(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形の本体底面板と、該本体底面板の長辺に立設された本体前面板及び本体後面板と、前記本体底面板の短辺に立設された本体左側面板及び本体右側面板と、を有し、包装物がロール状に巻回されたフィルムロールを収容する、上面が開口した容器本体と、
前記本体後面板の上端辺に連接され、前記容器本体の上面開口部を閉鎖時に覆う蓋天面板と、該蓋天面板に連接され、前記本体前面板の外側に重ねて配置される蓋前面板と、を有する蓋体と、
前記フィルムロールから繰り出され、前記本体前面板と前記蓋前面板との間から引き出された包装物を切断する前記蓋前面板に設けられた切断手段と、
を備える包装容器において、
前記蓋前面板若しくは前記本体底面板のいずれか一方又は両方の表面のうち、前記包装容器の長手方向の長さを100%としたとき、該長手方向の中央部を中心とする5〜70%の領域に、不滑層を設け、
前記蓋前面板若しくは前記本体底面板のいずれか一方又は両方が、くぼみ部若しくは突部のいずれか一方又は両方を有し、
前記蓋前面板に設けた前記くぼみ部は、前記蓋前面板の表面よりも陥没している部分であり、
前記本体底面板に設けた前記くぼみ部は、前記本体底面板の表面よりも陥没している部分であり、
前記くぼみ部の深さは、0.05〜0.40mmであり、
前記不滑層が、(1)前記くぼみ部の底部に設けられ、かつ、前記くぼみ部の周辺には設けられず、かつ、前記不滑層の表面が前記蓋前面板又は前記本体底面板の表面よりも前記くぼみ部の底部側にある、(2)前記突部の周辺に設けられ、かつ、前記突部の頂部には設けられず、かつ、前記不滑層の表面が前記突部の頂部よりも前記蓋前面板又は前記本体底面板の表面側にある、の(1)若しくは(2)のいずれか一方又は両方であることを特徴とする包装容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装物を収容する包装体は、一般に紙製であり、光沢感を出すために、印刷の最表層に紫外線硬化型インキによるコーティング層(以降、UVコート層ということもある。)が形成されることが多い。UVコートを施した表面は滑りやすいため、特許文献1のように、凸部又は凹部を設けたり、特許文献2のように、エンボスによる凹陥部を設けたりするだけでは、把持のしにくさの改善という点では不十分である。そもそも、特許文献2は、被せ蓋を容易に開封できるようにすることを目的としており、包装体を持ちやすくするものではない。これまで、特許文献1〜7のように、滑り止め手段の開示はあるものの、包装物を収容する包装体に関して、持ちやすくするために、滑り止め手段をどこにどのように施せばよいのかの検討はあまりなされていない。
【0006】
本発明の目的は、ロール状に巻回された包装物を収容する包装容器に関し、特には、手指又は掌が滑るのを防止して持ちやすさを改良した包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装容器は、矩形の本体底面板と、該本体底面板の長辺に立設された本体前面板及び本体後面板と、前記本体底面板の短辺に立設された本体左側面板及び本体右側面板と、を有し、包装物がロール状に巻回されたフィルムロールを収容する、上面が開口した容器本体と、前記本体後面板の上端辺に連接され、前記容器本体の上面開口部を閉鎖時に覆う蓋天面板と、該蓋天面板に連接され、前記本体前面板の外側に重ねて配置される蓋前面板と、を有する蓋体と、前記フィルムロールから繰り出され、前記本体前面板と前記蓋前面板との間から引き出された包装物を切断する前記蓋前面板に設けられた切断手段と、を備える包装容器において、前記蓋前面板若しくは前記本体底面板のいずれか一方又は両方の表面のうち、前記包装容器の長手方向の長さを100%としたとき、該長手方向の中央部を中心とする5〜70%の領域に、不滑層を設け、前記蓋前面板若しくは前記本体底面板のいずれか一方又は両方が、くぼみ部若しくは突部のいずれか一方又は両方を有し、前記蓋前面板に設けた前記くぼみ部は、前記蓋前面板の表面よりも陥没している部分であり、前記本体底面板に設けた前記くぼみ部は、前記本体底面板の表面よりも陥没している部分であり、
前記くぼみ部の深さは、0.05〜0.40mmであり、前記不滑層が、(1)前記くぼみ部の底部に設けられ、かつ、前記くぼみ部の周辺には設けられ
ず、かつ、前記不滑層の表面が前記蓋前面板又は前記本体底面板の表面よりも前記くぼみ部の底部側にある、(2)前記突部の周辺に設けられ、かつ、前記突部の頂部には設けられ
ず、かつ、前記不滑層の表面が前記突部の頂部よりも前記蓋前面板又は前記本体底面板の表面側にある、の(1)若しくは(2)のいずれか一方又は両方であることを特徴とする。不滑層が、蓋前面板若しくは本体底面板のいずれか一方又は両方の表面のうち、包装容器の長手方向の長さを100%としたとき、該長手方向の中央部を中心とする5〜70%の領域に設けられることで、包装物を切断時に、蓋前面板より確実に押さえることができる。また、蓋前面板若しくは本体底面板のいずれか一方又は両方が、くぼみ部若しくは突部のいずれか一方又は両方を有し、前記蓋前面板に設けた前記くぼみ部は、前記蓋前面板の表面よりも陥没している部分であり、前記本体底面板に設けた前記くぼみ部は、前記本体底面板の表面よりも陥没している部分であり、前記不滑層が、(1)くぼみ部の底部に設けられ、かつ、くぼみ部の周辺には設けられない、(2)突部の周辺に設けられ、かつ、突部の頂部には設けられない、の(1)若しくは(2)のいずれか一方又は両方であることで、滑りにくくするとともに、包装容器の製造ラインにおける搬送適性を良好に維持することができる。
【0008】
本発明に係る包装容器では、前記不滑層が、印刷層の最表層であることが好ましい。特別な装置又は設備を用いずとも、不滑層を所定の位置に形成することができる。
【0009】
本発明に係る包装容器では、前記不滑層が、前記蓋天面板若しくは前記本体後面板のいずれか一方又は両方の両端部分を含む領域に設けられることが好ましい。包装容器の端部を把持した場合であっても、持ちやすさを更に向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ロール状に巻回された包装物を収容する包装容器に関し、特には、手指又は掌が滑るのを防止して持ちやすさを改良した包装容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0013】
図1は、本実施形態に係る包装容器の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す包装容器の正面図である。本実施形態に係る包装容器100は、矩形の本体底面板11と、本体底面板11の長辺に立設された本体前面板12及び本体後面板13と、本体底面板11の短辺に立設された本体左側面板14及び本体右側面板15と、を有し、包装物1がロール状に巻回されたフィルムロール40を収容する、上面が開口した容器本体10と、本体後面板13の上端辺13aに連接され、容器本体10の上面開口部を閉鎖時に覆う蓋天面板21と、蓋天面板21に連接され、本体前面板12の外側に重ねて配置される蓋前面板22と、を有する蓋体20と、フィルムロール40から繰り出され、本体前面板12と蓋前面板22との間から引き出された包装物1を切断する蓋前面板22に設けられた切断手段30と、を備える包装容器において、本体底面板11、本体前面板12、本体後面板13、蓋天面板21又は蓋前面板22の少なくとも一つの表面の全部又は一部に、不滑層5を設ける。
【0014】
包装物1は、例えば、ラップフィルム、アルミニウム箔、加熱調理用の紙シートである。ラップフィルムは、例えば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルムである。また、ラップフィルムには、可塑剤、安定化剤などの各種助剤を含有する形態を包含する。加熱調理用の紙シートは、紙基材の片面又は両面にシリコン樹脂加工又はフッ素樹脂加工を施したシートである。包装物1は、単層であるか、又は積層であるかを問わない。包装物1の厚さは、特に限定されないが、ラップフィルムの場合には、一般に、5〜20μmである。
【0015】
フィルムロール40は、所定の幅及び所定長さを有する包装物1を、ロール状に巻回してなる。
【0016】
包装容器100は、容器本体10と、蓋体20と、切断手段30とを備える横長の略直方体形状の箱である。包装容器100は、紙、プラスチックなどの板材で形成されている。板材の厚さは、一般に、0.45〜0.75mmである。なお、本発明は、包装容器100の材質及び板材の厚さに制限されない。
【0017】
容器本体10は、フィルムロール40を収容する部分である。容器本体10は、本体底面板11と、本体前面板12と、本体後面板13と、本体左側面板14と、本体右側面板15とを有し、上面開口部を有する。
【0018】
本体底面板11は、長辺と短辺とを有する矩形である。その長辺の長さは、フィルムロール40の幅より長ければ特に限定されないが、一般に、フィルムロール40の幅よりも2〜10mm長く設定することが好ましい。より好ましくは、3〜6mmである。その短辺の長さは、フィルムロール40の直径の長さより長ければ特に限定されないが、一般に、フィルムロール40の直径の長さよりも1〜8mm長く設定することが好ましい。より好ましくは、3〜6mmである。本体前面板12及び本体後面板13は、本体底面板11とほぼ同じ寸法で形成された矩形である。本体左側面板14及び本体右側面板15は、略正方形であり、その各辺の長さは、本体底面板11の短辺の長さとほぼ同じである。上面開口部は、本体前面板12と、本体後面板13と、本体左側面板14と、本体右側面板15との上端辺で形成され、フィルムロール40の出し入れ及びフィルムロール40からの包装物1の引き出しを可能とする。
【0019】
蓋体20は、容器本体10の上面開口部を開閉自在に覆う部分である。蓋体20は、蓋天面板21と、蓋天面板21に連接する蓋前面板22と、蓋左側面板24と、蓋右側面板25とを有する。容器本体10と蓋体20とは、本体後面板13の上端辺13aに蓋天面板21が連接して、一体に設けられている。上面開口部を閉鎖時には、蓋天面板21が上面開口部を覆い、蓋前面板22が本体前面板12の外側に重ねて配置され、蓋左側面板24及び蓋右側面板25が、それぞれ本体左側面板14及び本体右側面板15の外側に重ねて配置される。
【0020】
切断手段30は、包装物1を切断するためのものである。その材質及び形状は特に限定されないが、例えば、厚紙、プラスチック、金属などで形成された鋸刃状の切断刃である。切断手段30は、一般に、蓋前面板22の裏面(容器本体側の表面)に取付けられ、蓋前面板22の下端辺22aから刃の先端部を突出させている。
図1に示す包装容器100では、蓋前面板22では、その下端辺22aが、包装容器100の長手方向(以降、包装容器100の長手方向とは、
図1のW‐W´方向である。)の中央部が最も凸となる全体が略V字形状に形成されており、切断手段30もこの形状に合わせて略V字形状に形成されている。なお、本実施形態では、
図1に示すような蓋前面板22及び切断手段30が略V字形状である形態に限定されない。例えば、蓋前面板22の下端辺22a及び切断手段30を直線形状、略U字形状とすることができる。
【0021】
不滑層5は、使用時に、手指又は掌が滑るのを防止して、ハンドリング性を良好とするものである。
図3は、不滑層を設けた部分の断面図であり、(a)は
図1のA−A断面図、(b)は変形形態である。本実施形態に係る包装容器100では、不滑層5が、印刷層6の最表層であることが好ましい。印刷層6は、
図3(a)に示すように、基材2側から順に、インキ層3と、UVコート層4と、不滑層5とを有する。インキ層3は、商品名、会社名、取り扱い方法、装飾のための模様などの情報を表示する層であり、単色刷り又は2色以上の多色刷りで形成される。UVコート層4は、印刷インキ層3の耐摩擦性向上及び光沢感の付与を目的として形成する。
【0022】
不滑層5は、不滑性を付与する塗料の塗膜である。不滑性を付与する塗料は、特に限定されず、例えば、一般に防滑ニスと呼ばれるものを使用できる。不滑層5の印刷パターンは、例えば、べた(全面塗り)、ドット状又は網目状であり、所望の摩擦力に応じて適宜選択可能である。不滑層5を印刷によって形成することで、従来使用されている印刷機又はそれに付随するコーターを用いて、不滑層5を形成することができる。よって、特別な装置又は設備を用いずとも、不滑層5を所定の位置に形成することができる。また、印刷パターンの選択によって、摩擦力の調整を容易に行うことができる。また、
図3(b)に示すように、不滑層5を設ける部分には、UVコート層4を設けず、印刷インキ層3上に、直接、不滑層5を形成する形態としてもよい。なお、本実施形態では、不滑層5が、印刷層6の最表層であればよく、インキ層3又はUVコート層4を省略してもよい。また、インキ層3及びUVコート層4以外の層を設けてもよい。
【0023】
図1及び
図2には、不滑層5を、蓋前面板22に形成した形態を例示したが、これに限定されない。不滑層5は、本体底面板11、本体前面板12、本体後面板13、蓋天面板21又は蓋前面板22の少なくとも一つの表面の全部又は一部に設ける。すなわち、不滑層5は、本体左側面板14、本体右側面板15、蓋左側面板24及び蓋右側面板25を除く包装容器100の表面に設ける。本体左側面板14、本体右側面板15、蓋左側面板24及び蓋右側面板25は、包装容器100の製造過程において、搬送時にガイドと接触する機会が多いため、当該部分に不滑層5を設けないことによって、製造ラインにおける搬送適性が得られる。より好ましくは、不滑層5を、本体底面板11、本体前面板12、本体後面板13、蓋天面板21又は蓋前面板22の少なくとも一つの表面の一部に設ける。不滑層5を表面の一部に設けるときは、使用者が把持する位置に設けることが好ましく、例えば、
図2に示すように、包装容器100の長手方向の長さLWを100%としたとき、長手方向の中央部Oを中心とする5〜70%の領域S1に設けることが好ましい。領域S1は、より好ましくは、長手方向の中央部Oを中心とする20〜60%の領域である。
【0024】
次に、不滑層5を設ける位置の好ましい形態例を説明する。
【0025】
図4は、不滑層を設ける位置の第一形態例を説明するための斜視図である。本実施形態に係る包装容器200では、不滑層5a,5bが、蓋前面板22若しくは本体底面板11のいずれか一方又は両方の表面のうち、包装容器200の長手方向の長さLWを100%としたとき、長手方向の中央部Oを中心とする5〜70%の領域S2に設けられることが好ましい。領域S2は、より好ましくは、長手方向の中央部Oを中心とする20〜60%の領域であり、特に好ましくは、長手方向の中央部Oを中心とする30〜50%の領域である。より好ましくは、不滑層5bを、領域S2内で、かつ、包装容器200の奥行き方向(以降、包装容器200の奥行き方向とは、図のD‐D´方向である。)の長さLDを100%としたとき、本体底面板11の本体後面板13側の端辺11aを基端とする30〜70%の領域S3(
図4にて、斜線をつけた部分である。)に設ける。領域S3は、より好ましくは、本体底面板11の本体後面板13側の端辺11aを基端とする40〜60%の領域である。なお、
図4では、不滑層5aを、蓋前面板22の全表面に設けた形態を示したが、これに限定されず、蓋前面板22の一部に設けてもよい。蓋前面板22の一部に設ける場合には、
図2に示した、領域S1に設けることが好ましい。
【0026】
図5は、
図4の包装容器を把持した状態を示す図である。
図5を用いて包装物1の切断時の動作について説明する。使用者は、
図5に示すように、蓋前面板22に親指を当てて、包装物1を蓋前面板22と本体前面板12との間で挟持して固定した状態とし、親指以外の指及び掌は、蓋天面板21、本体後面板13及び本体底面板11にわたって、包装容器200に接触させて把持する。使用者は、まず、蓋体20を開けて、フィルムロール40から包装物1を所定の長さだけ引き出した後、蓋体20を閉じる。蓋前面板22の下端辺22aには、切断手段30が設けられているため、蓋体20の開閉は、一般的に、蓋前面板22に指を掛けて上部に持ち上げて開く。不滑層5a,5bを、蓋前面板22及び本体底面板11の表面の中央部付近に設けることで、手指が滑るのを防止して、蓋体20の開閉を良好に行うことができ、ハンドリング性を向上できる。
【0027】
次に、他方の手で包装物1を引きつつ、包装容器200を把持した手で包装容器200を捻って、又は包装物1を包装容器200の切断手段30に当接する方向に移動して、包装物1を切断する。包装物1の切断方法としては、例えば、包装物1を切断手段30の一端から他端に向けて切り開く方法又は包装物1を切断手段30の中央部から切り開く方法がある。第一形態例では、蓋前面板22をしっかりと押さえることができるため、いずれの切断方法であっても、包装物1の切断を良好に行うことができる。ところで、切断手段30が、長手方向の中央部が最も凸となる全体が略V字形状である場合(
図5に図示)には、切断するのに必要とする力が小さくてすむという観点で、一方の手で包装物1を引きつつ、包装容器200を把持した手で包装容器200をα方向に捻って、包装物1を中央部から切り開く方法が適している。第一形態例では、不滑層5a,5bを、蓋前面板22及び本体底面板11の表面の中央部付近に設けているため、切断手段30が、長手方向の中央部が最も凸となる全体が略V字形状である場合において、包装容器200を捻る時に、手指が滑るのを防止することができる。
【0028】
図6は、第一形態例の変形例を示す図である。
図7は、不滑層を設けた部分の断面図であり、(a)は
図6のB−B断面図、(b)は
図6のC−C断面図である。本実施形態に係る包装容器201では、蓋前面板22若しくは本体底面板11のいずれか一方又は両方が、くぼみ部51,52を有し、不滑層5c,5dが、くぼみ部51,52の底部51a,52aに設けられることが好ましい。
【0029】
蓋前面板22に設けたくぼみ部51は、
図7(a)に示すように、くぼみ部51の底部51a及び底部51aと蓋前面板22の表面とを結ぶ斜面51bを有し、蓋前面板22の表面よりも陥没している。その深さは、特に限定されないが、0.05〜0.40mmとすることが好ましい。より好ましくは、0.10〜0.30mmである。くぼみ部51の形状は、
図6では親指の指先の形状に合わせた略半円形状としたが、これに限定されず、矩形、台形、楕円形、長円形、円形その他各種形状とすることができる。蓋前面板22にくぼみ部51を設けることで、使用者が、親指を当てる位置を視覚で認識でき、更に、触覚で検知することができる。また、くぼみ部51に指をかけることで、蓋体20の開閉を容易に行うことができる。さらに、くぼみ部51の底部51aに不滑層5cを設けることで、手指が滑るのを防止して、ハンドリング性を向上させることができる。不滑層5cは、くぼみ部51の底部51aだけでなく、くぼみ部51の斜面51bにわたって形成してもよい。ただし、蓋前面板22の表面には、不滑層5cを設けないことがより好ましい。不滑層5cを、くぼみ部51の底部51aに設けることで、包装容器の製造過程において、他の包装容器又は製造ラインに不滑層5cが接触することがないため、搬送適性を良好に維持することができる。
【0030】
本体底面板11に設けたくぼみ部52は、くぼみ部52の底部52a及び底部52aと本体底面板11の表面とを結ぶ斜面52bを有し、本体底面板11の表面よりも陥没している。その深さは、特に限定されないが、0.05〜0.40mmとすることが好ましい。より好ましくは、0.10〜0.30mmである。くぼみ部52の形状は、
図6では矩形としたが、これに限定されず、台形、楕円形、長円形、円形その他各種形状とすることができる。本体底面板11にくぼみ部52を設けることで、くぼみ部52に指をかけて、包装容器200をより安定的に把持することができる。そして、くぼみ部52の底部52aに不滑層5dを設けることで、手指が滑るのを防止して、包装容器200を更に安定的に把持することができる。くぼみ部52は、
図7(b)に示すように、くぼみ部52の底部52aに、本体底面板11の表面の方向に向かって隆起した突部53が設けられていることが好ましい。突部53は、指先が滑るのを防止する効果を更に高めることができる。突部53の高さは、特に限定されないが、0.05mm以上くぼみ部52の深さ以下であることが好ましい。
図8は、突部の変形例を示した正面図である。
図6では、リブ状の突部53としたが、これに限定されない。突部の変形例としては、
図8に示すような円形の突部55である。
【0031】
図6では、くぼみ部51,52を蓋前面板22及び本体底面板11に設けた形態を示したが、くぼみ部51,52は、蓋前面板22だけ又は本体底面板11だけに設けてもよい。また、蓋前面板22に設けたくぼみ部51を、本体底面板11に設けたくぼみ部52のように、底部52aにリブ状の突部53若しくは
図8のような円形の突部55を有する形態に変更するか、又は本体底面板11に設けたくぼみ部52を、蓋前面板22に設けたくぼみ部51のように、底部51aが平坦な形態に変更してもよい。なお、
図7では、
図3に示したインキ層3及びUVコート層4を不図示としているが、必要に応じて、
図3に示すようにインキ層3及びUVコート層4が形成される。
【0032】
図9は、不滑層を設ける位置の第二形態例を説明するための斜視図である。本実施形態に係る包装容器300では、不滑層5が、蓋天面板21の両端部分を含む領域S4,S5若しくは本体後面板13の両端部分を含む領域S6,S7いずれか一方又は両方に設けられることが好ましい。不滑層5を設ける蓋天面板21の両端部分を含む領域S4,S5は、蓋天面板21の蓋左側面板24側の端辺21bからの距離T1又は蓋天面板21の蓋右側面板25側の端辺21cからの距離T2が、50mm以上である領域であることが好ましい。より好ましくは、70mm以上の領域である。一方、不滑層5を設ける本体後面板13の両端部分を含む領域S6,S7は、本体後面板13の本体左側面板14側の端辺13bからの距離T3又は本体後面板13の本体右側面板15側の端辺13cからの距離T4が、50mm以上である領域であることが好ましい。より好ましくは、70mm以上の領域である。不滑層5を蓋天面板21及び本体後面板13の両端部分を含む領域S4〜S7に設けることで、包装容器300の端部を把持した場合であっても、持ちやすさを更に向上することができる。不滑層5を、蓋天面板21及び本体後面板13の両端部分を含む領域S4〜S7以外の場所に更に設けてもよい。領域S4〜S7以外の場所は、例えば、本体後面板13の中央部の領域S8である。包装容器300が、直線形状の切断手段を有する場合には、切断するのに必要とする力が小さくてすむという観点で、包装物1を切断手段の端部から切り開くのに適している。このとき、使用者は、包装容器300の端部を把持することとなるが、不滑層5を蓋天面板21及び本体後面板13の両端部分を含む領域S4〜S7に設けることで、手が滑るのを防止して、包装物1の切断を安定して行うことができる。
図9では、不滑層5を蓋天面板21の両端部分を含む領域S4,S5及び本体後面板13の両端部分を含む領域S6,S7の両方に設けた形態を示したが、これに限定されず、不滑層5を蓋天面板21の両端部分を含む領域S4,S5又は本体後面板13の両端部分を含む領域S6,S7のいずれか一方に設けた形態とすることができる。
【0033】
図10は、
図9の領域S4の拡大図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のD−D断面図である。領域S4〜S8において、蓋天面板21若しくは本体後面板13のいずれか一方又は両方が、突部54を有し、不滑層5が、突部54の周辺に設けられることが好ましい。領域S4を例にとって説明する。突部54は、
図10(b)に示すように、斜面54bと頂部54cとを有し、蓋天面板21の表面よりも隆起している。その高さは、特に限定されないが、0.05〜0.40mmとすることが好ましい。より好ましくは、0.10〜0.30mmである。突部54の形状は、
図10では、くの字形のリブ状としたが、これに限定されず、直線形のリブ状、円弧形のリブ状、円形の突起状その他各種形状とすることができる。不滑層5は、突部54の周辺に設けるが、突部54の斜面54bにわたって設けてもよい。ただし、突部54の頂部54cには、不滑層5を設けないことが好ましい。不滑層5を突部54の頂部54cに設けないことで、包装容器の製造過程において、他の包装容器又は製造ラインに不滑層5が接触することがないため、搬送適性を良好に維持することができる。また、
図9及び
図10に示すように、突部54を複数設け、不滑層5を隣接する突部54同士の間の平坦部に設けることがより好ましい。搬送適性を良好に維持することができる。なお、
図10では、
図3に示したインキ層3及びUVコート層4を不図示としているが、必要に応じて、
図3に示すようにインキ層3及びUVコート層4が形成される。
【0034】
図11は、不滑層を突部の周囲に設けた図である。不滑層5は、突部54の周囲に設けることが好ましい。不滑層5を突部54の周囲に設けることで、突部54への指の掛かりをより確実にして、滑り防止効果を高めることができる。
【0035】
図6では、蓋前面板22及び本体底面板11の両方が、くぼみ部51,52を有する形態を示したが、本実施形態では、くぼみ部51,52に替えて、
図11に示すような突部54を設け、不滑層5を突部54の周辺に設けた変形形態とすることができる。また、蓋前面板22又は本体底面板11のいずれか一方が、突部54を有する形態とすることができる。突部54の形状は、くの字形のリブ状に限定されず、直線形のリブ状、円弧形のリブ状、円形の突起状その他各種形状とすることができる。蓋前面板22若しくは本体底面板11のいずれか一方又は両方に突部54を設けることで、補強効果が得られる。また、突部54に指を掛けて蓋体20の開閉を容易に行うことができ、手指が滑るのを防止して、ハンドリング性を向上させることができる。さらに、不滑層5を突部54の周囲に設けることで、包装容器の製造過程において、搬送適性を良好に維持することができる。また、
図6の包装容器201では、次の変形形態とすることができる。変形形態は、例えば、蓋前面板22又は本体底面板11の一方にくぼみ部を設け、他方に突部を設けた形態、同一面上にくぼみ部及び突部の両方を設けた形態である。