(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合素子対を介して受信装置おいて受信された受信信号のジッタ測定結果に基づいて、前記時間遅延および前記タップ係数に関する設定値を決定する制御回路をさらに備える、請求項1又は2に記載の送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0016】
<第1の実施形態>
図2は、本実施形態に係る無線通信システム1の構成例を示している。無線通信システム1は、送信回路(TX)2及び受信回路(RX)3を含む。送信回路2は、結合素子対24及び31の間に形成される非接触結合伝送路を介して受信回路3に信号を送信する。結合素子24及び31の間の非接触結合は、磁気結合(誘導性結合)を少なくとも含む。結合素子24及び31の間の非接触結合は、磁気結合及び電気結合(容量性結合)の両方を含んでもよい。結合素子24及び31は、カプラ又はアンテナと呼ぶこともできる。結合素子24及び31の各々は、例えばインダクタであってもよく、より具体的にはコイルであってもよい。
【0017】
送信回路2の送信信号(TX SIGNAL)は、例えば、ベースバンド信号である。ベースバンド信号に適用される伝送路符号方式(line coding)は、例えば、NRZ符号、RZ符号、バイポーラ(AMI(Alternative Mark Inversion))NRZ符号、バイポーラRZ符号、バイフェーズ符号であってもよい。また、磁気結合を介した信号伝送では送信側の電流変動が信号伝達に寄与するため、送信回路2は、所望の電流パルス波形(例えば、ガウシアンパルス)を得るための差動電圧信号(例えば、バイポーラパルス信号、マンチェスタ符号信号)を送信信号として生成してもよい。
【0018】
既に述べたように、本件発明者等は、非接触結合伝送路の電圧伝達係数(利得)に高周波ピークが現れることを見出した。したがって、結合素子対24及び31の非接触結合を介してデータ通信を行う場合、受信回路3による受信信号(RX SIGNAL)は、高周波ピークに起因する波形歪み(例えば、リンギング)を含む。この高周波の波形歪みを補償するために、
図2に示した送信回路2は、送信イコライザ20を含む。送信イコライザ20は、結合素子対24及び31の磁気結合を含む非接触結合を介した信号伝送のために、送信信号をイコライズするよう構成されている。
【0019】
送信イコライザ20は、
図2に示されるように、FIRフィルタ構造とされてもよい。
図2に示された送信イコライザ20は、2本の信号パスを含む。各信号パスは、送信信号に対して互いに異なる時間遅延を与えるとともに、送信信号にタップ係数を乗算する。つまり、第1の信号パスは、可変遅延回路21A及び増幅器(タップ係数乗算器)22Aを含む。可変遅延回路21Aは送信信号に時間遅延T1を与える。増幅器22Aは、タップ係数C1を送信信号に乗算する。同様に、第2の信号パスは、送信信号に時間遅延T2を与える可変遅延回路21B、及びタップ係数C2を送信信号に乗算する増幅器22Bを含む。
【0020】
さらに、送信イコライザ20は、複数の信号パス(
図2の例では2つの信号パス)の出力の総和に基づくフィルタ出力を送信側の結合素子24に供給する出力パスを有する。
図2の例では、送信イコライザ20の出力パスは、加算器23を含む。加算器23は、増幅器22A及び22Bの出力を受信し、これらの出力を加算し、加算後の信号を結合素子24に供給する。
【0021】
図2の例では、送信イコライザ20は、時間遅延T1及びT2並びにタップ係数C1及びC2を変更できるよう構成されている。メモリ25は、時間遅延T1及びT2並びにタップ係数C1及びC2を設定するための制御信号(例えば、設定値)を可変遅延回路21A及び21B、並びに増幅器22A及び22Bに供給する。メモリ25は、不揮発性の記憶デバイスでもよいし、揮発性の記憶デバイスでもよい。また、メモリ25は、書き換え可能な記憶デバイスでもよいし、書き換え不可能な記憶デバイスでもよい。メモリ25は、例えば、ヒューズROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、又はハードディスクドライブ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はレジスタであってもよい。
【0022】
図2の例では、送信イコライザ20は、各信号パスにおいて送信信号に与える時間遅延を変更できるよう構成されている。しかしながら、送信イコライザ20は、複数の信号パスのうち一部において送信信号に与える時間遅延を変更できるよう構成されてもよく、他の信号パスにおける時間遅延は固定遅延回路により与えられてもよい。また、複数の信号パスのうち1つは、明確な遅延回路を有しておらず、送信信号にゼロ時間遅延を与えてもよい。これらいずれの構成によっても、送信イコライザ20は、少なくとも一対の信号パス間(つまり、タップ間)の相対時間遅延Tdを適宜変更することができる。
【0023】
また、
図2の例では、送信イコライザ20は、増幅器22A及び22Bにて乗算されるタップ係数C1及びC2を変更できるよう構成されている。しかしながら、送信イコライザ20は、複数の信号パスのうち一部において送信信号に乗算されるタップ係数を変更できるよう構成されてもよく、他の信号パスにおけるタップ係数は固定値であってもよい。ここで、タップ係数の固定値は1であってもよく、タップ係数が1である信号パスの増幅器22は省略されてもよい。
【0024】
既に述べた通り、従来の有線伝送用の送信イコライザ(つまり、プリエンファシスFIRフィルタ)では、タップ間の相対時間遅延は、1シンボル時間又は1/2シンボル時間に固定的に設定されれば十分であった。しかしながら、このような有線伝送のための従来の構成は、磁気結合を含む非接触結合を介した無線伝送のためには十分ではない。これに対して、本実施形態に係る送信イコライザ20は、タップ間の相対時間遅延Tdを変更できるよう構成されている。したがって、送信イコライザ20は、結合素子対24及び31の非接触結合の電圧伝達関数に現れる様々なピーク周波数に応じて、タップ間の相対時間遅延Tdを定めることができる。これにより、以下に詳細に述べるように、送信イコライザ20は、電圧伝達関数に現れる高周波ピークに対応した受信波形歪みを補償することができる。
【0025】
1つの具体例において、2つの信号パス間(つまり、可変遅延回路21A及び21Bの間)の相対時間遅延Td(Td=|T2−T1|)は、送信信号の1シンボル時間の2分の1より短い時間に設定されてもよい。これにより、送信イコライザ20は、送信信号のシンボルレートよりも高い周波数成分を含む受信波形歪みを補償することが可能となる。なお、既に述べた通り、送信信号波形の1シンボルで1ビットが伝達される場合、1シンボル時間は1ビット時間に対応する。1シンボルで1ビットが伝達される伝送方式は、例えばNRZ符号、RZ符号、又はマンチェスタ符号等を用いたベースバンド伝送である。
【0026】
また、他の具体例において、2つの信号パス間の相対時間遅延Tdは、送信信号の1シンボル時間より短く、かつ1シンボル時間の整数分の1とは異なる時間に設定されてもよい。このような構成・設定によっても、送信イコライザ20は、相対時間遅延Tdが1シンボル時間の2分の1に固定的に設定される従来のイコライザに比べて、結合素子対24及び31の非接触結合の電圧伝達関数にピークに起因する受信波形歪みを十分に補償することができる。
【0027】
また、他の具体例において、送信イコライザ20における2つの信号パス間の相対時間遅延Tdは、非接触結合の電圧伝達係数(利得)に現れる高周波ピークに基づいて決定されてもよい。例えば、相対時間遅延Tdは、結合素子対24及び31の非接触結合の電圧伝達関数に現れるピーク周波数の2倍の逆数に対応付けられてもよい。言い換えると、送信イコライザ20は、電圧伝達関数に現れる高周波ピークの2倍オーバーサンプリングを行なってもよい。これにより、送信イコライザ20は、電圧伝達関数に現れる高周波ピークに対応した受信波形歪みを補償することが可能となる。
【0028】
続いて、可変遅延回路21A及び21Bを含む可変遅延回路21の構成例を説明する。
図3は、可変遅延回路21の構成例を示す図である。
図3の例では、可変遅延回路21は、多段接続された2つの増幅器211及び213、並びに増幅器211の出力に並列接続された可変容量回路212を含む。可変容量回路212は、複数のキャパシタ及び複数のスイッチトランジスタを含む。各キャパシタの一方の端子は増幅器211の出力に接続され、他方はスイッチトランジスタを介して接地電位に接続される。スイッチトランジスタは、メモリ25から供給される制御信号(つまり、時間遅延の設定信号)に応じて動作する。増幅器211の負荷容量(可変容量回路212)の大きさに応じて増幅器211の出力が遅延する。増幅器213は、負荷容量(可変容量回路212)による送信信号の減衰を補償するために設けられている。
【0029】
なお、可変遅延回路21A及び21Bの構成は異なってもよい。例えば、
図3の構成例において、可変遅延回路21Bの容量可変範囲は、可変遅延回路21Bの容量可変範囲と異なってもよい。さらに、
図3の構成例が一例に過ぎないことはもちろんである。例えば、可変遅延回路21A及び21Bは、トラック・アンド・ホールド回路によって構成されてもよい。それぞれのトラック・アンド・ホールド回路に供給されるクロック信号の位相を異ならせることによって、可変遅延回路21A及び21Bは、送信信号に対して互いに異なる遅延を与えることができる。
【0030】
続いて以下では、結合素子24及び31の構成例、並びに結合素子24及び31による非接触結合の電圧伝達関数(利得)の具体例について説明する。さらに、非接触結合の電圧伝達関数に現れる高周波ピークに起因する受信波形の歪みと、それを補償するための送信イコライザ20の動作に関しても述べる。一例において、
図4(A)及び(B)に示されるように、結合素子24及び31の各々は、導電性ループ241又は311を有するインダクタとされ、互いの導電性ループが対向するように配置されてもよい。
図4(A)及び(B)では、結合素子24及び31の各々は、1巻きのコイルとみなすことができる。結合素子24が送信信号(つまり、イコライズされた送信信号)によって駆動されると、結合素子24に送信信号に応じて時間変動する電流が流れ、結合素子24の周囲に時間変動する磁界が発生する。そして、この時間変動する磁界内に他方の結合素子31が配置されることにより、送信信号を反映した誘導起電力が結合素子31に発生する。これにより、送信回路2から受信回路3に差動モード信号が伝送される。
図4(A)及び(B)のような2つの導電性ループ241及び311の対向配置によって、結合素子24を流れる電流によって生じる磁界(磁束)結合素子31の導電性ループ311を効率良く貫くため、結合素子24から結合素子31への利得の向上に寄与することができる。
【0031】
さらに、詳しく述べると、
図4(A)及び(B)の例では、導電性ループ241及び311の各々は、線対称な形状を有する。線対称な形状は、伝送品質の向上に寄与する。すなわち、線対称な形状を採用することで、送信信号の対称性を向上することができる。したがって、例えば、高いデータレートでの通信を行う場合でも、精度良くデータを伝送することができる。
【0032】
図4(B)の例では、結合素子24及び31は、導電性ループに接続された固定ピン242及び312を含む。さらに結合素子31は、フローティングピン313を有する。フローティングピン313は、電気的に浮いた導体であり、導電性ループ311にも接地電位にも接続されていない。
【0033】
図5(A)は、
図4(A)に示した結合素子24から結合素子31への利得(つまり、ポートP1からポートP2への伝達関数Sdd21)のシミュレーション結果を示している。また、
図5(B)は、
図4(A)の結合素子24にステップ電圧を供給したときの結合素子31の出力(つまり、ステップ応答)のシミュレーション結果を示している。同様に、
図6(A)は
図4(B)に示した結合素子対24及び31の伝達関数Sdd21のシミュレーション結果を示し、
図6(B)は
図4(B)に示した結合素子対24及び31のステップ応答のシミュレーション結果を示している。
【0034】
図5(A)及び
図6(A)から理解されるように、結合素子対24及び31の利得は、
図1に示されているような滑らかなカーブではなく、高周波帯域においてピークを有する。
図5(A)の例では、4.9GHz、7.2GHz、及び9.7GHz辺りにピークが現れている。
図6(A)の例では、4.7GHz、7.8GHz、及び9.3GHz辺りにピークが現れている。これらの高周波ピークの影響によって受信波形に歪み(リンギング)が生じる。結合素子対24及び31の理想的なステップ応答はガウシアンパルス状の1つのパルスであるが、
図5(B)及び6(B)のシミュレーション結果に示されたステップ応答波形は高周波ピークに起因するリンギング成分を含む。受信波形に現れるリンギング成分は、ジッタ又はISIの増大を招き、送信ビットレート(シンボルレート)の高速化を妨げる要因となる。
【0035】
図7(A)及び(B)は、磁気結合を含む非接触結合伝送路を介して受信された受信信号の波形歪みを概念的に説明するための図である。
図7(A)は、理想的な受信電圧波形VR_IDEALとこれに重畳される高周波リンギング成分を示している。ここでは、送信信号がNRZ信号であり、送信信号のシンボルレート及びビットレートが同一である場合を考える。
図7(A)中のTbは、送信信号の1ビット時間を示している。1ビット時間Tbは、送信ビットレートRbの逆数である。NRZ信号の立ち上がりエッジにおいて送信側の結合素子24を流れる電流が増加すると、この電流の微分に比例した受信電圧VRが受信回路3において得られる。受信回路3における理想的な受信電圧VR_IDEALは、ガウシアンパルス状の1つのパルスである。しかしながら、実際の受信電圧VR_REALは、高周波リンギング成分の重畳によって、
図7(B)に示されるように歪んだ波形となる。
【0036】
図7(A)に示されたリンギング成分を送信イコライザ20において補償するためには、例えば、2つの信号パス(可変遅延回路21A及び21B)の間の相対時間遅延Tdをリンギング成分の周波数Fの2倍の逆数(1/2F)、つまりリンギング成分の半周期、に設定すればよい。これにより、ジッタの増大に大きく影響するリンギング歪みを補償できる。なお、リンギング成分の周波数Fは、結合素子対24及び31の間の電圧伝達関数に現れるピーク周波数である。例えば、ピーク周波数が
図5(A)の例に示された4.9GHz、7.2GHz、及び9.7GHzである場合、これらの半周期は、約102ピコ秒、69ピコ秒、及び52ピコ秒である。なお、相対時間遅延Tdは、ピーク周波数の半周期に厳密に一致していなくてもよい。従って、ピーク周波数は、40〜120ピコ秒の間に設定されてもよく、より好ましくは50〜100ピコ秒の間に設定されてもよい。
【0037】
送信回路2が、
図5(A)又は
図6(A)に示された利得を有する非接触結合伝送路を介して、NRZ符号又はバイフェーズ符号等によって伝送路符号化されたベースバンド信号を送信する場合、送信されるベースバンド信号のビットレート(シンボルレート)Rbは、高周波ピークよりも低域側(例えば、2.5GHz)に設定するとよい。この場合、送信イコライザ20における相対時間遅延Tdは、送信されるベースバンド信号の1シンボル時間Tbの2分の1より短い時間とすればよい。
【0038】
次に、
図8(A)〜
図8(D)を参照して、本実施形態に係る送信イコライザ20の動作の一例を説明する。
図8(A)は、
図2に示した送信イコライザ20の2つの信号パスが結合素子24を駆動する駆動電流IT1及びIT2を個別に示したものである。ここでは、電流IT1は可変遅延回路21Aを含む第1の信号パスの出力であり、電流IT2は可変遅延回路21Bを含む第2の信号パスの出力であるとする。
図8(A)では、駆動電流IT2が、駆動電流IT1に比べて相対時間遅延Tdだけ遅れている(つまり、T1<T2)。これにより、加算器23を介して送信側の結合素子24に供給されるイコライズされた駆動電流IT_EQUALIZEDは、
図8(B)に示すように変形される。つまり、
図8(B)の駆動電流IT_EQUALIZEDは、
図8(A)の駆動電流IT1及びIT2の和を示している。
【0039】
図8(C)は、受信回路3において得られる受信信号を2つの成分に分解して示している。第1の受信成分VR1は、
図8(A)に示した送信イコライザ20の第1の信号パスの駆動電流IT1に対応する。第2の受信成分VR2は、送信イコライザ20の第2の信号パスの駆動電流IT2に対応する。なお、受信成分VR1及びVR2の振幅差は、駆動電流IT1及びIT2の振幅差を反映している。また、受信成分VR1及びVR2の位相差は、駆動電流IT1及びIT2の相対時間遅延Tdを反映している。
【0040】
受信回路3は、
図8(D)に示された受信成分VR1及びVR2の和信号VR_EQUALIZEDを受信する。
図8(C)の2つの受信成分VR1及びVR2は、結合素子対24及び31の非接触結合の利得に現れる高周波ピークに起因するリンギング歪みを含む。しかしながら、送信イコライザ20において駆動電流IT1及びIT2の相対時間遅延Tdと振幅差を適切に調整することで、
図8(D)に示されているように、リンギング歪みが補償された和信号VR_EQUALIZEDを得ることができる。
【0041】
なお、送信イコライザ20の複数の信号パス間の相対時間遅延Tdは、例えば、
図5(A)及び
図6(B)に示したような結合素子対24及び31の非接触結合の利得のシミュレーション結果、又は計測結果に基づいて決定されてもよい。また、相対時間遅延Tdは、結合素子対24及び31の理論的なモデルから得られる利得ピークの近似式に基づいて決定されてもよい。結合素子24及び31がインダクタである場合、これらの非接触結合はトランスモデルによって近似的に表すことができる。すなわち、結合素子24及び31の非接触結合において利得ピークが出現する周波数Fは、結合素子24及び31の自己インダクタンスL、結合素子間の容量C、及び結合係数kに依存し、以下の(1)式により近似的に表すことができる。この場合、送信イコライザ20における相対時間遅延Tdは、例えば、(2)式に示すようにピーク周波数Fの2倍の逆数に設定されてもよい。
【数1】
【数2】
【0042】
また、送信イコライザ20における相対時間遅延Tdは、受信回路3における受信信号品質の測定結果に基づいて決定されてもよい。受信信号品質は、例えば、ジッタ、BER(Bit Error Rate)、若しくはアイパターン、又はこれらの組み合わせとすればよい。送信回路2及び受信回路3は、相対時間遅延Td及びタップ係数C1及びC2を含む送信イコライザ20の設定値を決定するためのトレーニングを実行してもよい。また、送信回路2及び受信回路3は、受信回路3における受信信号品質を用いて送信イコライザ20の設定を適応的に調整してもよい。
【0043】
<第2の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態に係る送信イコライザ20の変形例について説明する。
図9は、本実施形態に係る無線通信システム4の構成例を示すブロック図である。
図9の例では、送信回路42は、送信イコライザ420及びメモリ425を有する。送信イコライザ420は、少なくとも1つの信号パスに配置された反転回路26を有する。反転回路26は、可変遅延回路21Bに対して送信信号をそのまま供給するか、送信信号の極性を反転して供給することができるよう構成されている。反転回路26の動作は、メモリ425から供給される制御信号(極性選択信号)に基づき決定される。送信イコライザ420は、少なくとも一部の信号パスにおいて送信信号の極性を反転できるため、より詳細なイコライジングが可能となり、より多くの種類の波形歪みを補償することができる。
【0044】
次に、
図10(A)〜
図10(D)を参照して、本実施形態に係る送信イコライザ420の動作の一例を説明する。
図10(A)は、
図9に示した送信イコライザ420の2つの信号パスの駆動電流IT1及びIT2を個別に示したものである。ここでは、駆動電流IT1は可変遅延回路21Aを含む第1の信号パスの出力であり、駆動電流IT2は可変遅延回路21Bを含む第2の信号パスの出力であるとする。
図10(A)では、電流IT2が、電流IT1に比べて相対時間遅延Tdだけ進んでいる(つまり、T2<T1)。さらに、電流IT2は、反転回路26によってその極性が反転されている。これにより、加算器23を介して送信側の結合素子24に供給されるイコライズされた駆動電流IT_EQUALIZEDは、
図10(B)に示すように変形される。
【0045】
図10(C)は、受信回路3において得られる受信信号を2つの成分に分解して示している。第1の受信成分VR1は、
図10(A)に示した送信イコライザ420の第1の信号パスの駆動電流IT1に対応する。第2の受信成分VR2は、送信イコライザ420の第2の信号パスの駆動電流IT2に対応する。なお、受信成分VR2の極性は、反転回路26による極性反転操作を反映している。
【0046】
受信回路3は、
図10(D)に示された受信成分VR1及びVR2の和信号VR_EQUALIZEDを受信する。
図10(C)の2つの受信成分VR1及びVR2は、結合素子対24及び31の非接触結合の利得に現れる高周波ピークに起因するリンギング歪みを含む。しかしながら、送信イコライザ420において駆動電流IT1及びIT2の相対時間遅延Td、振幅差、及び極性を適切に調整することで、
図10(D)に示されているように、リンギング歪みが補償された和信号VR_EQUALIZEDを得ることができる。
【0047】
なお、反転回路26の配置は、遅延回路21Bと増幅器22Bの間でもよいし、増幅器22Bの後でもよい。さらに、本実施形態で述べた反転回路26による極性反転操作は、増幅器(係数乗算器)22Bにおいて負のタップ係数を送信信号に乗算することと同義である。したがって、極性反転の機能は、増幅器22Bにおいて実現されてもよい。
【0048】
<第3の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態に係る送信イコライザ20の変形例について説明する。
図11は、本実施形態に係る無線通信システム5の構成例を示すブロック図である。
図11の例では、送信回路52は、送信イコライザ520及びメモリ525を有する。送信イコライザ520は、送信信号に対して互いに異なる時間遅延を与えることが可能な3つの信号パスを含む。すなわち、送信イコライザ520は、
図2に示した2つの信号パスに加えて、可変遅延回路21Cおよび増幅器(係数乗算器)22Cを含む第3の信号パスを有する。3つの信号パスの出力は加算器23において加算された後にイコライズされた送信信号として結合素子24に供給される。メモリ525は、時間遅延T1、T2及びT3、並びにタップ係数C1、C2及びC3を設定するための制御信号(例えば、設定値)を可変遅延回路21、21B及び21C、並びに増幅器22A、22B及び22Cに供給する。
【0049】
結合素子対24及び31の非接触結合の利得特性によっては、位相の異なる2つの信号を合成するのみでは受信波形の歪みを十分に補償できない可能性がある。送信イコライザ520は、位相の異なる3つの信号を合成可能であるため、受信波形の歪み補償をより効果的に行うことができる。特に、
図5(A)及び
図6(A)に示したように、結合素子対24及び31の非接触結合の利得特性に複数の高周波ピークが現れる場合がある。本実施形態によれば、複数の高周波ピークに起因する周波数の異なる複数のリンギング歪みを効果的に補償することができる。
【0050】
例えば、可変遅延回路21A及び21Bの間の相対時間遅延Td2(Td2=|T2−T1|)を第1のピーク周波数の2倍の逆数に設定し、可変遅延回路21A及び21Cの間の相対時間遅延Td3(Td3=|T3−T1|)を第2のピーク周波数の2倍の逆数に設定してよい。これにより、2つの高周波ピークに起因する周波数の異なる2つのリンギング歪みを容易に補償することができる。なお、この場合、相対時間遅延Tdは、相対時間遅延Td3との間で倍数関係を持たなくてもよい。言い換えると、送信イコライザ520は、3つの可変遅延回路21A、21B、及び21Cによる送信信号のサンプリング時間間隔を不等間隔に設定することができる。有線伝送用のFIRフィルタ型のイコライザでは、同じ時間間隔で送信信号をサンプリングすることが一般的であるが、このような構成では
図5(A)及び
図6(A)に示されるような周波数の倍数関係を持たない複数のピークに起因する歪みを十分に補償することが難しい。これに対して、送信イコライザ520は、3つ以上の可変遅延回路21において送信信号を不等間隔でサンプリングできるため、周波数の倍数関係を持たない複数のピークに起因する歪みを保証できる。
【0051】
なお、第1の実施形態で述べたと同様に、送信イコライザ520は、複数の信号パスのうち一部において送信信号に与える時間遅延を変更できるよう構成されてもよく、他の信号パスにおける時間遅延は固定遅延回路により与えられてもよい。また、複数の信号パスのうち1つは、明確な遅延回路を有しておらず、送信信号にゼロ時間遅延を与えてもよい。
【0052】
また、本実施形態に係る送信イコライザ520は、4つ以上の信号パスを含む構成に変形されてもよい。また、送信イコライザ520は、少なくとも1つの信号パスに第2の実施形態で述べた反転回路26を有してもよい。
【0053】
<第4の実施形態>
本実施形態では、第1〜第3の実施形態に係る無線通信システムの具体例について説明する。
図12は、本実施形態に係る無線通信システム6の構成例を示すブロック図である。
図2、9及び11と
図12の比較から明らかであるように、
図12に示された受信回路63は、ヒステリシスバッファ630を含む。ヒステリシスバッファ630は、結合素子31による受信信号VR_EQUALIZEDを符号判定(ビット判定)のための閾値VTHと比較し、その比較結果を出力する。ヒステリシスバッファ630の出力は、復元された受信データ(RX SIGNAL1)を示す。
【0054】
図12に示された送信回路62は、送信イコライザ620及びメモリ625を有する。送信イコライザ620の構成及び動作は、第1〜第3の実施形態に示された送信イコライザ20、420、又は520と同様とすればよい。メモリ625の構成及び動作は、第1〜第3の実施形態に示されたメモリ25、425、又は525と同様とすればよい。
【0055】
続いて以下では、受信回路としてヒステリシスバッファ630が用いられる本実施形態に係るシステムにおいて、第1〜第3の実施形態で述べた送信イコライジングを行うことの効果について説明する。既に述べたように、送信イコライジングが行われない場合には、結合素子31による受信信号VR_UNEQUALIZEDにリンギング歪が生じる。
図13(A)に示されるように、受信信号VR_UNEQUALIZEDの立ち上がりエッジに生じたリンギング歪みが符号間干渉を起こすと、受信信号VR_UNEQUALIZEDの立ち上がりエッジがヒステリシスバッファ630の閾値VTHを横切るタイミングがデータパターンに依存するようになり、データ依存ジッタが増大する。
【0056】
これに対して、本実施形態に係る送信イコライザ620は、例えば
図10を用いて説明した送信イコライジングに基づいて送信信号の波形を整形することができる。これにより、送信イコライザ620は、
図13(B)に示されるように、閾値VTHを横切る立ち上がりエッジに生じるリンギング歪みを補償でき、符号間干渉を抑制できる。符号間干渉が抑制されることで、受信信号VR_EQUALIZEDの立ち上がりエッジが閾値VTHを横切るタイミングが揃うため、データ依存ジッタが抑制される。
【0057】
<第5の実施形態>
本実施形態では、第1〜第4の実施形態に係る無線通信システムの変形例について説明する。
図14は、本実施形態に係る無線通信システム7の構成例を示すブロック図である。送信回路72は、送信イコライザ720及びメモリ725を有する。さらに、無線通信システム7は、受信回路73における受信品質の測定結果(例えば、ジッタ測定結果)に基づいて、送信イコライザ720の時間遅延およびタップ係数に関する設定値を決定し、これらの設定値を送信イコライザ720に適用する制御機構を有する。
図14の例では、当該制御機構は、受信回路73に配置されたジッタ測定回路731および制御回路732を含む。
【0058】
ジッタ測定回路731は、受信回路3のヒステリシスバッファ730によって得られた受信データ(RX SIGNAL1)のジッタを測定し、測定結果を制御回路732に供給する。制御回路732は、ジッタ測定結果に基づいて送信イコライザ720の設定値を生成し、これを送信イコライザ720に供給する。さらに、制御回路732は、ジッタ測定結果に基づいてヒステリシスバッファ730に適用される符号判定(ビット判定)のための閾値を決定してもよい。制御回路732は、閾値設定のための制御信号をヒステリシスバッファ730に供給すればよい。
【0059】
図14の例では、イコライザ設定値を受信回路73から送信回路72にフィードバックするために、結合素子対27及び32による第2の非接触結合伝送路を使用する。つまり、第2の送信回路74は、イコライザ設定値を受信し、結合素子対27及び32による非接触結合を介してイコライザ設定値を第2の受信回路75に送信する。第2の受信回路75は、イコライザ設定値をメモリ725に格納する。ここで、第2の非接触結合伝送路は、結合素子対24及び31による第1の非接触結合伝送路と比較して安定してデータ伝送を行うよう設計されてもよい。例えば、第2の非接触結合伝送路は、結合素子27及び32のサイズを大きくすることで、第1の非接触結合伝送路に比べて長い通信可能距離を有してもよい。また、例えば、第2の非接触結合伝送路における通信速度(ビットレート)は、第1の非接触結合伝送路における通信速度に比べて低く設定されてもよい。
【0060】
なお、受信回路73から送信回路72へのイコライザ設定値のフィードバックは、任意の経路で行われてもよい。例えば
図16に示すように、無線通信システム7は、1つの結合素子対24及び31を介して双方向通信を行なってもよい。また、受信回路73から送信回路72へのイコライザ設定値のフィードバックは、ケーブルを介した有線伝送によって行われてもよい。この場合、送信イコライザ720の設定値を決めるためのトレーニングシーケンスを実行する際に送信回路74と受信回路75の間にケールブルを接続し、トレーニングシーケンスが完了した後にケーブルを取り外すようにしてもよい。
【0061】
続いて以下では、送信イコライザ720の設定値およびヒステリシスバッファ730の閾値を決定するためのトレーニングシーケンスの具体例について説明する。
図15は、トレーニングシーケンスの一例を示すフローチャートである。ステップS11では、送信イコライザ720は、イコライズを停止するよう設定される。そして、制御回路732は、ヒステリシスバッファ730の複数の閾値それぞれについてジッタを測定する。送信イコライザ720のイコライズ停止は、送信イコライザ720の1つの信号パスのみタップ係数を1に設定し、他の全ての信号パスのタップ係数をゼロに設定することで行えばよい。ステップS11において、制御回路732は、ヒステリシスバッファ730の閾値とジッタ量の関係を取得する。イコライズを停止した時のヒステリシスバッファ730の閾値とジッタ量の関係は、"レファレンス"として使用される。
【0062】
ステップS12では、送信イコライザ720の設定を変更しながら、ヒステリシスバッファ730の複数の閾値のそれぞれについてジッタが測定される。これにより、制御回路732は、イコライザ設定、ヒステリシスバッファ730の閾値設定、及びジッタ量の関係を取得する。ここで、イコライザ設定とは、相対時間遅延Td(又は各信号パスで与える時間遅延)及びタップ係数を含む。つまり、ステップS12では、イコライザ設定の全ての候補値およびヒステリシスバッファ730の閾値の全ての候補値を用いて、総当りのトレーニングを行なってもよい。
【0063】
ステップS13では、制御回路732は、ジッタが抑制されるように、ヒステリシスバッファ730及び送信イコライザ720に適用するべき設定値(閾値、イコライザ設定値)を決定する。例えば、制御回路732は、ヒステリシスバッファ730のある閾値範囲(例えば、10mV以上20mV以下)でのレファレンスに比べたジッタ低減量の総和を、イコライザ設定の候補値それぞれについて求める。そして、制御回路732は、ジッタ低減量の総和が最も大きいイコライザ設定の候補値を送信イコライザ720に適用するべき設定値として決定すればよい。また、制御回路723は、ジッタが最小になる閾値、又はジッタが所定値以下(例えば50ピコ秒以下)となる閾値の中央値を、ヒステリシスバッファ730に適用するべき設定値としてもよい。
【0064】
トレーニングシーケンスが完了した後に、無線通信システム7は、送信回路72と受信回路73の間で任意のデータ送受信を行う通常動作に遷移すればよい。具体的には、トレーニングシーケンスを実行した後の通常動作において、第2の送信回路74と第2の受信回路75は任意のデータ、すなわち第2の送信データ信号(TX SIGNAL2)及び第2の受信データ信号(RX SIGNAL2)を送受信する。この際に、入力選択回路76は第2の送信データ信号(TX SIGNAL2)を第2の送信回路74に入力するように切り替えられ、出力選択回路77は第2の受信回路75からの第2の受信データ信号(RX SIGNAL2)を外部に出力するように切り替えられる。通常動作中において、受信回路73は、ヒステリシスバッファ730の閾値制御を行なってもよい。例えば、制御回路732は、送信回路72から受信した受信信号の振幅低下、ジッタ増大、又はビットエラーレートの増加に応答して、ヒステリシスバッファ730におけるビット判定のための閾値を低下させてもよい。
【0065】
結合素子対24及び31の配置ずれ、又は使用環境条件に応じて、結合素子対24及び31の非接触結合の利得特性が変化することが考えられる。また、複数の利得ピーク及びその他の利得特性が受信品質に歪みをもたらすため、利得ピークの周波数のみに応じて相対時間遅延Tdを決定したのでは、必ずしも受信品質を最適化できるとは限らない。本実施形態は、受信回路73での受信品質の測定結果を利用して送信イコライザ720を設定するため、受信回路73での受信品質を最適化するよう送信イコライザ720を設定することができる。
【0066】
なお、本実施形態で述べた制御回路732の機能の一部又は全ては、送信回路72に配置されてもよい。この場合、ジッタ測定結果を示すデータを受信回路73から送信回路72にフィードバックすればよい。
【0067】
また、送信イコライザ720及びヒステリシスバッファ730の設定は、ジッタ以外の受信品質の測定結果に基づいて行われてもよい。例えば、受信回路73は、ジッタ又はISIの影響を受ける受信品質(例えば、ビットエラーレート)を測定してもよい。
【0068】
本実施形態で述べた制御回路732の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、MPU、DSP(Digital Signal Processor))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。具体的には、フローチャート等を用いて説明された送信イコライザ720及びヒステリシスバッファ730の設定に関するアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0069】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0070】
<第6の実施形態>
第1〜第5の実施形態では、シングルエンド信号を伝送する回路構成を用いて説明した。しかしながら、第1〜第5の実施形態に示された無線通信システム1、4、5、6、及び7は、差動モード信号を伝送するよう構成されてもよい。例えば、第1の実施形態に関する
図2の構成例において、遅延回路21A及び21B、増幅器22A及び22B、送信回路2と結合素子24の間の信号線、並びに受信回路3と結合素子31の間の信号線を差動入出力とすればよい。メモリ25が送信イコライザ20に供給する制御信号は、高速データではないため、シングルエンド信号でもよい。
【0071】
図17は、差動モード信号を伝送するよう変形された無線通信システム8の構成例を示すブロック図である。無線通信システム8は、送信回路82及び受信回路83を含む。送信回路82は、送信イコライザ820を含む。
図17の例では、送信信号(TX SIGNAL)は、差動バッファ826を介して送信イコライザ820に供給される。
図17に示された送信イコライザ820は、可変遅延回路821A、可変利得差動増幅器822A及び822B、加算器823A及び823B、並びにバッファ827を含む。可変遅延回路821Aは、
図2に示したシングルエンド構成における可変遅延回路21Aに対応する。
図17の構成例では、可変遅延回路21Bに対応する可変遅延回路は省略されている。可変利得差動増幅器822A及び822Bは、
図2に示したシングルエンド構成における増幅器22A及び22Bに対応する。加算器823A及び823Bは、
図2に示したシングルエンド構成における加算器23に対応する。
【0072】
可変遅延回路821Aは、例えば、複数の遅延セル8210を含む。各遅延セル8210は、例えば
図18に示すように、差動増幅器およびその出力に接続された可変キャパシタを用いて構成されてもよい。また、可変利得差動増幅器822A及び822Bは、例えば
図19に示すように、カスコードCML(Current Mode Logic)を用いて構成されてもよい。
【0073】
図17の例では、結合素子31と受信回路83の間は、ACカップリングキャパシタCC1及びCC2を介して接続されている。結合素子31と受信回路83の間の信号線対に接続された抵抗TR1及びTR2は、インピーダンス整合のための並列終端回路を構成する。
図17に示された受信回路83は、ヒステリシスバッファ830、並びに差動バッファ831及び832を含む。ヒステリシスバッファ830は、例えば
図20に示すように、差動増幅段8301と、差動増幅段8301の出力に接続された可変ヒステリシス段8302を含んでもよい。ヒステリシスバッファ830は、結合素子31によって受信されるパルス信号をNRZ信号に変換する。
【0074】
<その他の実施形態>
上述した第1〜第6の実施形態は、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0075】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。