【実施例】
【0025】
実施例として、
図1〜
図6を参照して本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置について説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0026】
図1は、本実施例に係る個片化装置1を示す概略平面図である。個片化装置1は、被切断物を複数の電子部品に個片化する。個片化装置1は、受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとを、それぞれ構成要素(モジュール)として有する。
【0027】
受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとが、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能であり、それぞれが予想される要求仕様に応じた異なる複数の仕様を有するようにして予め用意される。受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとを含んで個片化装置1が構成される。
【0028】
受け入れユニットAにはプレステージ2が設けられる。前工程の装置である樹脂封止装置から、被切断物に相当する樹脂封止体(成形済基板)3がプレステージ2に受け入れられる。樹脂封止体3は、封止樹脂の側を下にしてプレステージ2に配置される。
【0029】
樹脂封止体3は、リードフレームやプリント基板などの回路基板と、回路基板における格子状の複数の領域に装着され受動素子又は能動素子を含むチップと、一括して成形された硬化樹脂からなる封止樹脂とを有する。
【0030】
個片化ユニットBには切断用テーブル4が設けられる。切断用テーブル4は、図のX方向に移動可能であり、かつ、θ方向に回動可能である。切断用テーブル4の上には切断用ステージ5が取り付けられる。個片化ユニットBの奥の部分には、切断機構として2個のスピンドルユニット6が設けられる。2個のスピンドルユニット6は、独立してY方向に移動可能である。2個のスピンドルユニット6には、それぞれ回転刃7が設けられる。これらの回転刃7は、それぞれX方向に沿う面内において回転することによって樹脂封止体3を切断する。したがって、本実施例では、それぞれ回転刃7を使用した2個の切断機構が個片化ユニットBに設けられる。切断機構は1個であっても3個以上であってもよい。
【0031】
検査ユニットCには検査用ステージ8が設けられる。樹脂封止体3を切断して個片化された複数の電子部品Pからなる集合体9は、検査用ステージ8に一括して吸着される。検査用ステージ8はX方向を軸にして回転できるように構成されている。個片化された複数の電子部品P(例えば、BGA製品)は、封止樹脂側(モールド面)及び基板側(ボール面)を検査することによって、良品と不良品とに選別される。検査済みの電子部品Pは、インデックステーブル10に市松模様状(checker flag pattern状)又は格子状に配置される。
図1においては、市松模様状に配置された場合について示している。検査ユニットCには、インデックステーブル10に配置された電子部品Pをトレイに移送する複数の移送機構11A、11Bが設けられる。
【0032】
収容ユニットDには良品を収容する良品用トレイ12と不良品を収容する不良品用トレイ13とが設けられる。電子部品Pは、移送機構11A、11Bによって良品と不良品とに選別されて各トレイに収容される。なお、ここではインデックステーブル10に配置された電子部品Pはすべて良品であると仮定する。
【0033】
以上、個片化装置1の構成と動作について説明してきた。個片化装置1における動作は、例えば、受け入れユニットA内に設けられた制御部CTLによって制御される。
【0034】
図2は、インデックステーブル10と移送機構11A、11Bと良品用トレイ12との構成を示す概略図である。
図2においては、電子部品Pが格子状に配置された場合について示している。インデックステーブル10の横方向(X方向)に沿う並びを「行」と呼び、縦方向(Y方向)に沿う並びを「列」と呼ぶことにする。この場合は、10行×28列の合計280個の電子部品Pが、インデックステーブル10の区画された各領域に配置される。電子部品Pは10行×28列のマトリクス上に配置されるので、例えば、3行目の4列目に配置された電子部品Pを電子部品P34と呼ぶことにする。したがって、1行目には電子部品P11〜P128、2行目には電子部品P21〜P228、・・・、10行目には電子部品P101〜P1028が配置され、合計280個の電子部品Pがインデックステーブル10に配置される。
【0035】
同様にして、良品用トレイ12には9行×17列の合計153個の電子部品Pを収容するためのポケットSが設けられている。各ポケットSは電子部品Pを収容するための凹部を有する形状に形成されている。1行目にはポケットS11〜S117、2行目にはポケットS21〜S217、・・・、9行目にはポケットS91〜S917が設けられている。
【0036】
インデックステーブル10においては、電子部品PはX方向及びY方向ともピッチaの間隔をおいて配置される。同様に、良品用トレイ12においては、ポケットSはX方向及びY方向ともピッチbの間隔をおいて形成されている。インデックステーブル10のピッチaと良品用トレイ12のピッチbとは異なる。対象とする製品によって、インデックステーブル10に配置される電子部品の数や良品用トレイ12に収容される電子部品の数も異なる。このように、インデックステーブル10に配置される電子部品Pの数やピッチと良品用トレイ12に収容される電子部品Pの数やピッチとは通常異なる。
【0037】
図2において、移送機構11A、11Bはそれぞれ複数の独立した吸着部H(具体的には6個の吸着部H1〜H6)を備えている。各吸着部H1〜H6はそれぞれが昇降し、かつ、電子部品Pを吸着する機能及び吸着を解除する機能を有している。また、移送機構11A、11Bは各吸着部H1〜H6の間隔を可変できるように構成されている。移送機構11A、11Bは、吸着部H1〜H6によってインデックステーブル10に配置された電子部品Pを最大で6個吸着することができる。移送機構11A、11Bは、吸着した電子部品Pを順次良品用トレイ12に移送して所定のポケットSに収容する。移送機構11A、11Bは、電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する場合には吸着部Hの間隔をピッチaに合わせて吸着し、良品用トレイ12に収容する場合にはピッチbに合わせて電子部品Pを収容する。
【0038】
図2に示すように、インデックステーブル10に配置された電子部品Pは、移送機構11A、11Bによって、1行目のP11〜P128、2行目のP228〜P21、3行目のP31〜P328、4行目のP428〜P41、・・・と各行、交互に二点鎖線の矢印の方向に沿って吸着されて移送される。同様にして、良品用トレイ12においては、1行目のS11〜S117、2行目のS217〜S21、3行目のS31〜S317、4行目のS417〜S41、・・・と各行、交互に二点鎖線の矢印の方向に沿って電子部品PはポケットSに収容される。
【0039】
図3は、移送機構11Aによって電子部品P11〜P16を良品用トレイ12に収容する工程を示す概略断面図である。
図3(a)に示すように、インデックステーブル10には各電子部品Pをそれぞれ吸着するための吸着口14が設けられている。インデックステーブル10の区画された各領域が、電子部品Pを配置するための凹部を備えているような場合であれば、吸着口14は特に設けなくてもよい。
【0040】
まず、
図3(a)に示すように、移送機構11Aの吸着部Hの間隔をピッチaに合わせる。移送機構11Aがインデックステーブル10の1行目(
図2参照)に配置された電子部品P11〜P16を吸着できる位置まで移動する。吸着部H1〜H6が下降してそれぞれが電子部品P11〜P16を吸着する。
【0041】
次に、
図3(b)に示すように、移送機構11Aが良品用トレイ12の1行目(
図2参照)に設けられたポケットS11〜S16上に移動し、吸着部Hの間隔をピッチbに合わせる。吸着部Hが下降して電子部品P11〜P16をポケットS11〜S16に収容した後に、吸着を解除する。移送機構11Aによって、良品用トレイ12の1行目には6個の電子部品P11〜P16が収容される。このように、移送機構11A、11Bは、電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する時には吸着部Hの間隔をピッチaに合わせて吸着し、良品用トレイ12に収容する時にはピッチbに合わせて電子部品Pを収容する。
【0042】
図4〜
図6を用いて、移送機構11A、11Bによって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する具体例について説明する。ここではインデックステーブル10に配置された電子部品Pがすべて良品であると仮定して説明する。なお、不良品があった場合には、まず良品のみをインデックステーブル10から良品用トレイ12に移送して収容する。そして、良品の収容がすべて完了した後に、残った不良品を不良品用トレイ13に移送して収容する。
【0043】
図4は、良品用トレイ12の1行目のポケットSに電子部品Pを収容する状態を示す。まず、移送機構11Aがインデックステーブル10の1行目に配置された6個の電子部品P11〜P16を吸着し、良品用トレイ12の1行目に設けられたポケットS11〜S16の上に移送し、電子部品P11〜P16に対する吸着を解除して電子部品P11〜P16を収容する。移送機構11Aは、移動してインデックステーブル10の上の位置に復帰する。移送機構11Aが電子部品P11〜P16を良品用トレイ12のポケットS11〜S16に収容している間に、移送機構11Bはインデックステーブル10の1行目に配置された6個の電子部品P17〜P112を吸着する。そして、良品用トレイ12の1行目に設けられたポケットS17〜S112に電子部品P17〜P112を収容する。このように、移送機構11Aと11Bとは、インデックステーブル10から電子部品Pを吸着する動作と良品用トレイ12に電子部品Pを収容する動作とを交互に繰り返す。
【0044】
ここまでは、良品用トレイ12の1行目における空きポケット数Mが移送機構11A、11Bの吸着部Hの数(吸着部数)であるN個(本実施例では6個)よりも多いので、移送機構11A、11Bによって6個の電子部品Pがインデックステーブル10から吸着されて良品用トレイ12に収容される。この状態で、良品用トレイ12の1行目にはポケットS11〜S112に12個の電子部品P11〜P112が収容され、5個のポケットS113〜S117が空きポケットとなっている。1行目の空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少なくなったので、次は空きポケット数Mに相当する5個の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する。したがって、移送機構11Aはインデックステーブル10から5個の電子部品P113〜P117を吸着して、良品用トレイ12の
ポケットS113〜S117に収容する。このようにして、良品用トレイ12の1行目には、移送機構11A、11Bが、吸着〜移送〜収容〜復帰の一連の動作(サイクル)を3回行うことによって、17個の電子部品P11〜P117がすべて良品用トレイ12の1行目のポケットS11〜S117に収容されたことになる。
【0045】
良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少ない場合において、空きポケット数Mよりも多く電子部品Pを吸着する場合を考える。この場合において、例えば、移送機構11A、11Bが吸着可能なN個の電子部品Pを吸着すると、その行と次の行との2行に亘って電子部品Pを連続して収容しなければならなくなる。2行に亘って電子部品Pを収容すると収容動作が連続する2回に分けられたこととなり、収容する時間が2倍となる。連続する2回に分けられた収容動作によって電子部品Pを収容すると収容効率が悪くなる。このような状況を避けるため、本実施例では良品用トレイ12の各行において、空きポケット数Mが
吸着部数Nよりも少なくなった場合は、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する。このことにより、連続する2回に分けられた収容動作によって良品用トレイ12に電子部品Pを収容することを回避して、収容効率を高めることができる。
【0046】
インデックステーブル10から電子部品Pを吸着する動作、良品用トレイ12に電子部品Pを移送して収容する動作、良品用トレイ12の空きポケット数を計算する処理、良品用トレイ12の空きポケット数に等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する動作など、すべての動作や処理は個片化装置1に設けられた制御部CTL(
図1参照)によって制御される。
【0047】
図5は、良品用トレイ12の2行目のポケットSに電子部品Pを収容する状態を示す。移送機構11Bが、インデックステーブル10からP118〜P123の6個の電子部品Pを吸着して、良品用トレイ12の2行目のポケットS217〜S212に収容する。次に、移送機構11Aが、インデックステーブル10の1行目のP124〜P128の5個と2行目のP228の1個との合計6個の電子部品Pを吸着する。そして、良品用トレイ12の
ポケットS211〜S26に収容する。このように、良品用トレイ12の各行において、空きポケット数Mが吸着部数Nよりも多く、かつ、インデックステーブル10におけるその行の電子部品Pの残り数Lが吸着部数Nよりも少ない場合には、インデックステーブル10からは2行に亘って6個の電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する。
【0048】
次に、移送機構
11Bが良品用トレイ12の2行目の空きポケット数に等しい数の5個の電子部品P227〜P223を吸着してポケットS25〜S21に収容する。このようにして、2行目においても3回の収容動作によってすべての電子部品P217〜P21が収容される。同様にして、良品用トレイ12の3行目から9行目についてもインデックステーブル10から電子部品Pを吸着して収容する。
【0049】
図6は、良品用トレイ12の9行目まですべて電子部品Pを収容した状態を示す。良品用トレイ12の1行目、2行目と同様にして、良品用トレイ12の3行目、4行目、・・・、9行目においても、移送機構11Aと11Bとによって各電子部品Pが良品用トレイ12の各ポケットSに収容される。良品用トレイ12には、9行×
17列、合計153個の電子部品Pが収容される。良品用トレイ12のポケットSにすべて電子部品Pが収容された後は、次のトレイに交換して新しいトレイに電子部品Pが収容される。
【0050】
実施例においては、良品用トレイ12の各行には17個のポケットSが設けられている。移送機構11A、11Bの吸着部Hは6個設けられている。したがって、インデックステーブル10から電子部品Pを6個、6個、5個と3回の動作によって吸着して良品用トレイ12に収容すると各行のポケットSには電子部品Pがすべて収容される。つまり、良品用トレイ12の各行のポケットには3回の収容動作によってすべて電子部品Pが満たされる。なお、良品用トレイ12の各行におけるポケット数Mや移送機構における吸着部数Nなどはこれに限らず、任意に設定することができる。
【0051】
ここまで説明してきたように、良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少なくなった場合には、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着して良品用トレイ12の空きポケットに収容する。このことにより、良品用トレイ12の2行に亘って連続して収容動作を行うことが回避でき、各行において電子部品Pを収容する動作をすべて1回の動作で行うことが可能となる。したがって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する時間を短縮することができ、収容効率を高めることができる。
【0052】
移送機構11Aと11Bとは、インデックステーブル10における電子部品Pを吸着する動作と良品用トレイ12における収容する動作とを交互に繰り返す。このように、2個の移送機構11Aと11Bとによって、効率的に電子部品Pをインデックステーブル10から良品用トレイ12に移送して収容することができる。本実施例では、個片化装置1の制御部CTLによって、良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mを計算し、空きポケット数Mに応じて2個の移送機構11A、11Bの動作を制御する。このことにより、効率的にインデックステーブル10から電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容することができる。したがって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する時間を短縮することができ、個片化装置1の生産性を向上することができる。
【0053】
本発明によれば、良品用トレイ12の各行において、残りの空きポケット数Mが移送機構11A、11Bの吸着部数Nよりも少ない場合には、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着して良品用トレイ12に収容する。したがって、良品用トレイ12の各行には吸着した電子部品Pを過不足なく各行に設けられたポケット数だけきちんと収容することができる。また、2個の移送機構11Aと11Bとによって、電子部品Pを吸着する動作と収容する動作とを交互に繰り返す。したがって、個片化装置1において、電子部品Pを収容する時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0054】
本実施例では、2個の移送機構11A、11Bがインデックステーブ10から各電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する場合について説明した。これに限らず、移送機構は1個又は3個以上であってもよい。
【0055】
被切断物としては、樹脂封止体3の他に半導体ウェーハを使用してもよい。半導体ウェーハの各領域には電子回路が作り込まれているので、切断後の各領域に相当する部分(半導体チップ)が電子部品Pとなる。
【0056】
また、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。