特許第6017469号(P6017469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017469穿孔工具を管腔または脈管内に固定するための固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017469
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】穿孔工具を管腔または脈管内に固定するための固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20161020BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61B17/22
   A61M25/10 550
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-558568(P2013-558568)
(86)(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公表番号】特表2014-516596(P2014-516596A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】IE2012000012
(87)【国際公開番号】WO2012123930
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】S2011/0123
(32)【優先日】2011年3月15日
(33)【優先権主張国】IE
(73)【特許権者】
【識別番号】513232244
【氏名又は名称】ヘンリー・ウィリアム・ラプトン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ウィリアム・ラプトン
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−503878(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0306597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔工具を管腔または脈管内の部位に固定する固定装置であって、
前記管腔または脈管内で前記固定装置を固定するために拡張するように適合された拡張可能要素であって、前記固定装置を、前記管腔または脈管内の前記部位に送達する送達装置の拡張可能部材に解放可能に固定するように適合された拡張可能要素と、
穿孔工具を案内するために、前記穿孔工具および前記穿孔工具の搬送要素のうちの一方を収容するように貫通して延在する案内穴を画定する案内要素と、
前記穿孔工具を前記固定装置に対して前記案内要素の外方向に押し進ませることができるように前記穿孔工具および前記穿孔工具の前記搬送要素のうちの一方に係合させるための、前記案内要素および前記拡張可能要素のうちの一方に関連付けられた係合手段と、
を備えている固定装置。
【請求項2】
前記拡張可能要素が、前記送達装置の前記拡張可能部材に取り付けられるように適合された請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記拡張可能要素が、前記送達装置の前記拡張可能部材の外側表面に係合するように適合された請求項1または2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記拡張可能要素が、前記送達装置の前記拡張可能部材と共に拡張可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項5】
前記拡張可能要素が、弾性材料からなる請求項1から4のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項6】
前記拡張可能要素が、前記送達装置の前記拡張可能部材と共に可逆的に拡張可能である請求項1から5のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項7】
前記拡張可能要素が、バルーンカテーテルに配置された膨張可能バルーンと係合するように適合された請求項1から6のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項8】
前記拡張可能要素が、穴の開いた材料を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項9】
前記拡張可能要素が、形状記憶金属を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項10】
前記係合手段が、前記案内穴および前記拡張可能要素のうちの一方に位置する内側一次ねじ山を備えている請求項1から9のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項11】
前記内側一次ねじ山が、前記穿孔工具および前記穿孔工具の前記搬送要素のうちの一方の対応する外側ねじ山に係合するように適合された請求項10に記載の固定装置。
【請求項12】
前記拡張可能要素が主中心軸を規定し、かつ前記案内要素の前記案内穴が二次中心軸を規定している請求項1から11のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項13】
前記案内要素は、前記案内要素の前記案内穴により規定される前記二次中心軸が、前記拡張可能要素により規定される前記主中心軸からオフセットされると共に前記拡張可能要素により規定される前記主中心軸に対して実質的に平行に延在するように、前記拡張可能要素に対して構成された請求項12に記載の固定装置。
【請求項14】
前記案内要素は、前記案内要素の前記案内穴により規定される前記二次中心軸が、前記拡張可能要素により規定される前記主中心軸に対してゼロを超える角度で延在するように、前記拡張可能要素に対して構成された請求項12に記載の固定装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の固定装置、および前記固定装置の案内要素の案内穴を通って延在するように前記固定装置と協動可能な穿孔工具、ならびに、前記固定装置を前記管腔または脈管内の部位に送達する送達デバイスを備えている組合せ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するための固定装置および方法に関し、本発明はまた、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するためのバルーンカテーテルに取り付けるアダプタに関する。本発明はまた、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するためのアダプタとバルーンカテーテルとの組合せ体に関し、本発明はさらに、固定装置またはアダプタと穿孔工具との組合せ体に関する。さらに本発明は、固定装置と、固定装置を管腔または脈管内の遠隔部位に送達する送達装置との組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管の閉塞は、血管内における様々な組織成長の結果として生ずる。組織は密度が高く、繊維質になり、その表面が石灰化して硬化するおそれがある。このような血管の障害を除くための最も一般的な最小の侵襲性治療は、血管形成術と呼ばれる治療である。血管形成術治療では、バルーンカテーテルが、通常、大腿動脈または橈骨動脈のうちの一方を通して、動脈系または静脈系に挿入され、動脈系または静脈系を通して閉塞部位に送られる。バルーンカテーテルは、バルーンを担持している先端部で終わっており、収縮した状態のバルーンが閉塞部内に配置されるように、閉塞部を通してその先端部が押し進められる。バルーンの膨張によって閉塞された血管が拡張され、通常、管状のワイヤメッシュ構成のものであるステントがバルーンの外側で運ばれて、バルーンを膨張させることにより拡張する。拡張したステントは、バルーンが収縮した後、拡張した状態で閉塞部位の定位置に留まる。ステントは、血管の閉塞部位を拡張状態に維持するために、血管内で植え込まれた骨組み(scaffold)として働く。
【0003】
しかし、血管形成術治療を実施するためには、まず、通常、ガイドワイヤであるワイヤで障害物を横断させる必要があり、ワイヤはレールとして働き、その上をバルーンカテーテルが閉塞部へと進む。ガイドワイヤで閉塞部を横断させること、またはバルーンカテーテルの位置決めをしてバルーンを閉塞部内に配置することに失敗した場合、閉塞部の障害を除くためには、従来の外科的な侵襲性技法に戻る必要がある。
【0004】
通常、血管形成術治療では、閉塞された血管へと前進するガイドワイヤは、比較的堅いワイヤであり、また閉塞部が比較的柔らかい場合は、手動でガイドワイヤをその軸方向に押し進めれば、十分にガイドワイヤを閉塞部に押し進めることができる。しかし、閉塞部が石灰化し、硬化している場合には、閉塞部を通過させようとするには、レーザカテーテルまたは高周波ガイドワイヤを使用する必要がある。このようなレーザカテーテルおよび高周波ガイドワイヤは、比較的費用のかかる外部の電源函(power pack)が必要であり、またその操作を行うための高度に訓練された人員も必要である。
【0005】
さらに、閉塞部の障害を除くための知られた最小の侵襲性システムは、バルーンカテーテルであっても、なくてもよいカテーテルを通して、ガイドワイヤを押し込むことにより体の外部から制御する必要がある。したがって、閉塞部の中を押し進められるガイドワイヤの先端の制御は任意のものであり、ガイドワイヤの先端を、閉塞部と係合させるように前進させるとき、血管内の実質的に中心位置のままであるという保証はない。実際、ガイドワイヤを、閉塞部と係合させるように前進させているとき、特に比較的堅い閉塞部では、閉塞部の一方の側へと滑って血管の切離を生じ、ガイドワイヤの先端が血管壁を貫通して、血管壁の内層を外層から分離してしまうことは珍しいことではない。これは、血管壁内に誤った管腔を生成するおそれがある。極端な場合には、閉塞部の側部へと滑ったガイドワイヤは、血管壁を貫通し、そこから出る可能性があり、したがって、血管に穴が開き、これにより、内出血を生じさせる。この問題は、閉塞した血管が、心臓血管系内である場合、さらに悪い状態になるが、それは、心臓は拍動すると動くので、ガイドワイヤの先端を閉塞された血管内で中心に維持することは実質的に不可能なためである。
【0006】
本出願人らによる特許文献1は、内部に閉塞部を有する遠隔部位で、閉塞された管腔または脈管の障害を除くための装置を開示する。しかし、この米国特許明細書に開示された装置は、特殊目的の装置であり、この特定の作業に対してのみ適しており、比較的費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0306597号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、閉塞部の障害を除くための穿孔工具と共に使用し、手術室で容易に利用できる、他の機器に取り付けることも可能な費用のかからない装置が利用できると有利なはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するための固定装置および方法を提供することを対象とし、また本発明は、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するための、バルーンカテーテルに取り付けるアダプタをさらに対象とする。本発明は、穿孔工具を管腔または脈管内に固定するためのアダプタとバルーンカテーテルとの組合せ体をさらに対象とし、また本発明は、固定装置またはアダプタと穿孔工具との組合せ体をさらに対象とする。さらに本発明は、固定装置と、固定装置を管腔または脈管内の遠隔部位に送達する送達装置との組合せ体を対象とする。
【0010】
本発明によれば、穿孔工具を管腔または脈管内の部位に固定するための固定装置が提供され、固定装置は、管腔または脈管内で固定装置を中に固定するために拡張するように適合された拡張可能な要素であり、固定装置を、管腔または脈管内の部位に送達する送達装置に固定されるように適合された拡張可能な要素と、穿孔工具を案内するために、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を収容するように貫通して延在する案内穴を画定する案内要素と、穿孔工具を固定装置に対して案内要素の外方向に押し進めることができるように穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方に係合させるための、案内要素および拡張可能な要素のうちの一方に関連付けられた係合手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様では、拡張可能な要素が主中心軸を規定し、また案内要素の案内穴は、二次中心軸を規定する。
【0012】
本発明の一実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して実質的に平行に延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。
【0013】
本発明の他の実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸と実質的に一致するように、拡張可能な要素に対して構成される。
【0014】
本発明の代替の実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸からオフセットされるように、拡張可能な要素に対して構成される。
【0015】
本発明の他の代替の実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対してゼロを超える角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。
【0016】
案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して1°から90°の間の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成されることが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して20°から35°の間の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して約30°の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成されることが好ましい。
【0018】
本発明の他の実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して35°から55°の間の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して約45°の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成されることが好ましい。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して55°から70°の間の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して約60°の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成されることが好ましい。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して70°から90°の間の角度で延在するように、拡張可能な要素に対して構成される。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、拡張可能な要素により規定される主中心軸に対して約90°の角度で延在するように拡張可能な要素に対して構成されることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様では、案内要素は、拡張可能な要素から延在する。本発明の他の態様では、案内要素は、拡張可能な要素内に位置する。
【0022】
本発明の一実施形態では、係合手段は、案内穴および拡張可能な要素のうちの一方に位置する内側の一次ねじ山を備える。好ましくは、一次ねじ山は、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方の対応する外側のねじ山に係合するように適合される。
【0023】
本発明の一実施形態では、係合手段は、案内要素の案内穴の中に位置する。
【0024】
拡張可能な要素は、可逆的に拡張可能であることが好ましい。拡張可能な要素は、それに対して作用する半径方向外側の圧力に応じて拡張可能であると有利である。理想的には、拡張可能な要素は、弾性材料からなる。
【0025】
本発明の一実施形態では、拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材に解放可能に固定されるように適合される。
【0026】
拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材に取り付けられるように適合されることが好ましい。拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材に係合するように適合されると有利である。拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材と解放可能に係合するように適合されることが好ましい。
【0027】
本発明の一態様では、拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材の外側表面に係合するように適合される。
【0028】
本発明の他の態様では、固定手段が、拡張可能な要素を、送達装置の拡張可能な部材に固定するように提供される。固定手段は、拡張可能な要素を、送達装置の拡張可能な部材に解放可能に固定するように適合されることが好ましい。固定手段が、拡張可能な要素の内部に形成された摩擦表面を備えると有利である。理想的には、固定手段は、拡張可能な要素の内部表面から内側方向に延在した、少なくとも1つの円周方向に延在する隆起部を備える。
【0029】
代替的に、固定手段は、二次ねじ山を備える。二次ねじ山は、一次ねじ山とはねじ方向が左右逆であることが好ましい。
【0030】
本発明の他の態様では、停止手段が、拡張可能な要素と送達装置の間の相対的な回転を阻止するように提供される。停止手段は、拡張可能な要素の内部表面から内側方向に延在した、少なくとも1つの長手方向に延在する隆起部を備えることが好ましい。
【0031】
拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材と共に拡張可能であると有利である。
【0032】
拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材と共に可逆的に拡張可能であることが好ましい。
【0033】
本発明の他の態様では、拡張可能な要素は、バルーンカテーテル上に位置する膨張可能なバルーンに係合するように適合される。拡張可能な要素は、バルーンカテーテルの遠位端に隣接して配置された膨張可能なバルーンに係合するように適合されることが好ましい。
【0034】
本発明の他の態様では、拡張可能な要素はシート材料からなる。
【0035】
本発明の他の態様では、拡張可能な要素は穴が開けられた材料からなる。
【0036】
本発明のさらなる態様では、拡張可能な要素はプラスチック材料からなる。
【0037】
代替的には、拡張可能な要素は金属材料からなる。拡張可能な要素は、形状記憶金属からなることが好ましい。拡張可能な要素は、ニチノール金属からなると有利である。
【0038】
本発明の他の実施形態では、案内要素は半剛性材料からなる。案内要素は、剛性材料からなることが好ましい。
【0039】
本発明の一態様では、案内要素はプラスチック材料からなる。
【0040】
本発明の他の態様では、案内要素は金属材料からなる。
【0041】
本発明のさらなる態様では、案内要素の材料は、拡張可能な要素の材料と同様のものであるが、案内要素においては拡張不能であるように構成された材料からなる。
【0042】
固定装置は、カテーテルにより管腔または脈管内の部位に送達されるように構成可能であると好ましい。
【0043】
本発明はまた、本発明による固定装置と、固定装置の案内要素の案内穴を通って延在するように固定装置と協動可能な穿孔工具と、を備える組合せ体を提供する。
【0044】
穿孔工具は、穿孔要素および搬送要素を備えることが好ましい。
【0045】
搬送要素が、細長い搬送ワイヤを備えると有利である。
【0046】
穿孔要素は、搬送ワイヤの遠位端に取り付けられ、そこから延在することが好ましい。
【0047】
穿孔要素が、搬送要素と同軸に延在すると有利である。
【0048】
本発明の一態様では、穿孔要素および搬送要素のうちの一方が、外側のねじ山を備え、外側のねじ山は、穿孔要素を案内要素に対して押し進めるために、固定装置の一次内側のねじ山と協動可能であるように適合される。
【0049】
穿孔要素は、遠位の穿孔先端部を備えることが好ましい。
【0050】
有利には、外側のねじ山は、穿孔要素上に、その穿孔先端部と搬送要素の中間に設けられる。
【0051】
本発明の一態様では、組合せ体は、固定装置を管腔または脈管内の部位に送達するための送達装置をさらに備える。
【0052】
本発明の他の態様では、送達装置は、そこに取り付けられた拡張可能な部材を備え、固定装置の拡張可能な要素は、送達装置の拡張可能な部材と解放可能に係合可能である。
【0053】
本発明のさらなる態様では、送達装置はバルーンカテーテルを含み、また固定装置の拡張可能な要素は、バルーンカテーテルのバルーンと解放可能に係合可能である。
【0054】
バルーンカテーテルのバルーンは、バルーンカテーテルの遠位端に隣接して配置されることが好ましい。
【0055】
さらに、本発明は、本発明による固定装置とバルーンカテーテルとを含む組合せ体を提供し、固定装置の拡張可能な要素は、バルーンカテーテルのバルーンと解放可能に係合可能である。
【0056】
バルーンカテーテルは、細長いカテーテルと、カテーテルに取り付けられたバルーンと、を備えることが好ましい。
【0057】
バルーンカテーテルのバルーンは、カテーテル上に、その遠位端に隣接して配置されると有利である。
【0058】
理想的には、固定装置の拡張可能な要素は、バルーンカテーテルのバルーン上に、バルーンの遠位端に隣接して取り付けられる。
【0059】
本発明はまた、バルーンカテーテルのカテーテルの遠位端に固定するためのアダプタを提供し、アダプタは、貫通して延在する案内穴を画定する案内要素であり、案内穴が、穿孔工具を案内するために、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を収容するように適合される、案内要素と、アダプタをカテーテルに結合するように適合される結合手段と、穿孔工具をアダプタに対して案内要素の外方向に押し進めることができるように、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方に係合するための、案内要素および結合手段のうちの一方における係合手段と、を備える。
【0060】
本発明の一態様では、係合手段は、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方の対応する外側のねじ山と協動する内側の一次ねじ山を備える。係合手段は、案内要素の案内穴の中に位置することが好ましい。
【0061】
本発明の他の態様では、結合手段は、アダプタを、バルーンに隣接してバルーンカテーテルのカテーテルに結合するように適合される。
【0062】
結合手段は、アダプタを、バルーンの遠位端に隣接してカテーテルに結合するように適合されることが好ましい。結合手段は、カテーテルの遠位端に結合するように適合されると有利である。理想的には、結合手段は、アダプタを、バルーンの近位端に隣接してカテーテルに結合するように適合される。結合手段は、アダプタを、バルーンカテーテルに対して解放可能に結合するように適合されることが好ましい。
【0063】
本発明の他の態様では、連通穴が結合手段を貫通して延在し、連通穴は、穿孔工具および搬送要素のうちの一方を通して案内穴に収容するように案内穴と連通しており、穿孔工具および搬送要素のうちの一方を、カテーテルを貫通して延在する穴から案内要素の案内穴へと収容するために、バルーンカテーテルのカテーテルを通して長手方向に延在する細長い穴と連通するように適合される。
【0064】
結合手段は、アダプタをバルーンカテーテルに解放可能に固定するための二次ねじ山を備えると有利である。二次ねじ山は、結合手段の連通穴の中に位置する内側の二次ねじ山を備えることが好ましい。二次ねじ山は、結合手段が、カテーテルの遠位端にねじ込まれると、カテーテルの遠位端に隣接してカテーテル上に対応するねじ山を形成するように適合されると有利である。理想的には、二次ねじ山は、一次ねじ山側に対してねじ方向が左右逆である。
【0065】
本発明の他の態様では、結合手段は、使用時に、バルーンカテーテルにより規定される長手方向に延在する中心軸に対して実質的に平行に延在するように適合された主中心軸を規定し、また案内要素の案内穴は、二次中心軸を規定する。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して実質的に平行に延在するように、結合手段に対して構成されることが好ましい。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸と実質的に一致するように、結合手段に対して構成されると有利である。代替的には、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸からオフセットされるように、結合手段に対して構成される。
【0066】
本発明の他の代替の態様では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対してゼロを超える角度で延在するように、結合手段に対して構成される。案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して1°から90°の間の角度で延在するように、結合手段に対して構成されることが好ましい。
【0067】
本発明の一態様では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して20°から35°の間の角度で延在するように、結合手段に対して構成される。
【0068】
本発明の他の態様では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して35°から55°の間の角度で延在するように、結合手段に対して構成される。
【0069】
本発明のさらなる態様では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して55°から70°の間の角度で延在するように、結合手段に対して構成される。
【0070】
本発明のさらに他の態様では、案内要素は、案内要素の案内穴により規定される二次中心軸が、結合手段により規定される主中心軸に対して約90°の角度で延在するように結合手段に対して構成される。
【0071】
案内要素は、結合手段から延在することが好ましい。
【0072】
本発明の他の態様では、アダプタは、剛性材料および半剛性材料のうちの一方からなる。
【0073】
本発明の他の態様では、アダプタは、プラスチック材料からなる。
【0074】
本発明の代替の態様では、アダプタは金属材料からなる。
【0075】
本発明はまた、本発明によるアダプタと、アダプタの案内要素の案内穴を通って延在するようにアダプタと協動可能な穿孔工具と、を備える組合せ体を提供する。
【0076】
本発明の他の態様では、組合せ体は、アダプタを管腔または脈管内の部位に送達するためのバルーンカテーテルをさらに備える。
【0077】
アダプタは、結合手段により、バルーンカテーテルのカテーテルに、その遠位端に隣接して結合されることが好ましい。
【0078】
本発明の一実施形態では、バルーンカテーテルのバルーンは、バルーンカテーテルの遠位端に隣接して位置する。
【0079】
本発明はまた、本発明によるアダプタと、細長いカテーテルおよびカテーテルに取り付けられたバルーンを備えるバルーンカテーテルと、を備える組合せ体を提供し、アダプタは、結合手段によりカテーテルに、その遠位端に隣接して結合される。
【0080】
さらに本発明は、管腔または脈管内の部位に穿孔工具を固定するための固定装置を提供し、固定装置は、管腔または脈管内で固定装置を固定するために拡張するように適合された拡張可能な要素であり、送達カテーテルの長手方向に延在する送達穴を通して部位に送達されるように適合され、部位に隣接して管腔または脈管内に固定装置を固定するために、部位に隣接する送達カテーテルの送達穴の外に押し進めると外方向に拡張するように適合された自己拡張性の要素を備える、拡張可能な要素と、穿孔工具を案内するために、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を収容するように貫通して延在する案内穴を画定する案内要素と、穿孔工具を固定装置に対して案内要素の外方向に押し進めることができるように、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方に係合するための、案内要素および拡張可能要素のうちの一方に関連付けられた係合手段と、を備える。
【0081】
本発明の一態様では、貫通する穴を有する搬送管は、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方をその中を通して案内要素の案内穴に収容するように、拡張可能な要素から延在する。
【0082】
拡張可能な要素は、搬送管と案内要素の間に位置することが好ましい。
【0083】
拡張可能な要素は、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を、搬送管から案内要素の案内穴に収容すると有利である。
【0084】
本発明はまた、遠隔部位に隣接して管腔または脈管内に穿孔工具を固定するための方法を提供し、方法は、拡張可能な要素を、送達装置の拡張可能な部材上に取り付けた状態で、本発明による固定装置を送達装置に配置するステップと、そこに固定装置を配置した送達装置を、管腔または脈管内の遠隔部位に押し進めるステップと、送達装置の拡張可能な部材を拡張させて、遠隔部位に隣接する管腔または脈管内で固定装置の拡張可能な要素を拡張し、固定装置を管腔内に固定するステップと、穿孔工具および搬送要素のうちの一方を係合手段に係合させて、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を、案内要素の案内穴の中に配置するステップと、穿孔工具を、固定装置に対して案内要素の案内穴の外方向に押し進めるステップと、を含む。
【0085】
本発明の一実施形態では、拡張可能な要素を拡張する前に、固定装置の案内要素の案内穴が、穿孔工具によって開口部が作られる領域と実質的に位置合せされるように、固定装置は、遠隔部位に隣接して管腔内に配置される。
【0086】
本発明の他の態様では、穿孔工具は、開口部が作られる領域と係合するように押し進められて、開口部を形成する。
【0087】
本発明のさらなる態様では、固定装置は、管腔または脈管内の閉塞部に隣接する遠隔部位へと押し進められ、穿孔工具は、閉塞部と係合するように押し進められて、閉塞部を貫通する開口部を形成する。
【0088】
さらに本発明は、遠隔部位に隣接して管腔または脈管内に穿孔工具を固定するための方法を提供し、方法は、本発明によるアダプタをバルーンカテーテルに固定するステップと、アダプタが固定されたバルーンカテーテルを管腔または脈管内の遠隔部位に押し進めるステップと、アダプタを、遠隔部位に隣接して管腔または脈管内に固定するために、バルーンカテーテルのバルーンを膨張させるステップと、穿孔工具および搬送要素のうちの一方を係合手段に係合させて、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を案内要素の案内穴の中に配置するステップと、穿孔工具を、アダプタに対して案内要素の案内穴の外方向に押し進めるステップと、を含む。
【0089】
本発明の他の実施形態では、バルーンを膨張させる前に、アダプタの案内要素の案内穴が、穿孔工具によって開口部が作られる領域と実質的に位置合せされるように、アダプタは、遠隔部位に隣接して管腔内に配置される。
【0090】
本発明の他の実施形態では、アダプタは、管腔または脈管内の閉塞部に隣接する遠隔部位に押し進められ、穿孔工具は、閉塞部と係合するように押し進められて、閉塞部を貫通する開口部を形成する。
【0091】
さらに本発明は、穿孔工具を、遠隔部位に隣接して管腔または脈管内に固定するための方法を提供し、方法は、本発明による固定装置を、送達カテーテルを通して管腔または脈管内の遠隔部位に押し進めるステップと、固定装置の拡張可能な要素を送達カテーテルの遠位端を通して押し進めて、遠隔部位に隣接する管腔または脈管内で、固定装置の拡張可能な要素を拡張するステップと、穿孔工具および搬送要素のうちの一方を係合手段に係合させて、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素のうちの一方を案内要素の案内穴の中に配置するステップと、穿孔工具を、固定装置に対して案内要素の案内穴の外方向に押し進めるステップと、を含む。
【0092】
本発明の一実施形態では、拡張可能な要素は、遠隔部位に隣接するカテーテルの遠位端に配置され、送達カテーテルの遠位端を通して拡張可能な要素を押し進める前に、案内要素は、穿孔工具により開口部が作られる領域に対して延在しており、したがって、拡張可能な要素を、送達カテーテルの遠位端を通して管腔の中へと押し進めると、案内穴は、開口部が作られる領域と位置合せされる。
【0093】
本発明は、バルーンカテーテルをさらに提供し、バルーンカテーテルは、近位端から遠位端に延在する細長いカテーテルと、カテーテルに配置された膨張可能なバルーンと、バルーンに隣接してカテーテルから延在する案内要素であり、穿孔工具をその中を通して案内するように貫通して延在する案内穴を備え、案内穴が、穿孔工具および穿孔工具の搬送要素を通して案内穴に収容するために、カテーテルの中心管腔、およびカテーテルに沿って延在する細長い管状部材を貫通して延在する穴のうちの一方と連通している、案内要素と、穿孔工具を、案内要素に対して案内要素の外方向に押し進めることができるように、穿孔工具および搬送要素のうちの一方に係合するための係合手段と、を備える。
【0094】
本発明の一態様では、案内要素は、バルーンの近位端に隣接してカテーテルから延在する。
【0095】
本発明の他の態様では、案内要素は、バルーンの遠位端に隣接してカテーテルから延在する。
【0096】
本発明のさらなる態様では、案内要素は、カテーテルからゼロを超える角度で延在する。
【0097】
本発明の他の態様では、案内要素は、カテーテルから1°から90°の範囲の角度で延在する。
【0098】
本発明のさらなる態様では、バルーンは、カテーテルの遠位端に隣接して配置される。
【発明の効果】
【0099】
本発明の利点は数多くある。本発明による固定装置の特別な利点は、比較的低コストで提供できることであり、固定装置を管腔または脈管内の遠隔部位に送達するために、手術室で容易に利用できるタイプの従来のバルーンカテーテルまたは他の送達装置に容易に取り付けることができ、遠隔部位に隣接して固定されると、固定された固定装置に対して、穿孔工具を閉塞部と係合させ、貫通するように押し進めることができる。こうすることにより、閉塞部の障害を除く手技を実施するための、または管腔もしくは脈管の壁に開口部を形成するための機器を提供するコストが大幅に低減される。同様の利点が、本発明によるアダプタにより達成される。本発明による固定装置およびアダプタは、案内要素が、拡張可能な要素または結合手段に対して0度を超える角度で角度が付けられたとき、穿孔工具を、例えば、管腔または脈管の中心軸に対してある角度で、管腔または脈管の壁を通る、または閉塞部を通る開口部を形成するように案内できるという点でさらなる利点を提供する。
【0100】
本発明による方法の利点、および本発明による組合せ体に対する利点は、実質的にここで述べたものと同様のものである。
【0101】
本発明は、添付の図面を参照して、例として示されたものに過ぎないが、そのいくつかの好ましい実施形態に関する以下の説明からより明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】本発明による固定装置の部分的な断面斜視図である。
図2】バルーンカテーテルの遠位端に取り付けられて示された図1の固定装置の一部の横断側面図である。
図3図1の固定装置の細部の切断斜視図である。
図4】使用時にバルーンカテーテルに取り付けられた固定装置を示す管腔の断面側面図である。
図5図4と同様の図であるが、固定装置およびバルーンカテーテルの部分が断面で示され、使用時の固定装置およびバルーンカテーテルをさらに示している図である。
図6】本発明の他の実施形態による固定装置の斜視図である。
図7】バルーンカテーテルに取り付けられて示された本発明の他の実施形態による固定装置の斜視図である。
図8】固定装置がバルーンカテーテルに取り付けられる前に示された図7の固定装置およびバルーンカテーテルの一部の斜視図である。
図9】本発明の他の実施形態による固定装置の斜視図である。
図10図9の固定装置が取り付けられたバルーンカテーテルの斜視図である。
図11】使用時における図9の固定装置および図10のバルーンカテーテルを示す管腔の断面側面図である。
図12】カテーテル内に配置された本発明の他の実施形態による固定装置の断面側面図である。
図13】別の状態の図12の固定装置の断面側面図である。
図14】本発明によるアダプタの拡張された断面側面図である。
図15】バルーンカテーテルに取り付けられて示された図14のアダプタの側面図である。
図16】本発明の他の実施形態によるアダプタの図14のものと同様の拡張図である。
図17】バルーンカテーテルに取り付けられて示された図16のアダプタの図15と同様の図である。
図18】本発明の他の実施形態による固定装置の側面図である。
図19】本発明によるバルーンカテーテルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図面を、その図1から図5を最初に参照すると、全体的に参照数字1により示された本発明による固定装置が示されており、穿孔工具3により開口すべき管腔4内の閉塞部6に隣接する部位5で、管腔4内に穿孔工具3の固定具が設けられている。本発明のこの実施形態では、以下でより詳細に述べるように、固定装置1は、固定装置1を部位5に送達するために、送達装置、すなわち、バルーンカテーテル8の遠位端7に取り付けられるように適合され、したがって、固定装置1が管腔4内に固定された状態で、穿孔工具3を、固定装置1に対して閉塞部6の中に押し進めて貫通させ、その中を貫通する開口部を形成することができる。
【0104】
バルーンカテーテル8は、近位端11と遠位端7の間で延在する細長いカテーテル10を備える。膨張可能なバルーン12は、カテーテル10上に、その遠位端7に隣接して同心に配置され、カテーテル10は、バルーン12を貫通して延在している。バルーン12は、可逆的に拡張可能な、弾性のある拡張可能なプラスチック材料からなる。カテーテル10は、任意の適切な材料とすることができる。連通管腔(図示せず)は、近位端11からバルーン12へとカテーテル10を貫通して延在し、バルーン12を膨張および収縮させるために、例えば、空気または食塩水など、膨張媒体を収容するようにバルーン12と連通している。主中心管腔15は、以下で述べるように、その中を通して穿孔工具3を固定装置1に収容するために、近位端11から遠位端7までカテーテル10を貫通して延在する。
【0105】
固定装置1は、バルーン12上に、その遠位部分に隣接して取り付けるように適合された拡張可能な要素18を備える。拡張可能な要素18は、側壁19を備える管状構成をしており、側壁19は、その遠位端20でドーム形状の端部キャップ21で終了し、側壁19と共に中空の内部領域23を画定する。拡張可能な要素18は、その近位端24で、バルーン12を中空の内部領域23の中に収容するための開口25で終了する。拡張可能な要素18の側壁19および端部キャップ21は、同じ材料から一体に形成されるが、その材料は、本発明のこの実施形態では、弾性のあるプラスチック材料であって、この場合は、ラテックス材料であるが、可逆的に拡張可能で、バルーン12の拡張および収縮に伴って拡張および収縮する。拡張可能な要素18は、長手方向に延在する主中心軸30を規定し、バルーン12を膨張させてバルーン12に取り付けたとき、主中心軸30は、バルーンカテーテル8のカテーテル10により規定される長手方向に延在する中心軸31と実質的に一致する。
【0106】
剛性のある拡張できないプラスチック材料の案内要素33は、拡張可能な要素18の端部キャップ21から概して軸方向外側に向けて延在する。案内要素33を貫通して延在する案内穴34は、穿孔工具3を、閉塞部6の中へ通して中心方向に案内する。案内穴34は、拡張可能な要素18の主中心軸30と実質的に一致する二次中心軸32を規定する。本発明のこの実施形態では、係合手段は、穿孔工具3の対応する外側のねじ山36に係合するための案内穴34における内側の一次ねじ山35を備え、したがって、外側のねじ山36を一次ねじ山35に係合させ、固定装置1を管腔4内に固定させた状態で、案内穴34の中で穿孔工具3を回転させることにより、穿孔工具3は、固定装置1に対して、案内穴34を通って外方向に押し進められ、閉塞部6と係合して貫通する開口部を形成する。
【0107】
穿孔工具3は、閉塞部6を穿刺するための先端41で終了する遠位端40を有する穿孔要素39を備える。外側のねじ山36は、案内穴34の内側の一次ねじ山35と協動させるように、穿孔要素39の近位部分43に設けられる。穿孔要素39は、本発明のこの実施形態では、搬送ワイヤ45を含む搬送要素上で搬送され、そこから同軸に延在する。搬送ワイヤ45は、閉塞部6に隣接する部位5へとバルーンカテーテル8を案内するタイプのガイドワイヤと同様の材料であり、同様の構成をしており、また穿孔工具3の近位部分43から、バルーンカテーテル8のカテーテル10の中心管腔15を通り、その近位端11へと延在する。搬送ワイヤ45は、カテーテル10の近位端11から延在しており、搬送ワイヤ45の回転を容易にし、次いで、案内要素33の案内穴34の中で穿孔要素39を回転させるが、穿孔要素39の外側のねじ山36が、案内穴34の中で内側の一次ねじ山35と協動して、穿孔要素39を、固定装置1に対して案内穴34を通して外方向に、閉塞部6と係合するように押し進める。
【0108】
バルーン12上に拡張可能な要素18を解放可能に固定するための固定手段は、拡張可能な要素18の内側表面48に位置する複数の間隔を空けて円周方向に延在する環状の隆起部47を備え、隆起部47は、内側表面48から中空の内部領域23へと内方向に延在して、バルーン12に係合し、拡張可能な要素18をバルーン12上に保持する。上記で論じたように、拡張可能な要素18は、バルーン12のように可逆的に拡張可能であり、バルーン12と共に拡張および収縮し、したがって、拡張可能な要素18の環状の隆起部47は、バルーン12と係合した状態のままであり、バルーン12および拡張可能な要素18は、同時に拡張および収縮する。さらに、環状の隆起部47は、拡張可能な要素18およびバルーン12が完全に収縮した状態にあるとき、バルーン12と係合した状態のままである。
【0109】
長手方向に延在する隆起部49を備える停止手段は、拡張可能な要素18の内側表面48から中空の内部領域23の中へと延在しており、穿孔工具3が案内要素33の案内穴34の中で回転しているとき、バルーンカテーテルのバルーン12と係合して、バルーン12上の拡張可能な要素18が回転するのを阻止する。
【0110】
固定装置1がバルーンカテーテル8から分離された状態になった場合、それを管腔4から回収するために、回収ワイヤ50を備える回収手段が、固定装置1の拡張可能な要素18に、その近位端24に隣接して接続される。回収ワイヤ50は、バルーンカテーテル8の長さと同様の、またはそれを超える長さのものであり、バルーンカテーテル8が管腔4を通って押し進められるとき、管腔4内でバルーンカテーテル8の外側に沿って拡張可能な要素18から延在する。回収ワイヤ50の近位端51は、バルーンカテーテル8の近位端11と共に管腔4の外側に留まり、固定装置1が管腔4内でバルーンカテーテル8から分離した場合に、固定装置1の回収を容易にする。
【0111】
使用に際して、固定装置1は、バルーン12を収縮させた状態で、バルーン12を拡張可能な要素18の開口25を通してその中空の内部領域23の中へと押し進めることにより、バルーンカテーテル8の遠位端に隣接してバルーン12上に取り付けられる。固定装置1が取り付けられたバルーンカテーテル8は、次いで、ヒトまたは動物の体の管腔4を通して、閉塞部6に隣接する部位5へと押し進められる。典型的には、固定装置1は、心臓の動脈中の閉塞部を開口するためにヒトまたは動物の体の心臓血管系に穿孔工具3を固定するように適合される。その場合、カテーテルは、通常、被検者の大腿部の大腿動脈を通してヒトまたは動物の体の動脈系に入り、管腔4内の閉塞部6に隣接する部位5に向けて案内される。
【0112】
ヒトまたは動物の体の動脈系を通してバルーンカテーテル8を押し進める前に、ガイドワイヤ(図示せず)がまず動脈系を通して部位5へと挿入され、ガイドワイヤがカテーテル10の中心管腔15を通して延在した状態で、バルーンカテーテル8を、ガイドワイヤを越えて閉塞部6に隣接する部位5へと案内できるようにする。バルーン12および固定装置1が閉塞部6に隣接する部位5に配置されると、ガイドワイヤ(図示せず)は、カテーテル10の中心管腔を通して引き抜かれる。バルーンカテーテル8のバルーン12を膨張させて、拡張可能な要素18を拡張し、部位5で管腔4に係合させて、次いで、固定装置1を管腔4に固定する。
【0113】
搬送ワイヤ45の穿孔工具3が、次いで、バルーンカテーテル8のカテーテル10の中心管腔15を通して押し進められて案内要素33の案内穴34に係合する。穿孔工具3の穿孔要素39が案内要素33の外方向に閉塞部6に向けて延在した状態で、搬送ワイヤ45は、穿孔要素39の外側のねじ山36が、案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合するまで、カテーテル10の中心管腔15の中にさらに押し進められる。穿孔要素39の外側のねじ山36が、案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合すると、搬送ワイヤ45を、外側のねじ山36を案内穴34の内側の一次ねじ山35とねじ係合させるために回転させる。次いで、外側のねじ山36が内側の一次ねじ山35と協動した状態で、穿孔要素39は、閉塞部6と係合しそれを貫通するように押し進められて貫通する開口部を形成するように、搬送ワイヤ45をさらに回転させる。
【0114】
閉塞部6が開口されると、穿孔工具3を案内要素33から分離し、バルーンカテーテル8のカテーテル10の中心管腔15を通して取り外すことができるように、穿孔要素39の外側のねじ山36と、案内穴34の内側の一次ねじ山35との係合が解除されるまで、搬送ワイヤ45を逆方向に回転させることにより、穿孔要素39は、閉塞部6から引き抜かれる。
【0115】
次に、当業者にはよく知られているさらなる手技を、部位5で閉塞部6に対して実施することができる。
【0116】
図6を次に参照すると、閉塞部に隣接した管腔内の部位に、穿孔工具に対する固定を形成するようにバルーンカテーテルの遠位端に取り付けるための、全体的に参照数字55で示された本発明の他の実施形態による固定装置が示されている。この場合のバルーンカテーテルおよび穿孔工具は、図1から図5を参照して述べたバルーンカテーテル8および穿孔工具3と同様のものである。固定装置55は、固定装置1と実質的に同様であり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。固定装置55と固定装置1の間の主な差は、拡張可能な要素18にある。本発明のこの実施形態では、拡張可能な要素18は、超弾性ワイヤ、すなわち、ニチノールを密着巻きした(tightly wound)コイル57により形成された弾性的な、可撓性のある拡張可能な要素56により形成される。拡張可能な要素56は、バルーンが膨張すると、バルーンカテーテルのバルーンに係合することができる。拡張可能な要素56のコイル57は、可逆的に拡張可能であり、したがって、バルーンカテーテルのバルーンが収縮すると、コイル57もバルーンと共に収縮する。
【0117】
その他の点では、固定装置55およびその使用法は、固定装置1と同様である。
【0118】
図7および図8を次に参照すると、閉塞部に隣接する管腔内の部位に穿孔工具3を固定するようにバルーンカテーテル8のバルーン12に取り付けるための、全体的に参照数字60で示された本発明による固定装置がさらに示されている。バルーンカテーテル8および穿孔工具3は、それぞれ、図1から図5を参照して述べたバルーンカテーテル8および穿孔工具3と同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。
【0119】
固定装置60は、固定装置1と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。固定装置60と固定装置1の間の主な差は、拡張可能な要素18にある。本発明のこの実施形態では、拡張可能な要素18は、穴が開けられた拡張可能な材料の管状部材61を備える。本発明のこの実施形態では、管状部材61は、以下の拡張可能な材料、すなわち、ステントが形成される材料、ポリマー材料、またはワイヤが編組みされた材料のうちの任意のものから形成される。管状部材61は、可逆的に拡張可能であり、したがって、管状部材61は、バルーン12の拡張および収縮と共に拡張および収縮する。案内要素33は、管状部材61から同軸に延在する。
【0120】
その他の点では、固定装置60およびその使用法は、固定装置1と同様である。
【0121】
図9から図11を次に参照すると、バルーンカテーテル8のバルーン12に取り付けるための、穿孔工具3が、管腔4の中心軸67からオフセットされて閉塞部6と係合した状態で、穿孔工具3を管腔4内の部位5で閉塞部6へと押し進めることができるように、穿孔工具3を管腔4内に固定するための、全体的に参照数字65により示された本発明の他の実施形態による固定装置が示されている。穿孔工具3は、図1から図5を参照して述べた穿孔工具3と同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。固定装置65は、固定装置1と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。
【0122】
固定装置65と固定装置1の間の主な差は、拡張可能な要素18にある。まず、本発明のこの実施形態では、固定装置65の拡張可能な要素18は、ワイヤネッティング材料の管状部材66を備える。ワイヤネッティング材料は、超弾性ワイヤ、すなわち、ニチノールであり、バルーンカテーテル8のバルーン12と共に可逆的に拡張することができる。
【0123】
第2に、案内要素33は管状部材66内に位置し、管状部材66に固定されており、拡張可能な要素18から同軸に延在する案内要素33に代えて、案内要素は、管状部材66により規定される主中心軸30に平行に延在するが、管状部材66の主中心軸30からオフセットされており、案内要素33の案内穴34により規定される二次中心軸32が、主中心軸30と平行に、離間されて延在している。したがって、本発明のこの実施形態では、穿孔工具3の穿孔要素39は、案内穴34により案内されて、管腔4の側壁の一部に比較的近い位置で閉塞部6に係合する。
【0124】
本発明のこの実施形態では、バルーンカテーテル8のバルーン12はまた、バルーンカテーテル8のカテーテル10に対して中心方向にオフセットされる。カテーテル10に対するバルーン12のオフセット量は、バルーン12が膨張したとき、拡張可能な要素18の主中心軸30からの案内要素33のオフセットと同様である。
【0125】
その他の点では、本発明のこの実施形態による固定装置65は、図1から図5を参照して述べた固定装置と実質的に同様のものである。
【0126】
使用に際して、固定装置65の拡張可能な要素18が取り付けられ、案内要素33の案内穴34がカテーテル10の中心管腔15と位置合せされたバルーンカテーテル8のバルーン12は、収縮した状態で、閉塞部6に隣接する部位5に配置される。バルーンカテーテル8は、案内要素33の案内穴34が、次に穿孔工具3が、閉塞部6の一部と位置合せされて、閉塞部6を開口するために穿孔工具3で穴を開けるように操作される。バルーンカテーテル8のバルーン12は、次いで膨張し、次に、固定装置65の拡張可能な要素18を拡張して、管腔4に係合させ、さらに、固定装置65を管腔4内に固定する。固定装置65が管腔4内に固定され、穿孔工具3の外側のねじ山36が案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合すると、穿孔工具3の穿孔要素39は、図1から図5の固定装置1を参照してすでに述べたように、閉塞部6の中へと貫通して前進する。
【0127】
案内要素33を、拡張可能な要素18の主中心軸30からオフセットすることの利点は、閉塞部6が管腔4内で中心に存在していない場合に、管腔内の閉塞部の開口を容易にすることである。図11では、閉塞部6が、冠状動脈71における管腔4の中心軸67からオフセットされて示されている。固定装置65が取り付けられたバルーンカテーテル8が、閉塞部6に隣接する部位5に配置されたとき、バルーンカテーテル8を回転させることにより、案内要素33を、次いで、穿孔工具3を、閉塞部6と中心で係合するように、冠状動脈71内の閉塞部6と位置合せすることができる。
【0128】
閉塞部が冠状動脈内に形成され、その閉塞部が中心軸67または冠状動脈に対して偏心して位置することはよく知られている。このように偏心して位置する閉塞部が形成された結果として、動脈の真の管腔は、閉塞部内で中心からずれる。穿孔工具3が、動脈の中心軸67と同心に閉塞部へと押し進められた場合、穿孔工具は、動脈の内側薄層を貫通し、動脈の内側薄層と外側薄層の間を進むことになる。穿孔工具が、動脈の内側薄層と外側薄層の間に留まる場合、バルーンカテーテルの膨張可能なバルーンがステントを送達するために閉塞部の開口部の中に押し進められたとき、バルーンが膨張すると動脈を引き裂くことになり、動脈解離として知られる状態を生ずることになる。拡張可能な要素18に対して案内要素33をオフセットすることにより、案内要素33を、次いで穿孔工具3を、閉塞部6に対して中心に配置することができ、それにより、穿孔工具3が動脈の内側薄層と外側薄層の間を貫通することになる危険が回避される。
【0129】
図12および図13を次に参照すると、本発明の他の実施形態による、全体的に参照数字75で示された固定装置が示されている。本発明のこの実施形態では、固定装置75は、固定装置1に多少類似しており、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。しかし、固定装置75と固定装置1の間の主な差は、固定装置75は、バルーンカテーテルの遠位端上に取り付けるように適合されておらず、そうではなくて、送達カテーテル77の中心管腔76を通って閉塞部に隣接する管腔内の部位に送達するように適合されていることである。本発明のこの実施形態では、拡張可能な要素18は、自己拡張性の、穴の空いた弾性のある材料の管状部材79を備える。本発明のこの実施形態では、管状部材79は、形状記憶金属、すなわち、ニチノールからなる。固定装置1の案内要素33と同様の案内要素33は、管状部材79と同軸に、管状部材79の遠位端20から延在する。
【0130】
細長い搬送管80が、管状部材79と同軸に、管状部材79の近位端82から延在する。カテーテル80は、案内要素33へと穿孔工具を収容するために、穿孔工具および搬送ワイヤを通して収容する細長い穴81を画定する。穿孔工具および搬送ワイヤは、それぞれ、図1から図5の固定装置1の穿孔工具3および搬送ワイヤ45と同様のものである。カテーテル80は、送達カテーテル77の長さに延在し、カテーテル77の近位端83を通って延在して、管状部材79を、カテーテル77の中心管腔76の中に、外へと操作することを容易にする。管状部材79の形状記憶金属は、閉塞部に隣接する部位で管腔に係合するために、次いで、固定装置75を閉塞部に隣接して管腔内に固定するために、元々、図13で示された拡張状態へと外方向に偏倚されており、送達カテーテル77の中心管腔76を通して固定装置75を収容するために、図12で示された収縮状態に収縮することができる。
【0131】
管状部材79は、送達カテーテル77の中心管腔76内にある間は、収縮した状態に保持される。送達カテーテル77の遠位端84を通して中心管腔76の外方向に押し進められると、管状部材79は、収縮状態から拡張状態へと自己拡張し、管腔に係合して、固定装置75を管腔内に固定する。送達カテーテル77の中心管腔76の中に押し進めれると、管状部材79は、強制されて収縮状態になり、固定装置75を、送達カテーテル77の中心管腔76を通して引き抜くことができる。
【0132】
使用に際して、送達カテーテル77は、送達カテーテル77の遠位端84が、閉塞部に隣接する部位に配置されるまで、管腔を通って押し進められる。これは、通常、遠位端が閉塞部に隣接する部位にすでに配置されているガイドワイヤ(図示せず)上で送達カテーテル77を押し進めることにより達成される。送達カテーテル77の遠位端84が、閉塞部に隣接して配置されると、ガイドワイヤ(図示せず)は、送達カテーテル77の中心管腔76を通して引き抜かれる。固定装置75は、管状部材79が送達カテーテル77の遠位端84に隣接するまで、搬送管80をカテーテル77の中心管腔76の中に押し進めることにより、送達カテーテル77の中心管腔76を通して押し進められる。さらに、送達カテーテル77の中心管腔76を通して搬送管80を押し進めることにより、送達カテーテル77の遠位端84を通して管状部材79が押し進められる。管状部材79が、送達カテーテル77の中心管腔76の外に出ると、管状部材79は、管腔に向けて自己拡張を開始し、管腔に係合して、固定装置75を閉塞部に隣接する部位で管腔内に固定する。
【0133】
搬送ワイヤを備えた穿孔工具は、次いで、穿孔工具の外側のねじ山が、案内要素33の案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合するまで、搬送管80の穴81を通って押し進められる。その後、搬送ワイヤを回転させることにより、穿孔工具の外側のねじ山を案内穴34の内側の一次ねじ山35と協動させて、穿孔工具を閉塞部と係合させ、閉塞部を開口させる。
【0134】
閉塞部に隣接する手技が完了すると、管状部材79は、送達カテーテル77の中心管腔76を通して搬送管80を引き抜くことにより、送達カテーテル77の中心管腔76の中に押し進められる。管状部材79を、カテーテル77の中心管腔76の中へと押し進めることにより、管状部材79は強制されて拡張状態から収縮状態になる。固定装置75は、次いで、送達カテーテル77の中心管腔76を通して引き抜かれる。
【0135】
図14および図15を次に参照すると、管腔内の、例えば、被検者の心臓の動脈内などの閉塞部に隣接する部位に穿孔工具を固定するように、バルーンカテーテル93のカテーテル92の遠位端91に固定するための、全体的に参照数字90により示された本発明によるアダプタがさらに示されている。
【0136】
本発明のこの実施形態の穿孔工具は、図1から図5を参照して述べた固定装置1の穿孔工具3と同様のものである。バルーンカテーテル93は、図1から図5の固定装置1を参照して開示したバルーンカテーテル8と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が同じ参照数字により識別される。
【0137】
アダプタ90は、図1から図5の固定装置1の案内要素33と同様の案内要素94を備え、同様の構成要素が同じ参照数字により識別される。結合手段、すなわち、管状の結合要素95が、アダプタ90をバルーンカテーテル93の遠位端91に結合するために、案内要素94から後方に延在する。結合要素95および案内要素94は同じ剛性材料から一体に形成され、本発明のこの実施形態では、その材料はステンレス鋼であるが、例えば、ニチノールなどの金属合金など、他の適切な剛性材料を使用することもできる。案内要素94および結合手段95はまた、比較的剛性のあるポリマー材料から、または他の適切なプラスチック材料から作ることもできる。連通穴96は、バルーンカテーテル93のカテーテル92の遠位端91に係合するために、案内要素94の案内穴34をバルーンカテーテル93の中心管腔15と連通させるために、次いで、穿孔工具および穿孔工具の搬送ワイヤをバルーンカテーテル93のカテーテル92の中心管腔15から案内要素94の案内穴34へと収容するために、連通穴96の近位端97から結合要素95の中へと延在する。
【0138】
結合要素95をカテーテル92の遠位端91に解放可能に固定するための固定手段は、結合要素95をカテーテル92の遠位端91にねじ込むために、結合要素95の連通穴96内に位置する内側の二次ねじ山98を備える。結合要素95の内側の二次ねじ山98は、結合要素95が、カテーテル92の遠位端91にねじ込まれたとき、カテーテル92の遠位端91上に対応する外側のねじ山を切削できるようにするものである。さらに結合要素95の連通穴96における内側の二次ねじ山98は、案内要素94の案内穴34における内側の一次ねじ山35のねじ方向とは左右逆であり、したがって、穿孔工具の外側のねじ山が案内要素94の内側の一次ねじ山35と係合し、穿孔工具を回転させて閉塞部と係合させるとき、アダプタ90に対する穿孔工具の回転動作が、結合要素95を、バルーンカテーテル93のカテーテル92の遠位端91に対して締め付けるように働き、それにより、アダプタ90がバルーンカテーテル93の遠位端91から分離されるどんな危険も回避される。
【0139】
回収手段、すなわち、回収ワイヤ50は、アダプタ90がバルーンカテーテル93から分離された状態になった場合にそれを回収するように、結合要素95の近位端97から延在している。
【0140】
使用に際して、アダプタ90が結合要素95によりバルーンカテーテル93の遠位端91に固定され、バルーン12が収縮した状態で、図1から図5の固定装置を参照してすでに述べたように、バルーンカテーテル93は、カテーテル92の遠位端91が閉塞部に隣接する管腔内の部位に配置されるまで、管腔を通して押し進められる。バルーンカテーテル93のバルーン12を膨張させて、管腔内にバルーンカテーテル93を固定し、次いで、アダプタ90を閉塞部に隣接する管腔内に固定する。アダプタ90がそのように固定されると、穿孔工具は、穿孔工具の外側のねじ山が、案内要素94の案内穴34の内側の一次ねじ山35と係合するまで、搬送ワイヤにより、バルーンカテーテル93の中心管腔15を通して押し進められる。穿孔工具の外側のねじ山を、案内要素94の内側の一次ねじ山35と協動させて、穿孔工具の搬送ワイヤを回転させ、穿孔工具を閉塞部と係合させるように押し進めて閉塞部を開口する。
【0141】
その他の点では、アダプタ90の使用法は、図1から図5を参照して述べた固定装置1のものと同様である。
【0142】
図16および図17を次に参照すると、穿孔工具3と同様の穿孔工具を、管腔内の閉塞部に隣接する部位に固定するように、バルーンカテーテル93のカテーテル92の遠位端91を固定するための、全体的に参照数字100により示された本発明の他の実施形態によるアダプタが示されている。バルーンカテーテル93は、図14および図15のアダプタ90を参照して述べられたバルーンカテーテル93と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。アダプタ100は、図14および図15を参照して述べたアダプタ90と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。アダプタ100とアダプタ90の間の主な差は、案内要素94が、結合要素95からゼロを超える角度で延在していることであり、本発明のこの実施形態では、結合要素95に対して90°で、言い換えると、結合要素95の横断方向に延在することである。したがって、案内要素94の案内穴34により規定される二次中心軸32は、結合要素95の連通穴96により規定される主中心軸101に対して90°で延在する。
【0143】
使用に際して、アダプタ100をバルーンカテーテル93の遠位端91に固定し、カテーテル92の遠位端91を閉塞部に隣接させてバルーンカテーテル93を管腔内に配置して、バルーンカテーテル93のバルーン12を膨張させる。穿孔工具3は、搬送ワイヤにより、バルーンカテーテル93の中心管腔15を通り、結合要素95の中へと押し進められる。アダプタ100の壁102に当たると、穿孔工具は、90°を介して案内要素94の案内穴34の中に押し進められる。さらに穿孔工具を案内要素94の案内穴34の中へと押し進めることにより、穿孔工具の外側のねじ山が案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合することになる。その後、搬送ワイヤを回転させることによる穿孔工具の回転により、穿孔工具を、案内要素94の外方向に押し進めて閉塞部と係合させ、閉塞部を開口する。
【0144】
その他の点では、アダプタ100およびその使用法は、図14および図15を参照して述べたアダプタ90と同様である。
【0145】
アダプタ100の利点は、穿孔工具を、脈管、管腔、または動脈の壁の特定の部位と位置合せしてその壁を通る穴を加工するために、穿孔工具を脈管、管腔、または動脈内の部位に配置できることである。アダプタ100は、心臓または他の器官の、またはその内部の壁または隔壁を通して穿孔を容易にするのに特に適している。アダプタ100はまた、高血圧を治療するための手技で、腎臓の管腔または脈管の壁に隣接する腎臓の部位の除神経(denerving)を行うために使用するのに適している。
【0146】
図18を次に参照すると、全体的に参照数字110により示された、本発明の他の実施形態による固定装置が示されている。固定装置110は、固定装置75と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。固定装置110と固定装置75の間の主な差は、案内要素33が、搬送管80に結合され、拡張可能な要素18内に位置し、拡張可能な要素18の主中心軸30に対して横断する方向に延在することである。言い換えると、案内要素33の案内穴34により規定される二次中心軸32は、拡張可能な要素18の主中心軸に対して90°の角度で延在する。したがって、案内要素33の案内穴34は、穿孔工具を拡張可能な要素18の横断方向に導く。
【0147】
その他の点では、固定装置110およびその使用法は、穿孔工具が、搬送ワイヤにより、搬送管80の穴81を通って案内要素33の中に直接押し進められることを除いて、図12および図13を参照して述べた固定装置75のものと同様である。穿孔工具が、案内要素33の壁111に当たると、穿孔工具は、約90°の角度を介して案内要素33の案内穴34の中に導かれる。穿孔工具は、搬送ワイヤにより、案内要素33の案内穴34の中へとさらに押し進められて、穿孔工具の外側のねじ山を、案内要素33の案内穴34の内側の一次ねじ山35に係合させる。その後、穿孔工具を搬送ワイヤにより回転させ、次いで、図16および図17を参照して述べられたアダプタ100を参照してすでに述べたように、穿孔工具を外方向に押し進めて、開口部を形成すべき脈管または管腔の壁と係合させる。
【0148】
固定装置110の利点は、図16および図17を参照して述べられた、アダプタ100により達成されたものと同様である。
【0149】
図19を次に参照すると、全体的に参照数字120により示された、本発明によるバルーンカテーテルがさらに示されている。バルーンカテーテル120は、図1から図5の固定装置1を参照して述べたバルーンカテーテル8と実質的に同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。しかし、本発明のこの実施形態では、案内要素121は、バルーンカテーテル120のバルーン12の近位端122に隣接してそのカテーテル10に固定され、そこから延在している。案内要素121は、図1から図5を参照して述べた固定装置1の案内要素33と同様のものであり、同様の構成要素が、同じ参照数字により識別される。案内要素121は、約60°の角度でカテーテル10から延在し、穿孔工具3と同様の穿孔工具を、脈管、管腔、動脈、または同様のものの側壁の中へと案内するように適合される。
【0150】
細長い搬送管123は、その中を通して、穿孔工具および搬送ワイヤを案内要素121に収容するように、バルーンカテーテル120のカテーテル10に沿って延在する。代替的に、案内要素121は、案内要素121の案内穴34を、バルーンカテーテル120の中心管腔15と直接連通させるようにして、バルーンカテーテル120のカテーテル10に固定することもできる。その場合、バルーンカテーテル120の中心管腔15は、案内要素121の案内穴34で終了することになり、穿孔工具を案内要素121の案内穴34の中に導くように適合されることになる。したがって、本発明のこの実施形態では、案内要素121の案内穴34により規定される二次中心軸32は、ゼロを超える角度で延在するが、その角度は、本発明のこの実施形態では、バルーンカテーテル120の主中心管腔15の主中心軸30に対して約60°である。
【0151】
使用に際して、バルーンカテーテル120を管腔内に配置し、案内要素121の案内穴34を、開口部が貫通して形成される管腔の壁の部位と位置合せさせた状態で、バルーンカテーテル120のバルーン12を膨張させ、バルーンカテーテルを、次いで、案内要素121を管腔または脈管内に固定する。穿孔工具は、搬送管123を通して案内要素121の案内穴34の中に押し進められる。穿孔工具を、案内要素121の案内穴34の中にさらに押し進めることにより、穿孔工具の外側のねじ山を、案内要素121の穴34の内側の一次ねじ山35と係合させる。その後、搬送ワイヤを回転させることによる穿孔工具の回転により、穿孔工具を、案内要素121の案内穴34を通し、管腔の壁と係合させるように外方向に押し進めて、貫通する開口部を形成させる。
【0152】
固定装置、アダプタ、カテーテル、およびバルーンカテーテルが、特定の材料のものとして述べられてきたが、固定装置、アダプタ、カテーテル、およびバルーンカテーテルは、任意の適切な材料のものとすることができる。
【0153】
図1から図13を参照して述べられた固定装置は、軸方向に延在する案内要素を備える代わりに、拡張可能な要素の主中心軸30に対して横断方向に延在することになる、横断方向に延在する案内要素を備えることも可能であることが理解されよう。実際に、案内要素は、拡張可能な要素の主中心軸30に対して0度を超える任意の角度で、拡張可能な要素から延在するようにできることが考えられる。固定装置の案内要素、アダプタ、およびバルーンカテーテル120はまた、結合要素により規定される中心軸に対して、またはバルーンカテーテルの主中心管腔15により規定される主中心軸に対して、任意の角度で延在するようにできることも考えられる。
【0154】
図1から図5の固定装置の拡張可能な要素をバルーンカテーテルのバルーンに解放可能に固定するための固定手段が、拡張可能な要素の内側表面に位置する複数の長手方向に離間された環状の隆起部を備えるものとして述べられてきたが、任意の他の適切な固定手段を提供することができ、いくつかの場合では、固定手段は、バルーンカテーテルのバルーンの外側表面に係合することになる、拡張可能な要素の内側表面に形成された内側の二次ねじ山を備えるようにできることも考えられる。通常、拡張可能な要素の内側の二次ねじ山のねじ方向は、案内要素の案内穴の内側の一次ねじ山のねじ方向と反対になるはずであり、したがって、穿孔工具を案内穴から外方向に押し進めるために、案内穴の中で穿孔工具を回転させることは、バルーンカテーテルのバルーンに対して拡張可能な要素を締め付けることになる。
【0155】
バルーンカテーテル120が、バルーンの近位端に隣接してカテーテルから延在する案内要素を備えるものとして述べられてきたが、それに代えて、案内要素が、バルーンの遠位端に隣接してカテーテルから延在することも考えられる。
【0156】
固定装置は、案内穴の中で穿孔工具が回転する間、バルーンカテーテルのバルーン上で拡張可能な要素が回転するのを阻止するための停止手段を備えるものとして述べられてきたが、これは有利であるが本質的なものではなく、いくつかの場合では、停止手段を全く除外することができる。代替的に、任意の他の適切な停止手段を設けることもできる。
【0157】
図1から図5の固定装置が、拡張可能な要素をバルーンカテーテルのバルーンに解放可能に固定するための固定手段を備えるものとして述べられており、固定手段が、拡張可能な要素の内部へと延在する環状のリングを備えるものとして述べられているが、任意の他の適切な固定手段を設けることもできる。例えば、環状の隆起部は、必ずしも拡張可能な要素の内側表面の周りで完全に延在する必要のないことが考えられる。いくつかの円周方向に離間された隆起部を設けることができるが、あるいはいくつかの場合には、単一の隆起部だけを設けることもできる。他の適切な解放可能な固定手段を用意することも考えられ、例えば、拡張可能な要素は、バルーンカテーテルのバルーンに係合したとき、比較的高い摩擦係数を有することになる摩擦タイプの表面を備えることができる。実際に、いくつかの場合には、固定手段を除外できることも考えられる。
【符号の説明】
【0158】
1 固定装置
3 穿孔工具
4 管腔
5 部位
6 閉塞部
7 遠位端
8 バルーンカテーテル
10 カテーテル
11 近位端
12 バルーン
15 主中心管腔
18 拡張可能な要素
19 側壁
20 遠位端
21 端部キャップ
23 中空の内部領域
24 近位端
25 開口
30 主中心軸
31 中心軸
32 二次中心軸
33 案内要素
34 案内穴
35 一次ねじ山
36 外側のねじ山
39 穿孔要素
40 遠位端
41 先端
43 近位部分
45 搬送ワイヤ、ガイドワイヤ
47 環状の隆起部
48 内側表面
49 隆起部
50 回収ワイヤ
51 近位端
55 固定装置
56 拡張可能な要素
57 コイル
60 固定装置
61 管状部材
65 固定装置
66 管状部材
67 中心軸
71 冠状動脈
75 固定装置
76 中心管腔
77 送達カテーテル
79 管状部材
80 搬送管、カテーテル
81 細長い穴
82 近位端
83 近位端
84 遠位端
90 アダプタ
91 遠位端
92 カテーテル
93 バルーンカテーテル
94 案内要素
95 結合要素
96 連通穴
97 近位端
98 二次ねじ山
100 アダプタ
101 主中心軸
102 壁
110 固定装置
111 壁
120 バルーンカテーテル
121 案内要素
122 近位端
123 搬送管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19