(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複合機、複写機等のスキャナーユニットを備えた画像形成装置は、出荷場所に出荷する際に、装置内部に仕向け情報やシリアル番号等の調整値を設定する設定作業が行われている。この設定作業は、通常、装置毎に行う必要があることから、既存の生産ラインのコンベア上に直列に配置された複数の装置に対して、作業者が、既存の専用端末装置(専用パーソナルコンピューター)からの通信ケーブル(例えば、USBケーブル)を接続し、専用端末装置からコマンドや調整値を送信することで、各装置の調整値を設定している。
【0005】
しかしながら、このような設定作業では、各装置と専用端末装置とが通信ケーブルを介して物理的に接続される必要があり、通信ケーブルがコンベア上の装置に届く範囲でしか設定作業を進めることが出来ないという問題がある。
【0006】
又、作業者は、設定作業を行う際に、通信ケーブルをコンベア上の装置に持って行き、当該装置に装着して、専用端末装置を用いて設定作業を実行し、更に、装着された通信ケーブルを離脱することで、一つの装置の設定作業が完了する。つまり、一つの装置の設定作業に非常に手間が掛かるという問題がある。
【0007】
一方、例えば、WiFi等の無線LANを構築する方法も考えられるものの、この方法を利用する場合には、当然に、装置本体に無線LANアダプタが必要となり、装置の部品点数を増加させるという問題がある。
【0008】
このような問題に対して特許文献1に記載の技術では解決することが出来ない。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、スキャナーユニットを用いて、物理的に接続すること無く、データの設定を行うことが可能なデータ設定システム及びデータ設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るデータ設定システムは、画像読取部を備えた画像形成装置と、光照射部を備えた通信端末装置とを有するデータ設定システムであって、以下の構成を採用する。
【0011】
即ち、本発明は、画像形成装置が、画像読取部を用いて外部の光信号
の受信を、所定のメモリーの領域に設定されたデータが無い場合に、開始する光通信受信手段と、前記受信された光信号に対応するデータ
を前記所定のメモリーの領域に対して設定する光通信実行手段とを備え、通信端末装置が、光照射部を用いてデータの設定に対応する光信号を発信する光通信発信手段を備えることを特徴とする。
【0012】
又、画像読取部は、スキャナーユニットのCCDである。
【0013】
又、光通信発信手段は、先端に先端信号を終端に終端信号をそれぞれ配置した一連の光信号を繰り返し発信し、光通信受信手段は、光信号のうち、先端信号を検知すると、当該光信号の受信を開始し、終端信号を検知すると、当該光信号の受信を完了する。
【0014】
又、光通信実行手段は、データの設定の実行を完了すると、操作部に設定完了画面を表示させる。
【0015】
又、光通信受信手段は、作業者による指示の入力を受け付けた場合、又は、所定のメモリーの領域に、前記設定のためのデータが無い場合に、外部の光信号の受信を開始する。
【0016】
尚、本発明は、画像読取部を備えた画像形成装置と、光照射部を備えた通信端末装置とを有するデータ設定システムのデータ設定方法として提供することが出来る。
【0017】
即ち、本発明は、画像形成装置で、画像読取部を用いて外部の光信号
の受信を、所定のメモリーの領域に設定されたデータが無い場合に、開始するステップと、通信端末装置で、光照射部を用いてデータの設定に対応する光信号を発信するステップと、画像形成装置で、前記受信された光信号に対応するデータ
を前記所定のメモリーの領域に対して設定するステップとを備えることを特徴とする。このような構成であっても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【0018】
又、本発明は、電気通信回線などを介して個別に流通する、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することができる。この場合、中央演算処理装置(CPU)が、本発明のプログラムに従ってCPU以外の各回路と協働して制御動作を実現する。又、前記プログラム及びCPUを用いて実現される各手段は、専用のハードウェアを用いて構成することもできる。又、当該プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で流通させることも可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のデータ設定システム及びデータ設定方法によれば、スキャナーユニットを用いて、物理的に接続すること無く、データの設定を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明のデータ設定システムの実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
【0022】
<データ設定システム>
以下に、本発明の実施形態に係るデータ設定システムとして、スキャナユニット(画像読取部103)を備えた画像形成装置と、光通信するための光照射部200を備えた通信端末装置300とを有するデータ設定システム1について説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ設定システムの概略模式図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、本発明のデータ設定システム1の画像形成装置100では、例えば、コピー、スキャナ、プリンタ等の機能を備えた複合機が該当し、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能等を備えた画像処理装置として機能する。
【0024】
以下に、例えば、ユーザーが、コピー機能を利用する場合の複合機100(MFP:Multi Function Peripheral)の動作を簡単に説明する。
【0025】
先ず、ユーザーが複合機100を利用する場合、原稿を筐体部の上面に備えられている原稿台101に載置し、前記原稿台101近傍に備えられている操作部102(操作パネル)を使用して、画像処理に関する設定条件の入力を当該操作部102の操作画面から入力する。そして、ユーザーが、前記操作部102に設けられたスタートキーを押下すると、複合機100が画像処理(コピー機能、印刷処理)を開始する。
【0026】
次に、画像読取部103において、光源104から照射された光が、前記原稿台101に置かれた原稿に反射される。反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は前記撮像素子108により光電変換されて、前記原稿に対応する画像データが生成される。
【0027】
さて、前記画像データに基づいてトナー像を形成する部分が画像形成部109である。前記画像形成部109には感光体ドラム110が備えられている。前記感光体ドラム110は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器111、露光ユニット112、現像器113、転写器114、クリーニングユニット115などが配置されている。
【0028】
前記帯電器111は、前記感光体ドラム110表面を一様に帯電させる。前記露光ユニット112は、帯電された感光体ドラム110の表面に、前記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。前記現像器114は、形成された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、前記転写器114により、記録媒体(例えば、用紙、シート)に転写される。前記クリーニングユニット115は、前記感光体ドラム110の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、前記感光体ドラム110が回転することにより実行される。
【0029】
前記シートは、複合機100に備えられた複数の給紙カセット116から搬送される。搬送される時は、前記シートは、ピックアップローラ117により何れか1つの給紙カセット116から搬送路へ引き出される。各給紙カセット116には、それぞれ異なる紙種のシートが収容されており、画像処理に関する設定条件に基づいてシートが給紙される。
【0030】
搬送路に引き出されたシートは、搬送ローラ118やレジストローラ119により感光体ドラム110と転写器114の間に送り込まれる。送り込まれると、前記シートは前記転写器114により前記トナー像が転写され、定着装置120に搬送される。
【0031】
前記トナー像が転写されたシートが、前記定着装置120に備えられた加熱ローラと加圧ローラの間を通過すると、前記トナー像に熱と圧力が印加されて、可視像がシートに定着される。前記加熱ローラの熱量は、紙種に応じて最適に設定され、前記定着が適切に行われる。前記可視像がシートに定着されて画像形成が終了し、当該シートは搬送ローラ118により、排紙口121を介して、筐体部の胴内に設けられた胴内トレイ122へ排紙される。前記シートは、前記胴内トレイ122に積載され、収容される。前記手順により、複合機100はコピー機能をユーザーに提供する。
【0032】
さて、本発明のデータ設定システム1の複合機100は、画像読取部103(スキャナユニット)に含まれる撮像素子108(例えば、CCD:Charge Coupled Device イメージセンサー)を使用することで、光照射部200を介して通信端末装置300と光通信を行い、通信端末装置300と直接物理的に接続することなく、データの設定を実行する(後述する)。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る操作部の全体構成を示す概念図である。ユーザーは、前記操作部102を用いて、上述のような画像処理についての設定条件を入力したり、入力された設定条件を確認したりする。前記設定条件が入力される場合、前記操作部102に備えられたタッチパネル201(操作パネル)、タッチペン202、操作キー203が用いられる。
【0034】
前記タッチパネル201には、設定条件を入力する機能と当該設定条件を表示する機能が兼ね備えられている。即ち、タッチパネル201上に表示された画面内のキーを押下することによって、当該押下されたキーに対応する設定条件が入力される。
【0035】
前記タッチパネル201の背面には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部(図示せず)が設けられており、当該表示部が、例えば、前記初期画面等の操作画面を表示する。前記タッチパネル201の近傍には、タッチペン202が備えられており、ユーザーがそのタッチペン202の先をタッチパネル201に接触させると、タッチパネル201下に設けられたセンサーが接触先を検知する。
【0036】
更に、タッチパネル201近傍には、所定数の操作キー203が設けられ、例えば、テンキー204、スタートキー205、クリアキー206、ストップキー207、リセットキー208、電源キー209が備えられている。
【0037】
次に、
図3を用いて、データ設定システム1の制御系ハードウェアの構成を説明する。
図3は、本発明に係るデータ移行システムの制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0038】
データ設定システム1の複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305、操作部102、画像読取部103とを内部バス306によって接続している。
【0039】
前記CPU301は、例えば、前記RAM303を作業領域として利用し、前記ROM302、前記HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ305、前記操作部102、前記画像読取部103からデータや指示、信号、命令等を授受し、
図1に示した各駆動部の動作を制御する。
【0040】
又、データ設定システム1の通信端末装置300の制御回路は、CPU307、ROM308、RAM309、HDD310、ドライバ311、光照射部200を内部バス312によって接続している。各部材の機能は、上述と同様である。
【0041】
<本発明の実施形態>
次に、
図4、
図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。
図4は、本発明のデータ設定システムの機能ブロック図である。又、
図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
【0042】
先ず、組立等の作業が完了した複合機100は、調整値設定の工程に移行し、生産ラインの所定のコンベア上に乗せられる。尚、この生産ラインは、複合機100の種別によって適宜変更される。コンベア600は、
図6(A)に示すように、通信端末装置300の光照射部200に向かって進行する。
【0043】
この際に、作業者が、複合機100の原稿台101を外部に晒して、画像読取部103が外部の光を受信できる状態にし、操作部102のキー操作を介して光通信モードへの移行を複合機100に入力すると、当該複合機100の表示受付手段401が、当該光通信モードへの移行を受け付けて、その旨を光通信手段402に通知する。当該通知を受け付けた光通信受信手段402は、画像読取部103の撮像素子108を起動して、通常モードから、当該画像読取部103を介して外部の光を受信可能な光通信モードへ切り替える(
図5:S101)。これにより、光通信受信手段402は、光通信可能な状態となり、外部の光を受信して、受信した光信号の先端信号の検知を開始する(
図5:S102)。
【0044】
ここで、光通信受信手段402が光通信の先端信号を検知する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、光通信受信手段402が、外部の光を受信した際に、その受信した光信号と、製造者側で予め設定された先端信号とを照合して、光信号が先端信号と一致した場合に、先端信号を検知する方法を挙げることが出来る。
【0045】
尚、光通信受信手段402は、光の受信の際に、先端信号を検知出来ない場合は(
図5:S102NO)、光通信モードが解除されない限り、先端信号の検知を繰り返すことになる。
【0046】
さて、複合機100が、光通信モードへの切り替えを完了すると、例えば、操作部102のタッチパネル201を介して切り替え完了画面を表示し、作業者は、その画面を確認すると、次に、データ設定システム1の通信端末装置300へ赴き、当該通信端末装置300を起動する。すると、前記通信端末装置300の制御手段403が所定の操作画面を表示する。作業者は、マウスやキーボード等を介して、光通信開始を通信端末装置300に入力すると、当該通信端末装置300の制御手段403は、これを受けて、その旨を光通信発信手段404に通知する。当該通知を受けた光通信発信手段404は、通信端末装置300に接続された光照射部200を用いて、データの設定に対応する光信号を発信する。
【0047】
ここで、光通信発信手段404が光信号を発信する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、光通信発信手段404が、データとなる調整値の設定処理を開始するコマンド、データの調整値等を光信号に変換して、当該変換した光信号を光照射部200を介して発信する。ここで、調整値は、例えば、仕向け情報(日本向け、アメリカ向け等)やシリアル番号等である。これにより、光照射部200から照射される光は、光信号として外部に発信されることになる。
【0048】
尚、本発明では、通信端末装置300から複合機100への一方向の光通信であるため、光通信発信手段404は、調整値の設定に必要な一連の光信号を繰り返し発信することで、複合機100の光通信受信手段402が、前記光信号を確実に受信出来るようにしている。
【0049】
又、光通信発信手段404は、光信号のうち、先端と終端には、それぞれ先端信号と終端信号とを配置する。これにより、光信号を受信する複合機100の光通信受信手段402が、光信号の先端と終端とを識別することが可能となる。
【0050】
又、光通信発信手段404が使用する光照射部200は、光通信が可能な部材であれば、どのような部材でも構わないが、例えば、可視光通信用のライトを挙げることが出来る。
【0051】
さて、通信端末装置300の光通信発信手段404が、光信号を発信する最中に、コンベア600上の複合機100が搬送されて、光照射部200の下方を通り過ぎると、当該複合機100の光通信受信手段402が、光通信の先端信号を検知し(
図5:S102YES)、当該先端信号からの光信号の受信を開始する(
図5:S103)。
【0052】
そして、光通信受信手段402の光信号の受信は、当該光信号の終端信号を検知するまで(
図5:S104NO)、継続して行われる(
図5:S103)。光通信の終端信号の検知は、先端信号と同様であり、光通信受信手段402が、受信した光信号と、製造者側で予め設定された終端信号とを照合して、光信号が終端信号と一致した場合に、終端信号を検知する。
【0053】
さて、光通信受信手段402が終端信号を検知すると(
図5:S104YES)、光信号の受信を完了して、その旨を光通信実行手段405に通知する。当該通知を受けた光通信実行手段405は、受信した光信号に対応する調整値の設定を実行する(
図5:S105)。
【0054】
ここで、光通信実行手段405が調整値の設定を実行する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、光通信実行手段405が、受信した光信号を、調整値の設定処理を開始するコマンド、調整値等を光信号に変換して、当該変換したコマンドを実行することで、調整値の設定処理を実行する。これにより、複合機100と通信端末装置300とが物理的に接続されなくても、調整値の設定が可能となる。
【0055】
さて、光通信実行手段405が調整値の設定の実行を完了すると、その旨を表示受付手段401に通知し、当該通知を受けた表示受付手段401は、
図2に示すように、調整値の設定が完了した旨の設定完了画面をタッチパネル201上に表示させる(
図5:S106)。特に、本発明では、通信端末装置300からの一方向の光通信であるため、通信端末装置300から複合機100の調整値の設定の完了を確認することが出来ない。そのため、この設定完了画面により、作業者は、複合機100の調整値の設定が完了したことを目視で確認することが可能となる。
【0056】
又、例えば、通信端末装置300にカメラ等の撮影手段を更に設けて、当該撮影手段が、複合機100の設定完了画面を撮影し、制御手段403が、当該撮影された設定完了画面に基づいて複合機100の調整値の設定が完了したことを確認するよう構成しても良い。これにより、作業者の目視に限らず、通信端末装置300による自動確認も可能となる。
【0057】
このように、複合機100の画像読取部103を用いることにより、物理的な接続を無くして、調整値の設定を光通信で行うことが可能となる。又、複合機100には、必ず画像読取部103が存在するため、それを光通信で有効利用することで、新たな部品点数の増加を回避することが可能となる。
【0058】
又、本発明では、生産ラインのコンベア600上に複合機100が流れていくだけで、当該複合機100の調整値の設定を、作業者が通信ケーブルの接続無く、行うことが可能となるため、作業者に対する負担を著しく軽減することが可能となる。
【0059】
尚、画像読取部103の撮像素子108(CCD、イメージセンサー)で行う光通信は、通常の光通信と比較して低速と考えられるが、調整値の設定であれば、十分に対応可能である。
【0060】
又、上述のように調整値の設定を光通信で行うことで、調整値の変更を簡単に実行することが出来るため、例えば、少量多品種の複合機100の生産に好適に適用することが可能となる。
【0061】
又、上述では、作業者が、最初に、キー操作により、複合機100の表示受付手段401に、光通信モードへの移行(指示)を入力することで、光通信受信手段402が光通信モードへ移行するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、光通信受信手段402が、複合機100の調整値の設定に関する内部メモリーを参照した際に、所定のメモリーの領域に調整値の入力が無く、ブランク(空白)である場合に、自動的に通常モードから光通信モードへ移行するよう構成しても良い。これにより、作業者の手間を更に解消することが可能となる。
【0062】
尚、上述では、
図6(A)に示すように、一のコンベア600の進行方向に沿って、複数の光照射部200を直列に配置させ、通信端末装置300が、同一の光信号を各光照射部200毎に発信して、コンベア600上の複数の複合機100に光通信するよう構成したが、他の構成としても良い。例えば、一つの光照射部200に対してコンベア600上の光信号を発信可能なエリアを決定し、そのエリアに遮蔽板(覆い)を設けて、そのエリアには前記光照射部200の光信号のみ受信可能とする。このようにすることで、エリアに含まれた複合機100の光通信落ち等を防止することが可能となる。
【0063】
又、このようなエリアを各光照射部200毎に設けるとともに、各光照射部200が発信する光信号を、多種のデータの設定工程に対応させる。例えば、
図6(A)に示すように、4台の光照射部200をコンベア200の進行方向に沿って直列に設けておき、最初の光照射部200では、初期化工程の光信号を照射させ、次の光照射部200では、第一の調整工程の光信号を照射させ、第三の光照射部200では、第二の調整工程の光信号を照射させ、最後の光照射部200では、確認工程の光信号を照射させる。このように、各光照射部200毎に、一連のデータ設定工程を対応付けることで、複合機100に、コンベア600上で搬送しながら、一連のデータ設定工程を、物理的な接続無く、実行させることが可能となる。
【0064】
又、このデータ設定は、光照射部200の光が届くエリア内に複合機100が通過すれば可能であるため、生産ラインのコンベア600の形状を自由に設計しても実現出来るという利点がある。
【0065】
又、本発明では、同じエリアに複数の複合機100を置いて、一の光照射部200によりデータの設定を全ての複合機100に一括して行うことが可能となる。
【0066】
例えば、
図6(B)に示すように、一の光照射部200の光通信が可能なエリア601(光照射部200の光が届くエリア)を決定して、そのエリアのみに光照射部200の光信号が発信されるようにする。そして、作業者がそのエリア601の部屋に複数の複合機100を搬送し、各複合機100を操作して、複合機100の原稿台101(原稿マット)を開放して、画像読取部103を外部の光を受信出来るようにし、複合機100の光通信受信手段402を光通信可能な状態(例えば、光通信モードのFW(ファームウェア)アップデートモード等)とする。
【0067】
又、作業者が通信端末装置300を操作して、光通信発信手段404に光照射部200を介して光信号を発信させる。
【0068】
ここで、複数の複合機100の光通信受信手段402が光信号の先端信号を検知すると、光信号の受信を開始し、終端信号の検知まで光信号の受信を継続する。そして、光通信受信手段402が光信号の受信を完了すると、光通信実行手段405が光信号に対応するデータの設定を実行する。ここで、FWアップデートであれば、光通信実行手段405が再起動を最後に実行して、FWアップデートを完了する。
【0069】
このように所定のエリア601に複数の複合機100を集中させて光通信を実行させることで、全ての複合機100のデータの設定を同時に行うことが出来るとともに、各複合機100毎のデータ設定の手間を著しく軽減することが可能となる。このようなデータの設定が、複合機100のFW(ファームウェア)のアップデートの処理に対応する場合に、このアップデートは複合機100一台ではそれほど手間にならないものの、一台一台に行う場合には、大きな手間となる。又、このアップデートは、生産ラインのコンベア600上の作業と異なるため、人手をかけて実施する必要がある。本発明を利用することで、例えば、エリアに対応する部屋に複数の複合機100をまとめて搬送しておき、光通信を実施すれば、全ての複合機100に一括してアップデートすることが可能となり、飛躍的に時間短縮、人員削減を行うことが可能となる。
【0070】
このように、本発明では、複合機100が、画像読取部103を用いて外部の光信号を受信する光通信受信手段402と、前記受信された光信号に対応するデータの設定を実行する光通信実行手段405とを備え、通信端末装置300が、光照射部200を用いてデータの設定に対応する光信号を発信する光通信発信手段404を備えることを特徴とする。これにより、スキャナーユニットを用いて、物理的に接続すること無く、データの設定を行うことが可能となる。
【0071】
尚、本発明の実施形態では、画像形成装置を複合機100としたが、画像読取部103を有する画像形成装置であれば、特に限定は無い。又、通信端末装置をパーソナルコンピュータ300としたが、光照射部200を用いて光信号を発信可能であれば、携帯端末装置、タブレット型端末装置等でも構わない。
【0072】
又、本発明の実施形態では、データの設定として、調整値の設定やFWアップデートを挙げたが、データを入力する設定処理であれば、特に限定は無い。
【0073】
又、本発明の実施形態では、データ設定システム1が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを画像形成装置や通信端末装置に読み出させ、当該画像形成装置や通信端末装置が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。