(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017428
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/03 20060101AFI20161020BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20161020BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20161020BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
A61L9/03
A61L9/12
B01D53/22
A01M1/20 K
A01M1/20 H
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-531757(P2013-531757)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-543400(P2013-543400A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011053616
(87)【国際公開番号】WO2012044659
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年8月4日
(31)【優先権主張番号】12/896,583
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,スコット,ディ.
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−034394(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3134778(JP,U)
【文献】
特開平10−075997(JP,A)
【文献】
特表2009−532101(JP,A)
【文献】
特開2003−164512(JP,A)
【文献】
実開昭62−001632(JP,U)
【文献】
実開平01−074778(JP,U)
【文献】
特開2004−230167(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3087867(JP,U)
【文献】
特開昭64−070063(JP,A)
【文献】
特開2007−068593(JP,A)
【文献】
実開平07−017244(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0250962(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/03
A01M 1/20
A61L 9/12
B01D 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面を有するフレームと、
前記フレーム上に配置される第1の磁気素子と、
揮発性材料を含有する貯蔵部と、
前記貯蔵部内に配置される複数の第2の磁気素子と、を有し、
前記複数の第2の磁気素子は前記貯蔵部の内部に分散されている、揮発性材料分注システム。
【請求項2】
前記第1の磁気素子が、前記フレームの内部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項3】
前記第1の磁気素子が、前記フレームにおける表面および裏面のうち、少なくとも一方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項4】
前記第1の磁気素子が、前記フレームにおける表面および裏面のうち少なくとも一方の凹部の内部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項5】
前記フレーム内部に、ヒータが設けられることを特徴とする請求項1に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項6】
前記フレームに、電気プレートが取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項7】
前記電気プレートが、前記ヒータと導通する差込プラグを含むことを特徴とする請求項6に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項8】
前記電気プレートが、前記ヒータと電気的に接続されたバッテリーを含むことを特徴とする請求項6に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項9】
前記貯蔵部が、気化物質透過薄膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項10】
前記貯蔵部が、前記気化物質透過薄膜を覆って配置される取り外しのできる非透過性ラミネートを含むことを特徴とする請求項9に記載の揮発性材料分注システム。
【請求項11】
底壁と、周縁部のフランジと、該底壁と該周縁部のフランジとの間に延在する側壁とを有するブリスタと、
前記周縁部のフランジに取り付けられ、なおかつ前記ブリスタを覆うように延在し前記底壁ならびに前記側壁と係合して前記ブリスタの内部に揮発性材料を包含するように設けられた気化物質透過薄膜と、
前記ブリスタの内部に配置される複数の磁気素子と、を有し、
前記複数の磁気素子は前記ブリスタの内部に分散されている、揮発性材料包含容器。
【請求項12】
前記複数の磁気素子が、前記気化物質透過薄膜に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の揮発性材料包含容器。
【請求項13】
前記複数の磁気素子が、前記ブリスタの底壁に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の揮発性材料包含容器。
【請求項14】
前記複数の磁気素子が、前記揮発性材料の内部で浮遊していることを特徴とする請求項11に記載の揮発性材料包含容器。
【請求項15】
前記複数の磁気素子が、前記側壁に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の揮発性材料包含容器。
【請求項16】
分注装置内の磁気素子に引き寄せられるように前記複数の磁気素子が適合されることを特徴とする請求項11に記載の揮発性材料包含容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照 該当なし。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載 該当なし。
【0003】
シーケンスリストの参照 該当なし。
【0004】
本発明は主として揮発性材料のための装置に関連する。特に、揮発性材料を含有する取り外し可能なカートリッジを固定するための保持構造を有する装置に関する。
【背景技術】
【0005】
分注装置は一般に周知である。分注装置の中には、活性化機構を使用して加圧されたシステムから、揮発性物質を空気中に放出するものがある。他の従来技術における分注装置には、ポンプ機構を用い、揮発性物質を空気中に分注するものがある。さらに他の従来技術における分注装置には、加熱機構を用い、生成物の揮発を補助するものがある。さらに、分注装置の中には、多孔質の芯および/または外気に依拠し、蒸発作用を経て揮発性物質を空気中に分注するものもある。
【0006】
分注装置の多くは、詰め替え式、あるいは交換式の生成物包含容器から生成物を分注する。生成物包含容器は一般的に、適切な動作を保証するために分注装置に固定する必要がある。一般的な保持機構は伝統的に、箱形の筐体、はめ込み式のシート体、スライド部分、フランジなどを含む。さらに、生成物包含容器は、効果的な運用を確保するために、適切に分注装置で動作するように構成されている必要がある。従来技術のシステムの中には、生成物包含容器が正しく分注装置で動作するように設定されているかどうかを判断するセンサを使用しているものもある。他のシステムでは、電気回路を用いたロックまたは電磁気を用いたロックを用いるものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、詰め替え式あるいは交換式の生成物包含容器を分注装置に固定するさまざまな手段を企図するものである。本発明で開示される各実施形態は、生成物包含容器における適切な構成、および容易な保持を可能とするものである。さらに、本発明の各実施形態は、揮発性物質を効果的に空気中に拡散させることを目的とするものである。本明細書で開示される複数の実施形態は、手頃なフレームおよび/またはその他各構造を利用し、能動的な放射から受動的な放射へと、またはその反対の場合に容易に切り替えることを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、揮発性材料分注システムは、表面および裏面を有するフレームを含む。フレーム上には、第1の磁気素子が配置される。揮発性材料を包含する貯蔵部が設けられる。貯蔵部の上には、第2の磁気素子が配置される。
【0009】
別の実施形態によると、揮発性材料包含容器は、底壁と、周縁部のフランジと、底壁と周縁部のフランジとの間に延在する側壁とを有するブリスタを含む。周縁部のフランジには気化物質透過薄膜が取り付けられており、なおかつブリスタを覆うように延在する。気化物質透過薄膜は、底壁ならびに側壁と連絡し、ブリスタの内部に揮発性材料を包含する。ブリスタの内部には磁気素子が配置される。
【0010】
別の実施形態によると、揮発性材料ディスペンサは、表面と、裏面と、表面と裏面との間の側壁とを有するフレームを含む。裏面の内部には、凹部が配置される。裏面の凹部の内部には、加熱素子が配置される。加熱素子を用いて、コンセント(アウトレット)は、加熱素子と電気的に導通している。フレーム上には、磁気素子が配置される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】分注装置の第1の実施形態における正面等角投影図である。
【
図2】
図1の分注装置用の揮発性材料包含容器における背面等角図である。
【
図3】
図1の分注装置における正面分解等角投影図である。
【
図4】
図1の分注装置における背面分解等角図である。
【
図5】
図1の分注装置ならびに
図2の揮発性材料包含容器における側面図である。
【
図6】
図5で示される分注装置ならびに揮発性材料包含容器の平面図である。
【
図7】
図2における切断線7−7に沿った揮発性材料包含容器における部分断面図であり、第2の磁気素子におけるさまざまな位置を示す部分断面図である。
【
図7A】
図2における切断線7A―7Aに沿った揮発性材料包含容器における部分断面図であり、第2の磁気素子におけるさまざまな位置を示す部分断面図である。
【
図7B】
図2における切断線7B−7Bに沿った揮発性材料包含容器における部分断面図であり、第2の磁気素子におけるさまざまな位置を示す部分断面図である。
【
図8】
図4で示される分注装置と同様の背面分解等角図であり、装置のフレームにおける裏面凹部の内部に第1の磁気素子が設けられる分注装置の背面分解等角図である。
【
図9】
図1の分注装置における正面図であり、装置のフレーム内部に配置される第1の磁気素子において異なる実施形態を示す正面図である。
【
図10】
図1の分注装置における正面図であり、装置のフレーム内部に配置される第1の磁気素子において異なる実施形態を示す正面図である。
【
図11】
図1の分注装置における正面図であり、装置のフレーム内部に配置される第1の磁気素子において異なる実施形態を示す正面図である。
【
図12】
図1の分注装置における正面図であり、装置のフレーム内部に配置される第1の磁気素子において異なる実施形態を示す正面図である。
【
図13】実質的に平坦な前壁を有するフレームをともなった分注装置の代替実施形態における正面等角投影図である。
【
図14】分注装置の正面等角投影図であり、分注装置のフレーム上に第1の磁気素子を含まない分注装置の別の実施形態における正面等角投影図である。
【
図15】
図2で示される揮発性材料包含容器と同様の揮発性材料包含容器における、異なる各実施形態の正面図であり、第2の磁気素子においてさまざまな位置を示す正面図である。
【
図16】
図2で示される揮発性材料包含容器と同様の揮発性材料包含容器における、異なる実施形態の正面図であり、第2の磁気素子においてさまざまな位置を示す正面図である。
【
図17】
図2で示される揮発性材料包含容器と同様の揮発性材料包含容器における、異なる実施形態の正面図であり、第2の磁気素子においてさまざまな位置を示す正面図である。
【
図18】
図2で示される揮発性材料包含容器と同様の揮発性材料包含容器における、異なる実施形態の正面図であり、第2の磁気素子においてさまざまな位置を示す正面図である。
【
図19】
図15における揮発性材料包含容器における部分断面図であり、容器の底壁に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図20】
図16における揮発性材料包含容器の部分断面図であり、容器の底壁に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図21】
図17における揮発性材料包含容器の部分断面図であり、容器の底壁に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図22】
図15における揮発性材料包含容器における部分断面図であり、容器が備える透過性薄膜に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図23】
図16における揮発性材料包含容器の部分断面図であり、容器が備える透過性薄膜に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図24】
図17における揮発性材料包含容器の部分断面図であり、容器が備える透過性薄膜に取り付けられた第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図25】
図18の揮発性材料包含容器における部分断面図であり、容器の内部に固定される第2の磁気素子が示される部分断面図である。
【
図26】分注装置のうち、球面状に隆起した突起を伴うカバープレートを含む装置における、さらに別の実施形態である。
【
図27】
図1で示される分注装置と同様で、さらに装置を起動させるセンサを含む分注装置における、さらに別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるその他の各態様ならびに各利点は、以下の詳細な説明を考慮することにより明らかとなるであろう。ここで、同様の構造には同様の符号を付してある。
【0013】
図1〜
図7で示すとおり、分注装置100が説明される。分注装置100は、表面104と、裏面106と、4つの側壁108とを有するフレーム102を含む。4つの側壁108は、好ましくは長さと幅が等しく、なおかつ、表面104と裏面106に関して実質的に垂直に配置されていることが望ましい。ここで説明するフレーム102は、断面が略正方形であるが、フレーム102は、長方形状、略楕円状、または正四角錐状の各形を含み、それらに限定されない任意の形状で設計することができる。フレーム102は、射出成形プラスチックの材料で構成されることが望ましいが、代わりにガラスまたは共重合ポリエステル樹脂類を含むさまざまな組成物類の材料で構成することができる。
【0014】
表面104は表面凹部112を、裏面106は裏面凹部114をおのおの含む。
図3および
図4で見られるように、導線116は、裏面凹部114の内部に配置される。導線116は、電気プレート120の差込プラグ118に接続するように構成されている。電気プレート120は、接着剤、一つまたは複数の留め具、電気プレート120の各一部分と裏面凹部114を画定するフレーム102の各一部分との間にある摩擦嵌合、または当業者に周知であるその他の機構によって、裏面106に取り付けられる。あるいは、電気プレート120は、フレーム102の裏面106と一体となっていてもよい。電気プレート120は、一般的に長方形状であり、表面表層122および裏面表層124を含む。差込プラグ118は、電気プレート120の裏面表層124から電気プレート120の表面表層122まで略垂直に延在する。差込プラグ118は、分注装置100に電力を供給する従来型のコンセント(図示せず)に挿入されるようになっている。差込プラグ118は、多種多様なコンセントに使えるよう変更され得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0015】
裏面凹部114のある内側に設けられる導線116は、加熱素子125と電気的に導通する。加熱素子125は、セラミックで覆われた抵抗器であることが望ましい。しかしながら、その他任意のタイプの加熱素子が、本発明の各実施形態と関連して用いられることができる。加熱素子125は、裏面凹部114の内部において略中央に配置される。その他各実施形態では、加熱素子125は、
図4で示される中央の位置からずれている。そのうえ、加熱素子125は、その他の各実施形態において、裏面凹部114の幅および/または高さとの関係において、全体的または部分的に延在していてもよい。さらに、複数の加熱素子125は、導線116と導通するように設けることができる。一つまたは複数の加熱素子125および導線116は、フレーム102の内部に設けられ、そうでなければフレーム102の表面104または裏面106の内側、もしくは面上の全体的または部分的に設けることもできる。
【0016】
別の実施形態では、電気プレート120は、差込プラグ118に代わるものとして、バッテリー筐体(図示せず)を含むことができる。さらに別の実施形態では、電気プレート120は、バッテリー筐体と差込プラグ118との双方を含むことができる。さらに別の代替実施形態では、電気プレート120は、差込プラグ118および充電式電池(図示せず)を含むことができる。そのうえ、代替実施形態では、差込プラグ118は、電気プレート120にヒンジを使って取り付けられることができ、そのとき、差込プラグ118は、折り畳んで分注装置100の中に組み込むことができる。
【0017】
図1および
図3を参照すると、第1の磁気素子126は、フレーム102における表面凹部112および裏面凹部114との間にある内部空間内に配置される。本発明の実施形態における第1の磁気素子126は、加熱素子125の上部に設けられるものとして示されており、なおかつ、ほぼフレーム102の幅で略中央に配置されるものとして示されている。しかしながら、別の実施形態では、第1の磁気素子126は、フレーム102の幅および/または高さにおいて、が全体的または部分的に延在していてもよい。さらに、別の実施形態では、第1の磁気素子126は、加熱素子125と整合するようにフレーム102の内側に設けられていてもよい。本発明の実施形態では、第1の磁気素子126は円形である。しかしながら、第1の磁気素子126は、その他にも、長方形状、球状、略楕円状、長円状、または正四角錐状の形を含み、それらに限定されない、任意の幾何学的な形状を含むことができる。
【0018】
本発明の実施形態における第1の磁気素子126は、表面凹部112と裏面凹部114との間のフレーム102を含む壁の内側に示されている。第1の磁気素子126は、製造過程でフレーム102の内部に形成されるか、表面104または裏面106(図示せず)の一方にある孔または凹部の内部に設けられるか、フレーム102の2つの分離部分の間に配置されるか(図示せず)、もしくは当業者に周知の任意の方法でフレーム102の内部に設けられることができる。第1の磁気素子が、表面凹部112または裏面凹部114の一部分を画定するフレーム102の表層上に配置され得ることも意図されている。たとえば、
図1および3で示される第1の磁気素子126は、表面凹部112を画定する壁の一部分に取り付けられた磁気素子と置き換えることができる。本実施形態における第1の磁気素子126は、壁に直接、または孔もしくは凹部の内部に置かれ、なおかつ接着剤か、第1の磁気素子128の各一部分とフレーム102の各一部分との間にある摩擦嵌合、または当業者に周知であるその他任意の固定する機構によって設置することができる。同様に、
図8は、フレーム202における代替実施形態を示す。そこでは第1の磁気素子126は、フレーム202の裏面凹部114内部に配置される。
【0019】
図1および
図2を参照すると、表面凹部112は、揮発性材料包含容器128を収納するように構成されている。表面凹部112は、容器128の型と相補的となるように形成されることが望ましい。そうすれば、容器128は、表面凹部112の内部にぴったりと収まる構成とすることができる。ここで
図2および
図5〜
図7を参照すると、容器128は、さらに詳しく説明される。容器128は、ブリスタ132の内部に揮発性材料を包含する。ブリスタ132は、熱成形された構造であることが望ましい。容器128は、底壁134ならびに側壁136を含み、側壁136から周辺フランジ138まで延在する。4つの側壁136は、同じ長さならびに同じ幅であることが望ましい。加えて、容器128は、正方形を有するものとして示されるが、長方形状、略楕円状、または正四角錐状の形を含み、それらに限定されず、任意の各形状を含むように設計することができる。気化物質透過薄膜140は、周辺フランジ138に接着されており、なおかつブリスタ132を覆うように延在する(
図7を参照)。透過性薄膜140は、底壁134ならびに側壁136と連結して、ブリスタ132における封止された貯蔵部の内部に、揮発性材料130を包含するはたらきをする。非透過性ラミネート142は、透過性薄膜140を介して、剥離できるように容器128に接着される。非透過性ラミネート142が装着されるあいだは、揮発性材料130が空気中に拡散することが妨げられる(または実質的に防止されている)。
【0020】
揮発性材料130は、まわりの空気中に拡散するための有効成分、たとえば芳香剤や空気清浄剤や消臭剤、あるいは昆虫忌避剤または殺虫剤といった各有効成分を含んでいてもよい。揮発性材料は、液体状、ゲル状、固体状、気体状、前記の各種類の組み合わせ、または当業者らに周知であるその他任意の種類であってもよい。透過性薄膜を通って撒布するに適した揮発性材料が任意の形態は、本明細書で説明される実施形態で適用され得ることが考えられると企図される。
【0021】
実例を挙げると、透過性薄膜140はおよそ0.05mmからおよそ0.15mmの厚みで、なおかつ密度がおよそ0.88から0.95グラム/立方センチメートルの範囲内である。透過性薄膜140は、非透過性ラミネート142と一体となって形成されることができ、なおかつ、熱で溶解することでフランジ138に融着し、それにより、透過性薄膜140がブリスタ132全体を覆うように延在する。透過性薄膜140は、低密度ポリエチレン(LDPE)と、第1のLDPE層の両側に接合された超低密度ポリエチレン(ULDPE)が一体となった第1および第2の層を含む5層共押出成形されたものである。第2の低密度ポリエチレン層も第2の低密度ポリエチレン/超低密度ポリエチレン層に接合され、なおかつポリプロピレン(PP)層は第2の低密度ポリエチレン層の向かい合う面に接合される。透過性薄膜140は、透き通っていてかつ半透明であり、揮発性材料130が透過性薄膜140を通して見えることが望ましい。
【0022】
透過性薄膜140の大きさは、透過性薄膜140を通る揮発性材料130の拡散速度において重要な要素である。透過性薄膜140における表層の面積が小さければ、放出される揮発性材料130がその分少なくなり、そのため、消費者に感知される芳香剤の強さを弱める結果になることもある。揮発性材料の拡散速度に影響をおよぼすと考えられるその他各種要素は、揮発性材における具体的な組成物と、透過性薄膜における厚みやその組成物、ならびに容器128の内部に包含される揮発性材料の量を含む。
【0023】
非透過性ラミネート142は、ポリプロピレン、アルミニウム箔、および/またはポリエステルを材料とする層を含むことができる。一実施形態では、非透過性ラミネートは、アルミニウム箔の層と、ポリプロピレン接着剤によってアルミニウム箔の片面に接着されるポリプロピレン(PP)の層と、アルミ箔のもう片面に接合されるポリエチレンテレフタレート(PET)の層とを含む。アルミニウム箔カバーとしてのポリプロピレン層は、アルミニウム箔カバーが気化物質−透過性薄膜のポリプロピレン層に封止されるとき、気化物質−透過性薄膜のポリプロピレン層と接触する状態にある。実例を挙げると、非透過性ラミネート142は、およそ0.1mmからおよそ0.2mmの厚みがある。ポリエステル層は、一般に印刷に適しており、非透過性ラミネート142の外側表面であってもよい。
【0024】
再度、
図2および
図5〜
図7を参照すると、容器128は第2の磁気素子144を含んでいてもよいとがわかる。本発明の実施形態では、第2の磁気素子144は、ブリスタ132の底壁134に取り付けられている。しかしながら、第2の磁気素子は、一つまたはそれ以上の透過性薄膜140に取り付けられることに代えて、透過性薄膜140に取り付けられるか、またはブリスタ132と透過性薄膜140の間であって容器128の内部で付着しないように設けることができる(
図7Aおよび
図7Bを参照)。本発明の実施形態では、第2の磁気素子144は、正方形の形に形成される。その他各実施形態では、第2の磁気素子144は、長方形状、略楕円状、または正四角錐状の各形を含み、それらに限定されない任意の形状で設計することができる。容器128は、フレーム102において、第1の磁気素子126によって引き付けられ、前面凹部の内部または隣接して配置される。このように、容器128は、磁気的にフレーム102によって保持される。
【0025】
本明細書で説明される磁気素子は通常、磁場をもたらす各種材料ないし物体、および/または磁場を引き寄せる各種材料ないし物体を指す。好ましい実施形態では、第1の磁気素子および第2の磁気素子は双方とも磁気を永続して帯びており、第1の磁気素子および第2の磁気素子の双方は、自らの磁場を無期限、または実質的に長期にわたって維持する。別の好ましい実施形態では、第1の磁気素子および第2の磁気素子のうち少なくとも一方は永久磁石であり、なおかつ第1の磁気素子および第2の磁気素子のもう一方は強磁性の材料を有し、そのような材料は、磁場によって磁気を帯びること、および/または 磁化された材料に引き付けられることができる。さらに別の好ましい実施形態では、第1および第2の磁気素子の少なくとも一方は、磁場を生成するか、または、電流が流れるとき、強磁性材料の特性を呈する磁性材料である電磁気を帯びた各種素子を利用した各実施形態に関連して、導線116は、第1の磁気素子126と電気的に接続されるように企図されている。また、磁気素子は、永久磁化材料、強磁性材料、および/または電磁材料の組み合わせから成っていてもよい。
【0026】
第2の磁気素子144を含まないフレーム102の表面凹部112内部、または近接したところに容器が置かれる場合は、容器が分注装置100によって保持されない。このように分注装置100は、その装置と互換性があるかもしれない容器の不注意な使用を妨げる。例えば、加熱素子125からの熱に耐えるのに適していない容器、または浴室内の殺虫剤のような装置がおかれる環境と相容れない揮発性材料を入れることができる容器である。事実、第2の磁気素子144をともなう多様な各種詰め替え品は、第1の磁気素子を有する各種分注装置と互換性のある場合のみ、確実に機能することが企図される。たとえば、一実施形態は、第2の磁気素子を有する容器を保持するのに十分な強度を有する磁界を発生する第1の磁気素子140を有するフレーム102を利用するが、それは第2の永久磁石素子を有する異なる容器を保持するのに十分である。しかしながら、前述した強磁性体および第2の永久磁石の双方は、第1の永久磁石素子によってフレーム102に保持されるように設けられていてもよい。本明細書で開示されるさまざまな分注装置に関して、不注意な容器使用方法を防止するために、磁場強度を変化させることで、異なる磁気素子がいかにして使用され得るのか、本開示を読む当業者が理解するよう企図される。
【0027】
分注装置100を使用していない状態では、揮発性材料130が容器128から非透過性ラミネート142を通って拡散することは、非透過性ラミネート142によって防がれる(または実質的に防止される)。使用状態では、非透過性ラミネート142はブリスタ132から取り外される。使用者は、非透過性ラミネート142の一方の端を把持しブリスタ132から引きはがすことで、非透過性ラミネート142を取り外す。つまみ、延出部、または把持する手段(図示せず)は、非透過性ラミネート142において、非透過性ラミネート142を取り外す手立てとなる延出部として含まれ得る。延出部(図示せず)は、非透過性ラミネート142の端部分に設けられることが望ましいが、非透過性ラミネート142の任意の一部分から延在させることができる。非透過性ラミネート142を取り外すと、容器128は、充満状態または第1の状態から空状態または第2の状態へと移行し、それにより、揮発性材料130が空気中に撒布されることが見込まれる。
【0028】
本発明の実施形態における分注装置100は、揮発性材料を空気中に能動的または受動的に分注することができる。受動状態では、使用者はブリスタ132から非透過性ラミネート142を取り外しするが、加熱装置を起動しない。これにより、分注装置は、揮発性材料130を、ブリスタ132から透過性薄膜140を通して、空気中に補助なしで受動的に放出することが見込まれる。分注装置100は、揮発性材料130の受動的な拡散を可能とするために、起動スイッチ、センサ、または他各種起動手段(図示せず)をオフ位置にした状態でコンセントと電気的に接続されていてもよい。その代わりに、分注装置100は、机またはテーブルといった支持面(図示せず)上に静置して、揮発性材料130を受動的に拡散させることができる。
【0029】
能動状態では、使用者は非透過性ラミネート142をブリスタ132から取り外し、差込プラグ118を壁にある従来型のプラグ差し込み口に差し込むことによって加熱素子125を起動させる。各代替実施形態では、分注装置100は、オン位置状態の起動スイッチあるいはセンサ、または壁のコンセントに差し込まれたときに発熱体125をアクティブな状態にする、起動スイッチ、センサ、または他の起動手段(図示せず)を含むことができる。能動状態になると、電気エネルギーは、壁にあるプラグ差し込み口から差込プラグ118を通して加熱素子125に与えられる。加熱素子125は、電気エネルギーを転換して熱エネルギーに変換する。熱エネルギーは、加熱素子125と容器128との間にあるフレーム102の壁を通って伝導され、その後、フレーム102の壁を伝導したあとはブリスタ132を通って揮発性材料130の中に伝導される。分注装置100の全体に作用する熱エネルギーの伝導は、透過性薄膜140を介して揮発性物質130の揮発を増加させ、そして空気中へ揮発性物質130を積極的に拡散させるように作用する。拡散速度の増加は、所定の領域内における揮発性材料130をさらに高濃度化し、および/または揮発性材料130をさらに広範囲に効果的に撒布する能力を向上させる。第1の磁気素子126および/または第2の磁気素子144を通る熱エネルギーの伝導は、揮発性材料130における揮発率をさらに上昇させるという驚くべき結果を生み出することが判明する。第1の磁気素子126および第2の磁気素子144は、加熱素子125によって容器128に与えられる熱エネルギーの伝搬を助けるヒートシンクの働きをする。
【0030】
前述した分注装置100に関するその他さまざまな各実施形態または各変形例も企図されており、それには、本明細書で先述したような任意の各種構造または各代替構造を含むことができる。
図9〜
図12は、分注装置100のフレーム102における各代替実施形態に関して、表面104における図を複数個示しており、そこでは、図示される第1の磁気素子(複数の磁気素子)が、フレームの内部、もしくはフレームの表面104または裏面106の上に配置されることが可能となっている。
図9は、単数の第1の磁気素子126の代わりに、多数の第1の磁気素子226を有するフレーム102を示す。図示された実施形態では、第1の磁気素子226は、平たい長方形状の一片となった磁性体として示される。しかしながら、第1の磁気素子226は、本明細書で先述したような任意の幾何学的な形、大きさ、または位置パターン、ならびに、以下に示す各実施形態で示されると考えられるような任意の幾何学的な形、大きさ、または位置パターンを含むことができる。
図10は、フレーム102における別の実施形態を示しており、そこでは、第1の磁気素子228が、マトリックス状に配置されている磁性体が小さな円形の部分として具現化して示されている。
図11は、フレーム102におけるさらに別の代替実施形態を図示しており、表面凹部112の大部分にわたって広がっている単一の第1の磁気素子230を有している。
図12は、フレーム102における別の代替実施形態を示しており、斜めに配置された短冊状の複数の第1の磁気素子232を有している。
【0031】
図13は、以下に挙げる各相違点を除いて分注装置100と同様の分注装置300における別の実施形態を示す。表面凹部112をともなったフレーム102に代わるものとして、凹部を含まないフレーム302が設けられる。むしろ、フレーム302の表面104は、実質的に平面の表壁304を備える。本明細書で先述した各実施形態と同様、第1の磁気素子126は、フレーム302の内部、またはフレームの表面104もしくは裏面106の上に置かれる。さらに、第1の磁気素子126は、フレーム302の幅の中心あたりに位置する円形の素子として示されるが、本発明の実施形態における第1の磁気素子126は、本明細書で先述したような任意の幾何学的な形、大きさ、または位置パターン、ならびに、以下に示す各実施形態で示されると考えられるような任意の幾何学的な形、大きさ、または位置パターンを含むことが考えられる。
【0032】
図14は、以下の各相違点を除いて分注装置100と同様の分注装置400におけるさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、第1の磁気素子126は設けられていない。その代わりに、加熱素子425は、電磁石として機能するという追加的な機能上の利点をともなって、加熱素子125と同様に熱を供給する。電流が供給されると、加熱素子425は、容器128の第2の磁気素子144と分注装置400との連結を補助する磁界を発生する。加熱素子425は、フレーム102の表面104を通って、表面凹部112内部の延在部として示される。しかしながら、加熱素子425は、本明細書で述べられたような任意の方式でフレーム102に取り付けられることができる。すなわち、一つまたは複数の加熱素子425、および導線116は、フレーム102の内部、または全体的ないし部分的にフレーム102の表面104もしくは裏面106の内側、もしくはフレーム102の表面104もしくは裏面106に設けることもできる。その他各実施形態では、複数の第1の磁気素子の一つとして機能する複数の加熱素子425があってもよい。加えて、加熱素子425は、電流がなくても磁場を生成することができ、または、その磁気特性のために電流に依存しない他の第1の磁気素子と組み合わせることができる。さらに、その他各実施形態では、
図13で示される分注装置300は、同様に変更されることができる。
【0033】
図15〜
図18は、以下の各相違点を除いて同様の揮発性材料包含容器128の代替実施形態を示す。
図19を参照すると、容器528は、単一の第2の磁気素子144とは対照的に、複数の第2の磁気素子544を含む。本発明の実施形態では、第2の磁気素子544は、長方形状の磁気片に形成される。
図16は、複数の磁性ビーズ546を示す。
図17は、磁気を帯びたいくつものスレッド548を示す。
図18は、磁気を帯びた複数の薄片550を示す。磁性体におけるその他各種の形状は、当業者に周知であるとおり、容器528の内部に、同様に配置されることができる。
【0034】
図15〜
図17を参照すると、
図19〜21に示された第2の磁気素子544、546、548が、おのおの、ブリスタ132の底壁134に取り付けられるものとして示される。あるいは、
図22〜
図24は、
図15〜
図17における第2の磁気素子544、546、548を示しており、各々、容器128の透過性薄膜140に取り付けられる。任意の第2の磁気素子544〜550は、代わりに一つまたは複数の側壁136、底壁134、または透過性薄膜140に取り付けることができること、あるいは、ブリスタ132と透過性薄膜140との間にある容器128の内部に、取り付けない形で設けられるとこと、もしくは、任意の第2の磁気素子544〜550における任意の組み合わせも企図される。たとえば、
図25で示される第2の磁気素子550は、できればブリスタ132の揮発性材料130の中に浮遊されることが望ましい。その他各実施形態では、第2の磁気素子544〜550は、任意の形または大きさで成り立つように設計することができる。第2の磁気素子544〜550は、前述した任意の各フレームの内部にある揮発性材料包含容器528を保持する目的にかなうため、有利である。そのうえ、各実施形態においては、第2の磁気素子544〜550が加熱素子125からの熱エネルギーの伝導を助け、ブリスタ132内の材料130が揮発するのを補助。
【0035】
図26は、分注装置600における代替実施形態を示す。分注装置600は、略正方形の形をしたカバープレート602を有する。カバープレート602は、カバープレート602を通って延在する開口部606を有する球面状に隆起した突起604を含む。隆起する周縁部のフランジ608は、カバープレート602の裏面側610の周縁に延在する。フレーム102は、フレーム102の周縁部の一部分とカバープレート602の隆起する周縁部のフランジ608との間にある嵌合によって、取り外しができるようにカバープレート602に取り付けられる。各代替実施形態では、カバープレート602ならびにフレーム102は、スナップフィット嵌合部、接着剤、ねじ類、または、当業者に周知のその他任意の仕方で取り付けられる。
【0036】
フレーム102に適合するカバープレート602の付属品は、カバープレート602とフレーム102の間にある仕切り部分を定める。具体的には、仕切り部分は、フレーム102の表面104とカバープレート602の裏面側610との間にある空間を備える。使用中、揮発性材料包含容器128は、仕切り部分に置かれる。カバープレート602は、カバープレート602とフレーム102の間に定められた仕切り部分が揮発性材料包含容器128を収容するように、フレーム102に取り付けられる。その他各実施形態では、仕切り部分またはカバープレート602もしくはフレーム102におけるその他各各一部分は、ファン(図示せず)またはその他各種の類似した空気循環用取り付け器具を収容することができる。
【0037】
ここで
図27を参照すると、分注装置700において、以下の各相違点を除いて分注装置100と同様の代替実施形態が示される。分注装置700には、開口部706の内部に配置されたセンサ704を伴うフレーム702が含まれる。本発明の実施形態におけるセンサ704および開口部706は、フレーム702における表面104の下側角部分の内部に配置されるが、センサ704ならびに開口部706は、表面104の任意の一部分に配置されてもよい。その他各実施形態では、センサ704および開口部706は、裏面106、側壁108の内部、またはフレーム702における表面凹部112または裏面凹部114の内部に設けられる。各種異なるセンサは、動き、光、および/または臭いの各種センサが含み、単独で、または組み合わせて用いることができる。その他当業者に知られているような他のセンサを含むこともできる。センサ704は、できれば検知された状態に応じて、加熱素子125を起動させるよう適合されることが望ましい。
【0038】
以上の記載に関して、当業者には本発明に対する多くの変更が明らかとなろう。したがって、この記載は、例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を行い、かつ利用することを可能とするとともに、発明実施の最良の形態を示すことを目的として提示される。添付の特許請求の範囲内において、あらゆる変更に対する独占的権利が留保される。