特許第6017519号(P6017519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シナノケンシ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6017519-モータ及びカバー 図000002
  • 特許6017519-モータ及びカバー 図000003
  • 特許6017519-モータ及びカバー 図000004
  • 特許6017519-モータ及びカバー 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017519
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】モータ及びカバー
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20161020BHJP
   H02K 5/02 20060101ALI20161020BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H02K5/10 Z
   H02K5/02
   H02K1/18 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-238099(P2014-238099)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-101041(P2016-101041A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】星野 正好
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−252157(JP,A)
【文献】 特開2001−245447(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0136277(US,A1)
【文献】 実開昭56−027852(JP,U)
【文献】 実開昭56−145347(JP,U)
【文献】 特開平07−163083(JP,A)
【文献】 実開昭58−15458(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
H02K 1/18
H02K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
複数の磁性薄板が積層されて形成され、前記回転子を包囲する固定子コアと、
前記固定子コアを覆うカバーと、
前記固定子コア及びカバーを挟む上側ブラケット及び下側ブラケットと、を備え、
前記カバーは、
前記固定子コアの外周面に対向する周壁部と、
前記固定子コアの上面と前記上側ブラケットに挟まれる上壁部と、
前記固定子コアの底面と前記下側ブラケットに挟まれる底壁部と、を含み、
前記周壁部には、前記複数の磁性薄板の積層方向への当該周壁部の伸縮を許容する伸縮部が形成されている、モータ。
【請求項2】
前記伸縮部は、前記周壁部の周方向に延びている、請求項1のモータ。
【請求項3】
前記伸縮部を除いた前記周壁部の外壁面に垂直な断面で見た場合に、前記伸縮部の断面形状は湾曲形状である、請求項1又は2のモータ。
【請求項4】
前記カバーは、ゴム製である、請求項1乃至3の何れかのモータ。
【請求項5】
複数の磁性薄板が積層されて形成され回転子を包囲するモータの固定子コアを覆うカバーであって、
前記固定子コアの外周面に対向する周壁部と、
前記固定子コアの上面及び底面にそれぞれ対向する上壁部及び底壁部と、を含み、
前記周壁部には、前記複数の磁性薄板の積層方向への当該周壁部の伸縮を許容する伸縮部が形成されている、カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータに用いられる固定子コアの外周面に封止剤を塗布することにより、固定子コアの防水性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−163083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような封止剤では経年劣化により破損する恐れがある。従って、カバーにより固定子コアを覆うことにより防水性を向上させることが考えられる。このようなカバーは、防水性を確保するために固定子コアとの隙間が小さくなるように設計されていることが望ましい。
【0005】
固定子コアには、複数の磁性薄板が積層されて形成されるものがある。ここで、積層される各磁性薄板の厚みにバラつきがある場合がある。このような場合、固定子コアも積層方向の厚みにバラつきが生じる恐れがある。例えば、固定子コアが所望の厚みよりも厚い場合には、固定子コアにカバーを組み付ける作業性が悪化する恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、作業性の悪化を抑制したモータ及びカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、回転子と、複数の磁性薄板が積層されて形成され、前記回転子を包囲する固定子コアと、前記固定子コアを覆うカバーと、前記固定子コア及びカバーを挟む上側ブラケット及び下側ブラケットと、を備え、前記カバーは、前記固定子コアの外周面に対向する周壁部と、前記固定子コアの上面と前記上側ブラケットに挟まれる上壁部と、前記固定子コアの底面と前記下側ブラケットに挟まれる底壁部と、を含み、前記周壁部には、前記複数の磁性薄板の積層方向への当該周壁部の伸縮を許容する伸縮部が形成されている、モータによって達成できる。
【0008】
上記目的は、複数の磁性薄板が積層されて形成され回転子を包囲するモータの固定子コアを覆うカバーであって、前記固定子コアの外周面に対向する周壁部と、前記固定子コアの上面及び底面にそれぞれ対向する上壁部及び底壁部と、を含み、前記周壁部には、前記複数の磁性薄板の積層方向への当該周壁部の伸縮を許容する伸縮部が形成されている、カバーによっても達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業性の悪化を抑制したモータ及びカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、モータの一部を示した底面図であり、図1Bは、モータの一部を示した側面図である。
図2図2Aは、固定子コアの底面図であり、図2Bは、固定子コアの側面図である。
図3図3Aは、カバーの底面図であり、図3Bは、図3AのA−A断面図である。
図4図4Aは、モータの側面図であり、図4Bは、モータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A、1Bは、それぞれモータ1の一部を示した底面図、側面図である。図2A、2Bは、それぞれモータ1からカバー10を取り外した状態の底面図、側面図である。図3Aは、カバー10の底面図、図3Bは、図3AのA−A断面図である。図4A、4Bは、それぞれモータ1の側面図、断面図である。尚、図1A、1Bでは、ブラケット70、80については省略してある。図1A、2Aでは、プリント基板PBの一部を省略してある。図1Bでは、カバー10については断面を示している。モータ1は、カバー10、回転子20、複数のコイル30、インシュレータ90、プリント基板PB、ブラケット70、80を備えている。
【0012】
カバー10は、固定子コア40に組み付けられており、固定子コア40を防水するためのものである。回転子20の外周には、複数の永久磁石が周方向に配置されている。回転子20は磁性材料により形成され、例えば電磁鋼板である。回転子20の周囲には固定子コア40が配置されている。固定子コア40は、略枠状に形成され、外周面42、上面44、底面46を含む。外周面42は、回転子20の回転軸周りにある面である。上面44、底面46は、回転子20の回転軸の方向に並んだ面である。固定子コア40は、回転子20に向けて径方向内側に等角度間隔で延びたティース部48が設けられている。固定子コア40は、複数の磁性薄板が厚み方向に積層されて形成されている。図2Bには、複数の磁性薄板が積層されている積層方向Dを示している。尚、積層方向Dは、回転子20の回転軸の方向と同じである。
【0013】
固定子コア40には、絶縁性を有した合成樹脂製のインシュレータ90が組み付けられている。インシュレータ90は、ティース部48の周囲を覆う。これらの複数のティース部48には、インシュレータ90を介してそれぞれ複数のコイル30が巻回されている。これらコイル30はプリント基板PBに電気的に接続されている。コイル30が通電制御されると、固定子コア40周囲には回転子20を回転させるための磁界が発生する。固定子コア40周囲に発生した磁界と複数の回転子20の永久磁石との間に作用する磁気的吸引力、磁気的反発力により、回転子20は回転する。
【0014】
カバー10は、固定子コア40の上面44及び底面46と、それらに対応する上側のブラケット70と下側のブラケット80により上下から挟み込まれることでモータ内部に水等が侵入することを防いでいる。ブラケット70、80は、それぞれ上側ブラケット及び下側ブラケットの一例である。この2つのブラケット70、80は、回転子20の回転軸の軸受を介して回転可能に支持する。固定子コア40の4隅には、上面44から底面46にまで貫通したブラケット70、80の固定用の貫通孔46hがそれぞれ形成されている。尚、図4A、4Bに示すように、ブラケット70の上部には、回転子20の回転軸に固定された出力部75が設けられている。回転子20が回転することにより出力部75が回転する。ブラケット80には、プリント基板PBに電気的に接続されたコネクタ部Cが設けられている。
【0015】
カバー10は、ゴム製であり、例えばNBRと呼ばれるニトリルゴムであり、ゴム硬度は70°であるがこれに限定されない。カバー10は、周壁部12、周壁部12に連続した上壁部14及び底壁部16を含む。カバー10が固定子コア40に組み付けられた状態では、周壁部12、上壁部14、底壁部16は、それぞれ固定子コア40の外周面42、上面44、底面46に対向する。図4A、4Bに示すように、上壁部14は、固定子コア40の上面44とブラケット70に挟まれ、底壁部16は、固定子コア40の底面46とブラケット80に挟まれる。底壁部16には、回転子20やインシュレータ90を逃がすための略六角形状の逃げ孔16aが形成され、底壁部16は固定子コア40の底面46の4隅を押えている。底壁部16の4隅には、上述した貫通孔46hに対応した孔16hが形成されている。同様に、上壁部14にも、逃げ孔16aと略同一形状の逃げ孔14aが形成されて、上壁部14は固定子コア40の上面44の4隅を押えている。上壁部14の4隅にも、上述した貫通孔46hに対応した孔が形成されている。固定子コア40にカバー10の組み付けは、逃げ孔16aから固定子コア40をカバー10内に挿入することにより行われる。
【0016】
ここで、図1A、1B、3A、3Bに示すように、積層方向Dでの周壁部12の略中心には、伸縮部12aが周方向に延びている。伸縮部12aは周壁部12の全周に形成されている。伸縮部12aは周壁部12の外側に突出した湾曲形状である。具体的には、図3Bに示すように、伸縮部12aを除いた周壁部12の外壁面に垂直な断面で見た場合に、伸縮部12aの断面形状は湾曲形状となっている。
【0017】
積層方向Dで周壁部12を伸縮させるような力が作用した場合には、伸縮部12aが変形して周壁部12は積層方向Dである程度伸縮が可能である。例えば、周壁部12を伸張させるような力が作用した場合には、伸縮部12aの曲率が大きくなるように変形して周壁部12が伸張する。また、周壁部12を収縮させるような力が作用した場合には、伸縮部12aの曲率が小さくなるように変形して周壁部12が収縮する。
【0018】
ここで、積層された各磁性薄板が厚みのバラつきにより、固定子コア40の積層方向Dでの厚みにもバラつきが生じる恐れがある。例えば、固定子コア40が所望の厚みよりも厚くなる場合が起こり得る。このような場合であっても、カバー10の周壁部12が伸張することによりカバー10に固定子コア40を組み付けることができ、作業性の悪化が抑制される。
【0019】
また、例えば固定子コア40が所望の厚みよりも薄い場合も起こり得る。このような場合であっても、固定子コア40とブラケット70、80とによりカバー10が上下方向に収縮するような力が作用すると、伸縮部12aが変形して周壁部12が収縮する。これにより、周壁部12の内面と固定子コア40の外周面42との間に隙間が大きくなることが防止できる。このため、防水性が確保されている。
【0020】
このように、伸縮部12aを設けることにより積層方向Dでの周壁部12の伸縮が可能となる。このため、防水性を確保するために固定子コア40との隙間が小さくなるようにカバー10を設計した場合や、また、経年劣化による寸法変化を抑制するためにある程度剛性のあるゴムをカバー10の材料として用いた場合であっても、積層方向Dでの周壁部12の伸縮を確保できる。これにより、防水性を確保しつつカバー10の経年劣化を抑制できる。尚、図4A、4Bに示すように、伸縮部12aを含む周壁部12の外面の大部分は、ブラケット70、80には覆われずに露出している。これにより、伸縮部12aの伸縮がブラケット70、80により妨げられることが防止されている。
【0021】
尚、防水性を確保したモータとして、少なくとも固定子を樹脂等の封止剤により覆ったモールドモータが知られている。このようなモールドモータは、例えば封止剤として熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂を固定子に塗布した後は、熱により硬化させる作業が必要となる。このため、モールドモータは防水性については高いが、製造コストも高くなる。これに対してカバー10を用いた本実施例のモータ1では、モールドモータほどの防水性は必要がない環境下での使用に適しており、またモールドモータよりも低コストで製造できる。
【0022】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【0023】
上記実施例では周方向に延びた単一の伸縮部12aが周壁部12に形成されているがこれに限定されない。例えば、互いに平行に延びた複数の伸縮部12aを周壁部12に設けることにより、周壁部12の一部を蛇腹状にしてもよい。また、伸縮部12aを周壁部12の周方向にわたり延ばして全周に設置せず、一部区間のみでもよいし、そのような区間を複数個所設けるようにしてもよい。このような場合であっても、カバー10の周壁部12が多少は伸張するのでカバー10に固定子コア40を組み付ける際の作業性の悪化を抑制することができる。
【0024】
上記実施例では固定子コア40の外周面42は、積層方向Dから見て略長方形状であり、これに対応するようにカバー10も略角枠状であるが、このような形状に限定されない。例えば、固定子コアの外周面は、積層方向Dから見て略円形状であり、これに対応するようにカバーも円筒状であってもよい。
【0025】
本実施例のモータ1は、例えばオートバイのエンジンのスロットルを開閉するための駆動源として用いられるがこれに限定されない。
【符号の説明】
【0026】
1 モータ
10 カバー
12 周壁部
12a 伸縮部
14 上壁部
16 底壁部
40 固定子コア
42 外周面
44 上面
46 底面
図1
図2
図3
図4