特許第6017382号(P6017382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017382個片化された電子部品の搬送装置及び搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017382
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】個片化された電子部品の搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20161020BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H05K13/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-156950(P2013-156950)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-26789(P2015-26789A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 一郎
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186981(JP,A)
【文献】 特開2002−176291(JP,A)
【文献】 特開2009−135259(JP,A)
【文献】 特表2013−516066(JP,A)
【文献】 特開2004−039706(JP,A)
【文献】 特開2001−024003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材に設けられた複数の領域を単位として前記板状部材を個片化することによって製造された複数の電子部品を搬送する個片化された電子部品の搬送装置であって、
前記電子部品がそれぞれ配置される複数の配置場所を有する保管部材と、
前記電子部品がそれぞれ収容される複数の収容場所を有する収容部材と、
前記複数の配置場所から前記電子部品をそれぞれ吸着して前記複数の収容場所に移送して収容する移送機構と、
前記移送機構に設けられ、前記電子部品を吸着する機能及び該電子部品に対する吸着を解除する機能を有するN個(Nは2以上の整数)の吸着部とを備え、
前記複数の収容場所の1方向に沿う1行において前記収容場所の空き場所の数がM個(Mは正の整数)であってM<Nである場合には前記保管部材からM個の前記電子部品が前記吸着部によって吸着され、M≧Nである場合には前記保管部材からN個の前記電子部品が前記吸着部によって吸着され、
吸着された前記電子部品が、前記移送機構によって前記収容部材に移送され、前記吸着が解除されることによって前記M個の空き場所のうちの少なくとも一部に収容され
前記移送機構は第1の移送機構と第2の移送機構とを含み、
前記第1の移送機構と前記第2の移送機構とは、前記保管部材から前記電子部品を吸着する動作と前記収容部材に前記電子部品を収容する動作とを交互に繰り返すことを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載された個片化された電子部品の搬送装置において、
前記空き場所の数を計算して、該空き場所の数に応じた数の前記電子部品を吸着して前記保管部材から前記収容部材に移送して収容するように前記移送機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載された個片化された電子部品の搬送装置において
前記第1の移送機構と前記第2の移送機構とのうち一方が前記保管部材における前記電子部品を吸着する間において、他方が前記吸着部に吸着された前記電子部品を前記収容部材に収容することを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載された個片化された電子部品の搬送装置において、
前記吸着部は、該吸着部同士の間隔を前記複数の配置場所のピッチ又は前記複数の収容場所のピッチに合わせて可変する機能を有することを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載された個片化された電子部品の搬送装置において、
前記板状部材は樹脂封止体であり、前記電子部品は回路基板と受動素子又は能動素子を含むチップと硬化樹脂からなる封止樹脂とを有することを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載された個片化された電子部品の搬送装置において、
前記板状部材は半導体ウェーハであり、前記電子部品は半導体チップであることを特徴とする個片化された電子部品の搬送装置。
【請求項7】
板状部材に設けられた複数の領域を単位として前記板状部材を個片化することによって製造された複数の電子部品を搬送する個片化された電子部品の搬送方法であって、
前記個片化された電子部品を保管部材に設けられた複数の配置場所にそれぞれ配置する工程と、
移送機構に設けられたN個(Nは2以上の整数)の吸着部によって前記複数の配置場所から前記電子部品を吸着する工程と、
前記移送機構によって前記複数の配置場所から収容部材に設けられた複数の収容場所に前記電子部品を移送する工程と、
前記電子部品に対する吸着を解除することによって前記電子部品を前記収容場所に収容する工程とを備え、
前記吸着する工程では、前記収容部材の1方向に沿う1行において前記収容場所の空き場所の数がM個(Mは正の整数)であってM<Nである場合には前記保管部材からM個の前記電子部品を前記吸着部によって吸着し、M≧Nである場合には前記保管部材からN個の前記電子部品を前記吸着部によって吸着し、
前記移送する工程では、前記移送機構によって前記電子部品を前記M個の空き場所のうちの少なくとも一部に移送し、
前記収容する工程では、前記電子部品に対する吸着を解除することによって前記M個の空き場所のうちの少なくとも一部に収容し、
前記移送機構は第1の移送機構と第2の移送機構とを含み、
前記第1の移送機構と前記第2の移送機構とは、前記吸着する工程と前記収容する工程とを交互に繰り返すことを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【請求項8】
請求項7に記載された個片化された電子部品の搬送方法において、
前記空き場所の数を計算して、該空き場所の数に応じた数の前記電子部品を吸着して前記保管部材から前記収容部材に移送して収容するように前記移送機構を制御する工程を備えることを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【請求項9】
請求項7に記載された個片化された電子部品の搬送方法において、
前記第1の移送機構前記第2の移送機構とのうち一方が前記保管部材における前記電子部品を吸着する間において、他方が前記吸着部が吸着した前記電子部品を前記収容部材に収容することを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【請求項10】
請求項7に記載された個片化された電子部品の搬送方法において、
前記吸着部同士の間隔を前記複数の配置場所のピッチ又は前記複数の収容場所のピッチに合わせて可変する工程を備えることを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【請求項11】
請求項7に記載された個片化された電子部品の搬送方法において、
前記板状部材は樹脂封止体であり、前記電子部品は回路基板と受動素子又は能動素子を含むチップと硬化樹脂からなる封止樹脂とを有することを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【請求項12】
請求項7に記載された個片化された電子部品の搬送方法において、
前記板状部材は半導体ウェーハであり、前記電子部品は半導体チップであることを特徴とする個片化された電子部品の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被切断物を切断して個片化された複数の電子部品を搬送する個片化された電子部品の搬送装置及び搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板やリードフレームなどからなる基板を格子状の複数の領域に仮想的に区画して、各々の領域にチップ状の素子を装着した後、基板全体を樹脂封止したものを樹脂封止体(封止済基板)という。この樹脂封止体を回転刃などを使用した個片化装置によって切断し、各領域単位に個片化したものが電子部品となる。
【0003】
樹脂封止体を切断して個片化された電子部品、例えば、BGA(Ball Grid Array Package)製品は、検査工程において封止樹脂側(モールド面)及び基板側(ボール面)の検査を行って、良品か不良品か否かを判断される。検査済みの電子部品はすべてインデックステーブルに配置される。インデックステーブルに配置された電子部品は、良品と不良品とに選別され、移送機構によって良品用トレイと不良品用トレイとにそれぞれ収容される。
【0004】
近年、電子部品の小型化がますます進む一方、電子部品の生産効率を高めるために、基板を大型化して、1枚の基板から取り出す電子部品の数を増やしたいという要求が強くなっている。これに伴い、インデックステーブルやトレイは大型化するとともに、電子部品を収容する領域はより小さくなる傾向にある。
【0005】
個片化装置において、インデックステーブルに配置される電子部品の数とトレイに収容される電子部品の数とは通常異なる。さらに、インデックステーブルに電子部品を配置するピッチとトレイに電子部品を収容するピッチとが異なる。したがって、インデックステーブルに配置された電子部品を効率よくトレイに移送して収容する技術が重要となってくる。
【0006】
電子部品をピックアップして搬送する搬送装置として、「検査対象デバイスを摘み上げるための吸着手段を有する複数のピックアップユニットを備えた搬送装置において、各ピックアップユニットに設けられた係合部材と、この係合部材が係合される係合溝が切られていて移動可能な共通部材と、を有し、前記共通部材の移動に伴ってピックアップユニットが移動し、吸着手段の間隔が変わることを特徴とする」搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1の段落、[0013]、図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−39706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献には、インデックステーブルにおける1方向に沿って配置される電子部品の数及びピッチと、トレイにおける1方向に沿って収容される電子部品の数及びピッチとが異なる場合において、どのようにして効率的に電子部品をインデックステーブルからトレイに収容するのか述べられていない。
【0009】
本発明は、インデックステーブルにおける1方向に沿って配置される電子部品の数及びピッチと、トレイにおける1方向に沿って収容される電子部品の数及びピッチとが異なる場合において、トレイの空きポケット数に応じて電子部品を吸着してトレイに効率よく収容することを可能とした個片化された電子部品の搬送装置及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、板状部材に設けられた複数の領域を単位として板状部材を個片化することによって製造された複数の電子部品を搬送する個片化された電子部品の搬送装置であって、電子部品がそれぞれ配置される複数の配置場所を有する保管部材と、電子部品がそれぞれ収容される複数の収容場所を有する収容部材と、複数の配置場所から電子部品をそれぞれ吸着して複数の収容場所に移送して収容する移送機構と、移送機構に設けられ、電子部品を吸着する機能及び該電子部品に対する吸着を解除する機能を有するN個(Nは2以上の整数)の吸着部とを備え、複数の収容場所の1方向に沿う1行において収容場所の空き場所の数がM個(Mは正の整数)であってM<Nである場合には保管部材からM個の電子部品が吸着部によって吸着され、M≧Nである場合には保管部材からN個の電子部品を吸着部によって吸着され、吸着された電子部品が、移送機構によって収容部材に移送され、吸着が解除されることによってM個の空き場所のうちの少なくとも一部に収容されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、上述した搬送装置において、空き場所の数を計算して、該空き場所の数に応じた数の電子部品を吸着して保管部材から収容部材に移送して収容するように移送機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、上述した搬送装置において、移送機構として第1の移送機構と第2の移送機構とを備え、第1の移送機構と第2の移送機構とのうち一方が保管部材における電子部品を吸着する間において、他方が吸着部に吸着された電子部品を収容部材に収容することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、上述した搬送装置において、吸着部は、該吸着部同士の間隔を複数の配置場所のピッチ又は複数の収容場所のピッチに合わせて可変する機能を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、上述した搬送装置において、板状部材は樹脂封止体であり、電子部品は回路基板と受動素子又は能動素子を含むチップと硬化樹脂からなる封止樹脂とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置は、上述した搬送装置において、板状部材は半導体ウェーハであり、電子部品は半導体チップであることを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、板状部材に設けられた複数の領域を単位として板状部材を個片化することによって製造された複数の電子部品を搬送する個片化された電子部品の搬送方法であって、個片化された電子部品を保管部材に設けられた複数の配置場所にそれぞれ配置する工程と、移送機構に設けられたN個(Nは2以上の整数)の吸着部によって複数の配置場所から電子部品を吸着する工程と、移送機構によって複数の配置場所から収容部材に設けられた複数の収容場所に電子部品を移送する工程と、電子部品に対する吸着を解除することによって電子部品を収容場所に収容する工程とを備え、吸着する工程では、収容部材の1方向に沿う1行において収容場所の空き場所の数がM個(Mは正の整数)であってM<Nである場合には保管部材からM個の電子部品を吸着部によって吸着し、M≧Nである場合には保管部材からN個の電子部品を吸着部によって吸着し、移送する工程では、移送機構によって電子部品をM個の空き場所のうちの少なくとも一部に移送し、収容する工程では、電子部品に対する吸着を解除することによってM個の空き場所のうちの少なくとも一部に収容することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、上述した搬送方法において、空き場所の数を計算して、該空き場所の数に応じた数の電子部品を吸着して保管部材から収容部材に移送して収容するように移送機構を制御する工程を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、上述した搬送方法において、移送機構として設けられた第1の移送機構と第2の移送機構とのうち一方が保管部材における電子部品を吸着する間において、他方が吸着部が吸着した電子部品を収容部材に収容することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、上述した搬送方法において、吸着部同士の間隔を複数の配置場所のピッチ又は複数の収容場所のピッチに合わせて可変する工程を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、上述した搬送方法において、板状部材は樹脂封止体であり、電子部品は回路基板と受動素子又は能動素子を含むチップと硬化樹脂からなる封止樹脂とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る個片化された電子部品の搬送方法は、上述した搬送方法において、板状部材は半導体ウェーハであり、電子部品は半導体チップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、収容部材の1方向に沿う1行において空き場所の数Mが吸着部の数Nよりも少なくなった場合には、空き場所の数に等しい電子部品を保管部材から吸着する。移送機構によって吸着された電子部品を収容部材に移送して空き場所に収容する。空き場所の数に応じて移送機構を制御することによって、電子部品を空き場所に収容する動作を2回連続して行うことが回避される。したがって、効率よく保管部材から収容部材に電子部品を収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施例に係る個片化装置を示す概略平面図である。
図2】インデックステーブルと移送機構とトレイとの構成を示す概略平面図である。
図3】移送機構によって電子部品をトレイに収容する工程を示す概略断面図である。
図4】トレイの1行目のポケットに電子部品を収容する状態を示す概略図である。
図5】トレイの2行目のポケットに電子部品を収容する状態を示す概略図である。
図6】トレイ全体に電子部品を収容する状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
良品用トレイの各行において、空きポケット数が移送機構の吸着部数よりも少なくなった場合には、空きポケット数に等しい数の電子部品をインデックステーブルから吸着する。移送機構によって吸着された電子部品を良品用トレイに移送して空きポケットに収容する。
【実施例】
【0025】
実施例として、図1図6を参照して本発明に係る個片化された電子部品の搬送装置について説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0026】
図1は、本実施例に係る個片化装置1を示す概略平面図である。個片化装置1は、被切断物を複数の電子部品に個片化する。個片化装置1は、受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとを、それぞれ構成要素(モジュール)として有する。
【0027】
受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとが、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能であり、それぞれが予想される要求仕様に応じた異なる複数の仕様を有するようにして予め用意される。受け入れユニットAと個片化ユニットBと検査ユニットCと収容ユニットDとを含んで個片化装置1が構成される。
【0028】
受け入れユニットAにはプレステージ2が設けられる。前工程の装置である樹脂封止装置から、被切断物に相当する樹脂封止体(成形済基板)3がプレステージ2に受け入れられる。樹脂封止体3は、封止樹脂の側を下にしてプレステージ2に配置される。
【0029】
樹脂封止体3は、リードフレームやプリント基板などの回路基板と、回路基板における格子状の複数の領域に装着され受動素子又は能動素子を含むチップと、一括して成形された硬化樹脂からなる封止樹脂とを有する。
【0030】
個片化ユニットBには切断用テーブル4が設けられる。切断用テーブル4は、図のX方向に移動可能であり、かつ、θ方向に回動可能である。切断用テーブル4の上には切断用ステージ5が取り付けられる。個片化ユニットBの奥の部分には、切断機構として2個のスピンドルユニット6が設けられる。2個のスピンドルユニット6は、独立してY方向に移動可能である。2個のスピンドルユニット6には、それぞれ回転刃7が設けられる。これらの回転刃7は、それぞれX方向に沿う面内において回転することによって樹脂封止体3を切断する。したがって、本実施例では、それぞれ回転刃7を使用した2個の切断機構が個片化ユニットBに設けられる。切断機構は1個であっても3個以上であってもよい。
【0031】
検査ユニットCには検査用ステージ8が設けられる。樹脂封止体3を切断して個片化された複数の電子部品Pからなる集合体9は、検査用ステージ8に一括して吸着される。検査用ステージ8はX方向を軸にして回転できるように構成されている。個片化された複数の電子部品P(例えば、BGA製品)は、封止樹脂側(モールド面)及び基板側(ボール面)を検査することによって、良品と不良品とに選別される。検査済みの電子部品Pは、インデックステーブル10に市松模様状(checker flag pattern状)又は格子状に配置される。図1においては、市松模様状に配置された場合について示している。検査ユニットCには、インデックステーブル10に配置された電子部品Pをトレイに移送する複数の移送機構11A、11Bが設けられる。
【0032】
収容ユニットDには良品を収容する良品用トレイ12と不良品を収容する不良品用トレイ13とが設けられる。電子部品Pは、移送機構11A、11Bによって良品と不良品とに選別されて各トレイに収容される。なお、ここではインデックステーブル10に配置された電子部品Pはすべて良品であると仮定する。
【0033】
以上、個片化装置1の構成と動作について説明してきた。個片化装置1における動作は、例えば、受け入れユニットA内に設けられた制御部CTLによって制御される。
【0034】
図2は、インデックステーブル10と移送機構11A、11Bと良品用トレイ12との構成を示す概略図である。図2においては、電子部品Pが格子状に配置された場合について示している。インデックステーブル10の横方向(X方向)に沿う並びを「行」と呼び、縦方向(Y方向)に沿う並びを「列」と呼ぶことにする。この場合は、10行×28列の合計280個の電子部品Pが、インデックステーブル10の区画された各領域に配置される。電子部品Pは10行×28列のマトリクス上に配置されるので、例えば、3行目の4列目に配置された電子部品Pを電子部品P34と呼ぶことにする。したがって、1行目には電子部品P11〜P128、2行目には電子部品P21〜P228、・・・、10行目には電子部品P101〜P1028が配置され、合計280個の電子部品Pがインデックステーブル10に配置される。
【0035】
同様にして、良品用トレイ12には9行×17列の合計153個の電子部品Pを収容するためのポケットSが設けられている。各ポケットSは電子部品Pを収容するための凹部を有する形状に形成されている。1行目にはポケットS11〜S117、2行目にはポケットS21〜S217、・・・、9行目にはポケットS91〜S917が設けられている。
【0036】
インデックステーブル10においては、電子部品PはX方向及びY方向ともピッチaの間隔をおいて配置される。同様に、良品用トレイ12においては、ポケットSはX方向及びY方向ともピッチbの間隔をおいて形成されている。インデックステーブル10のピッチaと良品用トレイ12のピッチbとは異なる。対象とする製品によって、インデックステーブル10に配置される電子部品の数や良品用トレイ12に収容される電子部品の数も異なる。このように、インデックステーブル10に配置される電子部品Pの数やピッチと良品用トレイ12に収容される電子部品Pの数やピッチとは通常異なる。
【0037】
図2において、移送機構11A、11Bはそれぞれ複数の独立した吸着部H(具体的には6個の吸着部H1〜H6)を備えている。各吸着部H1〜H6はそれぞれが昇降し、かつ、電子部品Pを吸着する機能及び吸着を解除する機能を有している。また、移送機構11A、11Bは各吸着部H1〜H6の間隔を可変できるように構成されている。移送機構11A、11Bは、吸着部H1〜H6によってインデックステーブル10に配置された電子部品Pを最大で6個吸着することができる。移送機構11A、11Bは、吸着した電子部品Pを順次良品用トレイ12に移送して所定のポケットSに収容する。移送機構11A、11Bは、電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する場合には吸着部Hの間隔をピッチaに合わせて吸着し、良品用トレイ12に収容する場合にはピッチbに合わせて電子部品Pを収容する。
【0038】
図2に示すように、インデックステーブル10に配置された電子部品Pは、移送機構11A、11Bによって、1行目のP11〜P128、2行目のP228〜P21、3行目のP31〜P328、4行目のP428〜P41、・・・と各行、交互に二点鎖線の矢印の方向に沿って吸着されて移送される。同様にして、良品用トレイ12においては、1行目のS11〜S117、2行目のS217〜S21、3行目のS31〜S317、4行目のS417〜S41、・・・と各行、交互に二点鎖線の矢印の方向に沿って電子部品PはポケットSに収容される。
【0039】
図3は、移送機構11Aによって電子部品P11〜P16を良品用トレイ12に収容する工程を示す概略断面図である。図3(a)に示すように、インデックステーブル10には各電子部品Pをそれぞれ吸着するための吸着口14が設けられている。インデックステーブル10の区画された各領域が、電子部品Pを配置するための凹部を備えているような場合であれば、吸着口14は特に設けなくてもよい。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、移送機構11Aの吸着部Hの間隔をピッチaに合わせる。移送機構11Aがインデックステーブル10の1行目(図2参照)に配置された電子部品P11〜P16を吸着できる位置まで移動する。吸着部H1〜H6が下降してそれぞれが電子部品P11〜P16を吸着する。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、移送機構11Aが良品用トレイ12の1行目(図2参照)に設けられたポケットS11〜S16上に移動し、吸着部Hの間隔をピッチbに合わせる。吸着部Hが下降して電子部品P11〜P16をポケットS11〜S16に収容した後に、吸着を解除する。移送機構11Aによって、良品用トレイ12の1行目には6個の電子部品P11〜P16が収容される。このように、移送機構11A、11Bは、電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する時には吸着部Hの間隔をピッチaに合わせて吸着し、良品用トレイ12に収容する時にはピッチbに合わせて電子部品Pを収容する。
【0042】
図4図6を用いて、移送機構11A、11Bによって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する具体例について説明する。ここではインデックステーブル10に配置された電子部品Pがすべて良品であると仮定して説明する。なお、不良品があった場合には、まず良品のみをインデックステーブル10から良品用トレイ12に移送して収容する。そして、良品の収容がすべて完了した後に、残った不良品を不良品用トレイ13に移送して収容する。
【0043】
図4は、良品用トレイ12の1行目のポケットSに電子部品Pを収容する状態を示す。まず、移送機構11Aがインデックステーブル10の1行目に配置された6個の電子部品P11〜P16を吸着し、良品用トレイ12の1行目に設けられたポケットS11〜S16の上に移送し、電子部品P11〜P16に対する吸着を解除して電子部品P11〜P16を収容する。移送機構11Aは、移動してインデックステーブル10の上の位置に復帰する。移送機構11Aが電子部品P11〜P16を良品用トレイ12のポケットS11〜S16に収容している間に、移送機構11Bはインデックステーブル10の1行目に配置された6個の電子部品P17〜P112を吸着する。そして、良品用トレイ12の1行目に設けられたポケットS17〜S112に電子部品P17〜P112を収容する。このように、移送機構11Aと11Bとは、インデックステーブル10から電子部品Pを吸着する動作と良品用トレイ12に電子部品Pを収容する動作とを交互に繰り返す。
【0044】
ここまでは、良品用トレイ12の1行目における空きポケット数Mが移送機構11A、11Bの吸着部Hの数(吸着部数)であるN個(本実施例では6個)よりも多いので、移送機構11A、11Bによって6個の電子部品Pがインデックステーブル10から吸着されて良品用トレイ12に収容される。この状態で、良品用トレイ12の1行目にはポケットS11〜S112に12個の電子部品P11〜P112が収容され、5個のポケットS113〜S117が空きポケットとなっている。1行目の空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少なくなったので、次は空きポケット数Mに相当する5個の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する。したがって、移送機構11Aはインデックステーブル10から5個の電子部品P113〜P117を吸着して、良品用トレイ12のポケットS113〜S117に収容する。このようにして、良品用トレイ12の1行目には、移送機構11A、11Bが、吸着〜移送〜収容〜復帰の一連の動作(サイクル)を3回行うことによって、17個の電子部品P11〜P117がすべて良品用トレイ12の1行目のポケットS11〜S117に収容されたことになる。
【0045】
良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少ない場合において、空きポケット数Mよりも多く電子部品Pを吸着する場合を考える。この場合において、例えば、移送機構11A、11Bが吸着可能なN個の電子部品Pを吸着すると、その行と次の行との2行に亘って電子部品Pを連続して収容しなければならなくなる。2行に亘って電子部品Pを収容すると収容動作が連続する2回に分けられたこととなり、収容する時間が2倍となる。連続する2回に分けられた収容動作によって電子部品Pを収容すると収容効率が悪くなる。このような状況を避けるため、本実施例では良品用トレイ12の各行において、空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少なくなった場合は、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する。このことにより、連続する2回に分けられた収容動作によって良品用トレイ12に電子部品Pを収容することを回避して、収容効率を高めることができる。
【0046】
インデックステーブル10から電子部品Pを吸着する動作、良品用トレイ12に電子部品Pを移送して収容する動作、良品用トレイ12の空きポケット数を計算する処理、良品用トレイ12の空きポケット数に等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着する動作など、すべての動作や処理は個片化装置1に設けられた制御部CTL(図1参照)によって制御される。
【0047】
図5は、良品用トレイ12の2行目のポケットSに電子部品Pを収容する状態を示す。移送機構11Bが、インデックステーブル10からP118〜P123の6個の電子部品Pを吸着して、良品用トレイ12の2行目のポケットS217〜S212に収容する。次に、移送機構11Aが、インデックステーブル10の1行目のP124〜P128の5個と2行目のP228の1個との合計6個の電子部品Pを吸着する。そして、良品用トレイ12のポケットS211〜S26に収容する。このように、良品用トレイ12の各行において、空きポケット数Mが吸着部数Nよりも多く、かつ、インデックステーブル10におけるその行の電子部品Pの残り数Lが吸着部数Nよりも少ない場合には、インデックステーブル10からは2行に亘って6個の電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する。
【0048】
次に、移送機構11Bが良品用トレイ12の2行目の空きポケット数に等しい数の5個の電子部品P227〜P223を吸着してポケットS25〜S21に収容する。このようにして、2行目においても3回の収容動作によってすべての電子部品P217〜P21が収容される。同様にして、良品用トレイ12の3行目から9行目についてもインデックステーブル10から電子部品Pを吸着して収容する。
【0049】
図6は、良品用トレイ12の9行目まですべて電子部品Pを収容した状態を示す。良品用トレイ12の1行目、2行目と同様にして、良品用トレイ12の3行目、4行目、・・・、9行目においても、移送機構11Aと11Bとによって各電子部品Pが良品用トレイ12の各ポケットSに収容される。良品用トレイ12には、9行×17列、合計153個の電子部品Pが収容される。良品用トレイ12のポケットSにすべて電子部品Pが収容された後は、次のトレイに交換して新しいトレイに電子部品Pが収容される。
【0050】
実施例においては、良品用トレイ12の各行には17個のポケットSが設けられている。移送機構11A、11Bの吸着部Hは6個設けられている。したがって、インデックステーブル10から電子部品Pを6個、6個、5個と3回の動作によって吸着して良品用トレイ12に収容すると各行のポケットSには電子部品Pがすべて収容される。つまり、良品用トレイ12の各行のポケットには3回の収容動作によってすべて電子部品Pが満たされる。なお、良品用トレイ12の各行におけるポケット数Mや移送機構における吸着部数Nなどはこれに限らず、任意に設定することができる。
【0051】
ここまで説明してきたように、良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mが吸着部数Nよりも少なくなった場合には、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着して良品用トレイ12の空きポケットに収容する。このことにより、良品用トレイ12の2行に亘って連続して収容動作を行うことが回避でき、各行において電子部品Pを収容する動作をすべて1回の動作で行うことが可能となる。したがって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する時間を短縮することができ、収容効率を高めることができる。
【0052】
移送機構11Aと11Bとは、インデックステーブル10における電子部品Pを吸着する動作と良品用トレイ12における収容する動作とを交互に繰り返す。このように、2個の移送機構11Aと11Bとによって、効率的に電子部品Pをインデックステーブル10から良品用トレイ12に移送して収容することができる。本実施例では、個片化装置1の制御部CTLによって、良品用トレイ12の各行における空きポケット数Mを計算し、空きポケット数Mに応じて2個の移送機構11A、11Bの動作を制御する。このことにより、効率的にインデックステーブル10から電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容することができる。したがって、電子部品Pを良品用トレイ12に収容する時間を短縮することができ、個片化装置1の生産性を向上することができる。
【0053】
本発明によれば、良品用トレイ12の各行において、残りの空きポケット数Mが移送機構11A、11Bの吸着部数Nよりも少ない場合には、空きポケット数Mに等しい数の電子部品Pをインデックステーブル10から吸着して良品用トレイ12に収容する。したがって、良品用トレイ12の各行には吸着した電子部品Pを過不足なく各行に設けられたポケット数だけきちんと収容することができる。また、2個の移送機構11Aと11Bとによって、電子部品Pを吸着する動作と収容する動作とを交互に繰り返す。したがって、個片化装置1において、電子部品Pを収容する時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0054】
本実施例では、2個の移送機構11A、11Bがインデックステーブ10から各電子部品Pを吸着して良品用トレイ12に収容する場合について説明した。これに限らず、移送機構は1個又は3個以上であってもよい。
【0055】
被切断物としては、樹脂封止体3の他に半導体ウェーハを使用してもよい。半導体ウェーハの各領域には電子回路が作り込まれているので、切断後の各領域に相当する部分(半導体チップ)が電子部品Pとなる。
【0056】
また、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 個片化装置
2 プレステージ
3 樹脂封止体(板状部材)
4 切断用テーブル
5 切断用ステージ
6 スピンドルユニット
7 回転刃
8 検査用ステージ
9 複数の電子部品からなる集合体
10 インデックステーブル(保管部材)
11A、11B 移送機構(第1の移送機構、第2の移送機構)
12 良品用トレイ(収容部材)
13 不良品用トレイ
14 吸着口
A 受け入れユニット
B 個片化ユニット
C 検査ユニット
D 収容ユニット
CTL 制御部
P 電子部品
S ポケット(収容場所)
H 吸着部
a インデックステーブルに配置される電子部品のピッチ
b トレイに設けられたポケットのピッチ
M トレイの各行における空きポケット数
N 移送機構における吸着部数
L インデックステーブルの各行における電子部品の残り数
図1
図2
図3
図4
図5
図6