(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記他方のフィルタ配置領域には、前記R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタの透過波長域に比べて狭帯域の光を透過させる同一種類のカラーフィルタが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
前記撮像素子の前記一方のフィルタ配置領域に配置された前記複数のカラーフィルタを経て出力される情報を用いて、前記他方のフィルタ配置領域に配置された前記複数のカラーフィルタを経て出力される情報に対するデモザイクを行う画像処理部、を更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の撮像装置は、物体からの光束を結像させるための対物光学系と、第1の面と第2の面を有し、前記第1の面で前記対物光学系を経て入射した光束を反射光束と透過光束の2つの光束に分割するとともに、前記第2の面で前記透過光束を反射させる分割素子と、前記分割素子で分割された反射光束の像と透過光束の像とを撮像する1つの撮像素子を有し、前記撮像素子は、撮像面の法線が前記対物光学系の回転対象軸に対し交差する向きに配置され、且つ、複数のカラーフィルタが配置されていて前記分割素子の前記第1の面で分割された前記2つの光束のうちの前記反射光束が入射する第1のフィルタ配置領域と、前記第1のフィルタ配置領域に配置されたカラーフィルタとは透過波長特性が異なるカラーフィルタを少なくとも1種類含む複数のカラーフィルタが配置されていて前記第2の面で反射した前記透過光束が入射する第2のフィルタ配置領域を備える。
本発明のように1つの撮像素子に2つのフィルタ配置領域を設けて、分割素子で分割された反射光束と透過光束を夫々のフィルタ配置領域に入射させるとともに、一方のフィルタ配置領域には、他方のフィルタ配置領域に配置されたいずれのカラーフィルタとも透過波長特性が異なるカラーフィルタを少なくとも1種類含む複数のカラーフィルタを配置すれば、例えば、一方のフィルタ配置領域での色の情報をデモザイクする際に、他方のフィルタ配置領域での色の情報を用いることでより多くの情報を用いることができ、1つの撮像素子に複数のカラーフィルタを配置して得た色の情報のみを用いたデモザイクに比べて、精度の高いデモザイクが可能となる。
【0020】
この点について、詳しく説明する。
一般に、カラー画像を撮影する単板式の撮像装置に用いられる撮像素子は、画素に対応した光検出器の集合体と、光検出器の上方にモザイク状に配置された複数種類のカラーフィルタを有している。光検出器は、それ自体で輝度情報を検出するが色情報は検出しない。このため、撮像素子では、各光検出器の上部に複数種類のカラーフィルタを配置し、複数種類のカラーフィルタを透過した色の光を夫々の光検出器で受光することで、夫々の色についての情報を取得する。
しかし、各光検出器が受光した情報は、当該検出器の上部に配置されたカラーフィルタを透過した単色の情報であり、光検出器の集合体によって、撮像素子の全画素領域において、画素ごとに全種類のカラーフィルタの色についての情報が検出されるわけではない。従って、撮像素子で撮像した情報をそのまま用いても、同一画素位置に複数種類の色の情報が重なったカラー画像が得られない。
このため、カラー画像を撮影する単板式の撮像装置では、一般に、画像処理装置が、撮像素子における夫々の画素位置で得られた単色の情報を用いて、当該カラーフィルタの色ごとに、当該画素位置で得られた色とは異なる種類の色が得られる他の画素位置において、当該画素位置で得られた色と同じ種類の色の情報を補間して、全画素領域の情報を作り出す画像加工処理(デモザイク)を行う。そして、デモザイクされた当該カラーフィルタの色ごとの全画素領域の情報を重ね合わせることで、全画素領域のカラー画像を得ている。
デモザイクは、当該画素位置の周囲の画素位置で得られた色の情報と当該画素位置で得られた色の情報とにおける輝度の相関値を用いて演算することにより行う。
【0021】
ところで、撮像素子の画素領域の大きさに制約がなければ、光検出器の集合体の上方に配置されるカラーフィルタの種類を増やすことで、解像力を確保しながらダイナミックレンジを広げることや、色再現性を向上させることができる。
しかし、例えば、内視鏡先端挿入部に配置されるような、小型化が求められる撮像装置においては、撮像素子の大きさに制約があるため、光検出器の集合体の上方に配置されるカラーフィルタの種類を増やすと、撮像領域に占める夫々の色の情報量が減少する。また、デモザイクに用いる当該画素位置の周囲の画素位置で得られる色の情報には、当該画素位置から離れた画素位置で得られた色の情報も含まれることとなるが、当該画素位置から離れた画素位置の光強度は、当該画素位置での光強度を反映しにくくなる。このため、デモザイクした当該カラーフィルタの色ごとの全画素領域の情報の精度が低下し、デモザイクされた当該カラーフィルタの色ごとの全画素領域の情報を重ね合わせても、全画素領域のカラー画像の精度が低下し、解像力が低下してしまう。
【0022】
従って、特許文献2に記載の撮像素子のように、1つの画像が形成される撮像領域に複数種類のカラーフィルタを配置した構成では、大きさに制約のある撮像素子に採用した場合、上述したように、デモザイクの精度が落ち、解像力が確保できない。そして、カラーフィルタの種類を増やすことが難しいため、ダイナミックレンジをより一層広げることや、色再現性をより一層向上することが難しい。
【0023】
しかるに、本発明の撮像装置のように、1つの撮像素子に2つの撮像領域を設け、夫々の撮像領域に複数のカラーフィルタを配置するフィルタ領域を設ければ、ダイナミックレンジを広げるためや、色再現性を向上させるためにカラーフィルタの種類を増やしても、特許文献2に記載の撮像素子に比べて撮像領域に占める夫々の色の情報量の減少を抑えることができ、精度の高いデモザイクを行うことができ、解像力を確保することができる。
【0024】
1つの画像が形成される撮像領域に占めるカラーフィルタの割合の低下を抑えながら、カラーフィルタの種類を増やすことは、特許文献1に記載の撮像装置のように2つの撮像素子を設けることでも可能であるが、夫々の撮像素子には個体差があり、検出値にズレを生じ、デモザイクを行うと2つの撮像素子の個体差による輝度や色等の検出値のズレが、デモザイクの精度を低下させてしまう。このため、各撮像素子の個体差を原因とする検出値のズレを解消するための煩雑なキャリブレーション(表示較正処理)が必要となる。
【0025】
しかるに、本発明の撮像装置のように、1つの撮像素子に2つのフィルタ配置領域を設ければ、特許文献1に記載のような従来の2つの撮像素子を設けたタイプの撮像装置における夫々の撮像素子の個体差を原因とする検出値のズレを解消するための煩雑な表示較正処理が不要となり、より高精度なデモザイクを行うことができ、解像力を確保できる。また、2つの撮像素子で構成する場合に比べて基板配線を減らすことができ、その分の配置スペースが不要となり、撮像装置を小型化することができる。
【0026】
また、本発明の撮像装置のように、2つのフィルタ配置領域を設ければ、2つのフィルタ配置領域のうちの一方にR,G,Bのカラーフィルタを配置し、他方に特定波長のカラーフィルタを配置することにより、例えば、動画像を取得して表示装置で表示する際に、通常の可視光観察時はR,G,Bのカラーフィルタから得られた情報をデモザイク及び合成したカラー画像を表示し、必要に応じて別のフィルタ配置領域の画像の表示に切り替えることも可能となる。また、R,G,Bのカラー画像を表示しながら狭帯域の画像を重畳して表示することも可能となる。
【0027】
また、本発明の撮像装置のように、撮像面の法線が前記対物光学系の回転対象軸に対し交差する向きに撮像素子を配置すれば、撮像素子の長辺が内視鏡挿入先端部の径の大きさを定めてしまうことがなく、内視鏡挿入先端部を小型化し易くなる。なお、本発明の撮像装置における撮像素子の形状は、撮像面が対物光学系の回転対象軸に沿う方向に伸び、長辺方向に2つのフィルタ配置領域を備えた長方形となるが、一般に、内視鏡先端挿入部は対物光学系の回転対象軸方向に沿って長く伸びる構成であるため、内視鏡先端挿入部の小型化を阻害しない。
従って、本発明の撮像装置によれば、小型化と解像力が確保された多バンド画像の取得が可能な撮像装置が実現できる。
【0028】
また、本発明の撮像装
置は、前記第1のフィルタ配置領域と前記第2のフィルタ配置領域のうちの一方のフィルタ配置領域には、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタが配置され、他方のフィルタ配置領域には、前記R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタのいずれとも透過波長域が異なる少なくとも1種類のカラーフィルタが配置されてい
る。
第1のフィルタ配置領域と第2のフィルタ配置領域のうちの一方のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタをR,G,Bのカラーフィルタで構成すれば、通常の可視光画像が取得可能となる。
【0029】
また、本発明の撮像装置においては、前記他方のフィルタ配置領域には、前記R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタの透過波長域に比べて狭帯域の光を透過させる同一種類のカラーフィルタが配置されているのが好ましい。
他方のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタを狭帯域の光を透過させる同一種類のカラーフィルタで構成すれば、1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報が得られるので、デモザイクを行うことなく、例えばNBIなどの、内視鏡で重要とされる波長域の画像が取得可能となり、また、画像を取得する際のノイズの影響を最小限に抑えることができる。
【0030】
また、本発明の
他の形態の撮像装
置は、前記第1のフィルタ配置領域と前記第2のフィルタ配置領域のうちの一方のフィルタ配置領域には、透過ピーク波長を短波長側に持つカラーフィルタが配置され、他方のフィルタ配置領域には、前記一方のフィルタ配置領域に配置されたいずれのカラーフィルタよりも透過ピーク波長を長波長側に持つカラーフィルタが配置されてい
る。
光学系の屈折率は波長に応じて異なり、結像位置(像面の位置)は波長ごとに異なる。しかるに、一方のフィルタ配置領域に相対的に短波長を透過するカラーフィルタを配置し、他方のフィルタ配置領域に相対的に長波長を透過するカラーフィルタを配置すれば、1つの画像が形成される夫々の撮像領域に結像する各波長の長さの差を小さくすることができ、1つの画像が形成される夫々の撮像領域において、像面を揃え易くなり、像面を合わせるための調整を簡易化できる。
【0031】
また、本発明の
参考例の撮像装置においては、前記第1のフィルタ配置領域と前記第2のフィルタ配置領域のうちの一方のフィルタ配置領域には、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタのうちの1種類又は2種類のカラーフィルタが配置され、他方のフィルタ配置領域には、前記R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタのうちの前記一方のフィルタ領域に配置されていない残りの種類のカラーフィルタを少なくとも含むカラーフィルタが配置されているのが好ましい。
このようにすれば、2つのフィルタ配置領域のいずれか一方を経て出力された情報を用いて、他方のフィルタ配置領域を経て出力された画像についてR,G,Bのデモザイクをすることができる。また、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタを、2つのフィルタ配置領域のいずれかの領域に分けて配置すれば、夫々のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタの種類を減らすことができるので、デモザイクの精度が向上し、高解像力を確保することができる。
【0032】
また、本発明の撮像装置においては、前記分割素子の前記第1の面は、前記対物光学系を経て入射した光束の一部を前記撮像素子の前記第1のフィルタ配置領域に向けて反射させるのが好ましい。
例えば、分割素子の第1の面にハーフミラーを用いれば、簡易な構成で分割した光束を夫々のフィルタ配置領域に入射させることが可能となる。
【0033】
また、本発明の撮像装置においては、前記分割素子の前記第1の面が、前記対物光学系を経て入射した光束の一部を前記撮像素子の前記第1のフィルタ配置領域から外れる方向に反射させるとともに、更に、前記第1のフィルタ配置領域から外れる方向に反射した後の前記反射光束を、前記撮像素子の前記第1のフィルタ配置領域に入射するように、反射させる反射部材を有するのが好ましい。
例えば、分割素子の第1の面に偏光ビームスプリッタを用いれば、上記反射部材を介して第1、第2のフィルタ配置領域までの光路長を同じにすることができ、1つの画像が形成される夫々の撮像領域における結像状態の調整を簡易化できる。
【0034】
また、本発明の撮像装置においては、前記撮像素子の前記一方のフィルタ配置領域に配置された前記複数のカラーフィルタを経て出力される情報を用いて、前記他方のフィルタ配置領域に配置された前記複数のカラーフィルタを経て出力される情報に対するデモザイクを行う画像処理部、を更に有するのが好ましい。
一方のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタを経て出力される情報を用いて他方のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタを経て出力される情報に対するデモザイクを行えば、1つのフィルタ配置領域に複数のカラーフィルタが配置された単板で得られる情報のみを用いたデモザイクに比べて、デモザイクに用いる色の情報の種類や量を増やすことができるため、精度の高いデモザイクが可能となり、解像力を確保し易くなる。
【0035】
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる撮像装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
図2は
図1の撮像装置に用いられる撮像素子の第1及び第2のフィルタ配置領域に備えられる、カラーフィルタの配置例を模式的に示す平面図で、(a)は一例を示す図、(b)は他の例を示す図である。
図3は
図1の撮像装置の比較例にかかる従来の撮像装置に用いられる撮像素子のフィルタ配置領域に備えられる、カラーフィルタの配置例を模式的に示す平面図で、(a)は
図2(a)の例に対する比較例を示す図、(b)は
図2(b)の例に対する比較例を示す図である。
図4は
図1の撮像装置に用いられる撮像素子の第1及び第2のフィルタ配置領域に備えられる、カラーフィルタの配置の組合せを示す表である。
【0036】
第1実施形態の撮像装置は、対物光学系1と、分割素子2と、λ/4板3と、ミラー4と、撮像素子5と、画像処理装置6を有している。
図1中、7は表示装置である。
【0037】
対物光学系1は、物体からの光束を結像させる。
分割素子2は、第1の面としての偏光ビームスプリッタ面2a1を持つ偏光ビームスプリッタ2aと、第2の面としてのミラー面2b1を持つミラー2bを有して構成されている。
偏光ビームスプリッタ2aは、対物光学系1を経た光束が偏光ビームスプリッタ面2a1に入射する位置に配置されている。偏光ビームスプリッタ面2a1は、入射光束中のP波,S波の偏光成分に応じて反射光束と透過光束の2つの光束に分割する。また、偏光ビームスプリッタ面2a1は、反射光束が撮像素子5とは反対側(ここではミラー4側)に向かうように配置されている。
また、偏光ビームスプリッタ2aは、矢印AB方向に移動可能に構成されており、偏光ビームスプリッタ面2a1で分割された、撮像素子5の後述する第1のフィルタ配置領域5a1に入射する光束の光路長と後述する第2のフィルタ配置領域5a2に入射する光束の光路長や、撮像面での結像位置を微調整することができるようになっている。
なお、
図1の例では、分割素子2を、偏光ビームスプリッタ2aとミラー2bとを独立した部材で構成したが、分割素子2は、偏光ビームスプリッタ2aとミラー2bとが一体化したプリズムで構成されていてもよい。
ミラー2bは、対物光学系1を経て偏光ビームスプリッタ面2a1で分割された光束のうちの透過光束がミラー面2b1に入射する位置に配置されている。ミラー面2b1は、入射する光束を、撮像素子5の第2のフィルタ配置領域5a2に入射するように、反射させる。
λ/4板3は、偏光ビームスプリッタ面2a1で反射した光束の位相を90度変換するとともに、ミラー4で反射した光束の位相を90度変換する。
ミラー4は、偏光ビームスプリッタ面2a1で反射し、λ/4板3で位相を90度変換された光束を、撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に入射するように、折り返し方向に反射させる。
【0038】
撮像素子5は、カラーフィルタ配置部5aと画素に対応した光検出器の集合体からなる撮像部5bを有し、細長状に形成されている。また、撮像素子5は、撮像面の法線が対物光学系1の回転対象軸に対し交差する向き(
図1の例では垂直)に配置されている。
カラーフィルタ配置部5aは、第1のフィルタ配置領域5a1と第2のフィルタ配置領域5a2を有している。
第1のフィルタ配置領域5a1には、
図2(a)に示すように、複数のカラーフィルタとして、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタが、例えばベイヤ配列等の所定の配列でモザイク状に配置されている。
また、第2のフィルタ配置領域5a2には、少なくとも1種類のカラーフィルタがR,G,B以外の波長域の光を透過させるカラーフィルタである、複数のカラーフィルタとして、例えば、
図2(a)に示すように、R,G,Bに対して補色関係にあるCy(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタが、ベイヤ配列等の所定の配列でモザイク状に配置されている。なお、第2のフィルタ配置領域5a2における複数のフィルタの配置構成は、
図2(b)に示すように、狭帯域Nの光を透過させる同一種類のカラーフィルタを第2のフィルタ配置領域5a2における全画素領域に配置したものでもよい。
【0039】
画像処理装置6は、図示省略した中央処理演算装置に設けられていて、画像処理部6aを有し、撮像素子5に接続している。画像処理部6aは、撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に配置された複数のカラーフィルタから出力された情報を用いて、第2のフィルタ配置領域5a2に配置された複数のカラーフィルタから出力される情報のデモザイクや合成等の画像処理を行うことができるように構成されている。なお、画像処理部6aは、撮像素子5における同一のフィルタ配置領域に配置された複数種類のカラーフィルタから出力された情報を用いて、当該フィルタ配置領域に配置された複数のカラーフィルタから出力される情報のデモザイクや合成等の画像処理も行うこともできる。
表示装置7は、画像処理装置6で画像処理された後の情報を表示する。
【0040】
このように構成された第1実施形態の撮像装置では、物体からの光束は、対物光学系1を経て、偏光ビームスプリッタ2aに入射する。偏光ビームスプリッタ2aに入射した光束は、偏光ビームスプリッタ面2a1で直線偏光のS偏光成分とP偏光成分のうちの一方の偏光成分の反射光束と、他方の成分の透過光束とに分離される。
【0041】
偏光ビームスプリッタ面2a1で反射した一方の偏光成分の直線偏光の光束は、λ/4板3を通り、偏光状態が円偏光に変換され、ミラー4に入射する。ミラー4で反射した光束は、再びλ/4板3を通り、偏光状態が円偏光から他方の偏光成分の直線偏光に変換され、再び偏光ビームスプリッタ2aに入射し、偏光ビームスプリッタ面2a1を透過して、撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に結像する。このとき、第1のフィルタ配置領域5a1には、複数のカラーフィルタとして、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタがモザイク状の配列で配置されている。このため、撮像部5bにおける第1のフィルタ配置領域5a1に対応する撮像領域に配置されている複数の光検出器を介して、R,G,Bの各色がモザイク状に点在する単板式の情報が取得される。
【0042】
一方、対物光学系1を経て偏光ビームスプリッタ2aに入射したときに偏光ビームスプリッタ面2a1を透過した他方の偏光成分の直線偏光の光束は、ミラー2bのミラー面2b1で反射し、撮像素子5の第2のフィルタ配置領域5a2に結像する。このとき、第2のフィルタ配置領域5a2には、複数のカラーフィルタとして、R,G,B以外の波長帯域の光を透過させる複数種類のカラーフィルタ(例えば、R,G,Bに対して補色関係にあるCy(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタ)がモザイク状の配列で配置されている。又は全領域を狭帯域Nの波長帯域の光を透過させる同一種類のカラーフィルタが配置されている。このため、撮像部5bにおける第2のフィルタ配置領域5a2に対応する位置に配置されている複数の光検出器を介してCy,M,Yの色がモザイク状に点在する単板式の情報、又は狭帯域Nの色からなる単板式の情報が取得される。
【0043】
画像処理装置6の画像処理部6aは、撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に配置された複数のカラーフィルタから出力される情報を用いて、第2のフィルタ配置領域5a2に配置された複数のカラーフィルタから出力される情報のデモザイクを行う。次いで、デモザイクされた当該カラーフィルタの色ごとの全座標領域の情報を重ね合わせて、全座標領域のカラー画像を合成する。
表示装置7は、画像処理部6によるデモザイク及び合成等の画像処理を経て作成されたカラー画像を表示する。
【0044】
第1実施形態の撮像装置によれば、1つの撮像素子5に2つのフィルタ配置領域5a1,5a2を設けて、分割素子2で分割された反射光束と透過光束を夫々のフィルタ配置領域5a1,5a2に入射させるとともに、フィルタ配置領域5a1,5a2のうちの一方のフィルタ配置領域には、他方のフィルタ配置領域に配置されたいずれのカラーフィルタとも透過波長特性が異なるカラーフィルタを少なくとも1種類含む複数のカラーフィルタを配置したので、一方のフィルタ配置領域での色の情報をデモザイクする際に、他方のフィルタ配置領域での色の情報を用いることで、より多くの情報を用いることができ、精度の高いデモザイクが可能となる。しかも、第1実施形態の撮像装置によれば、1つの撮像素子5の撮像面上に2つのフィルタ配置領域5a1,5a2を設けたので、特許文献1に記載のような従来2つの撮像素子を設けたタイプの撮像装置における夫々の撮像素子の個体差を原因とする検出値のズレを解消するための煩雑な表示較正処理が不要となり、より高精度なデモザイクを行うことができ、解像力を確保できる。また、2つの撮像素子で構成する場合に比べて基板配線を減らすことができ、その分の配置スペースが不要となり、撮像装置を小型化することができる。
【0045】
そして、第1実施形態の撮像装置によれば、第1のフィルタ配置領域5a1に配置される複数のカラーフィルタを、R,G,Bの夫々の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタで構成したので、通常の可視光画像が取得可能となる。ここで、第2のフィルタ配置領域5a2に配置される複数のカラーフィルタを、R,G,Bに対して補色関係にあるCy,M,Yの波長域の光を透過させるカラーフィルタで構成した場合には、デモザイクの精度が上がるとともに、合成した画像の色再現性(色再現範囲)が向上する。
【0046】
また、第2のフィルタ配置領域に配置されるカラーフィルタを、狭帯域Nの光を透過させる同一種類のカラーフィルタで構成した場合には、1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報が得られるので、デモザイクを行うことなく、例えばNBIなどの、内視鏡で重要とされる波長域の画像が取得可能となり、また、画像を取得する際のノイズの影響を最小限に抑えることができる。
【0047】
これに対し、特許文献2に記載の撮像素子のように、1つの撮像素子における各画素位置に複数種類のカラーフィルタを割り当てて配置する構成では、撮像領域全体において夫々のカラーフィルタの占める割合が少なくなり、撮像領域に占める夫々の色の情報量が少なくなるため、解像度を確保することが難しい。
【0048】
図3(a)は
図2(a)の例に対する比較例にかかるカラーフィルタの配置例を示す図である。
図3(a)に示す比較例の撮像素子では、第1実施形態の撮像装置における1つのフィルタ配置領域と同じ大きさの領域に、R,G,B,Cy,M,Yの夫々の波長域の光を透過させる6種類のカラーフィルタが配置されている。
このように構成された
図3(a)に示す比較例の撮像素子では、
図2(a)の例に比べて、撮像領域に占める夫々の色の情報量が半減するため、高精度なデモザイクを行うことができない。その結果、デモザイクされた当該カラーフィルタの色ごとの全画素領域の情報を重ね合わせても、全画素領域のカラー画像の精度が低下し、解像力が低下してしまう。
【0049】
図3(b)は
図2(b)の例に対する比較例にかかるカラーフィルタの配置例を示す図である。
図3(b)に示す比較例の撮像素子では、第1実施形態の撮像装置における1つのフィルタ配置領域と同じ大きさの領域に、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させるカラーフィルタと狭帯域Nの光を透過させるカラーフィルタの合計4種類のカラーフィルタが配置されている。
このように構成された
図3(b)に示す比較例の撮像素子では、
図2(b)の例に比べて、撮像領域に占める夫々の色の情報量が少なくなるため、解像度を確保することが難しい。また、1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報を得る構成ではないため、デモザイクを行わなければ、例えばNBIなどの、内視鏡で重要とされる波長域(狭帯域N)の画像を取得することができない。しかも、各色の情報のデモザイクを行う際に、1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報を用いることができないため、高精度なデモザイクを行うことができない。その結果、デモザイクされた当該カラーフィルタの色ごとの全座標領域の情報を重ね合わせても、全座標領域のカラー画像の精度が低下し、解像力が低下してしまう。
【0050】
なお、第一実施形態の撮像装置における第1及び第2のフィルタ配置領域5a1,5a2に配置されるカラーフィルタの組合せは、
図2に示した組合せに限定されるものではなく、例えば、
図4の表に示すような組合せであってもよい。
【0051】
例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にR,G,Bのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2に赤外及び/又は紫外のフィルタを配置してもよい。このようにすれば、医療分野において、患部、術部を可視光と共に特定波長で観察することができる。
【0052】
また、例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にR,G,Bのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2にLR(ライトレッド),LG(ライトグリーン),LB(ライトブルー)のフィルタを配置してもよい。このようにすれば、同種の色について異なる透過波長域を持つフィルタを経た情報が得られるので、ダイナミックレンジを広げることができる。
【0053】
また、例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にR,G,Bのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2にW(白)のフィルタを配置してもよい。このようにすれば、第2のフィルタ配置領域5a2に配置されたWのフィルタを経て取得された色の情報を基準として用いて、第1のフィルタ配置領域5a1に配置されたR,G,Bの夫々のフィルタを経て取得された色の情報のデモザイクを行う際に、夫々の色の情報が算出し易くなり、しかも、撮像領域全体で同一種類の波長域の情報を用いることができるので、高精度なデモザイクを行うことができ、解像力を確保できる。
【0054】
また、
例えば、本実施形態の参考例の撮像装置として、第1のフィルタ配置領域5a1と第2のフィルタ配置領域5a2のうちの一方のフィルタ配置領域には、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタのうちの1種類又は2種類のカラーフィルタを配置し、他方のフィルタ配置領域には、R,G,Bの夫々の波長域の光を透過させる3種類のカラーフィルタのうちの一方のフィルタ領域に配置されていない残りの種類のカラーフィルタを少なくとも含むカラーフィルタを配置してもよい。
【0055】
例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にGのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2にR,B,Cy,Or(オレンジ)のフィルタを配置してもよい。このようにすれば、カラーフィルタの種類が増えるので色再現性を向上させることができ、しかも、第1のフィルタ配置領域5a1にGのフィルタのみを配置したことにより1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報が得られるので、第2のフィルタ配置領域5a2に配置されたR,B,Cy,Orの夫々の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタを経て取得された各色の情報のデモザイクを行う際に、撮像領域全体でGの色の情報を用いることで、高精度なデモザイクを行うことができる。
【0056】
また、例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にGのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2にR,Bのフィルタを配置してもよい。このようにすれば、夫々のフィルタのフィルタ配置領域に配置されるフィルタの種類を減らすことができ、しかも、第1のフィルタ配置領域5a1にGのフィルタのみを配置したことにより1つの画像が形成される撮像領域全体で同一種類の波長域の情報が得られるので、高精度なデモザイクを行うことができ、高解像力を確保することができる。
【0057】
また、例えば、第1のフィルタ配置領域5a1にG,Wのフィルタ、第2のフィルタ配置領域5a2にR,Bのフィルタを配置してもよい。このようにしても、夫々のフィルタのフィルタ配置領域に配置されるフィルタの種類を減らすことができ、また、Wのフィルタを経て取得された色の情報を基準として用いて、他の色の情報とのデモザイクを行うことにより、夫々の色の情報が算出し易くなるので、高精度なデモザイクを行うことができ、高解像力を確保することができる。
【0058】
なお、第1実施形態の撮像装置における2つのフィルタ配置領域5a1,5a2に配置されるカラーフィルタの組合せは、互いに入れ替えたものであってもよい。
また、例えば、
図2(a)に示したように、一方のフィルタ配置領域5a1に配置される複数のカラーフィルタを、R,G,Bの夫々の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタで構成し、他方のフィルタ配置領域5a2に配置される複数のカラーフィルタを、R,G,Bに対して補色関係にあるCy,M,Yの波長域の光を透過させるカラーフィルタで構成する場合に、夫々のフィルタ配置領域におけるカラーフィルタの配置を、一方のフィルタ配置領域における当該画素位置に配置されるカラーフィルタに対し、他方のフィルタ配置領域における対応する画素位置に配置されるカラーフィルタが捕色関係となるように各カラーフィルタを配置するのが好ましい。このようにすれば、対応する画素位置ごとに夫々の色の情報が算出し易くなるので、高精度なデモザイクを行うことができ、高解像力を確保することができる。
【0059】
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態にかかる撮像装置の構成を示す説明図で、(a)は撮像素子の第1及び第2のフィルタ配置領域に備えられる、カラーフィルタの配置例を模式的に示す平面図、(b)は第1及び第2のフィルタ配置領域に備えられる、カラーフィルタの透過ピーク帯域を模式的に示すグラフである。
第2実施形態の撮像装置では、第1のフィルタ配置領域5a1に配置された全ての種類のカラーフィルタλ
1〜λ
3が、透過ピーク波長を短波長側に持つカラーフィルタで構成され、第2のフィルタ配置領域5a2に配置された全ての種類のカラーフィルタλ
4〜λ
6が、透過ピーク波長を長波長側に持つカラーフィルタで構成されている。なお、ここでは、透過ピーク波長λnは、
図5(b)に示すように、λ1<λ2<λ3<λ4<λ5<λ6となっている。
その他の構成は、第1実施形態の撮像装置と略同じである。
【0060】
第2実施形態の撮像装置によれば、第1のフィルタ配置領域5a1に相対的に短波長を透過するカラーフィルタを配置し、第2のフィルタ配置領域5a2に相対的に長波長を透過するカラーフィルタを配置したので、1つの画像が形成される夫々の撮像領域に結像する各波長の長さの差を小さくすることができ、1つの画像が形成される夫々の撮像領域において、像面を揃え易くなり、像面を合わせるための調整を簡易化できる。
その他の作用効果は、第1実施形態の撮像装置と略同じである。
【0061】
第3実施形態
図6は本発明の第3実施形態にかかる撮像装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
第3実施形態の撮像装置は、分割素子2が、第1の面としてのハーフミラー面2a1’を持つハーフミラー2a’と、第2の面としてのミラー面2b1を持つミラー2bを有して構成されている。
ハーフミラー2a’は、対物光学系1を経て入射した光束がハーフミラー面2a1’に入射するように配置されていて、ハーフミラー面2a1’で、反射光束と透過光束の2つの光束に分割する。また、ハーフミラー面2a1’は、反射光束が撮像素子5の第1のフィルタ配置領域に向かうように配置されている。
また、第3実施形態の撮像装置では、λ/4板3,ミラー4は、配置されていない。
その他の構成は、第1実施形態の撮像装置と略同じである。
【0062】
このように構成された第3実施形態の撮像装置では、物体からの光束は、対物光学系1を経てハーフミラー2a’に入射する。ハーフミラー2a’に入射した光は、ハーフミラー面2a1’で反射光束と、透過光束とに分離される。
ハーフミラー面2a1’で反射した光束は、撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に結像する。
一方、対物光学系1を経てハーフミラー2a’に入射したときにハーフミラー面2a1’を透過した光束は、ミラー2bのミラー面2b1で反射され、撮像素子5の第2のフィルタ配置領域5a2に結像する。
【0063】
第3実施形態の撮像装置によれば、分割素子2の第1の面をハーフミラー面2a1’で構成し、ハーフミラー面2a1’で反射した光束が撮像素子5の第1のフィルタ配置領域5a1に結像するようにしたので、第1実施形態や第2実施形態の撮像装置における直線偏光成分の位相を変換するためのλ/4板3やミラー4を設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。
その他の作用効果は、第1実施形態の撮像装置と略同じである。