特許第6017527号(P6017527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017527
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】エピタキシャル構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20161020BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20161020BHJP
   C30B 25/04 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L21/205
   H01L29/06 601N
   C30B25/04
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-257212(P2014-257212)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-188058(P2015-188058A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】201410115667.6
(32)【優先日】2014年3月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100200528
【弁理士】
【氏名又は名称】水村 香穂里
(72)【発明者】
【氏名】魏 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−235116(JP,A)
【文献】 特開2004−027363(JP,A)
【文献】 特表2009−538808(JP,A)
【文献】 特開2012−144422(JP,A)
【文献】 特開2013−006761(JP,A)
【文献】 特開2015−187072(JP,A)
【文献】 特開2015−188086(JP,A)
【文献】 特開2015−188057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 29/06
C30B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブフィルムを提供する第一ステップであって、前記カーボンナノチューブフィルムは自立構造体であり、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブを含み、複数の前記カーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列され、隣接する前記カーボンナノチューブの間には第一間を有する第一ステップと、
前記カーボンナノチューブフィルムを懸架させて、前記カーボンナノチューブフィルムを表面処理して、前記カーボンナノチューブの表面に欠陥を形成する第二ステップと、
原子層堆積法によって、前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数の前記カーボンナノチューブの表面にナノ材料層を成長させる第三ステップと、
前記ナノ材料層を成長させた前記カーボンナノチューブフィルムをアニーリングして、前記カーボンナノチューブフィルムを除去し、複数の無機絶縁ナノチューブを形成する第四ステップであって、複数の前記無機絶縁ナノチューブは同じ方向に沿って配列され、且つ相互に連接して無機絶縁ナノチューブフィルムを形成し、前記無機絶縁ナノチューブフィルムは自立構造体である第四ステップと、
前記無機絶縁ナノチューブフィルムを基板の成長表面に設置し、前記無機絶縁ナノチューブフィルムにおける無機絶縁ナノチューブの延伸方向は基板の成長表面に平行である第五ステップと、
前記基板の前記成長表面にエピタキシャル層を成長させる第六ステップと、
を含むことを特徴とするエピタキシャル構造体の製造方法。
【請求項2】
基板と、エピタキシャル層と、無機絶縁ナノチューブフィルムと、を含むエピタキシャル構造体であって、
前記基板は成長表面を有し、
前記エピタキシャル層は前記基板の前記成長表面に設置され、
前記無機絶縁ナノチューブフィルムは前記基板と前記エピタキシャル層との間に設置され、
前記無機絶縁ナノチューブフィルムは自立構造体であり、同じ方向に沿って配列される複数の無機絶縁ナノチューブを含み、前記無機絶縁ナノチューブの延伸方向は基板の成長表面に平行であり、前記無機絶縁ナノチューブは管状構造体であり、前記無機絶縁ナノチューブの管壁は連続な層状構造体であり、前記無機絶縁ナノチューブの管壁の厚さは10nm〜20nmであり、
複数の前記無機絶縁ナノチューブは間隔をあけて設置されて複数の間隙を形成し、且つ複数の前記無機絶縁ナノチューブが相互に接触する箇所は、イオン結合によって結合されることを特徴とするエピタキシャル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル構造体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特に、LEDに用いられている窒化ガリウム層などのエピタキシャル構造体が、半導体デバイスの主要な材料として注目されている。
【0003】
その中で、現在、窒化ガリウム(GaN)をサファイア基板上に結晶成長させる方法が広く採用されているが、窒化ガリウムとサファイア基板との格子定数及び熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)は異なるため、エピタキシャル成長した窒化ガリウム層に多くの欠陥が発生する問題が起こっている。また、サファイア基板とエピタキシャル成長した窒化ガリウム層との間には大きな応力が存在するので、窒化ガリウム層が破壊され易い。これらの問題を解決するために、従来の技術では、窒化ガリウム(GaN)を非平坦な成長表面を有するサファイア基板上に結晶成長させる。このサファイア基板の非平坦な成長表面は、サファイア基板の結晶成長用の成長表面に対して、フォトエッチング(photoetching)微細加工方法によって、複数の溝を設けることにより形成されるものである。しかし、フォトエッチング微細加工方法は、工程が複雑で、コストが高く、また、サファイア基板の結晶成長用の成長表面の汚染によって、エピタキシャル構造体の品質に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、前記課題を解決するために、本発明は製造方法が容易で、コストが低く、且つ高品質を有するエピタキシャル構造体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエピタキシャル構造体の製造方法は、カーボンナノチューブフィルムを提供する第一ステップであって、カーボンナノチューブフィルムは自立構造体であり、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブを含み、複数のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列され、隣接する前記カーボンナノチューブの間には第一間隙を有する第一ステップと、カーボンナノチューブフィルムを懸架させて、カーボンナノチューブフィルムを表面処理して、カーボンナノチューブの表面に欠陥を形成する第二ステップと、原子層堆積法によって、カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブの表面にナノ材料層を成長させる第三ステップと、ナノ材料層を成長させたカーボンナノチューブフィルムをアニーリングして、カーボンナノチューブフィルムを除去し、複数の無機絶縁ナノチューブを形成する第四ステップであって、複数の無機絶縁ナノチューブは同じ方向に沿って配列され、且つ相互に連接して無機絶縁ナノチューブフィルムを形成し、無機絶縁ナノチューブフィルムは自立構造体である第四ステップと、無機絶縁ナノチューブフィルムを基板の成長表面に設置する第五ステップと、基板の成長表面にエピタキシャル層を成長させる第六ステップと、を含む。
【0008】
本発明のエピタキシャル構造体は、基板と、エピタキシャル層と、無機絶縁ナノチューブフィルムと、を含むエピタキシャル構造体であって、基板は成長表面を有し、エピタキシャル層は基板の成長表面に設置され、無機絶縁ナノチューブフィルムは基板とエピタキシャル層との間に設置され、無機絶縁ナノチューブフィルムは自立構造体であり、同じ方向に沿って配列される複数の無機絶縁ナノチューブを含み、複数の無機絶縁ナノチューブは間隔をあけて設置されて複数の間隙を形成し、且つ複数の無機絶縁ナノチューブが相互に接触する箇所は、イオン結合によって結合される。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術と比べて、本発明のエピタキシャル構造体及びその製造方法は、カーボンナノチューブをマスク膜として、間隙を有するナノチューブフィルムを形成するので、製造方法が簡単であり、大量生産に有利であり、コストが低い。また、間隙を有するナノチューブフィルムをマスク膜として、エピタキシャル層を成長させるので、製造方法が簡単であり、基板の成長表面の汚染を防止し、エピタキシャル層の品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態で採用するドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図3図2に示すカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るカーボンナノチューブフィルムの構造を示す概略図である。
図5図4に示すカーボンナノチューブフィルムの一部の拡大図である。
図6図2に示す各カーボンナノチューブフィルムが90度に交差して且つ積層されて形成されたカーボンナノチューブ層の走査型電子顕微鏡写真である。
図7】本発明の第一実施形態に係るカーボンナノチューブフィルムを引っ張る方法を示す図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る引っ張った後のカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図9】本発明の第一実施形態において、酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルムを処理しないカーボンナノチューブフィルムの表面に、原子層堆積法によって形成した酸化アルミニウム層の走査型電子顕微鏡写真である。
図10】本発明の第一実施形態において、酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルムを処理したカーボンナノチューブフィルムの表面に、原子層堆積法によって形成した酸化アルミニウム層の走査型電子顕微鏡写真である。
図11】本発明の第一実施形態において、カーボンナノチューブフィルムの表面に炭素を堆積した後の透過型電子顕微鏡写真である。
図12】本発明の第一実施形態において、炭素を堆積しないカーボンナノチューブフィルムの表面に、原子層堆積法によって形成した酸化アルミニウム層の透過型電子顕微鏡写真である。
図13】本発明の第一実施形態において、炭素を堆積したカーボンナノチューブフィルムの表面に、原子層堆積方法によって、形成した酸化アルミニウム層の透過型電子顕微鏡写真である。
図14】本発明の第一実施形態において取得した単層の酸化アルミニウムナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図15】本発明の第一実施形態において取得した交差して設置された二層の酸化アルミニウムナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図16】本発明の第一実施形態において取得した酸化アルミニウムナノチューブフィルムを示す図である。
図17】本発明の第一実施形態において取得した単層のナノチューブフィルムの構造を示す概略図である。
図18】本発明の第一実施形態において取得した交差して設置された二層のナノチューブフィルム構造を示す概略図である。
図19】本発明の第一実施形態に係る第一半導体層の成長工程を示す図である。
図20】本発明の第二実施形態に係るエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
図21】本発明の第三実施形態に係るエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
図22】本発明の第四実施形態に係るエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のエピタキシャル構造体及びその製造方法の実施形態について説明する。以下の各実施形態において、同じ部材は同じ記号で標示する。
【0012】
(実施形態1)
図1を参照すると、本発明の実施形態1は、エピタキシャル構造体10の製造方法を提供する。エピタキシャル構造体10の製造方法は、カーボンナノチューブフィルム100を提供するステップ(S10)であって、カーボンナノチューブフィルム100は自立構造体であり、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブ104を含み、該複数のカーボンナノチューブ104は同じ方向に沿って配列され、隣接するカーボンナノチューブ104の間には第一間隙105を有するステップ(S10)と、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させて、カーボンナノチューブフィルム100を表面処理して、カーボンナノチューブ104の表面に欠陥を形成するステップ(S11)と、原子層堆積法(ALD)によって、カーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブ104の表面にナノ材料層110を成長させるステップ(S12)と、ナノ材料層110が成長したカーボンナノチューブフィルム100をアニーリングして、カーボンナノチューブフィルム100を除去し、複数のナノチューブ112を形成し、複数のナノチューブ112は同じ方向に沿って配列され、且つ相互に連接してナノチューブフィルム114を形成し、該ナノチューブフィルム114は自立構造体であるステップ(S13)と、ナノチューブフィルム114を基板120の成長表面122に設置するステップ(S14)と、基板120の成長表面122にエピタキシャル層130を成長させるステップ(S15)と、を含む。
【0013】
ステップ(S10)において、カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイから引き出したドローン構造カーボンナノチューブフィルムである。図2図3図4及び図5を参照すると、カーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブ104及び複数のカーボンナノチューブ106からなる自立構造体である。即ち、カーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブ104及び複数のカーボンナノチューブ106が互いに緊密に結合して形成された単純な構造体である。
【0014】
ここで自立構造体とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブフィルム100を独立して利用することができる形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブフィルム100を対向する両側から支持して、カーボンナノチューブフィルム100の構造を変化させずに、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させることができることを意味する。具体的には、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って配列されて、分子間力で端と端とが接続されており、また、カーボンナノチューブ106はランダムに分散している。これにより、カーボンナノチューブフィルム100は、自立構造体を実現することができる。端と端とが接続されているとは、軸方向或いは長手方向に、隣接するカーボンナノチューブ104の端と端とが接続して配列されていることを意味する。複数のカーボンナノチューブ104及び複数のカーボンナノチューブ106は単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブの少なくとも一種を含む。カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmであり、カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1.0nm〜50nmであり、カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmである。
【0015】
カーボンナノチューブフィルム100において、複数のカーボンナノチューブ104は基本的に同じ方向に沿って配列されている。複数のカーボンナノチューブ104の延伸する方向は、カーボンナノチューブフィルム100の表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブ104は分子間力で接続されている。具体的には、複数のカーボンナノチューブ104における各カーボンナノチューブは、延伸する方向において、分子間力によって、隣接するカーボンナノチューブの端と端とが接続されている。また、カーボンナノチューブフィルム100は、少数のランダムに分散されたカーボンナノチューブ106を含む。しかし、大部分のカーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って配列されているので、このランダムに分散されたカーボンナノチューブ106の延伸方向は、大部分のカーボンナノチューブ104の延伸方向には影響を与えない。具体的には、カーボンナノチューブフィルム100における多数のカーボンナノチューブ104は、絶対的に直線状ではなくやや湾曲している。または、延伸する方向に完全に配列せず、少しずれている場合もある。従って、同じ方向に沿って配列されている多数のカーボンナノチューブ104において、隣同士のカーボンナノチューブ104が部分的に接触する可能性がある。
【0016】
図3を参照すると、カーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブセグメント108を含む。複数のカーボンナノチューブセグメント108は、長さ方向に沿って分子間力で端と端とが接続されている。各カーボンナノチューブセグメント108は、相互に平行に分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブセグメント108の長さ、厚さ、形状及び均一性は制限されない。カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイの選択された一部を引き出すことによって形成される。形成されたカーボンナノチューブフィルム100の厚さは0.5nm〜100μmであり、例えば、10nm、50nm、200nm、500nm、1μm、10μm、50μmである。形成されたカーボンナノチューブフィルム100の幅は選択されたカーボンナノチューブアレイの幅と関係し、形成されたカーボンナノチューブフィルムの長さは制限されない。カーボンナノチューブフィルムの構造及び製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0017】
図4及び図5を参照すると、カーボンナノチューブフィルム100は、間隔をあけて且つ基本的に平行に設置された複数のカーボンナノチューブワイヤ102と、隣接する二つのカーボンナノチューブワイヤ102の間におけるこれらに連接する少数のランダムなカーボンナノチューブ106と、からなる。カーボンナノチューブワイヤ102は、複数のカーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って端と端とが接続されて形成されている。本実施形態において、複数のカーボンナノチューブ104が延伸する方向をD1方向と定義する。カーボンナノチューブフィルム100の平面において、D1方向と垂直である方向をD2方向と定義する。各カーボンナノチューブワイヤ102における隣接するカーボンナノチューブ104は、D1方向に分子間力によって端と端とが接続されて配列し、D2方向に基本的に平行に配列して、分子間力によって連接されて、カーボンナノチューブセグメント108を形成する(図3を参照)。この際、隣接するカーボンナノチューブワイヤ102の間、或いは隣接するカーボンナノチューブ104の間には、複数の第一間隙105を有する。
【0018】
少数のランダムに分散されたカーボンナノチューブ106を有するので、カーボンナノチューブフィルム100は、フィルム構造体を維持したまま、D2方向に引っ張ることができる。カーボンナノチューブフィルム100をD2方向に引っ張ると、カーボンナノチューブフィルム100は変形し、基本的に平行する複数のカーボンナノチューブ104間の距離も変化する。D2方向におけるカーボンナノチューブフィルム100の変形率の増加に伴い、D2方向における複数のカーボンナノチューブ104間の距離も大きくなる。カーボンナノチューブフィルム100を引っ張る前では、隣接する二つのカーボンナノチューブ104が分離しているものと、隣接する二つのカーボンナノチューブ104が分離していないものとを含むので、隣接する二つのカーボンナノチューブ104間の距離は0μm〜10μmである。カーボンナノチューブフィルム100をD2方向に引っ張っても、隣接する二つのカーボンナノチューブ104が分離しているものと、隣接する二つのカーボンナノチューブ104が分離していないものとを含むので、隣接する二つのカーボンナノチューブ104間の距離は0μm〜50μmとなる。複数の平行するカーボンナノチューブ104及び少数のランダムに分散されたカーボンナノチューブ106の数量比或いは質量比は2:1〜6:1であり、好ましくは、4:1〜6:1である。少数のランダムに分散されたカーボンナノチューブ106の数量が多くなると、D2方向におけるカーボンナノチューブフィルム100の変形率も大きくなる。カーボンナノチューブフィルム100のD2方向における変形率は300%以下である。カーボンナノチューブフィルム100のD2方向における変形率が300%以下であるとは、カーボンナノチューブフィルム100にD2方向に対して所定の力を加えて引っ張ると、D2方向におけるカーボンナノチューブフィルム100の幅は、引っ張る前のカーボンナノチューブフィルム100のD2方向における幅の3倍以下であり、この際、カーボンナノチューブフィルム100は一体性を有して、損傷されないことを意味する。本実施形態において、平行する複数のカーボンナノチューブ104及び少数のランダムに分散されたカーボンナノチューブ106の数量比は2:1である。
【0019】
カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイから引き出して得られる。カーボンナノチューブフィルム100の製造方向は、以下のステップを含む。
【0020】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)であり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気成長法を採用する。化学気相成長法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供する。該基材はp型のシリコン基材、n型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施形態において、4インチ(略101.6mm)のシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、基材の表面に、均一に触媒層を形成する。該触媒層の材料は、鉄、コバルト、ニッケル及びこれら2種以上を組み合わせて製造された合金のうちの何れか一種である。ステップ(c)では、触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイを成長させる。該超配列カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に対して垂直に生長する複数のカーボンナノチューブからなる。生長の条件を制御することによって、カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボンや残存する触媒である金属粒子などの不純物は含まない。
【0021】
第二ステップでは、カーボンナノチューブアレイから、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で複数のカーボンナノチューブを引き出して、端と端とが接続されている複数のカーボンナノチューブセグメント108からなる連続したカーボンナノチューブフィルム100を形成する。カーボンナノチューブを引き出す方向は、カーボンナノチューブアレイの成長方向と角度を成す。該角度は0°〜90°(0°を含まず)である。本実施形態において、カーボンナノチューブを引き出す方向はカーボンナノチューブアレイの成長方向に対して垂直である。
【0022】
複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、複数のカーボンナノチューブセグメント108をそれぞれ基材から脱離させると、カーボンナノチューブセグメント108は、端と端とが分子間力で接合される。これにより、所定の幅を有する連続した、且つ均一なカーボンナノチューブフィルム100が形成される。該カーボンナノチューブフィルム100の幅は、カーボンナノチューブアレイの寸法に関係する。カーボンナノチューブフィルム100の長さは制限されず、必要に応じて選択できる。カーボンナノチューブアレイの面積が4インチ(略101.6mm)である際、カーボンナノチューブフィルム100の幅は0.5nm〜10cmであり、カーボンナノチューブフィルム100の厚さは0.5nm〜10μmである。
【0023】
更に、複数のカーボンナノチューブフィルム100は一つの面に設置できる、或いは複数のカーボンナノチューブフィルム100は積層して設置できる。複数のカーボンナノチューブフィルム100を積層して設置する場合、隣接する二つのカーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104の延伸方向は同じでも、同じでなくてもよい。複数のカーボンナノチューブフィルム100は分子間力で緊密に結合する。図6を参照すると、本実施形態において、二つのカーボンナノチューブフィルム100が積層して設置され、また、二つのカーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104の延伸方向は相互に垂直に交差している。
【0024】
間隙が大きい第二間隙116を有するナノチューブフィルム114を取得するために、ステップ(S10)において、更にD2方向に沿ってカーボンナノチューブフィルム100を引っ張ることができる。D2方向に沿ってカーボンナノチューブフィルム100を引っ張ることによって、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104或いはカーボンナノチューブワイヤ102間の距離を増大させる。これにより、第一間隙105の寸法は大きくなり、後で形成するナノチューブフィルム114における第二間隙116の寸法も大きくなる。
【0025】
図7を参照すると、カーボンナノチューブフィルム100を引っ張る方法は次のステップを含む。第一ステップでは、D2方向に平行であるカーボンナノチューブフィルム100の両端を二つの弾性支持体200にそれぞれ設置して、二つの弾性支持体200と接触しないカーボンナノチューブフィルム100の部分を懸架させる。二つの弾性支持体200はストリップ状の構造体であり、D2方向に沿って延伸している。第二ステップでは、二つの弾性支持体200をD2方向に沿って引っ張る。弾性支持体200は、弾性ゴム、ばね、ゴムひもの何れか一種である。好ましくは、弾性支持体200を引っ張る速度は10cm/sより小さい。弾性支持体200を引っ張ることによって、カーボンナノチューブフィルム100の面積を増大させ、カーボンナノチューブフィルム100の利用率を向上することができる。
【0026】
間隙が大きい第二間隙116を有するナノチューブフィルム114を取得するために、ステップ(S10)において、有機溶剤によってカーボンナノチューブフィルム100を処理して、間隙が大きい第一間隙105を形成する。有機溶剤は常温で揮発し易い有機溶剤であり、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン或いはクロロホルムの何れか一種或いは多種の混合物である。本実施形態において、有機溶剤はエタノールである。有機溶剤は、カーボンナノチューブに良く浸透することができる。有機溶剤によってカーボンナノチューブフィルム100を処理する方法は次のステップを含む。先ず、試験管によって、有機溶剤を、フレームによって懸架されたカーボンナノチューブフィルム100の表面に垂らして、カーボンナノチューブフィルム100の全ての表面を浸す。或いは、カーボンナノチューブフィルム100を有機溶剤が入れられた容器に直接に置いて、カーボンナノチューブフィルム100を浸す。有機溶剤によってカーボンナノチューブフィルム100を処理すると、カーボンナノチューブフィルム100における並行に隣接するカーボンナノチューブ104は収縮し、カーボンナノチューブフィルム100において、間隔をあけて分布する複数のカーボンナノチューブストリップが形成される。該カーボンナノチューブストリップは同じ方向に沿って配列され、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブからなる。また、有機溶剤によって処理されたカーボンナノチューブフィルム100における基本的に同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブストリップの間には間隙が形成されている。
【0027】
二つのカーボンナノチューブフィルム100が積層される場合、隣接するカーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブの延伸方向は交差して角度αを成す。該角度αは0°〜90°(0°は含まず)である。従って、有機溶剤によって処理されたカーボンナノチューブフィルム100において、複数のカーボンナノチューブストリップは相互に交差して、寸法が大きい複数の微孔を形成する。また、有機溶剤によって処理されたカーボンナノチューブフィルム100の接着性は弱くなる。カーボンナノチューブフィルム100における微孔の寸法は2μm〜100μmであり、好ましくは、2μm〜10μmである。本実施形態において、角度αは90°である。即ち、カーボンナノチューブフィルム100において、複数のカーボンナノチューブストリップは相互に垂直に交差して、複数の矩形状の微孔を形成する。
【0028】
有機溶剤によってカーボンナノチューブフィルム100を処理する際、霧状の有機溶剤によってカーボンナノチューブフィルム100を処理する。この際、懸架されたカーボンナノチューブフィルム100を霧状の有機溶剤によって浸す。この霧状の有機溶剤は、カーボンナノチューブフィルム100を処理する前に準備してもよい。または、霧状の有機溶剤は、カーボンナノチューブフィルム100を処理すると同時に製造してもよい。カーボンナノチューブフィルム100を処理すると同時に霧状の有機溶剤を製造する場合、次のステップを含む。第一ステップでは、揮発性の有機溶剤を提供する。第二ステップでは、有機溶剤を霧化して、分散する複数の有機溶剤霧滴を形成させる。第二ステップでは、懸架されたカーボンナノチューブフィルム100の表面に複数の有機溶剤霧滴をスプレーして、カーボンナノチューブフィルム100に有機溶剤を浸透させて、カーボンナノチューブフィルム100を収縮させる。有機溶剤霧滴は、周囲の媒体に浮遊する小さな有機溶剤液滴である。超音波霧化、高圧霧化によって、有機溶剤を霧化して、有機溶剤霧滴を形成する。霧化した有機溶剤霧滴の直径は10μm〜100μmであり、例えば、20μm、50μmである。有機溶剤霧滴の直径が10μm〜100μmである際、カーボンナノチューブフィルム100と有機溶剤霧滴との間には適当な界面張力が形成されるため、カーボンナノチューブフィルム100を収縮させ、また、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブを均一に分散させることができる。
【0029】
有機溶剤は、揮発性が高く揮発し易い。有機溶剤霧滴をカーボンナノチューブフィルム100の表面にスプレーして、カーボンナノチューブフィルム100に浸透させることで、有機溶剤の揮発によって、元のカーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブを収縮させる。有機溶剤霧滴の直径は10μm〜100μmであり、有機溶剤霧滴のサイズは小さいので、各有機溶剤霧滴がカーボンナノチューブフィルム100に浸透する面積は小さい。これにより、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブを収縮させて形成したカーボンナノチューブ束の直径は小さく、10μmより小さい。カーボンナノチューブ束の直径が小さいので、肉目で見ることはできず、カーボンナノチューブフィルム100の透明性を高めることができる。有機溶剤霧滴をスプレーする工程において、有機溶剤霧滴をスプレーする際の気流の圧力を制御して、カーボンナノチューブフィルム100は損傷してはならない。
【0030】
ステップ(S11)において、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成する方法は、カーボンナノチューブフィルム100の表面に対して酸化処理を行って形成してもよい。或いは、カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素を堆積して形成してもよい。好ましくは、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させたまま、上述の方法によって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成する。具体的には、カーボンナノチューブフィルム100は自立構造体であるので、カーボンナノチューブ100の辺縁をフレームによって固定して、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させることができ、維持できる。
【0031】
カーボンナノチューブフィルム100の表面に酸化処理を行って、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成する場合、カーボンナノチューブフィルム100の表面に対して酸化処理を行うので、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104及びカーボンナノチューブ106の構造が破壊され、大量のダングリングボンドが形成される。原子層堆積法によって、ナノスケールのナノ材料層110を形成する際、ナノ材料の原子は、カーボンナノチューブ104及びカーボンナノチューブ106の表面に堆積し、カーボンナノチューブフィルム100の表面に緊密なナノ材料層110が形成され、無機絶縁ナノチューブ112が形成される。ナノ材料層110の強度は高い。または、ナノ材料層110の厚さは制御できる。これにより、厚さが10nmであるナノ材料層110を形成できるので、取得した無機絶縁ナノチューブ112の厚さは薄い。本実施形態において、酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルム100を処理して、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成する。酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルム100を処理する工程において、酸素の流量は50sccmであり、気体の圧力は10Paであり、処理時間は10秒間であり、仕事率は25Wである。図9及び図10を参照すると、図9は、酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルム100を処理しないカーボンナノチューブフィルム100の表面に、原子層堆積法によって形成された酸化アルミニウム層が、非連続の粒子からなる構造体の走査型電子顕微鏡写真である。図10は、酸素プラズマによってカーボンナノチューブフィルム100を処理したカーボンナノチューブフィルム100の表面に、原子層堆積法によって形成された酸化アルミニウム層が、連続した層状構造体からなる走査型電子顕微鏡写真である。
【0032】
カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素を堆積することによって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成する場合、カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素粒子を被覆する。カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素を堆積する方法は、物理気相成長法、化学気相成長法、スプレー法などの何れか一種又は多種である。本実施形態において、物理気相成長法におけるマグネトロンスパッタリング方法によって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素を堆積して、炭素層を形成する。マグネトロンスパッタリング方法によって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素を堆積する工程において、電流は150mAであり、気体の圧力は0.1Paであり、アルゴン(Ar)の流量は10sccmであり、処理時間は1.5分間〜7.5分間である。図11に示したように、マグネトロンスパッタリング方法によって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素層を形成する。
【0033】
炭素層は、カーボンナノチューブフィルム100の表面に欠陥を形成させる。原子層堆積法によってナノスケールのナノ材料層110を形成する際、ナノ材料の原子をカーボンナノチューブ104及びカーボンナノチューブ106の表面に堆積して、カーボンナノチューブフィルム100の表面に緊密なナノ材料層110を形成し、無機絶縁ナノチューブ112を形成する。ナノ材料層110の強度は高く、緊密性にも優れているので、厚さが薄い連続した層状構造体を形成できる。これにより、取得した無機絶縁ナノチューブ112の厚さも薄い。前記の方法によって形成されたナノ材料層110の厚さは10nm〜20nmである。カーボンナノチューブフィルム100の表面に炭素が堆積しない際、ナノ材料層110の厚さが30nmより厚い場合、連続した層状ナノ材料層110を形成できる。ナノ材料層110の厚さが30nmより薄い場合、連続した層状ナノ材料層110は形成できず、この際、ナノ材料層110は非連続の粒子からなる。これにより、非連続の粒子が、カーボンナノチューブフィルム100の表面を被覆するので、後の無機絶縁ナノチューブ112のような管状構造体を形成できない。また、ナノ材料層110は非連続の複数の大きな粒子からなるので、緊密性及び力学性能が悪い。図12及び図13を参照すると、図12は、炭素が堆積されていないカーボンナノチューブフィルム100の表面に、原子層堆積法によって形成された酸化アルミニウム層が、非連続の粒子からなる構造体の透過型電子顕微鏡写真である。図13は、炭素が堆積されたカーボンナノチューブフィルム100の表面に、原子層堆積法によって形成された酸化アルミニウム層が、連続した層状構造体からなる透過型電子顕微鏡写真である。
【0034】
ステップ(S12)において、ナノ材料層110の厚さは10nm〜100nmであり、好ましくは、20nm〜50nmである。ナノ材料層110は、カーボンナノチューブフィルム100における各カーボンナノチューブの表面或いは各カーボンナノチューブ束の表面を被覆して、連続した層状構造体を形成する。これにより、カーボンナノチューブフィルム100を除去する(即ち、ナノ材料層110が被覆されたカーボンナノチューブを除去する)と、ナノ材料層110は複数のナノチューブ112を形成でき、また、該複数のナノチューブ112は相互に結合してナノチューブフィルム114を形成する。このナノチューブフィルム114は自立構造体である。ナノチューブ112は一本のナノチューブである、或いは枝状のナノチューブである。ナノ材料層110の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素の何れか一種又は多種である。しかし、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブの表面に層状構造体を形成でき、且つ酸化処理によってカーボンナノチューブフィルム100を除去した後、ナノチューブ112を形成できれば、ナノ材料層110の材料は制限されない。更に、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104の表面にナノ材料層110を形成できれば、原子層堆積法に制限されず、他の方法でもよい。例えば、物理気層成長法、化学気相成長法、より具体的には、電子線蒸着法、マグネトロンスパッタリング方法である。ステップ(S12)は、カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブ104の表面にナノ材料層110を形成する方法によって、変わることができる。
【0035】
本実施形態において、原子層堆積法によって、カーボンナノチューブフィルム100の表面に酸化アルミニウムナノ材料層を形成する。成長源は、トリメチルアルミニウム及び水であり、キャリアガスは窒素ガスである。しかし成長源は、トリメチルアルミニウム及び水に制限されず、必要に応じて選択できる。
【0036】
本実施形態のステップ(S12)は、カーボンナノチューブフィルム100の辺縁を金属フレームに固定して、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させた後、原子層堆積システムの真空容器内に置くステップ(S121)と、キャリアガスによって、原子層堆積システムの真空容器にトリメチルアルミニウム及び水を交互に導入して、カーボンナノチューブフィルム100の表面に酸化アルミニウム層を形成するステップ(S122)と、を含む。
【0037】
ステップ(S121)において、カーボンナノチューブフィルム100の辺縁を金属フレームに固定して、金属フレームと接触しないカーボンナノチューブフィルム100の部分を懸架させる。また、カーボンナノチューブフィルム100は自立構造体であるので、カーボンナノチューブフィルム100を直接に真空容器の支持体に設置してもよい。これにより、カーボンナノチューブフィルム100の一部を懸架させることができ、カーボンナノチューブフィルム100の表面に酸化アルミニウムを形成できる。更に、弾性支持体200が耐高温材料である際、例えば、弾性支持体200が金属ばねである際、引っ張った弾性支持体200及びカーボンナノチューブフィルム100は直接に原子層堆積システムの真空容器に置くことができる。
【0038】
ステップ(S122)において、キャリアガスは窒素ガスである。キャリアガスの流量は5sccmである。原子層堆積システムの到達圧力(Ultimate Pressure)は0.23Torrである。原子層堆積システムの真空容器に、トリメチルアルミニウム及び水を交互に導入する工程において、原子層堆積システムの真空容器にトリメチルアルミニウムを一回導入した後、水を一回導入することを一回のサイクルと定義する。具体的には、一回のサイクルにおいて、真空容器にトリメチルアルミニウムを一回導入した際、真空容器の真空度は0.26Torrに達する。この後、真空容器を25秒間真空にして、真空容器の真空度を0.23Torrに戻す。次いで、真空容器に水を導入する。これにより、真空容器の真空度は再度0.26Torrに達する。この後、真空容器を50秒間真空にして、真空容器の真空度を0.23Torrに戻す。これらの工程において、酸化アルミニウムの堆積速度は0.14nm/cycleである。従って、サイクルの回数を制御することによって、酸化アルミニウム層の厚さを制御できる。酸化アルミニウム層はカーボンナノチューブフィルム100における各カーボンナノチューブ或いは各カーボンナノチューブ束を被覆する。
【0039】
ステップ(S13)において、ナノ材料層110が被覆されたカーボンナノチューブフィルム100を電気炉に置いて、酸素ガスの雰囲気でアニーリングする。アニーリング温度は500℃〜1000℃である。本実施形態において、石英管の中で、カーボンナノチューブフィルム100を550℃の温度でアニーリングした後、カーボンナノチューブフィルム100を除去して、酸化アルミニウムナノチューブフィルム114を形成する。
【0040】
図14及び図15は、本実施形態で取得した酸化アルミニウムナノチューブフィルムの走査電子顕微鏡写真である。図14図2とを比較すると、本実施形態において取得した単層の酸化アルミニウムナノチューブフィルムの構造は、単層のカーボンナノチューブフィルムの構造と基本的に同じである。また、図15図6とを比較すると、本実施形態で取得した交差して設置された酸化アルミニウムナノチューブフィルムの構造は、交差して設置されたカーボンナノチューブフィルムの構造と基本的に同じである。図16を参照すると、本実施形態で取得した酸化アルミニウムナノチューブフィルムは自立構造体である。
【0041】
具体的には、図17は、単層カーボンナノチューブフィルム100によって形成された単層ナノチューブフィルム114の構造を示す図である。ナノチューブフィルム114は一体構造体であり、配向型のナノチューブフィルムであり、複数のナノチューブ112を含む。配向型のナノチューブフィルムにおいて、複数のナノチューブ112は同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のナノチューブフィルムにおいて、配向型のカーボンナノチューブフィルムが二つ以上の領域に分割される場合、各領域における複数のナノチューブ112は同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるナノチューブ112の配列方向は異なる。本実施形態において、複数のナノチューブ112は基本的に同じ方向に沿って配列している。
【0042】
ナノチューブフィルム114における複数のナノチューブ112は、間隔をあけて設置される、或いは相互に接触して設置される。この中で、複数のナノチューブ112が間隔をあけて設置されている箇所を複数の第二間隙116と定義する。この第二間隙116があることで、ナノチューブフィルム114は、パターン化されたマスクとして利用できる。複数の第二間隙116は、ナノチューブフィルム114の厚さ方向に沿って、ナノチューブフィルム114を貫通している。これにより、ナノチューブフィルム114が基板120の成長表面122を被覆した際、エピタキシャル層130は、第二間隙116から露出した成長表面122に成長できる。複数の第二間隙116は、隣接する複数のカーボンナノチューブによって囲まれて形成され、微孔状を呈している。又はカーボンナノチューブが軸方向に沿って配列して延伸した隣接するカーボンナノチューブ104同士の間にできるストリップ状の間隙である。複数の第二間隙116の寸法は5nm〜100μmである。第二間隙116の寸法は、第二間隙116が微孔状である場合は、平均孔径を指し、第二間隙116がストリップ状である場合は、平均幅を指す。第二間隙116の寸法が小さいほど、エピタキシャル層130が成長する過程において、格子欠陥が発生する可能性は低く、高品質のエピタキシャル層130を得ることができる。好ましくは、第二間隙116の寸法は5nm〜10μmである。ナノチューブフィルム114のデューティファクター(dutyfactor)は、1:10〜10:1、1:4〜4:1、1:2〜2:1である。ここで、デューティファクターとは、ナノチューブフィルム114が基板120の成長表面122を被覆した後における基板120の成長表面122の、ナノチューブフィルム114で遮られた領域と、ナノチューブフィルム114の複数の第二間隙116から露出した領域との面積比を示す。
【0043】
複数のナノチューブ112が相互に接触する箇所は、イオン結合によって結合されている。また、カーボンナノチューブフィルム100は除去されるので、ナノチューブ112の内部は中空である。ナノチューブフィルム114において、少なくとも一部のナノチューブ112の長さは、ナノチューブフィルム114の長さ或いは幅と同じである。ナノチューブフィルム114における複数のナノチューブ112は、基本的に同じ方向に沿って配列され、複数のナノチューブ112の延伸方向は、ナノチューブフィルム114の表面に平行である。ナノチューブフィルム114にいて、少数のランダムなナノチューブ112は同じ方向に沿って配列された複数のナノチューブ112と連接して一体構造体を形成する。ナノチューブ112の壁の厚さは10nm〜100nmであり、その内径は1nm〜100nmである。図18は、二層のカーボンナノチューブフィルム100を利用して形成された交差した二層のナノチューブフィルム114の構造を示す図である。第一層のナノチューブフィルム114におけるナノチューブ112の延伸方向は、第二層のナノチューブフィルム114におけるナノチューブ112の延伸方向と基本的に直交する。二層のナノチューブフィルム114の間のイオン結合によって、二層のナノチューブフィルム114は一体構造体を形成する。
【0044】
ステップ(S14)において、基板120は、エピタキシャル層130に対して、結晶を成長させるための成長表面122を提供し、該成長表面122は、エピタキシャル層130の結晶成長を支持する。基板120の成長表面122は、平滑な表面であり、酸素や炭素などの不純物は含まれていない。基板120は、単層構造又は多層構造を有する。基板120が単層構造である場合、基板100は単結晶構造体である。この時、基板100は少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面はエピタキシャル層130の成長表面122として用いられる。基板120が多層構造である場合、基板120は、少なくとも一層の前記単結晶構造体を含み、また、単結晶構造体は少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面はエピタキシャル層130の成長表面122として用いられる。基板120の単結晶構造体は、GaAs、GaN、Si、SOI(silicon on insulator)、AlN、SiC、MgO、ZnO、LiGaO、LiAlO、Alなどの一種又は数種からなる。基板120の材料は、製造するエピタキシャル層130の材料に応じて選択可能であるが、エピタキシャル層130の材料と類似の格子定数及び熱膨張係数を有することが好ましい。また、基板120は、エピタキシャル層130に対して、結晶を成長させるための成長表面122を有することを保証できれば、前記に列挙した材料に制限されない。ナノチューブフィルム114を成長表面122に設置する際、ナノチューブフィルム114における複数のナノチューブ112の延伸方向は、成長表面122に平行である。ナノチューブフィルム114における複数のナノチューブ112の延伸方向は、基板120の結晶方向に沿って延伸する、或いは基板120の結晶方向と角を成す。基板120の成長表面122の一部はナノチューブフィルム114によって被覆され、他の部分はナノチューブフィルム114における複数の第二間隙116から露出する。好ましくは、ナノチューブフィルム114は、基板120の成長表面122の全ての表面を被覆する。
【0045】
ステップ(S15)において、ナノチューブフィルム114は、エピタキシャル層130を成長させる際の保護膜として使用される。即ち、ナノチューブフィルム114を利用して、基板120の成長表面122を被覆する。この際、基板120の成長表面122の一部は、ナノチューブフィルム114のカーボンナノチューブによって遮られ、他の部分はナノチューブフィルム114の複数の第二間隙116から露出する。エピタキシャル層130は、基板120の成長表面122における複数の第二間隙116によって露出された部分のみから成長する。ナノチューブフィルム114は、複数の第二間隙116を有するので、ナノチューブフィルム114を、基板120の成長表面122をパターン化する際の保護膜として利用することができる。従って、従来のリソグラフィやエッチングに比べて、ナノチューブフィルム114の製造工程は簡単で、コストが低く、また、基板120の成長表面122は汚染されない。
【0046】
エピタキシャル層130は、分子線エピタキシー法(MBE)、化学ビームエピタキシー法(CBE)、減圧エピタキシャル成長法、低温エピタキシー法、選択エピタキシー法、液相エピタキシー法(LPE)、有機金属気相エピタキシー法(MOVPE)、超高真空化学的気相成長法(UHVCVD)、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)及び有機金属気相成長法(MOCVD)などの一種又は数種の方法によって成長させる。
【0047】
エピタキシャル層130はエピタキシャル成長法によって基板120の成長表面122に成長する単晶構造体である。エピタキシャル層130の厚さは必要に応じて選択できる。エピタキシャル層130の厚さは0.5nm〜1μmであることが好ましいが、例えば、100nm〜500μm、200nm〜200μm或いは500nm〜100μmである。また、エピタキシャル層130は、半導体、金属又は合金のエピタキシャル層であることができる。エピタキシャル層130が半導体エピタキシャル層である場合、半導体エピタキシャル層の材料は、GaMnAs、GaAlAs、GaInAs、GaAs、SiGe、InP、Si、AlN、GaN、GaInN、AlInN、GaAlN、AlGaInNなどである。エピタキシャル層130が金属エピタキシャル層である場合、金属エピタキシャル層の材料は、アルミニウム、プラチナ、銅、銀の何れか一種である。エピタキシャル層130が合金エピタキシャル層である場合、合金エピタキシャル層の材料はMnGa、CoMnGa、CoMnGaの何れか一種である。
【0048】
本実施形態において、エピタキシャル層130を、有機金属気相成長法によって、基板120の成長表面122に成長させる。ここで、高純度アンモニア(NH)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)の原料ガスとして、窒素(N)又は水素(H)又はこれらの混合気体をキャリアガスとして、トリメチルインジウム(TMIn)をインジウム(In)の原料ガスとして、シラン(SiH)をケイ素の原料ガスとして、フェロセンマグネシウム(CpMg)をマグネシウム(Mg)の原料ガスとして用いる。
【0049】
本実施形態において、エピタキシャル層130の成長方法は、ナノチューブフィルム114が設置されたサファイア基板を真空反応室に設置して、反応室を1100℃〜1200℃まで加熱した後、キャリアガスを反応室に導入して、サファイア基板を200秒〜1000秒にわたって焼成するステップ(S151)と、キャリアガスの雰囲気で、反応室の温度を500℃〜650℃まで下げて、同時にガリウムの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入し、10nm〜50nmの低温GaNバッファ層(図示せず)を成長させるステップ(S152)と、ガリウムの原料ガスの導入を停止して、キャリアガス及び窒素源ガスはそのまま導入し続け、反応室の温度を1100℃〜1200℃まで昇温し、反応室のガス圧を1100トル〜1200トルに維持したまま、30秒〜300秒にわたってアニーリング処理するステップ(S153)と、反応室の温度を1000℃〜1100℃に維持し、ガリウムの原料ガスを再び導入すると同時に、ケイ素の原料ガスを導入して、高品質のGaNエピタキシャル層を成長させるステップ(S154)と、を含む。
【0050】
図19を参照すると、エピタキシャル層130の成長工程は、基板120の成長表面122の露出された部分に、エピタキシャル層130の核を形成し、核の寸法が、主に成長表面122に垂直する方向に沿って増加して、複数のエピタキシャル結晶粒132を形成するステップ(a)と、複数のエピタキシャル結晶粒132による横方向結晶成長及び隣接するエピタキシャル結晶粒132同士の合体によって、連続したエピタキシャル膜134を形成するステップ(b)と、エピタキシャル膜134が成長表面122に垂直する方向に増大して、エピタキシャル層130を形成するステップ(c)と、を含む。
【0051】
ステップ(a)において、エピタキシャル結晶粒132は、ナノチューブフィルム114の第二間隙116によって露出された基板120の成長表面122から、ナノチューブフィルム114の複数の第二間隙116を貫通して成長する。ここで、形成しようとするエピタキシャル層130の核が、主に成長表面122に垂直する方向に沿って成長することを縦方向結晶成長として定義する。
【0052】
ステップ(b)において、隣接するエピタキシャル結晶粒132同士の合体によって、複数のエピタキシャル結晶粒132は互いに接続されて、一体構造を有するエピタキシャル膜134を形成する。隣接するエピタキシャル結晶粒132及びエピタキシャル膜134は、共にナノチューブフィルム114のカーボンナノチューブを囲むことにより複数の溝(図示せず)を形成する。即ち、基板120の成長表面122と接触する第一半導体130の表面に複数の溝を有する。複数の溝及び基板120は、共にナノチューブフィルム114を包む。溝の内壁は、カーボンナノチューブと接触する又は間隔を有する。これは、カーボンナノチューブと形成しようとするエピタキシャル層130との間の濡れ性によって決まる。溝の最大幅は50nm〜100nmである。ここで溝の最大幅とは、基板120に垂直である方向における溝の最大の長さのことである。
【0053】
複数のエピタキシャル結晶粒132及びエピタキシャル膜134からなる一体構造体の基板120の成長表面122に対向する表面は、複数の溝を有するので、凹凸構造を有するパターン化表面である。該凹凸構造は、ナノチューブフィルム114の構造に関係している。つまり、ナノチューブフィルム114が、間隔を開けて平行するように設置された複数のナノチューブ112からなる場合、複数のエピタキシャル結晶粒132及び前記エピタキシャル膜134からなる一体構造体の基板120の成長表面122に対向する表面には、平行に且つ間隔を有する複数の溝が形成される。また、二層のナノチューブフィルム114が交差して設置され、カーボンナノチューブが互いに交差するように設置される、又は互いに編むようにして網状構造体を形成する場合、複数のエピタキシャル結晶粒132及び前記エピタキシャル膜134からなる一体構造体の基板120の成長表面122に対向する表面には、交差された複数の溝を含む網状溝が形成される。ナノチューブフィルム114は、エピタキシャル結晶粒132と基板120との間で格子欠陥が発生することを防止するために用いられる。また、横方向結晶成長とは、基板120の成長表面122に平行な方向に沿って複数のエピタキシャル結晶粒132が結晶成長することをと定義する。
【0054】
ステップ(c)において、エピタキシャル膜134は、成長表面122に垂直な方向に増大する。従って、エピタキシャル層130を形成する時間は長くなる。しかし、基板120の成長表面122に、ナノチューブフィルム114が設置されているので、ステップ(b)において、エピタキシャル膜134の欠陥は少ない。従って、エピタキシャル膜134が成長表面122に垂直な方向に増大して形成されたエピタキシャル層130も欠陥は少ない。
【0055】
更に、本実施形態のエピタキシャル構造体10の製造方法は、エピタキシャル層130の基板120と接触する表面の反対面にナノチューブフィルム114を設置して、新しいエピタキシャル層を形成するステップと、基板120を除去するステップと、を含むことができる。
【0056】
(実施形態2)
図20を参照すると、本発明の実施形態2はエピタキシャル構造体10を提供する。エピタキシャル構造体10は、基板120と、ナノチューブフィルム114と、エピタキシャル層130と、を含む。基板120は成長表面122を有する。ナノチューブフィルム114は基板120の成長表面122に設置される。ナノチューブフィルム114は複数の第二間隙116を有する。複数の第二間隙116と対応する成長表面122の表面は露出される。エピタキシャル層130は基板120の成長表面122に設置され、且つナノチューブフィルム114を被覆する。ナノチューブフィルム114は、基板120とエピタキシャル層130との間に設置される。
【0057】
エピタキシャル層130は、ナノチューブフィルム114を被覆して、ナノチューブフィルム114の複数の第二間隙116を充填して、且つ基板120の成長表面122と接触する。エピタキシャル層130の基板120と接触する表面は、パターン化された表面であり、複数の溝を有し、凹凸構造を形成する。ナノチューブフィルム114は、エピタキシャル層130の複数の溝に存在している。即ち、エピタキシャル層130の基板120と接触する表面における突起の構造は、ナノチューブフィルム114の第二間隙116と対応し、且つ基板120の表面と接触する。エピタキシャル層130における溝は、エピタキシャル層130の厚さ方向に貫通しておらず、止まり溝である。
【0058】
(実施形態3)
図21を参照すると、本発明の実施形態3はエピタキシャル構造体20の製造方法を提供する。エピタキシャル構造体20の製造方法は、カーボンナノチューブフィルム100を提供するステップ(S10)であって、カーボンナノチューブフィルム100は自立構造体であり、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブ104を含み、複数のカーボンナノチューブ104は同じ方向に沿って配列され、隣接するカーボンナノチューブ104の間には第一間隙105を有するステップ(S20)と、カーボンナノチューブフィルム100を懸架させて、カーボンナノチューブフィルム100を表面処理して、カーボンナノチューブ104の表面に欠陥を形成するステップ(S21)と、原子層堆積法(ALD)によって、カーボンナノチューブフィルム100における複数のカーボンナノチューブ104の表面にナノ材料層110を成長させるステップ(S22)と、ナノ材料層110を成長させたカーボンナノチューブフィルム100をアニーリングして、カーボンナノチューブフィルム100を除去し、複数のナノチューブ112を形成し、複数のナノチューブ112は同じ方向に沿って配列され、且つ相互に連接してナノチューブフィルム114を形成し、該ナノチューブフィルム114は自立構造体であるステップ(S23)と、ナノチューブフィルム114を基板120の成長表面122の上方に懸架して設置するステップ(S24)と、基板120の成長表面122にエピタキシャル層130を成長させるステップ(S25)と、を含む。
【0059】
本実施形態3のエピタキシャル構造体20の製造方法は、実施形態1のエピタキシャル構造体10の製造方法と基本的に同じであるが、異なる点はステップ(S24)及びステップ(S25)である。具体的には、ステップ(S24)において、ナノチューブフィルム114が、基板120の成長表面122の上方に懸架して設置され、ステップ(S25)において、形成されたエピタキシャル層130はナノチューブフィルム114を囲む。ナノチューブフィルム114から基板120の成長表面122までの距離は10nm〜500μmであり、好ましくは、10nm〜500μmである。
【0060】
(実施形態4)
図22を参照すると、本発明の実施形態4はエピタキシャル構造体20を提供する。エピタキシャル構造体20は、基板120と、ナノチューブフィルム114と、エピタキシャル層130と、を含む。
【0061】
本実施形態4のエピタキシャル構造体20の構造は、実施形態1のエピタキシャル構造体10の構造と基本的に同じであるが、異なる点は、ナノチューブフィルム114が、エピタキシャル層130の内部に設置される点である。即ち、ナノチューブフィルム114がエピタキシャル層130に囲まれている。また、この際、ナノチューブフィルム114は、基板120の成長表面122と特定の距離を維持している。
【0062】
本発明のエピタキシャル構造体及びその製造方法は、カーボンナノチューブをマスク膜として、間隙を有するナノチューブフィルムを形成するので、製造方法が簡単であり、大量生産に有利であり、コストが低い。また、間隙を有するナノチューブフィルムをマスク膜として、エピタキシャル層を成長させるので、製造方法が簡単であり、基板の成長表面の汚染を防止し、エピタキシャル層の品質を高めることができる。
【符号の説明】
【0063】
10、20 エピタキシャル構造体
100 カーボンナノチューブフィルム
102 カーボンナノチューブフィルムワイヤ
104、106 カーボンナノチューブ
105 第一間隙
108 カーボンナノチューブセグメント
110 ナノ材料層
112 ナノチューブ
114 ナノチューブフィルム
116 第二間隙
120 基板
122 成長表面
130 エピタキシャル層
132 エピタキシャル結晶粒
134 エピタキシャル膜
200 弾性支持体
図1
図3
図4
図5
図7
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図2
図6
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図10
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図16