(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]
実施形態1を説明する。
図1は回転角度検出センサを示す斜視図、
図2は同じく側面図、
図3は同じく平面図、
図4は
図3のIV−IV線矢視断面図、
図5は回転角度検出センサを分解して示す斜視図である。なお、回転角度検出センサについては、互いに直交する軸をX軸、Y軸及びZ軸としたときの各方向を各図に矢印で示すとおりに定める。また、X軸方向は左右方向、Y軸方向は前後方向、Z軸方向は上下方向にそれぞれ相当する。また、本明細書でいう各方向は回転角度検出センサの配置方向を特定するものではない。
【0016】
図1に示すように、回転角度検出センサ10は、回転側部材(不図示)の回転角度を検出する1個のセンサIC12と、そのセンサIC12を支持する1個の支持部材14とを備えている。
図5に示すように、センサIC12は、2系統出力型、2出力型等と呼ばれる形式のもので、センサ本体16と複数(例えば4本)のリード端子18とを備えている。また、センサ本体16は前方(
図2及び
図3において左方)に向けられ、リード端子18は後方に向けられている。センサ本体16は、長四角形板状に形成された樹脂製のパッケージ20内に、2個の検出素子(不図示)及び2個の演算素子等(不図示)がモールドすなわち埋設されてなる。検出素子は、例えば強磁性磁気抵抗素子(MRE)である。また、演算素子は、例えば半導体集積回路素子である。センサ本体16のパッケージ20の短手方向は左右方向(X軸方向)に向けられ、パッケージ20の長手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられ、パッケージ20の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられている。
【0017】
センサ本体16には、パッケージ20の左右両側面に突出する左右一対の側部フランジ21が形成されている(
図4参照)。両側部フランジ21は、センサ本体16の板厚方向の中央部から突出されている。両側部フランジ21は、左右対称状に形成され、前後方向(Y軸方向)に延びている。また、センサ本体16には、パッケージ20の前端面に突出する前部フランジ22が形成されている。前部フランジ22は、センサ本体16の板厚方向の中央部から突出されている。前部フランジ22は左右方向(X軸方向)に延びている。前部フランジ22は、両側部フランジ21の突出量に比べて大きい突出量で形成されている。前部フランジ22には、左右方向に長い長円形状の開口孔23が形成されている。なお、センサIC12は本明細書でいう「磁気検出部材」に相当する。また、センサ本体16は本明細書でいう「本体」に相当する。また、両側部フランジ21は「一対の被係合部」に相当する。
【0018】
4本のリード端子18は、センサ本体16のパッケージ20の後端面から左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。リード端子18は、導電性を有する金属製例えば銅系合金製で、帯板状に形成されている。リード端子18は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。また、リード端子18は、センサ本体16のパッケージ20内において素子(不図示)と電気的に接続されている。また、リード端子18、センサ本体16の両側部フランジ21及び前部フランジ22は、同一又は略同一平面上に配置されている(
図2参照)。また、リード端子18は、途中で折り曲げることなくストレート状態のまま使用されている。
【0019】
支持部材14を説明する。
図6は支持部材を示す平面図、
図7は
図6のVII−VII線矢視断面図である。
図6に示すように、支持部材14は、長四角形板状に形成された支持台25を有している。支持台25の短手方向は左右方向(X軸方向)に向けられ、支持台25の長手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられ、支持部材14の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられている。支持台25は、樹脂製で、その前部をセンサIC12のセンサ本体16(
図5参照)を載置する載置部26としている。載置部26の左端部上には、前後2個の固定状の突起部28が一体形成されている(
図7参照)。突起部28は、四角柱状に形成されている。突起部28の右側面は、センサ本体16の左側の側部フランジ21(
図4参照)に対応する保持面28aとされている。保持面28aは、左右方向(X軸方向)に直交又は略直交する平面で形成されている。なお、突起部28は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0020】
載置部26の右端部には、前後2個の有底状の凹部31が形成されている(
図7参照)。凹部31の底面上には、弾性係合片32が一体形成されている。弾性係合片32は、縦壁状に形成された弾性片33と、弾性片33の先端部(上端部)の左側面側に形成された係止爪34とを有している。弾性片33の壁厚方向がX軸方向に向けられている。弾性片33は、その自由状態において先端部(上端部)が基端部(下端部)より左方(突起部28側)に傾く傾斜状に形成されている。弾性片33は、右方へ弾性変形可能に形成されている(
図7中、二点鎖線33参照)。なお、弾性係合片32は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0021】
支持台25の後部(
図6において右部)上には、複数(例えば4本)のターミナル36が左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。ターミナル36は、導電性を有する金属製、例えば銅系合金製で、帯板状に形成されている。ターミナル36は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。ターミナル36の長さ方向の中央部は、支持台25上に一体形成された保持壁38に埋設されることにより固定状に支持されている。保持壁38は、断面四角形状で、X軸方向に延びている。保持壁38の前面は、センサIC12のリード端子18に対応する受け止め面38aとされている。受け止め面38aは、前後方向(Y軸方向)に直交又は略直交する平面で形成されている。また、ターミナル36の後端部には、図示しない外部の制御装置につながる電気配線が接続可能となっている。なお、ターミナル36は本明細書でいう「接続端子」に相当する。
【0022】
次に、支持部材14に対するセンサIC12の組付けについて説明する。
図1〜
図4に示すように、支持部材14の支持台25の載置部26上にセンサIC12のセンサ本体16が載置される。このとき、センサ本体16の左側の側部フランジ21は、支持部材14の前後の両突起部28の保持面28aに押し当てられる。また、センサ本体16の右側の側部フランジ21は、支持部材14の前後の両弾性係合片32の先端部(上端部)の対向側面に当接しながら摺動していくことにより両弾性係合片32を右方へ弾性変形(
図7中、二点鎖線32参照)させていく。右側の側部フランジ21が両弾性係合片32の係止爪34を通過すると同時に、両弾性係合片32が弾性復元することにより、係止爪34(詳しくはアンダーカット部)が右側の側部フランジ21上に係合すなわちスナップフィット係合する(
図4参照)。これにより、右側の側部フランジ21が抜け止めすなわち位置決めされる。この状態では、載置部26の上面にセンサ本体16のパッケージ20が面接触状に当接した状態となる。
【0023】
また、両弾性係合片32の弾性片33は、右側の側部フランジ21に弾性的に当接し、右側の側部フランジ21を左方(X軸方向のセンサ本体16側の方向)へ押圧する。また、両弾性係合片32の係止爪34は、弾性片33の弾性によって右側の側部フランジ21を下方(Z軸方向の載置部26側の方向)に押圧する。また、支持部材14の各ターミナル36の後端部上にセンサIC12の各リード端子18の先端部(後端部)が面接触状に載置される。このとき、支持部材14の保持壁38の受け止め面38aに、センサIC12の各リード端子18の先端面(後端面)が当接される(
図2参照)。これにより、センサIC12の各リード端子18の先端面(後端面)が支持部材14の保持壁38の受け止め面38aにより後方(
図2において右方)への移動が規制された状態で位置決めされる。また、各ターミナル36に各リード端子18が溶接、半田付け等により固定的に接続される。このようにして、支持部材14に対するセンサIC12の組付けが完了することにより、回転角度検出センサ10が完成する。なお、支持部材14に対するセンサIC12の組付けが完了した後、水分または導電性の異物の付着による短絡防止のため、センサIC12の周辺部にポッティング、コーティング等を施すとよい。
【0024】
上記した回転角度検出センサ10(
図1〜
図4参照)において、センサIC12のセンサ本体16内の両検出素子は、図示しない回転側部材の一対の永久磁石の間に発生する磁気の変化を検出する。また、センサ本体16内の両演算素子は、両検出素子からの検出信号に基づいて磁気の変化に応じた信号を、外部の制御装置(不図示)に出力する。制御装置は、両演算部から出力された信号に基づいて回転側部材の回転角度を演算する。
【0025】
また、回転角度検出センサ10において、センサIC12は、支持部材14の支持台25の載置部26に対するセンサ本体16のパッケージ20の当接により下方への移動が規制される。また、センサIC12は、支持部材14の保持壁38に対するリード端子18の当接により後方への移動が規制される。また、センサIC12は、支持部材14の突起部28に対するセンサ本体16の左側の側部フランジ21の当接により左方への移動が規制される。また、センサIC12は、弾性係合片32の弾性片33に対するセンサ本体16の右側の側部フランジ21の当接により、右方への移動が規制される。また、センサIC12は、支持部材14の弾性係合片32の係止爪34に対するセンサ本体16の右側の側部フランジ21の係合により、上方(Z軸方向の載置部26とは反対側の方向)への移動が規制される。また、支持部材14の突起部28及び弾性係合片32は、センサ本体16(詳しくは両側部フランジ21)の前後方向すなわちY軸方向への相対的な移動を可能とする。
【0026】
上記した回転角度検出センサ10によると、支持部材14にセンサIC12が支持された状態で、突起部28及び弾性係合片32が、センサIC12のセンサ本体16の前後方向(Y軸方向)への相対的な移動を可能とする。したがって、支持部材14にY軸方向の熱伸縮が生じるときには、センサIC12のセンサ本体16の両側部フランジ21に対して支持部材14の突起部28及び弾性係合片32がY軸方向へ相対的に移動することができる。このため、センサIC12のリード端子18に加わる応力を逃がすことができる。よって、支持部材14の支持台25のY軸方向の熱伸縮によりセンサIC12のリード端子18に加わる応力を低減することができる。ひいては、センサIC12のリード端子18の断線を防止し、回転角度検出センサ10の信頼性を向上することができる。また、支持部材14の支持台25のY軸方向の熱伸縮にともなうセンサ本体16のY軸方向への位置ずれを防止することができ、回転角度の検出精度の低下を防止することができる。
【0027】
また、支持部材14の弾性係合片32の弾性片33は、センサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21を左方に押圧する弾性を有する。したがって、支持部材14の弾性係合片32の弾性片33の弾性により、突起部28及び弾性係合片32の間にセンサIC12のセンサ本体16を弾性的に挟持することができる。これにより、センサIC12のセンサ本体16のX軸方向へのがたつきを防止することができる。
【0028】
また、支持部材14の弾性係合片32は、センサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21を左方に押圧する弾性を有する弾性片33と、その右側の側部フランジ21上に係合する係止爪34とを有し、その右側の側部フランジ21にスナップフィット係合する。したがって、弾性係合片32を、センサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21に対してスナップフィット係合させることができる。このため、支持部材14にセンサIC12を容易に支持させることができる。また、弾性係合片32の弾性片33の弾性により、突起部28及び弾性係合片32の間にセンサIC12のセンサ本体16を弾性的に挟持することができる。また、弾性係合片32の係止爪34がセンサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21に係合することにより、その右側の側部フランジ21の上方(Z軸方向の載置部26とは反対側の方向)への移動を規制することができる。
【0029】
また、支持部材14の弾性係合片32の係止爪34は、弾性片33の弾性によってセンサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21を下方(Z軸方向の載置部26側の方向)に押圧する。したがって、支持部材14の弾性係合片32の係止爪34が係合するセンサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21の上方(Z軸方向の載置部26とは反対側の方向)へのがたつきを防止することができる。
【0030】
また、支持部材14の突起部28が固定状に形成されていることにより、支持部材14の構成を簡素化することができる。
【0031】
また、センサIC12のリード端子18は、途中で折り曲げることなくストレート状態のまま使用することができる。したがって、リード端子18に対する折り曲げ加工を省略することができる。また、リード端子18を折り曲げるもので生じる折り曲げ部の応力集中を防止することができる。
また、支持部材14に対するセンサIC12の組付け方向、支持部材14のターミナル36に対するセンサIC12のリード端子18の接合方向を同一方向にすることにより、製造工程を簡素化し、コストを低減することができる。
【0032】
[実施形態2]
実施形態2を説明する。本実施形態以降の実施形態は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。
図8は支持部材を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態では、実施形態1における支持部材14の突起部28が、先端部(上端部)を右方に傾けるようにして傾斜状に形成されている。これにより、突起部28の保持面28aは、支持部材14の支持台25の載置部26の上面に直交する基準線Lに対して傾斜角θをもって傾斜されている。すなわち、突起部28の保持面28aは、下側(Z軸方向の載置部26側)よりも上側(載置部26とは反対側)が右方(センサ本体16側)に傾く傾斜面からなる。したがって、突起部28の傾斜面からなる保持面28aにより、センサIC12のセンサ本体16の右側の側部フランジ21の上方へのがたつきを防止することができる。なお、実施形態1の突起部28の保持面28aを傾斜面に形成してもよい。
【0033】
[実施形態3]
実施形態3を説明する。本実施形態は実施形態1に変更を加えたものである。
図9は回転角度検出センサを示す平面図、
図10は
図9のX−X線矢視断面図断面図、
図11は支持部材を示す平面図、
図12は
図11のXII−XII線矢視断面図である。
図11及び
図12に示すように、本実施形態では、実施形態1における支持部材14の突起部28の保持面28aの上部に、抜け止め部40が張り出し状に形成されている。抜け止め部40(詳しくはアンダーカット部)には、センサIC12のセンサ本体16の左側の側部フランジ21が係合される(
図9及び
図10参照)。これにより、センサ本体16の左側の側部フランジ21の上方(Z軸方向の載置部26とは反対側の方向)への移動を規制することができる。
【0034】
[実施形態4]
実施形態4を説明する。本実施形態は実施形態1に変更を加えたものである。
図13は回転角度検出センサを示す斜視図、
図14は同じく側面図、
図15は同じく平面図である。
図13〜
図15に示すように、本実施形態では、実施形態1における支持部材14の支持台25の載置部26の前端部上にガイドピン42が突出されている。ガイドピン42は、センサIC12のセンサ本体16の前部フランジ22の開口孔23の短手方向(前後方向)の開口幅よりも所定量小さい外径で形成されている。その所定量とは、相互間の寸法のばらつき、熱伸縮等を加味しても、センサ本体16の前部フランジ22の開口孔23の孔縁部とガイドピン42とが前後方向(Y軸方向)に関して相互に干渉を生じることのない寸法である。このため、支持部材14にセンサIC12が支持された状態において、センサ本体16の前部フランジ22の開口孔23の孔縁部は、ガイドピン42のY軸方向の相対的な移動を拘束しない。したがって、本実施形態によると、支持部材14に対するセンサIC12の組付けに際して、ガイドピン42に対して、センサIC12のセンサ本体16の前部フランジ22の開口孔23が遊嵌状に嵌合される。これにより、ガイドピン42は、支持部材14に対するセンサIC12の組付け時のラフガイドとして機能する。
【0035】
[実施形態5]
実施形態5を説明する。本実施形態は実施形態1に変更を加えたものである。
図16は回転角度検出センサを示す斜視図、
図17は同じく平面図、
図18は
図17のXVIII−XVIII線矢視断面図、
図19は支持部材を示す平面図、
図20は
図19のXX−XX線矢視断面図である。
図19及び
図20に示すように、本実施形態では、実施形態1における支持部材14の突起部28に代えて、弾性係合片32(「左側の弾性係合片32」という)が形成されている。左側の弾性係合片32は、実施形態1における弾性係合片32(「右側の弾性係合片32」という)に対して左右対称状に形成されているため、同一要素に同一符号を付すことにより重複する説明を省略する。なお、左側の弾性係合片32は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0036】
次に、支持部材14に対するセンサIC12の組付けについて説明する。
図16〜
図18に示すように、支持部材14の支持台25の載置部26上にセンサIC12のセンサ本体16が載置されるとき、センサ本体16の両側部フランジ21は、支持部材14の左右の両弾性係合片32の先端部(上端部)の対向側面に当接しながら摺動していくことにより両弾性係合片32を拡開方向へ弾性変形(
図20中、二点鎖線32参照)させていく。両側部フランジ21が両弾性係合片32の係止爪34を通過すると同時に、両弾性係合片32が弾性復元することにより、両弾性係合片32の係止爪34(詳しくはアンダーカット部)が両側部フランジ21上に係合すなわちスナップフィット係合する。これにより、両側部フランジ21が抜け止めすなわち位置決めされる。また、両弾性係合片32の弾性片33は、両側部フランジ21に弾性的に当接し、センサ本体16を弾性的に挟持する。また、両弾性係合片32の係止爪34は、弾性片33の弾性によって両側部フランジ21を下方(Z軸方向の載置部26側の方向)に押圧する。また、両弾性係合片32は、センサ本体16(詳しくは両側部フランジ21)の前後方向(Y軸方向)への相対的な移動を可能とする。
【0037】
[実施形態6]
実施形態6を説明する。本実施形態は実施形態1に変更を加えたものである。
図21は回転角度検出センサを示す斜視図、
図22は同じく側面図、
図23は同じく平面図、
図24は
図23のXXIV−XXIV線矢視断面図、
図25は回転角度検出センサを分解して示す斜視図である。
図21に示すように、本実施形態では、実施形態1における回転角度検出センサ10が回転角度検出センサ(符号、50を付す)に変更されている。回転角度検出センサ50は、回転側部材(不図示)の回転角度を検出する1個のセンサIC52と、そのセンサIC52を支持する1個の支持部材54とを備えている。
【0038】
図25に示すように、センサIC52は、1系統出力型、1出力型等と呼ばれる形式のもので、センサ本体56と複数(例えば3本)のリード端子58とを備えている。また、センサ本体56は前方(
図22において左方)に向けられ、リード端子58は後方に向けられている。センサ本体56は、センシング部60と演算部62と複数本(例えば6本)の連結リード64とを備えている。
【0039】
センシング部60は、長四角形板状に形成された樹脂製のパッケージ66内に検出素子(不図示)がモールドすなわち埋設されてなる。検出素子は、例えば強磁性磁気抵抗素子(MRE)である。センシング部60のパッケージ66の長手方向は左右方向(X軸方向)に向けられ、パッケージ66の短手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられ、パッケージ66の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられている。また、センシング部60には、パッケージ66の左右両側面の中央部に突出する左右一対のフランジ67が形成されている(
図23参照)。両フランジ67は、センサ本体56の板厚方向の中央部から突出されている。両フランジ67は、左右対称状に形成され、前後方向(Y軸方向)に延びている。
【0040】
また、演算部62は、長四角形板状に形成された樹脂製のパッケージ69内に演算素子(不図示)がモールドすなわち埋設されてなる。演算素子は、例えば半導体集積回路素子である。演算部62のパッケージ69の短手方向は左右方向(X軸方向)に向けられ、パッケージ69の長手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられ、パッケージ69の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられている。演算部62は、センシング部60の後方に並んで配置されている。また、センシング部60のパッケージ66と演算部62のパッケージ69は、板厚が同一又は略同一寸法で、左右方向の横幅が同一又は略同一寸法で形成されている。
【0041】
また、6本の連結リード64は、センシング部60のパッケージ66と演算部62のパッケージ69との対向面の間に架設されている(
図23参照)。連結リード64は、左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。連結リード64は、導電性を有する金属製、例えば銅系合金製で、帯板状に形成されている。連結リード64は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。また、連結リード64の前端部は、センシング部60のパッケージ66内において検出素子(不図示)と電気的に接続されている。また、連結リード64の後端部は、演算部62のパッケージ69内において演算素子(不図示)と電気的に接続されている。連結リード64は、センシング部60の検出素子と演算部62の演算素子とを電気的に接続しているとともに両パッケージ66,69を機械的に接続している。また、連結リード64は、途中で折り曲げることなくストレート状態のまま使用されている。なお、センサIC52は本明細書でいう「磁気検出部材」に相当する。また、センサ本体56は本明細書でいう「本体」に相当する。また、左右両端に配置された連結リード64は本明細書でいう「一対の被係合部」に相当する。
【0042】
3本のリード端子58は、センサ本体56の演算部62のパッケージ69の後端面から左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。両側のリード端子58の基端部は、中央部のリード端子58の基端部に向かって間隔を狭くするように斜めに延びている。また、リード端子58は、導電性を有する金属製例えば銅系合金製で、帯板状に形成されている。リード端子58は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。また、リード端子58は、演算部62のパッケージ69内において演算素子(不図示)と電気的に接続されている。また、リード端子58、センサ本体56の連結リード64及びセンシング部60のフランジ67とは、同一又は略同一平面上に配置されている(
図22参照)。また、リード端子58は、途中で折り曲げることなくストレート状態のまま使用されている。
【0043】
支持部材54を説明する。
図25に示すように、支持部材54は、長四角形板状に形成された支持台71を有している。支持台71の短手方向は左右方向(X軸方向)に向けられ、支持台71の長手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられ、支持部材54の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられている。支持台71は、樹脂製で、その前部をセンサIC52のセンサ本体56を載置する載置部72としている。載置部72の左端部上には、1個の固定状の突起部74が一体形成されている。突起部74は、実施形態1における突起部28と同一構成であるからその説明は省略する。突起部74は、突起部28と同様、保持面(符号、74aを付す)を有している。なお、突起部74は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0044】
載置部72の右端部には、1個の有底状の凹部76が形成されている。凹部76の底面上には、弾性係合片77が一体形成されている。弾性係合片77は、実施形態1における弾性係合片32と同様の構成であるからその説明は省略する。弾性係合片77は、弾性係合片32と同様、弾性片(符号、78を付す)及び係止爪(符号、79を付す)を有している。なお、弾性係合片77は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0045】
支持台71の後部上には、複数(例えば3本)のターミナル81が左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。ターミナル81は、導電性を有する金属製、例えば銅系合金製で、帯板状に形成されている。ターミナル81は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。ターミナル81の長さ方向の中央部は、支持台71上に一体形成された保持壁83に埋設されることにより固定状に支持されている。保持壁83は、実施形態1における保持壁38と同様の構成であるからその説明は省略する。保持壁83は、保持壁38と同様、受け止め面(符号、83aを付す)を有している。また、ターミナル81の後端部には、図示しない外部の制御装置につながる電気配線が接続可能となっている。なお、ターミナル81は本明細書でいう「接続端子」に相当する。
【0046】
次に、支持部材54に対するセンサIC52の組付けについて説明する。
図21〜
図23に示すように、支持部材54の支持台71の載置部72上にセンサIC52のセンサ本体56が載置される。このとき、センサ本体56の左端の連結リード64(詳しくは左側縁)は、支持部材54の突起部74の保持面74aに押し当てられる。また、センサ本体56の右端の連結リード64(詳しくは左側縁)は、支持部材54の弾性係合片77の先端部(上端部)の左側面に当接しながら摺動していくことにより弾性係合片77を右方へ弾性変形(
図24中、二点鎖線77参照)させていく。右端の連結リード64が弾性係合片77の係止爪79を通過すると同時に、弾性係合片77が弾性復元することにより、係止爪79(詳しくはアンダーカット部)が右端の連結リード64上に係合すなわちスナップフィット係合する。これにより、右端の連結リード64が抜け止めすなわち位置決めされる。
【0047】
また、弾性係合片77の弾性片78は、右端の連結リード64に弾性的に当接し、右端の連結リード64を左方(X軸方向のセンサ本体56側の方向)へ押圧する。また、弾性係合片77の係止爪79は、弾性片78の弾性によって右端の連結リード64を下方(Z軸方向の載置部72側の方向)に押圧する。また、支持部材54の各ターミナル81の後端部上にセンサIC52の各リード端子58の先端部(後端部)が面接触状に載置される。このとき、支持部材54の保持壁83の受け止め面83aに、センサIC52の各リード端子58の先端面(後端面)が当接される。これにより、センサIC52の各リード端子58の先端面(後端面)が支持部材54の保持壁83の受け止め面83aにより後方への移動が規制された状態で位置決めされる。また、各ターミナル81に各リード端子58が溶接、半田付け等により固定的に接続される。このようにして、支持部材54に対するセンサIC52の組付けが完了することにより、回転角度検出センサ50が完成する。なお、支持部材54に対するセンサIC52の組付けが完了した後、水分または導電性の異物の付着による短絡防止のため、センサIC52の周辺部にポッティング、コーティング等を施すとよい。
【0048】
上記した回転角度検出センサ50(
図21〜
図24参照)において、センサIC52のセンサ本体56のセンシング部60の検出素子は、図示しない回転側部材の一対の永久磁石の間に発生する磁気の変化を検出する。また、センサ本体56の演算部62の演算素子は、センシング部60の検出素子からの検出信号に基づいて磁気の変化に応じた信号を、外部の制御装置(不図示)に出力する。制御装置は、演算部62から出力された信号に基づいて回転側部材の回転角度を演算する。
【0049】
また、回転角度検出センサ50において、センサIC52は、支持部材54の支持台71の載置部72に対するセンサ本体56のセンシング部60のパッケージ66及び演算部62のパッケージ69の当接により下方への移動が規制される。また、センサIC52は、支持部材54の保持壁83に対するリード端子58の当接により後方への移動が規制される。また、センサIC52は、支持部材54の突起部74に対するセンサ本体56の左端の連結リード64の当接により左方への移動が規制される。また、センサIC52は、弾性係合片77の弾性片78に対するセンサ本体56の右端の連結リード64の当接により、右方への移動が規制される。また、センサIC52は、支持部材54の弾性係合片77の係止爪79に対するセンサ本体56の右端の連結リード64の係合により、上方への移動が規制される。また、支持部材54の突起部74及び弾性係合片77は、センサ本体56(詳しくは両端の連結リード64)の前後方向すなわちY軸方向への相対的な移動を可能とする。
【0050】
上記した回転角度検出センサ50によると、支持部材54にセンサIC52が支持された状態で、突起部74及び弾性係合片77が、センサIC52のセンサ本体56の前後方向(Y軸方向)への相対的な移動を可能とする。したがって、支持部材54にY軸方向の熱伸縮が生じるときには、センサIC52のセンサ本体56の両端の連結リード64に対して支持部材54の突起部74及び弾性係合片77がY軸方向へ相対的に移動することができる。このため、センサIC52のリード端子58に加わる応力を逃がすことができる。よって、支持部材54の支持台71のY軸方向の熱伸縮によりセンサIC52のリード端子58に加わる応力を低減することができる。ひいては、センサIC52のリード端子58の断線を防止し、回転角度検出センサ50の信頼性を向上することができる。また、支持部材54の支持台71のY軸方向の熱伸縮にともなうセンサ本体56のY軸方向への位置ずれを防止することができ、回転角度の検出精度の低下を防止することができる。
【0051】
また、支持部材54の弾性係合片77の弾性片78は、センサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64を左方(X軸方向のセンサ本体56側の方向)に押圧する弾性を有する。したがって、支持部材54の弾性係合片77の弾性片78の弾性により、突起部74及び弾性係合片77の間にセンサIC52のセンサ本体56(詳しくは両端の連結リード64)を弾性的に挟持することができる。これにより、センサIC52のセンサ本体56のX軸方向へのがたつきを防止することができる。
【0052】
また、支持部材54の弾性係合片77は、センサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64を左方(X軸方向のセンサ本体56側の方向)に押圧する弾性を有する弾性片78と、その右端の連結リード64上に係合(Z軸方向の載置部72側とは反対側に係合)する係止爪79とを有し、その右端の連結リード64にスナップフィット係合する。したがって、弾性係合片77を、センサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64に対してスナップフィット係合させることができる。このため、支持部材54にセンサIC52を容易に支持させることができる。また、弾性係合片77の弾性片78の弾性により、突起部74及び弾性係合片77の間にセンサIC52のセンサ本体56を弾性的に挟持することができる。また、弾性係合片77の係止爪79がセンサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64に係合することにより、その右端の連結リード64の上方(Z軸方向の載置部72とは反対側の方向)への移動を規制することができる。
【0053】
また、支持部材54の弾性係合片77の係止爪79は、弾性片78の弾性によってセンサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64を下方(Z軸方向の載置部72側の方向)に押圧する。したがって、支持部材54の弾性係合片77の係止爪79が係合するセンサIC52のセンサ本体56の右端の連結リード64の上方(Z軸方向の載置部72とは反対側の方向)へのがたつきを防止することができる。
【0054】
また、支持部材54の突起部74が固定状に形成されていることにより、支持部材54の構成を簡素化することができる。
【0055】
また、センサIC52のリード端子58は、途中で折り曲げることなくストレート状態のまま使用することができる。したがって、リード端子58に対する折り曲げ加工を省略することができる。また、リード端子58を折り曲げるもので生じる折り曲げ部の応力集中を防止することができる。
また、支持部材54に対するセンサIC52の組付け方向、支持部材54のターミナル81に対するセンサIC52のリード端子58の接合方向を同一方向にすることにより、製造工程を簡素化し、コストを低減することができる。
【0056】
[実施形態7]
実施形態7を説明する。本実施形態は実施形態6に変更を加えたものである。
図26は回転角度検出センサを示す斜視図、
図27は同じく示す平面図、
図28は
図27のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
図26〜
図28に示すように、本実施形態では、実施形態6における支持部材54の突起部74に代えて、弾性係合片77(「左側の弾性係合片77」という)が形成されている。左側の弾性係合片77は、実施形態6における弾性係合片77(「右側の弾性係合片77」という)に対して左右対称状に形成されているため、同一要素に同一符号を付すことにより重複する説明を省略する。なお、左側の弾性係合片77は本明細書でいう「係合支持部」に相当する。
【0057】
次に、支持部材54に対するセンサIC52の組付けについて説明する。
図26〜
図28に示すように、支持部材54の支持台71の載置部72上にセンサIC52のセンサ本体56が載置されるとき、センサ本体56の両端の連結リード64は、支持部材54の左右の両弾性係合片77の先端部(上端部)の対向側面に当接しながら摺動していくことにより両弾性係合片77を拡開方向へ弾性変形(
図28中、二点鎖線77参照)させていく。両端の連結リード64が両弾性係合片77の係止爪79を通過すると同時に、両弾性係合片77が弾性復元することにより、両弾性係合片77の係止爪79(詳しくはアンダーカット部)が両端の連結リード64上に係合すなわちスナップフィット係合する。これにより、両端の連結リード64が抜け止めすなわち位置決めされる。また、両弾性係合片77の弾性片78は、両端の連結リード64に弾性的に当接し、センサ本体56(詳しくは両端の連結リード64)を弾性的に挟持する。また、両弾性係合片77の係止爪79は、弾性片78の弾性によって両端の連結リード64を下方(Z軸方向の載置部72側の方向)に押圧する。また、両弾性係合片77は、センサ本体56(詳しくは両端の連結リード64)の前後方向(Y軸方向)への相対的な移動を可能とする。
【0058】
[実施形態8]
実施形態8を説明する。本実施形態は実施形態6に変更を加えたものである。
図29回転角度検出センサを示す斜視図、
図30は同じく側面図、
図31は同じく平面図、
図32は同じく分解して示す斜視図である。
図29〜
図30に示すように、本実施形態の回転角度検出センサ50は、実施形態6におけるセンサIC52を複数(例えば2個)備えているとともに、支持部材54を2個備えている。2個の支持部材54は支持手段85を構成している。また、両支持部材54は前後対称状に配置されており、両支持部材54の支持台71は前後方向(Y軸方向)に一体化されている。前側(
図30において左側)の支持台71の上面(載置部72の上面)は、後側(
図30において右側)の支持台71の上面に比べて、センサIC52のセンシング部60のパッケージ66の高さ相当分、高い位置となるように形成されている。また、両支持部材54の各部(突起部74、弾性係合片77、ターミナル81及び保持壁83)は、両センサIC52をセンサ本体56のセンシング部60が積層状に重なる状態で支持するように配置されている(
図30参照)。両センシング部60は、検出中心が整合するように重ねられる。なお、センシング部60は本明細書でいう「本体の一部」に相当する。
【0059】
次に、支持部材54に対する両センサIC52の組付けについて説明する。
支持手段85の後側(
図30において右側)の支持部材54に後側のセンサIC52を支持させた後、前側(
図30において左側)の支持部材54に前側のセンサIC52を支持させる。これにより、両支持部材54は、両センサIC52をセンサ本体56のセンシング部60が重なる状態で支持する。
【0060】
上記した回転角度検出センサ50によると、支持手段85の2個の支持部材54に2個のセンサIC52がそれぞれ支持された回転角度検出センサ50を提供することができる。また、各支持部材54の支持台71のY軸方向の熱伸縮により各センサIC52のリード端子58に加わる応力を低減することができる。
【0061】
[実施形態9]
実施形態9を説明する。本実施形態は実施形態8に変更を加えたものである。
図33は回転角度検出センサを示す斜視図、
図34は同じく平面図である。
図33及び
図34に示すように、本実施形態の回転角度検出センサ50は、実施形態8における支持手段85の両支持部材54の突起部74を、実施形態7と同様、弾性係合片77に変更したものである。
【0062】
[他の技術的事項]
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、種々の回転側部材の回転角度を検出する回転角度検出センサに適用することができる。また、センサICには、センサIC12,52の他、ホール素子、ホールIC等を使用することも可能である。また、支持部材のターミナルの配置形態によっては、センサICのリード端子を途中で折り曲げてもよい。
また、センサIC12のセンサ本体16の被係合部としては、X軸方向の両側部においてY軸方向に直線状に延びる部分であればよく、側部フランジ21の他、センサ本体16のパッケージ20の側端部を用いてもよい。また、センサIC52のセンサ本体56の被係合部としては、X軸方向の両側部においてY軸方向に直線状に延びる部分であればよく、連結リード64の他、センシング部60のパッケージ66の側端部、フランジ67、及び、演算部62のパッケージ69の側端部を用いてもよい。
【0063】
また、突起部の個数は適宜増減してもよい。また、突起部は、Y軸方向に延びる壁状に形成してもよい。また、一対の係合支持部が突起部の場合、両突起部の先端部(上端部)同士はつながっていてもよい。また、弾性係合片の個数は適宜増減してもよい。また、弾性係合片の弾性片は、Y軸方向に延びる壁状に形成してもよい。また、弾性係合片の係止爪は、弾性の上端部に沿って連続状に形成する他、その上端部に部分的に形成してもよいし、断続的に形成してもよい。また、一対の係合支持部は、センサICのセンサ本体のY軸方向への相対的な移動を可能とするものであればよく、個々の係合支持部の形状は適宜変更してもよい。また、一対の弾性係合片は左右非対称状に形成してもよい。また、一対の弾性係合片のうちの一方の弾性係合片は弾性片としてもよい。また、弾性係合片に代えて、例えば実施形態2あるいは実施形態3の突起部を形成してもよい。また、弾性係合片の係止爪は、被係合部に係合するものとし、弾性片の弾性によって被係合部をZ軸方向の載置部側の方向に押圧しなくいものでもよい。