特許第6017414号(P6017414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017414
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】内視鏡超音波誘導生検針
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20161020BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61B1/00 334D
   A61B8/00
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-503807(P2013-503807)
(86)(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公表番号】特表2013-523333(P2013-523333A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011031048
(87)【国際公開番号】WO2011126963
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2014年3月28日
【審判番号】不服2015-18747(P2015-18747/J1)
【審判請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】61/321,243
(32)【優先日】2010年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】シェムブレ, ドゥルー, ビー.
(72)【発明者】
【氏名】クランシー, マイケル, エス.
(72)【発明者】
【氏名】チュムラ, ケビン
【合議体】
【審判長】 三崎 仁
【審判官】 福島 浩司
【審判官】 小川 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/010879(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/069592(WO,A1)
【文献】 特開2004−181095(JP,A)
【文献】 特表2005−520617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/009076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61B10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレルーメンを形成するカニューレ壁を有する細長い管状カニューレと、
長側面及び短側面を有する、前記カニューレの傾斜した遠位端と、
前記カニューレ壁を貫き、前記カニューレルーメンに開口した切り欠きと、
を備え、
前記カニューレルーメンは前記カニューレを長手方向に貫いて伸びており、
前記切り欠きは、前記カニューレの傾斜した遠位端の近位側に隣接して配置されて、前記長側面と一直線上に整列する長手方向線を中心とし、前記短側面の反対側にあり、
前記切り欠きは、前記カニューレ壁の一部によって形成される遠位縁を有し、前記遠位縁は前記切り欠きの両側の長手方向に延びる側縁の最遠位端から近位方向に伸びる側縁部と、該側縁部を結ぶ中央部とを有し、該細長い管状カニューレを平面で切り込んだときに表れる放物線状となっており、
前記長手方向に延びる側縁は、前記細長い管状カニューレを前記短側面に向かって凸の曲面で切り込んだときに表れる放物線状となっており、
前記放物線状の遠位縁の前記側縁部がそれぞれ湾曲した部分を介して前記切り欠きの前記側縁に続くようにされており、
前記放物線状の遠位縁が、近位方向に向いている刃先を有するようにされ、切り欠きの長さは幅よりも大きくされている、組織サンプル抽出針装置。
【請求項2】
前記カニューレルーメンを通して配置され、前記カニューレルーメンの全断面領域を、少なくとも前記カニューレルーメンの長手方向の部分において占めるスタイレットであって、前記スタイレットの遠位端が、前記カニューレの傾斜した遠位端と同一平面上で整列するように傾斜している、スタイレットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カニューレは、0.9mm(0.037インチ)の内径を有する19ゲージの針を備え、前記切り欠きは、前記カニューレの外周の半分を占めるようにされた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記切り欠きの近位端から前記遠位縁中央部までの前記切り欠きの外周方向中央での長手方向の長さが4mm(0.16インチ)である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位縁中央部が、前記最遠位端から長手方向で0.6mm(0.025インチ)のところに配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記遠位縁の前記側縁部と前記切り欠きの側縁との間の前記湾曲した部分が0.05mm(0.002インチ)の曲率半径を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記切り欠きに隣接し前記切り欠きの近位側に配置されるエコー源性表面特徴のパターンを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記エコー源性表面特徴が、前記カニューレ壁の複数のくぼみからなる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カニューレが、経口手術可視化装置のワーキングチャネルを通されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カニューレの遠位端の付近に前記切り欠きに長手方向及び横断方向で隣接しているエコー源性表面特徴のパターンを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記切り欠きのすぐそばに配置され、前記切り欠きと同一平面にあるエコー源性表面特徴のパターンを更に備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記カニューレは、19ゲージ針、22ゲージ針或いは、25ゲージ針のうちの選択された1つからなり、前記切り欠きは前記カニューレの外周の半分を占めている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、内視鏡手術装置に関する。特に、本発明は、内視鏡治療等の低侵襲手術の際に使用するように構成された生検針に関する。
(優先権の主張)
【0002】
本出願は、2010年4月6日に出願された、米国仮特許出願第61/321,243号の優先権を主張する特許出願であって、その全体を本明細書に引用して援用する。
【背景技術】
【0003】
微細針吸引(FNA)は、患者の人体における標的部位からサンプルを得るために用いられる生検診断治療である。微細針(例えば、19ゲージから25ゲージ)は、標的部位に向けられ、針ルーメンの遠位端を通じて細胞を吸引するために、その近位端に対して、吸引力が加えられる。当該治療は、経皮的に行われようが(例えば、乳房の腫瘍の疑いのある部位や皮下組織の病巣をサンプル抽出すること)、内視鏡的に行われようが(例えば、十二指腸内視鏡によって、胆管ガンの疑いのある部位をサンプル抽出すること)、他の生検技術よりはるかに侵襲性が少ない。更に、内視鏡超音波技術(EUS)の発達により、医者による生検針の可視化の性能が高められ、切開や大きな穴のある針、及び/又は、腹腔鏡トロカールを要することなく標的部位から組織のサンプルを得られるようにして、医者と患者を支援してきた。
【0004】
現在のFNA技術では、一般的に、診断的評価に役立つほんの僅かな数の細胞を得られるだけである。その結果、本技術には、サンプルから得られたわずかな細胞が、腫瘍あるいはその他の病状の存在を正確に示さないという偽陰性のリスクが含まれることになる。また、得られた細胞の数がかなり少なく、或いは、収集時に損傷があり、最終診断をすることができない場合には、サンプルの大きさが小さいことで、治療の診断価値に制限を加えることにもなる。従って、サンプルにおける細胞の数や完全性に関して診断上有効なサンプルを確実に得ることのために、EUS、及び/又は、より大きなゲージの針、又は針の多数の通過を必要とせずに、より大きなサイズ(サンプル或いは「コア」には、より多くの細胞があり、生来の場所と類似の形態でまとまっている隣接する無傷の細胞を有している)のサンプルを得ることができる経皮的な微細針生検(FNB)に役立つ針を提供することには利点がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示されている針の実施形態は、今日の技術のこれらの問題を対処しており、構造と方法に関して既存の針に対する利点をもたらす。ある態様では、組織サンプル抽出針装置には、カニューレルーメンを形成するカニューレ壁を有する細長い管状カニューレが含まれ、このカニューレルーメンは長手方向にカニューレを通って伸びている。カニューレには、長側面及び短側面を有する傾斜した遠位端とカニューレ壁を貫いてカニューレルーメンに開口している切り欠きとが設けられる。当該切り欠きは、カニューレの傾斜した遠位端に対して近位側に隣接して配置され、傾斜端の長側面と一直線上に整列する長手方向線を概ね中心とし且つ傾斜端の短側面の反対側にある。また、当該切り欠きには、カニューレ壁の一部分によって形成される遠位縁が設けられ、当該遠位縁は切り欠きの最遠位端から近位方向に伸びるように構成されて、遠位縁中央部が、切り欠きの概ね長手方向側面に続いている縁端部の近位に配置されており、当該遠位縁は、近位方向に向いている刃先を有している。
【0006】
別の態様において、本明細書で開示される切り欠きのある吸引生検針が、19ゲージ以下のサイズの柔軟性のある細長い管状カニューレからなり、カニューレ壁が、近位の吸引源と連通するよう構成されるカニューレルーメンを形成する。カニューレルーメンは、カニューレを貫いて長手方向に伸び、カニューレの傾斜した遠位端は、長側面及び短側面を有し、当該構造体には、カニューレ壁を貫き、カニューレルーメンに開口している切り欠きが設けられている。当該切り欠きは、カニューレの傾斜した遠位端の近位側に隣接して配置され、傾斜端の長側面と一直線上に整列する長手方向線を概ね中心とし且つ傾斜端の短側面の反対側にある。当該切り欠きは、カニューレ壁の近位方向に向いている部分によって形成される刃先を有している。
【0007】
別の態様において、組織収集方法は、細長い針を提供するステップが含まれ、当該針には、傾斜した遠位端と、針ルーメンに開口した切り欠きとが含まれ、当該切り欠きは遠位端の付近にあり、傾斜した遠位端の傾いた遠位面の反対側に配置され、切り欠きの遠位端部を形成する遠位縁が近位方向に向いた刃先を備えている。当該方法には、更に、針の遠位端を標的部位に導くステップと、針ルーメンへ吸引力を加えるステップと、近位方向に向いている刃先を標的部位に係合させて標的部位からサンプルを針ルーメン内に収集するように、針を近位方向に動かすステップとが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態の理解を助けるために、添付した図面を参照する。添付図面は、必ずしも一定縮尺で描かれておらず、同様の参照番号は、概して、同様な要素を指す。図面は、例示に過ぎず、発明を制限するものとして解釈してはならない。
【0009】
図1A】組織サンプル抽出針装置の実施形態を示す面である。
図1B図1Aと同様、組織サンプル抽出針装置の実施形態を示す図である。
図1C図1A図1Bと同様、組織サンプル抽出針装置の実施形態を示す図である。
図1D図1A図1Cと同様、組織サンプル抽出針装置の実施形態を示す図である。
【0010】
図2A】別の組織サンプル抽出針の実施形態を示す図である。
図2B図2Aと共に、別の組織サンプル抽出針の実施形態を示す図である。
【0011】
図3】別の組織サンプル抽出針装置の実施形態を示している。
【0012】
図4A】組織サンプル抽出装置の実施形態の使用方法を示している。
図4B図4Aと共に、組織サンプル抽出装置の実施形態の使用方法を示している。
図4C図4A図4Bと共に、組織サンプル抽出装置の実施形態の使用方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「近位」という用語は、使用者が持つ装置のハンドルの端を指し、「遠位」という用語は、その反対の端を指す。「外科的可視化装置」という用語は、CCD、超音波、光ファイバー装置、及びCMOSデバイスを備える内視鏡、並びに、例えば、腹腔鏡や気管支鏡等の患者の体内の可視化のために利用されるその他の装置を指す。
【0014】
組織サンプル抽出針装置の1つの実施形態が図1Aから図1Dを参照して記載されており、これらの図は、組織サンプル抽出針装置100を示している。図1Aの側部平面図に示されているように、当該装置は、近位ハンドル、もしくはハブ102を有し、そこから細長い管状カニューレ104が遠位方向に伸びている。カニューレ104は、カニューレルーメン108を形成するカニューレ壁106を有する。カニューレ104の遠位端110は斜めになっており、カニューレ104の中央長手方向軸と実質的に平行であり最遠位先端に向かって伸びる長側面110aを有している。傾斜した遠位端110の短側面110bは、長端110aの反対にある。遠位端110の詳細な説明は、図1Bの上部平面図に示されている。他の実施形態においては、一方の斜面が切り欠きの反対側にある2つの斜面を有しているか、または切り欠きに対して少なくとも部分的に横断している1つあるいは2つの斜面を有していても良い。
【0015】
図1A図1Cの側部平面図と図1Dの斜視図に示されているように、切り欠き120は、カニューレの傾斜した遠位端110の近位側に隣接するように配置され、傾斜端の長側面110aと長手方向に整合して概ね中心且つ傾斜端のの短側面110bの反対側に位置している。好ましい実施形態では、切り欠き120は概ね弓状になっているが、その近位側面が概ね長手方向に沿って延びる放物線端122によって画定されており、切り欠きの横側面124はやや湾曲している。切り欠き120の遠位縁124は、一組の縁端部分126において近位縁122と連結する概ね放物線状の縁として形成されるのが好ましく、遠端部分126が近位側縁122と遠位縁124との間を曲線状に移行する部分を提供するのが好ましい。半径方向の縁端部126は、カニューレ構造体内でストレスを緩和するように構成されているのが好ましい。遠位縁124の遠位縁中央部125は、近位方向に向いた刃先を形成しているのが好ましい。好ましい実施形態では、切り欠きは、切り欠きの最も幅の広い点で、カニューレ104の周囲の約半分を占める。図1Cに示された斜面の切り欠きは、サンプル収集を成功させるための利点を提供する。特に、組織に対する斜面の接触は、切り欠き方向の僅かなバイアス/圧力を生み出し、スタイレットが引き抜かれる時に組織が切り欠き内に引かれて捕らえられるのを促進し、シャフト面の切り欠き側の接触圧力が、切り欠きの真反対の外面に対するものより僅かに大きくなる。
【0016】
細長いスタイレット130は、カニューレルーメン108を通して取り外し可能に配置されている。好ましい実施形態では、スタイレット130は、カニューレルーメン108の少なくとも長手部分の実質的に全断面領域を占める。図1Dに示すように、スタイレット130の遠位端132は斜めになっており、カニューレ遠位端110と実質的に同一平面となるように整列する。この構造は、(特に標的部位に導く時に)カニューレに対する支持を強化しつつ、スタイレット130とカニューレ104の傾きを一致させることで形成される、切断及び/又は組織を貫通する概ね中実の遠位先端を提供する。丸いスタイレット端或いはその他のスタイレット端構造も、本発明の範囲内で実施されることを理解されたい。ある実施形態では、針の傾斜した遠位端は閉じられて、カニューレを貫いて長手方向に伸びるルーメン108はカニューレ104内で終端するようにしてもよい。これらの実施形態では、スタイレットは、サンプルが切り取られて切り欠きを通じて針ルーメンへと捕らえられた後、針ルーメンに再び挿入されてもよい。そのような状況では、スタイレットは、遠位方向に伸びて開いた切り欠きを覆うが(それによって、針を抜く際の針の通路に沿った不用意な細胞収集によるサンプルの汚染を防ぐ)、サンプルのために閉鎖した針ルーメン部分に空間を残しておき、針ルーメンが遠位端で閉鎖している実施形態では、切り欠きと閉鎖した遠位端との間で損傷を受けていないように維持する。
【0017】
ある例示的な実施形態では、カニューレ104は、304ステンレス鋼からなる19ゲージ針として構成され、内径は、約0.9mm(約0.037インチ)である。この実施形態では、切り欠き120は、短側面に対して約30度傾いている遠位斜面の反対側で且つ近位側の周囲に位置し、(近位縁122によって形成される)切り欠き120の最近位端は、カニューレ104の最遠位先端の長手方向近位側に約9mm(約0.36インチ)のところにある。本実施形態では、切り欠きの最近位縁122と遠位縁125の最近位部との間の長手方向での距離は、約4mmから約5mm(約0.16インチから約0.2インチ)である。遠位縁125の最近位部は、切り欠き120の最遠位端から約0.6mm(約0.025インチ)であり、湾曲した縁端部126によって形成され、約0.05mm(約0.002インチ)の曲線半径を有し、遠位縁124を近位縁122と連結する。最遠位縁端部分126と切り欠き120の反対側にある傾斜した遠位端110との間の長手方向の直線距離は、19ゲージ、20ゲージ、21ゲージ或いは22ゲージの実施形態では、約1.47mm(0.058インチ)であり、最適な強度と針の遠位端に対する切り欠き位置を提供する。19ゲージ針は、4.2フレンチから5.2フレンチのシースとともに用いられる。傾斜したNiTi製のスタイレット130は、カニューレルーメンを通して摺動可能に/取り外し可能に配置している。19ゲージ以下の針が好まれるが、例えば、22ゲージと25ゲージ針などのより小さなゲージ針が本発明の範囲内で実践されていることを理解されたい。(もっとも、その絶対的な大きさは、ここで開示された19ゲージの具体例とは異なることが理解されたい。)
【0018】
図2A図2B及び図3は、組織サンプル抽出針装置200の追加の実施形態を示している。図2Aの側部平面図で示されているように、当該装置は、近位のハンドル或いはハブ202を有し、そこから細長い管状カニューレ204が遠位方向に伸びている。カニューレ204は、カニューレルーメンを形成するカニューレ壁を有する。カニューレ204の遠位端210は斜めになっており、カニューレ204の長手方向軸の中心と実質的に平行に遠位の最先端へと伸びている長側面210aを有している。傾斜した遠位端210の短側面210bは、長側面210aの反対側にある。当該針装置200の詳細な図面は、図2Bの上部平面図に示されている。遠位端210は、ルーメンに対して開いていても閉じていてもよい。開放端210を有する実施形態では、サンプルは、収集後、遠位端から取り出すこともできる。
【0019】
図2A図3の側面図に示されているように、切り欠き220は、カニューレの傾斜した遠位端210の近位側に隣接して配置され、傾斜端の長側面210aとの長手方向に整合して概ね中央且つ斜面の短端側面210bの反対側に位置している。好ましい実施形態では、切り欠き220は概ね弓状になっているが、その近位側面が概ね長手方向に沿って伸びる放物線状の縁222として形成されており、切り欠きの側面224はやや湾曲している。切り欠き220の遠位縁224は、一組の遠位端部分226において近位遠222と連結する概ね放物線状の縁として形成されるのが好ましく、遠位端部分226が近位縁222と遠位縁224との間を曲線状に移行する部分を提供するのが好ましい。遠位縁224の遠位縁中央部225は、近位方向に向いた刃先を形成しているのが好ましい。好ましい実施形態では、切り欠きは、切り欠きの最も幅の広い点で、カニューレ204の周囲の約半分を占める。
【0020】
図2Aに示すように、カニューレ204には、エコー発生性を高めるように構成された表面特徴が含まれ、それによって、内視鏡超音波(EUS)処置時に装置を導く能力が高められる。表面特徴240は、カニューレ204の外面上にある複数のくぼみとして、本明細書では示されている。しかし、また、代わりに、外面あるいは内面の溝や他の規則的あるいは不規則の特徴として具体化されてもよい。気泡、空洞、或いは、エコーコントラスト素材等の埋め込まれたエコー発生性の特徴を、本発明の範囲内で用いることもできる。当業者は、多くの現在公知の、及び/又は、将来開発されるエコー源性を高める手段が本発明の範囲内で使用できることを理解するであろう。本明細書で用いられるように、「エコー源性の」と「エコー源性を高める」という用語は、装置の超音波可視化時に用いられる超音波の反射率を増大する構造特徴を指すのに用いられ、その増大量は、上記の特徴をもたない装置の典型的な超音波反射率/可視化を超える。
【0021】
図3は、図2Aに類似しているが、エコー源性特徴240が、切り欠き220が占める空間を遠位方向に超えて伸びていることを示している。エコー源性を高める特徴は、カニューレ204の遠位最先端から特定の所定の距離に配置されることが好ましい。エコー源性特徴240は、切り欠き220から一定の距離に示されるが、本実施形態のカニューレは、これらのエコー源性特徴が切り欠きの縁に沿って配置されて構成される。エコー源性を高める特徴を有するスタイレット230は、図2Aから図3の実施形態のカニューレルーメンを通して配置される。
【0022】
組織収集の方法が図4Aから4Cを参照して記載されており、図2A図2Bの針装置200を用いている。まず、図4Aに示されているように、針カニューレ204が、その中に配置されているスタイレット230とともに、サンプル(例えば、腫瘤)を抽出する標的部位450へと案内される。次に、図4Bに示すように、スタイレット230が後退され、吸引力が針カニューレルーメン208の近位端に加えられる。これによって、組織が標的部位450から、切り欠き220を通ってルーメン208内へと引っ張られる。図4Cに示されるように、ユーザは、カニューレ204を素早く近位方向に引き、切り欠きの遠位縁の中央225の近位方向に向いている刃先が標的部位から組織のサンプル452を切り取り、それをルーメン208へと引き込み、切り欠き220の中、遠位あるいは近位に取り込む。カニューレ204は、僅かに前進させたり後退させたり(例えば、約0.5cmで、2、3回)及び/又は、回転させたりしてもよく、その他、サンプル部材を捕らえるのに必要であるならばユーザによって操作されてもよい。カニューレ204は、サンプルの収集を向上するために、隣接する組織との切り欠き220の接触を大きくするように使用する際に、わずかにたわむようにすることもできる。
【0023】
得られたサンプルには、所望の数の無傷細胞が含まれるのが好ましく、切り欠きのない極細針吸引生検針を用いて通常得られるものよりも多くの無傷細胞が含まれるのが好ましい(「より多くの」とは、得られたサンプル内において、より多くの数の細胞があることと、細胞の完全性がより高いことの両方を意味している)。組織学的グレードのFNBサンプルが、このような方法で得ることができることが分かっており、FNAによって一般的に得られる細胞学的グレードのサンプルではできない特定の診断目的にとって好ましい。当該針は、そのあと、患者の体内から引き抜かれる。
【0024】
ある好ましい実施形態では、当該装置の患者の体内への導入時に、カニューレ204は、十二指腸内視鏡等の経皮的内視鏡のワーキングチャネルを通じて、患者の体内に導かれる。それから、(図2Aから図3で示される実施形態のようにエコー源性を高める特徴が設けられているならば、超音波可視化の下で)標的部位450に導かれる。他の実施形態では、当該装置200は、患者の皮膚を通じての針カニューレの直接挿入や、トロカール、シース、又はその他のアクセス装置(内視鏡可視化或いは超音波可視化とともにあるいはそれらなしで)を通じての挿入などのような経皮的な手段を含む、当該技術分野で知られる他のアクセス手段によっても導入されるが、それらはすべて本発明の範囲内である。また、外側シースは、カニューレ204の外側に沿って摺動可能に配置され、サンプルを刃先で切断した後、切り欠き220上を進むことを理解されたい。この構成は、本発明の範囲内で実践され、針を引き抜く時に収集されたサンプルが失われたり汚染されたりする可能性を低減することができる。
【0025】
本明細書で開示された針装置及び方法は、小型の極細針吸引針と操縦性に関連する利点を提供し、標的部位からより多くの無傷のサンプルを収集する手段を提供している。それらは、また、生検技術で知られる他の切り欠き針の裁断スタイルの移動部分によって妨げられない(切り欠きを移動可能に横断する刃部材を有する必要性のために、一般にサイズがより大きい)。
【0026】
本明細書で明示的に示されていない実施形態も本発明の範囲内で実践されることを当業者は理解し、異なる実施形態のために本明細書に記載される特徴は、互いに、及び/又は、現在公知であり或いは将来開発される技術と組み合わされ、添付した特許請求の範囲内であることも合わせて理解される。それ故、上記の詳細な説明は、限定というよりはむしろ例示的なものであることが意図される。そして、すべての均等解釈を含めて、以下の特許請求の範囲は、本発明の精神と範囲を画定することを意図するものであると理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C