特許第6017445号(P6017445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60174451つ以上の弓形形状部を有する複合材料からなる部品用繊維構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017445
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】1つ以上の弓形形状部を有する複合材料からなる部品用繊維構造
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/02 20060101AFI20161020BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20161020BHJP
   F16M 1/00 20060101ALI20161020BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20161020BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   D03D11/02
   D03D1/00 A
   F16M1/00 C
   B64D27/10
   C08J5/04
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-543854(P2013-543854)
(86)(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公表番号】特表2014-506304(P2014-506304A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】FR2011052868
(87)【国際公開番号】WO2012080617
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年11月19日
(31)【優先権主張番号】1060408
(32)【優先日】2010年12月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,テイエリ
(72)【発明者】
【氏名】ダンブリン,ブルーノ・ジヤツク・ジエラール
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−097938(JP,A)
【文献】 特開平10−219545(JP,A)
【文献】 実開昭63−019584(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16
15/08−15/14
B64B1/00−1/70
B64C1/00−99/00
B64D1/00−47/08
B64F1/00−5/00
B64G1/00−99/00
C08J5/04−5/10
5/24
D03D1/00−27/18
D06M13/00−15/715
F16M1/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料部品であって、
部品は、弓形状の少なくとも1つの要素を有し、前記強化材は、複合材料部品(10)用の強化繊維構造(100)によって構成されており、前記構造は、前記構造の2つの面間に隣接して配置された横糸(102)の複数の層と縦糸(101)の複数の層との間の多層織りによって単体として織られており、
複合材料部品は、繊維構造(100)が、前記繊維構造(100)の2つの面のうちの少なくとも1つの面に延在する少なくとも1つの弓状部(120)を有し、弓状部(120)は、構造(100)の2つの面のうちの1つの上に存在する少なくとも2つの隣接する縦糸層と連続する少なくともいくつかの縦糸(101)を含み、前記弓状部(120)の縦糸は、前記 構造(100)の少なくとも2つの基礎となる縦糸層の縦糸より長く、前記弓状部の前記縦糸は、繊維構造(100)の他の縦糸に結ばれていないことを特徴とする、複合材料部品。
【請求項2】
繊維構造が、横糸方向に隣接して配置された複数の弓状部を有することを特徴とする、請求項1に記載の部品。
【請求項3】
繊維構造が、縦糸方向に互いにオフセットされた複数の弓状部を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の部品。
【請求項4】
繊維構造が、前記繊維構造の2つの面上に配置された複数の弓状部を有することを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項5】
繊維構造が、縦糸方向に決定された長さにわたって延在し、横糸方向に決定された幅を示すストリップ(110)の形態であり、各弓状部(120)は、前記構造の長さ未満である縦糸方向の長さにわたって延在し、前記構造の幅未満である横糸方向の幅を示すことを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項6】
各弓状部(120)が、前記弓状部(120)の下に位置する前記繊維構造(110b)の一部のスレッドカウントと実質的に同一の縦糸方向のスレッドカウントを示すことを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項7】
各弓状部(120)が、前記弓状部(120)の下に位置する前記繊維構造(110b)の一部のスレッドカウント未満の縦糸方向のスレッドカウントを示すことを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項8】
各弓状部が、前記弓状部の下に位置する前記繊維構造の一部の横糸の重量より大きい重量の横糸を有することを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項9】
少なくとも1つの懸垂ヨーク(12)を有する航空エンジンケーシング(10)を構成することを特徴とする、請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の部品。
【請求項10】
請求項9に記載のエンジンケーシングを有するターボプロップ。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つのターボプロップを有する航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料部品を作製すること、より詳細には、そのような部品用の繊維強化構造を作製することに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の応用分野は、より詳細には、構造複合材料から部品、つまり、マトリックスで緻密化された繊維強化構造を有する部品を作製する分野である。複合材料は、もしそれらが金属からなるなら、同一部品が有する重量より軽い全体重量の部品を作製することを可能にする。
【0003】
複合材料から作製された標準形状の部品は、一般的に、良好な構造特性および高強度を示し、特に、部品の繊維強化材は、通常単体として作製され、したがって、部品のいずれかの一部に作用する機械的な力が良好に分配されることを可能にするからである。
【0004】
対照的に、形状がより複雑な複合材料部品、特に、全体として部品を支持するための1つ以上の要素を有する部品を作製する場合には、部品全体にわたって高い機械的強度を有することは一般的に可能ではない。
【0005】
一例として、飛行機の翼にエンジンを取り付けるための1つ以上の懸垂ヨークを有する航空エンジンケーシングを作製するために複合材料を使用する場合には、懸垂ヨークにおける繊維強化材は、ケーシングシュラウドの繊維強化材とは独立して製造され、続いて、それに、例えば、縫製または接着剤によって加えられる。エンジン支持ヨークに作用する非常に大きな機械的応力(数千トン)のために、そのようなケーシング設計は、十分な機械的強度をもたらすことができない。したがって、その種の部品は、現在、金属から常に作製されており、したがって、比較的高い全体重量を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要な機械的性質をさらに有しながら、低減された全体重量を示す複雑な形状の部品を有することができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、マトリックスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料部品を提供し、部品は、弓形状の少なくとも1つの要素を有し、前記強化材は、複合材料部品用の強化繊維構造によって構成されており、前記構造は、前記構造の2つの面間に隣接して配置された横糸の複数の層と縦糸の複数の層との間の多層織りによって単体として織られており、複合材料部品は、繊維構造が、前記繊維構造の面のうちの1つに延在する少なくとも1つの弓状部を有し、弓状部は、構造の面のうちの1つの上に存在する少なくとも2つの隣接する縦糸層と連続する少なくともいくつかの縦糸を含み、前記弓状部の縦糸は、前記構造の少なくとも2つの基礎となる縦糸層の縦糸より長く、前記弓状部の前記縦糸は、繊維構造の他の縦糸に結ばれていないことを特徴とする。
【0008】
したがって、弓状部から形成された懸垂または取り付け要素を含む複合材料部品を形成することが可能である。弓状部は、繊維構造の残りと連続する縦糸から織られているので、部品の懸垂または取り付け要素に作用する力は、部品の全体構造によって吸収することができる。
【0009】
本発明の様々な実施形態では、繊維構造は、横糸方向に隣接して配置された複数の弓状部、および/または縦糸方向に互いにオフセットされた複数の弓状部を有し、これは、前記繊維構造の一方または両方の面に適用する。
【0010】
本発明の特徴によれば、繊維構造は、縦糸方向に決定された長さにわたって延在し、横糸方向に決定された幅を有するストリップの形態であり、各弓状部は、繊維構造の長さ未満である縦糸方向の長さにわたって延在し、前記構造の幅未満である横糸方向の幅を有する。異なる実施形態では、弓状部は、繊維構造のストリップの幅に等しい横糸方向の幅を有してもよい。
【0011】
本発明の態様では、各弓状部は、弓状部の下に位置する繊維構造の一部のスレッドカウントと実質的に同一の縦糸方向のスレッドカウントを有する。
【0012】
本発明の他の態様では、各弓状部は、弓状部の下に位置する前記繊維構造の一部のスレッドカウント未満である縦糸方向のスレッドカウントを有する。
【0013】
本発明のさらに他の態様では、各弓状部は、弓状部の下に位置する繊維構造の一部の横糸の重量より大きい重量の横糸を含んでいてもよい。
【0014】
本発明の複合材料部品は、特に、少なくとも1つの懸垂ヨークを有する航空エンジンケーシングを構成していてもよい。
【0015】
本発明は、また、本発明のエンジンケーシングが取り付けられたターボプロップを提供する。
【0016】
本発明は、また、本発明の少なくとも1つのターボプロップが取り付けられた航空機を提供する。
【0017】
本発明の他の特性および利点が、限定しない実施例として付与された特有の実施形態の次の説明から、および添付図面を参照して明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による航空エンジンケーシングの斜視図である。
図2図1の航空エンジンケーシングを製造するための繊維構造の概略斜視図である。
図3A】弓状部を含まない図1の繊維ブランクの一部における横糸の配置例を示す、横糸拡大断面図である。
図3B】弓状部を含まない図1の繊維ブランクの一部における横糸の配置例を示す、横糸拡大断面図である。
図3C】弓状部を含まない図1の繊維ブランクの一部における横糸の配置例示す、横糸拡大断面図である。
図3D】弓状部を含まない図1の繊維ブランクの一部における横糸の配置例を示す、横糸拡大断面図である。
図3E】弓状部を含む図1のブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図3F】弓状部を含む図1のブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図3G】弓状部を含む図1のブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図3H】弓状部を含む図1のブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図3I】弓状部を含む図1の繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、縦糸拡大断面図である。
図3J】弓状部を含む図1の繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、縦糸拡大断面図である。
図3K】弓状部を含む図1の繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、縦糸拡大断面図である。
図3L】弓状部を含む図1の繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、縦糸拡大断面図である。
図4】緻密化に向けての図2の繊維構造の成形を示す。
図5A】弓状部を含まない繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5B】弓状部を含まない繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5C】弓状部を含まない繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5D】弓状部を含まない繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5E】弓状部を含む繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5F】弓状部を含む繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5G】弓状部を含む繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図5H】弓状部を含む繊維ブランクの一部における複数の連続織り面を示す、横糸拡大断面図である。
図6】本発明の航空エンジンケーシングの他の実施形態の斜視図である。
図7】本発明のヒンジを備えたドアの実施形態の斜視図である。
図8】本発明の内部隔壁を備えたシュラウド部の実施形態の斜視図である。
図9】本発明の内部隔壁および外部隔壁を備えたシュラウド部の実施形態の斜視図である。
図10】本発明の航空エンジンケーシングの他の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、繊維構造を、弓形状の少なくとも1つの要素を含む複合材料部品を製造するための繊維強化材またはプリフォームを構成用に適したものとすることに概して適用する。
【0020】
本発明によれば、弓形状の要素を形成する繊維構造の一部は、繊維構造の残りと一体的に作製されている。より正確には、および詳細に以下に説明されるように、弓形状の要素を形成する一部は、構造の残りと連続する縦糸から織られている。したがって、弓形状の要素に及ぼされる力は、複合材料部品用の強化剤を構成する繊維構造によって、全体として吸収することができる。図1は、エンジンが、飛行機の翼のパイロン(図1に示されていない)に取り付けられることを可能にするための懸垂ヨーク12を有するシュラウド11を形成する複合材料からなる航空エンジンのケーシング10を示す。
【0021】
図2は、ケーシング10の繊維プリフォームを形成するための繊維ブランク100の非常に概略的な図である。
【0022】
図2に概略的に示されるように、繊維ブランク100は、縦糸101の束または複数の層を構成するストランドを有するジャカード型の織機による公知の方法で行われる多層織りによって得られ、縦糸は、横糸102によって結ばれている。
【0023】
示された例において、多層織りは、「インターロック」織りを備えた織りである。用語「インターロック」は、横糸の各層が縦糸の複数の層を結ぶ織りを表すために本明細書で使用されており、所定の横糸列のすべての糸が織り面で同じ動きを有する。
【0024】
特に、文献の国際公開第2006/136755号に記載されたものなどの他の公知のタイプの多層織りが使用されることができ、その内容は引用することによって本明細書に含めるものとする。
【0025】
特有であるが、非排他的な方法で、本発明の繊維ブランクは、炭素、炭化ケイ素繊維などのセラミック、または実際にチタンなどの金属からなる繊維糸を使用することによって織られてもよい。
【0026】
図2に示されるように、繊維ブランク100は、方向Xに縦に延在するストリップ110の形態であり、ストリップは、一旦ブランクが成形され、ケーシング10のシュラウド11を形成するようにされ、繊維ブランク上に存在する懸垂ヨーク12を形成する弓状部120がある。
【0027】
弓状部120を含む一部100bの一方の側に位置する繊維ブランク100の一部100aおよび100cでは、縦糸の層はすべて、同じ長さの縦糸を含み、横糸は、縦糸の層がすべて結ばれているブランクの一部100aおよび100cにおいて構造を得るように、少なくとも縦糸の隣接した層と縦糸の各層を結ぶために使用される。
【0028】
一部100bでは、ストリップ110は、縦糸層の第1のグループ101aと縦糸層の第2のグループ101bとの間に形成された、結ばれていないゾーン111によって2つのサブストリップ110aおよび110bに分けられる。サブストリップ110aは、繊維ブランク100の1つの面、この例における上面上に存在する縦糸の第1の層から得られた少なくとも2つの隣接するまたは連続する縦糸層から構成されており、一方、サブストリップ110bは、サブストリップ110aの層の基礎となる縦糸層から構成されている。本発明によれば、サブストリップ110aの縦糸は、サブストリップ110bの基礎となる縦糸層の糸より長い。この長さの差は、サブストリップ110bの縦糸層の縦糸に適用される引き速度より速いサブストリップ110aの縦糸層の縦糸に引き速度を適用することによって得られてもよい。異なる実施では、サブストリップ110aの縦糸層の縦糸の長さは、サブストリップ110aの縦糸層の縦糸を引っ張ることによって、サブストリップ110bの縦糸の長さに対して大きくされてもよい。
【0029】
図3A図3Dは、ブランク100の一部100aまたは100cにおけるインターロック織りで多層織りを行う1つの手段を示す図であり、それらの図は、連続縦糸断面のそれぞれの拡大部分図である。この例において、ブランク100は、方向Xに延在する縦糸101の6つの層を含む。図3A図3Dでは、縦糸の6つの層C1〜C6は、横糸T1〜T5によって結ばれている。単純化の目的のために、縦糸の6つの層および横糸の5つの層のみが示され、当然、得られる繊維構造の幅および厚さの寸法に沿って延在し、その構造は、実際、いくつかの縦糸層および横糸層で、およびはるかに大きい層当たりいくつかの数の糸で作製されてもよい。
【0030】
図3E図3Hは、弓状部120およびサブストリップ110bの両方を有するサブストリップ110aを含むブランク100の一部100bについての織りの連続縦糸断面におけるそれぞれの拡大部分図である。一部100bでは、ブランク100が、結ばれていないゾーン111を形成するサブストリップ110aおよび110b間の結ばれてない部分103を有するように、横糸T3は縦糸層C3およびC4を結ばない。図3E図3Hは、弓状部120の立ち上がり部に位置する連続織り面に相当する。
【0031】
図3Eにおいて、層C”1、C”2、C”3は、弓状部120を形成する際に用いられる3つの縦糸層C1、C2およびC3において縦糸のそれぞれの割合に一致し、横糸T1およびT2によって互いに結ばれており、一方、層C’1、C’2およびC’3は、3つの縦糸層C1、C2およびC3の残りの縦糸に相当し、織られていない。3つの基礎となる縦糸層C4、C5およびC6は、横糸T3、T4およびT5によって結ばれている。
【0032】
図3F図3Gおよび図3Hは、それぞれ、図3Eの織り面に続いて作製された3つの連続織り面を示す。図3E図3Hの織り面は、弓状部120の全長にわたって繰り返されている。
【0033】
図3I図3Lは、一部100bを含むブランク100の織りの連続横糸断面のそれぞれの拡大部分図である。一部100bでは、2つの横糸層C”T1およびC”T2の横糸は、サブストリップ110aに属し、縦糸層C”1、C”2およびC”3の縦糸ch1、ch2およびch3で織られており(図3E図3H)、一方、サブストリップ110bの一部を形成する基礎となる横糸層CT3、CT4およびCT5の他の横糸は、縦糸層C4、C5およびC6の縦糸ch4、ch5およびch6で織られている(図3E図3H)。
【0034】
図3I図3Lに示されるように、一部100bにおいて、層C”T1およびC”T2にそれぞれ存在する横糸T1およびT2の数は、層CT3、CT4およびCT5にそれぞれ存在する横糸T3、T4およびT5の数より大きい。これは、サブストリップ110bに対して、およびブランク100の残りに対してサブストリップ110aにおいて一定のスレッドカウントを維持する役目をし、つまり、縦糸方向の単位長さあたりの横糸の数は、2つのサブストリップ110aと110bとの間で一定であり、これは、サブストリップ110aで縦糸のより大きな長さにもかかわらず適用する。同じ数の横糸が、サブ ストリップ110aおよび110bに挿入されるなら、そのとき、サブストリップ110aにおいて縦糸方向の2つの隣接した横糸の間のピッチは、サブストリップ110bに挿入された 横糸より重い横糸を挿入することによって低減されてもよい。
【0035】
サブストリップ110aのスレッドカウントは、また、サブストリップ110bより小さく(または緩く)てもよく、つまり、縦糸方向の単位長さあたりの横糸の数は、サブストリップ110bよりサブストリップ110aにおいてより少ない。
【0036】
織りの最後に、不織の縦糸、つまり、この例において、層C’1、C’2およびC’3の縦糸(図3E図3H)、および不織の横糸、つまり、層C”1、C”2およびC”3の外側に位置する横糸T1およびT2の一部は、図2に示されるように、ブランク100を引き抜くために切り離され、それは、任意の成形前に多層織りから生じるブランクを示す。異なる実施形態では、弓状部は、また、その厚みを低減および/または横糸方向にその幅プロフィールを変更するために、例えば、水ジェットを使用して切断されてもよい。
【0037】
一部100bにおいてサブストリップ110aの縦糸の余分な長さ、およびサブストリップ110aおよび110bの間の織りの間に編成される結ばれていないゾーン111は、ともに弓状部120を形成することを可能にする。
【0038】
本発明の繊維構造の弓状部は、結ばれている複数の縦糸層から構成されている。基礎となるストリップの残りに対して、この一部は、つまり、構造がマトリックスで緻密化された後に、最終部品で保存される空洞を定義する。
【0039】
その後、繊維ブランクは、図1のケーシング10を形成するために緻密化される。この目的のために、図4に示されるように、繊維ブランク100は、マンドレル150のまわりに成形され、一例として、ブランク100の2つの自由端は、前記緻密化に先立ってともに縫われてもよく、または、それらは、端部が緻密化中にともに接合された状態で単に重ね合わされてもよい。これは、緻密化される準備ができた繊維プリフォーム130を生成する。弓状部120の内部形状に相当する挿入部160も、弓状部を緻密化中に形状を維持し、マトリックスが弓状部120とブランクの底のストリップとの間に存在する体積で形成されることを防ぐように設置されている。異なる実施形態では、繊維ブランクは、ケーシングの周囲の数倍に相当する長さを有し、弓状部は、最後のターンの間、または逆に初期のターンの間に、マンドレルに設置されたブランクの一部上に位置していてもよく、開口は、弓状部が次のターンを通り抜けることを可能にし、そのときブランクに設けられる。
【0040】
繊維プリフォームの緻密化は、マトリックスを構成する材料を使用することによって、プリフォームの気孔の体積の全部または一部を充填することにある。
【0041】
簡素化された構造を構成する複合材料のマトリックスは、液体技術を使用して公知の方法で得られてもよい。
【0042】
液体技術は、マトリックスの材料用の有機前駆体を含む液体組成物をプリフォームに含浸することにある。有機前駆体は、通常、樹脂などのポリマーの形態であり、溶媒に希釈されることもある。プリフォームは、漏れ止め法で閉じられていてもよく、成形された完成部品の形状を備えたキャビティを有する型に設置される。この例において、プリフォームは、作製されるケーシングの外部形状および内部形状(マンドレル150などの)をそれぞれ有する型と対向型との間に設置される。その後、型は閉じられ、液体マトリックス前駆体(例えば、樹脂)が、型キャビティ全体に注入されて、プリフォームの繊維部のすべてを含浸する。
【0043】
前駆体は、有機マトリックスに変化され、つまり、それは、熱処理を適用することによって、一般的に、任意の溶媒を除去した後、およびポリマーを硬化した後に、型を加熱することによって重合され、プリフォームは、型の内部に保持され続け、したがって、作製される部品の形状を有する。有機マトリックスは、特にエポキシ樹脂、例えば、市販の高機能エポキシ樹脂または炭素またはセラミックのマトリックス用の液体前駆体などから得られてもよい。
【0044】
炭素またはセラミックのマトリックスを形成する場合、熱処理は、使用される前駆体および熱分解条件に依存して、有機マトリックスを炭素またはセラミックマトリックスに変化するために、有機前駆体を熱分解することにある。一例として、炭素の液体前駆体は、フェノール樹脂などの高いコークス含有量を有する樹脂であってもよく、一方、セラミック、特にSiCの液体前駆体は、ポリカルボシラン(PCS)またはポリティタノカルボシラン(PTCS)、またはポリシラザン(PSZ)タイプの樹脂であってもよい。含浸から熱処理までのいくつかの連続サイクルが、所望の程度の緻密化に達するために行われてもよい。
【0045】
本発明の態様では、繊維プリフォームは、公知の樹脂トランスファー成形(RTM)法によって緻密化されてもよい。RTM法では、マンドレル150および挿入部160(図4)と共に繊維プリフォーム130は、作製されるケーシングの外部形状を有する型内に設置される。熱硬化性樹脂は、剛性材料部品と型との間で定められた内部スペースに注入され、それは、繊維プリフォームを含む。圧力勾配は、樹脂とのプリフォームの含浸を制御し最適化するために、樹脂が注入される位置と樹脂放出口との間のこの内部スペース内に一般的に確立される。
【0046】
一例として、使用される樹脂はエポキシ樹脂であってもよい。RTM法に適切な樹脂は公知である。それらは、繊維中でそれらを注入することをより簡単にするために低粘度を好ましくは有する。温度等級および/または樹脂の化学的性質は、部品が受ける熱機械応力に応じて決定される。一旦樹脂が強化材の全体にわたって注入されると、それは、RTM法に従って熱処理によって重合される。
【0047】
注入および重合後に、部品は型から外される。部品は、過剰樹脂を取り除くために最終的に削られ、図1のケーシング10を機械加工するために、面取り部が機械加工される。
【0048】
図5A図5Hは、図1のケーシング10に類似する航空エンジンケーシングを形成するために、ブランク200の多層織りのためのインターロック織りの変形を示す連続縦糸断面における拡大概略部分図であり、つまり、弓形の懸垂ヨークが組み込まれたシュラウドを示す。この織りは、弓状部220を形成するために縦糸の2つの層のみが使用される点で、図3A図3Hのものとは異なる。この例では、ブランク200は、図5A図5DでT10〜T40と参照される横糸201によって結ばれている縦糸201の5つの層C10〜C50を有し、ブランクは、ストリップ210を形成する。図5E図5Hでは、繊維ブランクの弓状部220が形成される繊維ブランクの一部に相当し、横糸220は、ブランク200が2つのサブストリップ210aおよび210bを分離する結ばれていない部分203を有するように縦糸層C20およびC30を結ばない。ブランク200の弓状部220に相当するサブストリップ210aは、サブストリップ210Bの縦糸より長い縦糸を有する。図5E図5Hでは、層C”10および層C”20は、弓状部220を形成する2つの縦糸層C10およびC20の縦糸のそれぞれの割合に相当し、横糸層T10およびT20によって結ばれており、一方、層C’10およびC’20は、2つの縦糸層C10およびC20の残りの縦糸に相当し、織られない。3つの基礎となる縦糸C30、C40およびC50は、横糸T30およびT40によって結ばれている。図5E図5Hの織りのパターンは、弓状部220の全長にわたって繰り返される。サブストリップ210aに挿入された横糸の数は、サブストリップ210aの縦糸がより長いにもかかわらず、これらの2つのサブストリップ間で縦糸方向に一定のスレッドカウントを維持するために、サブストリップ210bに挿入された横糸の数より大きくてもよい。縦糸方向のスレッドカウントが、サブストリップ210bの縦糸方向にスレッドカウントに対してサブストリップ210aにより小さい(または緩い)ことも可能であり、同じ数の横糸が、サブストリップ210aおよび210bの両方に挿入される。同じ数の横糸がサブストリップ210aおよび210bの両方に挿入される場合には、そのとき、サブストリップ210aの縦糸方向での2つの隣接した横糸の間のピッチは、サブストリップ210bに挿入された横糸の重量より重い横糸を挿入することにより低減されてもよい。
【0049】
本発明は、弓形状の単一の要素を有する回転体の形態で部品を形成することに限定されない。限定しない例として、図6図10は、本発明によって作製されてもよい他のタイプの部品を示す。図6は、3つの隣接した懸垂ヨーク22、23および24がシュラウドの幅方向に形成されたシュラウド21を有する航空エンジンケーシング20を示す。図10は、シュラウド61を有する航空エンジンケーシング60を示し、その上に形成された3つの懸垂ヨーク62、63および64は、シュラウドの周囲に配置されている。そのような状況下で、本発明の繊維構造を作製する場合、3つの弓状部は、一部120および220を作製するための上記された方法と同様にして形成され、これらの3つの弓状部は、繊維ブランクの横糸方向に隣接する縦糸を使用することによって作製され、これらの3つ(there)の弓状部の縦糸の長さは、当然、基礎となる縦糸層の縦糸の長さ、および2つの弓状部間、または横糸方向のそれらの外側に位置する縦糸より長い。
【0050】
図7は、2つのヒンジ32および33が取り付けられたパネル31を含むドア30を示す。この例において、本発明の繊維構造を作製する場合、2つの弓状部は、弓状部120および220を作製するための上記方法と同様にして形成され、これらの2つの弓状部は、繊維ブランクの横糸方向に隣接する縦糸を使用することによって作製され、これらの2つの弓状部の各々に使用される縦糸は、横糸方向におけるブランクのそれぞれのエッジ近傍に位置する。これらの2つの弓状部の縦糸の長さは、当然、基礎となる縦糸層の縦糸より、および2つの弓状部間で、または横糸方向に弓状部の外部に位置する縦糸より長い。
【0051】
図8は、ワイヤーをガイドするため、または管として使用されてもよい内側隔壁41を含むシュラウド部40を示す。この部品は、繊維ブランクの横糸方向のその全幅にわたって弓状部を有する繊維構造を作製することによって得られ、この弓状部は、弓状部120および220を作製するための上記の方法と同様にして形成され、繊維ブランクは、単に、ブランク100および200に対して逆にされた曲率で保持されながら緻密化される。
【0052】
図9は、シュラウド部の外側面50a上に配置された外側隔壁51と、シュラウド部50の内側面50b上に配置された内側隔壁52と、を有するシュラウド部50を示す。この例において、シュラウド部50の繊維強化材が作製される繊維構造は、繊維構造の面の1つ上に延在する第1の弓状部と、繊維構造の他面上に延在する第2の弓状部と、を有する。第1および第2の弓状部は、それぞれ、繊維構造の面の各々上に存在する少なくとも2つの隣接した縦糸層の縦糸で形成される。これらの第1および第2の弓状部は、弓状部120および220を作製するための上記方法と同様にして、つまり、構造の残りと連続するが、構造の少なくとも2つの基礎となる縦糸層の縦糸より長い縦糸で作製され、各弓状部の縦糸は、繊維構造の他の縦糸に結ばれていない。
【0053】
本発明によれば、懸垂ヨーク22〜24の、ヒンジ32および33の、内側隔壁41の、および内側および外側隔壁51および52の繊維強化材は、すべて、構造の残りの繊維強化材、つまり、シュラウド21の、パネル31の、シュラウド部40の、およびシュラウド部50のそれぞれの繊維強化材と連続する縦糸を使用して形成される。
【0054】
本発明の繊維構造で作製された複合材料部品の形状および寸法は変更されてもよく、特に、シュラウド形状またはパネル形状の部品に限定される必要はないが、1つ以上の弓状部が作製される任意の他の形状の部品に適用してもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7
図8
図9
図10