な露出になるまでの時間を制御することができる。また、撮影中に低輝度の部分が黒潰れになったり、また高輝度の部分が白飛びしてしまうことを防止することができる。
【0117】
また、本発明の一実施形態においては、撮影中に露出設定を可変制御する露出設定操作部(タッチ操作部17aが対応)を備えており、この露出設定操作に応じて、露出を変更可能である(
図2のS31)。このため、撮影開始後に撮影条件の変更が可能とすることができる。
【0118】
また、本発明の一実施形態においては、露出設定操作部が、撮影中に、露出設定を変更する際に、逐次、露出時間を再度算出されることに基づいて、適正露出時間を変更して表示部に表示している(
図2のS25、
図4参照)。このため、露出設定を変更した場合に、適正露光となるまでの残時間を簡単に確認することができる。撮影開始後に適正な露出に変更できることから、例えば、適正露光までの残露光時間が長すぎる場合、逆に短すぎる場合に、撮影者の思い通りに残露光時間を制御することができる。
【0119】
(本発明の一実施形態の変形例)
本発明の一実施形態においては、バルブ撮影時の撮影経過表示モードが設定されると、撮影者が領域指定した撮影エリアについて、露出の促進または抑圧を行うようにしていた。すなわち、指定した領域毎に撮影画像の露出量に差を与え、撮影画像の明るさを変えていた。この場合には、指定領域と指定領域外の撮影画像は、色温度設定が同一であり、したがって撮影画像データのR、G、B成分のホワイトバランスゲインの比は同一である。これに対して、本発明の一実施形態の変形例は、指定した領域および指定領域外の撮影画像について、それぞれ、色温度を変更し、ホワイトバランスゲインの比を変えるようにしている。
【0120】
具体的には、
図4の露光経過表示において、
図5に示すスライド操作部77を表示させ、このスライド操作部77のスライド操作に対応して、色温度設定量、例えば、3000K(ケルビン)から7000Kに設定入力できるようにする。指定領域を設定しておけば、指定領域毎に色温度を調節でき、設定された色温度に基づいて画像処理部20でのホワイトバランスゲイン設定の比率を変えるようにする。
【0121】
スライド操作部77のスライド操作の作用としては、色温度設定値を低い値に設定すると、累積加算画像の色味に青みをもたせるようにホワイトバランスゲインの比率を調整し、また色温度設定値を高い値に設定すると、逆に累積加算画像の色味に赤みをもたせるようにホワイトバランスゲインの比率を調整する画像処理を行うようにする。
【0122】
例えば、
図6に示すような夜景などの被写体をバルブ撮影する場合には、背景となる夜空80の色味と、建物78が街路灯に照射されている場合や、建物の室内灯の光が建物の窓から漏れ、別の建物の壁等によって反射されている場合等、種々の光源色が混在し、一律のホワイトバランスゲイン設定では、被写体像の色味が異なって撮影される場合がある。
【0123】
このような状況であっても、本発明の一実施形態の変形例では、指定領域毎に色温度設定値を変更できることから、被写体像の色味を最適することができる。すなわち、撮影経過表示モードにおける撮影時には、撮影途中で、露出量を調整・変更することによる作用効果に加えて、さらに夜空、建物など、撮影者が指定した領域に対して、それぞれ所望の色温度補正処理を施し、表示部17において累積加算画像の色味を確認しながら、最適な色味となるように調整することができる。
【0124】
なお、本発明の一実施形態においては、イメージセンサ9は破壊型センサ(画像信号の読み出しの際に、蓄積電荷がリセットされるタイプ)を用いた場合について説明した。しかし、非破壊型センサを用いて、途中経過を表示する撮像装置においても、本発明を適用することができる。この場合、画像信号を読み出すたびに加算画像の生成を不要とすることができる。
【0125】
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、ライブバルブ撮影等、長時間露出の際に、撮影経過表示が可能な機器であれば、本発明を適用することができる。
【0126】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0127】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。