特許第6017525号(P6017525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017525消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017525
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/02 20060101AFI20161020BHJP
   B23H 7/20 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B23H7/02 R
   B23H7/20
   B23H7/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-255265(P2014-255265)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-112665(P2016-112665A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年11月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平賀 薫
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−11725(JP,A)
【文献】 特開平2−41821(JP,A)
【文献】 特開平7−178622(JP,A)
【文献】 特開2008−102865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムの軸移動指令に基づいて加工経路を作成し、前記加工プログラムにしたがってプログラム運転を行い、前記加工経路にしたがってワイヤ電極と被加工物を相対移動させるワイヤ放電加工機用制御装置であって、
前記加工プログラムを実行するプログラム運転制御手段と、
消耗品が寿命に達したことを監視する消耗品寿命到達監視手段と、
前記プログラム運転中に放電状態を監視する放電状態監視手段と、
前記寿命に達したことと前記放電状態から前記消耗品の交換時期を判定する消耗品交換時期判定手段と、
前記交換時期を迎えると、
前記プログラム運転の停止指令を前記プログラム運転制御手段へ出力するプログラム運転停止指令手段と、
前記消耗品の交換指令を、該交換指令を受け取った際に自動的に消耗品を交換する消耗品交換手段へ出力し、前記消耗品の交換完了を監視する消耗品交換制御手段と、
前記消耗品の交換が完了すると、
前記プログラム運転の再開指令を前記プログラム運転制御手段へ出力するプログラム運転再開指令手段と、
を有するワイヤ放電加工機用制御装置。
【請求項2】
前記消耗品交換手段は、ロボットであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用制御装置。
【請求項3】
前記消耗品は、フィルタ、電極ピン、イオン交換樹脂のうち、少なくとも1つである、請求項1または2記載のワイヤ放電加工機用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機が製造工場の量産加工ラインに組込まれる際、生産性を向上させるために長時間の連続運転が求められる。このような場合、ワークの自動交換を行うワーク交換手段を伴ったワイヤ放電加工システムが採用されている。
【0003】
しかしながら、ワイヤ放電加工機の各種消耗品が寿命に達してこれらの交換が必要な場合には、連続運転を一旦停止し、人手で消耗品を交換して運転再開を行うという作業が必要になり、これが長時間連続自動運転の障害となり、生産性向上の足枷となっていた。
【0004】
ワイヤ放電加工機の消耗品が寿命に達したことを検出したり、消耗品の残寿命を検出したりする技術は特許文献1〜8に示されるようにこれまでにも考案されてきた。しかしながら、これらは消耗品の交換時期が訪れたことを表示装置に表示するなどして作業者に交換を促す仕組みとなっていた。
【0005】
特許文献1には、ワイヤ張力の検出値を基にしてワイヤ残量を検出するワイヤ放電加工機、ワーク加工前に加工プログラムを解析し、その加工に必要なワイヤ長を求め、検出したワイヤ残量と比較してワイヤボビン交換の要否を判定し、判定結果を表示装置に表示するワイヤ放電加工機が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ワイヤの残量を算出し、加工プログラムを解析することによって加工条件単位毎のワイヤの消費量を算出し、残量と消費量を比較することによってワイヤ切れのポイントやワイヤ交換ポイントを報知するワイヤ放電加工機が開示されている。
特許文献3には、加工液の濁度やpHが所定値より小さいとき、フィルタ交換を促す警告を発生する放電加工機用の制御装置が開示されている。
【0007】
特許文献4には、上下給電子(電極ピン)のインピーダンス値と予め設定された判定値から上下給電子の消耗程度を検出するワイヤ放電加工機が開示されている。
【0008】
特許文献5には、イオン交換樹脂のイオン交換能力(比抵抗値)を監視してイオン交換樹脂の寿命予測を行い、その結果を表示手段に表示するワイヤ放電加工機の加工液処理装置が開示されている。寿命に応じてアラームを表示し、作業者に交換を促す構成を有している。
【0009】
特許文献6には、ワークや中子の取り出しを行うワークハンドリングロボットを装着した放電加工機が開示され、該放電加工機はロボットが加工槽の外側にあることを特徴としている。
【0010】
特許文献7には、給電子(電極ピン)とワイヤガイドを有するヘッドを自動交換するワイヤ放電加工機が開示されている。該ワイヤ放電加工機は、給電子の耐用時間を予め登録しておき、加工機の稼働時間が耐用時間を経過した場合、加工を一旦停止してヘッドを交換する。
【0011】
特許文献8には、加工済みワークの乾燥手段、防錆手段を備えたワーク交換装置を有するワイヤ放電加工機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−179377号公報
【特許文献2】特開2003−25155号公報
【特許文献3】特開平5−42414号公報
【特許文献4】特開平5−305520号公報
【特許文献5】特開2004−358573号公報
【特許文献6】特開平9−216129号公報
【特許文献7】特開平8−118151号公報
【特許文献8】特開平7−266137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されるワイヤ放電加工機は、加工プログラムを解析してワイヤ長を求め、交換の要否を判定する仕組みとなっているが、作業員が交換する前提となっているために加工前に判定するようになっている。このようなタイミングで交換すると、10時間以上要する加工も珍しくないワイヤ放電加工ではワイヤの廃棄ロスが多くなり、非効率である。また、作業員が交換するために長時間連続自動運転にも適さないので、生産性向上の効果はない。
【0014】
特許文献2に開示されるワイヤ放電加工機は、加工プログラムを解析してワイヤ交換ポイントを報知する仕組みとなっているが、加工条件単位毎に報知するようになっている。また、作業者がワイヤを交換することを前提としているため、ワイヤ電極を交換する構成、交換後にプログラム運転を再開する構成になっていない。したがって、長時間連続自動運転にも適さないので、生産性向上の効果はそれほど期待できない。なお、後述する本願発明は、消耗品が寿命に達した後、放電が止まったことを監視して消耗品の交換時期を判定する仕組みとなっているので、構成が異なる。
【0015】
特許文献3に開示される放電加工機用の制御装置は、所定値との比較によって交換時期を知らせる仕組みとなっており、本願とは構成が異なる。また、フィルタの交換を指令する構成にもなっていない。
【0016】
特許文献4に開示されるワイヤ放電加工機は、最適な交換時期を求めるために、インピーダンス値を予め設定された複数の判定値と比較するというもので、後述する本願発明とは構成が異なる。また、給電子の交換を指令する構成にもなっていない。
【0017】
特許文献5に開示されるワイヤ放電加工機は、作業者にイオン交換樹脂の交換を促す仕組みにはなっているが、後述する本願発明とは構成が異なり、イオン交換樹脂の交換を指令する構成にはなっていない。
【0018】
特許文献6に開示されるワイヤ放電加工機は、ワークを交換する手段を有しているが、消耗品を交換できるような構成ではない。
【0019】
特許文献7に開示されるワイヤ放電加工機は、加工機の稼働時間と予め登録されている給電子の耐用時間から交換時期を判断する仕組みを備えており、後述する本願発明とは構成が異なる。特許文献7に開示される構成で交換を行うと、放電加工の最中に加工が一旦停止することになり、加工再開時に加工面に筋目が発生して面質が悪化するという課題を解決することができない。後述する本願発明の場合には、放電加工の最中には停止しないような仕組みとなっており、この課題を解決できる構成となっている。
特許文献8に開示されるワイヤ放電加工機は、ワークの乾燥手段、防錆手段、交換手段を有しているが、消耗品を交換できるような構成ではない。
【0020】
このように、ワイヤ放電加工機の消耗品が寿命に達したことを検出したり、消耗品の残寿命を検出したりする技術はこれまでにも考案されてきた。しかしながら、これらは消耗品の交換時期が訪れたことを表示装置に表示するなどして作業者に交換を促す仕組みとなっており、各種消耗品が寿命に達してこれらの交換が必要な場合には、作業者が連続運転を一旦停止し、人手で消耗品を交換して運転再開を行うという作業が必要になり、これが長時間連続自動運転の障害となり、生産性向上の足枷となっていた。
【0021】
自動運転の妨げとなっていたのは、ワイヤ放電加工の場合には放電加工中に加工を一時停止すると、加工再開時に加工面に筋目が発生し、加工面質が悪化するという問題である。これは、再開時にワイヤと被加工物との間で一時的に短絡が発生するなどして、放電状態が不連続となるために生じる問題であり、この問題のために、消耗品が交換時期に達しても、安易に交換することができなかった。そのため、作業者が前述した表示装置の表示などを参考にしながら、放電加工が中断するタイミングを見計らって消耗品を交換するということが当たり前のこととして行われてきた。
【0022】
そこで本発明の目的は、ワイヤ放電加工機の消耗品が交換時期に達した際に、連続運転を停止することなく、また、人手を介することなく消耗品交換を行えるようにするために、消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願の請求項1に係る発明は、加工プログラムの軸移動指令に基づいて加工経路を作成し、前記加工プログラムにしたがってプログラム運転を行い、前記加工経路にしたがってワイヤ電極と被加工物を相対移動させるワイヤ放電加工機用制御装置であって、前記加工プログラムを実行するプログラム運転制御手段と、消耗品が寿命に達したことを監視する消耗品寿命到達監視手段と、前記プログラム運転中に放電状態を監視する放電状態監視手段と、前記寿命に達したことと前記放電状態から前記消耗品の交換時期を判定する消耗品交換時期判定手段と、前記交換時期を迎えると、前記プログラム運転の停止指令を前記プログラム運転制御手段へ出力するプログラム運転停止指令手段と、前記消耗品の交換指令を、該交換指令を受け取った際に自動的に消耗品を交換する消耗品交換手段へ出力し、前記消耗品の交換完了を監視する消耗品交換制御手段と、前記消耗品の交換が完了すると、前記プログラム運転の再開指令を前記プログラム運転制御手段へ出力するプログラム運転再開指令手段と、を有するワイヤ放電加工機用制御装置である。
請求項2に係る発明は、前記消耗品交換手段は、ロボットであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用制御装置である。
請求項3に係る発明は、前記消耗品は、フィルタ、電極ピン、イオン交換樹脂のうち、少なくとも1つである、請求項1または2記載のワイヤ放電加工機用制御装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、加工面質の悪化を心配することなく、消耗品交換手段による消耗品自動交換が実現可能となり、消耗品交換を行う作業員が不要となる。また、消耗品交換後にはプログラム運転の再開も可能となるので、ワイヤ放電加工の生産性が飛躍的に向上すると期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置を示すブロック図である。
図2図3に示される加工プログラムによるワークの加工を示す図である。
図3】3回加工を繰り返し行う加工プログラムの例を示す図である。
図4】消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置の制御のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置10を示すブロック図である。本発明の実施形態は、消耗品寿命到達監視手段11、放電状態監視手段12、消耗品交換時期判定手段13を有することにより、消耗品が寿命に達したことと放電加工が中断するタイミングとを認識することができるようにした。そして、そのタイミングに合わせて、プログラム運転停止指令手段14によるプログラム運転の一時停止が行われ、消耗品交換時期判定手段13から消耗品交換制御手段17に消耗品の交換時期との判定結果が送られる。消耗品制御手段17は消耗品交換手段18に消耗品の交換を指令し、消耗品の自動交換を行えるような制御装置とした。また、消耗品の交換後には、プログラム運転再開指令手段15によるプログラム運転の再開を行えるような制御装置である。
【0027】
ワイヤ放電加工機用制御装置10において、消耗品交換時期判定手段13は、消耗品寿命到達監視手段11と放電状態監視手段12からの信号で消耗品の交換時期を判定する。具体的には、消耗品寿命到達監視手段11から消耗品が寿命に達した信号を受取った後、放電状態監視手段12から放電状態でないという状態信号を受取ると、消耗品の交換時期であると判定し、そうでない場合は交換時期でないと判定する。
【0028】
プログラム運転停止指令手段14は、消耗品交換時期判定手段13から受取った判定結果が交換時期と判定されると、プログラム運転の停止指令をプログラム運転制御手段16に出力する。プログラム運転再開指令手段15は、消耗品の交換が完了したあと、プログラム運転の再開指令をプログラム運転制御手段16に出力する。
【0029】
プログラム運転制御手段16は、加工プログラムを実行して、プログラム運転を制御する。プログラム運転停止指令手段14からプログラム運転の停止指令を受取った場合、プログラム運転を停止し、プログラム運転再開指令手段15からプログラム運転の再開指令を受取った場合、プログラム運転を再開する。
【0030】
消耗品交換制御手段17は、消耗品交換時期判定手段13から受取った判定結果が交換時期と判定されると、消耗品の交換指令を消耗品交換手段18に出力し、消耗品の交換が完了することを確認する。なお、交換指令の出力は、プログラム運転が停止したことを確認してから実行するようにしてもよい。
【0031】
消耗品交換手段18は、消耗品交換制御手段17から消耗品の交換指令を受取った場合、消耗品を交換する。消耗品交換手段には、産業用ロボットを用いてもよい。
【0032】
消耗品について、ワイヤ放電加工機で使用する主な消耗品として、フィルタ、電極ピン、イオン交換樹脂などがある。フィルタは、加工済みの加工液をろ過し、スラッジを除去して加工液を浄化するために用いられる。フィルタにスラッジが溜まってくるとフィルタ内の圧力が上昇し、限度を超えると破裂の危険性があるので、寿命を目処に交換して廃棄する。
【0033】
予め設定されたフィルタの寿命時間と新しいフィルタに交換されてからの機械の稼働時間を比較して、フィルタが寿命に達したことを監視することができる。また、フィルタ内の圧力を監視してフィルタの耐圧値と比較して、寿命に達したことを監視することもできる。また、特許文献3(特開平5−42414号公報)のような方法で、より厳密に寿命に達したことを監視することもできる。
【0034】
電極ピンは、ワイヤ電極に加工パルス電圧を供給するものである。電極ピンはワイヤ電極との摩擦により消耗する。これにより接触が悪化して給電効率が低下し、異常放電や断線が発生することがあるので、寿命を目処に交換する必要がある。予め設定された電極ピンの寿命時間と新しい電極ピンに交換されてからの機械の稼働時間を比較して、電極ピンが寿命に達したことを監視することができるが、特許文献4(特開平5−305520号公報)のような方法で、より厳密に寿命に達したことを監視することもできる。
【0035】
イオン交換樹脂は、加工液の比抵抗値を一定に維持するために用いられる。イオン交換樹脂のイオン交換能力には経時劣化があり、加工液の比抵抗値が加工中に変化すると、加工精度不良の原因となるので、寿命を目処に交換する必要がある。予め設定されたイオン交換樹脂の寿命時間と新しいイオン交換樹脂に交換されてからの機械の稼働時間を比較して、イオン交換樹脂が寿命に達したことを監視することができるが、特許文献5(特開2004−358573号公報)のような方法で、より厳密に寿命に達したことを監視することもできる。
【0036】
消耗品寿命到達監視手段11は、消耗品が寿命に達したことを監視し、寿命に達した場合には信号を出力する。放電状態監視手段12は、加工プログラムを解析したり、放電データを監視することによって放電状態を監視し、状態信号出力する。加工プログラムを解析する場合の例を下記に示す。
【0037】
図2図3に示される加工プログラムによるワークの加工を示す図である。図3図2に示される3回加工を繰り返し行う加工プログラムの例を示す図である。加工開始位置20からワイヤ放電加工が開始され、ワイヤ電極が加工経路21にそって相対移動し、加工開始位置20に戻る。ワイヤ電極を切断し、早送り22により次の加工開始位置に、ワイヤ電極が相対移動する。図2のような3回加工を繰り返し行う場合を例にすると、この場合、放電加工が行われるのは加工プログラムでG01(図3のサブプログラム2を参照)が指令されるブロックである。このブロックで放電を一時停止すると加工面質が悪化するという問題が発生するので、ここでは放電状態であるという状態信号を出力する。また、他のブロックでは放電加工は行われないので、そこでは放電状態でないという状態信号を出力する。
【0038】
なお、従来は、作業者が消耗品の寿命を監視しながら、M01(図3のサブプログラム1を参照)のオプショナルストップ指令を使うことで放電加工終了後にプログラム運転を一時停止し、消耗品を交換していた。また、放電データを監視して放電状態を監視する場合には、放電パルス数や加工電流値などを監視する方法などがある。放電パルス数は単位時間当たりの放電回数を表すもので、これが観測されれば放電状態で、観測されなければ放電状態ではないという見方ができる。加工電流値の場合も、これが観測されれば放電状態で、観測されなければ放電状態ではないということは同様である。
【0039】
図4は消耗品交換機能を有するワイヤ放電加工機用制御装置の制御のフロー図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップsa01]寿命到達を監視する。
●[ステップsa02]放電状態を監視する。
●[ステップsa03]消耗品を交換すべき時か否か判定し、消耗品を交換すべき時と判定した場合(YES)ステップsa04へ移行し、消耗品を交換すべき時でないと判定した場合(NO)ステップsa08へ移行する。つまり、前述したように、消耗品交換時期判定手段13は、消耗品寿命到達監視手段11と放電状態監視手段12からの信号で消耗品の交換時期を判定する。具体的には、消耗品寿命到達監視手段11から消耗品が寿命に達した信号を受取った後、放電状態監視手段12から放電状態でないという状態信号を受取ると、消耗品の交換時期であると判定し、そうでない場合は交換時期でないと判定する。
【0040】
●[ステップsa04]プログラム運転を停止する。
●[ステップsa05]消耗品交換指令を出力する。
●[ステップsa06]消耗品の交換が完了したか否かを判断し、交換が完了した場合(YES)ステップsa07へ移行し、交換が完了しない場合(NO)には交換が完了するのを待ってステップsa07へ移行する。
●[ステップsa07]プログラム運転を再開する。
●[ステップsa08]加工プログラムが終了するか否か判断し、終了しない場合(NO)ステップsa01へ戻り処理を継続し、加工プログラムが終了する場合(YES)には処理を終了する。
【符号の説明】
【0041】
10 ワイヤ放電加工機用制御装置
11 消耗品寿命到達監視手段
12 放電状態監視手段
13 消耗品交換時期判定手段
14 プログラム運転停止指令手段
15 プログラム運転再開指令手段
16 プログラム運転制御手段
17 消耗品交換制御手段
18 消耗品交換手段

20 加工開始位置
21 加工経路
22 早送り
図1
図2
図3
図4