特許第6017460号(P6017460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017460
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】人工心臓弁送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】24
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2013-555635(P2013-555635)
(86)(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公表番号】特表2014-513585(P2014-513585A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】US2012026784
(87)【国際公開番号】WO2012116368
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】61/446,972
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/405,119
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・ペッシェ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ポップ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アロン
(72)【発明者】
【氏名】モー・ジャアファリー
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・デルガド
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0049313(US,A1)
【文献】 特開2003−334254(JP,A)
【文献】 特表2010−526609(JP,A)
【文献】 特表2011−526802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁を埋め込むための送達装置であって、
ハンドル部分と、
前記ハンドル部分に接続される近位端部分、および、患者の血管内に挿入されるように構成される遠位端部分を有する細長い第1のシャフトと、
前記第1のシャフトを貫通して延在すると共に、前記ハンドル部分に接続される近位端部分、および、患者の血管内に挿入されるように構成される遠位端部分を有する細長い第2のシャフトであって、前記第2のシャフトが、前記第1のシャフトに対して回転可能であるが、前記第1のシャフトに対する軸方向への動きが固定され、前記第2のシャフトの前記遠位端部分が雄ネジまたは溝を備える外面を有する、第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの前記雄ネジまたは溝上に配設され、かつ、前記第2のシャフトの前記遠位端部分と一緒に回転しないシース保持リングと、
圧縮された送達状態の前記人工弁を受容して保持するように構成された送達用のシースであって、前記シース保持リングに接続されるシースと
を備え、
前記第2のシャフトは、前記第2のシャフトの回転によって前記シース保持リングが前記雄ネジまたは溝にそって軸方向に移動し、それにより、前記シースが前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトに対して軸方向に移動し、前記シース内に収納されている前記人工弁を配備するように前記第1のシャフトに対して回転可能に構成される、送達装置。
【請求項2】
前記第2のシャフトの前記遠位端部分は、雄ネジを有するネジ部を備え、前記シース保持リングは、前記ネジ部の前記雄ネジと係合する雌ネジを有するナットを備える、請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記第2のシャフトの前記遠位端部分は、外部溝を有するコイルを備え、前記シース保持リングは、前記コイル表面の前記溝と係合するワッシャを備える、請求項1に記載の送達装置。
【請求項4】
前記第2のシャフトを貫通して延在すると共に近位端部分および遠位端部分を有する細長い第3のシャフトと、
前記第3のシャフトの前記遠位端部分および前記第1のシャフトの前記遠位端部分にそれぞれ第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを備える弁保持機構であって、前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントが、前記人工弁のステントとの解放可能な接続部を形成すると共に、前記第2のシャフトが回転して前記シースが軸方向に移動することで前記人工弁を配備するときに前記シース、前記第1のシャフト、および前記第3のシャフトに対して前記人工弁が回転しないように協働する、弁保持機構と、
をさらに備える、請求項1に記載の送達装置。
【請求項5】
前記弁保持機構の前記第1のコンポーネントは、複数の内側突起部を備え、
前記弁保持機構の前記第2のコンポーネントは、前記ステントの各保持アームとの解放可能な接続部を形成するように前記内側突起部と協働する複数の外側突起部を備える、請求項4に記載の送達装置。
【請求項6】
前記外側突起部は、前記シース保持リングの外面にそって延在して前記シース保持リングに係合し、前記シース保持リングが前記第2のシャフトの回転時に前記外側突起部に対して軸方向に移動させられるように、前記第2のシャフトの回転時に前記保持リングの回転を阻止する、請求項5に記載の送達装置。
【請求項7】
前記第1のシャフトの前記遠位端部分は、溝付き金属チューブを備え、前記外側突起部は、前記溝付き金属チューブの遠位端から延在する、請求項5に記載の送達装置。
【請求項8】
前記第2のシャフトの前記遠位端部分は、前記第1のシャフトの内面に係合して前記第1のシャフトに対する前記第2のシャフトの軸方向の動きを阻止する輪状突出部を備える、請求項1に記載の送達装置。
【請求項9】
前記第3のシャフトの前記遠位端部分に固定されていると共に、前記シースが前記人工弁を覆う送達位置にあるときに前記シースの遠位端に当接するように構成されたノーズコーンをさらに備える、請求項4に記載の送達装置。
【請求項10】
前記ノーズコーンは、前記ノーズコーンが導入器シースを通って進むときに前記ノーズコーンの半径方向の圧縮を促進させるために前記ノーズコーンの外面の周りに間をあけて並ぶ複数の縦溝を備える、請求項9に記載の送達装置。
【請求項11】
前記シースは、複数のフラップを備える遠位端部分を備え、前記複数のフラップは、半径方向内向きに付勢されていると共に、前記人工弁を前記シースの前記遠位端部分から前記人工弁を配備させたときに半径方向外向きに膨張することができる、請求項1に記載の送達装置。
【請求項12】
前記第2のシャフトのセクションは、相互接続された複数の輪状リンクを備える、請求項1に記載の送達装置。
【請求項13】
相互接続された輪状リンクの前記セクションは、前記雄ネジまたは溝に隣接する前記第2のシャフトの前記遠位部分内にある、請求項12に記載の送達装置。
【請求項14】
記ハンドル部分はモーターを収納し、前記モーターは、前記モーターが使用者によって作動されたときに前記第1のシャフトに対して前記第2のシャフトを回転させるように構成されている、請求項1に記載の送達装置。
【請求項15】
前記ハンドル部分は、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトを前記ハンドル部分に解放可能に固定するように構成されたラッチ機構を備える、請求項14に記載の送達装置。
【請求項16】
人工弁を埋め込むための送達装置であって、
近位端部分および遠位端部分を有する細長い第1のシャフトと、
前記第1のシャフトを貫通して延在すると共に近位端部分および遠位端部分を有する細長い第2のシャフトであって、前記第1のシャフトに対して回転可能であるが、前記第1のシャフトに対する軸方向への動きが固定された第2のシャフトと、
前記第2のシャフトを貫通して延在すると共に近位端部分および遠位端部分を有する細長い第3のシャフトと、
圧縮された送達状態の人工弁を受容し、保持するように構成された送達用のシースであって、前記第2のシャフトに結合されるシースと、
前記第3のシャフトの前記遠位端部分および前記第1のシャフトの前記遠位端部分にそれぞれ第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを備える弁保持機構であって、前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントが、前記人工弁のステントとの解放可能な接続を形成するように協働する、弁保持機構と
を備え、
前記第2のシャフトは、前記第2のシャフトの回転によって前記シースが前記第1のシャフト、前記第2のシャフト、および前記第3のシャフトに対して軸方向に移動し、前記シース内に収納されている人工弁を配備するように前記第1のシャフトに対して回転可能に構成され、
前記弁保持機構は、前記第2のシャフトが回転して前記シースを軸方向に移動させて前記人工弁を配備するときに前記第1のシャフトおよび前記第3のシャフトに対する前記人工弁の軸方向への動きおよび回転の動きを阻止すし、
前記第2のシャフトの前記遠位端部分がネジ部を備え、ねじ切りしたナットが前記ネジ部内に配設され、前記ネジ部は、前記第2のシャフトの回転により前記ナットが前記ネジ部にそって軸方向に移動し、それにより前記シースが移動するように、前記シースに結合され、
前記弁保持機構の前記第2のコンポーネントは、前記第2のシャフトが前記第1のシャフトに対して回転したときの前記ネジ部に対する前記ナットの回転を阻止する複数の軸方向に延在する突起部を備える、送達装置。
【請求項17】
前記弁保持機構の前記第1のコンポーネントは、複数の内側突起部を備え、
前記弁保持機構の前記第2のコンポーネントは、前記ステントの各保持アームと解放可能な接続部を形成するように前記内側突起部と協働する複数の外側突起部を備える、請求項16に記載の送達装置。
【請求項18】
前記外側突起部のそれぞれは、近位端、遠位端、および前記第3のシャフトの方へ内向きに曲げられる前記近位端と前記遠位端との中間の部分を有する、請求項17に記載の送達装置。
【請求項19】
前記外側突起部のそれぞれは、近位端、遠位端、および前記第3のシャフトから外向きに離れる方向に曲げられる前記近位端と前記遠位端との中間の部分を有する、請求項17に記載の送達装置。
【請求項20】
ハンドル部分をさらに備え、前記ハンドル部分は、前記第2のシャフトの前記近位端部分を前記ハンドル部分に解放可能に固定するラッチ機構を備える、請求項16に記載の送達装置。
【請求項21】
前記第2のシャフトに動作可能に接続されたハンドル部分をさらに備え、前記ハンドル部分はモーターを収納し、前記モーターは、前記モーターが使用者によって作動されたときに前記第1のシャフトに対して前記第2のシャフトを回転させるように構成される、請求項16に記載の送達装置。
【請求項22】
前記第1のシャフトの前記遠位端部分は、溝付き金属チューブを備え、前記外側突起部は、前記溝付き金属チューブ内に一体形成される、請求項17に記載の送達装置。
【請求項23】
ステントを備える人工弁との組み合わせにおいて、前記ステントが、前記弁保持機構の前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントに固定される複数の保持アームを備える、請求項16に記載の送達装置。
【請求項24】
前記ステントは、前記保持アームのところの第1の端部と、前記第1の端部と反対のところの第2の端部と、前記ステントの前記第1の端部の方を指す複数の第1の頂点および前記ステントの前記第2の端部の方を指す複数の第2の頂点を形成するように、列をなし互いに接続された複数のストラットとを備え、前記第1の頂点のそれぞれは、ストラットのうちの同じ列内の2つの隣接するストラットおよびストラットのうちの隣接する列内の少なくとも1つの追加のストラットによって形成される固定された頂点である、請求項23に記載の送達装置と人工弁との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工弁(例えば、人工心臓弁)および人工弁を埋め込むための送達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって心臓弁膜症を治療するために人工心臓弁が使用されてきた。自然心臓弁(大動脈弁、肺動脈弁、および僧帽弁などの)は、心臓血管系に血液を十分に供給する前方流を確実にするうえで重要な機能を果たす。これらの心臓弁は、先天性症状、炎症性症状、または伝染性症状によって機能が低下する可能性がある。弁へのこのようなダメージは、心臓血管が傷ついたり死んだりする重大な事態を引き起こしうる。長年にわたり、このような疾患の決定的治療法は、心臓切開手術で弁の外科的修復または交換を行うことであったが、そのような外科手術は多くの合併症を引き起こしがちである。近年、心臓切開手術に比べて侵襲性の低い方法で可撓性カテーテルを使用して人工心臓弁を導入し、埋め込むための経血管的技術が開発されている。
【0003】
この技術では、人工弁が捲縮状態で可撓性カテーテルの端部に載せられ、人工弁が埋め込み部位に到達するまで患者の血管に通して送られる。次いで、人工弁が載せられているバルーンを膨らませることなどによって欠陥のある自然弁の部位のところでカテーテル先端部の人工弁を機能するサイズまで膨張させる。あるいは、人工弁は、カテーテルの遠位端のところで送達用シースから送られたときに機能するサイズまで人工弁を膨張させる弾力性のある自己膨張型ステントもしくはフレームを有することができる。
【0004】
バルーン膨張型人工弁は、典型的には、カテーテルバルーンは人工弁のフレームを周囲の石灰化組織に固定するのに十分な膨張力を加えることができるため石灰化自然弁を置き換えるうえで好ましい。他方、自己膨張型人工弁は、欠陥のある非狭窄(非石灰化)自然弁を置き換えるうえで好ましいが、これらは狭窄弁を置き換えるためにも使用することができる。自己膨張型弁を埋め込むことに関連する欠点の1つは、手術者が送達用シースの開放端から人工弁を送り始めたときに、人工弁はシースの端部から非常に速く「飛び出る」傾向がある点であり、言い換えると、人工弁のフレームの外向き付勢力は、人工弁を送達用シースの遠位端から非常に速くイジェクトさせる傾向があり、このため、正確な制御された方法で人工弁をシースから送達することが困難であり、また患者に外傷を負わせるリスクが高まるということである。
【0005】
経皮的人工弁を非狭窄自然弁内に埋め込むことに関連する別の問題は、人工弁では人工弁の遊走に抵抗する十分な力を周辺組織に対して加えることができない場合があるという点である。典型的には、人工弁のステントは、人工弁を周辺組織に固定するのを補助するために付加的な固定具またはアタッチメントデバイスを備えなければならない。さらに、人工弁を固定するのを補助するステントのそのような固定用デバイスまたは部分は、典型的には、血管系の非罹患部に貫入し、そこに固定され、その結果、将来のインターベンションが必要になった場合、例えば、人工弁を患者から取り出す必要が生じた場合に、合併症を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,730,118号
【特許文献2】米国特許公開第2008/0065011号
【特許文献3】米国特許第8,007,992号
【特許文献4】米国特許公開第2009/0164005号
【特許文献5】米国特許第7,579,381号
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0049313号
【特許文献7】米国出願第12/429,040号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、人工弁(例えば、人工心臓弁)、および人工弁を人間の血管系を介して自然弁部位に送達するための弁送達装置を実現する。送達装置は、罹患している自然大動脈弁を置き換えるために人工弁を大動脈内に通す(つまり、逆行方式で)のに特に適している。特定の実施形態における送達装置は、人工弁を送達用シースから正確な制御された方法により体内の標的部位に配備するように構成される。
【0008】
代表的な一実施形態において、人口弁を埋め込むための送達装置は、近位端部分および遠位端部分を有する細長い第1のシャフトと、第1のシャフトを貫通して延在すると共に近位端部分および遠位端部分を有する細長い第2のシャフトとを備える。第2のシャフトは、第1のシャフトに対して回転可能であるが、第1のシャフトに対する軸方向の動きが固定される。第2のシャフトの遠位端部分は、雄ネジまたは溝を備える外面を有する。シース保持リングが、第2のシャフトの雄ネジまたは溝上に配設され、第2のシャフトの遠位端部分に対する回転の動きが固定される。送達用シースは、圧縮された送達状態の人工弁を受容して保持するように構成されており、この送達用シースはシース保持リングに接続される。第2のシャフトは、第2のシャフトの回転によってシース保持リングが雄ネジまたは溝にそって軸方向に移動し、それにより、シースが第1のシャフトおよび第2のシャフトに対して軸方向に移動し、シース内に収納されている人工弁を配備するように第1のシャフトに対して回転可能に構成される。
【0009】
一実施例では、第2のシャフトの遠位端部分は、雄ネジを有するネジ部を備え、シース保持リングは、ネジ部の雄ネジと係合する雌ネジを有するナットを備える。別の実装では、第2のシャフトの遠位端部分は、外部溝を有するコイルを備え、シース保持リングは、コイル表面の溝と係合するワッシャを備える。
【0010】
代表的な別の実施形態において、人口弁を埋め込むための送達装置は、近位端部分および遠位端部分を有する細長い第1のシャフトと、第1のシャフトを貫通して延在ると共に近位端部分および遠位端部分を有する細長い第2のシャフトとを備える。第2のシャフトは、第1のシャフトに対して回転可能であるが、望ましくは第1のシャフトに対する軸方向への動きが固定される。細長い第3のシャフトは、第2のシャフトを貫通して延在すると共に近位端部分および遠位端部分を有する。第2のシャフトに結合された送達用のシースは、圧縮された送達状態の人工弁を受容し、保持するように構成される。送達用装置は、第3のシャフトの遠位端部分および第1のシャフトの遠位端部分にそれぞれ第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを備える弁保持機構をさらに備えることができ、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントは、人工弁のステントとの解放可能な接続を形成するように協働する。第2のシャフトは、第2のシャフトの回転によってシースが第1のシャフト、第2のシャフト、および第3のシャフトに対して軸方向に移動し、シース内に収納されている人工弁を配備するように第1のシャフトに対して回転可能に構成される。弁保持機構は、第2のシャフトが回転してシースを軸方向に移動させて人工弁を配備するときに第1のシャフトおよび第3のシャフトに対する人工弁の軸方向への動きおよび回転の動きを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による、心臓の自然大動脈弁を置き換えるために使用されうる人工弁の斜視図である。
図2】2つの尖部を人工弁の支持フレームに接続する様子を示す図1の人工弁の一部の斜視図である。
図3図1の人工弁の支持フレームの側立面図である。
図4図1の人工弁の支持フレームの斜視図である。
図5A】大動脈弁輪内に埋め込まれた図1の人工弁を示す心臓の断面図である。
図5B】わかりやすくするため人工弁の尖部構造を取り除いて示されている、大動脈弁輪内に埋め込まれている人工弁を例示する図5Aの拡大図である。
図6】支持フレームに固定される前の図示されている図1の人工弁の尖部構造の斜視図である。
図7図1の人工弁の断面図である。
図8図1に示されている人工弁などの、人工弁を送達し、埋め込むために使用されうる送達装置の一実施形態の断面図である。
図8A図8のセクションの拡大断面図である。
図8B図8のセクションの拡大断面図である。
図8C図8のセクションの拡大断面図である。
図9図8の送達装置の分解図である。
図10図8の送達装置のガイドカテーテルの側面図である。
図11図10のガイドカテーテルの近位端部分の分解斜視図である。
図12図10のガイドカテーテルの遠位端部分の分解斜視図である。
図13図8の送達装置のトルクシャフトカテーテル(torque shaft catheter)の側面図である。
図14図13のトルクシャフトカテーテルの回転可能ネジの拡大側面図である。
図15】トルクシャフトの端部に配設されている結合部材の拡大斜視図である。
図16図13のトルクシャフトカテーテルで使用されるネジ切りされたナットの拡大斜視図である。
図17図8の送達装置のノーズコーンカテーテルの遠位端部分の拡大側面図である。
図17A図17に示されているカテーテルのノーズコーンの拡大断面図である。
図17B】送達用シース内に圧縮状態で保持されている人工弁のステントを示す図8の送達装置の遠位端部分の拡大断面図である。
図18】患者に送達するために圧縮状態の人工弁を覆う送達位置にある送達用シースを示す図8の送達装置の遠位端部分の拡大側面図である。
図19】人工弁のステントを送達装置に固定する弁保持機構を示す図8の送達装置の遠位端部分のセクションの拡大断面図である。
図20】送達装置から人工弁を解放するための解放位置にある弁保持機構の内フォークを示す図19に類似の拡大断面図である。
図21】送達用シースから人工弁を配備するためのトルクシャフトの動作を例示する図8の送達装置の遠位端部分の拡大側面図である。
図22】送達用シースから人工弁を配備するためのトルクシャフトの動作を例示する図8の送達装置の遠位端部分の拡大側面図である。
図23図8に示されている送達装置のトルクシャフトを動作させるために使用されうる電動式送達装置の一実施形態のさまざまな図である。
図24図8に示されている送達装置のトルクシャフトを動作させるために使用されうる電動式送達装置の一実施形態のさまざまな図である。
図25図8に示されている送達装置のトルクシャフトを動作させるために使用されうる電動式送達装置の一実施形態のさまざまな図である。
図26図8に示されている送達装置のトルクシャフトを動作させるために使用されうる電動式送達装置の一実施形態のさまざまな図である。
図27図8に示されている送達装置のトルクシャフトを動作させるために使用されうる代替的モーターの斜視図である。
図28A図10のガイドカテーテルシャフトの遠位セグメントの拡大図である。
図28B】金属チューブをレーザー切断することなどによって、図28Aに示されているシャフトの部分を形成するための切断パターンを示す図である。
図29A】別の実施形態による、ガイドカテーテルシャフトの遠位セグメントの拡大図である。
図29B】金属チューブをレーザー切断することなどによって、図29Aのシャフトを形成するための切断パターンを示す図である。
図30】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図31】部分的に引っ込められた位置にある送達装置のシースを示す、図30に類似する側面図である。
図32】説明のためシースが取り除かれた状態で図示されている図30に類似する側面図である。
図33】曲げられた位置にある送達装置の一部を示す図32に類似する側面図である。この図は、送達装置がネジ機構を収納する部分にそって十分な可撓性を示しうることを示している。
図34】一実施形態による、図30に示されている送達装置のハンドル部分の斜視図である。
図35】ハンドル部分の内側を示す斜視図である。
図36図30の送達装置のシースから人工弁を配備する状況を示す側面図である。
図37図30の送達装置の弁保持機構の動作を示す側面図である。
図38】一実施形態による、修正された弁保持機構の側面図である。
図39】別の実施形態による、修正された弁保持機構の側面図である。
図40】一実施形態による、送達装置で使用されうるトルクシャフトのセクションの側面図である。
図40A図40に示されているトルクシャフトのセクションの拡大図である。
図41】金属チューブをレーザー切断することなどによって、図40のトルクシャフトを形成するための切断パターンを示す図である。
図42】一実施形態による、ローディングコーンおよび、ローディングコーンを使用して人工弁を送達装置(例えば、図8の送達装置)のシース内に装填する方法を例示する図である。
図43】一実施形態による、ローディングコーンおよび、ローディングコーンを使用して人工弁を送達装置(例えば、図8の送達装置)のシース内に装填する方法を例示する図である。
図44】一実施形態による、ローディングコーンおよび、ローディングコーンを使用して人工弁を送達装置(例えば、図8の送達装置)のシース内に装填する方法を例示する図である。
図45】一実施形態による、ローディングコーンおよび、ローディングコーンを使用して人工弁を送達装置(例えば、図8の送達装置)のシース内に装填する方法を例示する図である。
図46】ローディングコーンの代替的実施形態の斜視図である。
図47】送達装置のシースの代替的実施形態を示す図である。
図48】送達装置のシースの代替的実施形態を示す図である。
図49図47〜48に示されているシースから人工弁を配備する様子を示す図である。
図50】送達装置のシースの別の実施形態の斜視図である。
図51】別の実施形態による、人工弁を送達用シース内に装填するためのローディングコーンおよびプランジャアセンブリの斜視図である。
図52図51のローディングコーンの代替的実施形態の斜視図である。
図53】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図54】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図55】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図56】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図57】送達装置の別の実施形態の遠位端部分の側面図である。
図58A】別の実施形態による、導入器シースの斜視図である。
図58B図58Aの導入器シースのスリーブの拡大斜視図である。
図59図58Aの導入器シースとともに使用されうるスリーブの別の実施形態の拡大斜視図である。
図60図58Aの導入器シースとともに使用されうるスリーブの端面図である。
図61】別の実施形態による、導入器シースのスリーブのセグメントの斜視図である。
図62】別の実施形態による、導入器シースの金属スリーブの側立面図である。
図63図61の金属スリーブを形成するための切断パターンを示す図である。
図64図62の金属スリーブを形成するための切断パターンを示す図である。
図65図64に類似しているが、より狭い開口を有する切断パターンを示す図である。
図66図13に示されているネジとナットのアセンブリの代わりにトルクシャフト内に組み込むことができるワイヤコイルとワッシャのアセンブリの正面図である。
図67】部分断面を示す図66のワイヤコイルとワッシャのアセンブリの側面図である。
図68】人工心臓弁用のステントのさまざまな実施形態を示す扁平図である。
図69】人工心臓弁用のステントのさまざまな実施形態を示す扁平図である。
図70】人工心臓弁用のステントのさまざまな実施形態を示す扁平図である。
図71】人工心臓弁用のステントのさまざまな実施形態を示す扁平図である。
図72】人工心臓弁用のステントのさまざまな実施形態を示す扁平図である。
図73】一実施形態による、不完全に捲縮された状態の人工弁を保管するための保管用チューブアセンブリの斜視図である。
図74図73の保管用チューブアセンブリの分解斜視図である。
図75図73の保管用チューブアセンブリの分解断面図である。
図76】不完全に捲縮された人工弁を保管用チューブ内に移送するために使用されうる一実施形態による、人工弁移送用チューブの側立面図である。
図77図76の移送用チューブの断面図である。
図78】人工弁を送達装置に接続する際に使用されうるアタッチメントスペーサーデバイスの斜視図である。
図79図78のアタッチメントスペーサーデバイスの側立面図である。
図80図79の直線80-80にそって切り取られた断面図である。
図81】人工弁を送達装置に固定するために使用されうる一実施形態による弁取付用工具の分解斜視図である。
図82図81に示されている弁取付用工具のハウジング部分の、それぞれ、外側表面および内側表面を示す立面図である。
図83図81に示されている弁取付用工具のハウジング部分の、それぞれ、外側表面および内側表面を示す立面図である。
図84図81の取付用工具とともに使用されるように適合された、一実施形態による、弁プランジャの断面図である。
図85図84の弁プランジャの底面図である。
図86図84の弁プランジャとともに使用されるように適合された保護スリーブまたはチューブの側面図である。
図87図84の弁プランジャとともに使用されるように適合された保護スリーブまたはチューブの断面図である。
図88】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図である。
図89】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図90】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図91】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図92】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図93】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図94】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図95】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図96】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図97】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図98】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図99】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図100】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図101】人工弁を送達装置に取り付けるための例示的な方法を示す図であって、保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図102】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図103】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図104】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図105】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図106】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図107】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図108】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図109】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図110】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図111】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図112】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
図113】保管および最終使用のため不完全に捲縮しておくための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず最初に図1を参照すると、一実施形態による、人工大動脈心臓弁10が示されている。人工弁10は、可撓性尖部セクション14を支持する膨張性フレーム部材またはステント12を備える。人工弁10は、本体部を通して配備部位に送達するため圧縮状態になるように半径方向に圧縮可能であり、配備部位において図1に示されている機能するサイズまで膨張可能である。いくつかの実施形態では、人工弁10は自己膨張性を有する、つまり、人工弁は、送達用シースの遠位端から送られたときに機能するサイズまで半径方向に膨張することができる。経皮送達および自己膨張型人工弁の埋め込みに特に適した装置について以下で詳細に説明する。他の実施形態では、人工弁は、送達カテーテルのバルーン上に圧縮状態で装着されるように適合されうるバルーン膨張型人工弁とすることができる。人工弁は、当技術分野で知られているように、バルーンを膨らませることによって配備部位のところで機能するサイズまで膨張させることができる。
【0013】
例示されている人工弁10は、自然大動脈弁輪内に配備されるように適合されるが、心臓の他の自然弁を置き換えるために使用することもできる。さらに、人工弁10は、静脈弁などの体内の他の弁を置き換えるように適合されうる。
【0014】
図3および4は、例示することを目的として尖部セクション14なしのステント12を示している。図示されているように、ステント12は、複数の縦方向に延在する、一般的に正弦曲線形状のフレーム部材、つまりストラット16から形成されうる。ストラット16は、交互に並ぶ曲がりで形成され、メッシュ構造を形成するように隣接する曲がりの頂点から形成されるノード18のところで互いに対して溶接もしくは他の何らかの方法で固定される。ストラット16は、ニチノールと称されるとニッケルチタン合金などの好適な形状記憶材料から作ることができ、これにより、人工弁は送達装置(以下で説明されているような)で送達されるように縮小された直径にまで圧縮することができ、次いで、人工弁は、送達装置から配備されたときに患者の体内で機能するサイズまで膨張する。人工弁が送達装置の膨らませることができるバルーン上に捲縮され、バルーンを膨らませることによって機能するサイズにまで膨張するバルーン膨張型人工弁である場合、ステント12は、ステンレス鋼などの好適な延性材料から作ることができる。
【0015】
ステント12は、流入端部26と流出端部27とを有する。ストラット16によって形成されるメッシュ構造は、一般的に円筒形の「上側」または流出端部分20、外向きに弓なりに曲がるか、または膨らんだ中間セクション22、および内向きに弓なりに曲がる「下側」または流入端部分24を備える。中間セクション22は、望ましくは、人工弁をいったん埋め込まれた後に適所に固定しやすいように、大動脈の起始部内のバルサルバ洞内に貫入するサイズおよび形状を有する。図示されているように、メッシュ構造は、望ましくは、流出端部分20から中間セクション22へ徐々に直径が大きくなり、次いで、中間セクション22から流入端部分24上のある位置へ直径が徐々に大きくなり、次いで、流入端26で終端する張り出し部分を形成するように直径が徐々に大きくなる湾曲形状をその長さ全体にそって有する。
【0016】
人工弁が膨張状態にあるときに、中間セクション22は直径D1を有し、流入端部分24は最小直径D2を有し、流入端26は直径D3を有し、流出端部分20は直径D4を有し、D2はD1およびD3より小さく、D4はD2より小さい。それに加えて、D1およびD3は、望ましくは、人工弁が埋め込まれる自然弁輪の直径より大きい。この方法により、ステント12の全体的形状が人工弁を埋め込み部位に保持するのに役立つ。より具体的には、図5Aおよび5Bを参照すると、人工弁10は、下側セクション24が大動脈弁輪28内に位置決めされ、中間セクション24が大動脈弁輪の上からバルサルバ洞56内に貫入し、下側張り出し端部26が大動脈弁輪の下に延在するように自然弁(図示されている例における大動脈弁)内に埋め込むことができることがわかる。人工弁10は、大動脈弁輪28の周辺組織に対する下側セクション24の半径方向外向きの力、さらにはステントの幾何学的形状により、自然弁内に保持される。特に、中間セクション24および張り出し下側端部26は、大動脈弁輪28を超えて半径方向外向きに延在し、上流および下流の方向(大動脈に向かう、遠ざかる)の人工弁の軸方向のずれへの抵抗を強める。図5Bに示されているように、自然尖部58の状態に応じて、人工弁は、典型的には、自然尖部58が上方に折り畳まれ、ステント12の外面とバルサルバ洞の壁との間に圧縮された状態で配備される。いくつかの場合において、人工弁10を埋め込む前に尖部58を切除することが望ましい場合がある。
【0017】
自己膨張型フレームを有する知られている人工弁は、典型的には、血管系の非罹患部に貫入し、固定される追加の固定デバイスもしくはフレーム部分を有する。ステント12の形状は人工弁の保持をしやすくするので、追加の固定デバイスは、不要であり、ステントの全長Lは、ステントの上側部分20が大動脈の非罹患部内に貫入するのを防ぐために、または上側部分20が大動脈の非罹患部内に貫入する程度を少なくとも最小にするために、最短に抑えることができる。患者の血管系の非罹患部を回避することで、将来のインターベンションが必要になった場合の合併症の回避が行いやすくなる。例えば、人工弁は、ステントがもっぱら自然弁の罹患部に固定されるため、患者からさらに容易に取り外せる。さらに、人工弁が短ければ短いほど、大動脈弓の周りに容易に導くことができる。
【0018】
特定の実施形態において、22mmから24mmの弁輪で使用することが意図されている人工弁について、直径D1は約28mmから約32mmであり、具体的一例では30mmであり、直径D2は約24mmから約28mmであり、具体的一例では26mmであり、直径D3は約28mmから約32mmであり、具体的一例では30mmであり、直径D4は約24mmから約28mmであり、具体的一例では26mmである。特定の実施形態における長さLは約20mmから約24mmであり、具体的一例では22mmである。
【0019】
図1を参照すると、ステント12は、複数のある角度で隔てて並ぶ保持アーム、または突出部を、ステントの上側部分20から延在する支柱30(例示されている実施形態では3つある)の形態で有することができることがわかる。それぞれの保持アーム30は、人工弁と送達装置(以下で説明する)との間の解放可能な接続部を形成するために使用されうる弁保持機構の突起部を受け入れるサイズの各開口32を有する。代替的実施形態では、弁保持機構が使用されなければ保持アーム30を備える必要はない。
【0020】
図6および7に最もよく示されているように、例示されている実施形態の尖部アセンブリ14は、可撓性材料から作られた3つの尖部34a、34b、34cを備える。それぞれの尖部は、流入端部分60と流出端部分62とを有する。尖部は、好適な生物由来物質(例えば、ウシまたはウマ心膜などの心膜組織)、生体適合性合成材料、または、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,730,118号で説明されているような、他のそのような材料を含むものとしてよい。尖部アセンブリ14は、人工弁の流入端部に隣接する縫合線44のところの尖部34a、34b、34cの流入端部分の外面に固定された弁輪補強スカート42を備えることができる。尖部アセンブリ14の流入端部分は、スカート42をステント(図1に最もよく示されている)の下側セクション24のストラット16に縫い合わせることによってステント12に固定されうる。図7に示されているように、尖部アセンブリ14は、尖部の流入端部分60の内面に固定された内部補強ストリップ46をさらに備えることができる。
【0021】
図1および2を参照すると、尖部アセンブリ14の流出端部分は、尖部34a、34b、34cの3つのある角度で隔てて並ぶ継ぎ目の取付部のところでステント12の上側部分に固定されうることがわかる。図2に最もよく示されているように、それぞれの継ぎ目の取付部は、2つの尖部によって形成される継ぎ目のところで一対の尖部の隣接する上側縁部分38の周りに補強セクション36を巻き付け、補強セクション36を縫合糸48で縁部分38に固定することによって形成されうる。次いで、補強材料と尖部のサンドイッチ状に挟まれた層をステントの流出端に隣接する縫合糸50でステント12のストラット16に固定することができる。したがって、尖部は、望ましくは、流入端26から流出端27までのステントの全長または実質的全長にわたって延在する。補強セクション36は、縫合線のところで応力集中を最小にし、使用中に屈曲する尖部の部分に「針の穴」が生じるのを回避するように、ステントへの尖部の取付部を補強する。補強セクション36、スカート42、および内側補強ストリップ46は、望ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または織ったポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))などの織布材料などの、生体適合性合成材料から作られる。
【0022】
図7は、人工弁10の動作を示す。拡張期において、尖部34a、34b、34cはつぶれて、人工弁を効果的に閉じる。図示されているように、ステント12の中間セクション22の湾曲形状により、中間セクションとバルサルバ洞に似た尖部との間に空間が画成される。そこで、尖部が閉じると、「洞」に入る逆流によって、血液の乱流が矢印52で示されているように尖部の上側表面にそって生じる。この乱流は、尖部とスカート42とを洗浄するのを助け、血栓形成を最小限度に抑える。
【0023】
人工弁10は、送達装置の遠位端のところに捲縮状態で装着された人工弁が大腿動脈を介して体内に導入され、大動脈弓を通して心臓に送られる場合に逆行アプローチで埋め込まれうるが、これは参照により本明細書に組み込まれている米国特許公開第2008/0065011号でさらに説明されている。
【0024】
図8および9は、患者の血管系を通して、上で説明されている人工弁10などの、自己膨張型人工弁を送達するために使用されうる、一実施形態による、送達装置100を示している。送達装置100は、遠位端が送達用シース106(図18、送達用シリンダーとも称される)に結合されている細長いシャフト104を有する第1の、一番外側の、または主カテーテル102(図10に単独で示されている)を備える。主カテーテル102の近位端は、送達装置のハンドルに接続される。図23〜26は、送達装置を動作させるための電気モーターを有するハンドル機構の一実施形態を示している。ハンドル機構について、以下で詳しく説明する。人工弁の送達時に、ハンドルは、患者の血管系を通して送達装置を送り、引っ込めるために外科医によって使用されうる。必要ではないけれども、主カテーテル102は、以下でさらに説明するような、患者の血管系を通して送り込まれるときに外科医がシャフト104の遠位部分の曲げまたは屈曲を誘導するか、またはその量を制御することができるように構成されたガイドカテーテルを備えることができる。ガイドカテーテルの別の実施形態は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第2008/0065011号において開示されている。
【0025】
図9に最もよく示されているように、送達装置100は、細長いシャフト110(本明細書ではトルクシャフトとも称される)およびシャフト110の遠位端に接続された細長いネジ112を有する第2の中間カテーテル108(本明細書ではトルクシャフトカテーテルとも称される)も備える。中間カテーテル108のシャフト110は、主カテーテル102のシャフト104を同軸状に貫通する。送達装置100は、細長いシャフト120およびシャフト120の遠位端部分に固定された前金具またはノーズコーン122を有する第3のノーズコーンカテーテル118も備えることができる。前金具122は、患者の血管系を通して組織を傷つけない追跡を行うために示されているようにテーパー付きの外面を有することができる。ノーズコーンカテーテルのシャフト120は、人口弁10(図8〜9に示されていない)および中間カテーテル108のシャフト110を貫通しない。例示されている構成では、一番内側のシャフト120は、シャフト104、110に関して軸方向に、また回転可能に、移動可能であるように構成され、トルクシャフト110は、シャフト104、120に関して回転可能であり、以下で詳しく説明するように、送達装置から人口弁の弁配備および解放を行えるように構成される。それに加えて、一番内側のシャフト120は、送達装置を患者の血管系の内側でガイドワイヤにより送り込むことができるようにガイドワイヤを受け入れるための内腔を有することができる。
【0026】
図10に最もよく示されているように、外側カテーテル102は、以下でさらに説明するような、患者の血管系を通して送り込まれるときに外側シャフト104の遠位部分の曲げまたは屈曲の量を制御するために近位端のところに屈曲制御機構168を備えることができる。外側シャフト104は、屈曲制御機構168から延在する近位セグメント166およびこの位置で外側シャフトの可撓性を高める溝付き金属チューブを備える遠位セグメント126を備えることができる。遠位セグメント126の遠位端部分は、以下で詳しく説明するように、弁送達時に人工弁10を送達装置100に解放可能に固定するように構成された弁保持機構114の外フォーク130を備えることができる。
【0027】
図28Aは、外側シャフト104の遠位セグメント126のある位置の拡大図である。図28Bは、金属チューブにレーザー切削加工でパターンを入れることによって遠位セグメント126を形成するための切断パターンを示す。遠位セグメント126は、溝付き金属チューブを形成する複数の相互接続された円形バンドもしくはリンク160を備える。プルワイヤ162は、遠位セグメント126の内側に位置決めされ、遠位セグメント126(図10および12)の位置164から屈曲制御機構へ延在しうる。プルワイヤ162の遠位端は、溶接などによって、位置164で遠位セグメント126の内面に固定されうる。プルワイヤ162の近位端は、以下でさらに説明されるように、シャフトの曲がりを制御するために、プルワイヤに張力をかけたり解放したりするように構成された、屈曲制御機構168に動作可能に接続されうる。シャフトのリンク160および隣接するリンク間の間隙は、プルワイヤ162に軽めの引っ張り力を加えた後にシャフトを曲げられる形状を有する。例示されている実施形態では、図12に最もよく示されているように、遠位セグメント126は、異なる構造を有する近位セグメント166に固定される(例えば、ポリマーチュービングの1つまたは複数の層)。例示されている実施形態では、近位セグメント166は、屈曲制御機構168から遠位セグメント126まで延在し、したがって、外側シャフト104の長さの大部分を占める。いくつかの代替的実施形態では、外側シャフト104の全長もしくは実質的全長は、相互接続されたリンク160の1つまたは複数のセクションを備える溝付き金属チューブから形成されうる。いずれの場合も、そのような構造を有する主シャフトを使用することで、特に図40および41に示されている構造を有するトルクシャフトと組み合わせて使用するときに送達装置の操縦性を高めることができる(以下で説明する)。
【0028】
リンク160の幅を変えることで、その長さにそって遠位セグメントの可撓性を変化させることができる。例えば、溝付きチューブの遠位端部分内のリンクは比較的狭くして、その位置でのシャフトの可撓性を高め、その一方で、溝付きチューブの近位端部分内のリンクを比較的広くして、シャフトの可撓性がその位置で比較的低くなるようにすることができる。
【0029】
図29Aは、例えば、金属チューブをレーザー切断することによって形成されうる、126'に示されている、遠位セグメントの代替的実施形態を示している。セグメント126'は、送達装置(図12に示されているような)の外側シャフトの遠位セグメントを含むことができるか、または外側シャフトの実質的全長は、図29Aに示されている構造を有することができる。図29Bは、セグメント126'を形成するための切断パターンを示す。別の実施形態では、送達装置は、金属層の間隙内に溶融されたポリマー外側層でラミネートされたレーザー切断金属チューブを備える複合外側シャフトを備えることができる。一例では、複合シャフトは、図29Aおよび29Bの切断パターンを有するレーザー切断金属チューブ、および金属チューブのリンク160の間の間隙内に溶融されたポリマー外側層を備えることができる。別の例では、複合シャフトは、図28Aおよび28Bの切断パターンを有するレーザー切断金属チューブ、および金属チューブのリンク160の間の間隙内に溶融されたポリマー外側層を備えることができる。複合シャフトは、金属チューブのリンク160間の間隙内に溶融されたポリマー内側層を備えることもできる。
【0030】
図8Aおよび11を参照すると、屈曲制御機構168は、レール192上に装着されたスライドナット188を収納する回転可能なハウジング、またはハンドル部分186を備えることができることがわかる。スライドナット188は、1つまたは複数のロッド192によってハウジング内で回転することが妨げられ、それぞれのロッドはレール内の対応する陥凹部およびナット188の内側の溝または陥凹部内に部分的に配設される。プルワイヤ162の近位端は、ナット188に固定される。ナット188は、ハウジングの雌ネジと係合する雄ネジを有する。したがって、ハウジング186を回転させると、ナット188は、ハウジングの回転の方向に応じて、近位方向または遠位方向にハウジング内で軸方向移動する。第1の方向(例えば、時計回りの方向)にハウジングを回転させると、ナットは近位方向に移動し、これがプルワイヤ162に張力を加え、送達装置の遠位端を曲げるか、または屈曲させる。第2の方向(例えば、反時計回りの方向)にハウジングを回転させると、ナットは遠位方向に移動し、これがプルワイヤ162の張力を解放し、送達装置の遠位端をそれ自体の弾力性の下で前に屈曲されていた構成に戻す。
【0031】
図13に最もよく示されているように、トルクシャフトカテーテル108は、ネジ112に隣接するトルクシャフト110の遠位端部分上に装着されたリング128の形態の輪状突起部(固定円板とも称する)を備える。リング128は、トルクシャフトに関して軸方向にまたは回転可能に移動できないようにトルクシャフト110の外面に固定される。外側シャフト104の内面は、リング128を受け入れる、溝もしくは陥凹部などの特徴部で形成され、その際に、リングおよび外側シャフト104の内面上の対応する特徴部により、トルクシャフト110は外側シャフト104に関して回転することができるが、トルクシャフトが外側シャフトに関して軸方向に移動することは妨げられる。リング128を受け入れる外側シャフト104上の対応する特徴部は、図12の164に示されているような、遠位セグメント126内に形成された内向きに延在するタブ部分とすることができる。例示的実施形態(図14に最もよく示されているような)において、リング128は、ネジ112の一体部分である(つまり、ネジ112とリング128は単一コンポーネントの一部である)。あるいは、ネジ112およびリングは、別々に形成されたコンポーネントであるが、両方ともトルクシャフト110の遠位端に固定して留められる。
【0032】
トルクシャフト110は、望ましくは、送達シース106に関して回転可能であり、送達用シース106から人口弁10を徐々に制御して送る動作が可能なように構成される。そのために、一実施形態によれば、送達装置100は、ネジ112の雄ネジ上に装着したねじ切りしたナット150の形態のシース保持リングを備えることができる。図16に最もよく示されているように、ナット150は、ネジの雄ネジと係合する雌ネジ152および軸方向に延在する脚部154を備える。それぞれの脚部154は、シース106をナット150に固定するためシース106(図18に最もよく示されているような)の近位端内の開口部172内に貫入し、および/またはスナップ式の接続部を形成する隆起した遠位端部分を有する。図17Bおよび18に示されているように、シース106は、人工弁10上に延在し、使用者がシース106を引っ込めて人工弁を配備するまで人工弁を半径方向に圧縮された状態に保持する。
【0033】
図21および22に最もよく示されているように、弁保持機構の外フォーク130は、複数の突起部134を備え、それぞれナットの2つの隣接する脚部154の間に画成された領域を貫通し、ネジ112を回したときにネジに関してナットが回らないようにする。そのようなものとして、トルクシャフト110(したがって、ネジ112)が回転すると、ナット150はそれに対応して軸方向に移動する。ナット150とシース106との間の接続部は、ネジ112にそって(遠位方向または近位方向に)ナットが軸方向移動するとシース106がネジおよび弁保持機構に関して同じ方向に軸方向移動するように構成される。図21は、シース106(図21には示されていない)が送達のために圧縮状態にある人工弁10上に延在し保持する遠位位置のナット150を示している。遠位位置(図21)から近位位置(図22)へのナット150の移動により、シース106は近位方向に移動し、それにより、人工弁をシース106から配備する。トルクシャフト110を回転させてシース106を軸方向に移動させる操作は、電動機構(図23〜26に示され、以下で説明されているような)を使用するか、またはクランクもしくはホイール(以下で説明されている、図30〜37の実施形態に示されているような)を手動で回すことによって実行できる。
【0034】
図17は、一番内側のシャフト120の遠位端に固定されたノーズコーン122の拡大図を示している。例示されている実施形態におけるノーズコーン122は、シース106の遠位端の内側の嵌合するサイズを有する近位端部分174を備える。ノーズコーンの中間セクション176は、使用中のシースの端部に直接隣接する位置に置かれ、複数の縦溝、または陥凹部178で形成される。近位端180のところの中間セクション176の直径は、望ましくは、シース106の外径よりわずかに大きい。近位端180は、周辺組織がシースの金属縁と接触しないよう保護するためにシース106の遠位端と緊密に接触させておくとよい。溝178により、送達装置が導入器シースに通されるときに中間セクションは半径方向に圧縮されうる。これにより、ノーズコーンは、導入器シースの内径に関してわずかにオーバーサイズとなるようにできる。図17Bは、人工弁がシース106の内側で圧縮された送達状態に保持されている、送達位置にあるノーズコーン122およびシース106の断面を示している(例示するために、人工弁のステント12のみが図示されている)。図示されているように、中間セクション176の近位端180は、シース106の遠位端に当接するものとしてよく、ノーズコーンのテーパー付き近位表面182は、ステント12の遠位部分内に延在しうる。
【0035】
上で指摘されているように、送達装置100は、人工弁のステント12を解放可能に保持するため弁保持機構114(図8B)を備えることができる。弁保持機構114は、外フォーク130(図12に最もよく示されているような)(「外トライデント(outer trident)」または「リリーストライデント(release trident)」とも称される)の形態の第1の弁固定コンポーネントと、内フォーク132(図17に最もよく示されているような)(「内トライデント(inner trident)」または「係止トライデント(rocking trident)」とも称される)の形態の第2の弁固定コンポーネントとを備えることができる。外フォーク130は、内フォーク132と連携して、ステント12の保持アーム30との解放可能な接続を形成する。
【0036】
外フォーク130の近位端は、外側シャフト104の遠位セグメント126に接続され、外フォークの遠位端は、ステント12に解放可能に接続される。例示されている実施形態では、外フォーク130および遠位セグメント126は、単一コンポーネントとして一体形成されうるが(例えば、外フォークおよび遠位セグメントは、金属チュービングの単一片からレーザー切断または他の何らかの機械加工で切り出すことができる)、これらのコンポーネントは、別々に形成し、その後、互いに接続することもできる。内フォーク132は、ノーズカテーテルシャフト120(図17に最もよく示されているような)上に装着されうる。内フォーク132は、ステントをノーズカテーテルシャフト120の遠位端部分に接続する。ノーズカテーテルシャフト120は、外側シャフト104に関して軸方向に移動され、これにより、以下でさらに説明されるように、弁保持機構から人工弁を解放することができる。
【0037】
図12に最もよく示されているように、外フォーク130は、遠位セグメント126の遠位端から突起部が延びている、ステント12の保持アーム30に対応する複数のある角度で隔てて並ぶ突起部134(例示されている実施形態では3つ)を備える。それぞれの突起部134の遠位端部分は、各開口部140を備える。図17に最もよく示されているように、内フォーク132は、内フォークの近位端の基部138から突起部が延びている、ステント12の保持アーム30に対応する複数のある角度で隔てて並ぶ突起部136(例示されている実施形態では3つ)を備える。内フォークの基部138は、ノーズカテーテルシャフト120に関する内フォークの軸方向および回転移動を防ぐためノーズカテーテルシャフト120に固定して留められる(例えば、好適な接着剤を使って)。
【0038】
外フォークのそれぞれの突起部は、内フォークの対応する突起部と連携して、ステントの保持アーム30との解放可能な接続を形成する。例示されている実施形態では、例えば、それぞれの突起部134の遠位端部分は、開口部140で形成される。人工弁が送達装置に固定されたときに(図19に最もよく示されているように)、ステント12のそれぞれの保持アーム30は、外フォークの突起部134の開口部140を内向きに貫通し、内フォークの突起部136は、保持アーム30の開口部32に通され、保持アーム30を開口部140から引き戻されないよう保持する。図42は、人工弁がシース106内に装填される前に内フォークおよび外フォークによって送達装置に固定される人工弁10も示している。内側突起部136を近位に(図20の矢印184の方向に)引っ込めて突起部を開口部32から取り出すステップは、人工弁10を保持機構から解放する効果を有する。内フォーク132が近位位置に移動されると(図20)、ステントの保持アーム30は、ステントの弾力性によって外フォーク130内の開口部140から外向き半径方向に移動することができる。このようにして、弁保持機構114は、使用者が人工弁の位置を人工弁が送達シースから配備された後に微調整もしくは調節することができるように送達装置に関して人工弁を十分確実に保持できる人工弁との解放可能な接続部を形成する。人工弁が所望の埋め込み部位に位置決めされたときに、人工弁と保持機構との間の接続部は、(外フォーク130に関して内フォーク132を引っ込める)外側シャフト104に関してノーズカテーテルシャフト120を引っ込めることによって解放されうる。
【0039】
人工弁10をシース106内に圧縮して装填するための技術について以下で説明する。人工弁10が送達用シース106内に装填された後、送達装置100を患者体内に挿入し、人工弁を送達することができる。一アプローチにおいて、人工弁は、逆の手順で送達することができ、その場合、送達装置は、大腿動脈内に挿入され、患者の血管系を通して心臓に送られる。送達装置を挿入する前に、導入器シースを大腿動脈内に挿入し、次いで、ガイドワイヤを患者の血管系内に通し、大動脈に通し、左心室内に送り込む。次いで、送達装置100を導入器シースに通して挿入し、ガイドワイヤ上で送り、人工弁10を収容する送達装置の遠位端部分が自然大動脈弁に隣接する、または自然大動脈弁内のある位置に送られるようにする。
【0040】
その後、外側シャフト104に関してトルクシャフト110を回転させることによって、人工弁10を送達装置100から配備することができる。以下で説明されているように、トルクシャフト110の近位端は、外科医が外側シャフト104に関してトルクシャフト110を回転させることができるようにする手動回転可能ハンドル部分または電動機構に動作可能に接続されうる。トルクシャフト110およびネジ112を回転すると、ナット150およびシース106は、外側シャフト(図22)の方へ近位方向に移動し、人工弁をシースから配備する。トルクシャフト110を回転させると、シースは、人工弁が送達用シースの開いている遠位端から送られ、膨張を開始すると正確に、かつ制御されつつ人工弁に関して移動する。したがって、知られている送達装置とは異なり、人工弁が送達用シースから送られ、膨張する動作を開始すると、人工弁はシースの遠位端に対する人工弁の膨張力によって引き起こされるシースからの制御されていない移動をしないように保持される。それに加えて、シース106が引っ込められると、人工弁10は、弁保持機構114により内側シャフト120および外側シャフト104の端部に関して静止位置に保持される。そのようなものとして、人工弁10は、シースが引っ込められるときに身体内のターゲット位置に関して静止するように保持されうる。さらに、人工弁がシースから部分的に送られた後、人工弁をシース内に引っ込めて戻す、例えば、人工弁の位置を変更するか、または人工弁を体内から完全に引き出すことが望ましい場合がある。部分的に配備された人工弁は、シース106を遠位方向に人工弁を越えて戻させる、トルクシャフトの回転の反転によってシース内に引っ込めて戻すことができる。
【0041】
知られている送達デバイスでは、外科医は、押して引く力をシャフトおよび/またはシースに加えて人工弁をシースから出す必要がある。したがって、シャフトに歪みを生じさせる(例えば、シャフトを軸方向に圧縮するか、または引き伸ばす)ことなくデバイスの遠位端に力を伝えることは困難であり、延いては、シースから出す過程で人工弁の制御されない移動が生じる。この効果を軽減するために、シャフトおよび/またはシースの剛性を増すことが考えられるが、これは、デバイスを血管系内に導くのが難しくなるため望ましくない。対照的に、上で説明されている人工弁をシースから出す方法では、知られているデバイスでは必要である、シャフトへの押して引く力の印加が不要になり、デバイスの可撓性を損なうことなくシャフトの遠位端に比較的大きな、正確な力を印加することができる。いくつかの実施形態では、20lbsほどの力を、シースから出す過程に悪影響を及ぼすことなくトルクシャフトの端部に伝えることができる。対照的に、押して引く機構を使用する従来技術のデバイスでは、典型的に、シースから出す過程において約5lbsの力を超えることができない。
【0042】
人工弁10が送達用シースから送られて、その機能するサイズにまで膨張した後(送達装置に固定されている膨張した人工弁10は図42に示されている)、人工弁は、保持機構114を介して送達装置に接続されたままとなる。その結果、人工弁が送達用シースから送られた後、外科医は、送達装置を近位および遠位方向に、または左右に移動するか、または送達装置を回転させることなどによって自然弁内の所望の埋め込み位置に関して人工弁の位置を変更することができ、これにより、人工弁の対応する移動が生じる。保持機構114は、望ましくは、人工弁の位置が自然弁における所望の埋め込み位置に関して調節されるときに血液の流れに抗して送達装置に関する人工弁の位置を保持するのに十分な確実さと剛性を有する人工弁と送達装置との間の接続部を形成する。外科医が自然弁における所望の埋め込み位置に人工弁を位置決めした後、人工弁と送達装置との間の接続部は、外側シャフト104に関して一番内側のシャフト120を近位方向に引っ込めることによって解放することができ、これは内フォーク132を引っ込めて人工弁(図20)の保持アーム30内の開口部32から突起部136を引き出す効果を有する。外側シャフト104をわずかに引っ込めることで、外フォーク130は人工弁の保持アーム30から後退することができ、保持アーム30は外向きに摺動して外フォークの開口部140を通り、保持機構114から人工弁を完全に切り離す。これ以降、送達装置は身体から引き出され、人工大動脈弁10は(図5Aおよび5Bに示されているような)自然弁内に埋め込まれたまま残すことができる。
【0043】
送達装置100は、その遠位端のところに、トルクシャフトの回転をシースの軸方向移動に変換するために使用される比較的剛性の高いコンポーネントからなる半剛体セグメントを有する。特に、例示されている実施形態のこの半剛体セグメントは、人工弁とネジ112とからなる。送達装置100の利点は、シースの平行移動に影響を及ぼすために外側シャフトの雌ネジではなくナット150が使用されるので半剛体セグメントの全長が最短になるという点である。半剛体セグメントの長さを縮小すると、送達カテーテルの遠位端部分にそって全体的な可撓性が高まる。さらに、半剛体セグメントの長さおよび配置は、トルクシャフトが外側シャフトに関して軸方向に平行移動しないので一定のままである。そのようなものとして、弁の配備時に送達カテーテルの湾曲した形状が維持され、これにより配備の安定性が改善されうる。送達装置100のさらなる利点は、リング128が軸方向荷重(圧縮および張力)をリングの遠位にあるトルクシャフト110のセクションに移動するのを妨げる点である。
【0044】
代替的実施形態では、送達装置は、バルーン膨張型人工弁を送達するように適合されうる。上で説明されているように、弁保持機構114は、人工弁を送達装置の端部に固定するために使用されうる。人工弁のステントは自己膨張型ではないため、シース106はオプションであるものとしてよい。保持機構114は、送達装置および人工弁アセンブリを導入器シースに押し通す能力を高める。
【0045】
図23〜26は、一実施形態による、送達装置100の近位端部分を例示している。送達装置100は、カテーテル102、108、118を備えるカテーテルアセンブリ204の近位端部分に解放可能に接続可能であるように構成されたハンドル202を備えることができる。さまざまな理由からハンドル202をカテーテルアセンブリ204から切り離すことが望ましい場合がある。例えば、ハンドルを切り離すことによって、別のデバイスを、弁取り出しデバイス、またはカテーテルアセンブリを操縦するのを補助するデバイスなどの、カテーテルアセンブリ上に摺動させることができる。ハンドル202およびカテーテルアセンブリ204の特徴部のどれかが本明細書で開示されている送達装置の実施形態のどれかに実装することができることに留意されたい。
【0046】
図23および24は、ハンドル202の遠位開口部内に部分的に挿入されたカテーテルアセンブリ204の近位端部分を示している。主シャフト104の近位端部分は、保持機構、またはハンドルの内側のラッチ機構214と連携する輪状溝212(図24に最もよく示されているような)で形成される。図25および26に示されているように、カテーテルアセンブリの近位端部分がハンドル内に完全に挿入されるときに、保持機構214の係合部分216は、溝212内に少なくとも部分的に貫入する。保持機構214の片側が、ハンドルのハウジングを貫通するボタン218に接続される。保持機構214の反対側は、保持機構を溝212のところで主シャフト104と係合する位置に付勢するバネ220と接触する。溝212内の保持機構214の係合により、カテーテルアセンブリがハンドルから軸方向に分離することが妨げられる。カテーテルアセンブリはボタン218を押し下げることによってハンドルから解放され、これにより、保持機構214は主シャフトとの係止係合から外れる。さらに、主シャフト104は、溝212内の平坦な表面部分で形成されうる。平坦な表面部分は、係合部分216の対応する平坦な表面部分に当接する位置に置かれる。この係合により、主シャフト104は、弁の配備時にトルクシャフトが回転されるときにトルクシャフト110に関して静止状態に保持される。
【0047】
トルクシャフト110の近位端部分は、ハンドルの内側に装着された駆動シリンダー224(図25)内に摺動可能に受け入れられる駆動されるナット222(図26)を有することができる。ナット222は、結合部材170(図15)上にナット222を固定することによってトルクシャフト100の近位端に固定されうる。図26は、駆動シリンダーおよび他のコンポーネントが駆動されるナットおよび駆動シリンダー内に位置決めされた他のコンポーネントを示すように取り外されたハンドル202の内側の斜視図である。シリンダー224は、駆動シリンダーの回転がナット222およびトルクシャフト110を回転させる効果を有するようにナット222の平坦部に対応する形状を有するシリンダーの長さにわたって延びる貫通開口部(または内腔)を有する。駆動シリンダーは、主シャフト104(図25)の外面とともにシールを形成する1つまたは複数のシール(例えば、Oリング246)を収納することができる拡大された遠位端部分236を有することができる。ハンドルは、トルクシャフトの内腔および/または主シャフトの内腔と連通する同一平面上のポートを有する取付具238も収納することができる。
【0048】
駆動シリンダー224は、歯車228および230を通じて電気モーター226に動作可能に接続される。ハンドルは、モーター226に電力を供給するための電池を収容する電池コンパートメント232も収納することができる。モーターが一方向に回転すると、トルクシャフト110が回転し、次いで、シース106が引っ込められて、カテーテルアセンブリの遠位端のところで人工弁を露出する。モーターが反対方向に回転すると、トルクシャフトが反対方向に回転し、これにより、シースは人工弁上に戻る。ハンドル上のオペレータボタン234を使用することで、使用者はモーターを作動させて、いずれかの方向に回転させることによって人工弁をシースから出すか、または膨張した、もしくは部分的に膨張した人工弁を取り出すことができる。
【0049】
上で説明されているように、ノーズカテーテルシャフト120の遠位端部分は、送達装置の端部に固定された人工弁を解放するように外フォーク130に関して移動される内フォーク132に固定されうる。主シャフト104(外フォーク130を固定する)に関するシャフト120の移動は、主ハウジング244に関して摺動可能であるハンドルの近位端部分240によって実行されうる。端部240は、端部240の移動が主シャフト104に関するシャフト120の軸方向平行移動に効果を有するようにシャフト120に動作可能に接続される(人工弁が内フォークおよび外フォークから解放される)。端部240は、主ハウジング244に関して端部を保持する係止位置に外向きに通常は付勢されるハンドルの反対側に可撓性側板242を有することができる。人工弁の配備時に、使用者が側板242を押し下げると、側板242はハウジング内の対応する特徴部から係脱し、端部240が主ハウジングに関して近位に引っ張られるようにすることができ、これにより主シャフトに関するシャフト120の対応する軸方向移動が行われる。シャフト120が近位に移動すると、内フォーク132の突起部136がステント12内の開口32から係脱し、次いで、これによりステントの保持アーム30が外フォーク130の突起部134内の開口部140から半径方向外向きに偏向し、これにより、人工弁が解放される。
【0050】
図27は、トルクシャフト(例えば、トルクシャフト110)を駆動するために使用されうる、400に示されている、モーターの代替的実施形態を示している。この実施形態では、カテーテルアセンブリは、歯車装置なしで、モーターのシャフト402の一端に直接接続されうる。シャフト402は、カテーテルアセンブリの一番内側のシャフト(例えば、シャフト120)の通過を可能にする内腔、ガイドワイヤ、および/またはカテーテルアセンブリの内腔をフラッシングするための流体を備える。
【0051】
あるいは、トルクシャフト110を回転するための動力源は、トルクシャフトを回転するように構成されている油圧動力源(例えば、油圧ポンプ)または空気圧(空気式)動力源とすることができる。別の実施形態では、ハンドルは、トルクシャフト110を回転するように動作可能である手動移動可能レバーもしくはホイールを有することができる。
【0052】
別の実施形態では、動力源(例えば、電源、油圧動力源、または空気圧動力源)をシャフトに動作可能に接続することができ、次いで、これは人工弁10に接続される。動力源は、人工弁をシースから送り出すために正確な制御された仕方で弁シースに関して遠位方向にシャフトを縦に往復させるように構成される。あるいは、動力源は、人工弁をシースから配備するために人工弁に関して近位方向にシースを縦に往復させるようにシースに動作可能に接続されうる。
【0053】
図30〜37は、別の実施形態による、送達装置300を示している。図30〜33は、送達装置300の遠位端部分を示している。図34〜35は、送達装置300の近位端部分を示している。図36〜37は、送達装置300からの人工弁10の配備を示している(人工弁の尖部は、図においてわかりやすくするため取り除かれている)。
【0054】
送達装置300は、装置の遠位端のところの弁保持機構306(図32および33)と装置の近位端のところのハンドル部分308(図34および35)との間に延在する細長いシャフト304を有する第1の外側カテーテル302を備える。主カテーテルシャフト304の遠位端は、弁保持機構306に結合され、次いで、これは人工弁10に固定される。外側カテーテル302は、シャフト304の一部を選択的に曲げるか、または屈曲して患者の血管系を通して送達装置を送りやすくするように構成されたガイドカテーテルとすることができる。
【0055】
送達装置は、主カテーテルシャフト304を貫通する細長いトルクシャフト312を有する第2のトルクカテーテル310も備える。トルクシャフト304の遠位端は、保持機構306を貫通する可撓性シャフト316およびシャフト316の長さにそって相隔てて並ぶ1つまたは複数のネジ部材318(図32および33)を備える可撓性ネジ機構314に接続される。図33に示されているように、ネジ機構314のシャフト316は、患者の血管系を通る送達装置を追跡するのを補助するため曲げまたは屈曲できる十分な可撓性を示す。主カテーテルシャフト304は、ネジ部材318の雄ネジと係合する雌ネジで形成されうる。例えば、主シャフト304の遠位端部分(シャフト304の遠位端のところの11mmのセグメント)は、雌ネジで形成されうる。以下でさらに説明されているように、トルクシャフト312の近位端部分は、ハンドル部分308内に貫入し、そこで、主カテーテルシャフト304(図34および35)に関してトルクシャフトを回転させられるように制御つまみ320に結合される。
【0056】
動作時に、それぞれのネジ部材318は、主シャフト304の雌ネジ部分を通過し、係合する。ネジ部材318は、望ましくは、トルクシャフトに印加される軸方向の力を少なくとも最小にするためにネジ部材が雌ネジ部分を通過するときに隣接するネジ部材318が主シャフトの雌ネジ部分の他端から係脱する前にネジ部材318が主シャフト304の雌ネジ部分の一端と係合するように互いに相隔てて並ぶ。このようにして、シースから出す比較的大きな力を、送達装置の全体的な可撓性を損なうことなくシースに加えることができる。
【0057】
送達装置は、遠位端のところでノーズピース328に接続されている細長いシャフト326を有する第3のノーズカテーテル324も備えることができる。ノーズカテーテルシャフト326は、トルクシャフト312を貫通し、ハンドル部分308(図34および35)の近位端から外向きに延在する近位端部分を有する。主カテーテルシャフト304、トルクシャフト312、およびノーズカテーテルシャフト326は、望ましくは、互いに関して軸方向に移動可能なように構成される。
【0058】
図30および31に示されているように、送達装置は、圧縮された人工弁10の上に延在する移動可能なシース322をさらに備えることができる。シース322は、トルクシャフト312およびネジ機構314の縦移動によりシース322の対応する縦移動が生じるようにネジ機構314に接続される。例えば、シースは、フィンガー362(図32)の各開口360内に貫入する内向きに延在する突起部358(図31)を有することができ、次いで、これらは可撓性シャフト316の遠位端に接続される。フィンガー362は、望ましくは、シャフト316が遠位または近位にそれぞれ移動するときにフィンガー362を押すか、または引っ張るが、それでもシャフト316をフィンガー362に関して回転させることができるスイベルジョイントによってシャフト316に接続される。以下でさらに説明するように、その結果、主シャフト304に関するトルクシャフト312およびネジ機構314の回転は、シース322を人工弁に関して近位方向および遠位方向に(図30の双頭矢印330で示されているように)移動させる効果を生じ、シースから人工弁を制御しつつ配備することを可能にする。
【0059】
図32および33を参照すると、弁保持機構306は、外フォーク330および内フォーク332を備えることがわかる。フィンガー362の一部は、内フォーク332が見えるように図33において切り取られている。外フォーク330は、ヘッド部分334およびヘッド部分334から延在する複数の細長い可撓性突起部336(例示されている実施形態では3つ)を備える。上で説明されているように、ヘッド部分334は、弾力性を有する保持フランジ338で形成することができ、これにより、外フォークは主カテーテルシャフト304の段付きシャフト部分とスナップ式の接続部を形成する。内フォーク332は、ノーズカテーテルシャフト326に固定して留められたヘッド部分340、およびヘッド部分340から延在する複数の細長い突起部342を有する。外フォークの突起部336の遠位端部分は、人工弁10の保持アーム30を受け入れるサイズを有する開口344で形成されうる。内フォーク332の突起部342の遠位端は、保持アーム30内の開口32を貫通して、上で説明され図19〜20に示されている弁保持機構114に類似する、人工弁10を固定するための解放可能な接続部を形成する。人工弁がシース322から配備された後、人工弁と保持機構306との間の接続部は、主カテーテルシャフト304に関してノーズカテーテルシャフト326を引っ込めて保持アーム30内の開口32から突起部342を引き出すことによって解放されうる。外側突起部336、およびネジ機構314のシャフト316は、送達装置のその部分を送達装置が患者の血管系を通して埋め込み部位に送られるときに曲げるか、または屈曲させることができる十分な可撓性を示すが、それでも、シース322から配備された後に人工弁の位置変更が可能な十分な剛性を有する。突起部336を備える、外フォーク330は、所望の可撓性をもたらす、金属(例えば、ステンレス鋼)またはポリマーなどの、さまざまな好適な材料から作ることができる。
【0060】
図34および35を参照すると、ハンドル部分308は、第1の歯車348および第2の歯車350を収納するハウジング346を備える。第1の歯車348は、ハウジングを貫通し、ハウジングの外側に配置された制御つまみ320に接続されるシャフトを有する。第2の歯車350は、トルクシャフト312に配設され、固定して留められる。したがって、制御つまみ320を手動で回転させると、第1の歯車348が回転し、次いで、第2の歯車350も回転する。第2の歯車350は、主カテーテルシャフト304、弁保持機構306、および人工弁10に関してトルクシャフト312およびネジ機構314を回転させる。次いで、トルクシャフト312およびネジ機構314が回転すると、シース322が人工弁に関して直線的に移動する。
【0061】
使用時に、人工弁10は、例えば、以下で説明されているローディングコーンのうちの1つを使用することによって達成されうる、半径方向に圧縮された状態(図30に示されているような)でシース322内に装填される。次いで、送達装置300が患者の血管系内に挿入され、埋め込み部位の、または埋め込み部位に隣接する位置まで送られる。次いで、ハンドル部分にあるつまみ320を回転させることによって人工弁10をシースから配備することができ、次いで、これにより、図31に示されているように、トルクシャフト312およびネジ機構316は主シャフト304内に引っ込み、これにより、シース322は近位方向(図31の矢印352)に移動して、人工弁を露出させる。つまみ320が回転することで、弁の配備時にシース322を制御しながら、正確に引っ込めることができる。有利には、シースが引っ込められ、その一方で、シースから出す過程で埋め込み部位において弁輪に関して人工弁の位置が一定に保たれうる。つまみが反対方向に回転すると、シースは遠位方向に移動し、再び人工弁を覆う。したがって、人工弁がシースから少なくとも部分的に送られた後、送達装置の位置を体内で変更するか、または送達装置および人工弁を身体から完全に引き出す必要が生じた場合に、つまみの回転を逆転して、人工弁を圧縮状態でシース内に戻すことが可能である。
【0062】
人工弁10が送達用シースから送られて、その機能するサイズにまで膨張した後(図36に示されているように)、人工弁は、保持機構306を介して送達装置に接続されたままとなる。その結果、人工弁が送達用シースから送られた後、外科医は、送達装置を近位および遠位方向に、または左右に移動するか、または送達装置を回転させることなどによって自然弁内の所望の埋め込み位置に関して人工弁の位置を変更することができ、これにより、人工弁の対応する移動が生じる。保持機構306は、望ましくは、人工弁の位置が自然弁における所望の埋め込み位置に関して調節されるときに血液の流れに抗して送達装置に関する人工弁の位置を保持するのに十分な確実さと剛性を有する人工弁と送達装置との間の接続部を形成する。外科医が自然弁における所望の埋め込み位置に人工弁を位置決めした後、外科医は、人工弁と送達装置との間の接続部を、主カテーテルシャフト304に関してノーズカテーテルシャフト326の近位端354を近位方向に(図34の矢印356で示されているように)引っ張ることによって解放することができ、これは内フォーク332を引っ込めて人工弁(図37)の保持アーム30内の開口部32から突起部342を引き出す効果を有する。主カテーテルシャフト304を引っ込めると、外フォーク330が引っ込み、人工弁が保持機構306から完全に切り離される(図37に示されているように)。これ以降、保持機構はシース322内に引き戻され、送達装置は身体から引き出され、人工弁は(図5Aおよび5Bに示されているような)自然弁内に埋め込まれたまま残すことができる。
【0063】
外フォーク130の突起部134(および外フォーク330の突起部336)は、比較的長く、上で説明されている半剛体セグメントの剛性を高めるので、突起部134をできる限り薄く形成することが望ましい。しかし、比較的薄い突起部は、可撓性が高まるけれども、圧縮および曲げ荷重を受けた場合につぶれやすい。装填している間に機能性を維持しながら突起部の可撓性を最大にするために、外フォークの突起部を事前に内向きに、または外向きに曲げるとよい。例えば、図38は、外フォーク130に類似の構造を有する外フォーク500の一例を示しているが、ただし、後者は突起部の中間あたりでトルクシャフトの方へ半径方向内向きに事前に曲げられた複数の突起部502を有する。したがって、圧縮負荷がかかっているときに、突起部は制御されつつ内向きに曲がることができ、トルクシャフトおよび/またはネジ(外フォークを貫通する)によって支持され突起部のカラム強さを維持する。図39は、事前に半径方向外向きに曲げられた複数の突起部602を有する外フォーク600の別の実施形態を示している。人工弁を覆うシース106の近位延長であってよい、外側シース(図示せず)は突起部602の上に延在しうる。圧縮負荷がかかっているときに、突起部602は外向きに曲がり、シースと接触して、カラム強さを維持することができる。
【0064】
図40は、本明細書で開示されている送達装置のどれかで使用されうる、別の実施形態による、トルクシャフト700(ネックレスに似た構造であるため「ネックレス」シャフトとも称される)を示している。図示されているように、トルクシャフト700は、互いに直列に接続されている複数の輪状金属リンク702を備える1つまたは複数のセクション701を備える。それぞれのリンク702は、遠位に延在する脚部704と近位に延在する脚部706とを交互に並べて有する一般的に円形のバンドを備える。隣接する脚部の間の間隙は、隣接するリンクの脚部を受け入れるための受け入れ空間を形成する。例示されている実施形態では、それぞれの脚部704、706、および受け入れ空間は、一般的に台形状であるが、他の形状も使用することができる。隣接するリンクの間の接続部により、トルクシャフトは任意の方向に曲げることができ、またトルクをシャフトの長さにそって伝えることができる。図41は、トルクシャフトのリンクを形成するための切断パターンを示している。シャフトは、金属チューブ内のリンクをレーザー切断することによって形成されうる。切断後エッチングを使用して、隣接する脚部704、706の間の間隙を広げ、シャフトの所望の可撓性を得ることができる。
【0065】
図40に示されている実施形態では、トルクシャフト700は、複数の相互接続されたリンクからなる遠位セグメント701aおよび近位セグメント701bを備える。例示されているシャフト700は、外側シャフト104の遠位セグメント126に類似する、シャフト内にレーザー切断されるか、または他の何らかの方法で形成された複数のスロットまたは間隙を備える中間セクション710も具備する。トルクシャフトの全長もしくは実質的全長(ハンドルからネジ112まで)が複数の相互接続されたリンク702から形成されうることは理解されるであろう。代替的実施形態では、トルクシャフトの選択された部分は、1つまたは複数のポリマー層からなるトルクシャフトの一部に接続されている相互接続された金属リンクから形成されうる。
【0066】
次に図42を参照すると、外フォーク130および内フォーク132を備える弁保持機構を介してカテーテルアセンブリの遠位端に固定された人工弁10が示されている。ねじ切りしたナット150は、外フォーク130の突起部の間に位置決めされていることがわかっている。人工弁10は、すぐに圧縮され、送達装置のシース106内に装填することができる。図43〜45は、800で示されているローディングコーンの一実施形態、およびローディングコーン800を使用して人工弁10をシース106内に装填するための方法を示している。
【0067】
図示されているように、例示されている実施形態におけるローディングコーン800は、円錐状の第1のセクション802、細長い円柱状の第2のセクション804、比較的短い円錐状の第3のセクション806、および細長い円錐状の第4のセクション808を有する。第1のセクションは、ローディングコーンの入口開口部を画成するが、第4のセクションは、ローディングコーンの出口開口部を画成する。第4のセクション808は、ローディングコーンの出口開口部のところに可撓性脚部810を画成する複数の軸方向スリットで形成されうる。
【0068】
使用時に、カテーテルアセンブリの近位端は、図43に示されているように、入口開口部内に挿入され、人工弁を第1のセクション802内に部分的に入れるためにローディングコーンの出口開口部に引き通される。次いで、カテーテルアセンブリはさらに引っ張られて、人工弁を第2のセクション804内に引き込み、人工弁を部分的に圧縮する。この時点において、使用者は、弁尖部、弁スカート、弁保持機構、および他のコンポーネントを目視検査し、人工弁の最終的な圧縮の前に調節を行うことができる。例えば、使用者は、弁尖部またはスカート内の折り目を取り除き、人工弁が完全に圧縮されるときにこれらのコンポーネントの損傷を最小限に抑え、人工弁が均一で予測可能な仕方でさらに圧縮されることを確実にすることができる。
【0069】
図44に示されているように、調節を行った後、人工弁は第3のセクション806を通して第4のセクション808に引き通され、これにより人工弁が圧縮されて最終的な圧縮サイズに近づき、そうして、ねじ切りしたネット150がローディングコーンの出口から外向きに引っ張られる。可撓性脚部810は、ナット150がローディングコーンの出口に引き通されているときに膨張することができる。第3のセクション806は、第2のセクションから第4のセクション内への人工弁の移動を円滑にする遷移領域として機能する。この時点で、シース106(図においてコーン800の外側、およびナット150の左に位置決めされている)は、ナットの隆起脚部154がシース106内の対応する開口部172内にスナップ式に嵌合するまでシースをナット上に摺動させることによってねじ切りしたナット150に接続されうる。図45に示されているように、次いで、リング814をローディングコーンの出口のところの脚部810の上に置き、人工弁がローディングコーンから引き出されてシース内に入ったときに出口の直径がシース106の内径よりわずかに小さいままとなるようにすることができる。最後に、シース106の遠位端をローディングコーンの出口にあてがい、完全に圧縮された人工弁をシース内に引き込むことができる。
【0070】
図46は、900で示されている、ローディングコーンの別の実施形態を示している。ローディングコーン900は、ローディングコーン800に類似しているが、ローディングコーンの異なるセクションの間の遷移がより緩やかになっている。
【0071】
図47および48は、1000で示されている、シースの代替的実施形態を示している。シース1000はすでに説明されているシース106に類似する構造を有するものとしてよいが、ただし、シース1000は、その遠位端のところに複数の周上に相隔てて並ぶ可撓性フラップ1002を有する。フラップ1002は、望ましくは、内向きに付勢され(図48に示されているように)、人工弁がシースの遠位開口部を通して配備されるときに半径方向外向きに膨張しうる(図49)。図48は、患者の血管系を通して送達するためのノーズコーン122の端部に当接するシース1000の遠位端を示している。この実施形態におけるノーズコーン122は、その近位端に補強リング1004を有することができる。送達カテーテルが患者の血管系に通して送られるときに、フラップ1002はシースの端部とノーズコーンとの間の組織を傷つけない遷移領域として機能し、シースの遠位端との何らかの形の接触で発生しうる周辺組織への損傷を防ぐのに役立つ。
【0072】
図50は、1100で示されている、送達用シースの別の実施形態を示している。遠位フラップを有する代わりに、シース1100は、外側円柱状金属チューブ1104の内面に接着され、金属チューブ1104の遠位端から外向きに延在する可撓性ポリマースリーブ1102を備える。スリーブ1102は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または類似のポリマー材料から作ることができる。スリーブ1102は、周辺組織をシースの金属縁と接触しないよう保護する、シースとノーズコーンとの間の、組織を傷つけないための遷移部として働く。また、スリーブ1102は、人工弁とシースの遠位縁との直接的接触を防ぐので、スリーブ1102は、人工弁上の滑り摩擦を低減する。その結果、シースから配備された後に人工弁を取り出すために著しく小さい力(つまり、患者体内に配備した後に人工弁の上にシースを摺動させて戻すのに必要な力)が必要になる。いくつかの場合において、適切な弁の位置決めを行うため送達装置の遠位端を再追跡することが必要になるが、これは、送達装置の遠位端を罹患弁から引き抜き(例えば、遠位端を大動脈内に引き戻し)、次いで、送達装置を罹患弁内に戻すことを伴いうる。スリーブ1102は、特に罹患弁と再交差するときに周辺組織がシースの金属縁と接触しないよう保護する。
【0073】
図51は、別の実施形態による、人工弁を送達装置のシース内に装填するためのローディングコーンおよびプランジャアセンブリを示している。このアセンブリは、ローディングコーン1200と細長いシャフト1204およびハンドル1206を備えるプランジャ1202とを具備する。例示されている実施形態におけるローディングコーン1200は、ローディングコーンの入口を画成する円錐状の第1のセクション1208、円柱状の第2のセクション1210、円柱状の第3のセクション1212、およびローディングコーンの出口を画成する円柱状の第4のセクション1214を備える。代替的実施形態(図52)では、ローディングコーンは、第4のセクション1214を有さず、出口開口部が、テーパー付きの第3のセクション1212の端部に設けられる。
【0074】
シャフト1204は、第2のセクション1210の内径よりわずかに小さい直径を有し、これにより、シャフトは摺動して第2のセクション内に容易に入ることができる。また、シャフトは、ステントがローディングコーンの第2のセクション1210内に部分的に圧縮された状態で入っている場合に弁ステント12の直径に等しくなるようなサイズを有する。シャフト1204の遠位端は、ステントが部分的に圧縮されたときに流入端26のところでステントの頂点を受け入れるように適合された外面上の複数の周上に隔てて並ぶ陥凹部1216で形成される。ローディングコーンの内面に、第1のセクション1208の内面に部分的にそって、また第2のセクション1210の内面に部分的にそって延在しうる複数の周上に相隔てて並ぶリブ1218が配置される。リブ1218は、ステントが第2のセクション1210内に入るよう付勢されるときにステント12のセル内に部分的に貫入するように適合される。このようにして、リブ1218は、ローディングコーンの内側に圧縮されているときに人工弁の尖部もしくはスカートがステントのセルを通って外向きに突き出るのを防ぎ、したがって、尖部およびスカートがステントの金属ストラット16によってつままれるのを防ぐことができる。
【0075】
使用時に、人工弁(例えば、人工弁10)は、カテーテルアセンブリ上に装着され、その近位端はローディングコーンに引き通され、人工弁を第1のセクション1208内に置く。次いで、人工弁は、第2のセクション1210内に引き込まれ、人工弁を部分的に圧縮する。人工弁が部分的に圧縮された後、プランジャを使用して、人工弁にさらに通しローディングコーンに通すのを補助することができる。特に、プランジャシャフトの端部を人工弁と軸方向に揃え、ステントの頂点を陥凹部1216内に入れる。人工弁が第4のセクション1214に引き通され、送達用シース106内に入れられると(例えば、カテーテルアセンブリをローディングコーンから遠ざかる方向に引っ張ることによって)、プランジャを使用して人工弁をローディングコーン内に同時に押し通すことができる。
【0076】
上で述べたように、送達装置は、人工弁に関して送達用シースの移動を行わせるために電動式ハンドルを有することができる。電動式ハンドルを使用して、人口弁をローディングコーンに引き通して送達用シース内に送り込むことができる。例えば、カテーテルアセンブリがローディングコーンに通されて挿入された後、カテーテルアセンブリの近位端が電動式ハンドルに接続される。人工弁は、カテーテルアセンブリの遠位端の接続部(例えば、ナット150)に送達用シース106を固定することができるよう十分遠くまでローディングコーンに手動で引き通される。次いで、モーターを作動させて、シースをカテーテルアセンブリに関して遠位に移動し、ローディングコーン1200の出口端部に当てると、人工弁がローディングコーンから引き出されてシース内に入れられる。
【0077】
図53は、別の実施形態による、送達装置1300を示している。この実施形態における送達装置1300は、図40に示されているトルクシャフト700を備えることを除き、図30〜33の送達装置300の特徴部のすべてを備える。トルクシャフト700を使用することで、弁の配備時に上行大動脈内に位置決めされた送達装置の部分の可撓性が高められる。送達装置のこの部分は、典型的には、弁の配備時に最大量の曲げの作用を受ける。特定の実施形態では、トルクシャフト700は、弁保持機構から送達装置のハンドルに延在する。他の実施形態では、送達装置は、相互接続された金属リンク702から形成された遠位セグメントと他の材料(例えば、ポリマーチュービングの1つまたは複数の層)から形成された近位セグメントを有するトルクシャフトを備えることができる。
【0078】
図54は、別の実施形態による、送達装置1400を示している。この実施形態における送達装置1400は、外フォーク330を貫通するトルクシャフト700を備える。ネジ1402は、トルクシャフトの長さにそった、外フォーク330の近位に位置決めされる。外側シャフト304(図54には示されていない)は、ネジ1402のネジ山と嵌合する雌ネジで形成され、トルクシャフトの回転をシース322(結合部材362を介してトルクシャフトに接続されている)の軸方向平行移動に変換する。望ましくは、ネジ1402および外側シャフトの雌ネジは、弁の配備時に下行大動脈内に位置決めされたトルクシャフトの長さにそった位置にある。トルクシャフト700が遠位に弁保持機構によって占有された領域内に貫入することで、送達装置のこの部分の全体的な可撓性が高まる。
【0079】
トルクシャフト(リンク間で限定された量の軸方向移動を可能にする)を形成するリンク702内の間隙が存在することで、シース322の遠位端に当たる人工弁の膨張力により、人工弁は配備されているときにシースからわずかに「ジャンプ」しうる。配備されているときの人工弁の膨張を制御するために、バネ1404をトルクシャフト700上に同軸となるように装着することができる。外側シャフト304(図示せず)は、バネ1404の上に少なくとも部分的に延在する。バネの近位端1406は、外側シャフト304の内面に関して固定される。バネ1408の遠位端は、弁の配備時にトルクシャフトが回転してシース322を近位に移動させるときに結合部材362に接触するように位置決めされる。この方法で、バネ1404は圧縮して、遠位方向の力を結合部材362およびシースに印加し、人工弁の膨張によって引き起こされる近位方向のシースの急な移動に抵抗する。
【0080】
図55は、別の実施形態による、送達装置1500を示しており、これは送達装置の修正形態である。この実施形態は、図53に示されている実施形態1300に類似しているが、ただし、リングもしくは固定円板1508(リング128に類似している)がネジの近位にあるトルクシャフト1502上に置かれる。図示されているように、トルクシャフト1502は、図40に示されているシャフト700の同じ構造を有する遠位セグメント1506およびポリマーチュービングの1つまたは複数の層を備えることができる近位セグメント1504を具備することができる。リング1508は、近位セグメント1504の遠位端の近くに装着されうる。リングは、外側シャフト126の内面上に形成された特徴部に受け入れられ、これにより、トルクシャフトを回転させることができるが、外側シャフトに関するトルクシャフトの軸方向平行移動を防ぐことができる。ねじ切りしたナット150を図21に示されているのと同様にしてネジ112上に装着し、トルクシャフトの回転をシース106の軸方向移動に変換することができる。バネ1512をトルクシャフトの遠位セグメント1506上に装着してナット150と接触させ、弁の配備時に弁のジャンプを最小限に抑えることができる。
【0081】
図56は、別の実施形態による、送達装置1600を示している。この実施形態は、図55に示されている実施形態1500に類似しているが、ただし、リング1508がトルクシャフトの遠位セグメント1506の遠位に配置されうる。図56の実施形態において、バネ1512は、除外できるが、それは、リング1508によって、膨張する人工弁の軸力がトルクシャフトの遠位セグメント1506内のリンクに伝えられることが妨げられるからである。
【0082】
図57は、別の実施形態による、送達装置1700を示している。この実施形態は、図55に示されている実施形態1500に類似しているが、ただし、これは、図40に示されているシャフト700の同じ構造を有する遠位セグメント1706および外側シャフト104(図示せず)上の雌ネジと係合するネジ1704を備える近位セグメント1702を備えるトルクシャフトを具備する。遠位セグメント1706は、外フォーク330によって占有されている領域内に部分的に貫入する。バネ1708は、すでに説明されているように弁のジャンプを最小限に抑えるために遠位セグメント1706上に装着することができる。この実施形態を使用すると、遠位1つ/複数のネジ(セグメント1706の遠位にある1つ/複数のネジ)がナット150を回転し、平行移動することができ、その一方で、トルクシャフトを軸方向に平行移動することができる。この機構は、ナット150を上で説明されている実施形態に比べて2倍の速さで駆動する。その結果、この実施形態では、より短い長さの1つ/複数のネジを使用してナット150を移動することができ、したがって、半剛体セグメントの全長を短縮することができる。さらに、この実施形態を使用すると、患者の血管系を通る送達装置の追跡を行っているときに遠位セグメント1706によって占有される送達装置の部分を曲げることができる。
【0083】
知られている導入器シースは、典型的には、約0.010から0.015インチまでの範囲の半径方向壁厚さを有するポリマーチュービングから作られたスリーブを使用する。図58Aは、知られているデバイスに比べて壁厚さがかなり小さい薄いチューブ状層を使用する、2000で示されている、導入器シースの別の実施形態を示している。特定の実施形態では、シース2000の壁厚さは、約0.0005から約0.002インチまでの範囲内である。導入器シース2000は、近位に配置されたハウジング、またはハブ2002、および遠位方向に延在するスリーブ、またはカニューレ2004を備える。ハウジング2002は、失血を最小限に抑えるために当技術分野で知られているようなシールまたは一連のシールを収納することができる。スリーブ2004は、ニチノールまたはステンレス鋼などの金属もしくは金属合金から形成され、望ましくは、所望の程度の可撓性をスリーブに付与する一連の周上に延在するか、もしくは螺旋状に延在するスリットもしくは開口部で形成されるチューブ状層2006を備える。
【0084】
図58Bに示されているように、例えば、チューブ状層2006は、軸方向に延在する接続部分2010が隣接するバンド2007を接続している、円形バンド2007と開口部2008とが交互に並ぶ「Iビーム」パターンで形成される(例えば、レーザー切断される)。2つの隣接するバンド2007は、例示されている実施形態で図示されているように、スリーブの軸の周りで互いから90度隔てて並ぶ4つの接続部分2010などの、複数のある角度で隔てて並ぶ接続部分2010によって接続されうる。スリーブ2004は、よじれまたは座屈なしで、蛇行経路に押し通されるときにスリーブが屈曲できる十分な可撓性を示す。図59は、チューブ状層2006においてレーザー切断されるか、または他の何らかの方法で形成されうる開口部の別のパターンを示している。図59の実施形態におけるチューブ状層は、接続部分2016が隣接するバンド2012を接続し、スリーブの長さにそって螺旋状パターンで配置構成されている、交互に並ぶバンド2012および開口部2014のパターンを有する。代替的実施形態では、バンドおよび開口部のパターンおよび/またはバンドおよび/または開口部の幅は、スリーブの長さにそって変化し、その長さにそったスリーブの堅さを変化させることができる。例えば、バンドの幅は、スリーブの近位端から遠位端へ減少し、スリーブの近位端の近くでは堅さを増し、遠位端の近くでは可撓性を高めることができる。
【0085】
図60に示されているように、スリーブは、チューブ状層2006の上に延在し、スリーブとスリーブが挿入される血管壁との間の摩擦が小さくなるように低摩擦材料から作られた薄い外層2018を有することができる。スリーブは、チューブ状層2006の内面を覆い、スリーブとスリーブ内に挿入される送達装置との間の摩擦が小さくなるように低摩擦材料から作られた薄い内層2020を有することもできる。内層および外層は、PET、PTFE、および/またはFEPなどの、好適なポリマーから作ることができる。
【0086】
特定の実施形態では、チューブ状層2006は、約0.0005から約0.002インチまでの範囲内内の半径方向壁厚さを有する。そのようなものとして、スリーブは、知られているデバイスよりも約1〜2Frだけ小さい外径を有することができる。スリーブ2004のプロファイルが相対的に小さいことで、使い勝手が向上し、動脈壁の破れを介して患者が怪我をするリスクが低減し、石灰化が高い動脈、蛇行経路、または小さな血管径を有する患者に対する侵襲の少ない手術(例えば、心臓弁置換術)の潜在的利用が高まる。
【0087】
導入器シース2000の修正形態において、シースは、それぞれ、内層2020および外層2018を有することができ、これらは金属スリーブの近位端および遠位端のところでのみ金属スリーブ(例えば、スリーブ2004)に固定されている。内側および外側ポリマー層は、例えば、好適な接着剤を使用して、金属スリーブに(または金属スリーブ内の間隙を通じて互いに)接着されうる。この方法で、金属スリーブは、スリーブの長さの大半にそってスリーブの近位端と遠位端との間の内側および外側ポリマー層に付着されないままであり、したがって、スリーブの長さの大半にそってポリマー層に関して「自由に動く状態」にある。この構造により、スリーブの全長にそって内層および外層が接着された場合に比べて金属の隣接するバンドは内層および外層に関してより容易に曲げられ、シースはより高い可撓性を備え、またよじれに対する抵抗性を有する。
【0088】
図61は、導入器シース2000内で使用されうる、2100に示されている、代替的金属スリーブのセグメントを示している。この実施形態におけるシース2000は、望ましくは、内側および外側ポリマー層を備え、これらは望ましくは上で説明されているように近位端および遠位端のところでのみ金属スリーブに固定される。スリーブ2100は、2つの隣接するリングの間に延在する、2つのリンク、または接続部分2104によって接続された円形バンド2102を備える。2つの隣接するバンド2102を接続するリンクのそれぞれの対は、望ましくは、互いから180度隔てて並び、望ましくは、リンクの隣接する対から90度回転オフセットされ、これにより、多軸曲げが可能である。
【0089】
図62は、導入器シース2000内で使用されうる、2200に示されている、金属スリーブの別の実施形態のセグメントを示している。スリーブ2200は、スリーブ2100と同じ切断パターンを有し、したがって、円形のバンド2202および隣接するバンドを接続する2つのリンク2204を有し、スリーブの可撓性を高めるためにそれぞれのバンド2202内に形成された、2つの切欠、または開口2206をさらに備える。切欠2206は、望ましくは、一般的に楕円形であるが、他の形状もとりうる。それぞれの切欠2206は、望ましくは、スリーブの周方向に約180度延在し、望ましくは、隣接するバンド2202内の切欠2206から約90度回転オフセットされる。
【0090】
特定の実施形態では、導入器シースの金属スリーブは、約0.002から約0.006インチまでの範囲内の壁厚さを有する。一実装では、シースは、約0.002インチの壁厚さおよび約.229インチの内径を有する金属スリーブ、約0.0025インチの壁厚さを有する内側ポリマー層、約0.001インチの壁厚さを有する外側ポリマー層、および合計で約0.0055インチの壁厚さ(3つの層すべてを通る)を有する。別の実装では、シースは、約0.004インチの壁厚さおよび約.229インチの内径を有する金属スリーブ、約0.0025インチの壁厚さを有する内側ポリマー層、約0.001インチの壁厚さを有する外側ポリマー層、および合計で約0.0075インチの壁厚さ(3つの層すべてを通る)を有する。図63は、図61の金属スリーブ2100を形成するための切断パターンを示す。図64は、図62の金属スリーブ2200を形成するための切断パターンを示す。図65は、図64と同じ切断パターンを示しているが、図64に示されているのよりも狭い切欠2206を備える。
【0091】
【表1】
【0092】
上のTable 1(表1)は、いくつかの金属スリーブの曲げ性能をまとめたものである。それぞれの金属スリーブは、約0.229インチの内径を有していた。それぞれのスリーブは、図62に示されている切断パターンで形成されたが、ただし、図61に示されている切断パターンで形成されている、Table 1(表1)の最後のスリーブを除く。Table 1(表1)は、スリーブはすべて比較的小さい曲げ半径(1インチ)で送達性をもたらすことを示している。さらに、金属スリーブは、スリーブの目立ってよじれているセクションに送達デバイスを通した後であっても円形断面形状を回復することができることが判明している。
【0093】
図66〜67は、送達装置100のネジ112およびナット150に対する代替的構成を示している。この実施形態では、ネジ112は、螺旋コイル2300で置き換えられ(例えば、金属圧縮もしくは引張バネであってもよい)、ナット150は、コイル2300上に装着されたワッシャ、またはブレード2302の形態のシース保持リングで置き換えられる。コイルの近位端は、トルクシャフト110の遠位端に固定して留められる(例えば、溶接もしくは好適な接着剤によって)。コイル2300は、さまざまな好適な金属(例えば、ステンレス鋼、ニチノールなど)またはポリマー材料から作ることができる。
【0094】
ワッシャ2302は、コイル2300を受け入れる中心部の開口2304、およびコイルの外面上に画成された溝と係合し、望ましくはコイルの巻きもしくはループの間に半径方向内向きに延在する内歯2306を有する。ワッシャ2302の外側周縁は、複数の陥凹部もしくは溝2308で形成され、それぞれ外フォーク130の突起部134を受け入れるサイズを有し、トルクシャフト110が回転するときにワッシャの回転を防ぐ。シース106は、都合のよい任意の方法でワッシャ2302の外側周縁に固定されうる。例えば、陥凹部2308の間の部分は、シース(図18)の開口部172内に貫入し、ワッシャに関してシースを軸方向に、および回転可能に固定することができる。あるいは、ワッシャをシースに溶接するか、または接着可能に固定することができる。
【0095】
送達装置100内に組み込まれたときに、コイル2300およびワッシャ2302は、ネジ112およびナット150と似た仕方で動作する。そこで、トルクシャフト110が回転すると、ワッシャ2302は、コイル2300の長さにそって軸方向に回転させられ、シースの対応する軸方向移動を引き起こし、人工弁を配備するか、または再び人工弁をシース内に戻して取り込む。コイルとワッシャの構成の利点は、コイルによって占有される送達装置の遠位部分を曲げるか、または屈曲させて、患者の血管系、特に大動脈弓が比較的小さく、上行大動脈が短い患者の血管系を通して追跡をしやすくできるという点である。このコイルを使用することで、コイルが患者の血管系の内側で屈曲または湾曲状態にあるときにトルクシャフトが回転した後にシースを(近位に、または遠位に)移動することができる。特定の実施形態では、コイルによって占有されている送達装置の遠位部分は屈曲して、真っ直ぐな構成から約1cmの曲率半径を有する湾曲した構成にすることができる。それに加えて、コイルは、動的荷重(圧縮もしくは張力)の下でそのピッチを変化させることができ、これにより、送達装置の長さにそった張力の増大が低減し、曲げ力を受けたときにワッシャの摩耗が回避される。
【0096】
コイルとワッシャの構成は、身体導管内にさまざまな他の種類の人工インプラントを埋め込むために使用される他の送達装置で実装されうる。例えば、コイルとワッシャの構成は、冠状静脈洞内にステントもしくは類似のインプラントを埋め込むために使用される送達装置内に組み込まれうる。コイルとワッシャの構成は、ネジが曲げ力を受けるネジとナットのアセンブリを置き換えるためにさまざまな非医療用途において使用することもできる。
【0097】
図68は、人工弁10などの、人工心臓弁に組み込まれうるステント2400の代替的実施形態を示している。そこで、尖部アセンブリ(例えば、尖部アセンブリ14)をステントに装着して、人工心臓弁を形成することができる。図68は、ステントの扁平の状態を示しているけれども、当業者であれば、ステントが、実質的に円柱状であるか、またはステント(ステント12に類似のステント)の長さにそって変化する直径を有する形状をとることができる、輪状構成を有することを理解するであろう。ステント2400は、当技術分野で知られているように、さまざまな自己膨張型材料(例えば、ニチノール)または可塑的膨張型材料(例えば、ステンレス鋼)から作ることができる。
【0098】
ステント2400は、送達用シース(例えば、シース106)から完全に配備された後に人工弁の再取り込みをしやすくするように構成されている。図68に示されているように、ステントは第1の端部2402(典型的にはステントの流出端部)およびステントの対向する端部のところの第2の端部2404(典型的にはステントの流入端部)を有する。第1の端部2402は、送達装置に解放可能に接続されるように構成される。そのため、ステント12と同様に、ステント2400は、それぞれが対応する開口部2408を有する、複数の保持アーム2406を有する。ステント2400の保持アーム2406は、上で説明されている外フォーク130および内フォーク132からなる弁保持機構114を使用して送達装置100に解放可能に固定されうる。図を見るとわかるように、ステント2400は、保持アーム2406を除き、第1の端部2402の方向を指す自由頂点を形成するストラットなしで形成されうる。言い換えると、保持アーム2406を除き、ステントは、第1の端部の方向を指す複数の頂点2410を備え、それぞれのそのような頂点2410はストラットの同じ列内の2つのストラット2412a、1412bおよび隣接する列内の少なくとも第3のストラット2412cによって形成される。そのため、第1の端部2402の方向を指すそれぞれの頂点2410は、隣接する頂点に関して外向きに屈曲もしくは曲がることのないように保持される。対照的に、ステントは、ステントの第2の端部2404の方向を指す複数の自由頂点2414で形成されうる。自由頂点2414は、固定された頂点2410のような相対的屈曲をしないように抑止させることはない。
【0099】
使用時に、ステントの保持アーム2406は、患者体内の埋め込み部位に送達するため上で説明されている方法により送達装置100に固定されうる。送達用シース106が引っ込められると、人工弁は自己膨張して(図36または図42に示されている人工弁10に類似する)膨張構成をとる。人工弁の位置を変更したり、人工弁を患者から完全に引き出すなど、人工弁を送達用シース内に再び取り込むことが必要になった場合、人工弁をシース内に引き込んで戻すか、またはシースを人工弁の上に遠位に移動するように送達装置を操作することができる。ステント2400は、保持アーム(送達装置に固定されている)を除き、第1の端部2402の方向を指している自由頂点を備えていないので、シースは、ステントの頂点に引っ掛かることなくステントの上を容易に摺動しうる。言い換えると、送達用シースの遠位端の方を指す頂点はすべて、ステントの上で押し戻されるときに外向きに屈曲するか、または弓なりに曲がって送達用シースの移動の経路内に入り込むことのないように制約される。
【0100】
ステント2400は、ステントの第1の端部のところで3つの自由頂点/保持アーム2406を有するものとして図示されているが、これは必須というわけではない。第1の端部のところの自由頂点の数は変わりうるが、望ましくは、第1の端部2402のところのそれぞれの自由頂点が弁保持機構に固定されうるように弁保持機構の内フォークおよび外フォークのそれぞれの突起部の個数に等しい。また、第2の端部2404のところの自由頂点2414の個数も変わりうる。以下のTable 2(表2)は、ステント内に実装されうる流入自由頂点2414、ストラットの列の数、および流出銃頂点2406のさまざまな組み合わせを示している。上で述べたように、人工弁のステントは、典型的には、ステントの流出端部のところで送達装置に固定される(その場合、第1の端部2402はステントの流出端部である)。人工弁および送出カテーテルが、ステントの流入端部を送出カテーテルに固定するように設計されている場合、ステントは、第1の端部2402がステントの流入端部であり、第2の端部2404がステントの流出端部であることを除き同じ構造を有することができる。いずれの場合も、ストラットおよびストラットのそれぞれの列内の頂点の数は、一般的に、第1の端部2402から第2の端部2404の方向に移動するにつれ増加する。
【0101】
人工弁がステントの流入もしくは流出端部のところで送達装置に固定されることを意図されている場合、ステントは、それぞれの列内の頂点の数がステントの第1の端部2402からステントの中間部に向かうにつれ増加し、次いで、中間部からステントの第2の端部2404に向かうにつれ減少する構成をとることができる。特定の実施形態において、ステントは、ステントの中間を貫通する(流れの軸に垂直である)直線に関して対称的である構成を有することができ、それぞれの列の中の頂点の数は、ステントの第1の端部2402から中間部に向かうにつれ増加し、次いで、ステントの中間部から第2の端部2404に向かうにつれ減少する。
【0102】
図69〜72は、保持アーム2406を除き、ステントの一端に向かう方向を指す自由頂点なしで複数のストラットから形成されたステントの代替的実施形態を示している。図68〜72に示されているステントは、身体内のさまざまな導管または内腔内に埋め込まれたステントグラフトまたは裸のステントなどの、人工弁以外の人工インプラント内に実装することもできる。
【0103】
【表2】
【0104】
図73〜87は、人工弁10を送達装置100に接続し、人工弁を部分的に捲縮して人工弁および送達装置アセンブリをパッケージングするために使用されうるシステムのコンポーネントを示している。システムは、一般的に、保管用チューブアセンブリ3000(図73〜75)、移送用チューブ3006(図76〜77)、アタッチメントスペーサー3008(図78〜80)、取付用工具3018(図81〜83)、取付用プランジャ3034(図84〜85)、およびスリーブ3038(図86〜87)を備える。
【0105】
これらのコンポーネントは、人工弁10を送達装置100に取り付けるための方法、および人工弁を部分的に捲縮し、人工弁および送達装置アセンブリを最終的にパッケージングするため人工弁を部分的に捲縮された状態で保管するための方法に関連して以下で詳しく説明する。最初に図88を参照すると、保管用チューブアセンブリ3000は、前部保管部分3002および後部保管用チューブ部分3004を備え、送達装置の遠位端部分に摺動して載ることがわかる。保管用チューブアセンブリ3000は、人工弁および送達装置アセンブリの最終的なパッケージングのために人工弁10を部分的に捲縮された状態で保管するため後で使用される。次に図89を参照すると、保管用チューブアセンブリの後に、移送用チューブ3006が送達装置の遠位端部分上に摺動して載り、ノーズカテーテルシャフト120がシース106から遠位に数インチ引き離されることがわかる。
【0106】
次に図90〜91を参照すると、アタッチメントスペーサー3008は、ノーズコーンシャフト120上に置かれることがわかる。図78〜80に最もよく示されているように、アタッチメントスペーサー3008は、中間ハブ部分3014から延在する複数の近位突起部、またはトライデント3010、および隣接する突起部3010の間に画成された縦方向に延在する複数の溝3012を備える。ハブ部分の対向する端部から、2つの細長い遠位突起部3016が延在している。図90〜91に示されているように、近位突起部3010は、互いの方に向けて押しつぶすようにすることで半径方向にわずかに圧縮され、外フォーク130の突起部134の遠位端部分の下に摺動する。それぞれの突起部134の遠位端部分は、各溝3012に揃えられ、隣接する突起部3010の対の間に置かれ、これにより、それぞれの突起部134の側縁がアタッチメントスペーサー(図80および91を参照)の隣接する突起部3010の対の陥凹部分3013内に収まるようにできる。
【0107】
次に図92〜93を参照すると、取付用工具3018は、シース106およびアタッチメントスペーサー3008の周りに置かれることがわかる。取付用工具3018は、2つの分離可能なハウジング部分3020を備えることができる。2つのハウジング部分3020が一緒にされたときに(図93)、2つの係止クリップ3022を工具の対向する側縁上に置き、2つのハウジング部分を一緒に保持することができる。組み立てられた取付用工具3018は、送達用シース106を囲む一般的に円柱状の近位部分3024、および人工弁が膨張状態になったときに人工弁10を受け入れるサイズの一般的に円柱状の拡大された遠位部分3026を画成する。図94に示されているように、取付用工具3018は、近位部分3024が拡大された遠位部分3026内に遷移し始める領域に配置された3つの、ある角度で隔てて並ぶ開口、もしくはウィンドウ3028を有する。外フォーク130のそれぞれの突起部134は、図94に示されているように、それぞれの突起部134の開口部140が対応するウィンドウ3028内の中心に来るように各ウィンドウ3028内に揃えられる。図95に示されているように、底部係止コンポーネント3030は、近位部分3024の上に摺動し、その周りに置かれる。係止コンポーネント3030は、シース106に関して取付用工具を保持するのに十分な圧力を近位部分に印加することができる。図96に示されているように、内フォーク132の突起部136は、外フォークの突起部134と回転して揃えられる。次いで、シャフト120を、内側突起部136が取付用工具内のウィンドウ3028の近位にある位置に来るまで近位方向に(矢印3032で示されているような、取付用工具の近位部分3024の方へ)引っ張る。図112に示されているように、外フォーク132の突起部136は、外側突起部136がステント保持アーム30に挿入しやすいように一般的に円錐形状を画成する外向きに湾曲した遠位端部分136aを有することができる。
【0108】
次に図97を参照すると、人工弁10は、人工弁の接合部をプランジャの各ガイドレール3036(図85を参照)と揃え、人工弁の流入端部をプランジャの近位端のところの開口部内に部分的に挿入することによって取付用プランジャ3034上に装着されることがわかる。プランジャの開口部に隣接する内面は、人工弁のステント12の頂点を受け入れるサイズの小さな陥凹部3037(図85)で形成されうる。人工弁10は、ステントの頂点がプランジャ内の陥凹部内にスナップ式に嵌合するようにプランジャ内に押し込まれうる。図98を参照すると、スリーブの近位端部分3040が人工弁10(図99)の流出端部をわずかに超えるまで保護用チューブ状スリーブ3038がプランジャ3034および人工弁10に通されて挿入されることがわかる。スリーブ3038は、人工弁を送達装置に固定するその後のステップにおいて人工弁の尖部をシールドする。
【0109】
図99および100は、人工弁10を送達装置に固定するために使用されているプランジャおよび取付用工具を示している。図99に示されているように、アタッチメントスペーサー3008の遠位突起部3016が、スリーブ3038の近位端部分3040内に挿入され、プランジャの弾力的な係止アーム3042が、取付用工具の嵌合開口部3044と回転して揃えられる。その後、図100に示されているように、人工弁10およびプランジャ3034を、係止アーム3042が取付用工具上3018の係止爪3046を超えて、背後の適所にスナップ式に嵌合するまで取付用工具内に押し込む。人工弁を取付用工具内に押し込む動作により、人工弁の保持アーム30が取付用工具の遠位部分3026の内面にそって摺動し、次いで、外フォーク(図113を参照)の突起部134内の各開口部140を内向きに通る。図83に最もよく示されているように、取付用工具の内面は、ウィンドウ3028と揃えられた3つのある角度で隔てられた溝3045で形成され、ステントの保持アーム30を取付用工具の内面にそって案内し、突起部134の開口部140に通すのを補助することができる。この段階で、図101に示されているように、ノーズコーンシャフト120は、遠位に(矢印3048の方向に)送られ、これにより、内フォークの突起部136は人工弁の保持アーム30内の開口部32を貫通し、これにより、人工弁は送達装置に固定される(図113も参照)。人工弁が送達装置に固定された後、取付用工具、プランジャ、およびアタッチメントスペーサーは、送達装置から取り外すことができる。
【0110】
次に図102を参照すると、移送用チューブ3006(送達装置上にすでに配置されている)は、人工弁に隣接する位置に移動されることがわかる。次いで、図103に示されているように、人工弁10および移送用チューブの拡大された端部3019が弁捲縮機3050の開口内に挿入される。弁捲縮機3050は、人工弁を部分的に捲縮された状態に捲縮(半径方向に圧縮)し部分的に捲縮された人工弁が移送用チューブの主シリンダー3052内に引き込まれるようにするために使用される。部分的に捲縮された状態は、人工弁が完全に膨張した状態から完全に膨張した状態と人工弁が送達用シース106の内側に嵌合する完全に圧縮された状態との間の状態まで半径方向に圧縮されることを意味する。
【0111】
図105に示されているように、主シリンダー3052は、複数の尖部たくし込みウィンドウ3054を有する。たくし込み工具3056(図106)を使用して、使用者は、たくし込み工具3056をウィンドウ3954に通して、ステント12の個別のセル内に挿入し、すべての尖部およびスカート材料がステントの金属ストラットの内側に確実に「たくし込まれる」ようにすることができる。図107および108に示されているように、次いで、後部保管用チューブ部分3004を移送用チューブの主シリンダー3052内に挿入する。最後に、図109および100に示されているように、キャップ部分3005を後部保管用チューブ部分3004の延長部分3007上に置き、前部保管用チューブ部分3002を後部保管用チューブ部分3004に固定する。図74に最もよく示されているように、前部保管用チューブ部分3002は、後部保管用チューブ部分3004上の対応する溝3062内に受け入れられる係止爪3060を有することができる。部分3002および3004は、爪3060を溝3062内に挿入し、部分3002をひねってこれらの2つのコンポーネントの間のスナップ式の嵌合接続を確立することによって固定してつなぎ合わせることができる。
【0112】
図111は、後部保管用チューブ部分3004の内側の人工弁10および後部保管用チューブ部分の対向する端部内に部分的に貫入する送達用シース106を示している。図示されているように、保管用チューブアセンブリの内面は、人工弁を収納する内側ボア3066からシース106を収納する直径が小さい内側ボア3068まで延在するテーパー付き表面3064で形成される。テーパー付き表面3064は、シース106内に引き込まれるときに人工弁を案内し、完全に捲縮するのを助ける。テーパー付き表面に最も近いボア3068の開口部は、シース106の遠位端に当接する輪状リップ部3070で形成される。
【0113】
特定の実施形態において、送達装置100、保管用チューブアセンブリ3000、および部分的に捲縮された人工弁10(ボア3006の内側にある)を備えるアセンブリをこれらすべてのコンポーネントを封入する殺菌済みパッケージ内にパッケージングしてまとめることができる。これらのコンポーネントを収納するパッケージは、保管および最終的使用のために最終使用者に提供されうる。特定の実施形態において、人工弁(典型的には、ウシ心膜組織または他の天然もしくは合成組織から作られる)の尖部34は、完全に、または実質的に脱水され、水和流体なしで部分的にまたは完全に捲縮された状態で保管されるように製造過程で処理される。この方法で、人工弁および送達装置を収納するパッケージは、液体を含まない。乾燥保管用に組織尖部を処理するための方法は、参照により本明細書に組み込まれている2008年12月18日に出願した米国特許第8,007,992号および米国特許公開第2009/0164005号において開示されている。
【0114】
外科医が患者に人工弁を埋め込む準備が整った場合、送達装置100、部分的に捲縮された人工弁10、および保管用チューブアセンブリ3000を手術室の中にいる間にパッケージから取り外すことができる。人工弁10は、シース106を輪状リップ部3070に付勢する方向にトルクシャフト110を回転させることによってシース106内に装填することができ、これにより、人工弁をシース106内に摺動させる。電動式ハンドルが備えられている場合(上で説明されているように)、ハンドルのモーターを作動させることによってトルクシャフトを回転することができる。人工弁がシースの内側に入った後、保管用チューブアセンブリ3000を送達装置から取り出すことができ、これで、患者体内に挿入する準備ができたことになる。これからわかるように、保管用チューブアセンブリ内に部分的に捲縮された状態の人工弁を保管することにより、人工弁を送達装置に接続する作業がなくなり、外科医の捲縮工程が大幅に簡素化される。
【0115】
代替的一実施形態では、人工弁は、送達装置に取り付けられた後、図51〜52に示されているような、ローディングコーン工具を使用して部分的に捲縮させることができる。人工弁は、部分的に捲縮された状態で、送達装置と一緒にパッケージングすることができる、ローディングコーン内に(例えば、コーン1200のセクション1210により)保管することができる。送達装置および人工弁が、使用される場合、外科医は、パッケージからアセンブリを取り外し、トルクシャフトを作動させることなどによって、人工弁をシース106内に装填することができ、人工弁はローディングコーンからシース内に引き込まれる。
【0116】
追加の実施形態では、人工弁の尖部は、人工弁の湿式保管用に処理することができ、その場合、部分的に捲縮された人工弁は、部分的に捲縮された状態の人工弁を保持するコンポーネント(例えば、上で説明されているローディングコーンまたは保管用チューブ)とともに尖部用の水和流体を収容する封止された保管用容器内に入れることができる。人工弁が上で説明されているように送達装置に事前装着されている場合、送達装置および人工弁のパッケージングは、人工弁、人工弁を保持するコンポーネント、および送達装置の遠位端部分を収納する水和流体を入れた封止された保管用容器(湿式保管区画)を備えることができる。送達装置の残り部分は、パッケージングの湿式保管区画から乾式保管区画内に延在しうる。湿式保管用に組織尖部を処理するための方法は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,579,381号で開示されている。
【0117】
他の実施形態では、人工弁は、上で説明されているように送達装置上に事前装着されうるが、事前捲縮されず、その代わりに、人工弁を完全に膨張した状態にして(湿式または乾式保管区画内で)、送達装置と一緒にパッケージングされる。
【0118】
開示されている発明の原理が応用されうる多くの可能な実施形態に関して、例示されている実施形態は、本発明の好ましい例にすぎず、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでないことは理解されるであろう。さらに、追加の実施形態が、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2010/0049313号(米国出願第12/429,040号)で開示されている。それゆえ、本発明の範囲は、以下の請求項によって定められる。したがって、これらの請求項の範囲および精神のうちにあるすべてを本発明として請求する。
【符号の説明】
【0119】
10 人工大動脈心臓弁
12 膨張性フレーム部材またはステント
14 可撓性尖部セクション
16 ストラット
18 ノード
20 一般的に円筒形の「上側」または流出端部分
22 外向きに弓なりに曲がるか、または膨らんだ中間セクション
24 内向きに弓なりに曲がる「下側」または流入端部分
26 流入端部
27 流出端部
28 大動脈弁輪
30 保持アーム、支柱
32 開口
34a、34b、34c 尖部
36 補強セクション
38 上側縁部分
42 弁輪補強スカート
44 縫合線
46 内部補強ストリップ
48 縫合糸
50 縫合糸
52 矢印
56 バルサルバ洞
58 自然尖部
60 流入端部分
62 流出端部分
100 送達装置
102 第1の、一番外側の、または主カテーテル
104 細長いシャフト
106 送達用シース
108 第2の中間カテーテル
110 細長いシャフト
112 細長いネジ
114 弁保持機構
118 第3のノーズコーンカテーテル
120 細長いシャフト
122 前金具またはノーズコーン
126 遠位セグメント
126' セグメント
128 リング
130 外フォーク
132 内フォーク
134 突起部
136 突起部
136a 遠位端部分
138 基部
140 開口部
150 ねじ切りしたナット
154 脚部
160 複数の相互接続された円形バンドもしくはリンク
162 プルワイヤ
164 位置
166 近位セグメント
168 屈曲制御機構
170 結合部材
172 開口部
174 近位端部分
176 中間セクション
178 縦溝、または陥凹部
180 近位端
186 回転可能なハウジング、またはハンドル部分
188 スライドナット
192 レール
202 ハンドル
204 カテーテルアセンブリ
212 環状溝
214 ラッチ機構
216 係合部分
218 ボタン
220 バネ
222 駆動されるナット
224 駆動シリンダー
226 電気モーター
228、230 歯車
232 電池コンパートメント
234 オペレータボタン
236 拡大された遠位端部分
238 取付具
240 近位端部分
242 可撓性側板
244 主ハウジング
246 Oリング
300 送達装置
302 第1の外側カテーテル
304 細長いシャフト
306 弁保持機構
308 ハンドル部分
310 第2のトルクカテーテル
312 細長いトルクシャフト
314 可撓性ネジ機構
316 可撓性シャフト
318 ネジ部材
320 制御つまみ
322 移動可能なシース
324 第3のノーズカテーテル
326 細長いシャフト
328 ノーズピース
330 外フォーク
332 内フォーク
334 ヘッド部分
336 細長い可撓性突起部
338 保持フランジ
340 ヘッド部分
342 突起部
344 開口
346 ハウジング
348 第1の歯車
350 第2の歯車
358 突起部
360 開口
362 フィンガー
402 シャフト
500 外フォーク
502 突起部
600 外フォーク
602 突起部
700 トルクシャフト
701 セクション
701a 遠位セグメント
701b 近位セグメント
702 輪状金属リンク
704 脚部
706 脚部
710 中間セクション
800 ローディングコーン
802 円錐状の第1のセクション
804 細長い円柱状の第2のセクション
806 比較的短い円錐状の第3のセクション
808 細長い円錐状の第4のセクション
810 可撓性脚部
814 リング
900 ローディングコーン
1000 シース
1002 可撓性フラップ
1004 補強リング
1100 シース
1102 可撓性ポリマースリーブ
1104 外側円柱状金属チューブ
1200 ローディングコーン
1202 プランジャ
1204 細長いシャフト
1206 ハンドル
1208 円錐状の第1のセクション
1210 円柱状の第2のセクション
1212 円柱状の第3のセクション
1214 円柱状の第4のセクション
1216 陥凹部
1218 リブ
1300 送達装置
1400 送達装置
1402 ネジ
1404 バネ
1406 近位端
1408 バネ
1500 送達装置
1502 トルクシャフト
1504 近位セグメント
1506 遠位セグメント
1508 リングもしくは固定円板
1512 バネ
1600 送達装置
1700 送達装置
1702 近位セグメント
1704 ネジ
1706 遠位セグメント
1708 バネ
2000 シース
2002 ハウジング、またはハブ
2004 スリーブ、またはカニューレ
2006 チューブ状層
2007 円形バンド
2008 開口部
2010 接続部分
2012 バンド
2014 開口部
2016 接続部分
2018 外層
2020 内層
2100 スリーブ
2102 円形バンド
2104 2つのリンク、または接続部分
2200 スリーブ
2202 円形のバンド
2204 リンク
2206 切欠、または開口
2300 コイル
2302 ワッシャ、またはブレード
2304 中心部の開口
2306 内歯
2308 陥凹部もしくは溝
2400 ステント
2402 第1の端部
2404 第2の端部
2406 保持アーム
2410 頂点
2412a、1412b ストラット
2412c 第3のストラット
2414 自由頂点
3000 保管用チューブアセンブリ
3002 前部保管部分
3004 後部保管用チューブ部分
3005 キャップ部分
3006 移送用チューブ
3007 延長部分
3008 アタッチメントスペーサー
3010 近位突起部、またはトライデント
3012 溝
3013 陥凹部分
3014 中間ハブ部分
3016 遠位突起部
3018 取付用工具
3019 端部
3020 ハウジング部分
3022 係止クリップ
3024 一般的に円柱状の近位部分
3026 一般的に円柱状の拡大された遠位部分
3028 開口、もしくはウィンドウ
3030 底部係止コンポーネント
3034 取付用プランジャ
3036 ガイドレール
3037 陥凹部
3038 スリーブ
3040 近位端部分
3042 係止アーム
3044 嵌合開口部
3046 係止爪
3050 弁捲縮機
3052 主シリンダー
3054 尖部たくし込みウィンドウ
3056 たくし込み工具
3060 係止爪
3062 溝
3064 テーパー付き表面
3066 内側ボア
3068 内側ボア
3070 輪状リップ部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図40A
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58A
図58B
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
図81
図82
図83
図84
図85
図86
図87
図88
図89
図90
図91
図92
図93
図94
図95
図96
図97
図98
図99
図100
図101
図102
図103
図104
図105
図106
図107
図108
図109
図110
図112
図111
図113