(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
〔コネクタの全体構成〕
図1,2に示すように、コネクタ100は、雌コネクタ1と、台部2に固定される雄コネクタ3とを備えている。
図1に示すように、雄コネクタ3は、台部2を挟んで互いに反対側に配置されたフード部40及び本体部50を有する。
図1,2に示すように、フード部40は、雌コネクタ1と台部2との間に配置され、ボルト62,63によって台部2に固定される。台部2は、筐体の上板の一部であり、
図1に示すように、台部2には、本体部50が配置される貫通孔21と、貫通孔21の両側においてボルト62,63が挿入可能な孔22,23とが形成されている。
【0019】
(雌コネクタ1)
図1に示すように、雌コネクタ1は、絶縁性の樹脂で形成された雌ハウジング10と、雌ハウジング10に装着された複数の雌コンタクトとを有している。
図1には、雌コンタクトに接続された複数の配線11を示している。
図3に示すように、雌ハウジング10は、底壁部12と、底壁部12の周縁に沿って形成された環状壁13とを有し(
図1参照)、環状壁13の左壁部14には貫通穴14aが形成されている。また、底壁部12は、右端を基点として左端が下がるように水平方向に対して傾斜している。このような構成から、環状壁13の内側に流体(水等)が入っても、流体は、傾斜した底壁部12により左壁部14側に流れ、貫通穴14aから環状壁13の外側へ排出される。よって、環状壁13の内側に流体が溜まるのを抑止できる。
【0020】
(雄コネクタ3)
<フード部40>
図1に示すように、雄コネクタ3のフード部40は、本体部50を覆う角筒状の筒部41,42と、筒部41の外側に設けられた平板状の対向部43とを有している。対向部43は、平面視において略六角形状に形成され、台部2に対して上下方向に対向するように配置される。
【0021】
図4に示すように、対向部43と台部2との間には環状のシール部材80が配置され、シール部材80により対向部43と台部2との間が密封されている。シール部材80は、対向部43の台部2と対向する面に形成された溝44に嵌合している。また、対向部43には、溝44の外側にボルト62,63が挿通する貫通孔45,46が設けられている。シール部材80及びシール部材80が嵌合した溝44の詳細については後述する。
【0022】
<本体部50>
本体部50は、
図1に示すように、複数の雄コンタクト51と、絶縁性の樹脂で形成された本体ハウジング52とを有している。本体ハウジング52には、
図1,4に示すように、複数の雄コンタクト51を保持する平板状の保持部53,54と、保持部53,54の周縁に沿って形成された包囲壁55,56とが形成されている。保持部53,54は平面視において略四角形状に形成され、複数の雄コンタクト51が保持部53,54に装着されている。このような構成からなる本体部50は、
図1に示すように、台部2の下方から貫通孔21を通過してフード部40に嵌合する。本体部50がフード部40に嵌合した状態では、
図4(a)に示すように、筒部41,42の内壁面と、その内側に配置された包囲壁55,56の外壁面とが、近接して配置される。
【0023】
<雄コネクタ3の構成>
図4(a)に示すように、フード部40の筒部41,42には、本体部50の包囲壁55,56の上端部と対向する部分に、包囲壁55,56の上端部が嵌る溝41a,42aが形成されている。溝41a,42aを画定する内壁面と包囲壁55,56の上端部との間には、上方向に突出した山形の経路が形成されている(
図4(a)の拡大図及び矢印A参照)。このように、上方に向かった経路が形成されることにより、筒部41,42の内側に流体(水等)や異物が進入しても、流体や異物は、上方向に殆ど流れず、包囲壁55,56の上端である頂部を乗り越えることは殆どない(
図4(a)の拡大図における頂部55a参照)。したがって、流体や異物が、筒部41,42と包囲壁55,56との間を通って下方に流れることを防止できるため、筐体内部への流体の進入を防ぐことが出来る。
【0024】
また、
図1及び
図4(b)に示すように、台部2の貫通孔21の周囲には、台部2の外周側部分より少し高い高段部24が形成されている。これにより、流体が台部2とフード部40の対向部43との間に浸入しようとしても(
図4(b)の矢印参照)、高段部24により流体の浸入を抑止できる。
【0025】
次に、フード部40と、フード部40の溝44に嵌められたシール部材80とについて、
図4(b)及び
図5,6を参照しつつ説明する。
【0026】
シール部材80は、樹脂により形成され、
図5,6に示すように、環状の封止部81を有している。封止部81は略矩形状に形成され、互いに対向する2つの長尺部(辺)82,83と、互いに対向する2つの短尺部84,85とを有している。
図4(b)に示すように、封止部81は、フード部40の対向部43と台部2の高段部24との間に配置される。これにより、対向部43と台部2との間を流れる流体が封止部81の内側に流れることを防止できるため、封止部81の内側に配置されている雄コンタクト51に流体が接触することを防止できる。
【0027】
また、
図5に示すように、長尺部82,83は、それぞれ、長手方向の端部から離れるにしたがって対向する長尺部83,82から離れるように形成され、長手方向の中央部82a,83aが封止部81の外側に向かって突出するように形成されている。具体的には、長尺部82,83は、中央部82a,83aを基点として、両端部が対向する長尺部83,82に近付くように、水平な線P
1,P
2に対して傾斜している。ここで、
図5に示す、水平な線P
1,P
2とは、短尺部84,85の長手方向に垂直な線である。このように、長尺部83,82が中央部82a,83aから両端部まで傾斜していることにより、流体が長尺部82,83の中央部82a,83aに向かって流れても、その後、中央部82a,83aから長尺部82,83の傾斜に沿って端部にまで流れるため(
図5の矢印参照)、流体が中央部82a,83aに溜まることを抑止できる。なお、
図5では、流体が長尺部82,83の中央部82a,83aに向かって流れる場合について示しているが、長尺部82,83に対して流体が流れる部分は、中央部82a,83aに限られない。
【0028】
また、
図5,6に示すように、短尺部84,85には、それぞれ、長手方向の略中央に、封止部81の径方向外側に向かって突出した突出部86,87が形成されている。突出部86と突出部87とは、封止部81の周方向について半周長さ(封止部81の周長さの1/2)離間している。また、シール部材80は射出成形されたものであり、射出成形において金型内の略環状の空間(
図7に示す空間91)に樹脂を充填したとき、樹脂が最後に充填される最終充填部に突出部86が形成され、樹脂が最初に充填される注入口部近傍に突出部87が形成される。
【0029】
そして、上記シール部材80の封止部81と突出部86,87とは、
図5に示すように、フード部40の底面(下面)に形成された溝44に嵌合している(
図4(a)参照)。溝44は、シール部材80に沿った形状に形成され、長尺部82,83に沿うように傾斜している。
【0030】
次に、
図7を参照しつつシール部材80の製造方法について説明する。
【0031】
先ず、加熱溶融した樹脂を金型90内の空間91に注入する。空間91は、
図6に示すシール部材80と略同形状に形成され、環状の空間91A(封止部81に相当)と、環状の空間91Aの半周位置(2箇所)からそれぞれ径方向外側に向かって突出した空間91B,91C(突出部86,87に相当)とからなる。また、金型90には、空間91と外部とを連通させるスプルー(流入通路)92が形成されている。スプルー92は空間91Cに接続されており、外部からスプルー92を介して空間91に樹脂を注入することができる。このような構成から、空間91に注入された樹脂は、最初に空間91C(突出部87に相当)へ充填され、その後、環状の空間91Aに充填され、最後に空間91B(突出部86)に充填される。
【0032】
その後、金型90内の樹脂を冷却する。金型90には複数の貫通孔(
図7に示す貫通孔93,94,95等)が形成されており、貫通孔内に冷却水が供給されることで樹脂が冷却される。これにより、樹脂が硬化し、シール部材80の形状となると、金型90を開き、硬化した樹脂(シール部材80)を取り出す。
【0033】
以上から、得られたシール部材80において、突出部87は、樹脂が金型90の空間91内に「最初に充填される位置」(注入口近傍)に形成され、突出部86は、樹脂が金型90の空間91内に「最後に充填される位置」(最終充填部)に形成される。
【0034】
以上に述べたように、本実施形態のコネクタ100によると以下の効果を奏する。樹脂を型内に充填して成形されたシール部材では、樹脂が型内に「最初に充填される位置」(注入口近傍)と「最後に充填される位置」(最終充填部)とに、樹脂不足による成形不良(ショート)が発生しやすい。しかしながら、本実施形態のシール部材80にはこれら2つの位置に突出部86,87が形成されているため、これらの位置に樹脂が充填されている。このような位置にまで樹脂が充填されている場合は、その他の部分(樹脂が最初に充填される位置及び最後に充填される位置以外の部分)、つまり、封止部81にも樹脂が充填されているため、フード部40の対向部43と台部2とを密封する封止部81に成形不良が発生していないことを確認できる。また、上記2つの位置に突出部86,87を形成することにより、成形不良が発生しやすい位置を突出部86,87とすることができ、封止部81に成形不良が生じないようにすることができる。そして、本実施形態のコネクタ100には、このようなシール部材80が用いられるため、フード部40と台部2との間を確実に密封できる。よって、コネクタ100の防水を図ることができる。
【0035】
また、雄コネクタ3の対向部43と台部2とが、シール部材80の封止部81の軸方向に対向して配置され、突出部86,87は、封止部81の径方向に突出している。このように突出部86,87が、対向部43と台部2との対向方向(軸方向)に垂直な方向(径方向)に突出していることにより、対向部43と封止部81との間及び台部2と封止部81との間に突出部86,87が配置されないようにすることができる。これにより、対向部43と台部2との密封性を高めることができる。
【0036】
また、シール部材80の対向する2つの長尺部82,83の中央部82a,83aが封止部81の径方向外側に向かって突出するように形成されているため、長尺部82,83が中央部82a,83aから両端部まで傾斜している。これにより、長尺部82,83に向かって流れた流体は、長尺部82,83の衝突部に滞留することなく、長尺部82,83の傾斜に沿って端部側まで流れる。よって、シール部材80が流体の滞留によって変形することを防止できる。
【0037】
さらに、シール部材80には、2つの突出部86,87が封止部81の半周の位置にそれぞれ形成されているため、シール部材80には、周方向全体に亘って成形不良(ショート)が発生しにくい。コネクタ100には、このようなシール部材80を用いているため、コネクタ100の防水効果を高めることができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、
図8〜
図12を参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、雄コネクタの構成並びにシール部材の突出部の位置及び突出方向である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。また、本実施形態では、雌コネクタを省略しているが、第1実施形態の雌コネクタ1と同様な構成の雌コネクタを用いることができる。
【0039】
〔コネクタの全体構成〕
図8,9に示すように、コネクタ200は、図示しない雌コネクタが嵌合する雄コネクタ203を備えている。雄コネクタ203は、筐体の上板の一部である台部202に固定される。台部202には、略楕円状の貫通孔221が形成されており、貫通孔221には雄コネクタ203が配置される。
【0040】
(雄コネクタ203)
図8,10に示すように、雄コネクタ3は、複数の雄コンタクト230と、絶縁性の樹脂で形成された本体ハウジング240とを有している。雄コンタクト230は、金属製の細長い棒状に形成されている。
【0041】
本体ハウジング240は、複数の雄コンタクト230を保持する略楕円状の保持部241と、保持部241の上面に設けられた角筒状の上筒部242,243と、保持部241の下面に設けられた角筒状の下筒部244,245とを有している(
図10(a)参照)。そして、下筒部244,245を囲むように、保持部241の周縁に沿って略楕円状の環状壁(対向部)246が設けられている(
図10参照)。雄コネクタ203は、台部202の下方から貫通孔221に配置されることで台部202に組み付けられる(
図9参照)。雄コネクタ203が台部202に組み付けられた状態では、
図10に示すように、環状壁(対向部)246が台部2と水平方向(後述する封止部281の径方向)に対向して配置される。この状態において、上方から雌コネクタが雄コネクタ203に嵌合する。
【0042】
雄コネクタ203の本体ハウジング240の保持部241には、
図10に示すように、雄コンタクト230が挿通可能な複数の貫通孔が保持部241に形成されている。また、保持部241を挟んで、上筒部242と下筒部244とが上下方向に並んで配置されているとともに上筒部243と下筒部245とが上下方向に並んで配置されている。
【0043】
そして、保持部241の周縁に沿って設けられた環状壁246の外周部には、
図10に示すように、周方向に沿って、径方向に凹んだ凹部246aが形成されている。凹部246aは、外側に向かって開口し、内部にシール部材280が配置されている。このような構成から、雄コネクタ203を台部202に組み付けたとき、環状壁246と台部202との間がシール部材280によって密封される。これにより、流体が環状壁246と台部202との間を下方向(後述する封止部81の軸方向)に流れても、シール部材280によって流体が下方に流れることを防止できる。そのため、シール部材280の内側に配置された雄コンタクト230に流体が接触することを防止できる。なお、環状壁246の外周は、台部202の内周縁と略同じ大きさに形成されている。
【0044】
ここで、
図8に戻って、環状壁246の凹部246aについて詳細に説明する。略楕円状の環状壁246の互いに対向する略直線状の2つの長尺部分には、中央付近において、凹部246aの上側面に、上方に向かって凹んだ上凹部246uが形成され、凹部246aの下側面に、下方に向かって凹んだ下凹部246lが形成されている(
図10(b)参照)。上凹部246u及び下凹部246lには、シール部材280の一部が配置されている。
【0045】
次に、シール部材280について、
図10〜12を参照しつつ説明する。
【0046】
シール部材280は、樹脂により形成され、
図11に示すように、環状の封止部281を有している。封止部281は、互いに対向する略直線状の2つの長尺部282,283と、互いに対向する湾曲状の2つの短尺部284,285とを有している。長尺部282の長手方向の中央付近には、上方向に突出した突出部286と、下方向に突出した突出部287とが形成されている。また、長尺部283の長手方向の中央付近にも、上方向に突出した突出部288と、下方向に突出した突出部289とが形成されている。ここで、本実施形態では、封止部281の軸方向を上下方向とし、封止部281の径方向を水平方向として説明している。
【0047】
また、突出部286,287と、突出部288,289とは、封止部281の周方向について半周長さ(封止部281の周長さの1/2)離間している。シール部材280は射出成形されたものであり、射出成形において金型内の略環状の空間(
図12に示す空間291)に樹脂を充填したとき、樹脂が最後に充填される最終充填部に突出部286,287が形成され、樹脂が最初に充填される注入口部近傍に突出部288,289が形成されている。
【0048】
そして、本体ハウジング240の凹部246aにシール部材280を嵌めると、上方向に突出した突出部286,288は、
図10に示すように、上凹部246u内に配置され、下方向に突出した突出部287,289は、下凹部246l内に配置される。
【0049】
次に、
図12を参照しつつシール部材280の製造方法について説明する。
【0050】
先ず、加熱溶融した樹脂を金型290内の空間291に注入する。空間291は、シール部材280と略同形状に形成され、環状の空間291A(封止部281に相当)を有している。また、環状の空間291Aの半周位置(2箇所)には、それぞれ、軸方向に向かって突出した空間291B,291C(突出部286,287に相当)と、空間291D,291E(突出部288,289に相当)とが形成されている。空間291Bと空間291Cとは、環状の空間291Aの軸方向(
図12の左右方向)について互いに反対側に突出し、空間291Bは注入側(
図12の右方向)に向かって突出し、空間291Cは注入と反対側(
図12の左方向)に向かって突出している。また、空間291Dと空間291Eも、環状の空間291Aの軸方向について互いに反対側に突出し、空間291Dは注入側(
図12の右方向)に向かって突出し、空間291Eは注入と反対側(
図12の左方向)に向かって突出している。
【0051】
また、金型290には、空間291と外部とを連通させるスプルー(流入通路)292が形成されている。スプルー292は、空間291Dに接続されており、外部からスプルー292を介して空間291に樹脂を注入することができる。このような構成から、空間291に注入された樹脂は、最初に空間291D,291E(突出部288,289に相当)に充填され、その後、環状の空間291Aに流れて最後に空間291B,291C(突出部286,287に相当)に充填される。
【0052】
その後、金型290内の樹脂を冷却する。金型290には複数の貫通孔(
図12に示す貫通孔293,294,295等)が形成されており、貫通孔内に冷却水が供給されることで樹脂が冷却される。これにより、樹脂が硬化し、シール部材280の形状となると、金型290を開き、硬化した樹脂(シール部材280)を取り出す。
【0053】
以上から、得られたシール部材280において、突出部288,289は、樹脂が金型290の空間291内に「最初に充填される位置」(注入口近傍)に形成され、突出部286,287は、「最後に充填される位置」(最終充填部)に形成される。
【0054】
以上に述べたように、本実施形態のコネクタ200においても、シール部材280において、樹脂不足による成形不良(ショート)が発生しやすい2つの位置(樹脂が型内に「最初に充填される位置」と「最後に充填される位置」)に突出部286,287,288,289が形成されているため、これらの位置に樹脂が充填されている。このような位置にまで樹脂が充填されている場合は、その他の部分(樹脂が最初に充填される位置及び最後に充填される位置以外の部分)、つまり、封止部281にも樹脂が充填されているため、雄コネクタ203の環状壁246と台部202とを密封する封止部281に成形不良が発生していないことを確認できる。また、上記2つの位置に突出部286,287,288,289を形成することにより、成形不良が発生しやすい位置を突出部286,287,288,289とすることができ、封止部281に成形不良が生じないようにすることができる。そして、本実施形態のコネクタ200には、このようなシール部材280が用いられるため、雄コネクタ203の本体ハウジング240と台部202との間を確実に密封できる。よって、コネクタ200の防水を図ることができる。
【0055】
また、雄コネクタ203の本体ハウジング240が1つの部材からなるため、部品点数を少なくすることができる。さらに、雄コネクタ203を台部202の下方から貫通孔221に配置するだけで雄コネクタ203を台部2に簡易に組み付けることができる。このため、コネクタ200の組立に際して、組立工程を少なくすることができるとともにコストを低減できる。
【0056】
また、シール部材280には、封止部281の半周位置に略同形状の突出部286,287,288,289が形成され、突出部は上方向にも下方向にも突出しているため、シール部材280は上下対称及び左右対称の構造となっている。このため、シール部材280を本体ハウジング240の凹部246a、上凹部246u及び下凹部246lに配置するときに、シール部材280の向き(上下方向、左右方向)を考慮しなくてよいため、シール部材280を簡易に凹部246a等内に嵌めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、雄コネクタ3の環状壁(対向部)246と台部202とがシール部材280の封止部281の径方向に対向して配置され、突出部286,287,288,289は、封止部281の軸方向に突出している。このように突出部286,287,288,289が、環状壁246と台部202との対向方向(径方向)に垂直な方向(軸方向)に突出していることにより、環状壁246と封止部281との間及び台部202と封止部281との間に突出部286,287,288,289が配置されないようにすることができる。これにより、環状壁246と台部202との密封性を高めることができる。
【0058】
さらに、シール部材280の突出部286,287と突出部288,289とが、それぞれ、封止部281の半周の位置に形成されているため、シール部材280には、周方向全体に亘って成形不良(ショート)が発生しにくい。コネクタ200には、このようなシール部材280を用いているため、コネクタ200の防水効果を高めることができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0060】
第1実施形態では、シール部材80に形成された2つの突出部86,87が封止部81の半周だけ離れており、第2実施形態では、シール部材280に形成された突出部286,287と突出部288,289とが封止部281の半周だけ離れているが、封止部の周方向に隣り合う2つの突出部間の距離は、封止部の半周より短くてもよく、封止部の半周より長くてもよい。
【0061】
また、第1実施形態では、シール部材80の互いに対向する長尺部82,83が短尺部84,85の長手方向に垂直な方向に対して傾斜しているが、長尺部は短尺部の長手方向に垂直でもあってもよい。また、2つの長尺部のうち一方の長尺部が短尺部の長手方向に垂直でもよい。さらに、流体がシール部材に向かって流れる方向に合わせて、長尺部を一直線状に形成したり、短尺部を長尺部の長手方向に垂直な方向に対して傾斜させたりしてもよい。
【0062】
さらに、第1実施形態では、シール部材80において、長尺部82,83の中央部82a,83aが環状の封止部81の外側に突出するように形成されているが、長尺部の端部に近い部分が封止部81の外側に突出するように形成されてもよい。
【0063】
加えて、第2実施形態では、シール部材280において、長尺部282の中央付近に上方向に突出した突出部286及び下方向に突出した突出部287が形成され、長尺部283の中央付近に上方向に突出した突出部288及び下方向に突出した突出部289が形成されているが、シール部材には上方向に突出した突出部及び下方向に突出した突出部の両方が形成されていなくてもよい。例えば、上方向に突出した突出部だけが形成されてもよく、下方向に突出した突出部だけが形成されてもよい。また、一方の長尺部には上方向に突出した突出部が形成され、他方の長尺部には下方向に突出した突出部が形成されてもよい。例えば、長尺部282には上方向に突出した突出部286だけが形成され、長尺部283には下方向に突出した突出部289だけが形成された構成としてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態において、シール部材80(280)に形成された突出部86,87(286〜289)の位置、形状及び大きさ等は、本実施形態に示すものに限られず、変更可能である。例えば、第1実施形態において、突出部86,87は、短尺部84,85の略中央でなく端部に近い位置に形成されてもよい。また、第1実施形態において、突出部がシール部材の径方向内側に向かって突出するように形成されてもよい。さらに、突出部が、長尺部に形成されてもよい。同様に、第2実施形態において、突出部286〜289は、長尺部282,283の中央付近でなく端部に近い位置に形成されてもよい。また、突出部が、短尺部に形成されてもよい。そして、これら突出部の位置、形状及び大きさ等にあわせて、第1実施形態のフード部40の溝44(
図5参照)や第2実施形態の本体ハウジング240の凹部246a、上凹部246u及び下凹部246l(
図10参照)の位置、形状及び大きさ等を変更することができる。
【0065】
さらに、シール部材80,280、封止部81,281及び突出部86,87,286〜289等の形状や大きさ等は、本実施形態に示すものに限られず、変更可能である。例えば、封止部は円形状に形成されてもよく、楕円形状や多角形状に形成されてもよい。
【0066】
加えて、第1実施形態では、雄コネクタ3が、フード部40及び本体部50の2つの部材で構成されている場合について説明したが、雄コネクタはフード部及び本体部が一体となった1つの部材から構成されてもよい。
【0067】
また、本実施形態のシール部材80,280は、ゴム等の弾性を持つ材料を用いても良い。
【0068】
さらに、第1実施形態において、シール部材80は、フード部40の対向部43に形成された溝44の形状に合わせて変形するため、
図5に示すように溝44の長辺が傾斜していれば、シール部材80の互いに対向する長尺部82,83が傾斜していないもの(長尺部82,83が
図5に示す水平な線P
1,P
2に平行なもの)を用いてもよい。この場合、シール部材が溝の形状に応じて変形するため、本実施形態と同様な効果が得られる。