(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017295
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】袋詰め包装における液体充填方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B65B 39/12 20060101AFI20161013BHJP
B65B 3/04 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
B65B39/12
B65B3/04
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-272156(P2012-272156)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118157(P2014-118157A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】山根 暁夫
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−255212(JP,A)
【文献】
特開平07−285518(JP,A)
【文献】
実開平06−044703(JP,U)
【文献】
特開2007−106460(JP,A)
【文献】
特開2011−098738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00− 3/36
B65B 37/00−39/14
B67C 3/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填方法において、
下方を向く液体吐出口を備えた液体充填ノズルを開口した袋口を介して袋内へ挿入し、前記吐出口を前記袋内の所定の高さの位置に位置させる液体充填ノズル挿入工程と、
略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備えた気体噴射ノズルを前記開口した袋口を介して前記袋内へ挿入し、前記気体噴射口を前記袋内で、前記吐出口より上で、且つ前記袋のシール予定部もしくはそれより下の位置に位置させる気体噴射ノズル挿入工程と、
前記液体充填ノズルから所定の量の液体を前記袋内へ充填する液体充填工程と、
前記気体噴射ノズルから遅くとも前記液体充填ノズルからの液体の吐出開始と同時に気体の噴射を開始して前記袋の内面に向けて気体を吹付け、早くても前記液体充填ノズルからの液体の吐出の停止と同時に気体の噴射を停止する、気体吹付け工程と、
を備えることを特徴とする液体充填方法。
【請求項2】
請求項1記載の液体充填方法において、前記気体は、平面視で前記気体噴射ノズルを中心として放射状に噴射されることを特徴とする、液体充填方法。
【請求項3】
請求項2記載の液体充填方法において、前記気体は、前記袋の両側縁部とそれら縁部の両側所定の範囲を除いた部分に向かって放射状に噴射されることを特徴とする、液体充填方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の液体充填方法において、前記気体は空気であることを特徴とする、液体充填方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の液体充填方法において、前記液体の充填停止と略同時に前記気体の噴射が停止され、前記液体充填ノズルと前記気体噴射ノズルとは一緒に上昇することを特徴とする、液体充填方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の液体充填方法において、前記液体の充填の終了後に前記液体充填ノズルを前記袋内から抜出し、その後に前記気体噴射ノズルからの気体の噴射を停止して、前記気体噴射ノズルを上昇させることを特徴とする、液体充填方法。
【請求項7】
袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填装置において、
液体供給源に接続され、下端に下向きの液体吐出口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた液体充填ノズルと、
気体供給源に接続され、略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた気体噴射ノズルと、
を備え、
前記液体充填ノズルは、前記液体吐出口が前記袋内に位置するように、開口した前記袋口を介して前記袋内へ挿入された状態で、液体を前記袋内へ充填し、
前記気体噴射ノズルは、前記気体噴射口が、前記液体吐出口より上で且つ前記袋のシール予定部もしくはそれより下の位置に位置するように、開口した前記袋口を介して前記袋内へ挿入された状態で、遅くとも前記液体充填ノズルからの液体の吐出開始と同時に気体の噴射を開始して前記袋の内面に向けて気体を吹付け、早くても前記液体充填ノズルからの液体の吐出の停止と同時に気体の噴射を停止することを特徴とする、液体充填装置。
【請求項8】
袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填装置において、
液体供給源に接続され、下端に下向きの液体吐出口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた液体充填ノズルと、
気体供給源に接続され、略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた気体噴射ノズルと、
を備え、
前記気体噴射ノズルは環状に形成され、内部に気体流路を備え、前記気体噴射口は、前記気体噴射ノズルの外側側面に開口し、前記加圧気体流路に通じ、
前記気体噴射口は、水平方向で延びる複数のスリット状の開口であり、前記スリット状の開口は、前記袋の両側縁部とそれら縁部の両側所定の範囲を除いた部分に対向して開口していることを特徴とする、液体充填装置。
【請求項9】
袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填装置において、
液体供給源に接続され、下端に下向きの液体吐出口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた液体充填ノズルと、
気体供給源に接続され、略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた気体噴射ノズルと、
を備え、
前記気体噴射ノズルは上下方向に伸びる略棒状体に形成され、内部に下端が閉じられた気体流路を備え、周壁には前記気体流路に通じた気体噴射口が形成され、前記気体噴射ノズルは前記液体充填ノズルの周囲に複数設けられ、
前記気体噴射ノズルは前記袋の幅方向で前記液体充填ノズルの両側に設けられ、前記気体噴射口は前記袋幅方向に略直交する方向で前記周壁の両側に形成されていることを特徴とする、液体充填装置。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1に記載の液体充填装置において、前記気体は空気であることを特徴とする、液体充填装置。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1に記載の液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは、前記吐出口が前記気体噴射口より下に位置した状態で前記液体充填ノズルに固定して取付けられていることを特徴とする、液体充填装置。
【請求項12】
請求項7乃至10のいずれか1に記載の液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは、前記液体充填ノズルとは独立して昇降することを特徴とする、液体充填装置。
【請求項13】
袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装機において、該袋詰め包装機は間欠回転式ロータリ型袋詰め包装機であり、請求項7乃至12のいずれか1に記載の液体充填装置を備えていることを特徴とする袋詰め包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、互いに接離自在な左右一対のグリッパで袋の両側縁部を挟持し、当該袋を口部を上側にして吊下げ状態に保持して移送しながら、その移送過程において袋口を開口し、次いで開口した袋口から袋内に液体充填ノズルを挿入して液体を充填した後、袋の口部をシールして密閉する袋詰め包装における液体充填方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な袋詰め包装では、被包装物である液体の充填に先立ち、袋口開口工程において袋の口部を例えば互いに接離自在な一対の吸盤などからなる開口装置により開口し、その際に袋の両側縁部を挟持するグリッパを互いに接近させることによりその開口した袋口の形状が維持されるようにして、次の工程である液体充填工程における袋内への液体充填ノズルの挿入に支障が生じないようにしている。
【0003】
ところが、液体の充填に伴う袋への衝撃、或いは袋内へ充填された液体の揺れ等により、液体の充填中において袋の口部が閉じる方向へ変形する場合がある。このような場合、液体充填ノズルが挿入されているので袋口が完全に閉鎖してしまうことは無く、液体の充填作業自体には支障は生じない。しかし、袋の口部の内面、すなわち、後工程においてシールされるシール予定部が液体充填ノズルに接触するため、液体の充填後に液体充填ノズルが上昇して袋の口部から抜け出る際に液体充填ノズルの吐出口付近に付着している液体がシール予定部に付着してしまうという問題が生じる。
【0004】
袋のシール予定部に液体が付着してしまうと、シール工程において液体が噛み込んだ状態でシールされることとなり、所望のシール強度が得られないという問題が生じ、さらには包装製品の見栄えも悪くなり、不良な製品として廃棄せざるを得なくなる。
【0005】
また、袋の口部が閉じる方向へ変形しなかった場合でも、液体充填時において、袋内へ充填された液体が上方へ飛び散り、シール予定部に付着する場合もある。
【0006】
上記のような問題は充填時間が短く、充填量が多い、即ち、充填時の流速が速くなるにつれて顕著になる。
【0007】
そこで従来は、例えば特許第3822148号公報、実用新案登録第3143150号公報に示されるように、開口された袋の口部に開口状態を維持するための爪片を挿入し、その状態で袋内へ液体充填ノズルを挿入する方法が取られていた。しかし、こうすることにより上述した液体充填時において袋の口部が閉じる方向へ変形することに起因する問題は解決されるものの、袋内へ充填された液体が上方へ飛び散ることに起因して起こる問題は解消できない。
【0008】
また、上方へ飛び散った液体が袋内へ挿入した爪片に付着する場合もあり、その場合、その爪片を袋から抜き出す際や、挿入する際にその液体がシール予定部に付着してしまい、多量の不良品を発生させてしまう。
【0009】
さらに、爪片とそれを昇降させる昇降装置のほか、爪片を開閉させる機構も必要となるため、構造の複雑化、装置の大型化、コストアップ、清掃性及びメンテナンス性低下が避けられない。
【0010】
一方、例えば実用新案登録第2569446号公報の
図6に示されるように、被包装物の充填時において、開口状態の袋内へ上方から加圧エアーを吹込み、口部の開口状態の維持を補助することも従来から行われている。
【0011】
しかしながらこのような構成も、被包装物が固形物の場合であれがさほど問題とはならないが、被包装物が液体の場合には袋内へ吹込まれる加圧エアーにより液体の飛散が助長されることとなり、かえって袋の口部内面すなわちシール予定部への液体の付着がひどくなり、逆効果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3822148号公報
【特許文献2】実用新案登録第3143150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、袋口部が閉じる方向へ変形するのを防止すると共に、袋内へ充填された液体が上方へ飛び散っても、袋のシール予定部に液体が付着するのを防止できる液体充填方法及び装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本願発明は、袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填方法において、
下方を向く液体吐出口を備えた液体充填ノズルを開口した袋口を介して袋内へ挿入し、前記吐出口を前記袋内の所定の高さの位置に位置させる液体充填ノズル挿入工程と、
略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備えた気体噴射ノズルを前記開口した袋口を介して前記袋内へ挿入し、前記気体噴射口を前記袋内で、該袋のシール予定部もしくはそれより下の位置に位置させる気体噴射ノズル挿入工程と、
前記液体充填ノズルから所定の量の液体を前記袋内へ充填する液体充填工程と、
前記気体噴射ノズルから遅くとも前記液体充填ノズルからの液体の吐出開始と同時に気体の噴射を開始して前記袋の内面に向けて気体を吹付け、早くても前記液体充填ノズルからの液体の吐出の停止と同時に気体の噴射を停止する、気体吹付け工程と、
を備える液体充填方法を提供する。
上記液体充填方法において、前記気体は、平面視で前記気体噴射ノズルを中心として放射状に噴射されるようにすることができる。
さらに上記液体充填方法において、前記気体は、前記袋の両側縁部とそれら縁部の両側所定の範囲を除いた部分に向かって放射状に噴射されるようにすることができる。
さらに上記液体充填方法において、前記気体として空気を用いることができる。
さらに上記液体充填方法において、前記液体の充填停止と略同時に前記気体の噴射が停止され、前記液体充填ノズルと前記気体噴射ノズルとは一緒に上昇するように構成することができる。
さらに上記液体充填方法において、前記液体の充填の終了後に前記液体充填ノズルを前記袋内から抜出し、その後に前記気体噴射ノズルからの気体の噴射を停止して、前記気体噴射ノズルを上昇させるように構成することができる。
さらに上記課題を解決するために本願発明は、以下の液体充填装置を提供する。即ちそれは、袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装における液体充填装置であり、
液体供給源に接続され、下端に下向きの液体吐出口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた液体充填ノズルと、
気体供給源に接続され、略水平方向側方へ向いた気体噴射口を備え、上昇端位置と下降端位置との間で昇降自在に設けられた気体噴射ノズルと、
を備えている。
上記液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは環状に形成され、内部に気体流路を備え、前記気体噴射口は、前記気体噴射ノズルの外側側面に開口し、前記気体流路に通じている構成とすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体噴射口は、水平方向に延びる複数のスリット状の開口とすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記スリット状の開口は、前記袋の両側縁部とそれら縁部の両側所定の範囲を除いた部分に対向して開口するようにすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは上下方向に伸びる略棒状体に形成され、内部に下端が閉じられた気体流路を備え、周壁には前記気体流路に通じた気体噴射口が形成され、前記気体噴射ノズルは前記液体充填ノズルの周囲に複数設けられた構成とすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは前記袋の幅方向で前記液体充填ノズルの両側に設けられ、前記気体噴射口は前記袋幅方向に略直交する方向で前記周壁の両側に形成されている構成とすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体として空気を使用することができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは前記液体充填ノズルに固定して取付けられるようにすることができる。
さらに上記液体充填装置において、前記気体噴射ノズルは、前記液体充填ノズルとは独立して昇降するように構成することができる。
さらに上記課題を解決するために本願発明は、袋の両側縁部を一対の把持部材で吊下げ状態に把持し、袋口を上向きにして袋を所定の軌道に沿って移送しながら、前記袋口の開口、液状物の充填、袋口のシールを行う袋詰め包装機において、該袋詰め包装機は間欠回転式ロータリ型袋詰め包装機において上記に記載の液体充填装置を備えることとした。
【発明の効果】
【0015】
上記のとおり本願発明に係る液体充填方法及び装置においては、液体の充填開始に先立ち、或いはそれと同時に気体を袋のシール予定部或いはその僅かに下の位置へ吹付け、液体の充填中はその吹付けを継続することができるので、袋口の開口状態を維持できる。その結果、液体の充填に伴う袋への衝撃、或いは袋内へ充填された液体の揺れなどが有っても、袋口が閉じる方向へ変形することを防止できる。
また、袋のシール予定部或いはその僅か下の位置へ気体を吹付けることにより袋口を塞ぐエアーカーテンを形成することができる。これにより、充填された液体が上方へ飛び散っても側方、或いは下方へ跳ね返され、袋のシール予定部に付着することを防止でき、後工程でのシール不良の発生を防止できる。
さらに、昇降式の気体噴射装置を設けるだけでよいので、従来施された対策に比して構造の簡略化が図れ、装置の小型化、コスト低減、清掃、メンテナンスの容易性などの利点が得られる。
袋の内面への気体の吹付けを、平面視で放射方向に噴射して行う場合、袋口の開口状態の維持がさらに確実に行えるとともに、隙間のないエアーカーテンを形成できる。
液体の充填終了と略同時に気体の吹付けを終了し、液体充填ノズルと気体噴射ノズルとを一緒に上昇端位置へ向けて上昇させる場合、効率よく液体の充填が行えると共に、更なる構造の簡略化、装置の小型化、コスト低減、清掃、メンテナンスの容易性などが図れる。
液体の充填終了後、液体充填ノズルを上昇させ、液体充填ノズルが袋内から抜け出た後に気体の吹き付けを終了し、気体噴射ノズルを上昇させる構成とすると、液体充填ノズルが袋内から抜け出る瞬間まで袋のシール予定部への液体の付着を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願発明の液体充填装置を使用した間欠回転式の袋詰め包装機の構成を示す図である。
【
図2】本願発明の第1の実施の形態に係る液体充填装置の待機状態を示し、(イ)は一部断面正面図、(ロ)は(イ)のA−A線断面図である。
【
図3】
図2の液体充填装置の充填状態を示し、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のB−B線断面図である。
【
図4】本願発明の第2の実施の形態に係る液体充填装置の待機状態を示し、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のC−C線断面図である。
【
図5】
図4の液体充填装置の充填状態を示し、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のD−D線断面図である。
【
図6】第3の実施の形態に係る液体充填装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本願発明の液体充填方法及び装置について説明する。
図1は本願発明の液体充填装置を備えた袋詰め包装機の構成を示す図である。なお、以下においては袋を把持するグリッパが間欠回転するテーブルに取付けられた間欠回転式の袋詰め包装機を例として説明するが、本発明の適用はそれに限定されず、グリッパの軌道は円形のみではなく、直線状或いはレーストラック型でもよく、移動も間欠回転式のみでなく、連続移動式でもよい。
【0018】
図において、符合1は間欠回転式袋詰め包装機(以下では単に「包装機」という。)であり、図中矢印方向に間欠回転するロータリテーブル2(以下では単に「テーブル2」という。)を備えている。テーブル2には左右一対のグリッパG、Gが複数組円周方向に沿って所定の間隔で設けられ、このグリッパG、Gにより袋Hの両側縁部を挟持して袋Hを袋口を上向きにして吊下げ状態に保持し、テーブル2の回転に伴って円軌道に沿って移送するようになっており、テーブル2の周囲の所定位置に設定されたステーションに適宜設けられた各種装置により各種の袋詰め作業が行われる。
【0019】
ステーションIでは給袋工程が実施される。袋Hはこの例では所謂平袋であるが、これに限定されるものではなく、例えば所謂自立袋でもよい。符合3はコンベアマガジンであり、このコンベアマガジン3から一対の吸盤4を供えた給袋装置により袋Hを順次グリッパG、Gに引渡す。ステーションIIでは印字工程が実施され、印字器5を用いて製造年月日等の印字が行われる。ステーションIIIでは袋口開口工程が実施される。このステーションには袋口開口用の吸盤6、6を備えた開口装置が配置されている。一対の吸盤6、6は袋Hを挟んで位置し、それぞれ袋Hの両側のシートに吸着した後互いに遠ざかることにより袋Hの袋口Haを開くが、その際には左右のグリッパG、Gが互いに所定の距離だけ接近して、以後、吸盤6、6が袋Hへの吸着を止めて袋Hから離れても、袋口Haを開いた状態に維持する。ステーションIVでは本願発明にかかる液体充填装置21を使用して液体の充填工程が実施されるが、これについては後述する。ステーションVは空いており、格別の処理は実施されないが、ここで左右一対のグリッパG、Gが互いに離反して袋口Haを緊張させる。ステーションVIでは一対の熱板7、7を用いて袋口Haの一次シールが行われ、ステーションVIIでは一対の熱板8、8を用いて二次シールが行われ、ステーションVIIIでは冷却放出工程が実施され、一対の冷却板9、9を用いて袋口Haの冷却を行った後、製品としての袋Hをシュート10へ放出する。上記のうち、ステーションIVでの液体充填工程を除いてはそれぞれ公知の装置を使用できるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0020】
次に本願発明に係る液体充填装置(以下「充填装置」という。)について、
図2以下を参照して詳細に説明する。
図2は本願発明の第1の実施の形態に係る充填装置21の説明図で、(イ)は待機状態(上昇端位置)での一部断面正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A線断面図であり、
図3は液体充填状態(下降端位置)を示す説明図で、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のB−B線断面図である。
【0021】
図2において、符号21は
図1に示されたステーションIVに配置された充填装置であり、グリッパG、Gにより両側縁部を挟持され、このステーションIVの前のステーションIIIで袋口Haを開かれた袋Hがその下へ移動してきて停止した状態を示している。符合22は液体充填ノズルであり、図示してない駆動源に連結されて
図2の上昇端位置と
図3の下降端位置との間で上下に昇降自在になっている。この液体充填ノズル22のノズル本体23は、その流入口25に接続されたラインL1(液体配管)を介して、従来周知のバルブ、ポンプ、タンク等からなる図示しない液体供給源に接続されている。ノズル本体23内には、このノズル本体23内で昇降するピストン29が配置され、
図2の待機状態においてはピストン29が下降して流入口25を閉じると共に、ノズル本体23の下端の吐出口27も閉じている。
【0022】
符合31は円環状に形成された気体噴射ノズルであり、中央の孔33において液体充填ノズル22のノズル本体23の外周にその下端より少し上の位置で嵌って固定して取付けられ、液体充填ノズル22と一緒に上昇端と下降端との間で昇降移動するようになっている。気体噴射ノズル31には、その厚み方向の略中央で、袋Hの幅方向で対向している2箇所の残肉部35,35を残して所定の厚みでくり抜いて形成した気体流路37が設けられている。なお、このくり抜きは中央の孔33に通じており、気体流路37の内側の壁は、液体充填ノズル22の外周により構成されている。しかし、孔33の周囲に壁を残して気体流路37を完全に気体噴射ノズル31内に形成しても良い。この気体流路37は、残肉部35,35の内側で上に延びている気体取り入れ口39,39にそれぞれ接続された分岐ラインL21、L22と、さらにそれらが一緒になるラインL2(L21,L22、L2はいずれも気体配管)に接続されている。そしてこのラインL2は図示しない切換弁等を介してこれも図示しない気体供給源に接続されている。前述の二つの残肉部35、35の間で気体噴射ノズル31の外周側はスリット状に開口して気体噴射口41、41となっている。ここから後述のように、加圧気体が放射状に噴射される。なお、本実施の形態では加圧気体として加圧空気を使用するが、ガス置換も目的として例えば窒素ガスを使用することもできる。また、本実施の形態では空気は加圧空気であるが、必ずしも加圧されている必要はない。他の気体を使用する場合も同様である。なお、気体噴射ノズル31は円環状であると述べたが、必ずしも完全な円環である必要はなく、一部が欠けてC型に形成された場合も含む。但しその場合は、両端部は閉鎖されている。
【0023】
図3は前述のとおり、液体を充填している状態を示している。即ち、
図2の状態から液体充填ノズル22と気体噴射ノズル31とが一緒に下降してそれぞれの下降端位置に位置し、液体充填ノズル22の吐出口27と気体噴射ノズル31の気体噴射口41とは袋H内に入っている。吐出口27は気体噴射口41より下方に位置している。なお本実施の形態では、気体噴射口41は高さ方向で袋Hの袋口Ha近く、即ち後の工程でシールされるシール予定部Hbに高さ方向で対応した位置に位置しているが、シール予定部Hbより若干下に位置しても良い。
【0024】
液体充填ノズル22と気体噴射ノズル31とが下降端位置に達すると、ピストン29がノズル本体23内で図示の位置まで上昇し、吐出口27を、次いで流入口25を開く。これにより、液体が吐出口27から吐出され、袋H内へ充填される。その際、液体充填ノズル22による液体の充填が開始されると同時に、或いは僅かにそれに先立って、気体噴射ノズル31による加圧気体の噴射が開始される。そして、所定量の液体の充填が行われるとピストン29が下降して液体充填ノズル22の流入口25と吐出口27とを閉じる。その際、液体充填ノズル22による充填の停止と同時に、或いはそれより少し遅れて、気体噴射ノズル31からの加圧気体の噴射が停止される。この後、液体充填ノズル22と気体噴射ノズル31とは袋Hから抜出され、上昇端へと移動する。
【0025】
上記のとおり、液体充填ノズル22によって袋H内へ液体を充填している間、加圧気体が気体噴射ノズル31の気体噴射口41から略水平方向で側方へ放射状に噴射され、袋Hの内面に向かって吹付けられる。本実施の形態では残肉部35が設けられているため、気体噴射口41は袋Hの両側縁部及びそれら縁部の両側所定の範囲の部分に対向して開口していないので、加圧気体は直接それらの部分に向かっては吹付けられないが、袋H内面の気体噴射口41に対面する部分に気体噴射口41から吹きつけられた気体が袋Hの内面に沿って上下に流れると共に、袋Hの両側の縁部側へも流れるので、袋Hのシール予定部或いはそれより僅かに下の位置で袋口Haを塞ぐエアーカーテンが形成されることとなる。従って、袋H内へ充填された液体が上方へ飛び散っても、このエアーカーテンによって側方或いは下方へと跳ね返され、袋Hのシール予定部Hbに付着することが防止される。また、袋Hの袋口Haが開かれるときには、両側縁部を挟持するグリッパG、Gが互いに接近して袋口Haの開口状態を維持するように作用するが、背景技術の説明において述べたように、これだけでは袋口Haが閉じる方向に変形する場合があるが、本実施の形態では、液体充填工程において上記のとおり加圧気体が袋Hの内面に吹きつけられるので、袋口Haの開口状態が確実に維持される。そして液体の充填終了とほぼ同時に加圧気体の吹付けを終了し、液体充填ノズル22と気体噴射ノズル31とを一緒に上昇端位置まで上昇させる。
【0026】
図4及び
図5は本願発明の第2の実施の形態に係る液体充填装置51を示し、それぞれ
図2及び
図3に対応する図であり、それぞれの(ロ)は、それぞれの(イ)のC−C線断面図、D−D線断面図である。この第2の実施の形態で第1の実施の形態と異なる点は気体噴射ノズル53の構成であるので、第2の実施の形態と同じ部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0027】
この実施の形態で使用する液体充填ノズル22は第1の実施の形態でのそれと同じであり、ノズル本体23とピストン29を備えている。一方で、この実施の形態で使用される気体噴射ノズル53は、環状ではなく、上下に延びる中空棒状の形をしている。そして、袋Hの幅方向で見て液体充填ノズル22の両側近くに対称の状態で配置されている。即ちこれら二本の気体噴射ノズル53,53は、中心孔63において液体充填ノズル223に取付けられる取付け用ブロック61の中心孔63の両側に設けられた取付け孔65,65に挿通されて固定されている。気体噴射ノズル53,53の下端は閉じられ、それぞれの気体噴射ノズル53、53には図示のとおり下端より上側に、袋Hの幅方向に直交する方向の両側で周壁に開口した気体噴射口55,55が上下に隔ててそれぞれ2つ形成されている。この液体充填装置51の他の構成については第1の実施の形態の液体充填装置21と同じであるので、説明を省略する。また、この実施の形態の液体充填装置51の動作は前述の第1の実施の形態の液体充填装置21と同じであるのでやはり説明を省略する。
【0028】
図6は本願発明の第3の実施の形態に係る液体充填装置71を示す斜視図である。この実施の形態で使用されている液体充填ノズル22は第1及び第2の実施の形態で使用された液体充填ノズル22と同じである。また、この実施の形態で使用されている気体噴射ノズル73,73は第2の実施の形態で使用された気体噴射ノズル53,53と略同じであるが、その気体噴射口75が袋Hの両側縁部側へ向かっても設けられている点で異なる。
【0029】
この第3の実施の形態で第1、第2の実施の形態と大きく異なる点は、液体充填ノズル22と気体噴射ノズル73,73が別個に昇降するように構成されている点である。即ち、図示しない機台にはスタンド77が直立して設けられ、このスタンド77により図示しない駆動源に連結されて昇降する中空軸79が支持されている。そしてこの中空軸79に固定され、2枚の板でL字型に形成された気体噴射ノズル取付けプレート81に、気体噴射ノズル73,73がそれぞれ固定された取付けブロック83,83が取付けられ、袋Hの幅方向で液体充填ノズル22の両側に位置し、中空軸79が昇降することで、気体噴射ノズル73,73が上昇端位置と下降端位置との間で昇降するようになっている。また、中空軸79には昇降軸85が挿通されて支持され、その下部が図示しない駆動源に連結されて昇降するようになっている。そして昇降軸85には液体充填ノズル22を支持する液体充填ノズル取付けプレート87が固定されている。これにより、液体充填ノズル22が昇降することとなる。
【0030】
この第3の実施の形態の液体充填装置71の動作について述べる。袋HがステーションIVに移送されて停止すると、第1と第2の実施の形態と同じように、液体充填ノズル22と気体噴射ノズル73,73を同時にそれぞれの上昇端位置から下降端位置へ移動させ、液体の充填開始と同時或いはそれに僅かに先立って加圧気体の噴射を開始しても良いが、この形態では、気体噴射ノズル73,73を先に下降させて加圧気体の噴射を開始して袋内面への吹付けを開始した後、液体充填ノズル22を下降させて液体の充填を開始しても良い。この場合、液体充填ノズルの吐出口27は気体噴射ノズル73の気体噴射口75より下方に位置するので、吐出される液体が噴射される加圧気体により吹飛ばされることはない。
【0031】
液体の充填が終了すると、第1、第2の実施の形態と同じように同時に或いはそれより僅かに遅れて加圧気体の噴射を停止し、液体充填ノズル22と気体噴射ノズル73,73を同時に上昇端位置へ移動しても良いが、液体の充填終了後に液体充填ノズル22を上昇端位置へ向けて移動し、液体充填ノズル22が袋口Haから抜き出た後、適宜なタイミングで加圧気体の吹付けを終了し、加圧気体噴射ノズル73,73を上昇端位置へ移動するようにしても良い。
【0032】
上記のほか、色々なタイプの液体充填ノズルと気体噴射ノズルの使用が可能である。例えば第1の実施の形態では気体噴射ノズル31の気体噴射口41を細長いスリット状にしているが、残肉部35を全周にわたって残し、そこに小さな孔を円周方向全周に渡って等間隔に並べて形成しても良い。後者の場合には袋の内面に360度に渡って加圧気体が吹付けられるので、エアーカーテンが袋口全体に渡って確実に形成される。しかしこの場合、袋の縁部及びその近くに吹付けられた加圧気体は、袋の幅方向中央側の部分を縁部側へ引っ張るように作用し、中央側の部分に吹付けられた加圧気体の袋口を開いた状態に維持しようとする作用を多少阻害する可能性がある。第1の実施の形態の場合、袋の縁部及びその両側所定の範囲の部分には直接加圧気体を吹付けないので、その様なことはない。この場合でも、前述のとおり、中央側に吹付けられた加圧気体が袋の内面に沿って袋の縁部側へ流れるので、完全なエアーカーテンが形成される。第2の実施の形態の場合にも、気体噴射口55を袋Hの両側縁部付近に向かって設けても良い。すなわち、充填された液体が飛散してもそれが袋のシール予定部に付着するのを防止するに十分なエアーカーテンが形成されること、袋口が袋に出入りする両ノズルが接触しないに十分な開口状態に維持されればよい。また、液体の充填開始と終了、加圧気体の噴射開始と終了、各ノズルの下降と上昇のタイミングも様々な態様が可能である。本願発明の目的であるシール予定部への被包装物である液体の付着の防止、袋口の開口状態の維持が達成できれば良い。
【0033】
なお、上記においては袋が間欠移送される場合を説明したが、連続移送の場合には、液体充填ノズルと気体噴射ノズルとを所定の液体充填工程区間に渡って袋に追従させながら上記した処理を施した後、初期位置へ復帰するように構成すれば良い。