特許第6017516号(P6017516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017516
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】拡張可能な棘突起間スペーサ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-232972(P2014-232972)
(22)【出願日】2014年11月17日
(62)【分割の表示】特願2011-542583(P2011-542583)の分割
【原出願日】2009年12月22日
(65)【公開番号】特開2015-33648(P2015-33648A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】61/139,794
(32)【優先日】2008年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505377463
【氏名又は名称】ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ガベルベルガー ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ブートワラ ゾヘル
(72)【発明者】
【氏名】コップス ジャスティン
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/111979(WO,A2)
【文献】 特表2005−538754(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/045094(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/109409(WO,A1)
【文献】 国際公開第1995/025485(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0108990(US,A1)
【文献】 特表2008−536619(JP,A)
【文献】 米国特許第6126689(US,A)
【文献】 特表2006−507090(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/127550(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/079237(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎における脊椎狭窄を治療するための拡張可能棘突起間スペーサインプラントであって、前記インプラントは、長さをその間に備えた第1の端部及び第2の端部と、幅をその間に備えた近位側及び遠位側と、拡張可能な高さとを有し、前記インプラントは、
第1の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の対の脚が互いにピボット式に結合され、前記第1の対の脚が、前記第1の対の脚の各々にピボット式に連結される第1のコネクタによってピボット式に結合されている、前記第1の対の脚と、
第2の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の対の脚が互いにピボット式に結合されている、前記第2の対の脚と、
ファスナのヘッド部を受け取るように形成された第1のプレート孔を有する第1のプレートであって、前記第1のプレートは前記第1の対の脚に連結されている、前記第1のプレートと、
ファスナのシャフト部を受け取るように形成された第2のプレート孔を有する第2のプレートであって、前記第2のプレートは前記第2の対の脚に連結されている、前記第2のプレートと、
前記第1の対の脚の一方の第1の端部と、前記第2の対の脚の一方の第1の端部とを連結する上軸受面と、
前記第1の対の脚の一方の第2の端部と、前記第2の対の脚の一方の第2の端部とを連結する下軸受面と、を有し、
前記第1のプレートと前記第2のプレートの間の距離の減少が、前記上軸受面と前記下軸受面の間の垂直距離の増加を引き起こすようになっており
前記第1の対の脚は、第2の脚部材にピボット式に連結されている第1の脚部材を有し、前記第1の脚部材は、前記上軸受面に連結され、さらに、前記第2の脚部材は、前記下軸受面に連結され、
前記第1の対の脚は、対応する第1の支点ピン及び第2の支点ピンにおいて、第1の脚部材及び第2の脚部材の各々にピボット式に連結される第1のコネクタによってピボット式に結合されていることを特徴とするインプラント。
【請求項2】
前記第1のプレート孔は、ネジなしであり、前記第2のプレート孔は、ネジ付きであることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1のプレート孔及び前記第2のプレート孔は、ネジ付きであることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ファスナは、拡張スクリューであることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記下又は上椎体の前記棘状突起に係合する係合機構を更に有することを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第2の対の脚は、前記第2の対の脚の各々にピボット式に連結された第2のコネクタによってピボット式に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタが拡張器に回転可能に結合されていることを特徴とする請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記ファスナはネジ付き拡張スクリューであることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記上軸受面及び前記下軸受面は、それぞれ、上棘状突起SPの下面、下棘状突起SPの上面を支えるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材は、交差ピンにおいて連結されていることを特徴とする請求項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記第1のプレートは、前記交差ピンにおいて前記第1の対の脚に連結されていることを特徴とする請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第1のコネクタは、下部コネクタ部材にピボット式に結合される上部コネクタ部材を有し、前記上部コネクタ部材は、前記第1の支点ピンにおいて、前記第1の脚部材に連結され、前記下部コネクタ部材は、前記第2の支点ピンにおいて、前記第2の脚部材に連結されていることを特徴とする請求項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記第2の対の脚は、第4の脚部材にピボット式に連結されている第3の脚部材を有し、前記第3の脚部材は、前記上軸受面に連結され、さらに、前記第4の脚部材は、前記下軸受面に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記第3の脚部材及び前記第4の脚部材は、交差ピンにおいて連結されていることを特徴とする請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記第2のプレートは、前記交差ピンにおいて前記第3の脚部材及び前記第4の脚部材に連結されていることを特徴とする請求項14に記載のインプラント。
【請求項16】
前記第2の対の脚は、対応する第3の支点ピン及び第4の支点ピンにおいて、第3の脚部材及び第4の脚部材の各々にピボット式に連結される第2のコネクタによってピボット式に結合されていることを特徴とする請求項13に記載のインプラント。
【請求項17】
前記第2のコネクタは、下部コネクタ部材にピボット式に結合される上部コネクタ部材を有し、前記上部コネクタ部材は、前記第3の支点ピンにおいて、前記第3の脚部材に連結され、前記下部コネクタ部材は、前記第4の支点ピンにおいて、前記第4の脚部材に連結されていることを特徴とする請求項16に記載のインプラント。
【請求項18】
脊椎における脊椎狭窄を治療するための拡張可能棘突起間スペーサインプラントであって、前記インプラントは、長さをその間に備えた第1の端部及び第2の端部と、幅をその間に備えた近位側及び遠位側と、拡張可能な高さとを有し、前記インプラントは、
第1の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の対の脚が互いにピボット式に結合されている、前記第1の対の脚と、
第2の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の対の脚が互いにピボット式に結合されている、前記第2の対の脚と、
ファスナのヘッド部を受け取るように形成された第1のプレート孔を有する第1のプレートであって、前記第1のプレートは前記第1の対の脚に連結されている、前記第1のプレートと、
ファスナのシャフト部を受け取るように形成された第2のプレート孔を有する第2のプレートであって、前記第2のプレートは前記第2の対の脚に連結されている、前記第2のプレートと、
前記第1の対の脚の一方の第1の端部と、前記第2の対の脚の一方の第1の端部とを連結する上軸受面と、
前記第1の対の脚の一方の第2の端部と、前記第2の対の脚の一方の第2の端部とを連結する下軸受面と、を有し、
前記第1のプレートと前記第2のプレートの間の距離の減少が、前記上軸受面と前記下軸受面の間の垂直距離の増加を引き起こすようにされ、
前記ファスナはネジ付き拡張スクリューであり、
前記第1の対の脚は、第2の脚部材にピボット式に連結されている第1の脚部材を有し、前記第1の脚部材は、前記上軸受面に連結され、さらに、前記第2の脚部材は、前記下軸受面に連結され、
前記第1の対の脚は、対応する第1の支点ピン及び第2の支点ピンにおいて、第1の脚部材及び第2の脚部材の各々にピボット式に連結される第1のコネクタによってピボット式に結合されていることを特徴とするインプラント。
【請求項19】
脊椎における脊椎狭窄を治療するための拡張可能棘突起間スペーサインプラントであって、前記インプラントは、長さをその間に備えた第1の端部及び第2の端部と、幅をその間に備えた近位側及び遠位側と、拡張可能な高さとを有し、前記インプラントは、
第1の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の対の脚が互いにピボット式に結合されている、前記第1の対の脚と、
第2の対の脚であって、各脚は第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の対の脚が互いにピボット式に結合されている、前記第2の対の脚と、
ファスナのヘッド部を受け取るように形成された第1のプレート孔を有する第1のプレートであって、前記第1のプレートは前記第1の対の脚に連結されている、前記第1のプレートと、
ファスナのシャフト部を受け取るように形成された第2のプレート孔を有する第2のプレートであって、前記第2のプレートは前記第2の対の脚に連結されている、前記第2のプレートと、
前記第1の対の脚の一方の第1の端部と、前記第2の対の脚の一方の第1の端部とを連結する上軸受面と、
前記第1の対の脚の一方の第2の端部と、前記第2の対の脚の一方の第2の端部とを連結する下軸受面と、を有し、
前記上軸受面及び前記下軸受面は、それぞれ、上棘状突起SPの下面、下棘状突起SPの上面を支えるように形成され、
前記第1のプレートと前記第2のプレートの間の距離の減少が、前記上軸受面と前記下軸受面の間の垂直距離の増加を引き起こすようにされ、
前記第1の対の脚は、第2の脚部材にピボット式に連結されている第1の脚部材を有し、前記第1の脚部材は、前記上軸受面に連結され、さらに、前記第2の脚部材は、前記下軸受面に連結され、
前記第1の対の脚は、対応する第1の支点ピン及び第2の支点ピンにおいて、第1の脚部材及び第2の脚部材の各々にピボット式に連結される第1のコネクタによってピボット式に結合されていることを特徴とするインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2008年12月22日出願の「拡張可能棘突起間スペーサ(EXPANDABLE INTERSPINOUS PROCESS SPACER)」という名称の米国特許仮出願第61/139,794号明細書の恩典を主張し、その内容は、本明細書においてその全体が引用により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
人の椎骨は、棘状突起として公知の後方に突出する部分を有する。脊椎を曲げることは、隣接する椎骨の棘状突起を互いの方向に移動させる可能性がある。これは、人によっては、脊柱管及び孔の空間を収縮する場合があり、従って、疼痛を引き起こす場合がある。
狭窄として公知のそのような収縮は、隣接する棘状突起間の空間内への棘間スペーサの埋め込みによって治療することができる。
【0003】
現在の棘間スペーサは、典型的に、個別の部分で構成され、これらは、後方進入路において脊椎の両側からの挿入を必要とし、かつ左及び右胸骨筋膜の両方の切断するかなり大きな切開部、並びにこれらの付着部からの多裂筋の剥離を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/139,794号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低侵襲手法において単一開口部を通して第1の構成で横方向に挿入することができ、かつ次に隣接する棘状突起間の位置にスペーサを維持する第2の構成に展開することができる隣接椎骨の棘状突起間に埋め込むための棘間スペーサを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般的に棘間スペーサに関する。より具体的には、本発明は、脊椎狭窄を治療するために隣接する棘状突起間に埋め込むための拡張可能棘突起間スペーサインプラントに関する。棘突起間スペーサインプラントは、好ましくは、ユーザが、棘間スペーサアセンブリを患者の脊椎の個々の身体構造に適合させることができるように調節可能である。
【0007】
本発明の1つの好ましい実施形態は、上椎体の棘状突起と下椎体の棘状突起の間の棘間空間内に挿入するための拡張可能棘間スペーサインプラントである。インプラントは、はさみのような方式で接合される第1の対の近位脚と、はさみのような方式で接合される第2の対の遠位脚とを含むことができる。遠位脚及び近位脚は、インプラントの幅にわたる1つ又はそれよりも多くのピンによって互いにピボット式に連結することができ、各脚は、その縦軸に沿って複数のスロットを有する。各近位脚の一端は、上交差ピンによって各遠位脚の対応する端部に連結することができ、各近位脚の他端は、下交差ピンによって各遠位脚の対応する第2の端部に連結することができる。インプラントはまた、脚上の1対のスロット間に配置された第1の対のローラピンに連結された第1のプレートと、脚上の1対のスロット間に配置された第2の対のローラピンに連結された第2のプレートとを含むことができ、第1のプレート及び第2のプレートの各々は、ファスナを受け取るための孔を有する。ファスナは、第1のプレート孔及び第2のプレート孔を通じて第1及び第2のプレート間に連結される。インプラントは、上交差ピン間に連結された上軸受面及び下交差ピン間に連結された下軸受面を更に含むことができ、ファスナの回転の結果、第1のプレート及び第2のプレートが互いに引き寄せられ、インプラントの高さの拡張を引き起こす。
【0008】
代替の好ましい実施形態において、拡張可能棘突起間スペーサインプラントは、その近位側に第1及び第2の対の近位脚と、その遠位側に第1の対及び第2の対の遠位脚とを含むことができる。インプラントは、第1の対の近位脚及び第1の対の遠位脚に連結された第1のプレートと、第2の対の近位脚及び第2の対の遠位脚に連結された第2のプレートと、第1及び第2のプレート間に連結されたファスナとを更に含むことができる。インプラントは、第1の端部及び第2の端部を有する上軸受面であって、上軸受面が、その第1の端部で第1の対の近位脚の一方及び第2の対の近位脚の一方を接合し、かつその第2の端部で第2の対の近位脚の一方及び第2の対の近位脚の一方を接合する上軸受面と、第1の端部及び第2の端部を有する下軸受面であって、下軸受面が、その第1の端部で第1の対の近位脚の一方及び第2の対の近位脚の一方を接合し、かつその第2の端部で第2の対の近位脚の一方及び第2の対の近位脚の一方を接合する下軸受面とを更に含むことができる。この代替の好ましい実施形態において、ファスナの回転は、第1のプレートと第2のプレートの間の距離を減少させ、かつ上軸受面と下軸受面の間の垂直距離の増加を引き起こす。
【0009】
別の代替的な実施形態において、拡張可能棘突起間スペーサインプラントは、互いにピボット式に接合した第1の対の脚と、互いにピボット式に接合した第2の対の脚とを含むことができる。インプラントは、ファスナのヘッド部分を受け取るように構成されかつ第1の対の脚の第1の端部に連結された第1のプレートと、ファスナのシャフト部分を受け取るように構成されかつ第2の対の脚の第1の端部に連結された第2のプレートとを更に含むことができる。インプラントは、第1の対の脚の一方及び第2の対の脚の一方を接続する上軸受面と、第1の対の脚の他方及び第2の対の脚の他方を接続する下軸受面とを更に含むことができる。この代替の好ましい実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの間の距離の減少は、2つの軸受面間の垂直距離の増加を引き起こす。
【0010】
以上の要約、並びに以下の本出願の好ましい実施形態の詳細説明は、添付の図面を併せて読むとより良く理解されるであろう。本出願のデバイスを示す目的のために、図面に好ましい実施形態を示している。しかし、本出願は、図示の配置、構造、特徴、実施形態、態様、及び手段通りに限定するものではなく、図示の配置、構造、特徴、実施形態、態様、及び手段は、単独で又は他の配置、構造、特徴、実施形態、態様、及び手段と共に使用することができることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】拡張状態の本発明の第1の好ましい実施形態による拡張可能棘突起間スペーサの正面斜視図である。
図2図1に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図3図1に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面図である。
図4】折り畳み状態の図1に示す拡張可能棘突起間スペーサの正面斜視図である。
図5】折り畳み状態の図1に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面図である。
図6】隣接する棘状突起間の棘間空間内に挿入された図1に示す拡張可能棘突起間スペーサの斜視図である。
図7】拡張状態の本発明の第2の好ましい実施形態による拡張可能棘突起間スペーサの正面斜視図である。
図8図7に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図9】折り畳み状態の図7に示す拡張可能棘突起間スペーサの正面斜視図である。
図10】折り畳み状態の図7に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図11】隣接する棘状突起間の棘間空間内に挿入された図7に示す拡張可能棘突起間スペーサの斜視図である。
図12】拡張状態の本発明の第3の好ましい実施形態による拡張可能棘突起間スペーサの正面図である。
図13図12に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図14図12に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図15】折り畳み状態の図12に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面図である。
図16】折り畳み状態の図12に示す拡張可能棘突起間スペーサの側面斜視図である。
図17】隣接する棘状突起間の棘間空間内に挿入された図12に示す拡張可能棘突起間スペーサの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ある一定の専門用語は、便宜上のためだけに以下の説明で使用され、限定的なものではない。「右」、「左」、「上部」、及び「下部」という単語は、参照する図面における方向を示している。「内向き」及び「外向き」という単語は、棘間スペーサ及びその指定部分の幾何学的中心へ向う方向及びそこから離れる方向をそれぞれ意味する。「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「横方向」、「サジタル」、「軸方向」、「冠状」という単語、及び関連する単語及び/又は語句は、参照する人体における好ましい位置及び向きを示し、限定することを意味するものではない。専門用語は、以上列挙した単語、その派生語、及び同様の趣旨の単語を含む。
【0013】
ここで、同じ参照番号が同じ構成要素を意味する上述の図を参照して、本発明のある一定の例示的な実施形態を以下に説明する。一般的に、そのような実施形態は、隣接する椎骨Vs、Viの棘状突起SP間の間隔が望ましい脊椎狭窄又はあらゆる症状を治療するために上椎骨Vs及び下椎骨Viを含む隣接する椎骨の棘状突起SP間の埋め込み及び/又は固定のための拡張可能棘突起間スペーサインプラントに関するものである。しかし、インプラントは、例えば、隣接する椎体などの間で使用するための拡張可能椎体間スペーサとしてのものを含む他の使用を有することができる。
【0014】
以下でより詳細に説明するように、棘間スペーサインプラントは、好ましくは、隣接する棘状突起SP間の空間内に挿入するための大きさにされかつそのように構成された拡張可能部材を含み、ここで、棘間スペーサインプラントは、隣接する棘状突起SPの1つ又はそれよりも多くと作動的に接触することができる。棘間スペーサインプラントは、好ましくは、ユーザが患者の脊椎の身体構造と適合するように棘間スペーサインプラントを構成することができるように調節可能である。棘間スペーサインプラントは、完全に又は部分的に調節可能とすることができる。例えば、スペーサインプラントの高さ、幅、及び/又は角度は、調節可能とすることができる。代替的に、スペーサの高さ又は幅のみを調節可能とすることができ、又はスペーサは、調節不能である場合がある。更に、スペーサ部材の高さ、幅、及び/又は角度は、単にある程度又は限度まで調節可能とすることができる。同様に、棘間スペーサを埋め込む方法は、好ましくは、外科医が患者の棘間スペーサ及び/又は棘間スペーサの向きを調節することを可能にする。
【0015】
図1−5を参照すると、隣接する棘状突起SP間の棘間空間内に挿入してこれに連結するための大きさにされかつそのように構成された拡張可能棘突起間スペーサインプラント100の第1の好ましい実施形態は、インプラント100の遠位側にはさみのような方式で第3の脚130及び第4の脚140を連結するためにインプラント100の幅を貫通して延びる支点ピン150によってはさみのような方式で接合された第1の脚110及び第2の脚120をその近位側に含む。支点ピン150は、2対の脚110、120、130、140を連結するためにインプラント100の幅を貫通して延びることができ、又は代替的に、2つの個別のピン又は第1及び第2の脚110、120、並びに第3及び第4の脚130、140をはさみのような方式で連結する同じ機能を果たす他の連結機構によって置換することができる。更に、第1の交差ピン180は、好ましくは、第1の脚110の第1の端部を第3の脚130の第1の端部に接続し、第2の交差ピン182は、第2の脚120の第1の端部を第4の脚140の第1の端部に接続する。同様に、第3の交差ピン184は、第2の脚120の第2の端部を第4の脚140の第2の端部に接続し、第4の交差ピン186は、第1の脚110の第2の端部を第3の脚130の第2の端部に接続する。
【0016】
第1の好ましい実施形態において、第1の脚110は、第1のスロット112と、第1のスロット112の縦軸A−Aに沿って第1のスロット112を通して形成された第2のスロット114とを有し、第2の脚120は、第3のスロット122と、第3のスロット122の縦軸B−Bに沿って第4のスロット124とを有する。同様に、第3の脚130は、第4のスロット132と、第4のスロット132の縦軸C−Cに沿って第6のスロット134とを有し、第4の脚140は、第7のスロット142と、第7のスロット142の縦軸D−Dに沿って第8のスロット144とを有する。
【0017】
第2の脚120を第4の脚140に連結するために、第1のローラピン162は、好ましくは、第4のスロット124と第8のスロット144に連結されてこれらの間に張っており、第2のローラピン174は、第3のスロット122と第7のスロット142に連結されかつこれらの間に張っている。同様に、第1の脚110及び第3の脚130を連結するために、第3のローラピン164は、好ましくは、第2のスロット114と第6のスロット134に連結されてこれらの間に張っており、第4のローラピン172は、第1のスロット112と第5のスロット132に連結されかつこれらの間に張っている。一部の実施形態において、第1、第2、第3、及び第4のローラピン162、174、164、及び172は、更に耐摩耗性コーティングを含むことができる。
【0018】
第1のプレート部材160は、好ましくは、第1のローラピン162と第3のローラピン164の間に固定され、第2のプレート部材170は、好ましくは、第2のローラピン174と第4のローラピン172の間に固定される。代替的に、第1のプレート160、並びに第1及び第2のローラピン162、164は、複数の要素とは対照的に、同じ材料部分から形成された単一の要素とすることができる。同様に、第2のプレート170、並びに第3及び第4のローラピン172、174は、同じ材料部分から形成された単一の要素とすることができる。第1の好ましい実施形態において、第1のプレート160は、好ましくは、ファスナ155のヘッドを収容するために第1の孔(図示せず)を有し、第2のプレート170は、ファスナ155のネジ式シャフト部分を収容するために第2の孔(図示せず)を有する。ファスナ155のヘッドを収容するのに使用する第1の孔、及びファスナのネジ式シャフト部分を収容するのに使用する第2の孔の各々は、ネジ付き又はネジなしとすることができる。1つの好ましい実施形態において、ファスナ155は、ネジ又は他の類似の機構を含む拡張スクリューであり、その締め付けは、折り畳み位置から拡張位置までのスペーサ100の移動を可能にする。拡張スクリュー155を収容するために、孔は、支点ピン150を通して配置することができ、又は代替的に、上述のような2つの分離した支点ピンは、拡張スクリュー155の位置決めに適合することができる。代替的に、インプラント100は、拡張スクリュー155を支点ピン150のすぐ上又はすぐ下に挿入することができるように修正することができる。
【0019】
第1の好ましい実施形態において、図1−3で見ることができるように、上軸受面190は、第1の交差ピン180と第3の交差ピン184の間に配置される。下軸受面192は、同様に、第2の交差ピン182と第4の交差ピン186の間に配置される。上及び下軸受面190、192は、それぞれ上棘状突起SPの下面及び下棘状突起SPの上面に当接するように構成される。好ましい実施形態において、軸受面190、192は、商標名BioSpan(登録商標)の下で市販されているセグメント化ポリエーテルウレタンで構成される。しかし、軸受面190、192は、ポリエーテルウレタン構成物に限定されることなく、軸受面190、192の一般的形状を取り、かつ脱灰化同種移植シートのようなこれらの正常な作動条件に耐えることができるほぼあらゆる材料で構成することができる。材料組成の範囲は、上及び下軸受面190、192に対して選択することができ、その選択は、インプラント100の望ましい可撓性又は他の特性を提供するように調整することができる。例えば、ポリカーボネートウレタン(PCU)材料が、上及び下軸受面190、192を形成するのに選択される場合、インプラント100は、高可撓性を示すことができるのに対して、ポリエチレンメッシュが、上及び下軸受面190、192を形成するのに選択される場合、インプラント100は、典型的には低可撓性を示す。図1−3で見ることができるように、本発明の実施形態において、第1の交差ピン180及び第4の交差ピン186のみが、軸受面の外側から見えるが、当業者によって認められるように、あらゆる交差ピンの組合せは、そのような交差ピンの寸法及び軸受面の寸法に応じて可視又は可視ではないとすることができる。
【0020】
上及び下軸受面190、192は、融合又は非融合用途のいずれにも適合するように骨内部成長を考慮するか又は遅らせる処理を更に含むことができる。インプラント100の上記掲載した要素は、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなポリマーを含む様々な生体適合性材料から形成することができる。
【0021】
第1の好ましい実施形態の棘突起間スペーサ100は、図4に示すような非拡張の折り畳み構成から図1−3に示すような拡張展開構成まで調節可能である。スペーサ100は、スペーサ100の高さを調節することによって埋め込み中に患者の身体構造に適応させることができる。更に、当業者によって認められるように、スペーサ100の角形成は、スペーサ100の前及び後端部を別々に調節することによって調節することができる。図6は、隣接する椎骨の棘状突起SP間の脊椎に埋め込まれたスペーサ100の好ましい使用を示している。
【0022】
スペーサ100を埋め込むための1つの例示的な外科技術を以下に説明するが、スペーサ100は、本明細書の開示の精査後に当業者には明らかであると考えられる多数の技術及び/又は手術段階を利用して埋め込むことができることは当業者によって認められるであろう。
【0023】
使用において、棘突起間スペーサ100は、脊椎狭窄の患者を治療するために埋め込まれる。横方向又は内側横方向進入通路が設けられ、棘間靭帯は、好ましくは、穴を開けられるか又は部分的に除去されるが、棘間靭帯は、無傷のまま残すことができる。インプラント100は、好ましくは、折り畳み構成で進入通路を通して横方向に挿入され、隣接する棘状突起間に埋め込まれる。インプラント100が位置決めされた状態で、器具は、通路を通して導入されて拡張スクリュー155のヘッド上の器具係合特徴部に連結される。
拡張スクリュー155は、好ましくは、回転により作動され、拡張スクリュー155のネジ式シャフトを第2のプレート170のスクリュー孔と相互作用させて、それによって第1のプレート160及び第2のプレート170をインプラント100の中心に引き寄せる。
【0024】
第1のプレート160及び第2のプレート170が、インプラント100の中心に引き寄せられると、第1、第2、第3、及び第4のローラピン162、174、164、及び174の端部は、それらのそれぞれのスロット内で作動してインプラント100をより拡張状態にする。更に、第1及び第2のプレート160、170、並びに得られるローラピンの移動の一緒の引き抜きは、上軸受面190及び下軸受面192を互いに偏位させ、インプラント100の高さを少なくとも第1、第2、第3、及び第4の脚110、120、130、140の端部において増加させる。
【0025】
スクリュー155が締め付けられた状態で、インプラント100は、スクリュー155上のネジ山と、好ましくは、ネジ付きである第2のプレート上のスクリュー孔との間で作り出された干渉により折り畳みが防止される。代替的に又は追加的に、スクリュー155は、インプラントの拡張後に、例えば、第2のプレート170の反対側のスクリューの遠位端上にナットを置くことによってロックすることができる。隣接する棘状突起間の望ましい間隔が達成された状態で、器具は、取り外されて傷は閉じられる。インプラント100は、横方向又は低侵襲挿入に限定されることなく、後方進入路又は後方横方向進入路から及び/又は患者の小開口切開又は開口切開を通して埋め込むことができる。
【0026】
本発明のある一定の実施形態において、インプラント100はまた、棘状突起SPの1つ又はそれよりも多くと係合するための係合機構を含むことができる。係合機構は、棘間スペーサインプラントの移動を防止するウィング、プレート、フック、その他を含むことができる。ある一定の実施形態において、係合機構は、特定の患者の脊椎の個々の身体構造への適応性を可能にし、患者に埋め込まれた状態で棘間スペーサインプラントの移動を防止するように、スペーサに対して長さが調節可能、曲げ可能、多軸性とすることができる。使用時に、係合部材は、例えば、1つ又はそれよりも多くのスクリュー、ボルト、リベット、スパイク、又は他の突起による及び/又は圧縮による方法を含む様々な異なる方法で患者の棘状突起SPと係合することができる。当業者によって認められるように、係合機構は、様々な異なる方法で1つの棘間スペーサ部材又は複数の部材に作動的に連結することができる。
【0027】
インプラント100はまた、拡張可能椎体間スペーサを形成するように修正することができる。そのような構成において、上及び下軸受面190、192は、可撓性又は非可撓性とすることができ、かつ必要な負荷を支持することができ又は必要な負荷を支持するのに役立たせることができるニチノール、チタン、ステンレス鋼、石灰化又は脱灰化同種移植片、又はPEEKのようなポリマー又はセグメント化ポリエーテルウレタンのようないくつかの材料から形成することができる。一実施形態において、非可撓性材料が、軸受面190及び192のいずれか又は両方に使用される場合、交差ピン180、182、184、及び186と係合する孔のいずれか又は全ては、移動を容易にするために細長くすることができる。代替的に、インプラント100は、第1、第2、第3、及び第4のアーム110、120、130、140、及び/又は第1、第2、第3、及び第4の交差ピン180、182、184、186の端部によって負荷を支持するように設計することができる。そのような配置において、第1、第2、第3、及び第4のアーム110、120、130、140、及び/又は第1、第2、第3、及び第4の交差ピン180、182、184、186の端部は、望ましい身体構造、例えば、椎体端板へのインプラント100の固定を補助するようにスパイク、隆起部、又は歯(図示せず)のような表面特徴を更に含むことができる。
【0028】
この構成において、インプラント100は、移植材料又はそれを通した骨成長を収容するためにインプラント100の高さに沿ってインプラント100を通して1つ又はそれよりも多くの軸方向ボア(図示せず)を含むことができる。代替的に、インプラント100は、上及び下軸受面190、192がそれぞれ上及び下椎骨間の移動を可能にするように凸状幾何学形状を含む拡張可能全体椎間板置換デバイスを形成するように修正することができる。更に、インプラント100は、骨粗しょう症の椎体又は圧迫骨折を患っている椎体内に対して空洞作成デバイスを形成するために僅かに修正することができる。空洞作成デバイスに加えて、そのような構成の修正インプラント100は、当業技術で公知のように高さ維持独立型デバイスとして又は骨セメント又は他の空隙充填材と共に骨粗しょう症の椎体内に更に残すことができる。
【0029】
図7−11を参照して、隣接する棘状突起SP間の棘間空間内に挿入するための大きさにされかつそのように構成された拡張可能棘突起間スペーサインプラント200の第2の好ましい実施形態をここで説明する。インプラント200は、その近位側に、インプラントの一端に向う第1の脚210及び第2の脚220と、インプラントの他端に向う第3の脚230及び第4の脚240とを含む。同様に、インプラント200は、その遠位側に、インプラントの一端に向う第5の脚250及び第6の脚260と、インプラントの他端に向う第7の脚270及び第8の脚280とを含む。
【0030】
加えて、インプラント200は、その近位側に、互いに連結されて第3の脚230及び第4の脚240と接触する延長部材242及び244を含む。一実施形態において、第3の脚230は、インプラントが折り畳まれる時に側面延長部242を受け入れる窪みを有することができる。同様に、インプラント200は、その遠位側に、互いに連結されて第6の脚260及び第7の脚270と接触する近位延長部材262及び264を含む。一実施形態において、第7の脚270は、インプラントが折り畳まれる時に側面延長部262を受け入れる窪みを有することができる。
【0031】
第1のプレート部材225は、好ましくは、当業技術で公知のようにピン又は他のコネクタを通じて第1の脚210及び第5の脚250の下部部分と、第2の脚220及び第6の脚260の上部部分とに連結される。同様に、第2のプレート部材235は、第3の脚230及び第7の脚270の下部部分と、第4の脚240及び第8の脚280の上部部分とに連結される。第1のプレート225は、好ましくは、ファスナ245のヘッドを収容するために第1の孔(図示せず)を有し、第2のプレート235は、ファスナ245のネジ式シャフト部分を収容するために第2の孔255を有する。ファスナ245は、好ましくは、ネジ又は他の類似の機構を含む拡張スクリューであり、その締め付けは、折り畳み位置から拡張位置までのスペーサ200の移動を可能にする。
【0032】
第1の交差ピン215は、好ましくは、第1の脚210の上端を第5の脚250の上端に接続し、第2の交差ピン285は、第3の脚230の上端を第7の脚270の上端に接続する。同様に、第3の交差ピン295は、第2の脚220の下端を第6の脚260の下端に接続し、第4の交差ピン296は、第4の脚240の下端を第8の脚280の下端に接続する。
【0033】
上軸受面290は、第1の交差ピン215と第2の交差ピン285の間に配置される。
下軸受面292は、同様に、第3の交差ピン295と第4の交差ピン296の間に配置される。上及び下軸受面290及び292は、それぞれ上棘状突起SPの下面及び下棘状突起SPの上面に当接するように構成される。図7−10から見ることができるように、本発明の実施形態において、第2の交差ピン285のみが軸受面の外側から見えるが、当業者によって認められるように、交差ピンの各々は、そのような交差ピンの寸法及び軸受面の寸法に応じて可視とすることができる。好ましい実施形態において、軸受面290及び292は、Ti及びその合金又はPEEKなどのような可撓性材料で構成される。しかし、軸受面290及び292は、軸受面290及び292の一般的形状を取り、かつこれらの通常の作動条件に耐えることができるほぼあらゆる材料で構成することができる。
【0034】
第2の好ましい実施形態の棘突起間スペーサ200は、図9−10示すような非拡張の折り畳み構成から図7−8に示すような拡張展開構成まで調節可能である。スペーサ200は、スペーサ200の高さを調節することによって埋め込み中に患者の身体構造に適応させることができる。更に、当業者によって認められるように、スペーサ200の角形成は、スペーサ200の前及び後端部を別々に調節することによって調節することができる。図11は、隣接する椎骨の棘状突起SP間の脊椎に埋め込まれたスペーサ200の好ましい使用を示している。
【0035】
スペーサ200を埋め込むための1つの例示的な外科技術を以下に説明するが、スペーサ200は、本明細書の開示の精査後に当業者には明らかであると考えられる多数の技術及び/又は手術段階を利用して埋め込むことができることは当業者によって認められるであろう。
【0036】
使用において、棘突起間スペーサ200は、脊椎狭窄の患者を治療するために埋め込まれる。横方向又は内側横方向進入通路が設けられ、棘間靭帯は、好ましくは、穴を開けられるか又は部分的に除去されるが、棘間靭帯は無傷のまま残すことができる。インプラント200は、好ましくは、折り畳み構成で進入通路を通して横方向に挿入され、隣接する棘状突起間に埋め込まれる。インプラント200が位置決めされた状態で、器具は、通路を通して導入されて拡張スクリュー245のヘッド上の器具係合特徴部に連結される。拡張スクリュー245は、好ましくは、回転により作動し、拡張スクリュー245のネジ式シャフトを第2のプレート235のスクリュー孔255と相互作用させ、それによって第1のプレート225及び第2のプレート235をインプラント200の中心に互いに引き寄せる。
【0037】
第1のプレート225が、第2のプレート235に引き寄せられると、第1の脚210の上端及び第5の脚250の上端、並びに第2の脚220の下端及び第6の脚260の下端は、インプラント200の中心から離れる。同様に、第3の脚230の下端及び第7の脚270の下端、並びに第4の脚240の上端及び第8の脚280の上端は、インプラント200の中心から離れてインプラント200をより拡張状態にする。これはまた、延長部材242が延長部材244から切り離されて脚230の窪みと相互作用するようにし、かつ延長部材262が延長部材264から切り離されて脚270の窪みと相互作用するようにする。更に、第1及び第2のプレート225及び235、並びに得られる脚の移動の一緒の引き抜きは、上軸受面290及び下軸受面292を互いに偏位させ、インプラント200の高さを少なくとも脚210、220、230、240、250、260、270、及び280の端部において増加させる。
【0038】
スクリュー245が締め付けられた状態で、インプラント200は、スクリュー245上のネジ山と、好ましくは、ネジ付きである第2のプレート235上のスクリュー孔255との間で作り出される干渉により折り畳みが防止される。代替的に又は追加的に、スクリュー245は、インプラントの拡張後に、例えば、第2のプレート235の反対側のスクリューの遠位端上にナットを置くことによってロックすることができる。隣接する棘状突起間の望ましい間隔が達成された状態で、器具は、取り外されて傷は閉じられる。インプラント200は、横方向又は低侵襲挿入に限定されることなく、後方進入路又は後方横方向進入路から及び/又は患者の小開口切開又は開口切開により埋め込むことができる。
【0039】
図12−17を参照して、隣接する棘状突起SP間の棘間空間内に挿入するための大きさにされかつそのように構成された拡張可能棘突起間スペーサインプラント300の第3の好ましい実施形態をここで説明する。インプラント300は、第1の脚310、第2の脚320、第3の脚330、及び第4の脚340を含む。
【0040】
この第3の好ましい実施形態において、第1の脚310は、コネクタ311及び312を通じて第4の脚340にピボット式に連結される。より具体的には、コネクタ311は、支点ピン316を通じて第1の脚310にピボット式に連結され、コネクタ312は、支点ピン317を通じて第4の脚340にピボット式に連結される。同様に、第2の脚320は、コネクタ321及び322を通じて第3の脚330にピボット式に連結される。
より具体的には、コネクタ321は、支点ピン326を通じて第2の脚320にピボット式に連結され、コネクタ322は、支点ピン327を通じて第3の脚330にピボット式に連結される。更に、コネクタ311及び312は、互いに及び交差ピン318を通じて拡張器315に連結され、コネクタ321及び322は、互いに及び交差ピン328を通じて拡張器315に連結される。本明細書で説明する連結機構は、支点ピン又は交差ピンとして説明することができるが、他の連結機構を代替的に又は追加的に使用することができることは、当業者によって認められるであろう。
【0041】
第1のプレート部材325は、好ましくは、当業技術で公知のように交差ピン335又は他のコネクタを通じて第1の脚310の下部部分及び第4の脚340の上部部分に連結される。同様に、第2のプレート部材345は、交差ピン336を通じて第2の脚320の下部部分及び第3の脚330の上部部分に連結される。第1のプレート325は、好ましくは、ファスナ355のヘッドを収容するために第1の孔(図示せず)を有し、第2のプレート345は、ファスナ355のネジ式シャフト部分を収容するために第2の孔(図示せず)を有する。ファスナ355は、好ましくは、ネジ又は他の類似の機構を含む拡張スクリューであり、その締め付けは、折り畳み位置から拡張位置までのスペーサ300の移動を可能にする。
【0042】
第1の脚310の上部部分及び第2の脚320の上部部分は、それぞれ交差ピン350及び360を通じて上軸受面390に各々連結される。同様に、第3の脚330の下部部分及び第4の脚340の下部部分は、それぞれ交差ピン375及び370を通じて下面380に各々連結される。
【0043】
上及び下軸受面390及び380は、それぞれ上棘状突起SPの下面及び下棘状突起SPの上面に当接するように構成される。軸受面380及び390は、軸受面380及び390の一般的形状を取り、かつこれらの通常の作動条件に耐えることができるほぼあらゆる材料で構成することができる。
【0044】
第3の好ましい実施形態の棘突起間スペーサ300は、図15−16示すような非拡張の折り畳み構成から図12−14に示すような拡張展開構成まで調節可能である。スペーサ300は、スペーサ300の高さを調節することによって埋め込み中に患者の身体構造に適応させることができる。更に、当業者によって認められるように、スペーサ300の角形成は、スペーサ300の前及び後端部を別々に調節することによって調節することができる。図17は、隣接する椎骨の棘状突起SP間の脊椎に埋め込まれたスペーサ300の好ましい使用を示している。
【0045】
スペーサ300を埋め込むための1つの例示的な外科技術を以下に説明するが、スペーサ300は、本明細書の開示の精査後に当業者には明らかであると考えられる多数の技術及び/又は手術段階を利用して埋め込むことができることは当業者によって認められるであろう。
【0046】
使用において、棘突起間スペーサ300は、脊椎狭窄の患者を治療するために埋め込まれる。横方向又は内側横方向進入通路が設けられ、棘間靭帯は、好ましくは、穴を開けられるか又は部分的に除去されるが、棘間靭帯は無傷のまま残すことができる。インプラント300は、好ましくは、折り畳み構成で進入通路を通して横方向に挿入され、隣接する棘状突起間に埋め込まれる。インプラント300が位置決めされた状態で、器具は、通路を通して導入されて拡張スクリュー355のヘッド上の器具係合特徴部に連結される。拡張スクリュー355は、好ましくは、回転により作動し、拡張スクリュー355のネジ式シャフトを第2のプレート345のスクリュー孔と相互作用させ、それによって第1のプレート355及び第2のプレート345をインプラント300の中心に互いに引き寄せる。
【0047】
第2のプレート345及び第1のプレート355が互いに引き寄せられると、第2の脚320の下端及び第3の脚330の上端、並びに第1の脚310の下端及び第4の脚340の上端は、インプラント300の中心の方向に移動する。更に、第1及び第2のプレート355及び345、並びに得られる移動の一緒の引き抜きは、上軸受面390及び下軸受面380を互いに偏位させ、インプラント300の高さを増加させる。
【0048】
スクリュー355が締め付けられた状態で、インプラント300は、スクリュー355上のネジ山と、好ましくは、ネジ付きである第2のプレート345上のスクリュー孔との間で作り出される干渉により折り畳みが防止される。代替的に又は追加的に、スクリュー355は、インプラントの拡張後に、例えば、第2のプレート345の反対側のスクリューの遠位端上にナットを置くことによってロックすることができる。隣接する棘状突起間の望ましい間隔が達成された状態で、器具は、取り外されて傷は閉じられる。インプラント300は、横方向又は低侵襲挿入に限定されることなく、後方進入路又は後方横方向進入から及び/又は患者の小開口切開又は開口切開により埋め込むことができる。
【0049】
棘間スペーサアセンブリの好ましい実施形態について説明した様々な係合機構は、インプラントの構造及び作動に有意に影響を与えることなく、好ましい実施形態の棘間スペーサアセンブリ間で適応かつ交換することができることを当業者は認識するであろう。
【0050】
当業者は、本発明の方法及びシステムが多くの用途を有し、多くの方式で実施することができ、従って、上述の実施形態及び実施例によって限定されないことを認識するであろう。また、本明細書に説明した異なる実施形態のあらゆる数の特徴は、組み合わせて1つの単一の実施形態にすることができ、本明細書に説明した特徴の全てよりも少ないか又は多い特徴を有する代替的な実施形態が可能である。機能性も、全体的に又は部分的に、現在公知の又は公知になる方式で複数の構成要素にわたって配分することができる。更に、本発明の範囲は、当業者によって理解されるように、従来公知のもの及び本明細書に説明した構成要素を通じたそれらの変形及び修正の特徴を包含する。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって示すものだけに限定されるように意図している。
【0051】
特許請求の範囲は、本明細書で説明する本発明の全体的及び具体的な特徴の全てと、言語の問題としてその間に該当するといわれる場合がある本発明の範囲の全ての記載とを包含するように意図していることも同様に理解されるものとする。
【0052】
広範な本発明の発明概念から逸脱することなく上述の実施形態に変更を行うことができることは当業者によって認められるであろう。従って、本発明は、開示した特定的な実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲内に修正を包含することを意図していることは理解される。
【符号の説明】
【0053】
100 拡張可能棘突起間スペーサインプラント
110 第1の脚
120 第2の脚
130 第3の脚
140 第4の脚
150 支点ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17