特許第6017535号(P6017535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017535
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】菱形の突起部を有するアッセイ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20161020BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G01N33/543 521
   G01N37/00 101
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-503931(P2014-503931)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-510925(P2014-510925A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2012032084
(87)【国際公開番号】WO2012138701
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/472,237
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511093409
【氏名又は名称】オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ディン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン・デビッド
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−109232(JP,A)
【文献】 特表平10−506991(JP,A)
【文献】 特表2009−541737(JP,A)
【文献】 特表2008−501947(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02072101(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイ装置であって、
液体サンプル受け取りゾーンと、
捕捉要素を結合させた、前記サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンであって、該捕捉ゾーンが、基材と、該基材から延出する突起部とを有し、該突起部が菱形の断面を有し、前記突起部が、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛細管流動を生成することができる前記突起部間の毛細管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、捕捉ゾーンと、
前記捕捉ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクと、を含み、前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクが流体流動路を画定し、
前記突起部の底部における辺は、前記突起部の頂部における辺よりも長く、隣り合う突起部間の頂部における距離は、隣り合う突起部間の底部における距離よりも長い、アッセイ装置。
【請求項2】
前記菱形の断面が四角形である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項3】
前記菱形の断面がダイヤモンド形である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項4】
上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、請求項3に記載のアッセイ装置。
【請求項5】
前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛細管現象に寄与しない、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項6】
前記突起部間の前記毛細管空間が、前記流動路に沿った前記毛細管流動を誘発すること若しくは支援することのいずれかのためにカバー、側壁、又は外部から適用される駆動手段を必要とせずに、前記液体を、前記液体サンプルが適用された場所から離して側方に強制移動させる、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項7】
前記捕捉ゾーンと前記サンプル受け取りゾーンとの間に検出要素ゾーンを更に含み、前記検出要素ゾーンがその上に検出要素を有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項8】
前記捕捉ゾーンが複数の捕捉ゾーンを更に含み、第1の捕捉要素が第1の捕捉ゾーンに適用され、第2の捕捉要素が第2の捕捉ゾーンに適用される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項9】
前記第1の捕捉ゾーン及び第2の捕捉ゾーンが、捕捉要素を有さない領域によって相互に分離される、又は前記第1の捕捉ゾーン及び第2の捕捉ゾーンが相互に直接隣接する、請求項8に記載のアッセイ装置。
【請求項10】
前記捕捉要素が、前記流体流動路に垂直な方向に前記捕捉ゾーンの幅全体にわたって延出する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項11】
前記捕捉要素が捕捉抗体である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項12】
前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクを保持するためのハウジングを更に含み、前記ハウジングが前記サンプル受け取りゾーンと流体連通するサンプルポートをその上に有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項13】
前記サンプルポートと前記サンプル受け取りゾーンとの間に配設されたフィルタを更に含む、請求項12に記載のアッセイ装置。
【請求項14】
前記フィルタが、血漿から赤血球を濾過することができる、請求項13に記載のアッセイ装置。
【請求項15】
前記検出要素が、検出可能な標識を結合させた抗体を含む、請求項7に記載のアッセイ装置。
【請求項16】
1つ又は2つ以上の対象検体を検出するために液体サンプルにアッセイを実行する方法であって、
前記液体サンプルを受け取るための液体サンプル受け取りゾーンを用意することと、
捕捉要素を結合させた、前記サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンを用意することであって、該捕捉ゾーンが、基材と、該基材から延出する突起部とを有し、該突起部が菱形の断面を有し、前記突起部が、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛細管流動を生成することができる前記突起部間の毛細管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、ことと、
前記反応ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクを用意することと、
前記サンプルを前記サンプル受け取りゾーンに分配することであって、それによって前記サンプルが毛細管現象によって前記捕捉ゾーンに沿って前記シンクの中まで流れる、ことと、
前記1つ又は2つ以上の検体の存在又は濃度を決定するために信号を読み取ることと、を含み、
前記突起部の底部における辺は、前記突起部の頂部における辺よりも長く、隣り合う突起部間の頂部における距離は、隣り合う突起部間の底部における距離よりも長い、方法。
【請求項17】
前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛細管現象に寄与しない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
検出要素を結合させた検出要素ゾーンを更に含み、前記検体が、前記検出要素ゾーン内の前記検出要素に結合し、かつ前記捕捉ゾーンによって捕捉されて検出可能な信号を生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
検出要素を前記サンプルと共に添加することを更に含み、それによって前記検出要素が前記捕捉ゾーン内で捕捉され、かつ検出可能な信号を生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記菱形の断面が四角形である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記菱形の断面がダイヤモンド形である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断アッセイの分野、及びより具体的には、検出されるべき検体が生体サンプル中に存在する、側方流動アッセイに関連する。
【背景技術】
【0002】
診断アッセイは幅広く普及しており、多くの疾患の診断、治療及び管理のための中心になっている。様々なタイプの診断アッセイが、血液、血清、血漿、尿、唾液、組織生検、便、痰、及び皮膚、若しくは喉スワブなどの臨床サンプルにおける様々な検体の検出を容易にするために、多くの年月にわたって開発されてきた。これらのアッセイは多くの場合において、迅速で確実な結果を提供する一方で、使用方法が容易であり、製造が安価であることを期待される。当然、これら全ての要件を同一のアッセイで満たすことは困難である。実際には、多くのアッセイはその速度が制限されている。別の重要なパラメータは感度である。アッセイ技術における最近の開発は、より高感度の試験へとつながり、これは微量の検体を検出すること、及びサンプル内の疾患の兆候をできるだけ早い段階で検出することを可能にする。
【0003】
一般的な使い捨てアッセイ装置は、液体サンプルを受け取るためのゾーン又は領域と、捕捉ゾーンと、受け取りゾーンと捕捉ゾーンとをそれぞれ接続する輸送ゾーン又はインキュベーションゾーンとを含む。これらのアッセイ装置は一般に、側方流動試験ストリップとして既知である。これらは、毛管流を支持し得る、流体流の経路を画定する多孔質材料、例えば、ニトロセルロースを利用する。例としては、米国特許第5,559,041号、同第5,714,389号、同第5,120,643号、及び同第6,228,660号に示されるものが挙げられ、これらは本明細書において参照によりその全体が組み込まれる。
【0004】
サンプル受け取りゾーンは多くの場合において、サンプルを吸収することができ、かつ血球の分離が所望される際には赤血球を捕捉するのにも効果的な、より多孔質の材料からなる。このような材料の例は、紙、フリース、ゲル若しくは組織(例えば、セルロース、ウール、ガラス繊維、アスベスト、合成繊維、ポリマー又はこれらの混合物を含む)などの、繊維性材料である。
【0005】
アッセイ装置の別の種類は、毛管流を含むべく突起部を有する非多孔質アッセイである。非多孔質アッセイ装置を図1に示す。このようなアッセイ装置の例としては、国際公開第03/103835号、同第2005/089082号、同第2005/118139号、及び同第2006/137785号に開示される、開いた側方流動装置が挙げられ、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
米国特許第6,156,273号は、共配置されたモノリス支持構造体と、該支持構造体によって画定される相互接続チャネルとを含む分離カラムを開示している。
【0007】
断面が円形の突起部を有する既知のアッセイ装置では、かかる円形断面に関連したいくつかの問題が存在する。1つの欠点は、突起部の前側及び後側の比較的大きな淀み領域であり、これは、標識と接合した捕捉検体及び洗浄不良が原因となる信号におけるスパイクの一因となると考えられる。別の欠点は、円形突起部の幾何学形状によって生成される、比較的大きな背景信号である。更に別の欠点は、対称な円柱配置を有する厚い空乏層であり、これは標識された検体の捕捉を遅らせ、結果として感度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、生化学アッセイ及び生体分子アッセイ、特に、感度及び精度要件が非常に高い診断アッセイのための方法及び装置における、更に改善された動態特性、向上した感度及び特異性の必要性が存在する。特に、空乏層が薄くかつ突起部を囲む淀み領域が最小化されている、背景信号を最小限に抑えることができる突起部形状の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した前記課題の1つ又は2つ以上を緩和する方法に関する。
【0010】
本発明の一態様は、アッセイ装置に関し、該アッセイ装置は、液体サンプル受け取りゾーンと;捕捉要素を結合させたサンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンであって、捕捉ゾーンは、基材と、基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、突起部は菱形の断面を有し、及び突起部は、突起部の角部がサンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で基材上に配置され、ここで、突起部が、基材の表面に対して平行な毛管流を生成することができる突起部間の毛管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、捕捉ゾーンと;捕捉ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する捕捉ゾーンと流体連通するシンクと;を含み、サンプル受け取りゾーン、捕捉ゾーン、及びシンクは、流体流路を画定する。好ましい実施形態では、菱形の断面は四角形である。別の好ましい実施形態では、菱形の断面はダイヤモンド形である。更に別の好ましい実施形態では、上流及び下流方向に面した突起部の角部は、突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、1つ又は2つ以上の対象の検体の検出のために液体サンプルにアッセイを実施するための方法が提供される。該方法は、液体サンプルを受け取るための液体サンプル受け取りゾーンを提供する工程と;捕捉要素を結合させたサンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンを提供する工程であって、捕捉ゾーンは、基材と、基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、突起部は菱形の断面を有し、及び突起部は、突起部の角部がサンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で基材上に配置され、ここで、突起部が、基材の表面に対して平行な毛管流を生成することができる突起部間の毛管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、工程と;反応ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、捕捉ゾーンと流体連通するシンクを提供する工程と;サンプルをサンプル受け取りゾーンに分配する工程であって、それによってサンプルが毛管現象によって捕捉ゾーンに沿ってシンクの中まで流れる、工程と;1つ又は2つ以上の検体の存在又は濃度を決定するために信号を読み取る工程と;を含む。
【0012】
本発明の更なる目的、特徴及び利点が、以下の好ましい実施形態の詳細な考察から、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい実施形態によるアッセイ装置を示す。
図2】本発明の好ましい態様による側方流動アッセイ装置の四角形の形状の突起部を示す。
図3A図2に描かれた突起部の上面図を示す。
図3B図2の突起部の斜視図を示す。
図4】四角形の形状の突起部及び円形の突起部に関して、感度とNT−proBNP濃度とを比較したグラフを示す。
図5】異なる形状の突起部の検体濃度、及び流路の長さに沿った配置を示す。
図6A】円形及び四角形の突起部に関する背景雑音を示す。
図6B】円形及び四角形の突起部に関する背景雑音を示す。
図7】y軸に沿って平均ピーク面積を有し、x軸に沿ってiPTHの濃度(pg/mL)を有する用量反応曲線を示す。
図8】y軸に沿って平均ピーク面積を有し、x軸に沿ってiPTHの濃度(pg/mL)を有する用量反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈において別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。
【0015】
説明及び請求項を通じて多くの値に関連して使用される用語「約」は、当業者にとって周知であり、許容され得る不正確性を示す。不正確性は好ましくは±10%である。
【0016】
本明細書における用語「サンプル」とは、成分の存在又は不在、成分の濃度などといった特性のいずれかを定性的又は定量的に判定されるべく意図された、ある量の液体、溶液、又は懸濁液を意味する。本発明に関連した典型的なサンプルは、血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液、精液、羊水、胃液、喀痰、痰、粘液、涙、便などの体液である。本発明の実施形態は、全ての身体サンプルに適用可能であるが、好ましくは全血サンプルに適用可能である。本発明の実施形態は、全ての身体サンプルに適用可能であるが、好ましくは全血サンプルに適用可能である。
【0017】
本発明において、サンプルの側方流動、及びサンプル中に存在する成分と、装置内に存在する試薬との相互作用、並びに定性的又は定量的なこのような相互作用の検出に基づく判定は、診断目的などの任意の目的のためであり得る。このような試験は多くの場合において、側方流動アッセイと称される。
【0018】
診断判定の例としては、例えば、慢性的な代謝異常など、異なる疾患に特異的な検体(マーカーとも称される)、例えば、血糖、血中ケトン、尿中ブドウ糖(血糖)、血中コレストロール(アテローム性動脈硬化症、肥満等);他の特定の疾患(例えば、急性疾患)のマーカー、例えば、冠状動脈感染マーカー(例えば、トロポニン−T、NT−ProBNP)、甲状腺機能のマーカー(例えば、甲状腺刺激ホルモンの判定(TSH))、ウイルス感染のマーカー(特定のウイルス抗体の検出のための側方流動イムノアッセイの使用)などの判定が挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
更に別の重要な分野は、例えば薬剤などの治療薬がそのような薬剤を必要とする個体に投与されるコンパニオン診断の分野である。薬剤がその所望の効果を有するかどうかを判定するための適切なマーカーの濃度を決定するために、その後、適切なアッセイが実行される。あるいは、薬がこれを必要とする個人を助けるかどうかを決定するために、治療薬の投与の前に、本発明のアッセイ装置が使用され得る。
【0020】
更に別の重要な分野は、薬剤乱用を示す薬剤及び薬物代謝産物の容易かつ迅速な検出、例えば、尿サンプル内の特定の薬物及び薬物代謝産物(例えばTHC)の決定の分野である。
【0021】
用語「検体」は、用語「マーカー」の同義語として使用され、定性的又は定量的に測定されるいずれかの化学又は生物学的物質を包含するよう意図されており、小分子、タンパク質、抗体、DNA、RNA、核酸、並びにこれらの複合体及び誘導体を含み得る。
【0022】
用語「ゾーン」、「領域」、及び「部位」は、本説明、実施例、及び請求項の文脈において、先行技術の装置又は本発明の実施形態による装置のいずれかにおける基材上の流体通路の一部を定義するために使用される。
【0023】
用語「反応」は、基材上又は基材内のサンプル成分と少なくとも1つの試薬との間で、又はサンプル内に存在する2つ又は3つ以上の成分の間で生じるいずれかの反応を定義するために使用される。用語「反応」は特に、検体の定性的又は定量的な決定の一部として検体と試薬との間で生じる、反応を定義するために使用される。
【0024】
用語「基材」とは、サンプルが添加され、その中で判定が行われるか、又は検体と試薬との間の反応が生じる、キャリア又はマトリックスを意味する。
【0025】
本発明は、少なくとも1つの検体の存在又は量を判定するための側方流動アッセイ装置を対象とする。図1は、本発明によるかかる装置の好ましい実施形態を示す。アッセイ装置1は、少なくとも1つのサンプル添加ゾーン2と、任意に少なくとも1つの検出要素ゾーン3(一般に「接合ゾーン(conjugate zone)」と呼ばれる)と、サンプル受け取りゾーンと少なくとも1つのシンク5との間に平行に設置された、任意にいくつかの捕捉ゾーン(図示せず)を含む少なくとも1つの捕捉ゾーン4と、を有する。ゾーンは、サンプル添加ゾーンからシンクまでサンプルが流れる流路を形成する。また、任意に装置に堆積される(例えば、コーティングにより)検体に結合することができる、捕捉ゾーン4内の捕捉要素、及び、任意に装置の検出ゾーン内に堆積される検体にやはり結合することができる検出要素が含まれ、該検出要素は、捕捉ゾーン内の検出のために第1の標識を有する。
【0026】
アッセイ装置の構成要素(即ち、装置の他の部分からの別個の部品であってもなくても、装置の物理的構造)は、コポリマー、ブレンド、ラミネート、金属ホイル、金属フィルム又は金属から調製され得る。あるいは、装置構成要素は、コポリマー、ブレンド、ラミネート、金属ホイル、金属フィルム又は金属から、以下の材料の1つを堆積させて調整される:ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン含有ポリマー、ポリカーボネート、アクリルポリマー、塩素含有ポリマー、アセタールホモポリマー及びコポリマー、セルロース類及びこれらのエステル、硝酸セルロース、フッ素含有ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、硫酸含有ポリマー、ポリウレタン、シリコン含有ポリマー、ガラス並びにセラミック材料。あるいは、装置の構成要素は、プラスチック、エラストマー、ラテックス、シリコンチップ又は金属で作られる。エラストマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、シリコンエラストマー又はラテックスを含み得る。あるいは、装置の構成要素は、ラテックス、ポリスチレンラテックス又は疎水性ポリマーから調製され、疎水性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルを含み得る。あるいは、装置の構成要素はTEFLON(登録商標)、ポリスチレン、ポリアクリレート、又はポリカーボネートを含み得る。あるいは、装置の構成要素は、ミリング若しくは射出成形されることができるプラスチックから、又は銅、銀、及び金のフィルムの表面から作製され、この上に様々な長鎖アルカンチオールが吸収される。ミリング又は射出成形されることができるプラスチック構造体は、ポリスチレン、ポリカーボネート、又はポリアクリレートを含み得る。特に好ましい実施形態では、アッセイ装置は、例えば、商標名Zeonar(登録商標)で販売されるもののような、シクロオレフィンポリマーから射出成形される。好ましい射出成形技術は、米国特許第6,372,542号、同第6,733,682号、同第6,811,736号、同第6,884,370号、及び同第6,733,682号に記載されており、これらは全て参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
流路は、開いた又は閉じた経路、溝、毛管を含み得る。好ましくは流路は、毛管流が流路を通じて維持されるような寸法、形状及び相互の間隔を有するように、突起部に隣接する側方流動経路を含む。少なくとも1つの捕捉ゾーンでは、流路は、本発明による菱形の突起部を備える。一実施形態において、流路は、底面及び側壁を有する基材内のチャネル内にある。この実施形態において、突起部は、チャネルの底面から突出する。側壁は、液体の毛管現象に寄与してもしなくてもよい。側壁が液体の毛管現象に寄与しない場合、液体が突起部により画定される流路に収容された状態に維持するために、最外突起部と側壁との間に間隙が提供され得る。
【0028】
一実施形態において、流路は少なくとも部分的に開いている。別の実施形態において、流路は完全に開いている。開いているとは、毛管距離において蓋又はカバーが存在しないことを意味する。流路に対する物理的保護として存在する場合、蓋は、流路内の毛管流に寄与しない。開いた側方流動は、以下の出願公開に記載され、これらは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる:国際公開第2003/103835号、同第2005/089082号、同第2005/118139号、同第2006/137785号、及び同第2007/149042号。突起部は高さ(H)、直径(D)及び突起部の間の距離(t1、t2)を有し、それによってこのゾーンにおける、血漿、好ましくはヒトの血漿の側方毛管流が達成される。上記の高さ、直径、及び突起部間の距離を最適化することに加え、突起部は、例えば、突起部の表面を修飾することによって、所望の化学的、生物学的、又は物理的機能を付与されてもよい。一実施形態では、突起部は、約15〜約150μm、好ましくは約30〜約100μmの間隔内の高さ、約10〜約160μm、好ましくは20〜約80μmの直径、及び約3〜約200μm、好ましくは10〜約100μm、又は10〜50μmの突起部間の相互の距離を有する。流路は、約5〜約500mm、好ましくは約10〜約100mmの長さ、及び約1〜約30mm、好ましくは約2〜約10mmの幅を有し得る。
【0029】
液体サンプル受け取りゾーン2は、ピペットなどのサンプルディスペンサからサンプルと受け取る。サンプルは典型的には、該ゾーンの上に堆積される。サンプル受け取りゾーンは、液体サンプルを、サンプルが堆積される点から捕捉ゾーンまで、好ましくは毛管流により運ぶことができる。毛管流を生じる構造は、ニトロセルロースなどの多孔質材料を含み、又は好ましくは、図1に図示されるように、微細柱状物による。
【0030】
サンプルから粒子を濾過するため、又は血漿が装置を通ってより遠くまで移動できるように血液から血球を濾過するために、フィルタ材料をサンプル受け取りゾーン内に配置することができる。
【0031】
液体サンプル受け取りゾーンの下流は、サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーン4である。捕捉ゾーン4は、本発明による菱形の断面を有する突起部を備える。上述のように、これら突起部は、Zeonarなどの光学樹脂材料から基材に一体成形されるのが好ましい。
【0032】
本発明は、一つには、菱形の断面を有する突起部を捕捉ゾーン内に有する、本明細書に記載されるもののようなアッセイ装置は、より優れた感度、より良好な精度、及び背景雑音の低減をもたらすという驚くべき発見に基づく。何ら理論に拘束されることを望まないが、本出願人らは、円形断面を有する突起部を使用すると、柱状物の周囲のサンプル流体の流れが悪くなると考える。特に、円形断面の突起部を有するゾーンを流れる流体は、突起部の前側及び後側に比較的大きな淀み領域をもたらし、これが非結合検出要素の洗浄不良につながる。これは、標識抗原又は標識自体が柱状物の前側及び後側に捕集される結果となり得、背景信号の増加及び感度の低下をもたらす。
【0033】
本発明者らは、任意の矩形断面を有する突起部は、円形断面設計を改善しないことも見出した。その代りに、菱形の断面だけが、円形断面を有する突起部と比べてより優れた感度及び背景雑音の低減をもたらすことが見出された。公知の如く、菱形は、ダイヤモンド形、又は菱形が直角を有する場合には正方形などの、同じ長さの4つの片を有する四辺形である。菱形の柱状物を図1図3に示す。図3A及び図3Bは、菱形突起部の上面図及び斜視図である。
【0034】
菱形突起部のサイズは変化に富んでいてもよく、一つには、捕捉ゾーンを通過する流体の毛管流を誘発するように選択され、広くは突起部に関して上述した寸法を有することができる。好ましい実施形態では、突起部の高さは約65μmであり、柱状物の辺は、底部が約50μm及び頂部が40μmである。柱状物間の距離は、底部が約10μm及び頂部が20μmである。菱形突起部の角部は、淀みを最小限にするために、常に流体の流れ方向を向いている。突起部に対する流体の流れは、図1及び図3Aにおいて矢印Aで示されている。
【0035】
図2図3A、及び図3Bに示されるような本発明による菱形の突起部は、円形の突起部に比べてずっと小さい淀み領域を、突起部の前側及び後側に有する。表面積/体積比もまた、円形断面を有する突起部に比べて増加した。
【0036】
菱形の断面を有する突起部は、以下により詳細に説明される本発明のアッセイの捕捉ゾーン内に含められる。
【0037】
捕捉ゾーン内の突起部には捕捉要素が取り付けられる。捕捉要素は、対象のマーカー又は検体に対するその親和性、又はマーカー又は検体の関連する修飾に対するその親和性から適切に選ばれた分子を含み得る。例えば、マーカー又は検体がDNAである場合、捕捉分子は、合成オリゴヌクレオチド、その類似体、又は特定の抗体であり得るが、これらに限定されない。他の好適な捕捉要素としては、検出される検体に特異的な、抗体、抗体断片、アプタマー、及び核酸配列が挙げられる。捕捉要素の好適な修飾の非限定的な例は、ビオチンで置換された標的となる生物学的化合物であり、その場合、プローブはアビジン官能性を有することができる。捕捉ゾーンは、多数の捕捉ゾーンを含み得る。複数の捕捉ゾーンは、1つ又は2つ以上のマーカーを含むアッセイのために使用され得る。複数の捕捉ゾーンの場合、捕捉要素は、第1及び第2の捕捉要素などの複数の捕捉要素を含み得る。
【0038】
捕捉ゾーンの下流は、捕捉ゾーンと流体連通するシンクである。シンクは、液体サンプルを受容する能力を有するアッセイ装置の領域である。シンクは、液体サンプルが捕捉ゾーンを通ってそこから出ていくように、液体サンプルを継続的に移動させるための毛管力を提供する。シンクは、ニトロセルロースなどの多孔質材料を含んでもよく、又は本明細書に記載される突起部などの非多孔質構造であってもよい。シンクは、例えば、蒸発性加熱又はポンプを使用するなどの非毛管流体駆動手段を含み得る。本発明によるアッセイ装置において用いられるシンクの更なる詳細は、米国特許出願公開第2005/0042766号、及び同第2006/0239859に見出すことができ、双方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
サンプル添加ゾーンと捕捉ゾーンとの間に任意に位置するのは、検出要素ゾーンである。このゾーンは、検体が検出要素ゾーンを流れるときに検体に結合する検出要素を含む。検出要素は、以下でより詳細に説明するように、捕捉ゾーンで続いて検出される。検出要素は、マーカー若しくは検体に直接結合されることができ、又はより一般的には、後に検体に結合する検出用捕捉要素に接合されてもよい。したがって、用語「検出要素」は、マーカー又は検体に直接結合されるか、又は検出用捕捉要素に接合されることができる検出可能な成分を包含することを意味する。好適な検出用捕捉要素としては、捕捉要素に関して上記したものを挙げることができる。
【0040】
競合アッセイの場合、検出要素ゾーンは、検出要素が既に検体に結合している検体を収容している。この場合、検出要素ゾーンを通ってサンプルが移動すると、予め堆積された、検出要素を結合させた検体は、サンプル中の検体と一緒に捕捉ゾーンへと運ばれる。
【0041】
検出要素は、その物理的分布及び/又はこれが生じる信号(発光分子(例えば、蛍光剤、リン発光性剤、化学発光性剤、生物発光剤など)、着色分子、反応の際に色を生成する分子、酵素、放射性同位体、特定の結合を呈するリガンドなどが挙げられるがこれに限定されない)の強度に関連して検出可能な薬剤である検出要素は、発色団、蛍光色素分子、放射能標識、及び酵素から選択される標識であるのが好ましい。好適な標識は、抗体、タンパク質、及び核酸の標識のための広範な染料を提供する供給元から市販される。例えば、実際に全可視及び赤外スペクトルに及ぶ蛍光色素分子が存在する。好適な蛍光剤又はリン光性標識は、例えば、フルオレセインCy3、Cy5などが挙げられるがこれらに限定されない。好適な化学発光性標識は、例えば、ルミノール、サイリュームなどであるがこれらに限定されない。
【0042】
同様に、放射能標識は、市販されているか、又は検出要素がこれらが放射能標識を組み込むようにして合成され得る。好適な放射能標識は、例えば、放射性ヨード及びリン、例えば、125I及び32Pである。
【0043】
好適な酵素標識は、例えば、西洋わさびペルオキシターゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどであるが、これらに限定されない。2つの標識は、これらが、互いに阻害、干渉又は抑制することなく、個別に検出され、かつ好ましくは同時に数量化され得るときに、「区別可能」である。多数の検体又はマーカーが検出される際、2つ又は3つ以上の標識が使用され得る。
【0044】
一実施形態では、検出要素はアッセイ装置に事前に堆積されていてもよく、捕捉要素は、サンプルの添加の後又は添加と一緒に加えられてもよい。あるいは、捕捉要素がアッセイ装置に事前に堆積されていてもよく、検出要素は、サンプルの添加の後又は添加と同時に加えられる。好ましくは、検出要素及び捕捉要素の両方が、それぞれ、アッセイ装置の検出ゾーン及び捕捉ゾーンに予め堆積される。
【0045】
一実施形態では、検出要素及び捕捉要素は、毛管力の効果でサンプルによって捕捉ゾーンまで運ばれて、検出要素と、マーカーと、捕捉要素とを含む検出複合体を形成する。
【0046】
好ましくは、サンプル受け取りゾーン、捕捉ゾーン、及びシンクを含む流路全体は、基材との関係において実質的に垂直であり、流路内にサンプルの側方流動を作り出すことができる、高さ、直径、及び相互の間隔を有する突起部を含む。この好ましい実施形態は図1に示されている。
【0047】
上記の実施形態のいずれかにおいて、装置は好ましくは使い捨てアッセイ装置である。アッセイ装置は、取り扱い及び保護の容易性のためにハウジング内に収容されるのが好ましい。アッセイ装置がこのようなハウジング内に収容される場合、ハウジングは好ましくはサンプルをアッセイ装置に添加するためのポートを含む。
【0048】
本発明のアッセイ装置は、本発明のアッセイに実行された、アッセイ装置の結果を読むための装置(読み取り機)と共に使用され得る。読み取り機は、光検出器などの検出要素から発信されるか、又は反射される信号を読取るための手段、及び一体型の読み取り機又は別個のコンピュータ内に含まれ得るマイクロプロセッサなどの、信号を処理し結果を表示するための手段を含む。好適な読み取り機は、米国特許出願公開第2007/0231883号、及び米国特許第7,416,700号の実施例に記載され、これらは両方とも参照によりその全体が組み込まれる。
【0049】
別の実施形態は、アッセイ装置で実行されるアッセイの結果を読み取るための装置であり、この装置は、アッセイ装置の既定される位置に存在する少なくとも1つの検出要素から発信又は反射される信号を読取ることができる検出器を含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、読み取りは好ましくは、色、蛍光、放射能又は酵素活性の検出及び/又は数量化から選択される。
【0050】
本発明の別の態様は、1つ又は2つ以上の関心の検体の検出のために、液体サンプルのアッセイを実行する方法を対象とする。対象の検体を含有する液体サンプルは、装置のハウジングのポートを介するなどして、アッセイ装置のサンプル受け取りゾーン上に堆積される。サンプルは、毛管現象によって任意のフィルタを通って検出要素ゾーンの中まで移動し、そこで抗体を介するなどして、直接又は間接的に検出要素と接合される。代替実施形態では、検出要素はサンプルと一緒に装置に添加されてもよく、それにより、検出要素ゾーンは必要なくなる。次に、サンプルは毛管現象によって捕捉ゾーンに移動し、そこで菱形の断面を有する突起部と接触する。検出要素を有する対象の検体は、捕捉ゾーンの表面上の抗体などによって、捕捉ゾーンで捕捉される。次に、上記の読み取り機を使用して、検体の存在又は濃度を決定するために検出要素によって生成される信号を読み取る。サンプルは、捕捉ゾーンからシンクの中に移動する。読み取り機は、捕捉ゾーンを通ってサンプルが移動した直後又は少し後に信号を読取ることができる。また、捕捉ゾーンから離れたあらゆる非結合検出要素を洗浄するために、装置を通じてサンプルの後に1つ又は2つ以上の洗浄液が送達される。
【0051】
本発明の実施形態による方法、アッセイ、装置及び読み取り機は、より良好な免疫化学反応の反応動力学、及びより良好なアッセイ感度に主に関連する、多くの利益を有する。
【0052】
本発明は本明細書において示される特定の実施形態に限定されないことが理解される。以下の実施例は例示目的のために提供され、本発明の領域を限定することを意図されず、本発明は、添付の請求項及びその等価物によってのみ限定される。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
シッフ塩基連結によるタンパク質の共有結合不動化のために、表面上に酸化デキストランを有する、Zeonor(Zeon,Japan)で作製されたプラスチック基材チップを用いた。流路内の捕捉ゾーンに、抗NT−proBNP mAb(15C4 Hytest)を堆積させて(Biodot AD3200)、乾燥させた。流路内の検出要素ゾーンに抗NT−proBNP mab(S−1.21.3 Roche)を堆積させて、乾燥させた。より良好な毛管流のためにサンプルの湿潤性を増加させるために、装置に少量のTriton X−45が堆積された。装置のサンプルゾーンにサンプルを添加し、微細柱状物のアレイの毛管現象が、検出要素ゾーン、捕捉ゾーンを越えてウィッキングゾーンまでサンプルを分配した。典型的なアッセイ時間は約10分間であった。信号強度を、プロトタイプの線を照らす蛍光スキャナで記録した。実験結果を図4図6、及び表1に示す。
【0054】
図4は、T7.30と表わされる四角形の形状の断面を有する突起部の実験結果(正方形(■)で示す)、及びT7.29と表わされる円形断面を有する突起部の実験結果(ダイヤモンド形(◆)で示す)を示す。グラフが示すように、四角形の形状の突起部ははるかに高い光信号を有しており、円形突起部と比べてより多くの検体を捕捉したこと示す。実際に、グラフが1450pg/mLのNT−proBNPレベルにおいて示すように、四角形の形状の突起部の信号の強度は、円形突起部の約2倍である(それぞれ14対7)。
【0055】
次の表1は、四角形の突起部を用いたアッセイ精度の改善を、円形突起部と対比して示している。特に、精度の目安である変動係数(CV)は、四角形の突起部のレベル3(268pg/mL)及び4(1499pg/mL)において有意に小さく、これは高精度であることを示している。より低いレベル(1及び2)では、四角形突起部と円形突起部との間でCVに対する影響は見られなかった。
【0056】
【表1】
【0057】
図5は、異なる断面の突起部を用いた、同一流量及び同一初期検体濃度における検体の捕捉に関する計算流体力学(CFD)シミュレーションである。CFDシミュレーションは、突起部の固体表面上での流量、拡散、及び動的反応を考慮に入れる。検体濃度は、突起部の位置、突起部の形状(四角形又は円形)、及び突起部の配置(対称又は非対称)の関数である。y軸は、対称軸に沿った突起部の中心における検体の平均濃度を示す。x軸は、捕捉ゾーンの始まり(即ち、捕捉抗体が最初に基材上に堆積された場所)からの各柱状物の距離を示す。各突起部(図では「柱状物」と呼ぶ)は、異なる形状の突起部のそれぞれに関するデータ点(例えば、四角形(■))で示されている。捕捉ゾーンの始まりから最初の5つの突起部が示されている。ダイヤモンド形(◆)で示される四角形の形状の突起部は、四角形突起部と円形突起部との間の自然充填距離変動により、突起部間の距離がわずかに大きかった。グラフが示すように、四角形の形状の突起部は、このシミュレーションで試験した様々な円形突起部設計に比べて、捕捉ゾーン内の全ての位置(即ち、上流及び下流)で有意に高い検体の捕捉を示した。CFDシミュレーションの結果は、実験的観察と一致する。図示されている他の形状は、長円形突起部(X)、円形突起部(■)、及び円形で非対称の突起部(▲)である。
【0058】
より低い濃度では(より高い濃度である268pg/mL及び1499pg/mLと比較して表1に挙げられている2pg/mL及び59pg/mL)、四角形の形状の突起部はまた、図6に示されるようにより低くてより平滑な基線を有する。これは、四角形の形状の突起部が光学雑音も低減することを示している。この場合もやはり、円形突起部と比べてより均一な柱状物断面積、及び突起部の前側及び後側のより小さい淀み領域によるものと考えられる。
【0059】
(実施例2)
円形断面を有する突起部を備えたチップを有するアッセイ装置及び四角形の形状の断面を有する突起部を備えた装置を用いて、インタクトな副甲状腺ホルモン(iPTH)に関して評価した用量反応曲線。シッフ塩基連結による、タンパク質の共有結合不動化のために、表面上に酸化デキストランを有する、Zeonor(Zeon,Japan)で作製されたプラスチック基材チップが使用された。蛍光標識された坑iPTHヤギポリクローナル抗体(N末端、aa 1〜34)を、試薬ゾーンを生成するために堆積させ、かつ乾燥させた。坑iPTHヤギポリクローナル抗体(C末端、aa 39〜84)を、検出ゾーンを生成するために堆積させ、かつ乾燥させた。より良好な毛管流のためにサンプルの湿潤性を増加させるために、装置に少量のTriton X−45が堆積された。装置のサンプルゾーンにサンプルが添加され、微細柱状物の毛管現象が、流路を通じて吸上ゾーンにサンプルを分配した。典型的なアッセイ時間は約10分間であった。検出ゾーンにおける、蛍光標識された複合物からの信号強度は、プロトタイプ線形照明蛍光スキャナにおいて記録された。結果を図7及び図8に示す。
【0060】
図7は、y軸に沿った平均ピーク面積、及びx軸に沿ったiPTH濃度(pg/mL)を有する用量反応曲線を示す。ダイヤモンド形(◆)の印がついた曲線Aは、四角形の形状の突起部を有する。プラス記号(+)の印がついた曲線Cは、曲線Aのチップと同一のチップを使用したが、別の堆積イベントで堆積された。曲線A及びCのデータ点の多くは重なり合っている。(X)の印がついた曲線Bは、四角形の突起部の代わりに円形突起部を有すること以外はチップAと同一のチップのものである。示される結果のように、四角形の形状の断面の突起部を有する装置の平均ピーク面積は、円形断面の突起部を有する装置よりも有意に大きい。
【0061】
図8は、少量のiPTHを用いたこと以外は図7と同様である。ここでも、図7と同様に、図8は、y軸に沿って平均ピーク面積を有し、x軸に沿ってiPTHの濃度(pg/mL)を有する用量反応曲線を示す。四角形(■)の印がついた曲線(A)は、四角形の形状の断面を有する突起部を有する。ダイヤモンド形(◆)の印がついた曲線(C)は、別の堆積イベントで同じ方法で同じチップタイプ上に堆積された、T7.30と同一である装置を使用した。三角形(▲)の印がついた曲線(B)は、四角形の突起部の代わりに円形突起部を有すること以外はT7.30チップと同一の装置に関する。示される結果のように、四角形の突起部を有する装置の平均ピーク面積は、円形断面を有する装置よりも有意に大きい。
【0062】
四角形の形状の突起部の設計のわずかな変更も、突起部の前側及び後側のより小さな淀み領域に関して、四角形の形状の突起部の利点を維持すべきである。こうした設計は、突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、上流及び下流方向に面した突起部の角部、即ち、総体流方向に沿って長い軸を有するダイヤモンドの形状の突起部を含む。ダイヤモンドの形状の突起部の前側及び末端部は、淀み領域を更に低減するためにより鋭角に形成されることができる。
【0063】
追加の実施形態
1.液体サンプル受け取りゾーンと;捕捉要素を結合させたサンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンであって、該捕捉ゾーンは、基材と、該基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、該突起部は菱形の断面を有し、及び前記突起部は、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、ここで、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛管流を生成することができる前記突起部間の毛管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、捕捉ゾーンと;前記捕捉ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクと;を含み、前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクが流体流路を画定する、アッセイ装置。
2.前記菱形の断面が四角形である、実施形態1に開示のアッセイ装置。
3.前記菱形の断面がダイヤモンド形である、実施形態1に開示のアッセイ装置。
4.前記上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、実施形態3に開示のアッセイ装置。
5.前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛管現象に寄与しない、実施形態1に開示のアッセイ装置。
6.前記突起部間の前記毛管空間が、カバー、側壁、又は前記流路に沿った前記毛管流を誘発若しくは支援するために外部から適用される駆動手段を必要とせずに、前記液体を、前記液体サンプルが適用された場所から側方に移動させる、実施形態1に開示のアッセイ装置。
7.前記捕捉ゾーンと前記サンプル受け取りゾーンとの間に検出要素ゾーンを更に含み、前記検出要素ゾーンがその上に検出要素を有する、実施形態1に開示のアッセイ装置。
8.前記捕捉ゾーンが複数の捕捉ゾーンを更に含み、第1の捕捉要素が第1の捕捉ゾーンに適用され、第2の捕捉要素が第2の捕捉ゾーンに適用される、実施形態1に開示のアッセイ装置。
9.前記第1及び第2の捕捉ゾーンが、捕捉要素を有さない領域によって相互に分離される、又は前記第1及び第2の捕捉ゾーンが相互に直接隣接する、実施形態8に開示のアッセイ装置。
10.前記捕捉要素が、前記捕捉ゾーンの幅全体にわたって、前記流体流路に垂直な方向に延出する、実施形態1に開示のアッセイ装置。
11.前記捕捉要素が捕捉抗体である、実施形態1に開示のアッセイ装置。
12.前記サンプル受け取りゾーンと流体連通するサンプルポートをその上に有する、前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクを保持するためのハウジングを更に含む、実施形態1に開示のアッセイ装置。
13.前記サンプルポートと前記サンプル受け取りゾーンとの間に配設されたフィルタを更に含む、実施形態12に開示のアッセイ装置。
14.前記フィルタが、血漿から赤血球を濾過することができる、実施形態13に開示のアッセイ装置。
15.前記検出要素が、検出可能な標識を結合させた抗体を含む、実施形態7に開示のアッセイ装置。
16.1つ又は2つ以上の対象の検体を検出するために液体サンプルにアッセイを実施する方法であって、前記液体サンプルを受け取るための液体サンプル受け取りゾーンを提供する工程と;捕捉要素を結合させた前記サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンを提供する工程であって、該捕捉ゾーンは、基材と、該基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、該突起部は菱形の断面を有し、及び前記突起部は、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、ここで、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛管流を生成することができる前記突起部間の毛管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、工程と;前記反応ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクを提供する工程と;前記サンプルを前記サンプル受け取りゾーンに分配する工程であって、それによって前記サンプルが毛管現象によって前記捕捉ゾーンに沿って前記シンクの中まで流れる、工程と;前記1つ又は2つ以上の検体の存在又は濃度を決定するために信号を読み取る工程と;を含む方法。
17.前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛管現象に寄与しない、実施形態16に開示の方法。
18.検出要素を結合させた検出要素ゾーンを更に含み、前記検体が、前記検出要素ゾーン内の前記検出要素に結合し、かつ前記捕捉ゾーンによって捕捉されて検出可能な信号を生成する、実施形態16に開示の方法。
19.検出要素を前記サンプルと共に添加する工程を更に含み、それによって前記検出要素が前記捕捉ゾーン内で捕捉され、検出可能な信号を生成する、実施形態16に開示の方法。
20.前記菱形の断面が四角形である、実施形態16に開示の方法。
21.前記菱形の断面がダイヤモンド形である、実施形態16に開示の方法。
22.上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、実施形態16に開示の方法。
【0064】
当業者は、本発明及び本明細書において記載されるその実施形態は、具体的に記載されたもの以外の変化形態及び修正を含むことを理解する。本発明は全ての変化形態及び修正を含むものとして理解されべきである。本発明はまた、本明細書において参照される全てのこと及び特徴を個別に、又は包括的に、かつ工程又は特徴のいずれかの2つ又は3つ以上のうちのいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) アッセイ装置であって、
液体サンプル受け取りゾーンと、
捕捉要素を結合させた、前記サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンであって、該捕捉ゾーンが、基材と、該基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、該突起部が菱形の断面を有し、前記突起部が、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛細管流動を生成することができる前記突起部間の毛細管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、捕捉ゾーンと、
前記捕捉ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクと、を含み、前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクが流体流動路を画定する、アッセイ装置。
(2) 前記菱形の断面が四角形である、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(3) 前記菱形の断面がダイヤモンド形である、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(4) 上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、実施態様3に記載のアッセイ装置。
(5) 前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛細管現象に寄与しない、実施態様1に記載のアッセイ装置。
【0066】
(6) 前記突起部間の前記毛細管空間が、前記流動路に沿った前記毛細管流動を誘発すること若しくは支援することのいずれかのためにカバー、側壁、又は外部から適用される駆動手段を必要とせずに、前記液体を、前記液体サンプルが適用された場所から離して側方に強制移動させる、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(7) 前記捕捉ゾーンと前記サンプル受け取りゾーンとの間に検出要素ゾーンを更に含み、前記検出要素ゾーンがその上に検出要素を有する、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(8) 前記捕捉ゾーンが複数の捕捉ゾーンを更に含み、第1の捕捉要素が第1の捕捉ゾーンに適用され、第2の捕捉要素が第2の捕捉ゾーンに適用される、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(9) 前記第1の捕捉ゾーン及び第2の捕捉ゾーンが、捕捉要素を有さない領域によって相互に分離される、又は前記第1の捕捉ゾーン及び第2の捕捉ゾーンが相互に直接隣接する、実施態様8に記載のアッセイ装置。
(10) 前記捕捉要素が、前記流体流動路に垂直な方向に前記捕捉ゾーンの幅全体にわたって延出する、実施態様1に記載のアッセイ装置。
【0067】
(11) 前記捕捉要素が捕捉抗体である、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(12) 前記サンプル受け取りゾーン、前記捕捉ゾーン、及び前記シンクを保持するためのハウジングを更に含み、前記ハウジングが前記サンプル受け取りゾーンと流体連通するサンプルポートをその上に有する、実施態様1に記載のアッセイ装置。
(13) 前記サンプルポートと前記サンプル受け取りゾーンとの間に配設されたフィルタを更に含む、実施態様12に記載のアッセイ装置。
(14) 前記フィルタが、血漿から赤血球を濾過することができる、実施態様13に記載のアッセイ装置。
(15) 前記検出要素が、検出可能な標識を結合させた抗体を含む、実施態様7に記載のアッセイ装置。
【0068】
(16) 1つ又は2つ以上の対象検体を検出するために液体サンプルにアッセイを実行する方法であって、
前記液体サンプルを受け取るための液体サンプル受け取りゾーンを用意することと、
捕捉要素を結合させた、前記サンプル受け取りゾーンと流体連通する捕捉ゾーンを用意することであって、該捕捉ゾーンが、基材と、該基材からほぼ垂直に延出する突起部とを有し、該突起部が菱形の断面を有し、前記突起部が、前記突起部の角部が前記サンプル受け取りゾーンに向かう方向に上流に面した状態で前記基材上に配置され、前記突起部が、前記基材の表面に対して平行な毛細管流動を生成することができる前記突起部間の毛細管空間を画定する高さと、断面と、互いの間の距離とを有する、ことと、
前記反応ゾーンから流れてくる液体サンプルを受容する能力を有する、前記捕捉ゾーンと流体連通するシンクを用意することと、
前記サンプルを前記サンプル受け取りゾーンに分配することであって、それによって前記サンプルが毛細管現象によって前記捕捉ゾーンに沿って前記シンクの中まで流れる、ことと、
前記1つ又は2つ以上の検体の存在又は濃度を決定するために信号を読み取ることと、を含む、方法。
(17) 前記基材が、底面と側壁とを有するチャネルを含み、前記突起部が前記チャネルの前記底面から突出し、前記側壁が前記液体の毛細管現象に寄与しない、実施態様16に記載の方法。
(18) 検出要素を結合させた検出要素ゾーンを更に含み、前記検体が、前記検出要素ゾーン内の前記検出要素に結合し、かつ前記捕捉ゾーンによって捕捉されて検出可能な信号を生成する、実施態様16に記載の方法。
(19) 検出要素を前記サンプルと共に添加することを更に含み、それによって前記検出要素が前記捕捉ゾーン内で捕捉され、かつ検出可能な信号を生成する、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記菱形の断面が四角形である、実施態様16に記載の方法。
【0069】
(21) 前記菱形の断面がダイヤモンド形である、実施態様16に記載の方法。
(22) 前記上流及び下流方向に面した前記突起部の前記角部が、前記突起部の他の内角に比べて小さい内角を有する、実施態様16に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8