(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、第1の実施形態に係る積層造形装置1及び積層造形物100の製造方法を、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は第1の実施形態に係る積層造形装置1の構成を模式的に示す説明図、
図2は積層造形装置1の要部構成、具体的には、ノズル33及び溶融装置45の構成を模式的に示す説明図、
図3は積層造形装置1に用いられる光学装置15のガルバノスキャナ55の構成を示す斜視図、
図4は積層造形装置1を用いた積層造形物100の製造の一例を示す説明図である。
【0008】
図1に示すように、積層造形装置1は、処理槽11と、ステージ12と、移動装置13と、ノズル装置14と、光学装置15と、計測装置16と、制御装置17と、を備えている。積層造形装置1は、ステージ12上に設けられる対象物110に、ノズル装置14で供給される材料を層状として複数積層させることで、所定の形状の積層造形物100を造形可能に形成されている。
【0009】
なお、対象物110とは、その上面に積層造形物100を造形するためのベース110aや、積層造形物100の一部を構成する層110b等であり、ノズル装置14によって材料を供給する対象である。また、材料とは、粉末状の樹脂材料又は金属材料であって、複数種の異なる金属材料、例えば第1材料121及び第2材料122が用いられる。
【0010】
処理槽11は、主室21と、主室21に隣接して形成された副室22と、主室21を開閉可能、且つ、主室21を気密に閉塞可能な扉部23と、を備えている。主室21は、その内部にステージ12、移動装置13、ノズル装置14の一部、及び、計測装置16を配置可能に形成されている。主室21は、例えば、窒素及びアルゴン等の不活性ガスが供給される供給口21aと、主室21内のガス等を排出する排出口21bと、を備えている。主室21は、供給口21aが不活性ガスを供給する供給装置に接続されている。排出口21bは、主室21内のガスを排出する排出装置に接続されている。
【0011】
副室22は、主室21に隣接して形成される。副室22は、扉部23を介して主室21と空間が連続可能に形成される。副室22は、例えば、主室21で処理された積層造形物100が搬送される。副室22は、例えば、製造された積層造形物100を積載し、主室21から搬送する移載装置や、バキュームヘッド等によって積層造形物100を吸着させて搬送する搬送アーム等の搬送装置24を備えている。副室22は、積層造形物100の造形時に、扉部23が閉じられることで、主室21と隔離される。
【0012】
ステージ12は、その上部に対象物110を支持可能に形成されている。移動装置13は、ステージ12を3軸方向に移動させることが可能に形成されている。
【0013】
ノズル装置14は、複数種の材料を所定の量だけステージ12上の対象物110に選択的に供給可能、且つ、レーザ光200を出射可能に形成されている。具体的には、ノズル装置14は、第1材料121を供給可能な第1供給装置31と、第2材料122を供給可能な第2供給装置32と、第1供給装置31及び第2供給装置32並びに光学装置15に接続されたノズル33と、第1供給装置31及びノズル33並びに第2供給装置32及びノズル33を接続する供給管34と、を備えている。
【0014】
例えば、第1材料121は、粉末状の金属材料である。また、第2材料122は、粉末状であって第1材料と異なる金属材料である。
【0015】
第1供給装置31は、第1材料121を貯蔵するタンク31aと、タンク31aから第1材料121をノズル33に所定の量だけ供給する供給手段31bと、を備えている。第1供給装置31は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスをキャリアとしてタンク31a内の第1材料121をノズル33に供給可能に形成されている。
【0016】
第2供給装置32は、第2材料122を貯蔵するタンク32aと、タンク32aから第2材料122をノズル33に所定の量だけ供給する供給手段32bと、を備えている。第2供給装置32は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスをキャリアとしてタンク32a内の第2材料122をノズル33に供給可能に形成されている。
【0017】
ノズル33は、第1供給装置31及び第2供給装置32に供給管34を介して接続される。ノズル33は、光学装置15にレーザ光200を通過させることが可能なケーブル210を介して接続される。ノズル33は、ステージ12に対して移動可能に形成されている。
【0018】
ノズル33は、円筒状の外郭体36と、外郭体36内に設けられ、その先端から第1材料121及び第2材料122を噴射する噴射口37と、レーザ光200を通過させる光通路部38と、光通路部38内に設けられた光学レンズ39と、を備えている。ノズル33は、例えば、噴射口37の径が異なる二つが設けられる。例えば、一方のノズル33の噴射口37は、0.2mmの径に、他方のノズル33の噴射口37は、2.0mmに形成される。ノズル33は、第1供給装置31及び第2供給装置32から供給された粉末状の第1材料121及び第2材料122を混合可能に形成されている。
【0019】
ノズル33は、例えば、その内部で第1供給装置31及び第2供給装置32から供給された粉末状の第1材料121及び第2材料122を混合可能、又は、複数の噴射口37からそれぞれ第1材料121及び第2材料122を噴射し、噴射後第1材料121及び第2材料122を混合可能に形成されている。
【0020】
なお、本実施の形態においては、噴射口37は、例えば、二つ設けられ、一方が第1供給装置31に接続される第1噴射口37aであり、他方が第2供給装置32に接続される第2噴射口37bである構成を用いて説明する。
図2に示すように、例えば、噴射口37は、第1供給装置31及び第2供給装置32から供給されたガスによって搬送された第1材料121及び第2材料122が、噴射口37から所定の距離において交差するように、外郭体36の軸心、さらに言えば出射するレーザ光200の光軸に対して傾斜して形成される。
【0021】
光通路部38は、外郭体36の軸心に沿って設けられる。光学レンズ39は、例えば、光通路部38に設けられる。光学レンズ39は、ケーブル210からのレーザ光200を平行光に変換し、且つ、平行光を収束可能に2つ設けられる。光学レンズ39は、所定の位置、具体的には、噴射口37から噴射された第1材料121及び第2材料122が交差する位置で最も収束するように構成される。
【0022】
図1及び
図3に示すように、光学装置15は、光源41と、光源41にケーブル210を介して接続された光学系42と、を備えている。光源41は、発信素子を有し、レーザ光200を発信素子から出射可能に形成されたレーザ光200の供給源である。光源41は、出射するレーザ光のパワー密度を変更可能に形成されている。
【0023】
光学系42は、光源41から出射されたレーザ光200をノズル33に供給可能、且つ、対象物110に向かって噴射された第1材料121及び第2材料122に照射可能に形成されている。また、光学系42は、ベース110a上の層110bや材料121,122にレーザ光200を照射可能に形成されている。
【0024】
具体的には、光学系42は、第1レンズ51と、第2レンズ52と、第3レンズ53と、第4レンズ54と、ガルバノスキャナ55と、を備えている。光学系42は、第1レンズ51、第2レンズ52、第3レンズ53及び第4レンズ54が固定されている。なお、光学系42は、第1レンズ51、第2レンズ52、第3レンズ53及び第4レンズ54を二軸方向、具体的には光路に対して直交又は交差する方向に移動可能な調整装置を備えている構成であってもよい。
【0025】
第1レンズ51は、ケーブル210を介して入射されたレーザ光200を平行光に変換可能、且つ、変換したレーザ光200をガルバノスキャナ55に入射可能に形成されている。第2レンズ52は、ノズル33と同数設けられる。第2レンズ52は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束させるとともに、ケーブル210を介してノズル33にレーザ光200を出射可能に形成されている。
【0026】
第3レンズ53は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束させ、対象物110上にレーザ光200を照射可能に形成されている。第4レンズ54は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束させ、対象物110上にレーザ光200を照射可能に形成されている。
【0027】
ガルバノスキャナ55は、第1レンズ51で変換された平行光を、第2レンズ52、第3レンズ53及び第4レンズ54に分割可能に形成されている。ガルバノスキャナ55は、第1ガルバノミラー57と、第2ガルバノミラー58と、第3ガルバノミラー59と、を備えている。各ガルバノミラー57,58,59は、傾斜角度を可変可能、且つ、レーザ光200を分割可能に形成されている。
【0028】
第1ガルバノミラー57は、第1レンズ51を通過したレーザ光200の一部を通過させることでレーザ光200を第2ガルバノミラー58に出射するととともに、当該レーザ光200の他部を反射させることでレーザ光200を第4レンズ54に出射する。また、第1ガルバノミラー57は、その傾斜角度によって、第4レンズ54を通過したレーザ光200の照射位置を調整可能に形成されている。
【0029】
第2ガルバノミラー58は、レーザ光200の一部を第3ガルバノミラー59に出射するととともに、当該レーザ光200の他部を反射させて第3レンズ53に出射する。また、第2ガルバノミラー58は、その傾斜角度によって、第3レンズ53を通過したレーザ光200の照射位置を調整可能に形成されている。
【0030】
第3ガルバノミラー59は、レーザ光200の一部を一方の第2レンズ52に出射させるととともに、当該レーザ光200の他部を他方の第2レンズ52に出射する。
【0031】
このような光学系42は、第1ガルバノミラー57、第2ガルバノミラー58及び第3レンズ53によって対象物110に供給された第1材料121(123)及び第2材料122(123)を加熱して層110bを形成するとともにアニール処理を行う溶融装置45を構成する。溶融装置45は、ベース110a上にノズル33から供給された第1材料121及び第2材料122をレーザ光200によって溶融し、層110bを形成する。
【0032】
また、光学系42は、第1材料121及び第2材料122によってベース110a上及び層110bに形成された不要な部位を第1ガルバノミラー57及び第4レンズ54によって供給されたレーザ光200により除去する除去装置46を構成する。
【0033】
除去装置46は、ノズル33による第1材料121及び第2材料122の供給時に発生する材料の飛散や、層110bの形成時に発生する不要部位等の、積層造形物100の所定の形状とは異なる部位を除去可能に形成されている。除去装置46は、当該部位を除去可能なパワー密度を有するレーザ光200を出射可能に形成されている。
【0034】
計測装置16は、ベース110a上の固化した材料の形状である、層110bの形状及び造形した積層造形物100の形状を計測することが可能に形成されている。計測装置16は、計測した形状の情報を制御装置17に送信可能に形成されている。
【0035】
例えば、計測装置16は、カメラ61と、カメラ61で計測した情報に基づいて画像処理を行う画像処理装置62と、を備えている。なお、計測装置16は、例えば、干渉方式や光切断方式等によって、層110b及び積層造形物100の形状、即ち、ベース110a上の第1材料121及び第2材料122が混合した材料123の形状を計測可能に形成されている。
【0036】
制御装置17は、移動装置13、搬送装置24、第1供給装置31、第2供給装置32、光源41、ガルバノスキャナ55及び画像処理装置62に信号線220を介して電気的に接続されている。
【0037】
制御装置17は、移動装置13を制御することで、ステージ12を3軸方向に移動可能に形成されている。制御装置17は、搬送装置24を制御することで、造形した積層造形物100を副室22に搬送可能に形成されている。制御装置17は、第1供給装置31を制御することで、第1材料121の供給、及び、第1材料121の供給量を調整が可能に形成されている。
【0038】
制御装置17は、第2供給装置32を制御することで、第2材料122の供給、及び、第2材料122の供給量を調整が可能に形成されている。制御装置17は、光源41を制御することで、光源41から出射されるレーザ光200のパワー密度を調整可能に形成されている。制御装置17は、ガルバノスキャナ55を制御することで、第1ガルバノミラー57、第2ガルバノミラー58及び第3ガルバノミラー59の傾斜角度を調整可能に形成されている。また、制御装置17は、ノズル33を移動可能に形成されている。
【0039】
制御装置17は、記憶部17aを備えている。記憶部17aには、閾値として、造形する積層造形物100の形状が記憶されている。また、記憶部17aには、造形する積層造形物100の各層110bにおける材料121,122の比率が記憶されている。
【0040】
また、制御装置17は、以下の機能(1)乃至(3)を有している。
【0041】
(1)ノズル33から材料を選択的に噴射する機能。
【0042】
(2)ベース110a上で材料の形状を判断する機能。
【0043】
(3)ベース110a上の材料のトリミングを行う機能。
【0044】
次に、これら機能(1)乃至機能(3)について説明する。
機能(1)は、記憶部17aに記憶された、予め設定された積層造形物100の各層110bにおける第1材料121及び第2材料122の比率に基づいて、ノズル33から第1材料121及び第2材料122を選択的に噴射する機能である。具体的には、第1供給装置31及び第2供給装置32の供給手段31b,32bを制御し、積層造形物100の所定の層110bを形成するときに、当該層110bに設定された第1材料121及び第2材料122の比率を調整する機能である。また、例えば、積層造形物100が部分的に異なる材料又は比率で形成される場合に、第1材料121及び第2材料122の比率を変化させることで、傾斜材料を形成する機能である。
【0045】
より具体的に説明すると、例えば、積層造形物の一端側を第1材料121のみで形成し、他端側を第2材料122のみで形成する場合には、まず、ベース110a上に、第1材料のみを供給して層110bを積層させて第1材料121のみで形成される部位を形成する。次に、第2材料122のみで形成する部位までは、第1材料及び第2材料の比率を漸次変えていき、第1材料121のみで形成する部位及び第2材料122のみで形成する部位の中間位置で第1材料及び第2材料の比率が半分となるように、層110bの材料の比率を変化させる。このように機能(1)は、第1材料121及び第2材料の比率を変えることで、漸次第1材料121及び第2材料122の比率が変化する傾斜材料を形成することが可能となる。
【0046】
機能(2)は、ベース110a上でノズル33から噴射された第1材料121及び第2材料122で形成された層110b又は積層造形物100の形状を計測装置16で計測し、記憶部17aの閾値と比較することで、所定の形状でない部位が形成されているか否かを判断する機能である。具体的には、ノズル33からガスを用いて第1材料121及び第2材料122が噴射されるとともに、レーザ光200によって溶融されることから、ベース110a上及び層110b上に材料121,122が供給されたときに、当該材料121,122の一部が飛散して、所定の形状でない部位が形成される虞がある。この飛散した材料121,122を検出するために、計測装置16で計測した形状と記憶部17aに記憶された閾値とを比較し、所定の形状に材料121,122が供給されているか否かを判断する機能である。換言すると、機能(2)は、積層造形物100の所定の形状とは異なる部位に材料121,122が付着し、所定の形状(閾値)から突出する部位を有するか否かを判断する機能である。
【0047】
機能(3)は、機能(2)で計測された、所定の形状とは異なる部位の材料121,122を除去することで、ノズル33から供給された材料121,122を所定の形状にトリミングする機能である。具体的には、機能(2)で、所定の形状とは異なる部位に材料121,122が飛散して付着している場合に、第1ガルバノミラー57を介して第4レンズ54から出射されたレーザ光200が材料121,122を蒸発可能なパワー密度となるように光源41を制御する。その後、第1ガルバノミラー57を制御し、当該レーザ光200を、当該部位に照射して材料121,122を蒸発させることで、所定の形状にトリミングを行う機能である。
【0048】
次に、積層造形装置1を用いた積層造形物100の製造方法を、
図2及び
図4を用いて説明する。
まず、
図4に示すように、制御装置17は、第1供給装置31及び第2供給装置32を制御して所定の量の第1材料121及び第2材料122を、ノズル33から所定の範囲に溶射する。具体的には、制御装置17により第1供給装置31及び第2供給装置32を制御し、形成を行う層110bの所定の材料となるように、噴射口37から粉末状の第1材料121及び/又は第2材料121を所定の比率で噴射させる。また、レーザ光200を照射して、噴射した材料121,122を溶融させる。
【0049】
これにより、
図2に示すように、ベース110a上の層110bを形成する範囲に、溶融した材料123が所定の量だけ供給される。なお、例えば、材料123は、ベース110aや層110bに噴射されると、変形して層状又は薄膜状等の材料123の集合となるか又は自身を運ぶガスによって冷却若しくは材料123の集合へと熱が伝わり放熱されるによって冷却され、粒状で積層され、粒状の集合となる。
【0050】
次に、ベース110a上の材料123の集合に溶融装置45を制御してレーザ光200を照射し、材料123の集合を再溶融させて層110bとするとともにアニール処理を行う。次に、計測装置16により、アニール処理を行ったベース110a上の材料123を計測する。制御装置17は、計測装置16で計測されたベース110a上の材料123の形状と、記憶部17aに記憶された閾値とを比較する。
【0051】
ベース110a上の材料123が所定の形状の層110bに形成されていたら、制御装置17は、再び第1供給装置31及び第2共有装置32を制御して、形成した層110b上に新たに層110bを形成する。
【0052】
ベース110a上の材料123が所定の形状とは異なる位置に材料123が付着している場合には、制御装置17は、除去装置46を制御して、当該付着した材料123にレーザ光200を照射し、不要な材料123を蒸発させる。このように、制御装置17は、計測装置16で計測した材料123の形状が所定と異なる部位にレーザ光200を照射して不要な材料123を除去することで、層110bが所定の形状となるようにトリミングを行う。
【0053】
トリミング終了後、制御装置17は、再び第1供給装置31及び第2共有装置32を制御して、形成した層110b上に新たに層110bを形成する。このように、層110bを繰り返し形成して積層させることで、積層造形物100が造形される。
【0054】
このように構成された積層造形装置1は、制御装置17によって所定の量の第1材料121及び/又は第2材料122をノズル33に供給可能、且つ、第1材料121及び第2材料122をノズル33で混合してレーザ光200により溶射可能に形成されに形成されている。これにより、材料121,122を所定の比率で供給することが可能となり、積層造形物100に複数の異なる材料を用いることが可能となる。そして、積層造形物100は、傾斜材料となる。
【0055】
また、積層造形装置1は、ベース110a上に供給された材料123(層110b)を溶融装置45により再溶融して層状とするとともに、アニール処理を行うことで、残留応力を除去することが可能となる。さらに、材料121,122を確実に混合させることが出来るので、強度を向上することが可能となる。
【0056】
さらに、積層造形装置1は、計測装置16で計測した材料123の形状を記憶部17aの閾値と比較し、不要に供給された材料123を除去することで、供給された材料123の形状に応じてトリミングが可能となる。このため、ノズル33から材料123を噴射する構成であっても、飛散して付着した不要な材料123を除去可能となり、所定の形状の積層造形物100を造形可能となる。
【0057】
上述したように、第1の実施形態に係る積層造形装置1によれば、傾斜材料の形成、アニール処理及びトリミングが可能となり、複数の粉末状の材料121,122を用いて積層造形物100を製造することが可能となる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、
図5を用いて、第2の実施形態に係る積層造形装置1Aについて説明する。
図5は、第2の実施形態に係る積層造形装置1Aの構成を模式的に示す説明図である。なお、第2の実施形態に係る積層造形装置1Aの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る積層造形装置1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
図5に示すように、積層造形装置1Aは、処理槽11と、ステージ12と、移動装置13と、ノズル装置14と、光学装置15Aと、計測装置16と、制御装置17と、を備えている。積層造形装置1Aは、ステージ12上に設けられる対象物110に、ノズル装置14で供給される材料を層状として複数積層させることで、所定の形状の積層造形物100を形成に形成されている。
【0060】
光学装置15Aは、一対の光源41と、一方の光源41にケーブル210を介して接続された第1光学系42Aと、他方の光源41にケーブル210を介して接続された第2光学系43と、を備えている。
【0061】
第1光学系42Aは、光源41から出射されたレーザ光200をノズル33に供給可能、且つ、対象物110に向かって噴射された第1材料121及び第2材料122に照射可能に形成されている。第2光学系43は、光源41から出射されたレーザ光200を、ベース110a上の層110bや材料121,122に照射可能に形成されている。
【0062】
具体的には、第1光学系42Aは、第1レンズ51と、第2レンズ52と、第3レンズ53と、ガルバノスキャナ55Aと、を備えている。光学系42Aは、第1レンズ51、第2レンズ52、及び、第3レンズ53を、二軸方向、具体的には光路に対して直交又は交差する方向に移動可能な調整装置を備えている。
【0063】
ガルバノスキャナ55Aは、第1レンズ51で変換された平行光を、第2レンズ52及び第3レンズ53に分割可能に形成されている。ガルバノスキャナ55Aは、第1ガルバノミラー58と、第2ガルバノミラー59と、を備えている。各ガルバノミラー58,59は、傾斜角度を可変可能、且つ、レーザ光200を分割可能に形成されている。
【0064】
第1光学系42Aは、上述した光学系42の第4レンズ54及び第1ガルバノミラー57を有さない構成である。このような第1光学系42Aは、第1ガルバノミラー58及び第3レンズ53により、レーザ光200を対象物110に供給された第1材料121(123)及び第2材料122(123)に照射することで、材料121,122を再溶融させて層状とするとともに、アニール処理を行う溶融装置45を構成する。
【0065】
第2光学系43は、例えば、第1レンズ51と、第4レンズ54を備える。第2光学系43は、光源41から供給されたレーザ光200により、ベース110a上及び層110bに第1材料121及び第2材料122によって形成された不要な部位を除去する除去装置46Aを構成する。例えば、第2光学系43に接続される光源41は、レーザ光200として、ピコ秒レーザを出射可能に形成されている。なお、第2光学系43は、ガルバノスキャナを有さない構成であっても、有する構成であってもよい。
【0066】
このように構成された積層造形装置1Aは、積層造形装置1と同様の構成であって、且つ、光学装置15Aの溶融装置45を含む第1光学系42Aと除去装置46A(43)とが別体に設けられる構成である。
【0067】
このような積層造形装置1Aは、上述した積層造形装置1と同様に、第1材料121及び第2材料122をノズル33で混合して噴射可能に形成され、且つ、制御装置17によって所定の量の第1材料121及び/又は第2材料122を供給可能に形成されている。これにより、材料121,122を所定の比率で供給することが可能となり、積層造形物100に複数の異なる材料を用いることが可能となる。そして、積層造形物100は、傾斜材料となる。
【0068】
また、積層造形装置1Aは、ベース110a上に供給された材料123(層110b)を溶融装置45Aによりにより再溶融して層状とするとともに、アニール処理を行うことで残留応力を除去することが可能となる。さらに、材料121,122を確実に混合させることが出来るので、強度を向上することが可能となる。
【0069】
さらに、積層造形装置1Aは、計測装置16で計測した材料123の形状を記憶部17aの閾値と比較し、不要に供給された材料123を除去することで、供給された材料123の形状に応じてトリミングが可能となる。このため、ノズル33から材料123を噴射する構成であっても、飛散した不要な材料123を除去可能となり、所定の形状の積層造形物100を造形可能となる。
【0070】
上述したように、第2の実施形態に係る積層造形装置1Aによれば、傾斜材料の形成、アニール処理及びトリミングが可能となり、複数の粉末状の材料121,122を用いて積層造形物100を製造することが可能となる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、
図6を用いて、第3の実施形態に係る積層造形装置1Bについて説明する。
図6は、第3の実施形態に係る積層造形装置1Bの構成を模式的に示す説明図である。なお、第3の実施形態に係る積層造形装置1Bの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る積層造形装置1及び第2の実施形態に係る積層造形装置1Aと同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
図6に示すように、積層造形装置1Bは、処理槽11と、ステージ12と、移動装置13と、ノズル装置14と、光学装置15Bと、計測装置16と、制御装置17と、を備えている。また、積層造形装置1Bは、除去装置46Bを備えている。積層造形装置1Bは、ステージ12上に設けられる対象物110に、ノズル装置14で供給される材料を層状として複数積層させることで、所定の形状の積層造形物100を形成に形成されている。
【0073】
光学装置15Bは、光源41と、光源41にケーブル210を介して接続された光学系42Bと、を備えている。
【0074】
光学系42Bは、光源41から出射されたレーザ光200をノズル33に供給可能、且つ、対象物110に向かって噴射された第1材料121及び第2材料122の所定の範囲に照射可能に形成されている。
【0075】
具体的には、光学系42Bは、第1レンズ51と、第2レンズ52と、第3レンズ53と、ガルバノスキャナ55Aと、レーザ光200の照射範囲を調整する照射範囲調整機構56と、を備えている。光学系42Bは、第1レンズ51、第2レンズ52、及び、第3レンズ53を、二軸方向、具体的には光路に対して直交又は交差する方向に移動可能な調整装置を備えている。このような光学系42Bは、第1ガルバノミラー58及び第3レンズ53によって対象物110に供給されるレーザ光200を照射範囲調整機構56によって照射範囲を調整可能に形成される。光学系42Bは、第1レンズ51、第3レンズ53、第1ガルバノミラー58及び照射範囲調整機構56により、照射範囲が調整されたレーザ光200により第1材料121(123)及び第2材料122(123)を再溶融し、アニール処理を行うことが可能な溶融装置45Bを構成する。
【0076】
照射範囲調整機構56は、レーザ光200の照射範囲を拡大可能なズーム機構56aと、ズーム機構56aで拡大した照射範囲を所定の形状とするマスク機構56bと、を備えている。ズーム機構56aは、信号線220を介して制御装置17に接続され、材料121,122を再溶融するレーザ光200の範囲を拡大可能に形成されている。なお、レーザ光200の範囲を拡大するときには、制御装置17は、光源41の出力を増加させて、レーザ光200によって材料121,122を溶融可能なパワー密度とする。
【0077】
マスク機構56bは、信号線220を介して制御装置17に接続され、層110bのレーザ光200を照射する部位に応じて、レーザ光200の照射する範囲の形状を変更可能に形成されている。例えば、マスク機構56bは、制御装置17に制御されることで、照射位置に応じてマスクを変更し、層110bの適切な照射範囲にレーザ光200を照射することが可能に形成されている。
【0078】
除去装置46Bは、例えば、切削工具によって材料123を切削可能に形成された切削装置である。除去装置46Bは、制御装置17に信号線220を介して接続され、制御装置17によって移動可能に形成されている。
【0079】
このように構成された積層造形装置1Bは、積層造形装置1,1Aと同様の構成であって、且つ、材料121,122を溶融させる溶融装置45Bによるレーザ光200の照射範囲を照射範囲調整機構56によって可変する構成である。また、積層造形装置1Bは、除去装置46Bによって不要な材料を切削して除去する構成である。
【0080】
このような積層造形装置1Bは、上述した積層造形装置1,1Aと同様に、制御装置17によって所定の量の第1材料121及び/又は第2材料122を供給可能、且つ、第1材料121及び第2材料122をノズル33で混合して噴射可能に形成されている。これにより、材料121,122を所定の比率で供給することが可能となり、積層造形物100に複数の異なる材料を用いることが可能となる。そして、積層造形物100は、傾斜材料となる。
【0081】
積層造形装置1Bは、計測装置16で計測した材料123の形状を記憶部17aの閾値と比較し、不要に供給された材料123を除去装置46Bにより除去するトリミングが可能となる。このため、ノズル33から材料123を噴射する構成であっても、飛散した不要な材料123を除去可能となり、所定の形状の積層造形物100を造形可能となる。
【0082】
また、積層造形装置1Bは、ベース110a上に供給された材料123(層110b)を溶融装置45Aによりにより再溶融して層状とするとともに、アニール処理を行うことで残留応力を除去することが可能となる。さらに、材料121,122を確実に混合させることが出来るので、強度を向上することが可能となる。
【0083】
また、積層造形装置1Bは、ベース110a上の層110bを再溶融させてアニール処理を行う場合に、レーザ光200を照射する範囲を照射範囲調整機構56によって調整することが可能となる。これにより、アニール処理を行う処理時間を短縮することが可能となる。
【0084】
上述したように、第3の実施形態に係る積層造形装置1Bによれば、傾斜材料の形成、アニール処理及びトリミングが可能となり、複数の粉末状の材料121,122を用いて積層造形物100を製造することが可能となる。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、
図7及び
図8を用いて、第4の実施形態に係る積層造形装置1Cについて説明する。
図7は第4の実施形態に係る積層造形装置1Cの構成を模式的に示す説明図、
図8は積層造形装置1Cを用いた積層造形物100の製造の一例を示す説明図である。なお、第4の実施形態に係る積層造形装置1Cの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る積層造形装置1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0086】
図7に示すように、積層造形装置1Cは、処理槽11と、ステージ12と、移動装置13と、ノズル装置14Cと、光学装置15と、計測装置16と、制御装置17と、を備えている。
【0087】
ノズル装置14Cは、複数の材料を所定の量だけステージ12上の対象物110に供給可能、且つ、レーザ光200を出射可能に形成されている。具体的には、ノズル装置14は、第1材料121を供給可能な第1供給装置31と、第2材料122を供給可能な第2供給装置32と、第1供給装置31及び光学装置15に接続された第1ノズル33aと、第2供給装置32及び光学装置15に接続された第2ノズル33bと、第1供給装置31及び第1ノズル33a並びに第2供給装置32及び第2ノズル33bを接続する供給管34と、を備えている。
【0088】
第1ノズル33a及び第2ノズル33bは、それぞれ、供給管34を介して第1供給装置31及び第2供給装置32に接続される。これらノズル33a,33bは、光学装置15にレーザ光200を通過させることが可能なケーブル210を介して接続される。ノズル33a,33bは、ステージ12に対して移動可能に形成されている。
【0089】
ノズル33a,33bは、円筒状の外郭体36と、外郭体36内に設けられ、その先端から第1材料121又は第2材料122を噴射する噴射口37と、レーザ光200を通過させる光通路部38と、光通路部38内に設けられた光学レンズ39と、を備えている。
【0090】
次に、積層造形装置1Cを用いた積層造形物100の製造方法を、
図8を用いて説明する。
まず、
図8に示すように、制御装置17は、第1供給装置31を制御して所定の量の第1材料121を、ノズル33aから所定の範囲に溶射する。具体的には、制御装置17により第1供給装置31を制御し、形成を行う層110bの所定の材料となるように、噴射口37から対象物110に向かって粉末状の第1材料121を噴射させる。また、レーザ光200を照射して、噴射した第1材料121を溶融させる。
【0091】
次に、第2供給装置32を制御し、ノズル33bから所定の量の第2材料122を対象物110に向かって噴射してレーザ光200により溶融させることで、第2材料122を所定の範囲に溶射する。
【0092】
これにより、
図8に示すように、第1材料121及び第2材料122がベース110a上に設けられる。具体的には、ベース110a上に第1材料121が付着し、さらに第1材料121上に第2材料122が付着する。換言すると、ベース110a上に第1材料121及び第2材料122が積層される。次に、溶融装置45によってレーザ光200を、材料121,122の集合に照射させて材料121,122の集合を再度溶融させて、層110bを形成する。これにより、材料121,122が混合されて層110bを形成するとともに、層110bのアニール処理が行われる。次に、計測装置16により、再溶融することでアニール処理を行ったベース110a上の材料123を計測する。制御装置17は、計測装置16で計測されたベース110a上の材料123の形状と、記憶部17aに記憶された閾値とを比較する。
【0093】
ベース110a上の材料123が所定の形状の層110bに形成されていたら、制御装置17は、再び第1供給装置31を制御して第1材料121を供給し、次に第2供給装置32を制御して第2材料122を供給する。次に、溶融装置45を制御して、材料121,122を再溶融させてアニール処理を行い、層110b上に新たに層110bを形成する。
【0094】
ベース110a上の材料123が所定の形状とは異なる位置に材料123が付着している場合には、制御装置17は、除去装置46を制御して、当該付着した材料123にレーザ光200を照射して蒸発させる。このように、制御装置17は、計測装置16で計測した材料123の形状が所定と異なる部位にレーザ光200を照射してトリミングを行う。
【0095】
トリミング終了後、制御装置17は、再び第1供給装置31及び第2供給装置32を制御して、形成した層110b上に新たに層110bを形成する。このように、層110bを繰り返し形成して積層させることで、積層造形物100が造形される。
【0096】
このように構成された積層造形装置1Cによれば、上述した積層造形装置1と同様に、傾斜材料の形成、アニール処理及びトリミングが可能となり、複数の粉末状の材料121,122を用いて積層造形物100を製造することが可能となる。
【0097】
なお、本実施形態に係る積層造形装置1,1A,1B,1Cは、上述した構成に限定されない。例えば、上述した例では、積層造形装置1,1A,1B,1Cは、主室21及び副室22を具備する処理槽11を備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、処理槽11は、主室21のみの構成であってもよく、また、搬送装置24を備えない副室を備える構成であってもよい。ただし、処理室11は、副室22を用いる構成とすることで、主室21内の雰囲気を保つ事が可能となるとともに、主室21と副室22とにおいて連続で作業することが容易となる。また、副室22に積層造形物100を搬送する構成とすることで、主室21内でノズル33から噴射することで主室21内を舞っている材料が外部へと出ていきにくい。このため、処理室11は、主室21に隣接する副室22を有する構成が望ましい。
【0098】
また、上述した例では、光学装置15は、ノズル33から供給した材料121,122を再溶融させて層110bを形成し、且つ、アニール処理を行う溶融装置45を備える構成を説明したが、これに限定されない。例えば、積層造形装置は、溶融ではなく焼結により層110bを形成し、且つ、アニール処理を行う構成であってもよい。
【0099】
また、上述した例では、計測装置16は、カメラ61と、カメラ61で計測した情報に基づいて画像処理を行う画像処理装置62と、を備える構成を説明したがこれに限定されず、ベース110a上に供給された材料の形状を計測可能であれば、他の構成であってもよい。
【0100】
また、上述した例では、積層造形装置1をノズル33及びステージ12を移動可能とする構成を説明したがこれに限定されず、ノズル33のみ又はステージ12のみを移動可能な積層造形装置であってもよい。
【0101】
また、上述した例では、ノズル33は、噴射口37の径の異なる二つが設けられる構成を説明したがこれに限定されず、それ以上設けられる構成であってもよい。ノズル33が複数設けられることで、材料を噴射する面積や形状に応じて、効率のよいノズル33を使用することが可能となり、効率よく積層造形物100を造形することが可能となる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。